カテゴリー: F1レギュレーション

  • キャデラックF1に罰金 ハータ車の規則違反でFIA「今後は競技上の罰則も」

    キャデラックF1に罰金 ハータ車の規則違反でFIA「今後は競技上の罰則も」

    キャデラックF1は、F1イタリアGPのフリー走行1回目(FP1)でコルトン・ハータのマシンがコース上に停止した際、クラッチを切り離すためのシステムが機能しなかったとして、3万ユーロ(約520万円)の罰金を科された。このうち2万5000ユーロは執行猶予となっている。

    スチュワードは、原因が外部サプライヤーから供給されたバッテリーのセル故障だったことを認めた一方、規則を順守する最終的な責任はチームにあると判断した。

    さらに、同様のクラッチ・ディスエンゲージメント・システム(CDS)の不具合は今季すでに3件目となっており、今後は金銭的な罰金だけでなく、競技上のペナルティを科す可能性があるとF1各チームに警告した。

    コルトン・ハータ車がレズモ出口でストップ
    コルトン・ハータはセルジオ・ペレスに代わって今季3度目となるFP1に出走していたが、セッション残り約40分、第2レズモを立ち上がったところでMAC-26を停止させた。

    ハータはマーシャルポスト付近にマシンを止めたものの、クラッチがつながった状態のままでマシンを動かすことができなかった。当初はバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、その後セッションは赤旗に切り替えられた。キャデラックF1は当初、このトラブルについて油圧系の問題だと説明していた。

    その後、ハータはFIA F1テクニカルレギュレーションの第C9.3条に違反した疑いでスチュワードに召喚された。

    同条項では、エンジンが停止した状態でマシンが止まった場合、最低15分間にわたってクラッチを切り離せる手段をすべてのマシンに装備することを義務付けている。

    さらに、このシステムについては「マシンの主要な油圧、空圧、電気システムが故障した場合でも、競技期間を通じて正常に作動する状態になければならない」と定められている。

    原因は外部サプライヤー製バッテリーのセル故障
    キャデラックF1がデータと情報を収集するための時間を確保できるよう、審理は土曜日の朝まで延期された。

    スチュワードはチームのスポーティングディレクター、信頼性部門責任者、FIAテクニカルデリゲート、FIA F1エレクトロニクスエンジニアから事情を聴取した。

    キャデラックF1はCDSがどのように設計、搭載されているかを示す詳細な図面を提出。スチュワードは、このシステムがレギュレーションで要求されている通り、マシンの他のシステムから独立して作動するよう設計されていたことを確認した。

    またチームは、競技開始前日の段階でシステムの点検と作動確認を実施していたことも証明した。

    しかし、マシンの電子システムがオフになった「P0モード」でCDSを作動させるためには、外部サプライヤーから供給されたリチウムバッテリーに依存していた。

    調査の結果、このバッテリーを構成する4つのセルのうち1つが故障していたことが判明。その結果、CDSが作動不能となり、ハータのマシンが停止した際にコースから容易に押して移動させることができず、赤旗の原因となった。

    キャデラックF1が再発防止策を提示
    キャデラックF1は今回のトラブルを受け、まずバッテリーのサプライヤーから想定される最大使用期間についての情報を入手すると説明した。

    さらに、毎日または各セッション前に点検を実施するとともに、バッテリーの定期交換プログラムを導入し、同様の故障が再発する可能性を最小限に抑える方針を示した。

    スチュワードは、キャデラックF1が調査に対して完全に透明性のある対応を取ったことを評価し、チームが提示した再発防止策についても合理的なものだと認めた。

    一方で、外部サプライヤー製の部品が故障原因だったとしても、規則への適合について最終的な責任を負うのはチームであるとの立場を明確にした。

    「チームが情報開示において完全に透明性を保っていたこと、そして上記の計画が合理的な対応であることをスチュワードは認める。しかし、レギュレーション違反が発生したことに変わりはない」

    「その原因は第三者から供給された部品の故障に帰することができるものの、規則を順守する最終的な責任は依然としてチームにある。したがって、ペナルティを科す」

    この判断により、キャデラックF1には3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万5000ユーロが執行猶予とされた。

    今季3度目のCDS故障 FIAが競技上のペナルティを警告
    CDSをめぐる同様の違反は今季すでに発生している。カナダGPではリアム・ローソンのマシンで同様の問題が発生したレーシングブルズに3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万ユーロが12カ月間の執行猶予となった。

    また、モナコGPでもランド・ノリスのマクラーレンがプラクティス中に停止して移動できなくなり、同様の制裁を受けている。

    今回で今季3件目のCDS故障となり、いずれもマシンを迅速に撤去できないことによる競技への影響が問題視されている。特に今回も赤旗が提示され、セッションそのものに競技上の影響を与えた。

    スチュワードは今回については金銭的なペナルティにとどめたものの、今後の同様のケースでは処分を強化する可能性を明確にした。

    「スチュワードは、これが今季報告された3件目のCDSの故障であることを指摘する。今回もこの故障によって赤旗が提示され、競技上の影響が生じた」

    「今回は金銭的なペナルティを科すことを決定したが、CDSは重要なコンポーネントであり、マシンを安全かつ迅速にコースから撤去するために設計されたものであることから、今後の故障については金銭的なペナルティだけでなく、競技上のペナルティが科される可能性もあることを競技者に通告する」

