カテゴリー: スクーデリア・フェラーリ

  • ルイス・ハミルトン F1イタリアGP初日に手応え「モンツァでポールは究極の夢」

    ルイス・ハミルトン F1イタリアGP初日に手応え「モンツァでポールは究極の夢」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1イタリアGP初日の走行を終え、フェラーリで初となるポールポジションをモンツァで獲得することは「究極の夢」だと語った。一方で、金曜の走行ではメルセデスに対するストレートスピードの不足が浮き彫りになり、予選に向けて改善が必要だと認めている。

    フェラーリはホームレースに向けてアップグレード版パワーユニットを投入。

    FP1ではシャルル・ルクレールがトップ、ハミルトンが2番手と1-2を飾ったが、FP2ではジョージ・ラッセルが最速タイムを記録し、ルクレールは2番手、ハミルトンは約0.5秒差の5番手となった。

    FP2では「ストレートだけでラッセルに0.6秒」
    FP2を終えたハミルトンは、フェラーリの最大の課題としてストレートスピードを挙げた。

    「ストレートスピードの差はかなり大きい。さっきデルタを見ていたんだけど、ストレートだけでジョージに0.6秒くらい失っていた。それは調べる必要がある」

    モンツァは長い全開区間が続くため、最高速とエネルギーの使い方がラップタイムを大きく左右する。ハミルトンはマシンバランスにも苦戦したと説明した。

    「それとバランスだね。マシンから1周のタイムを引き出すのが本当に難しかった。なぜかFP2ではすごく運転しづらかった。いくつか変更を加えたけど、あそこまで悪くなるはずではなかったと思う。元に戻す可能性もあるけど、もっといいフィーリングを得られるか確認してみる」

    ただし、ストレートでの差が単純にパワーユニットの性能だけによるものなのかについては慎重な見方を示した。

    「そこを調べないといけない。それが原因なのか、それともデプロイメントなのか。エンジン自体は改善しているし、ファクトリーのみんなが取り組んでくれたことには本当に感謝している」

    「でも僕たちのデプロイメントのやり方はライバルとは違う。それに、彼らはストレートでドラッグが少ないようにも見える。だから今夜、そこは間違いなく調べる必要がある」

    新パワーユニットには好感触
    フェラーリは今回、ADUO(追加開発・アップグレード機会)を利用してアップグレード版パワーユニットを投入した。ストレートでメルセデスとの差を感じたハミルトンだが、新仕様そのものについては前進を実感している。

    「低速ではエンジンはすごく扱いやすい。ここには低速コーナーが数カ所しかないけど、そこは問題になっていない。みんなが本当にいい仕事をしてくれた」

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールも、ストレートでのパフォーマンスはエンジンだけで決まるものではないと強調した。

    「ストレートでのパフォーマンスには、ドラッグ、マシン重量、その他すべてが関係していることを念頭に置かなければならない。エンジンだけの問題ではない」

    「確実に一歩前進している。理由もなくPU2を投入したわけではない。ただ、メルセデスとの間にはまだそれなりの差があると思う」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    ロングランではスリップストリーム不足も影響
    一方、ハミルトンはFP2でのタイム差について、自身がモンツァの長いストレートで十分なスリップストリームを得られなかったことも影響したと分析している。

    「ロングランは悪くなかった。ただ、少しペースが足りなかった。かなりの部分がストレートスピードによるもので、トウなんかも大きく関係している。僕はかなり単独で走っていたからね」

    「でもメルセデスはいつものようにストレートですごく速い。だから今夜やるべきことがある。そこを改善できるか、そしてバランスをもう少し良くできるか確認したい」

    予選ではスリップストリームの使い方が重要になると考えており、「ここではトウがすべてだから、おそらくトウを狙うことになる」と語った。

    「モンツァでポールは究極の夢」
    ハミルトンは2026年にフェラーリでF1初優勝を飾っているが、赤いレーシングスーツをまとってからポールポジションはまだ獲得していない。ティフォシが埋め尽くすモンツァでそれを実現できれば、特別な瞬間になる。

    「それが夢だよ。究極の夢だ。実現できるかどうか、それが本当に大きな問題だけどね」

    「今夜かなり作業をしなければならない。どこか間違っているところがないか、改善できる場所がないかを見つける必要がある」

    「改善できるところはたくさんある。でも言ったように、このコースでは適切なタイミングで適切な場所にいることも大きな助けになる」

    ライバル勢の速さについても警戒を隠さない。

    「かなり接戦になると思う。本当に僅差だ。僕たちはマクラーレンとメルセデスを相手にしていて、どちらもすごく競争力が高そうだ」

    「メルセデスは毎週末、本当に速い。間違いなく厳しい戦いになるけど、今夜しっかり取り組んで、何かを引き出せるか確認しないといけない」

    FP1ではフェラーリが1-2とホームの観客を沸かせた一方、FP2ではメルセデスのストレートスピードが際立った。ハミルトンにとって、予選までにマシンバランスとストレートでのタイムロスをどこまで改善できるかが、フェラーリで初のポール、そして「究極の夢」を実現するための鍵となる。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1の勝利を確信「必要なものは揃っている」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1の勝利を確信「必要なものは揃っている」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1イタリアGPを前に、フェラーリがモンツァへ投入するパワーユニットのアップデートに期待を示し、「僕たちには勝つために必要なものがあると強く信じている」と語った。

    昨年はフェラーリ加入初年度としてモンツァを迎えたハミルトンだが、今年はチームの開発方針がより明確になったと実感している。

    新たなエンジンアップデートだけでライバルとの差がすべて埋まるわけではないと認めながらも、マラネロで進む取り組みに確かな手応えを感じている。

    フェラーリドライバーとして迎える特別なモンツァ
    ハミルトンは木曜日、最近手に入れたクラシックなフェラーリF40を自ら運転してモンツァのパドックに登場。黒のスーツにブラウン系のオーバーコートを合わせ、多くのカメラマンの注目を集めた。

    その後に出席したF1の記者会見では、フェラーリのドライバーとしてイタリアGPを戦うことへの思いを語った。

    「フェラーリのドライバーでいることは最高の気分だよ。この象徴的なレースに、世界で最も象徴的で最高のチームとともにイタリアへ来られることは、本当に名誉であり特別なことだ」

    「2年連続でこれを経験できるのは本当に素晴らしいし、今でも新鮮に感じている。だから、慣れてしまうようなものではないよ」

    モンツァ投入の新エンジン「少しの改善でも助けになる」
    フェラーリは今週末のF1イタリアGPで、パワーユニットに新たなアップデートを投入する予定だ。高速区間の比率が高く、エンジン性能が重要になるモンツァだけに、その効果には大きな注目が集まる。

