カテゴリー: ホンダF1

  • フェルナンド・アロンソ 2027年F1去就は急がず「後任候補が夏にローレンスを訪問」

    フェルナンド・アロンソ 2027年F1去就は急がず「後任候補が夏にローレンスを訪問」

    フェルナンド・アロンソは、2027年の去就について決断を急いでいないことを明かし、F1ドライバーとしてアストンマーティンに残るだけでなく、別の役割でチームを支える可能性も選択肢に入れていると語った。

    2026年F1第14戦スペインGPを前にマドリードで行われたFIA記者会見で、アロンソは2027年の計画について「すぐには決まらない」と回答。

    来季以降のF1レギュレーションがドライビングにどのような影響を与えるのかを見極めたうえで、自身とアストンマーティンにとって最善の道を判断する考えを示した。

    2027年の決断は「すぐではない」
    2027年の将来について、いつニュースを聞くことができるのかと質問されたアロンソは、簡潔に答えた。

    「すぐではない」

    なぜ決断を遅らせるのかと聞かれると、「その方がいいと思うから」と冗談めかして返した。

    さらに、アストンマーティン側が契約延長を急いでいるのではないかとの質問も飛んだ。2027年に向けて他チームでは有力ドライバーの契約が固まりつつあるが、アロンソはチームとの間に焦りはないと説明した。

    「もちろん話はしている。でも、そういうドライバーたちは夏にローレンスのところを訪れていたからね。だから、急いではいない」

    アロンソが言及したローレンスとは、アストンマーティンのオーナーであるローレンス・ストロールを指す。

    「ステアリングを握るか別の役割か」
    アロンソにとって判断材料のひとつとなるのが、2027年に向けたF1のレギュレーションだという。

    「前にも言ったように、来年のルールがレースやドライビングの面に影響を与えるのかどうかを理解することが重要だと思う」

    「何度も言っているけど、今のマシンは運転していて最高に楽しいマシンではない。でも、来年は正しい方向への一歩になると思う。そう願っている」

    そしてアロンソは、2027年もF1ドライバーとしてレースを続けることだけが選択肢ではないことを明言した。

    「同時に、来年に向けて自分にとって何がベストなプログラムなのかを考えて、チームと話し合う必要がある」

    「ステアリングを握るのか、それとも別の役割なのか。どこで僕が最もチームを助けられるのか。それを一緒に決めることが一番重要になる」

    現在45歳のアロンソは、2026年もアストンマーティンでF1参戦を続けているが、その先についてはドライバーとしての現役続行だけにこだわらず、アストンマーティンとの関係そのものをどのような形で継続するかを検討していることになる。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    2027年F1規則には依然として懸念
    アロンソは、2027年に予定されているレギュレーション変更について、現在よりもドライバーがマシンの限界を引き出せる方向に進むことを期待している。

    一方で、電気エネルギーの回生とバッテリー管理がドライビングを左右するという根本的な問題は残るとの見方も示した。

    「正しい方向への一歩だと思う。それで十分なのかは分からない」

    「マシンは常に、高速コーナーやストレートの終わりでバッテリーを充電することがラップタイム的には有利になる。こういうパワーユニットでは、ラップのどこかでバッテリーを充電しなければならないからね」

    「そして、それをするのは楽しさという意味では一番問題になる場所、高速コーナーやストレートの終わりになる。つまり、ドライバーがマシンの限界を攻めることとは逆の方向になる」

    それでもアロンソは、2027年に向けて規則がさらに修正される可能性に期待している。

    「それでも、来年のルールがもう一度調整されることにはまだ期待している。これが最終版ではないと思っている」

    アストンマーティンでWEC参戦も選択肢
    さらに記者会見では、2027年にF1ではなく、アストンマーティンとともにFIA世界耐久選手権(WEC)など別カテゴリーへ参戦する可能性についても質問された。

    「アストンマーティンとF1以外のシリーズ、例えばWECに参戦するプログラムは2027年の選択肢になり得るか」と問われたアロンソの答えは明確だった。

    「そうだ」

    アロンソは過去にWECへ参戦し、ル・マン24時間レースを2度制しているだけに、F1後のキャリアとして耐久レースへ戻ることは現実的な選択肢のひとつとなる。

    ただし、現時点で2027年の計画について具体的な決定が下されたわけではない。アロンソ自身も「すぐではない」と強調しており、まずはF1のレギュレーションがどの方向へ進み、ドライバーがどこまでパフォーマンスに影響を与えられるマシンになるのかを見極める構えだ。

    F1で現役を続けるのか、アストンマーティンで別の役割を担うのか、それともWECを含む別カテゴリーへ活動の場を移すのか。アロンソの2027年は、単純なF1引退か現役続行かという二択ではなく、アストンマーティンとのプロジェクトの中で自身が「最もチームを助けられる」道を選ぶことになりそうだ。

  • ホンダF1 初開催マドリンクのバンクを警戒「潤滑システムへの挑戦」

    ホンダF1 初開催マドリンクのバンクを警戒「潤滑システムへの挑戦」

    ホンダは、2026年F1スペインGPで初開催を迎えるマドリンクにおいて、特徴的なバンクコーナー「モニュメンタル(La Monumental)」がパワーユニット(PU)の潤滑システムにとって大きなチャレンジになると警戒している。

    ホンダ・レーシング(HRC)でトラックサイドオペレーションを統括する折原伸太郎は、現地で実際にコースを確認。

    横方向だけでなく垂直方向にも大きなGが加わるモニュメンタルでは、まず安全マージンを確保した設定から走行を開始し、実走データを確認しながら予選に向けて段階的に限界を引き上げる方針を明らかにした。

    モニュメンタルを現地確認「かなり厳しく興味深い」
    マドリードに新設されたマドリンクは全長5.416km、22のコーナーで構成される。そのなかでも最大の特徴となるのが、約550mにわたって続くバンクコーナーのモニュメンタル(La Monumental)だ。

    最大24%のバンクを持つこの区間では、通常のコーナリングによる横方向のGだけでなく、バンクによって垂直方向にも特殊な荷重が加わる。

    折原伸太郎はスペインGPを前に実際にマドリンクを歩き、モニュメンタルを確認した。

    「昨日、サーキットを下見して、このバンクコーナーも確認しました。かなり厳しく、興味深い区間です」

    そしてホンダのPUという観点から、特に注意しなければならないポイントとして潤滑システムを挙げた。

    「パワーユニットに関して最も興味深いポイントは、おそらく潤滑システムです」

    「このコーナーでは横方向だけでなく垂直方向にもGを受けます。そのため、潤滑システムにとっては本当のチャレンジになります」

    ホンダPUは安全マージンを確保して走行開始
    F1のパワーユニットは、激しい加減速やコーナリングによって大きなGを受ける環境でも、各部へ安定してオイルを供給し続けなければならない。

