アストンマーティン・ホンダF1 初開催マドリンクは慎重策「Q3を語るのは傲慢」

アストンマーティン・ホンダF1 初開催マドリンクは慎重策「Q3を語るのは傲慢」

アストンマーティン・ホンダF1は、初開催となる2026年F1スペインGPの舞台マドリンクで、慎重なアプローチを取る。マイク・クラックは、過去の実走データが存在しない新サーキットでは、まず走行距離を確保して知識を積み上げることが最優先だと強調した。

全チームがほぼ白紙の状態からスタートすることで勢力図が変化する可能性もあるが、クラックはアストンマーティンに過度な期待を抱くことを戒める。今季の予選で苦戦している現状を踏まえれば、いきなりQ3進出を期待するのは「傲慢」だと語った。

「Q3を語るのは傲慢」 現状を冷静に見るクラック
マドリードに新設されたマドリンクは、今週末にF1世界選手権の舞台としてデビューする。全チームにとって過去のグランプリデータが存在しないため、シミュレーションと事前準備の精度によって通常とは異なる勢力図が生まれる可能性もある。

しかし、アストンマーティンのトラックサイドオペレーションを率いるマイク・クラックは、それを理由に大きな目標を掲げることを避けた。

「我々は地に足をつけていなければならない」

「我々の現在地は現在地だ。新しいサーキットに来て、それを把握しなければならない。どうなるかを見ていく必要がある。我々は準備をしてきたが、Q1を突破したのは一度だけだということを忘れてはいけない。今年Q2に進んだのは一度だけだ。だからQ3について話すのは、少し傲慢ですらあると思う」

未知のサーキットだからこそチャンスが生まれる可能性はあるものの、まず現在のマシンの競争力を正しく認識する必要があるという考えだ。

モンツァでドライバビリティ改善「いいステップ」
一方、アストンマーティンには前戦イタリアGPから持ち込めるポジティブな要素もある。クラックは、ホンダとともに取り組んできたドライバビリティの改善について、モンツァで明確な前進があったと評価している。

「モンツァで踏み出したステップには満足している。以前にも言ったが、ドライバビリティは非常に重要なテーマだ。エンジンだけの問題でもなければ、シャシーだけの問題でもない。本当に両方の組み合わせなんだ」

ドライバビリティは単純にパワーユニットの出力特性だけで決まるものではない。

「シフトダウン、ブレーキ、タイヤの状態、どのくらいの速度で進入するか、スーパークリップなど、さまざまな要素が関係してくる。だから多くのものが絡んでいる。ただ、モンツァで一緒に踏み出したステップには本当に満足している」

ただし、これはアストンマーティンの純粋なパフォーマンスそのものが大幅に向上したという意味ではない。

「もちろん、モンツァでのパフォーマンスが素晴らしかったわけではない。それは明らかだ。ただ、このようなサーキットでは、それを手にしていることはいいことだ。自信につながるからだ」

「壁がこれほど近いところでプッシュするには、自信が必要になる。だから、これはいいステップだった」

F3で19回の赤旗 波乱にも備える
マドリンクでは、壁が近い高速区間など一部の特徴がジェッダと比較されている。事前に行われたF3の走行では、バリアへの接触などによって19回もの赤旗が出たとされ、F1でも波乱の週末になる可能性が注目されている。

クラックは、混乱が発生した場合にはアストンマーティンがその機会を逃さないよう準備しておく必要があると認める。

「通常の予選について話しているなら、もし混乱などが起きれば、それに備えていなければならないということだ」

「我々は可能な限り準備しようとしている。ただ、自分たちの知識の基盤がすべてシミュレーションと、実際にサーキットを歩いて確認したことだけなら、保守的に始めて、一歩ずつ知識を積み上げていかなければならない」

「それをライバルよりもうまくやろうとしなければならないが、ライバルも非常に強い」

それでも、未知のコースだからといって大幅な勢力図の変化を期待しているわけではない。

「最終的には、大きなサプライズが起きるとは思っていない。ただ、物事が混乱すれば、そこにいて、得られるものをつかまなければならない。日曜日についても同じだ」

FP1とFP2は「タイヤを回し続ける」ことが最優先
初開催のマドリンクで最も重要になるのが、金曜日のFP1とFP2で可能な限り多くの周回を重ねることだ。

過去のF1開催データが存在しない以上、実際のグリップレベルや路面の進化、セットアップに対するマシンの反応を実走によって確認する必要がある。

「我々全員にとって最も重要なこと、そしてライバルを含めてすべてのチームに当てはまることは、タイヤを回し続けることだ」

「FP1とFP2ではタイヤを回し続けなければならない。そうすることでマシンを最適化し、グリップについていい感触を得て、サーキットについていい感触を得て、路面がどのように変化していくのかを理解できる」

タイヤについても同様だ。日曜日の決勝に向け、どのコンパウンドが最適なのか、そのタイヤをどのように扱うべきなのかを金曜日から把握していく必要がある。

「タイヤについても同じだということを忘れてはいけない。日曜日に向けてどのタイヤがベストなのか、どのタイヤをどのように管理する必要があるのかを見極めなければならない」

「だから、走行を開始するときには、ある程度保守的である必要があると思う。それはセットアップだけではない」

アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

攻めすぎて走行時間を失うことを避ける
未知のサーキットでは、最初からマシンを限界まで攻めたセットアップにすることもリスクになる。

「マシンについても同じだ。最初から地面すれすれの車高で走らせることはできない。どこかでコースアウトするかもしれないし、ドライバーがマシンを失って、セッションそのものを失う可能性があるからだ」

そのためクラックは、各チームともFP1序盤では一定の安全マージンを確保すると予想する。

「全員が少し保守的に始め、そこから一歩ずつ積み上げていくと思う」

そして、初開催のマドリンクでアストンマーティンが徹底しなければならないのが、予期せぬ事態が起きても冷静さを失わないことだ。

「私はいつも、タイヤを回し続けなければならないと言っている。黄旗が出ても、赤旗が出ても、戻ってきて冷静でいなければならない。『パニックにならない』というのがいい言葉だ」

「少し時間を失ったとしても、冷静さを保つことが本当に重要だ。コース上で何かが起きる可能性もあるし、FIAが何かを変更しなければならないこともあるかもしれない。当然、我々にはまだ分からない」

「現時点では未知の要素がたくさんある。だからこそ、最初は保守的に進めることが重要だと思う」

初開催のF1スペインGPでアストンマーティンが狙うのは、金曜日からいきなり限界を追求することではない。まずマドリンクで確実に周回を重ね、路面、タイヤ、マシンへの理解を深める。そのうえで一歩ずつ限界を引き上げ、予選と決勝に備えることになる。

波乱が起きれば、そのチャンスを逃さない。ただし、未知のサーキットだからこそ焦らない――クラックが掲げる「パニックにならない」という姿勢が、マドリンクでのアストンマーティンF1の週末を左右することになりそうだ。