    アップデートによって優勝争いに加われるかと問われたハミルトンは、まず今季これまで抱えてきた性能差を説明した。

    「少しでも改善されれば助けになる。どんな小さなものでもね」

    「今年はここまでずっと失ってきた。前回のレースでさえ、あれだけ短いサーキットなのに、決勝では1周につきコンマ4秒を失っていた。それはものすごく大きな差だし、今年はここまでずっとその差を抱えてきた」

    一方で、ハミルトンが強調したのは、マラネロで開発を続けるスタッフたちの姿勢だった。

    「僕が言えるのは、ファクトリーへ戻って、みんながどれだけ懸命に働いているかを見ると、本当に誇らしく思うということだ。みんな黙々と仕事に取り組んでいるし、すごく熱意がある」

    昨年との最大の違い「今はノーススターがある」
    ハミルトンによれば、2026年のフェラーリには昨年には感じられなかった明確な開発目標が存在する。

    「今年は昨年とは違う集中力を感じている。昨年は本当の意味での『ノーススター』がなかったように感じていた。僕たちはできる限りのことをしていたと思うけど、正確にどこを目指しているのかが、はっきりしていなかった」

    ここでハミルトンが使った「ノーススター」は、チーム全体が共有する明確な目標や進むべき方向を意味する。

    「今はノーススターがある。どこに向かって取り組む必要があるのか分かっているし、ファクトリーのみんなは本当に素晴らしい仕事をして、一丸となって成果を届けてくれたと思う」

    今回のエンジンアップデートについても、ハミルトンは現状を一変させるものではなく、継続的な改善の一部として捉えている。

    「これは一歩前進だ。僕たちが埋めなければならない差のすべてではないけど、それは最初から分かっていた」

    「でも、毎週末少しずつ新しいものが投入されて、マシンに加わっていくのを見るのはワクワクする。僕たちがプッシュしていることが分かるからね。僕は今でも、僕たちには勝つために必要なものがあると強く信じている」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    フェラーリでモンツァ初勝利なら歴史的な6勝目
    ハミルトンにとって今週末は、自身のF1キャリアに新たな記録を加える可能性もある。

    ハミルトンはこれまでモンツァで5勝を挙げており、ミハエル・シューマッハと並んでいる。フェラーリのドライバーとしてイタリアGPを制すれば、モンツァ通算6勝目となり、シューマッハを上回ることになる。

    難しいフェラーリ加入初年度を経て迎えた2度目のホームグランプリだけに、ハミルトン自身も「初めてのことが待っているかもしれない」と意識している。

    ただし、勝利への自信について改めて問われると、それは単純にエンジンアップデートだけを根拠にした発言ではないと説明した。

    「僕が言いたかったのは、このチームには勝つために必要なものがあると強く信じているということだ」

    「このレベルでは上位の差は本当に小さい。僕たちが今週末に勝つためにも、どの週末に勝つためにも、チーム全体がひとつにならなければならない」

    「ひとつの要素だけじゃない。最初からすべてがうまく流れていかなければならないんだ」

    ティフォシの期待と母親の応援を力に
    フェラーリにとってモンツァは単なる1戦ではない。チームの母国であり、ティフォシから結果を求められる特別なグランプリだ。

    ハミルトンも、その期待が大きなプレッシャーになることを認めている。

    「プレッシャーは大きい。チームのために結果を出したいと思う。ファクトリーにはたくさんの人たちがいて、その多くがこのレースにも来る」

    「ティフォシも本当に大勢来てくれるし、その情熱は他とは比べものにならない。彼らのためにも結果を届けたい」

    さらに今週末は、ハミルトンの母親もモンツァを訪れているという。

    「今週末は母も来ている。モンツァに来たことはなかったと思うし、特にフェラーリの週末を経験したことはない。だから、この雰囲気を体験してほしかったんだ。それに、母が持っている幸運を少しでも持ってきてもらえたらと思っているよ」

    2026年のフェラーリは、ハミルトンが語る「ノーススター」のもとで開発の方向性を明確にし、段階的な改善を続けている。モンツァで投入されるエンジンアップデートもその一環であり、単独で大きな性能差を消し去るものではない。

    それでもハミルトンは、ファクトリーの取り組みとチーム全体の進歩を根拠に勝利の可能性を信じている。フェラーリのホームで自身通算6度目のモンツァ制覇を達成できれば、ティフォシにとってもハミルトンにとっても特別なF1イタリアGPとなる。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1残留の決め手はバスール「200%信じている」

    シャルル・ルクレール フェラーリF1残留の決め手はバスール「200%信じている」

    シャルル・ルクレールが、フェラーリとのF1契約を複数年延長した理由を明かし、フレデリック・バスール代表への絶大な信頼が決断を後押ししたと語った。

    2019年からフェラーリでF1を戦うルクレールにとって、スクーデリアでワールドチャンピオンになるという目標は今も変わっていない。2026年シーズン前半には苦しい時期も経験したが、それでもフェラーリのプロジェクトとバスールへの信頼に揺らぎはなく、「これが正しい決断だということに疑いはなかった」と強調している。

    「ここが自分の居場所」フェラーリとの契約延長
    2026年シーズン序盤、ルクレールはモナコ、バルセロナ、オーストリアの3戦で2度のリタイアと8位という厳しい結果に直面した。

    その一方で、28歳のルクレールはフェラーリとの新たな複数年契約に合意。「今後数シーズン」にわたって赤いマシンをドライブすることが決まった。

    F1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演したルクレールは、契約延長について「ただ、それが正しいと感じた」と説明した。

    「それ以上の説明が必要ないこともあると思う。僕にとって、今はここが自分の居場所なんだ。ここにいると心地いいし、いい結果を出したいというモチベーションを一番強く感じられる。それだけこのチームが大好きだからだ」

    「2019年にF1チームに加入してからもう何年も経っているけど、フェラーリファミリーの一員になったのはそれよりも前だ。フェラーリと一緒にワールドチャンピオンになるという究極の目標を諦めたくない」

    ルクレールは、現在のフェラーリが示している開発姿勢も将来への期待につながっていると語る。

    「このプロジェクトを信じているし、チームの一人ひとりを信じている。今年は僕たちがイノベーションを示しているシーズンだと思う。生産計画でも非常にアグレッシブだし、投入しているアップグレードについてもそうだ。それが将来に大きな希望を与えてくれている」

    バスールへの絶大な信頼「200%信じている」
    契約延長を決断するうえで大きな要素となったのが、フェラーリF1代表を務めるフレデリック・バスールの存在だった。

    「フレッドも、僕が再び契約した大きな理由のひとつだ。僕はフレッドを200%信じている」

    「僕たちはもう何年も前からお互いを知っているし、ずっと大好きだったチームで彼と一緒に仕事ができるのは特別なことだ。だから僕にとって、これが正しい決断だということに疑いはなかった」