    今回のキャデラックF1への処分は、単なる個別の技術的トラブルへの罰金にとどまらず、CDSの信頼性確保を全チームに改めて求める警告となった。今後、同様の不具合によって赤旗など競技進行への影響が生じた場合、金銭的な制裁に加えて競技上のペナルティが科される可能性がある。

  • ニューウェイが狙う「300mm」の規則変更 アストンマーティンF1反撃の鍵

    ニューウェイが狙う「300mm」の規則変更 アストンマーティンF1反撃の鍵

    2027年のF1技術レギュレーションに盛り込まれる変更について、アストンマーティンのチーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイが、最大の注目点としてフロア前方の見直しを挙げた。

    2026年に導入された新世代マシンは本来、2027年に向けて大きな基本思想を維持しながら発展していくと考えられていた。

    しかしFIAは、エネルギーマネジメントや空力面で明らかになった課題への対応として複数の規則変更を決定。なかでもフロア前方の構造変更はマシンの車高設定と空力特性に直接影響するため、ニューウェイは各チームに新たな開発競争をもたらす可能性があるとみている。

    アストンマーティンにとっては、2026年型マシンで得た経験をいったんリセットし、ニューウェイの空力設計能力をより生かせる機会にもなり得る。フェルナンド・アロンソが2027年もF1で戦う場合、その競争力を左右する重要な規則変更となりそうだ。

    2027年F1規則は「小変更」では済まない
    F1は2026年にシャシーとパワーユニットの双方で大規模な技術規則変更を実施した。当初、翌2027年はそのコンセプトを成熟させるシーズンになるとみられていた。

    しかし、実際にはFIAがフロア、リアウイング、パワーユニットなど複数の領域に修正を加えることになった。

    ニューウェイは、2027年に向けた変更について「燃料量の増加、エネルギーの貯蔵と配分に関するいくつかの変更、それにもう少し細かな調整がある」と説明している。

    背景にあるのが、2026年型パワーユニットで大きなテーマとなったエネルギーマネジメントだ。電動出力への依存度が高まったことで、コーナーでエネルギーを大量に使用した後、ストレート終盤で電力を使い切るケースが発生した。

    FIAは2027年に向けて内燃エンジン側の比率を再び高める方向で規則を修正し、ドライバーがバッテリー残量を過度に意識しなければならない状況を緩和しようとしている。

    一方、ニューウェイがより大きな技術的可能性を感じているのはパワーユニットではなくシャシー側だ。

    ニューウェイが「重要」と考えるフロア前方の変更
    2027年規則では、フロア前方に設けられているプランクの構造が見直される。前方部分が短縮されることで、その先端位置は現在より約300mm後方へ移動することになる。

    一見すると限定的な寸法変更だが、マシンのセットアップと空力に与える影響は小さくない。

    現在の構造では、フロントの車高を極端に低くするとプランクの摩耗が問題となる。前方部分が短くなれば、チームはこれまでよりフロントを低く走らせることが可能になり、マシン全体の空力マップを再構築する余地が生まれる。

    ニューウェイは、この部分こそ2027年規則の重要なポイントだと指摘する。

    「これによって、異なる空力特性が生まれることになる」

    「僕たちにとって重要な変更はフロア前方だ。これは全チームにとって、これまでとは違った空力上の課題になる」

    単純にダウンフォース量を増減させる変更ではない。マシンの前後車高、フロア下の気流、空力バランスなどを含め、基本的な設計思想そのものに影響する可能性がある。

    ニューウェイがこの変更を重視している理由もそこにある。

    300mmの変更がマシン設計を変える可能性
    グラウンドエフェクトを利用する現在のF1マシンでは、フロアと路面の距離が空力性能を大きく左右する。

    特にフロント側の車高をどこまで下げられるかは、フロアへ流れ込む空気やマシン後方までの気流構造に影響する。したがって、プランク前端が約300mm後退することは、数字以上に大きな意味を持つ。

    各チームは2026年型マシンで蓄積した空力データをそのまま発展させるだけではなく、2027年仕様に合わせて最適な車高とフロア形状を探り直す必要が出てくる。

    これはアストンマーティンにとってチャンスにもなる。

    2026年の序列を決定づけた既存コンセプトの成熟度だけでなく、2027年の変更を誰が最も早く理解し、新しい空力パッケージへ落とし込めるかが競争力を左右するためだ。

    ニューウェイはレッドブル時代を含め、規則変更時に新しい空力コンセプトを構築してきた経験を持つ。アストンマーティンが2026年にライバルへ後れを取っていたとしても、2027年の変更は差を縮めるための新たな開発ポイントになり得る。

    エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    リア周辺ではFIAが空力の「抜け道」を整理
    2027年にはマシン後方にも変更が加えられる。

    リアウイングはダウンフォースを抑制する方向で寸法や構造が変更される一方、新しい補強部材が認められることで、各チームがその周辺で新たな空力処理を模索する可能性もある。

    さらにFIAは、2026年に各チームが開発を進めたエキゾースト周辺の空力デバイスやリアウイング周辺の一部ソリューションを規制する。

    ニューウェイはこれについて、「FIAは、各チームがエキゾーストやリアウイング周辺で使ってきたいくつかのトリックを排除した」と説明する。

    フロア前端のデバイスについても数が削減されるため、2027年型マシンでは2026年に開発された細かな空力処理の一部が使えなくなる。

    つまりFIAは、既存の開発競争を単純に継続させるのではなく、一部を整理したうえで新たな設計条件を与えようとしている。

    アストンマーティンにとって2027年は巻き返しの機会
    ニューウェイが指摘しているのは、規則の文言を利用した単純な「抜け穴」というより、規則変更によって生まれる新たな設計自由度だ。

