FIAが次世代F1マシンで「80kg軽量化」目標 2031年レギュレーションで大幅刷新へ

FIAが次世代F1マシンで「80kg軽量化」目標 2031年レギュレーションで大幅刷新へ

2026年に導入されたF1の新テクニカルレギュレーションでは、マシンの小型・軽量化を掲げた「ニンブルカー・コンセプト」が大きな柱となった。最低重量は前年から32kg減の768kgとなり、ホイールベースも20cm短縮、全幅も10cm狭められている。

一方、FIAはこれを最終到達点とは考えていない。FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2031年を軸に検討されている次世代レギュレーションで、現在よりさらに約80kg軽いF1マシンを実現することを目標に掲げた。

2026年F1は「ニンブルカー」への第一歩
2026年F1では、パワーユニットとエネルギーマネジメントをめぐる議論がシーズン序盤から大きな注目を集めてきた。そのためシャシー規則の変化は比較的目立たなかったが、FIAは新世代マシンについて一定の成果が得られていると評価している。

最低重量は2025年の800kgから768kgへ32kg軽量化。ホイールベースは20cm短くなり、車幅も10cm縮小された。さらにダウンフォースも大幅に削減され、ドライバーがステアリング操作でマシンと格闘する場面が増えている。

トンバジスは、Autosportを含む一部メディアに対し、2026年規則が前進だったかと問われ、次のように語った。

「おそらくそうだと思う。ただし、仕事が終わったと考えるべきではない。マシン同士は以前より接近して走れるようになったと思う」

FIAの分析では、先行車が生み出す乱気流、いわゆるダーティエアによる影響は、前世代規則が導入された2022年シーズン序盤と同程度まで抑えられているという。

2022年規則の失敗から学んだFIA
2022年に導入されたグラウンドエフェクト規則も、当初はマシン同士が接近して走りやすくすることを目的としていた。しかし開発競争が進むにつれ、各チームが生み出した空力ソリューションによって後方への乱気流が悪化し、その効果は徐々に失われていった。

FIAはその経験を2026年規則に反映したとトンバジスは説明する。

「2022年選手権の開幕時と似たレベルにあると思うが、今年の方が少し堅牢だと思っている」

「各チームがさまざまな空力ソリューションを導入しているが、今のところコンセプトそのものを壊すようなものは見つかっていない。以前の規則では、コンセプトを大きく損なうものがいくつか存在していた」

具体的には、前世代マシンのフロントウイング・エンドプレート、フロアエッジ、フロントタイヤ周辺に配置された空力パーツが問題だったという。

「そうしたものによってウェイクの特性が大幅に悪化した。我々はそこから学んだ。今回は同じような問題が存在しないことを願っている」

「祖母でも運転できるマシン」にはしたくない
トンバジスが2026年規則のもうひとつの成果として挙げるのが、マシンを操る難しさだ。

ダウンフォースが減少したことで、ドライバーは以前よりマシンを積極的にコントロールする必要がある。FIAは、それを世界最高峰のカテゴリーにふさわしい特徴だと捉えている。

「ドライバーにとって依然としてかなり難しいマシンだ。それは良いことだと思う。誰でも運転できるようなマシンではない」

「空力規則の一部は、コーナーを通じてマシンのあらゆる部分をチームが完璧に対処できない方向にしている。そのため、ドライバーにはいくつかの課題が残されている」

そしてトンバジスは、F1マシンに求める難易度についてユーモアを交えて表現した。

「世界最高の22人のドライバーがいるのだから、僕の祖母でも簡単に運転できるようなマシンであるべきではないと思う」

一方で、ドライバーの身体にかかる負担については改善されている。

前世代のグラウンドエフェクトカーは、大きなダウンフォースを得るために極端に低い車高と硬いサスペンション設定を必要とした。2026年マシンではライドハイトがやや高くなり、その問題が緩和されている。

「ライドハイトも少し上げているので、昨年ほど身体的に過酷ではなくなった」

国際自動車連盟 フォーミュラ1カー

2031年F1で「さらに80kg軽く」
それでもFIAが目指すマシン像は、現在よりはるかに軽く、コンパクトなものだ。

現行レギュレーションのサイクル中に大幅な変更を行うことは難しいため、焦点となるのは次世代規則だ。現在は2031年の導入が基本線となっているが、関係者の十分な合意が得られれば2030年への前倒しも検討されている。

トンバジスは次世代F1マシンについて具体的な数値目標を示した。

「マシンは少し軽く、少し小さくなり、ドライバーからも評価されている。ただ、これが僕の望んでいる最終地点かと言えば、違う」

「将来的には、さらに80kg軽くしたい。そして、もう少し短く、もう少し小さくしたい」

現在の最低重量768kgから単純に80kgを削減すれば、688kgという水準になる。実際の次世代最低重量がその数字になると決まったわけではないが、FIAが目指している軽量化の規模が非常に大きいことを示している。

「今回可能だったことから、さらに大きな一歩を踏み出す。それが目標だ。今回の変更も悪いステップではないが、『これで仕事は終わった。目標を達成した』と言っているわけではない」

「将来は軽量化でもう一段階進みたい。重量についても大幅なステップを踏みたい」

F1マシンの重量増加にようやく歯止め
近年のF1では、安全装備の強化やハイブリッドシステムの大型化などによってマシン重量が増加を続けてきた。

2000年代初頭のF1マシンはドライバー込みでも600kg前後だったが、その後はハイブリッド化や大型化に伴って重量が増加。2025年には最低重量が800kgに達していた。

2026年規則による768kgへの削減は、その長期的な流れを反転させたという意味でも重要だとトンバジスは考えている。

「F1マシンが軽くなったのは、おそらく2000年以来初めてだと思う。少なくともそれくらい前、もしかするともっと前かもしれない」

2026年規則はFIAが理想とするF1マシンへの完成形ではなく、あくまで第一段階という位置付けだ。次世代規則では約80kgという大幅な軽量化に加え、さらなる全長短縮と小型化も視野に入る。パワーユニット規則とともに、2030年代のF1ではマシンそのものの姿が再び大きく変わる可能性がある。