    特にマドリンクは今回がF1初開催であり、実際のF1マシンがモニュメンタルを走った際にどのような負荷が発生するのかについて、過去のグランプリから得られた実走データは存在しない。

    そのためホンダは、金曜日の走行開始時点から限界を狙うのではなく、潤滑システムに一定の安全マージンを持たせる。

    「そのため、最初は潤滑について慎重な設定から始めて、状況を評価することになると思います」

    重要になるのは、FP1とFP2で実際にPUに加わる負荷を確認することだ。

    シミュレーションによる事前準備は行われているものの、実際の路面状況やマシンの挙動を含めたデータを収集し、その結果を基に設定を最適化していく。

    「そこから予選に向けて、段階的にそのマージンを減らしていきます」

    つまりホンダは、安全側の設定からスタートし、実走によってモニュメンタルでの負荷を確認。そのデータに問題がないことを確かめながら、予選に向けてPUをより攻めた領域へ近づけていくことになる。

    ホンダ・レーシング

    モンツァではホンダとのドライバビリティ改善に手応え
    ホンダとアストンマーティンは、純粋な出力だけではなく、ドライバーがパワーを扱いやすくするためのドライバビリティについても改善を続けている。

    アストンマーティンのマイク・クラックは、前戦F1イタリアGPのモンツァで、この領域に明確な進歩があったと評価した。

    「モンツァで踏み出したステップには満足している。以前にも言ったが、ドライバビリティは非常に重要なテーマだ。エンジンだけではないし、シャシーだけでもない。本当に両方を組み合わせたものだ」

    クラックによれば、ドライバビリティにはPUの特性だけでなく、シフトダウンやブレーキング、タイヤの状態、コーナーへの進入速度など、さまざまな要素が絡み合う。

    「シフトダウン、ブレーキ、タイヤの状態、どのくらいの速度で進入するのかなど、多くの要素が関係している。ただ、モンツァで我々が一緒に踏み出したステップには本当に満足している」

    モンツァでアストンマーティンの絶対的な競争力が高かったわけではないこともクラックは認めている。それでも、壁が近く、ドライバーが自信を持って限界へ近づかなければならないマドリンクでは、扱いやすさの改善には大きな意味があるという。

    「モンツァでのパフォーマンスが素晴らしかったわけではない。それは明らかだ。ただ、このようなサーキットでは、それを手にしていることはいいことだ。自信につながるからだ」

    「壁がこれほど近いところでプッシュするには自信が必要だ。だから、これはいいステップだった」

    ドライバビリティ改善に終わりはない
    一方でクラックは、ホンダとのドライバビリティ改善が完成したわけではないことも強調する。

    折原伸太郎にも同意を求めながら、シーズンを通して継続してきた改善作業を今後も進めていく考えを示した。

    「伸太郎も私に同意すると思うが、ドライバビリティが十分に良くなるということは決してない。常に改善できる」

    「我々はシーズンを通してやってきたように、これからもそこに取り組んでいく。ただ、我々がこのステップを踏み出せたことには満足している」

    初開催のマドリンクでは、シミュレーションだけでは完全に把握できない要素が数多く残されている。なかでもモニュメンタル(La Monumental)は、最大24%のバンクと長い旋回時間によって、ホンダPUにこれまでとは異なる負荷を与える可能性がある。

    ホンダはまず安全マージンを確保してFP1をスタートし、実際に発生する横方向と垂直方向のG、それによる潤滑システムへの影響を確認する。そのデータを基に一歩ずつマージンを削り、予選で最大限のパフォーマンスを引き出すことを目指す。

    モンツァで手応えを得たドライバビリティの改善とともに、未知のモニュメンタルへの対応は、ホンダとアストンマーティンにとって初開催F1スペインGPの重要な技術テーマとなる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 初開催マドリンクは慎重策「Q3を語るのは傲慢」

    アストンマーティン・ホンダF1 初開催マドリンクは慎重策「Q3を語るのは傲慢」

    アストンマーティン・ホンダF1は、初開催となる2026年F1スペインGPの舞台マドリンクで、慎重なアプローチを取る。マイク・クラックは、過去の実走データが存在しない新サーキットでは、まず走行距離を確保して知識を積み上げることが最優先だと強調した。

    全チームがほぼ白紙の状態からスタートすることで勢力図が変化する可能性もあるが、クラックはアストンマーティンに過度な期待を抱くことを戒める。今季の予選で苦戦している現状を踏まえれば、いきなりQ3進出を期待するのは「傲慢」だと語った。

    「Q3を語るのは傲慢」 現状を冷静に見るクラック
    マドリードに新設されたマドリンクは、今週末にF1世界選手権の舞台としてデビューする。全チームにとって過去のグランプリデータが存在しないため、シミュレーションと事前準備の精度によって通常とは異なる勢力図が生まれる可能性もある。

    しかし、アストンマーティンのトラックサイドオペレーションを率いるマイク・クラックは、それを理由に大きな目標を掲げることを避けた。

    「我々は地に足をつけていなければならない」

    「我々の現在地は現在地だ。新しいサーキットに来て、それを把握しなければならない。どうなるかを見ていく必要がある。我々は準備をしてきたが、Q1を突破したのは一度だけだということを忘れてはいけない。今年Q2に進んだのは一度だけだ。だからQ3について話すのは、少し傲慢ですらあると思う」

    未知のサーキットだからこそチャンスが生まれる可能性はあるものの、まず現在のマシンの競争力を正しく認識する必要があるという考えだ。

    モンツァでドライバビリティ改善「いいステップ」
    一方、アストンマーティンには前戦イタリアGPから持ち込めるポジティブな要素もある。クラックは、ホンダとともに取り組んできたドライバビリティの改善について、モンツァで明確な前進があったと評価している。

    「モンツァで踏み出したステップには満足している。以前にも言ったが、ドライバビリティは非常に重要なテーマだ。エンジンだけの問題でもなければ、シャシーだけの問題でもない。本当に両方の組み合わせなんだ」