    ルクレールとバスールの関係はF1以前にまでさかのぼる。2016年にルクレールがGP3に参戦したARTグランプリを率いていたのがバスールだった。

    「もうずっと昔からフレッドを知っているような感覚なんだ。彼は、一度話しただけでもそういう感じになる人だ。たぶん価値観なんだと思う。最初から自然とうまくいく何かがあって、それを完全に説明することはできない」

    「最初に話したときから、ずっと前から知っているように感じていた。だから当然、僕たちの絆は単なる仕事上の関係やビジネス上の関係よりも強い」

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)

    ハミルトンとの違いに苦しんだ2026年前半
    2026年シーズン前半、ルクレールが苦戦する一方で、チームメイトのルイス・ハミルトンは好調だった。ハミルトンはカナダGPとモナコGPで2位に入り、バルセロナではフェラーリ加入後初勝利を挙げた。

    ルクレールは当時、自分のマシンのセットアップを見直すか、自身のドライビングスタイルをマシンに合わせる必要があると考えていたという。しかし、7度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンの走り方をそのままコピーすることはできないと説明する。

    「『ルイスはこうしている。じゃあ僕も同じことをしよう』というほど簡単じゃない。ルイスは信じられないほど才能のあるドライバーだし、彼自身の自然なドライビングスタイルを持っている。その特定のスタイルでは世界最高だ」

    「それを再現するのはものすごく難しい。だから僕は、自分のドライビングスタイルにもう少し合うマシンにする方法を探すことに力を入れた。データの中から、うまく機能していない部分もいくつか見つけた。ただ、F1では物事がいつも白か黒かというほど単純ではない」

    データを見ればすぐに答えが見つかるわけではないともルクレールは説明する。

    「コンピューターの前に座ってデータを見て、『ここで0.15秒失っている。じゃあこれを変えよう』というような簡単な話じゃない。直感やフィーリングなんだ」

    「『これがマシンの中で自分を少し不快にさせている部分かもしれない。この感覚を改善できればパフォーマンスもついてくる』と考えるようなものだ」

    シルバーストンで見つけた転機
    転機となったのはイギリスGPだった。ルクレールはシルバーストンでマシンにいくつかの変更を施し、それが「正しい方向」に進んだと感じた。そして決勝では今季初勝利を挙げた。

    それ以降、ルクレールが意識しているのは、マシンの挙動について考えすぎないことだという。

    「マシンは常に変化している。だからメルボルンで感じていたものに完全に戻れるわけではない。すべてが進化している。でも僕の目標は、マシンに乗ったときに考えすぎないことだ」

    「考えすぎているときは、それだけでタイムを失っていると分かる。僕たちのスポーツでは、マシンで起きていることに反応することよりも、先を予測してマシンを感じることの方が重要だからだ」

    「コーナーに入るとき、マシンがどう動くのかを正確に分かっていなければならない。そうすれば、いちいち考えすぎる必要がなくなる」

    ルクレールは、ドライバーが最大限の能力を発揮するためには、いわゆる「フロー状態」に入ることが重要だと考えている。

    「考えすぎることはパフォーマンスを殺すと思う。物事が自然に起きるとき、それがレーシングドライバーやアスリートが言う『フロー状態』なんだと思う」

    「すべてが自然に流れているときこそ、自分のポテンシャルを100%使えている。いろいろなことを考えなければならなくなると、そこから難しくなる」

    フェラーリはメルセデスを逆転できるのか
    フェラーリは現在、F1コンストラクターズ選手権で2位につけているが、首位メルセデスとの差は87ポイントとなっている。

    残るシーズンでフェラーリがメルセデスを逆転できるかについて、ルクレールは2026年マシンではアップグレードによって勢力図が大きく変化するため「予測するのは非常に難しい」と語った。

    「そこについて考えることに、あまりエネルギーを使いたくない。このチャンピオンシップはアップグレードによって決まると思う。それくらい、このマシンではアップグレードの影響が大きい」

    「以前よりダウンフォースがかなり少なくなっているから、このマシンにダウンフォースを少し加えるだけでも、コース上でのフィーリングに与える影響はずっと大きい。だから勢力図は、良い方向にも悪い方向にもあっという間に変わる可能性がある」

    そのため、ルクレールはタイトル争いの可能性を計算するのではなく、一戦ずつに集中していくという。

    「僕は一戦一戦に集中している。そのチャンピオンシップを本当に狙えるのかという長期的なことは、あまり考えていない。でも、可能性が完全になくなるまでは信じ続けるよ。どうなるか見てみよう」

    「チャンピオンシップは、いつか達成したい夢だ。特に赤いチームと一緒にね。それはもう何年も前から僕が抱いている夢だ」

    「僕たちは近づいていると感じている。それがいつになるのかは分からない。でも、できるだけ早く実現してほしいと思っている」

    苦しい2026年シーズン前半を経験しても、ルクレールがフェラーリへの信頼を失うことはなかった。バスールへの「200%」の信頼、積極的な開発姿勢、そしてフェラーリでF1ワールドチャンピオンになるという長年の夢。そのすべてが、ルクレールにとって契約延長を迷う余地のない決断にした。

  • ルイス・ハミルトン 愛車フェラーリF40でF1イタリアGPに登場「夢が叶った」

    ルイス・ハミルトン 愛車フェラーリF40でF1イタリアGPに登場「夢が叶った」

    ルイス・ハミルトンが、2026年F1第13戦イタリアGPを前にモンツァのパドックへ希少なフェラーリF40を自ら運転して登場し、大きな注目を集めた。

    フェラーリ加入2年目を迎えているハミルトンにとって、F40は幼いころから憧れ続けてきた「夢のクルマ」だという。今回モンツァに持ち込んだ車両は、30年以上ガレージに眠っていた個体を入手し、マラネロのフェラーリでレストアした特別な一台だ。

    ハミルトンがF40でモンツァ入り
    木曜日のメディアデー、ハミルトンは黒のスーツにタンカラーのオーバーコートという装いで、自身のフェラーリF40を運転してモンツァに姿を現した。

    F40は、フェラーリが1987年から1992年にかけてわずか1,311台を生産したスーパーカーで、現在では状態によって300万ドル(約4億円)前後の価格が付くこともある希少なモデルだ。

    ハミルトンのF40には、自身がF1で使用するカーナンバー「44」を取り入れたパーソナライズされたナンバープレートも装着されている。

    ハミルトンは2025年に、それまで所有していた自動車コレクションをすべて売却したことを明らかにしていた。しかし、フェラーリF40だけは別だった。41歳のハミルトンにとって、このクルマを所有することは長年抱き続けてきた夢だったという。

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    「これが僕の夢のクルマ」
    ハミルトンは自身のSNSで、F40を手に入れるまでの経緯と、この一台に対する特別な思いを明かした。

    「僕自身のF40。これは僕の夢のクルマで、物心ついたころからずっとそうだった」

    「子どものころ、自分のF40を持つことを夢見ていた。昨年フェラーリに加入したときも、マラネロでの初日にF40を用意してもらった。それくらい僕にとって大きな意味を持つクルマなんだ」