    特にフロア前方の変更によってフロントの車高設定に新しい可能性が生まれれば、そこからフロア全体、ディフューザー、リアウイングまで含めた空力コンセプトを組み直すことができる。

    これは既存マシンを完成させているチームだけが有利になる状況を崩す可能性がある。

    アストンマーティンはニューウェイを技術部門の中心に据え、ホンダ製パワーユニットとの組み合わせで新時代のF1に挑んでいる。2026年に直面した問題を解決するだけでなく、規則が再び動く2027年を次の大きな機会として捉えていることは明らかだ。

    わずか300mmの変更でも、F1の空力設計ではマシン全体の考え方を変えるきっかけになり得る。ニューウェイがそこからどのような解答を導き出すのか。そして、そのマシンをフェルナンド・アロンソがドライブすることになるのか。2027年に向けたアストンマーティンの開発で、フロアは最大の注目点のひとつとなりそうだ。

  • FIAが次世代F1マシンで「80kg軽量化」目標 2031年レギュレーションで大幅刷新へ

    FIAが次世代F1マシンで「80kg軽量化」目標 2031年レギュレーションで大幅刷新へ

    2026年に導入されたF1の新テクニカルレギュレーションでは、マシンの小型・軽量化を掲げた「ニンブルカー・コンセプト」が大きな柱となった。最低重量は前年から32kg減の768kgとなり、ホイールベースも20cm短縮、全幅も10cm狭められている。

    一方、FIAはこれを最終到達点とは考えていない。FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2031年を軸に検討されている次世代レギュレーションで、現在よりさらに約80kg軽いF1マシンを実現することを目標に掲げた。

    2026年F1は「ニンブルカー」への第一歩
    2026年F1では、パワーユニットとエネルギーマネジメントをめぐる議論がシーズン序盤から大きな注目を集めてきた。そのためシャシー規則の変化は比較的目立たなかったが、FIAは新世代マシンについて一定の成果が得られていると評価している。

    最低重量は2025年の800kgから768kgへ32kg軽量化。ホイールベースは20cm短くなり、車幅も10cm縮小された。さらにダウンフォースも大幅に削減され、ドライバーがステアリング操作でマシンと格闘する場面が増えている。

    トンバジスは、Autosportを含む一部メディアに対し、2026年規則が前進だったかと問われ、次のように語った。

    「おそらくそうだと思う。ただし、仕事が終わったと考えるべきではない。マシン同士は以前より接近して走れるようになったと思う」

    FIAの分析では、先行車が生み出す乱気流、いわゆるダーティエアによる影響は、前世代規則が導入された2022年シーズン序盤と同程度まで抑えられているという。

    2022年規則の失敗から学んだFIA
    2022年に導入されたグラウンドエフェクト規則も、当初はマシン同士が接近して走りやすくすることを目的としていた。しかし開発競争が進むにつれ、各チームが生み出した空力ソリューションによって後方への乱気流が悪化し、その効果は徐々に失われていった。

    FIAはその経験を2026年規則に反映したとトンバジスは説明する。

    「2022年選手権の開幕時と似たレベルにあると思うが、今年の方が少し堅牢だと思っている」

    「各チームがさまざまな空力ソリューションを導入しているが、今のところコンセプトそのものを壊すようなものは見つかっていない。以前の規則では、コンセプトを大きく損なうものがいくつか存在していた」

    具体的には、前世代マシンのフロントウイング・エンドプレート、フロアエッジ、フロントタイヤ周辺に配置された空力パーツが問題だったという。

    「そうしたものによってウェイクの特性が大幅に悪化した。我々はそこから学んだ。今回は同じような問題が存在しないことを願っている」

    「祖母でも運転できるマシン」にはしたくない
    トンバジスが2026年規則のもうひとつの成果として挙げるのが、マシンを操る難しさだ。

    ダウンフォースが減少したことで、ドライバーは以前よりマシンを積極的にコントロールする必要がある。FIAは、それを世界最高峰のカテゴリーにふさわしい特徴だと捉えている。

    「ドライバーにとって依然としてかなり難しいマシンだ。それは良いことだと思う。誰でも運転できるようなマシンではない」

    「空力規則の一部は、コーナーを通じてマシンのあらゆる部分をチームが完璧に対処できない方向にしている。そのため、ドライバーにはいくつかの課題が残されている」

    そしてトンバジスは、F1マシンに求める難易度についてユーモアを交えて表現した。

    「世界最高の22人のドライバーがいるのだから、僕の祖母でも簡単に運転できるようなマシンであるべきではないと思う」

    一方で、ドライバーの身体にかかる負担については改善されている。

    前世代のグラウンドエフェクトカーは、大きなダウンフォースを得るために極端に低い車高と硬いサスペンション設定を必要とした。2026年マシンではライドハイトがやや高くなり、その問題が緩和されている。