    ドライバビリティは単純にパワーユニットの出力特性だけで決まるものではない。

    「シフトダウン、ブレーキ、タイヤの状態、どのくらいの速度で進入するか、スーパークリップなど、さまざまな要素が関係してくる。だから多くのものが絡んでいる。ただ、モンツァで一緒に踏み出したステップには本当に満足している」

    ただし、これはアストンマーティンの純粋なパフォーマンスそのものが大幅に向上したという意味ではない。

    「もちろん、モンツァでのパフォーマンスが素晴らしかったわけではない。それは明らかだ。ただ、このようなサーキットでは、それを手にしていることはいいことだ。自信につながるからだ」

    「壁がこれほど近いところでプッシュするには、自信が必要になる。だから、これはいいステップだった」

    F3で19回の赤旗 波乱にも備える
    マドリンクでは、壁が近い高速区間など一部の特徴がジェッダと比較されている。事前に行われたF3の走行では、バリアへの接触などによって19回もの赤旗が出たとされ、F1でも波乱の週末になる可能性が注目されている。

    クラックは、混乱が発生した場合にはアストンマーティンがその機会を逃さないよう準備しておく必要があると認める。

    「通常の予選について話しているなら、もし混乱などが起きれば、それに備えていなければならないということだ」

    「我々は可能な限り準備しようとしている。ただ、自分たちの知識の基盤がすべてシミュレーションと、実際にサーキットを歩いて確認したことだけなら、保守的に始めて、一歩ずつ知識を積み上げていかなければならない」

    「それをライバルよりもうまくやろうとしなければならないが、ライバルも非常に強い」

    それでも、未知のコースだからといって大幅な勢力図の変化を期待しているわけではない。

    「最終的には、大きなサプライズが起きるとは思っていない。ただ、物事が混乱すれば、そこにいて、得られるものをつかまなければならない。日曜日についても同じだ」

    FP1とFP2は「タイヤを回し続ける」ことが最優先
    初開催のマドリンクで最も重要になるのが、金曜日のFP1とFP2で可能な限り多くの周回を重ねることだ。

    過去のF1開催データが存在しない以上、実際のグリップレベルや路面の進化、セットアップに対するマシンの反応を実走によって確認する必要がある。

    「我々全員にとって最も重要なこと、そしてライバルを含めてすべてのチームに当てはまることは、タイヤを回し続けることだ」

    「FP1とFP2ではタイヤを回し続けなければならない。そうすることでマシンを最適化し、グリップについていい感触を得て、サーキットについていい感触を得て、路面がどのように変化していくのかを理解できる」

    タイヤについても同様だ。日曜日の決勝に向け、どのコンパウンドが最適なのか、そのタイヤをどのように扱うべきなのかを金曜日から把握していく必要がある。

    「タイヤについても同じだということを忘れてはいけない。日曜日に向けてどのタイヤがベストなのか、どのタイヤをどのように管理する必要があるのかを見極めなければならない」

    「だから、走行を開始するときには、ある程度保守的である必要があると思う。それはセットアップだけではない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    攻めすぎて走行時間を失うことを避ける
    未知のサーキットでは、最初からマシンを限界まで攻めたセットアップにすることもリスクになる。

    「マシンについても同じだ。最初から地面すれすれの車高で走らせることはできない。どこかでコースアウトするかもしれないし、ドライバーがマシンを失って、セッションそのものを失う可能性があるからだ」

    そのためクラックは、各チームともFP1序盤では一定の安全マージンを確保すると予想する。

    「全員が少し保守的に始め、そこから一歩ずつ積み上げていくと思う」

    そして、初開催のマドリンクでアストンマーティンが徹底しなければならないのが、予期せぬ事態が起きても冷静さを失わないことだ。

    「私はいつも、タイヤを回し続けなければならないと言っている。黄旗が出ても、赤旗が出ても、戻ってきて冷静でいなければならない。『パニックにならない』というのがいい言葉だ」

    「少し時間を失ったとしても、冷静さを保つことが本当に重要だ。コース上で何かが起きる可能性もあるし、FIAが何かを変更しなければならないこともあるかもしれない。当然、我々にはまだ分からない」

    「現時点では未知の要素がたくさんある。だからこそ、最初は保守的に進めることが重要だと思う」

    初開催のF1スペインGPでアストンマーティンが狙うのは、金曜日からいきなり限界を追求することではない。まずマドリンクで確実に周回を重ね、路面、タイヤ、マシンへの理解を深める。そのうえで一歩ずつ限界を引き上げ、予選と決勝に備えることになる。

    波乱が起きれば、そのチャンスを逃さない。ただし、未知のサーキットだからこそ焦らない――クラックが掲げる「パニックにならない」という姿勢が、マドリンクでのアストンマーティンF1の週末を左右することになりそうだ。

  • ホンダF1 初開催マドリンクに期待「我々のパッケージにより適したサーキット」

    ホンダF1 初開催マドリンクに期待「我々のパッケージにより適したサーキット」

    ホンダF1は、2026年F1第14戦スペインGPの舞台となる初開催のマドリンクについて、「我々のパッケージにより適したサーキットになる」と期待を示した。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、オランダGPで投入したスペック2のパワーユニット(PU)で得た学びを生かし、マドリードではドライバビリティとエネルギーマネジメントをさらに最適化していくと説明した。

    初開催マドリンクは「様々な特性を併せ持つ」
    2026年シーズン第14戦となるF1スペインGPは、新設されたマドリンクを舞台に9月11日(金)に開幕する。初日はFP1とFP2、12日(土)にFP3と公式予選、13日(日)に決勝が行われる。

    マドリンクは、市街地セクションと常設セクションを組み合わせた新しいサーキットであり、全チームにとって未知の要素が多い週末となる。

    折原伸太郎は、初開催となるマドリンクについて次のようにコメントした。

    「F1初開催となるマドリンクは、市街地コースと常設コースを組み合わせた、様々な特性を併せ持つ新設サーキットです。我々にとってはこれまでと同様にドライバビリティが重要なポイントとなります」

    スペック2で得た学びをマドリードへ
    ホンダはオランダGPでスペック2のパワーユニットを投入。その後、特性の異なるザントフォールトとモンツァで2レースを戦い、新仕様についてデータを蓄積してきた。