    今回ハミルトンが手に入れたF40は、長期間にわたって走らせることなく保管されていた個体だった。

    「こうしたクルマは芸術作品で、本当に希少なものだ。だから、30年以上ガレージに置かれたまま埃をかぶっていたこの一台を見つけたとき、絶対に連れて帰らなければと思った」

    購入後、F40はフェラーリの本拠地マラネロへ運ばれ、ファクトリーのエンジニアとメカニックによって復活作業が行われた。

    「まずマラネロに運び、ファクトリーの素晴らしいエンジニアとメカニックたちが何週間もかけて、このクルマを生き返らせてくれた。このプロジェクトに携わってくれた全員に心から感謝している。本当に夢が叶ったよ」

    昨年はドゥカティ 今年はフェラーリF40
    ハミルトンがモンツァへの登場方法で注目を集めるのは今回が初めてではない。2025年のF1イタリアGPでは、イタリア国旗のトリコローレをまとったドゥカティのバイクでサーキットに姿を現して話題となった。

    そして2026年は、フェラーリを象徴する歴史的なロードカーのひとつであるF40を選んだ。

    フェラーリにとってイタリアGPはティフォシの前で戦う最重要レースのひとつだ。チームが最後にモンツァで勝利したのは2024年で、シャルル・ルクレールが地元ファンの前で優勝を飾っている。

    ハミルトンは現在、F1ドライバーズ選手権3位。ジョージ・ラッセルと同ポイントにつけ、首位アンドレア・キミ・アントネッリとは59ポイント差となっている。

    幼いころから憧れてきたF40を自ら走らせてモンツァ入りしたハミルトン。フェラーリのホームレースでは、今度はF1マシンのステアリングを握り、ティフォシの前で結果を残すことを目指す。

  • フェラーリF1 イタリアGPで新PU投入を正式確認 ADUOで性能向上

    フェラーリF1 イタリアGPで新PU投入を正式確認 ADUOで性能向上

    フェラーリは、2026年F1第13戦イタリアGPでSF-26にアップデートされたパワーユニットを投入することを正式に認めた。ADUO(追加開発・アップグレード機会)の枠組みを利用した今季2度目のアップグレードで、約15馬力の向上が見込まれている。

    ハンガリーGPとオランダGPでマクラーレンが連勝する一方、フェラーリは直近の勢力図でマクラーレンやメルセデスに後れを取っている。しかし、パワーが重要となる高速のモンツァを前に、マラネロには巻き返しへの期待が高まっている。

    ADUOを活用してモンツァでPUをアップグレード
    今回のアップグレードは、F1のADUO制度によって認められた追加開発機会を利用したものだ。最新のADUO評価では、レッドブル・パワートレインズの内燃エンジンが基準となっており、フェラーリには開発機会が与えられている。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、ホームレースとなるイタリアGPを前に、アップデートされたパワーユニットを投入することを明らかにした。

    「モンツァはフェラーリにとって常に非常に特別な週末だ」とバスールは語った。

    「ティフォシの前でレースをすることはチーム全体に信じられないほどのエネルギーを与えてくれる。今年はさらに、ミハエル・シューマッハと、彼が我々の会社に残したレガシーを称えるという感情的な意味も加わる」

    「絶え間なく改善を追求する姿勢、細部へのこだわり、そしてチームワークに対する強い信念。これらは現在も我々にとって重要な価値観であり続けている」

    そして、パフォーマンス面についてバスールは次のように説明した。

    「パフォーマンス面では、ADUOで利用可能な開発機会の一環として、アップデートされたパワーユニットを投入する。これは正しい方向への一歩であり、我々も理解しているように、今年はまさに小さな改善を積み重ねていくシーズンだ」

    スクーデリア・フェラーリ

    約15馬力向上 モンツァで効果に期待
    今回のアップグレードによる出力向上は約15bhpと報じられている。実際の効果はエネルギーマネジメントやマシン側のセットアップにも左右されるが、長いストレートと低ドラッグ性能が重要となるモンツァでは、その恩恵を引き出しやすい。

    シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンにとって、ストレートでのパフォーマンス向上は大きな武器となる可能性がある。

    また、今回の動きで注目されるのがADUOによるメーカー間の開発機会の違いだ。最新評価で基準となっているレッドブル側には同制度による追加アップグレードの機会が与えられない一方、フェラーリを含む基準を下回ったメーカーには性能差に応じた開発機会が認められている。

    そのため、フェラーリにとって今回のアップグレードは単なるモンツァ専用の強化ではなく、シーズン後半に向けてパワーユニットの差を縮める重要な一歩となる。

    シューマッハへのオマージュとともにホームGPへ
    フェラーリはイタリアGPで、ミハエル・シューマッハへのオマージュを込めたスペシャルカラーリングも採用する。シューマッハがフェラーリ加入初年度の1996年にドライブしたF310から着想を得たデザインとなる。

    ホームのティフォシ、シューマッハへのトリビュート、そして約15馬力とされるパワーユニットのアップグレード。フェラーリは複数の要素を携え、モンツァでマクラーレンとメルセデスへの反撃を狙う。

  • ミハエル・シューマッハがバリチェロをフェラーリF1で6年間必要とした理由

    ミハエル・シューマッハがバリチェロをフェラーリF1で6年間必要とした理由

    ジェンソン・バトンが、ルーベンス・バリチェロとチームメイトになって初めて知ったという意外な能力を明かした。2009年F1ワールドチャンピオンによれば、バリチェロはマシンの挙動を理解し、その情報を開発につなげる能力が極めて高かったという。

    その能力を間近で目にしたことで、バトンはミハエル・シューマッハがフェラーリ時代にバリチェロを長年チームメイトとして必要とした理由を理解したと語っている。

    フェラーリ黄金期を支えたバリチェロ
    バトンとバリチェロは、2006年から2008年までホンダでチームメイトを務めた。これによりバトンは、2000年から2005年まで6シーズンにわたってシューマッハとフェラーリで戦ったバリチェロの仕事ぶりを間近で見ることになった。

    バリチェロが在籍したフェラーリは、2000年から2004年まで5年連続でコンストラクターズタイトルを獲得。シューマッハも同じ5年間でドライバーズタイトルを5連覇し、フェラーリはF1史に残る黄金期を築いた。

    2006年にフェラーリを離れてホンダへ移籍したバリチェロは、当時のF1で最も成功していたチームで培った豊富な経験を持ち込んだ。

    その2006年、バトンはハンガリーGPでF1初優勝を達成している。

    F1公式ポッドキャスト『Beyond the Grid』で、これまで一緒に仕事をしたなかで「エンジニアリングやマシン開発という面で最も優れていたドライバーは誰か」と尋ねられたバトンは、迷うことなくバリチェロの名前を挙げた。