    「ライドハイトも少し上げているので、昨年ほど身体的に過酷ではなくなった」

    国際自動車連盟 フォーミュラ1カー

    2031年F1で「さらに80kg軽く」
    それでもFIAが目指すマシン像は、現在よりはるかに軽く、コンパクトなものだ。

    現行レギュレーションのサイクル中に大幅な変更を行うことは難しいため、焦点となるのは次世代規則だ。現在は2031年の導入が基本線となっているが、関係者の十分な合意が得られれば2030年への前倒しも検討されている。

    トンバジスは次世代F1マシンについて具体的な数値目標を示した。

    「マシンは少し軽く、少し小さくなり、ドライバーからも評価されている。ただ、これが僕の望んでいる最終地点かと言えば、違う」

    「将来的には、さらに80kg軽くしたい。そして、もう少し短く、もう少し小さくしたい」

    現在の最低重量768kgから単純に80kgを削減すれば、688kgという水準になる。実際の次世代最低重量がその数字になると決まったわけではないが、FIAが目指している軽量化の規模が非常に大きいことを示している。

    「今回可能だったことから、さらに大きな一歩を踏み出す。それが目標だ。今回の変更も悪いステップではないが、『これで仕事は終わった。目標を達成した』と言っているわけではない」

    「将来は軽量化でもう一段階進みたい。重量についても大幅なステップを踏みたい」

    F1マシンの重量増加にようやく歯止め
    近年のF1では、安全装備の強化やハイブリッドシステムの大型化などによってマシン重量が増加を続けてきた。

    2000年代初頭のF1マシンはドライバー込みでも600kg前後だったが、その後はハイブリッド化や大型化に伴って重量が増加。2025年には最低重量が800kgに達していた。

    2026年規則による768kgへの削減は、その長期的な流れを反転させたという意味でも重要だとトンバジスは考えている。

    「F1マシンが軽くなったのは、おそらく2000年以来初めてだと思う。少なくともそれくらい前、もしかするともっと前かもしれない」

    2026年規則はFIAが理想とするF1マシンへの完成形ではなく、あくまで第一段階という位置付けだ。次世代規則では約80kgという大幅な軽量化に加え、さらなる全長短縮と小型化も視野に入る。パワーユニット規則とともに、2030年代のF1ではマシンそのものの姿が再び大きく変わる可能性がある。

  • 2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年F1マシンは空力規則も大幅変更 リアウイングやフロアを見直し

    2027年のF1マシンでは、すでに決定しているパワーユニット(PU)規則の見直しに加え、空力レギュレーションも大幅に変更されることが明らかになった。変更はリアウイングやフロアなど複数の重要な空力パーツに及び、2026年型マシンからの設計流用は想定以上に難しくなるという。

    この情報を明かしたのは、ウィリアムズのチーム代表ジェームズ・ボウルズ。F1は新世代マシンで浮上した課題を改善するため、2027年に向けてPUと空力の両面からレギュレーションを見直す方針だ。

    リアウイングやフロアなどが変更対象
    ベルギーGP金曜フリー走行中にSky Sports F1の中継へ出演したボウルズは、2027年に向けた空力規則について次のように説明した。

    「来年は空力レギュレーションが変更される。しかも、その内容はかなり大きい」

    「ビブ(フロントフロア先端部)、リアウイング、フロアの一部などが変更される。その結果、多くの人が期待しているほど今年のマシンをそのまま引き継げるわけではない。ただ、それには正当な理由がある」

    変更は全面的なレギュレーション刷新ではないものの、空力性能に大きく関わる主要パーツが対象となるため、各チームの2027年型マシン開発への影響は小さくない。

    ボウルズは、ウィリアムズがすでに2027年用の新シャシー開発を計画していることも明かし、今回の規則変更によって設計作業はさらに複雑になるとの見方を示した。

    PU規則変更と合わせて競争力向上を目指す
    今回の空力規則見直しは、2027年から導入されるPUレギュレーションの変更とセットで進められる。

    2026年から採用された電動出力と内燃エンジン出力を50対50とする配分については、ドライバーやチームからエネルギーマネジメントの負担が大きいとの指摘が相次いだ。そのためF1は2027年から内燃エンジン側の比率を高める方向へ規則を変更することを決定している。

    空力規則もこれに合わせて見直され、ダウンフォースやコーナリング速度を適正化することで、ストレートで使用できる電力エネルギーとのバランス改善を図る狙いだ。

    ボウルズは今回の決定について、シーズン開幕時には予想していなかったと認めながらも、その方向性を支持した。

    「シーズン開幕時には予想していなかった。しかし、スポーツとして正しい方向性だと思う」

    「より良いフォーマット、率直に言えば、より良いショーを作る助けになる。これはパワーユニット規則の変更とも一体となって進められているものだ」

    より完成度の高いF1を目指して改良継続
    ボウルズの発言は、Sky Sports F1のデビッド・クロフトとカルン・チャンドックも驚く内容だった。これまで2027年規則といえばPU変更ばかりが注目されており、空力規則の大幅な見直しは広く知られていなかったためだ。