    マドリンクでは、その経験を生かしながらPUのさらなる最適化を進める。特に重要になるのがドライバビリティとエネルギーマネジメントだという。

    「オランダGPでスペック2のパワーユニットを投入し、それぞれ特性の異なるサーキットで2レースを終えました。そこで得た学びを今週のマドリードでのレースに活かし、特にドライバビリティとエネルギーマネジメントの面で、さらなる最適化を進めていきます」

    ホンダF1 スペインGP

    「我々のパッケージにより適したサーキット」
    そして折原伸太郎は、マドリンクのコース特性について、ホンダの現在のパッケージとの相性に期待を寄せている。

    「総合的に見ると、マドリードは我々のパッケージにより適したサーキットになると考えています。週末を通して今ある中で最大限のパフォーマンスを引き出し、可能な限り良いポジションで戦えるよう取り組んでいきます」

    初開催のサーキットだけに、各チームが実走データを持たない状態からセットアップを構築することになる。ホンダF1にとっても、スペック2投入後に蓄積してきた知見を生かしながら、マドリンクでどこまでパフォーマンスを引き出せるかが注目される。

  • アストンマーティンF1 キャデラックに直線だけで1秒差 ホンダPUに約50馬力不足説

    アストンマーティンF1 キャデラックに直線だけで1秒差 ホンダPUに約50馬力不足説

    アストンマーティンF1は、2026年F1イタリアGPでホンダ製パワーユニット(PU)の深刻なパワー不足を露呈した。モンツァではストレートだけでキャデラックに1秒以上を失っていたとされ、その出力差は約50馬力に達するとの推測まで浮上している。

    ハンガリーGPとオランダGPで投入されたホンダPUのアップグレードによって一時は改善の兆しを見せていたものの、パワー感度の高いモンツァでは再び弱点が表面化。

    フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは予選で最後列に沈み、アストンマーティンにとって厳しい現実を突きつけられる週末となった。

    キャデラックにストレートだけで1秒以上の遅れ
    アストンマーティンは2026年シーズン序盤、完走することさえ難しい状況に苦しんだ。その後、ブダペストとザントフォールトでホンダPUのアップグレードを投入し、オランダGPではアロンソが9位に入り、チームの今季最高成績を記録した。

    しかし、高速のモンツァでは状況が一変した。

    イタリアGP予選でアロンソとストロールはともに最後列。ポールポジションを獲得したピエール・ガスリーからは約4秒もの差をつけられた。

    さらに深刻だったのがキャデラックとの比較だ。アロンソはキャデラック勢最速だったバルテリ・ボッタスから0.8秒遅れ、ストロールは約1秒遅れだった。

    スペイン人ジャーナリストのアントニオ・ロバトは、アストンマーティンがキャデラックに対し、ストレート区間だけで1秒以上を失っていたと指摘した。

    「アストンマーティンについて言えば、少しトンネルの先に光が見えた2レースのあとでモンツァに来た。カレンダー上で最もパワー感度が高いサーキットで、完全な悪夢になった」

    「アストンマーティンのストレートスピードはひどいものだった。予選ではフェルナンドがキャデラックに対してストレートだけで1秒以上、メルセデスに対しては3秒以上失っていた。信じられない状況だ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ホンダPUは「約50馬力不足」との推測
    さらにロバトは、パドックではホンダPUの出力不足について具体的な数字まで語られていると明かした。

    「ここではパワー差が50馬力ほどあるのではないかと推測している人たちもいる。50馬力だ。そして何より悪いのは、これには解決策がないということだ。今年については解決策がない」

    2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとなったホンダは、ADUO(追加開発・アップグレード機会)の仕組みを利用してPUの性能向上を進めている。

    しかしロバトは、アップグレードによって出力そのものは改善していても、根本的な問題は残されていると説明した。

    「これは僕だけが言っていることではない。渡辺も言っている。確かにADUOによって改善している。つまりパワーユニットは改善されているが、以前と同じアーキテクチャを維持しているため、問題そのものはまだ存在している」

    キャデラックはフェラーリ製PUを搭載しており、現状ではホンダPUより高いパフォーマンスを発揮している。それでも、F1参戦初年度のキャデラックに対してアストンマーティンがストレートでこれほど大きな差をつけられていることは深刻だ。

    エイドリアン・ニューウェイが率いる車体開発陣が改善を進めても、PUそのものの出力不足を空力だけで補うことには限界がある。

    アロンソとストロールはイタリアGPでホンダPUへの不満を表に出した。ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長はドライバーから公然と批判される状況を避けたい考えを示していたが、モンツァではパワー不足が改めて浮き彫りになった。

    ホンダはADUOによる追加開発の機会を得ており、今後どこまで差を縮められるかが焦点となる。アストンマーティンにとって、モンツァでキャデラックにストレートだけで1秒以上を失ったという事実は、2026年型パッケージが抱える課題の大きさを象徴する結果となった。

  • ランス・ストロール F1イタリアGP無線でエンジニアに激怒「目を覚ませ!」

    ランス・ストロール F1イタリアGP無線でエンジニアに激怒「目を覚ませ!」

    ランス・ストロールが、2026年F1イタリアGPの決勝中にアストンマーティンのレースエンジニアへ「目を覚ませ!」と怒りをぶつけていたことが、テレビでは放送されなかったチーム無線から明らかになった。

    ストロールはモンツァでエネルギーマネジメントとパワー不足に苦しみ、順位を落とした末、油圧系のトラブルによって27周目にマシンを止めた。アストンマーティンにとってはフェルナンド・アロンソもリタイアとなり、厳しいダブルDNFの週末となった。

    「いつも言うのが遅すぎる」ストロールが無線で激怒
    問題のやり取りは、レース序盤のリスタート後に起きた。

    モンツァではアストンマーティンの直線での弱さが顕著となっており、ストロールはパラボリカからの加速でセルジオ・ペレスのキャデラックに引き離される場面もあった。

    その後、メインストレートでアレクサンダー・アルボンのウィリアムズを抜いた際、ストロールはバッテリーに問題があることを無線で報告した。

    「バッテリー……」

    これに対し、レースエンジニアのゲイリー・ギャノンは設定変更を指示した。

    「モード9、モード9」

    しかし、アルボンが再び勢いを取り戻してターン1への進入でストロールを抜き返すと、ギャノンは再度指示を伝えた。

    「できるときにモード9。集団についていくためだ」

    ストロールは、そのタイミングの遅さに強い苛立ちを示した。

    「いつも僕に言うのが遅すぎる! まったく、目を覚ませよ!」

    順位を落とした背景にエネルギー不足
    ストロール自身もレース後、リスタート後に順位を失った原因のひとつがエネルギーマネジメントだったことを認めている。

    何が問題だったのかと聞かれると、ストロールは簡潔に答えた。

    「エネルギーの問題だ」

    2026年のF1ではパワーユニットの電動領域がこれまで以上に重要となっており、バッテリーから十分な電力を使えない状態ではストレートで大きな不利を背負う。

    特にモンツァは長い全開区間を持つ超高速サーキットであり、アストンマーティンが抱えているパワー面の弱点が表面化しやすいコースだった。

    予選でもアロンソが21番手、ストロールが22番手に沈み、チームは最後列から決勝をスタートしている。

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「もっとパワーが必要」ホンダPUの不足を改めて指摘
    ストロールはレース後、モンツァがアストンマーティンにとって難しい週末になることは予想していたかと問われ、ホンダ製パワーユニットを含めたパワー不足に言及した。