    「この質問は何度もされたことがある。エンジニアリングという点で、誰が一番優れたドライバーだったと思うかってね。圧倒的にルーベンスだった」

    マシンの問題を理解して開発へつなげる能力
    バトンが特に高く評価したのは、単にマシンの状態をエンジニアへ伝える能力だけではない。バリチェロ自身がマシンの挙動を深く理解し、何を変更すべきなのかまで考えられる点だった。

    「チームとの仕事やマシンの開発、コース上でマシンが何をしているのかを理解して、それをチームに伝える能力が本当に優れていた」

    「それだけじゃなくて、エンジニアにすべて任せるのではなく、自分自身でマシンに何をすべきなのかを理解していた」

    ドライバーから得られるフィードバックは、セットアップだけでなくマシン開発の方向性を決める重要な材料となる。バトンによれば、バリチェロはその領域で際立った能力を持っていた。

    そして、その仕事ぶりを実際に経験したことで、バトンにはフェラーリ時代のシューマッハとバリチェロの関係についても新たに見えてきたものがあった。

    シューマッハが6年間チームメイトに望んだ理由
    シューマッハとバリチェロは2000年から2005年まで6シーズンにわたってフェラーリでコンビを組んだ。

    成績ではシューマッハが明確に上回っていたが、フェラーリはバリチェロを長期間その隣に置き続けた。バトンはホンダで一緒に仕事をしたことで、その理由が理解できたという。

    「なぜミハエルがあれほど長い間、彼をチームメイトにしたがっていたのか分かるよ」

    「僕も一緒にレースをするようになって、その経験をすることができた。ルーベンスが持っている能力を実際に見ることができたんだ。それまでは、彼にそんな能力があるなんて想像もしていなかった」

    バリチェロの価値は、レースでポイントを獲得してコンストラクターズ選手権に貢献することだけではなかった。シューマッハとともにマシンを速くするための開発作業を進められることも、フェラーリにとって重要な要素だったというのがバトンの見方だ。

    ミハエル・シューマッハとルーベンス・バリチェロ

    ホンダに持ち込んだフェラーリでの経験
    ただしバトンは、バリチェロがホンダへ移籍したことで、それまでチームになかった「勝者のメンタリティ」が持ち込まれたという見方には否定的だ。

    「勝者のメンタリティということではないと思う」

    「だって、僕たちはみんな勝ちたい。勝つためにできる限りのことをしているからね」

    当時のホンダにも、F1で勝利するために必要な人材と意欲はすでに存在していたとバトンは振り返る。

    「ホンダにはすでに勝利を目指すための人材も野心もあった。問題はむしろマシンのパフォーマンスだった」

    「フェラーリと戦っているのはアマチュアのチームじゃない。何百人もの人たちが働いていて、このスポーツで膨大な経験を持っている」

    「だから、勝つためのメンタリティはずっとあったと思う。ただ、それを実現するために必要なパッケージが完全には揃っていなかったんだ」

    その一方で、フェラーリから加入したバリチェロの技術的なフィードバックには大きな価値があった。

    「でも、経験豊富な2人のドライバーからフィードバックを得られたことは本当に重要だったと思う」

    「当然、チームはルーベンスの意見をかなり聞いていた。彼はフェラーリから来て、ミハエルと一緒に仕事をしていたんだからね」

    ホンダ撤退後も続いたコンビが2009年にF1王座
    バトンとバリチェロの関係は、ホンダが2008年限りでF1から撤退した後も続いた。

    ホンダのF1チームはロス・ブラウンによって引き継がれ、2009年にブラウンGPとして参戦。バトンとバリチェロはそのままドライバーを務めた。

    ブラウンGPは参戦初年度から圧倒的なスタートを切り、バトンがドライバーズタイトルを獲得。チームもコンストラクターズタイトルを手にし、わずか1シーズンだけ活動したチームとしてF1史に残る成功を収めた。

    バリチェロはフェラーリでシューマッハとともに5度のコンストラクターズタイトル獲得に貢献した後、ホンダを経てブラウンGPでもタイトル獲得を経験したことになる。

    ブラウンGPがメルセデスに買収された後、バリチェロは2010年にウィリアムズへ移籍。2011年までF1で戦い、同年のブラジルGPが最後のF1出走となった。

    その後もモータースポーツから離れることはなく、現在もブラジルのストックカー・プロ・シリーズでレース活動を続けている。

    シューマッハのフェラーリ黄金期では、その圧倒的な成績からバリチェロは「ナンバー2」として語られることも多い。しかし、後に実際にチームメイトとなったバトンの証言は、バリチェロがマシン開発と技術的フィードバックという目立ちにくい領域でも重要な役割を担っていたことを示している。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1の「アグレッシブ」な開発姿勢を絶賛

    シャルル・ルクレール フェラーリF1の「アグレッシブ」な開発姿勢を絶賛

    シャルル・ルクレールは、2026年F1シーズンにフェラーリが展開しているアグレッシブなアップグレード戦略について「非常に印象的」と評価した。SF-26にはシーズン序盤から継続的に改良が投入されており、ライバルを上回るペースで進められる開発がタイトル争いでの反撃を支えているという。

    フェラーリは第13戦イタリアGPを前に、コンストラクターズ選手権で首位メルセデスを87ポイント差で追っている。

    フェラーリが仕掛ける「アグレッシブ」なアップグレード戦略
    2026年のフェラーリを特徴づけているのが、シーズンを通じた高頻度のアップデートだ。

    SF-26にはマイアミ、バルセロナ、オーストリア、イギリス、ハンガリー、そして前戦オランダGPと相次いでアップグレードが投入されてきた。さらにホームレースとなるイタリアGPでは、ADUOトークンを活用したパワーユニットのアップグレードも予定されている。

    対照的にメルセデスは、5月のカナダGP以降アップグレードを投入していない。その間にフェラーリだけでなくマクラーレンもメルセデスとの差を縮めており、シーズン中の開発競争が勢力図を急速に変えつつある。

    ルクレールは、フェラーリには明確な開発方針があり、シーズン前半を通じてSF-26の弱点もはっきりしてきたと説明する。

    「非常に明確な開発プログラムがあるし、まだ改善したいことはたくさんある」

    「シーズン前半における主な制約が何だったのかも、とても明確になっている。現時点でメルセデスやレッドブルと比較して最も不足しているのはエンジンとパワーで、そこに重点を置いている」

    フェラーリではパワーユニット、シャシー、エアロダイナミクスの各部門が開発を進めているが、ルクレールによれば、チームとして目指す方向は明確に定まっている。

    「エンジン、シャシー、エアロの各チームがあるけど、プログラムは決まっているし、僕たちはどこへ向かいたいのかを分かっている。それは良いことだと思う」

    「シーズン前半には特に悪い意味でのサプライズはなかったと思う。前世代のマシンでは、マシンが路面に接触することもあって難しかった」

    「時には風洞で得られたものが実際のマシンでは得られないこともあった。今年はそういうことがほとんどない。それは今後マシンに投入したいものを開発していくうえで、とてもポジティブなことだ」