    しかしボウルズは「公表してはいけないことを話したとは思っていない」と述べ、F1が現在もレギュレーションの改善を続けていることを示唆した。

    「予選でも決勝でも最高のプロダクトを実現したいという思いがある」

    「レース自体は非常に良くなっていることは誰もが認めるだろう。しかし、まだ理想的な状態ではなく、このマシンからすべてを引き出せているわけではない」

    「パワーユニット規則と空力規則、その両方を改善することで、F1はさらに良い方向へ進んでいけるはずだ」

    2027年のF1はPU規則だけでなく空力規則にもメスが入ることになり、各チームは限られた設計流用の中で、新たなマシンコンセプトの開発を迫られることになりそうだ。

  • FIA 2026年F1レギュレーション問題に反論「メーカーの反対で改善できなかった」

    FIA 2026年F1レギュレーション問題に反論「メーカーの反対で改善できなかった」

    2026年F1新レギュレーションを巡る混乱について、FIA(国際自動車連盟)がドライバーからの批判に対して反論した。

    ベルギーGPで顕在化したエネルギーマネジメントの問題を受け、カルロス・サインツやルイス・ハミルトンは「なぜ事前に問題を防げなかったのか」とFIAの責任を厳しく追及していた。

    しかしFIAは、問題自体は数年前から認識していたものの、パワーユニットメーカーの反対によって事前のルール修正が実現できなかったと説明している。

    FIA「問題は事前に把握していた」
    ベルギーGPでは、バッテリーエネルギー不足によってドライバーがストレートで十分なパワーを使えず、スパ・フランコルシャン本来の魅力が損なわれたとの批判が噴出した。

    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の理事を務めるカルロス・サインツは次のように語っている。

    「2022年や2023年にシミュレーションを見た人が、『こんなものをどうして受け入れられるんだ』と言わなかったのなら、その経緯を見直すべきだ。こんな状況は決して起きるべきではなかった」

    さらにルイス・ハミルトンも、

    「誰がこの決定をしたのか分からない。でも、その人物はいまだにその職に就いている」

    と皮肉を込めて批判した。

    これに対し、FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、ドライバーの不満には理解を示しつつも、FIAは開幕前から問題を予測し、改善を試みていたと主張した。

    「ドライバーは率直に意見を言うものだ。それを期待しているし、遠慮する必要もない」

    「彼らが不満を述べている多くの問題について、私たちは開幕の2年前から把握しており、改善を試みていた」

    「しかし当時のガバナンスの仕組みでは、それを実現できなかった。それはある意味で予想された結果だった」

    メーカーの反対でルール変更は実現せず
    2026年レギュレーション策定では、既存メーカーと新規参入メーカー双方の利益を守るため、「パワーユニット・アドバイザリー委員会」が設置された。

    この枠組みでは、大幅な規則変更にはFIA、FOMに加え、当時5社存在したパワーユニットメーカーのうち4社の賛成が必要だった。

    FIAは2026年開幕前、レース中の最大電力展開を200kWへ引き下げる案などを提案したが、十分な支持を得られず否決されている。

    トンバジスは、この制度は新規参入メーカーを公平に扱うためには必要だったと説明した。

    「例えばアウディのような当時まだ参戦していないメーカーでも、規則には拘束される必要があった」

    「『まだ参戦していないから5倍のお金を使わせてほしい』とは言えない。それでは公平ではない」

    一方で、その代償としてFIA単独ではルールを変更できず、重要な改正にはメーカーの同意が不可欠だったという。

    「私たちが望んだ変更には少なくとも4社の賛成が必要だった」

    「しかし議論を重ねた数年間、その条件を満たすことはできなかった」

    F1レギュレーション

    ようやく実現したルール修正
    2026年シーズン開幕後、問題が現実のものとなったことでFIAはマイアミGPから緊急対策を導入し、エネルギーマネジメントを改善するための措置を実施した。

    さらに2028年までに、当初の50対50だった内燃機関と電力の出力配分を60対40へ見直すロードマップにも合意している。

    トンバジスは、この修正がもっと早く実施されるべきだったと認めた。

    「2027年と2028年に向けたパッケージについては今年5月に議論した」

    「本来であれば、こうした議論は2年前に済ませておくべきだった。そうすれば今回のような議論にはならなかっただろう」

    FIA「レース自体は面白い」
    一方でトンバジスは、新レギュレーションによってレース全体の魅力が大きく損なわれたとは考えていない。

    「ほとんどのレースは非常にエキサイティングだった」

    「確かにメルセデスが優位に立っているが、新規則初年度としては過去ほど一方的な展開ではない」

    「順位変動も多く、見応えのあるレースになっている」

    その上で、ドライバーの声を尊重しながらも、観客にとって魅力あるレースを実現することも重要だと強調した。

    「ドライバーは重要なステークホルダーであり、彼らの意見に耳を傾けて対策を講じることは正しかった」

    「しかし同時に、観客が求めているのは順位変動があり、エキサイティングなレースでもある。そのバランスを考えなければならない」

    2026年規則混乱の責任は誰にあるのか
    今回のトンバジスの発言は、「FIAが問題を見落としていた」というドライバー側の見方に対し、「問題は把握していたが、メーカー間の合意形成ができなかった」という事情を明らかにしたものだ。

    2027年以降はすでにルール見直しの方向性が決まっており、2028年にはICE比率を60%へ引き上げるなど抜本的な修正も予定されている。しかし、FIA自身が「2年前に実施できていれば」と認めたように、2026年シーズン開幕前に十分な合意を形成できなかったことは、新レギュレーション最大の教訓として残ることになりそうだ。

  • デビッド・クルサード F1新レギュレーションを酷評「まるでW杯ハーフタイムショー」

    デビッド・クルサード F1新レギュレーションを酷評「まるでW杯ハーフタイムショー」

    2026年に導入されたF1新レギュレーションについて、元F1ドライバーのデビッド・クルサードが「予想された問題が現実になった」と振り返り、導入前の警告が軽視されたことへの失望を語った。