    「そうですね、間違いなく。ホンダのこともあるし、とにかくパワーが足りないんだ」

    さらに、今回のイタリアGPから何を学べるかとの質問には笑いながら答えた。

    「もっとパワーが必要だ! それは分かっている。僕たちは分かっているよ。今回もそれを証明しただけだ」

    アストンマーティンは前戦オランダGPで2026年シーズン2度目となるポイント獲得を果たしていたが、モンツァでは再び直線速度不足という根本的な課題に直面した。

    27周目には油圧トラブルでストップ
    ストロールのレースは、最終的に別の機械的トラブルによって終わった。

    27周目、ギャノンはストロールにマシンを安全な場所へ止めるよう指示した。

    「マシンを止めろ、ランス。止めるんだ。油圧系の問題がある。シフト操作はしないでくれ。ペダルは長くなり、ステアリングも重くなる。安全な場所に止めてくれ」

    ストロールは指示に従ってマシンを停止。アストンマーティンはアロンソもマシンダメージによってレースを終えており、2台そろって完走できなかった。

    F1スペインGPでは改善を期待
    一方、ストロールは次戦F1スペインGPの舞台となるマドリンクについては、アストンマーティンにより適したレイアウトになる可能性があるとみている。

    「紙の上では、僕たちにはもっと良さそうだ。コーナーが多いからね」

    「すごく単純なんだ。コーナーが多くてストレートが少ない場所は僕たちに向いている。長いストレートが多くてコーナーが少ない場所は、あまり良くない」

    モンツァで露呈したエネルギー不足と直線でのパワー不足は、ストロールがエンジニアに怒りを爆発させた無線の背景にもなっていた。アストンマーティンにとって、よりコーナーの多いマドリンクでどこまで弱点を隠し、競争力を取り戻せるかが次の焦点となる。

  • フェルナンド・アロンソ F1スペインGPでの引退発表を否定「ない」

    フェルナンド・アロンソ F1スペインGPでの引退発表を否定「ない」

    フェルナンド・アロンソは、今週末にマドリードで開催される2026年F1スペインGPを前に、自身の去就について発表する予定はないと明言した。

    45歳の2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソは、2027年も現役を続行して史上最多となる24シーズン目を迎えるのか、それとも2026年限りでF1キャリアに終止符を打つのか、その決断に注目が集まっている。

    アロンソにとって2026年シーズンは厳しい戦いとなっている。第13戦イタリアGP終了時点で獲得ポイントはわずか3点。13戦を終えた段階でこれほど獲得ポイントが少ないのは、ミナルディからF1デビューし、ノーポイントに終わった2001年以来となる。

    イタリアGPでは、レズモ2での接触によってマシンにダメージを負い、最終的にリタイアを余儀なくされた。

    母国F1スペインGPでの去就発表は「ない」
    F1ドライバーが引退などの大きな決断を母国GPで発表するケースは珍しくない。そのため、マドリードの新設サーキット「マドリンク」で開催されるF1スペインGPを前に、アロンソが自身の将来について何らかの発表を行う可能性も取り沙汰されていた。

    今回がアロンソにとって23回目のF1スペインGPとなる。

    イタリアGP後、今週中に何らかの発表を予定しているのかとメディアから尋ねられたアロンソの答えは明快だった。

    「ないよ」

    一方、アロンソは次戦F1スペインGPについて、アストンマーティンにとって今季残りのレースの中でもチャンスがある週末になる可能性があるとみている。

    「楽しみにしている。残りのレースを考えれば、僕たちが苦戦する週末もあれば、もっと良くなる週末もあることは分かっている」

    「もしかすると、次のレースはそのチャンスのひとつかもしれない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    モンツァではホンダF1のパワー不足に苦戦
    アロンソがF1スペインGPに期待を寄せる背景には、マドリンクがモンツァほどパワーユニット性能に左右されるサーキットではないとみられていることがある。

    前戦イタリアGPでは、アストンマーティン・ホンダにとって厳しい週末となった。予選では純粋なペースでアロンソとランス・ストロールが下位に沈み、ホンダ製パワーユニットのストレートでのパフォーマンス不足が浮き彫りになった。

    アロンソは最終的にピットレーンから決勝をスタート。予選後には、モンツァの代名詞である「スピードの殿堂」という呼び名を引き合いに出し、最高速不足を皮肉っていた。

    「コースに入ると『スピードの殿堂』と書いてある。でも、もう『スピードの殿堂』じゃないよね」

    「バルセロナでは350km/hか360km/hに達して、ブダペストでも355km/hくらいだったと思う。でもモンツァでは312km/hくらいだ」

    「だから、もう『スピードの殿堂』ではないよ」

    2027年に現役を続行すれば、アロンソは自身のF1キャリアを史上最多となる24シーズン目へと伸ばすことになる。一方で、45歳という年齢もあり、今季限りでの引退の可能性も引き続き注目されている。

    ただし、少なくとも母国ファンが集まる今週末のF1スペインGPで、その答えが発表されることはない。アロンソはまず、マドリンクでアストンマーティン・ホンダの巻き返しを狙う。

  • ホンダF1 2027年PUで「大きな一歩」 大幅進化へロードマップ

    ホンダF1 2027年PUで「大きな一歩」 大幅進化へロードマップ

    ホンダ・レーシング(HRC)は、2027年F1シーズンに向けてパワーユニット(PU)を大幅に進化させる方針を示した。F1イタリアGPではアストンマーティンの最高速不足が改めて浮き彫りとなったが、HRCの折原伸太郎は開幕戦に向けて「もう一度、大きな一歩を踏み出す」と語った。