    ここでルクレールが強調しているのは、単純にアップデートの数が多いということだけではない。風洞で予測された性能と実車との相関が安定していることで、フェラーリが開発の方向性に確信を持ちながら次のアップデートへ進めていることも重要な要素となっている。

    ルクレールが評価するフェラーリの「革新性」
    フェラーリは開発スピードだけでなく、2026年のF1レギュレーションの中で新たな解決策を探し出す姿勢でも存在感を示している。

    その象徴となっているのが、いわゆる「マカレナ・リアウイング」や、エキゾースト出口付近に設けられた小型ウイングレットなど、SF-26に採用された独創的なアイデアだ。

    ルクレールは、こうした革新的なアプローチそのものが現在のフェラーリにとってポジティブな兆候だと考えている。

    「非常に印象的だ。今年の僕たちは、他のチームと比べても非常にアグレッシブなアプローチを取っている」

    「まずイノベーションという点で、これは非常にポジティブな兆候だと思う。僕たちが革新を続け、レギュレーションの中で解決策を見つけるために、これまでのやり方から一歩踏み出していることを示している」

    そして、ルクレールがもうひとつ高く評価しているのが、アップグレードを短期間で実戦投入するフェラーリの生産体制だ。

    F1の開発競争では、設計部門が性能向上につながるパーツを生み出しても、それを迅速に製造してサーキットへ届けられなければ効果を発揮できない。フェラーリは2026年シーズン前半、この設計から製造、実戦投入までのサイクルをアグレッシブに進めてきた。

    「そして2つ目が、アップグレードを投入するアグレッシブな、非常にアグレッシブな計画だ。シーズン前半、生産部門は僕たちが可能な限り早くパーツを受け取れるように全力で取り組んでくれた。本当に素晴らしい仕事をしていると思う」

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)

    新レギュレーション初年度だからこそ開発速度が重要
    2026年は新しいF1技術レギュレーションが導入された最初のシーズンであり、各チームのマシンにはまだ大きな開発余地が残されている。

    レギュレーションが成熟した時期とは異なり、開発初期ではひとつのアップデートによって得られるパフォーマンス向上も大きい。そのため、アップグレードをどれだけ早く投入できるかが、シーズン中の競争力を左右する重要な要素となる。

    ルクレールも、現在のフェラーリが持つ開発スピードは、まさに新レギュレーション初年度だからこそ大きな意味を持つと強調した。

    「今年のように開発の非常に初期段階にいるシーズンでは、それが大きな違いを生んでいる。投入するアップグレードひとつひとつが非常に大きな違いにつながるからだ」

    「だからシーズン後半も、このようにプッシュし続けていく」

    フェラーリにとって残された大きな課題は、ルクレール自身が認めるようにメルセデスやレッドブルに対するパワー面での不足だ。一方で、SF-26は風洞と実車の相関が安定し、空力面では新たなアイデアを積極的に採用。それを生産部門が短期間で実戦投入する開発サイクルも機能している。

    首位メルセデスとの87ポイント差を逆転するには、シーズン後半にさらに大きなパフォーマンス向上が必要になる。それでもルクレールの発言からは、フェラーリが明確な開発ロードマップを持ち、アグレッシブなアップグレード攻勢によってタイトル争いでの反撃を狙っていることがうかがえる。

  • フェラーリF1 アロンソに伏せてベッテル獲得交渉「不公平な交渉だった」

    フェラーリF1 アロンソに伏せてベッテル獲得交渉「不公平な交渉だった」

    フェルナンド・アロンソが2014年限りでフェラーリを離れた舞台裏には、当時本人が知らされていなかった重要な動きがあったという。アロンソが自身の将来についてフェラーリと交渉を続けていた一方で、マラネロではすでにセバスチャン・ベッテル獲得に向けた動きが進んでいたと、F1ジャーナリストのマーク・ヒューズが明かした。

    2010年から2014年までフェラーリのエースを務めたアロンソは、2010年と2012年に最終戦までF1ワールドチャンピオン争いを繰り広げた。

    しかし、タイトルには届かず、両者の関係は次第に悪化。最終的にアロンソは2014年末にチームを離れ、翌2015年からマクラーレン・ホンダへ移籍した。

    アロンソが知らなかったベッテルとの交渉
    ヒューズがポッドキャスト『F1 Rewind』で語ったところによれば、2014年のアロンソとフェラーリの交渉は、双方が同じ情報を持った状態で行われていたわけではなかった。

    当時、アロンソには2016年までフェラーリとの契約が残っていた。一方で、自身の将来を見据えてメルセデスやマクラーレン・ホンダとも交渉を進めていたという。

    アロンソ自身はフェラーリとの交渉において有利な立場にいると考えていた。

    「アロンソは、自分が非常に有利な立場にいると思っていた。自分こそがフェラーリの中心人物だと考えていた」とヒューズは説明する。

    しかし、その裏側では別の動きが進んでいた。

    当時レッドブルで4年連続F1ワールドチャンピオンとなっていたベッテルには、一定の条件を満たせば契約を解除できる条項が存在していた。2014年、レッドブルは新たなパワーユニット規則への対応で苦戦し、ベッテル自身も新加入のダニエル・リカルドに後れを取っていた。

    ベッテルがレッドブルを離れる可能性が生まれると、フェラーリは獲得へ向けて動き始めた。

    だが、ヒューズによれば、アロンソはベッテルの契約解除条項についても、フェラーリがベッテルと交渉していることについても知らされていなかった。

    「状況は常に変化していた。フェラーリは何が起きているのかを知っていたが、アロンソは知らなかった。だから、本当に不公平な交渉だった」

    「フェルナンドは自分がすべての情報を持っていると思っていた。でも、実際にはそうではなかった」

    フェラーリにはアロンソへ知らせる義務があった?
    さらにヒューズは、フェラーリとアロンソの契約には、チームが他のドライバーと交渉する場合、それをアロンソ側へ知らせることを求める条項が存在していたと主張している。

    これが事実であれば、フェラーリがベッテルとの交渉をアロンソに伏せていたことには、契約上の問題があった可能性も出てくる。

    ただし、ヒューズによれば、フェラーリ側にもアロンソを完全に手放すと決断できない事情があった。

    ベッテルがレッドブルとの契約解除条項を実際に行使できるかどうかが、まだ確定していなかったからだ。

    「起こり得たのは、セバスチャンが契約解除条項を発動しない、あるいは発動できる状況にならないことだった。その場合、フェラーリにはアロンソに残ってもらう必要があった」