    クルサードは、現在のF1シーズンは接戦が増えたことで見応えが向上していると評価する一方、新世代マシンが抱えるエネルギーマネジメントの問題については「最初から分かっていたことだった」と指摘している。

    F1新レギュレーションへの失望をW杯になぞらえる
    元マクラーレンF1ドライバーのデビッド・クルサードは『Up to Speed Podcast』で、2026年レギュレーション導入時の混乱をサッカーのワールドカップのハーフタイムショーになぞらえて振り返った。

    「新レギュレーションは、ワールドカップのハーフタイムショーみたいなものだった」

    「大きな期待を持たせながら迫ってきたのに、実際には少し期待外れだった。映画のコメディでロードローラーがゆっくり迫ってきて、『ひかれるぞ』と言いながら、次の場面でも腕時計を見ながら『まだひかれるぞ』と言っているようなシーンがあるだろう」

    クルサードは、この“ロードローラー”こそが2026年レギュレーションだったと説明する。

    「新レギュレーションが近づいてくる中で、ドライバーもエンジニアも『これは良くないことになる』と言い続けていた。でも、それ以外の人たちはほとんど沈黙していた」

    ドライバーやエンジニアの警告は現実となった
    2026年の新規則導入前には、ドライバーや技術者から「スーパークリッピング」や、ストレートでバッテリー残量の違いによって順位が入れ替わる“ヨーヨー・オーバーテイク”が頻発するとの懸念が相次いでいた。

    FIAは開幕前に最悪の事態を避けるための修正を加えたものの、開幕戦オーストラリアGPでは減速しながらコーナーへ進入するマシンが見られるなど、懸念された問題は現実のものとなった。

    マックス・フェルスタッペンをはじめ複数のドライバーが導入前から懐疑的な姿勢を示していたことも、その後の展開を象徴している。

    クルサードはこう続けた。

    「そしてメルボルンに行くと、『ほら見ろ、いくつかのコーナーでは減速しながら進入しているじゃないか』という状況になった」

    F1レギュレーション

    接戦のシーズンは評価も課題は未解決
    一方でクルサードは、シーズンが進むにつれてF1のレース内容そのものは大きく改善したと評価する。

    ハンガリーGPではエネルギー回生が容易なサーキット特性もあり、バッテリー節約のための極端なコースティングが少なく、純粋なレース展開が実現した。一方で、シルバーストンやスパ・フランコルシャンでは依然としてエネルギーマネジメントの影響が色濃く残っており、モンツァやシンガポール、さらに開催されればカタールでも同様の課題が再び表面化するとみられている。

    それでも、各チームが激しい開発競争を繰り広げていることで勢力図は流動化し、週末ごとの予測が難しいシーズンになっている。

    クルサードはその点を評価しつつ、次のように締めくくった。

    「失望からの立て直しという意味では、マイアミ以降は良かったと思う。以前も話したように、直近5戦で5人の異なる勝者が生まれていることは、このシーズンの多様性を物語っている」

    「ただ、私たちはこうなることを前から分かっていた。それなのに誰も本当に耳を貸さなかった。そして、未来を徹底的にシミュレーションするスポーツでありながら、現実が起きてから対応しなければならなかったことには少し失望している」

    今回のクルサードの発言は、2026年F1のレース内容が改善しつつあることを認めながらも、新レギュレーション導入前に繰り返し発せられていた警告が十分に生かされなかったという、F1全体への問題提起といえる。今後、エネルギー不足が起きやすいサーキットでどのような対策が講じられるのかも、後半戦の大きな焦点となりそうだ。

  • FIA会長 スライエム 2026年F1新規則の不備認める「我々も間違いを犯す」

    FIA会長 スライエム 2026年F1新規則の不備認める「我々も間違いを犯す」

    FIA(国際自動車連盟)のモハメド・ビン・スライエム会長は、2026年のF1新レギュレーションについて「我々も間違いを犯す」と認め、ベルギーGPで噴出したドライバーたちの批判を受けて、規則の見直しを進める考えを示した。

    スパ・フランコルシャンでは長い全開区間でエネルギーマネジメントの問題が顕在化し、カルロス・サインツJr.やルイス・ハミルトンは「なぜこの規則が承認されたのか」と疑問を呈していた。

    ビン・スライエム会長は『Viaplay』の取材に対し、自らの責任も認めた。

    「我々も間違いを犯す。規則には抜け穴もある。そのような問題については、我々は常に手を挙げて修正していく」

    一方で、2026年シーズン開幕当初と比べれば、レース内容は改善されているとの見方も示した。

    「シーズン序盤のレースを見れば、十分な競争がなかったことは明らかだった。今はその競争が生まれている」

    「FIAは介入し、あらゆるデータや寄せられた苦情を分析してきた」

    PU規則変更にはメーカーの合意が必要
    ただし、ドライバーから求められているような大幅なルール変更を、FIAだけで決定することはできないと説明した。

    「最終的にはエンジンサプライヤーやメーカーとも向き合わなければならない」

    「必要なのは6者中4者の特別多数決だ。モータースポーツの競争力と公平性を維持するためには、各チームの理解も必要になる」

    現在のパワーユニット規則の修正については、レッドブル・フォードとメルセデスが変更に前向きとされる一方、ホンダ、アウディ、キャデラックは慎重な姿勢を取り、フェラーリは大幅な見直しに反対していると報じられている。