    一方、今季中にエンジンの大規模アップデートを投入する予定はないという。

    モンツァではこれまで課題となっていたドライバビリティ改善策に一定の成果が確認されており、次戦F1スペインGPでは、その進歩がより生きることが期待されている。

    ホンダは2027年に向けて「ロードマップ」を策定
    高速区間が大部分を占めるモンツァでは、ホンダ製PUのパワー不足がフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのラップタイムに大きく影響した。

    F1イタリアGP決勝後、Mundo Deportivoは折原伸太郎に対し、このパワー差を解消するために2027年には現在のPUを捨て、完全に新しいエンジンを造る必要があるのかと質問した。

    折原伸太郎は、具体的な設計変更には踏み込まなかったものの、すでに明確な開発計画が存在すると説明した。

    「エンジンを開発するためのロードマップがあり、現在自分たちがどこにいるのかも分かっています。そのロードマップに基づいて、開幕戦に向けてもう一度、大きな一歩を踏み出します」

    ただし、2027年開幕時点ですべての差を解消できるかについては慎重な姿勢を示した。

    「開幕戦までにすべての差を取り戻せるかどうかを言うのは難しいですが、開幕戦に向けてそのギャップを縮めるために引き続き取り組んでいます。ただ、以前にも申し上げたように、今年はエンジンの大きなアップデートはありません」

    モンツァでドライバビリティ改善策を確認
    一方、モンツァではポジティブな材料もあった。HRCが事前にベンチテストで確認していたドライバビリティ改善策を実車に投入し、ドライバーからも好意的なフィードバックが得られたという。

    「このイベントの前にも申し上げたように、僕たちにとって重要だったのは、対策が実際のコースでどのように機能するかを確認することでした。ベンチでテストしてポジティブな挙動を確認していました」

    「その対策をサーキットに持ち込みました。ドライバーからもポジティブなフィードバックを受けましたし、データからもポジティブな部分を確認できました」

    折原伸太郎は、この進歩が次戦F1スペインGPの舞台となるマドリンクで重要になると考えている。

    「マドリードに向かう前としてはポジティブな一歩です。あそこではドライバビリティがかなり重要になります。ですから、いい方向性を見つけられたと思います。それは僕たちにとってポジティブな部分です」

    ホンダ・レーシング

    アストンマーティンも改善を評価
    アストンマーティンのマイク・クラックも、モンツァでは結果に表れにくかったものの、マシンの扱いやすさが改善したことを評価した。

    「そう思う。折原もドライバビリティについて話したが、これはシーズン開幕当初からずっと懸念事項だったと思う。我々は進歩したと思っている」

    「外から見ている皆さんには分かりにくいだろうし、このサーキットの特性によって少し隠れてしまったかもしれない。しかし、彼が言ったように、マドリードに向けてこの部分で小さな一歩を踏み出せたことを非常にうれしく思っている。マシンの予測可能性が高まり、ドライバーがもう少し限界に近づけるようになる」

    「マシンに一貫性があれば、ドライバーは限界に近づける。マシンに一貫性がなければ、ドライバーはマージンを残さなければならない。だから、その観点ではポジティブな一歩だった」

    「ここでの全体像はあまりポジティブではない。しかし、この週末から持ち帰ることのできるポジティブな部分はいくつかあると思う」

    F1スペインGPではモンツァより好転を予想
    次戦F1スペインGPについて、クラックはシミュレーション上ではモンツァよりアストンマーティンに適したコースになるとの見通しを示した。

    「マドリードではもっと良くなるか? そうだ。シミュレーションの観点では、ここよりも良い状況になるはずだと思っている」

    「フェルナンドも以前話していたと思うが、残りのカレンダーには我々により適したサーキットもあれば、そうではないサーキットもある。ここが難しくなることは分かっていた。来週はもっと良い状況になることを期待している」

    「ただ、最終的にどこに位置するのかを言うのはいつも難しい。我々もこのサーキットを知らないからだ。持っているのはシミュレーターのデータだけだ」

    マドリンクではタイヤデグラデーションも重要な要素になると予想される。アストンマーティンはザントフォールトでタイヤをうまく管理し、アロンソが18番手から9位まで順位を上げている。

    「チャレンジになると思う。皆さんが笑っているのが見える。我々も楽しみにしている」

    「先ほど言ったように、興味深いものになるだろう。最終的に違いを生むのは必ずしもタイヤデグラデーションだけではない。しかし、我々のデグラデーションが良ければ、それを生かす。ライバルと比較して非常に高いデグラデーションを抱えてスタートするより、ずっといい」

    バクーとラスベガスでは再び苦戦を覚悟
    一方、アロンソは残りのF1カレンダーのなかで、バクーとラスベガスではモンツァと同様、パワー不足が大きな弱点になる可能性を指摘している。

    クラックも、この2戦が難しいものになることを認めた。

    「そうだ。皆さんは適切な候補を選んだ。この2つは簡単ではない。それは分かっている。しかし、だからといって諦めるわけではない」

    「できる限りのことをする。バクーは紙の上では我々にそれほど適していなくても、いつも多くのインシデントが起きる。だから、いつ何が起きてもおかしくない。そしてラスベガスは昨年、とても寒く、雨も降った。我々が諦めることはない」

    アロンソは、エイドリアン・ニューウェイによって進化したアストンマーティンのシャシーにはシンガポールが比較的適している可能性があるとの見方についても慎重な姿勢を示した。

    「特定のサーキットを挙げたくはない。それにシンガポールはもちろんスプリントだから、さらに難しくなる。すべてを正しく機能させるための時間がないからね」

    「通常、このようなサーキットでは走るにつれて路面にラバーが乗り、ドライバーも慣れていく。どんどんウォールに近づいていかなければならないし、最初から近づきすぎてしまうこともある。理論上は僕たちにより適したサーキットに見えたとしても、簡単な週末になるという意味ではない」

    「だから、常に集中して、あらゆる面でプロフェッショナルに準備し、それからすべてを100%実行して、何を達成できるかを見る必要があると思う。ザントフォールトではポイントを獲れるとは思っていなかった。まずまずの状況にはなれると思っていたけど、レースではいつだって何かが起こり得る」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソの予選ではERSに異常信号
    折原伸太郎は、F1イタリアGP予選でアロンソのPUに発生したトラブルについても説明した。データ上でERS回路に異常を示す信号が確認されたため、予防措置として一部コンポーネントを取り外したという。