    つまりフェラーリは、ベッテル獲得の可能性を探りながら、もし交渉が成立しなかった場合に備えてアロンソを残す選択肢も維持していたというのがヒューズの説明だ。

    アロンソから見ればフェラーリとの将来を巡る交渉だったが、フェラーリ側から見れば、ベッテル獲得の成否を見極めながら進める二重の交渉だったことになる。

    ミハエル・シューマッハがベッテル獲得を推薦
    ベッテルのフェラーリ加入には、ミハエル・シューマッハも間接的に関わっていたという。

    シューマッハとベッテルは親しい関係にあり、ヒューズによれば、シューマッハは当時フェラーリ会長だったルカ・ディ・モンテゼーモロにベッテル獲得を推薦していた。

    「ルカをその気にさせるのに、それほど説得は必要なかった」とヒューズは振り返る。

    重要なのは、その動きが2014年になって突然始まったものではなかったとされている点だ。

    ヒューズの説明では、シューマッハからモンテゼーモロへの推薦を含め、ベッテルを将来のフェラーリドライバーとして迎える構想は2013年の段階ですでに存在していたという。

    つまり、フェラーリが2014年の新F1パワーユニット規則への対応に苦戦したことだけが、アロンソからベッテルへの交代を決定づけたわけではない可能性がある。

    フェルナンド・アロンソ(スクーデリア・フェラーリ)

    関係悪化の始まりは2010年アブダビGP
    アロンソとフェラーリの関係が決定的に悪化するまでには、数年間にわたる積み重ねがあった。

    ヒューズが大きな転換点として挙げたのが、2010年F1最終戦アブダビGPだ。

    アロンソはフェラーリ加入初年度からタイトル争いを展開し、ポイントリーダーとして最終戦を迎えた。しかし、決勝ではフェラーリの戦略が裏目に出て、ルノーのヴィタリー・ペトロフを抜けないまま7位でフィニッシュ。ベッテルに逆転され、3度目のF1ワールドチャンピオン獲得を逃した。

    ヒューズによれば、この敗戦を境にフェラーリとアロンソの関係性は変わり始めたという。

    「ほとんどすべてが、その瞬間から壊れていった。それ以降、うまくいかなければチームの責任で、うまくいけばフェルナンドのおかげ、という構図になった」

    ヒューズは当時、モンテゼーモロ本人からも同様の不満を聞いていたと明かしている。

    「彼は基本的にこう言っていた。アロンソは素晴らしいドライバーだが、うまくいったときは『アロンソだから』で、うまくいかなかったときは『チームのせい』になると感じていた」

    2010年のタイトル逸失だけで両者の関係が破綻したわけではない。しかし、その後もフェラーリはアロンソが望むだけの競争力を持つマシンを用意できず、不満が蓄積していった。

    2014年に決着 アロンソ離脱とベッテル加入
    2014年にはF1がV6ターボ・ハイブリッド時代へ移行したが、フェラーリはメルセデスに大きく後れを取った。

    一方のレッドブルも、それまでの圧倒的な優位を失い、4連覇王者だったベッテルはチームメイトのリカルドに苦戦した。

    その状況下でベッテルはレッドブル離脱を決断。フェラーリはアロンソとの契約を予定より早く終了させ、ベッテルをキミ・ライコネンのチームメイトとして2015年から迎え入れた。

    アロンソはマクラーレンへ移籍し、ホンダがF1にパワーユニットサプライヤーとして復帰する新プロジェクトに参加した。

    結果だけを見れば、アロンソがフェラーリに見切りをつけ、ベッテルがその後任として加入したというドライバー交代だった。

    しかしヒューズの証言を踏まえると、その過程はより複雑だったことになる。

    フェラーリはベッテルという次の選択肢を水面下で確保しようとしながら、その交渉が成立しなかった場合に備えてアロンソ残留の可能性も維持していた。一方のアロンソは、その重要な情報を知らないまま自身の将来を巡る交渉を進めていたとされる。

    2014年末の離別は一つのシーズンの不振によって突然決まったものではなく、2010年アブダビGPを起点とする関係悪化と、2013年頃から進んでいたとされるベッテル獲得構想が重なった末の結末だったというのが、今回ヒューズが明かした内幕である。

  • フェラーリF1 バスールが語る終盤戦変更の影響「開発に回せる資金が増える」

    フェラーリF1 バスールが語る終盤戦変更の影響「開発に回せる資金が増える」

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、2026年シーズン終盤のカレンダーが変更された場合、コストキャップの面でチームの開発に思わぬ恩恵をもたらす可能性があると説明した。

    イランを巡る紛争の影響により、カタールGPとアブダビGPが予定通り開催できるかは依然として不透明となっている。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは、中東で予定されている最後の2戦について9月中旬をめどに最終判断を下す方針を示しており、中止となった場合にはイモラでの欧州代替戦が候補に挙がっている。

    中東2戦の開催可否で変わるPU運用
    シーズン終盤のカレンダー変更は、各チームのパワーユニット(PU)運用にも影響を及ぼす。残りのレース数が確定しなければ、各コンポーネントをどのように割り振るかという計画を立てにくくなるためだ。

    ただし、バスールはフェラーリについては十分な余裕があり、大きな問題にはならないとの見方を示している。

    「エンジンの使用については、残りが10戦なのか12戦なのか分からない状態で何かを組み立てるのは、確かに簡単ではない。ただ、我々にはそれを管理するだけの十分な余裕があると思う。今季ここまで、パワーユニット側ではほとんど問題も起きていない」

    一方、残り2戦の開催可否によってフェラーリの最終的な開発計画そのものを変更することはないという。

    「開発計画は変わらない。最後の2戦だからだ。最後の2戦に新しいものを持ち込むことはない」

    中東遠征の巨額コストを開発費へ転用可能
    より大きな影響が予想されるのがコストキャップだ。

    カタールとアブダビで2戦を開催するためには、マシンや機材、人員を中東へ輸送する巨額のロジスティクス費用が必要になる。一方、欧州での代替開催となれば、その費用の一部を節約し、別の用途へ振り向けられる可能性がある。

    「コストキャップについては、もう少し難しいポイントになるかもしれない。アブダビとカタールへ行って2レースを戦うための費用は莫大だからだ」

    「そこへ行かなければ、その前にその資金を別のところで使うことができる。開発でも、それ以外でもいい。これは我々だけではなく、グリッドのほぼすべてのチームに当てはまると思う」

    特にコストキャップ上限まで予算を使っているチームにとって、中東遠征がなくなれば、浮いた費用を10月の開発活動などへ振り向けることが可能になる。収益性の高い最後の2戦から得られる収入が支払われるかどうかとは別に、支出面で新たな余地が生まれるためだ。

    2026年のコストキャップは2億1500万ドル。上限付近まで予算を投入しているチームであれば、カタールGPとアブダビGPの遠征費が不要になった分だけ、開発やその他の活動へ予算を再配分できる。