    国際自動車連盟

    2031年V8エンジン復活も議論
    一方で、2031年以降の次世代エンジン規則については、V8エンジンへの回帰を支持する動きが広がっている。

    ビン・スライエム会長は、その方向性についても言及した。

    「V8エンジンに戻るのであれば、まず目標は何なのか、なぜそうするのかを考えなければならない」

    「私は、あらゆる要件を満たす新しいエンジンが必要だと考えている」

    「ファンにとってはサウンドも重要な要素だ。それと同じくらい、シンプルさやコスト削減も重要になる」

    100%持続可能燃料を使用するV8エンジン構想について質問されると、すでに具体的な協議が進んでいることを明かした。

    「そうだ。その燃料なら100%持続可能性を実現できる。現在、チームやエンジンサプライヤー、そしてドライバーとも計算や協議を進めている」

    「最終的に重要なのは私やチームではない。マシンを走らせるのはドライバーなのだから」

  • マックス・フェルスタッペン 2026年F1規則を酷評「スパではF3並みのパワー」

    マックス・フェルスタッペン 2026年F1規則を酷評「スパではF3並みのパワー」

    フェルスタッペンは、F1ベルギーGP予選後、2026年のパワーユニット規則によってスパ・フランコルシャンの魅力が大きく損なわれていると語った。スパは多くのドライバーが最高のサーキットの一つに挙げるが、現在のマシンでは「F3並みのパワー」で走る区間があると指摘している。

    予選ではレッドブル・レーシングのチームメイト、アイザック・ハジャーのトウを活用して2番手を獲得したフェルスタッペン。しかし、その結果とは裏腹に、2026年仕様のマシンに対する不満を改めて口にした。

    「F3並みのパワー」で走るスパ
    2026年のF1マシンは、内燃エンジンと電動パワーの配分が変更されたことで、サーキットによっては電力を使い切り、内燃エンジンだけで走行する時間が長くなる。

    フェルスタッペンは、特にスパのセクター2でその影響が顕著だと説明した。

    「セクター2の大部分ではエンジンだけで走っている。出力は450馬力か500馬力くらいかな。たぶんF3マシンと同じくらいのパワーだけど、F1のダウンフォースはそのままだ」

    「だから、もちろん運転していてすごく楽しいものではないことは想像できる。でも正直、またここで文句を言いたくはない。たぶん出口で誰かに撃たれるだろうからね」

    「以前も言ったように、僕は精神的にこの状況へ適応しようとしている。好きなF1ではないし、僕が求めているものでもない。でも家にいて何もしないわけにもいかない。だから今はベストを尽くすだけだ」

    サインツJr.「どうして受け入れたのか」
    フェルスタッペンだけでなく、多くのドライバーが現在のスパでの走行感覚に不満を抱いている。

    ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は、F1そのものを否定するつもりはないと前置きしながらも、2026年マシンではスパ本来の魅力が失われたと語った。

    「去年ほど予選ラップを楽しめたドライバーはいないと思う。スパでは、このマシンによって確実に多くのものを失った」

    「とはいえ、自分たちのスポーツを悪く言い続けても意味はない。誰もが十分ではないことは分かっているし、将来は改善されるはずだ。来年は一歩前進し、その翌年はさらに良くなることを願っている」

    さらに、開発段階でのシミュレーションを振り返り、こう疑問を投げかけた。

    「2022年や2023年のシミュレーションを見て、『これでいい』と判断した人たちは、一度何が起きたのか見直すべきだ。本来なら、こうなる前に対処されるべきだった」

    「それでも今はエキサイティングなレースができているし、F1というスポーツは成長を続けている。だから前を向いて進むしかない」

    マックス・フェルスタペンフェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    ピアストリ「プーオンはもはやコーナーではない」
    マクラーレンのオスカー・ピアストリも、スパを象徴する高速コーナー、プーオンの性格が大きく変わったと指摘した。

    「プーオンはかなり奇妙だった。もうコーナーというより『ストレートの途中にある曲がり』と呼ぶほうが適切かもしれない」

    「昔から素晴らしいコーナーだったし、僕自身も得意としていた場所だから残念だ」

    さらに、コーナーごとに出力が大きく変化することも難しさにつながっていると説明した。

    「今年は状況が本当に違う。コーナーによっては約1000馬力で立ち上がれるけれど、別の場所では550〜600馬力程度しかない。そうした違いに頭を切り替えるのは本当に難しい」

    「そういう意味では新しい難しさもあるけれど、これまでとはまったく違うスパになってしまった」

    2026年のパワーユニット規則は燃費と電動エネルギーの活用を重視した設計となっているが、スパ・フランコルシャンのような高速サーキットでは電力不足が顕著となり、多くのドライバーが従来のF1らしい迫力や走りの楽しさが失われたと感じている。フェルスタッペン、サインツJr.、ピアストリはいずれも改善の必要性を認めつつ、今後のレギュレーション改良に期待を寄せた。

  • BYDがF1参戦を否定も「技術面で意義があれば関心」新PU規則を注視

    BYDがF1参戦を否定も「技術面で意義があれば関心」新PU規則を注視

    中国の自動車大手BYDが、F1参戦の可能性について初めて一定の含みを持たせた。一方で、現時点では具体的なF1プロジェクトは存在せず、参戦する場合でも技術的な価値が前提になるとの考えを強調している。