    「予選ではデータに異常な信号を確認しました。ERSの回路で通常とは異なる何かが起きていることを示しているように見えました」

    「そこでデータを確認し、コンポーネントも慎重に点検しました。予防措置としていくつかのユニットを取り外し、一部のパーツを検査のためにさくらへ送り返しました」

    「現時点では何が起きたのかは分かっており、根本原因を調査しています。HRCに残っているコンポーネントは良好な状態で、引き続き検査を進めます」

    決勝でアストンマーティン2台がリタイア
    決勝ではアロンソとストロールの両方がリタイアした。クラックによれば、アロンソはコースを外れた際にフロアを損傷。ストロールには油圧系のトラブルが発生した。

    「フェルナンドの場合はレーシングラインを外れ、縁石と石によってフロアにいくらかダメージを負った」

    「ランスの場合は油圧を失った。油圧フルードが失われ、回復させることもできなかったため、コース上でマシンを止めなければならなかった」

    記者から「それはホンダではなく、アストンマーティン側の問題ですね」と確認されると、クラックは両者を明確に切り分けることを拒んだ。

    「アストンマーティン側、ホンダ側というものは存在しない。油圧系の故障が起きたのであり、我々はその原因を突き止めなければならない」

    モンツァでは依然としてPUの絶対的なパフォーマンス不足という厳しい現実が示された一方、ホンダはドライバビリティ改善という一歩を確認した。2026年中の大規模なPUアップデートは予定されていないが、HRCはすでに2027年開幕を見据えたロードマップを進めており、そこで「大きな一歩」を実現できるかがアストンマーティンの競争力を左右することになりそうだ。

  • HRC US新社長にケルビン・フー就任 デビッド・ソルターズは退任

    HRC US新社長にケルビン・フー就任 デビッド・ソルターズは退任

    ホンダ・レーシング・コーポレーションUSA(HRC US)は、ケルビン・フーが新社長に就任すると発表した。現社長のデビッド・ソルターズはモータースポーツ業界を離れ、テクノロジー系スタートアップ企業に移る。新体制は2026年9月12日付で発足する。

    フーはこれまでHRC USの副社長を務め、インディカーやIMSAをはじめとする幅広いプログラムに携わってきた。ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)時代から組織を支え、ソルターズと約6年間にわたって緊密に仕事をしてきた人物である。

    デビッド・ソルターズがHRC USを退任
    ソルターズは2020年、当時のHPDの社長に就任。2015年にチーフエンジニア兼エンジン技術責任者としてHPDに加入し、2019年にはテクニカルディレクターへ昇進した。

    ホンダ加入以前には、フェラーリのF1プログラムで内燃エンジンのパワーユニット開発責任者、メルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジンズ(旧イルモア)でF1エンジン開発責任者を務めたほか、コスワース・レーシングではCARTインディカー向けエンジンの開発・設計エンジニアを務めた経歴を持つ。

    HRC USのトップとして、ソルターズはインディカー・シリーズで3度のマニュファクチャラーズタイトルと5度のドライバーズタイトル獲得を指揮。2022年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権では、チーム、ドライバー、マニュファクチャラーの各タイトルを制した。

    また、競技プログラムの電動化と近代化も推進。2023年のIMSAにアキュラARX-06 LMDhを投入し、2024年にはハイブリッドシステムを搭載したインディカーの導入に携わった。

    さらに、アパレルやパフォーマンスパーツ、ビンテージのホンダ/アキュラ・レーシングカーとコレクターを結びつけるヘリテージ・レーシング・プログラムなどを扱う新たな事業部門の立ち上げも主導した。

    ソルターズは退任にあたり、次のように語った。

    「ホンダ・レーシング・コーポレーションUSAの素晴らしいスタッフ、我々のレーシングチーム、そして才能あるドライバーたちに心から感謝したい。米国におけるホンダのレーシングヒストリーに、みんなと一緒に新たな歴史を加えられたことを光栄に思っている」

    「ホンダ・レーシングは11年前、私と家族にカリフォルニアへ移る機会を与えてくれた。私たちは米国市民になるという栄誉にも恵まれ、ホンダファミリーの一員として本当に素晴らしい人生経験をすることができた」

    「HRC USはこれまで以上に強い組織になっている。素晴らしいチームがあり、インディカーには非常にエキサイティングな未来があり、さらに多くのクールな新プロジェクトも控えている。今こそケルビンにバトンを渡す最高のタイミングだ。私たちはこの6年間、緊密に仕事をしてきた。ケルビンはHRC USのチームを支え、未来へ導いていく理想的な人物だ」

    ケルビン・フーが9月12日付で新社長に就任
    新社長となるフーは、副社長としてHRC USの活動を支え、ホンダがこれまで記録したインディアナポリス500での17勝のうち4勝に携わった。

    フーは2015年にHPDへ加入。当初はシャシー設計、エアロダイナミクス、パフォーマンスエンジニアリング部門を統括した。2020年にプログラムディレクターとなり、2021年には副社長へ昇進した。

    ホンダでモータースポーツの世界に入る以前は、防衛・航空宇宙産業でキャリアを築いた。ミシガン大学で機械工学の学士号と修士号を取得し、その後カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得してポスドク研究員を務めた。さらにウィスコンシン大学マディソン校でもポスドクを経験した。

    その後、HRテキストロンに研究開発エンジニアとして入社してプロダクトマネージャーまで昇進し、ITTエアロスペースではエンジニアリングディレクターを務めた。

    フーは新社長就任について次のようにコメントした。

    「HRC USに加入したとき、いつかこの素晴らしい組織を率いる機会を与えられるとは想像もしていなかった。本当に身の引き締まる思いだ」

    「HPDとHRC USでのキャリアを通じて、NSX GT3、アキュラDPiレーシングカー、LMDhのエンジンと車両の開発から、レーシングチームとの長期的なパートナーシップ構築まで、幅広いプログラムに携わる幸運に恵まれた」

    「デビッド・ソルターズには、リーダーシップ、友情、そして指導に心から感謝したい。デイブは常に我々全員に、もっと大きく考え、もっと速く動き、そして自分たちが根っからの競争者であることを決して忘れないよう求めてきた」