    一方、予算規模がコストキャップを大きく下回るハースにとっては、この仕組みの恩恵は相対的に小さく、むしろ上限まで予算を使うライバルが開発費を増やせることで不利になる可能性がある。アルピーヌについても、予算が上限に達しているかは明確ではない。

    9月末が物流面での決断期限
    ただし、カレンダー変更を決めるタイミングには限界がある。

    中東ラウンドを実施する場合、各チームは事前に大量の機材を現地へ送り出す必要があり、開催直前まで判断を先送りすることはできない。

    「どこかの時点で決断しなければならない。ただ、物流上の理由から、全体として9月末までには決める必要があると思う。中東へ機材を送らなければならないので、それ以上先延ばしすることはできない」

    バスールは、9月末までに決定されれば、その後のシーズンを組み立てる時間としては十分だと考えている。

    「9月以降の最後の6戦、あるいは7戦を管理するには十分早い時期だと思う」

    フェラーリがモンツァで重視する「完璧な仕事」
    シーズン終盤のカレンダーが不透明ななか、フェラーリはホームレースとなるF1イタリアGPをモンツァで迎える。

    バスールは、そこで結果を左右するのはマシンが本来持っている純粋な速さだけではなく、週末を通じてその性能をどこまで引き出せるかだと強調した。

    「我々はベストを尽くす。今季ここまで、予想していなかった結果を得られたこともあれば、もっと良い結果を期待していたのに、より苦しんだこともあった」

    前戦オランダGPでは、フェラーリだけでなく上位勢全体にとって、わずかなミスや週末の組み立ての違いが最終順位を大きく左右することが改めて示されたとバスールは考えている。

    「純粋なポテンシャルよりも、実行面で得られるものの方がはるかに大きいと思う。オランダGPから得た最大の教訓は、勝ちたい、トップに立ちたいのであれば、完璧な仕事をしなければならないということだ」

    その例としてバスールが挙げたのが、メルセデスのジョージ・ラッセルだった。

    「これは我々だけではなく、ジョージにも当てはまる。彼はスプリントでは優勝したが、決勝では3位で、我々の後ろの5位で終わるところまでそれほど遠くなかった」

    「実行がうまくいくか、うまくいかないかによって、1位から6位まで動く余地がある。トップ6全員に当てはまるし、マックス(フェルスタッペン)を含めればトップ7だ」

    モンツァでフェラーリが問われるのは、SF-26の絶対的な性能だけではない。僅差で争う上位勢のなかで、セットアップ、予選、戦略、ピット作業まで含めた週末全体をどれだけミスなくまとめられるかが、ホームGPでの結果を大きく左右することになる。

  • セバスチャン・ベッテル フェラーリF1に帰還 シューマッハのF2002をモンツァで走行

    セバスチャン・ベッテル フェラーリF1に帰還 シューマッハのF2002をモンツァで走行

    セバスチャン・ベッテルが、今週末のF1イタリアGPでフェラーリのマシンを再びドライブする。ミハエル・シューマッハを称えるモンツァでの特別企画として、2002年に圧倒的な強さを誇ったフェラーリF2002のステアリングを握る。

    4度のF1ワールドチャンピオンであるベッテルは、F1引退後も歴史的なマシンを走らせる機会を設けてきた。今回は自身が幼少期から憧れ続けてきたミハエル・シューマッハの代表的なマシンを、フェラーリカラーで走らせることになる。

    ベッテルがシューマッハのF2002でモンツァを走行
    デモンストレーション走行は、53周で争われる日曜日のイタリアGP決勝を前に実施される。ベッテルがドライブするのは、シューマッハが5度目のF1ワールドタイトルを獲得した2002年のフェラーリF2002だ。

    F2002はフェラーリF1史上を代表するマシンのひとつであり、シューマッハは2002年シーズンの17戦で11勝を挙げた。表彰台のトップ2を逃したのはマレーシアGPの3位だけという驚異的な安定感を誇った。

    シューマッハ以外が勝利した6戦のうち4戦では、チームメイトのルーベンス・バリチェロが優勝。残る2勝をウィリアムズとマクラーレンが1勝ずつ分け合った。フェラーリはこのシーズンを圧倒し、コンストラクターズ選手権でも他を寄せ付けない強さを見せた。

    ベッテルは、約900馬力を発生するV10エンジンを搭載したF2002でモンツァを1周する予定だ。このエンジンは最高1万9000rpmまで回転し、現在のF1マシンとは大きく異なるサウンドを響かせる。

    サステナブル燃料でF2002を走行
    ベッテルはこれまでの歴史的F1マシンによるデモ走行でも、サステナブル燃料の使用を重視してきた。今回もその方針は変わらない。

    走行はフェラーリの「F1 Clienti」部門を通じて実施され、F2002にはシェルが特別に開発した先進的なサステナブル燃料が使用される。

    フェラーリは、この燃料について「今シーズンに得られたノウハウを活用し、2026年に使用されている燃料の開発経験を基に、シェルが特別に開発した先進的なサステナブル燃料」と説明している。

    ベッテルはF1引退後、歴史的マシンを未来につなげる手段としてサステナブル燃料を積極的にアピールしてきた。これまでにもシルバーストンでナイジェル・マンセルの1992年型ウィリアムズを走らせ、2024年のエミリア・ロマーニャGPではアイルトン・セナが1993年にドライブしたマクラーレンを走行させている。

    フェラーリ F2002 ミハエル・シューマッハ

    バリチェロもF2002と再会
    F2002を走らせるのはベッテルだけではない。土曜日には、2002年にシューマッハのチームメイトとして同マシンをドライブしたルーベンス・バリチェロもステアリングを握る。

    バリチェロは予選を前にF2002でデモンストレーション走行を行う予定で、土曜日のみモンツァを訪れるファンにも、24年前のV10エンジンのサウンドを聞く機会が用意される。

    さらに会場では、シューマッハのフェラーリF1キャリアの始まりと終わりを象徴する2台も展示される。1996年にフェラーリ移籍初年度を戦ったF310と、フェラーリでの最後のシーズンとなった2006年の248 F1だ。

    フェラーリがモンツァでシューマッハを称える
    2026年F1イタリアGPでは、ミハエル・シューマッハがフェラーリに残した功績を称えるさまざまな企画が用意されている。

    フェラーリはすでに特別仕様のレーシングスーツを発表しており、SF-26にもシューマッハがフェラーリ移籍初年度の1996年にモンツァで勝利したマシンをモチーフとする特別カラーリングが施される。

    シューマッハを自身のヒーローとして公言してきたベッテルにとって、フェラーリのホームレースでF2002を走らせることは特別な意味を持つ。2015年から2020年までフェラーリF1ドライバーとして戦ったベッテルが、シューマッハを称える週末に再び跳ね馬のマシンでモンツァを走る。