    近年、BYDはF1の12番目のチーム候補として名前が挙がっており、元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーが関与する可能性も噂されている。しかし同社幹部は、現段階ではそうした計画を否定した。

    現時点でF1計画は存在せず
    グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでスペインメディア『Soy Motor』などの取材に応じたBYDのステラ・リー副会長兼エグゼクティブ・バイスプレジデントは、F1参戦計画について次のように語った。

    「いいえ、そのようなプロジェクトはありません」

    「計画はないと申し上げました。夢はいつもありますが、具体的な予定は何もありません」

    現時点ではF1への参戦プロジェクトは存在せず、あくまで将来的な可能性にとどまることを明確にした。

    「ステッカーを貼るだけでは参戦しない」
    一方、BYDの特別顧問を務めるアルフレド・アルタヴィッラは、F1への関心は技術面でのメリットがある場合に限られると説明した。

    「我々の技術がF1の目的に役立つ場合に限って、F1を検討します」

    「マシンの横にステッカーを貼るためだけにF1へ参戦することは決してありません」

    「その資金を投資する方法は他にもあります」

    BYDは単なるスポンサー活動ではなく、自社の技術力を生かせるプロジェクトでなければ参戦する考えはないという姿勢を示している。

    BYD

    2030年以降の新エンジン規則が判断材料に
    アルタヴィッラは、今後のF1エンジン規則次第では考え方が変わる可能性もあると明かした。

    「我々の技術がF1のテクノロジーパートナーとして生かせる方法が見つかれば、関心を持つかもしれません」

    「その場合は解決策を見つける必要があります。しかし、それが前提条件です」

    「ですから、新しい規則がどのように発展していくか見守りたいと思います」

    現在FIAは2030年以降の新たなパワーユニット規則として、ハイブリッド要素を縮小したV8エンジン中心の新フォーミュラを検討している。最終的なレギュレーションはまだ策定されていないが、その方向性がBYDの判断に影響を与える可能性がある。

    現時点でBYDはF1参戦計画を否定しているものの、技術パートナーとして価値を見いだせる環境が整えば参戦を検討する余地があることを認めた。2030年以降の新パワーユニット規則の議論が、同社の将来の判断を左右する重要な要素となりそうだ。

  • ルイス・ハミルトン F1新PU規則の複雑さを指摘「ファンも僕たちも理解が難しい」

    ルイス・ハミルトン F1新PU規則の複雑さを指摘「ファンも僕たちも理解が難しい」

    2026年から導入されたF1の新パワーユニット(PU)規則について、ルイス・ハミルトンは「ファンにとって理解しづらいだけでなく、ドライバー自身にとっても難しい」と語り、現在のエネルギーマネジメントがレースやドライビングに大きな影響を及ぼしていると説明した。

    2026年のレギュレーションではMGU-Hが廃止され、電力回生はブレーキングやアクセルオフ時にほぼ依存する形へ変更された。

    その結果、ドライバーは1周を通してバッテリー残量を常に管理する必要があり、従来とは異なる走り方が求められている。

    MGU-H廃止で一変したエネルギーマネジメント
    2026年のF1では、排気ガスからエネルギーを回収していたMGU-Hが廃止された。一方でMGU-Kの出力は350kWまで大幅に引き上げられ、パワーユニットは内燃機関と電力をほぼ50対50で使用する設計となっている。

    そのため、エネルギー回収はブレーキングやアクセルオフ時、さらに新たな「スーパークリッピング」モードによって行われるようになり、ドライバーは1周を通じてバッテリー残量を細かく管理しなければならない。

    予選でもブレーキングポイントのかなり手前からアクセルを戻して回生を行い、次のストレートで十分な電力を使える状態を作る必要がある。

    ハミルトン「限界まで攻めるほど不利になる」
    マイアミGP期間中に収録され、後日公開された『StarTalk』の動画でハミルトンは、新規則の難しさについて次のように語った。

    「ファンが完全に理解するのは本当に難しいし、僕たち自身にとっても理解が難しいんだ。F1カーを運転するときの究極の目標は、常に限界まで攻めることだからね」

    「本来ならコーナーを速く走れば、その分だけライバルよりタイムを稼げるはずなんだ」

    「でも今は使えるバッテリー量に限りがあるから、アクセルを戻している間は常に充電し、アクセルを踏んでいる間はその電力を使っている」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    「リスクを取るほど後でペナルティになる」
    ハミルトンは、MGU-H廃止によって生まれた新たなジレンマにも言及した。

    「今年はMGU-Hがなくなったことで充電量が少なくなっている。それが少し分かりにくいところなんだ」

    そして、高速コーナーで全開走行した場合の影響について、次のように説明した。

    「高速セクションを全開で走り抜けて、より思い切ってリスクを取ってコーナーを速く通過すると、その後で十分に充電できなくなってしまう」

    「つまり、速く走ろうとすればするほど、その後にペナルティを受けるような状態になっているんだ」

    従来はMGU-Hがターボから継続的にエネルギーを回収していたため、ドライバーは限界まで攻めながらも比較的安定して電力を確保できた。しかし2026年型パワーユニットではその仕組みがなくなり、「攻めること」と「エネルギーを蓄えること」のバランスがこれまで以上に重要になっている。

    こうした特徴についてハミルトンは、ファンだけでなくドライバー自身も完全には把握し切れていない複雑なシステムだと率直な思いを明かした。