    「彼は真のレーサーだ。そのビジョンと献身によって、HRC USは今日の世界トップクラスの組織へと形作られた。その影響は今後何年にもわたって残り続けるだろう」

    インディカー継続と新事業を軸にHRC USの次章へ
    HRC USは今後も北米モータースポーツを重要な活動領域と位置づける。特にインディカーについては参戦継続を改めて決定しており、フーはシリーズの成長に期待を示した。

    「これからのHRC USの未来をとても楽しみにしている。我々は最近、インディカーへのコミットメントを更新した。シリーズは成長を続け、北米モータースポーツにおける地位をさらに強固なものにしている」

    「新たなビジネス事業によって、ホンダのレーシングファンにこれまで以上のサービスを提供できる体制も整っている。我々はこれからもイノベーションと競争に取り組み、モータースポーツの未来を形作る人材と技術の育成に力を注いでいく」

    「ホンダのレーシングスピリットは、常に既成概念に挑み、限界を押し広げることにある。HRC USを率い、みんなと一緒にその物語の次の章を書いていくことを楽しみにしている」

    ソルターズの退任によってHRC USはひとつの節目を迎えるが、その後任にはHPD時代から技術開発と事業運営の双方を熟知するフーが就く。インディカー、IMSA、新規ビジネスを含むHRC USの次の時代を、新たなリーダーとして率いることになる。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1に注文「シャシーは非常にいい。次はエンジン」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1に注文「シャシーは非常にいい。次はエンジン」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1第13戦イタリアGPを終え、アストンマーティンのシャシーについて「非常にいい」と評価する一方、ホンダ製パワーユニットにはさらなる改善が必要だと注文をつけた。

    ハンガリーGP以降、AMR26Bのシャシーと空力面では明確な改善が見られている。しかし、エンジンパワーが重要になるモンツァでは再び苦戦。

    アロンソはストレートでの大きなロスを指摘し、2027年に向けて「今度はエンジンでも同じことをしなければならない」と語った。

    AMR26Bで改善したアストンマーティン
    シーズン序盤のアストンマーティンは、シャシーと空力、ホンダ製パワーユニットの双方に問題を抱えていた。パワーユニットは出力だけでなく、信頼性やドライバビリティにも課題があり、車体側も十分な競争力を発揮できていなかった。

    状況が変化したのはハンガリーGPだった。アストンマーティンは大幅に改良されたAMR26Bを投入し、シャシーと空力性能を向上。さらにオランダGPではホンダが改良型パワーユニットを投入した。

    ザントフォールトでは、アロンソが18番グリッドから9位まで挽回。戦略が機能しただけでなく、レースペースでも中団勢の中で高い競争力を示し、車体側の進歩が結果として表れた。

    しかし、ストレート区間が長く、パワーユニット性能の影響が極めて大きいモンツァでは状況が一変した。

    モンツァで露呈したホンダF1の出力不足
    アストンマーティンはイタリアGPで後方に沈み、アロンソとランス・ストロールは主にキャデラック勢との争いを強いられた。

    アロンソは、その原因について明確にパワー不足を挙げている。

    「ストレートで大きく不足していて、そこで全部失っている。データは誰でも見られる。僕たちは何も見えていないわけではないし、全員が同じデータを見ている」

    「パワーが必要だ。でも、僕たちはお互いに支え合っているし、来年に向けて明確な目標がある」

    今後も同じ弱点が表面化するサーキットがあるとアロンソは予想している。

    「ラスベガスも似たような状況になるだろうし、おそらくバクーもそうだ。こういう長いストレートでは僕たちの弱点が露呈する」

    「シンガポールやオースティンのように、もっと楽しめる週末もあるだろう。他のグランプリから学んで、来年はストレートでもっと強くなって戻ってきたい」

    ドライバビリティは改善も「モンツァではパワーが必要」
    ホンダがオランダGPに投入した改良型パワーユニットでは、性能と信頼性について一定の目標を達成した一方、ドライバビリティには改善の余地が残されていた。

    アロンソはイタリアGPで、その部分について進歩があったことを認めている。

    「改善した。でも、それがもっとニュースになるのはマドリードやシンガポールのような、多くの場所で全開にならないコースだろう。モンツァでは何よりもパワーが必要だ」

    低速域や部分負荷での扱いやすさについては改善が進んでいるものの、モンツァでは絶対的な出力性能が重要だったため、その進歩だけでは不足を補えなかった。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ホンダF1は2027年開幕へ「もう一段大きなステップ」
    ホンダ・レーシングF1のチーフエンジニアを務める折原伸太郎は、現在のパワーユニットについて開発ロードマップがすでに定められていると説明する。

    ただし、2026年シーズン中に大規模なアップデートを投入する予定はない。焦点は2027年仕様のパワーユニットに移っている。

    「エンジンを開発するためのロードマップがあります。そのロードマップに基づき、2027年の開幕戦に向けて、もう一段大きなステップを踏む予定です」

    「開幕戦までにすべての差を取り戻せるかどうかを言うのは難しいですが、それまでにギャップを縮めるための作業を続けています。ただ、以前にも申し上げたように、今年は大きなアップデートを予定していません」

    ホンダにとって、残る2026年シーズンは現在のパワーユニットから可能な限り多くのデータを収集しながら、2027年に向けた改善を進める期間となる。

    アロンソ「シャシーでは進むべき方向を見つけた」
    アストンマーティンにとって今季残りのレースでは、パワー依存度の低いサーキットでポイント獲得を狙いつつ、苦手なコースでも2027年につながるデータを蓄積することが重要になる。

    アロンソも目先の結果だけを追うつもりはない。

    「もう1ポイント獲得できるチャンスがあれば、それは素晴らしいことだ。そうでなくても問題ない。2027年をもっといいシーズンにするという僕たちの考え方や決意は変わらない」

    「チームとして、僕たちが本来いるべきだと考えている位置にはまだいない。すべてが登らなければならない山だ。改善しなければならないことがたくさんあるのは分かっている」

    一方で、シャシーについては今後の開発に対する手応えを得ている。

    「シャシーについては、来年に向けて改善するために取り組むべき方向性を見つけられたと思う。シャシーは非常にいい。それはハンガリーとザントフォールトで確認できた。今度はエンジンでも同じことをしなければならない」

    AMR26Bによって車体側の改善が明確になったことで、アストンマーティンとホンダが次に克服すべき課題も鮮明になった。モンツァで露呈したストレートでのパワー不足をどこまで解消できるか。2027年に向けて、ホンダのパワーユニット開発が大きな焦点となる。