投稿者: dbcheck

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1の勝利を確信「必要なものは揃っている」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1の勝利を確信「必要なものは揃っている」

    ルイス・ハミルトンは、2026年F1イタリアGPを前に、フェラーリがモンツァへ投入するパワーユニットのアップデートに期待を示し、「僕たちには勝つために必要なものがあると強く信じている」と語った。

    昨年はフェラーリ加入初年度としてモンツァを迎えたハミルトンだが、今年はチームの開発方針がより明確になったと実感している。

    新たなエンジンアップデートだけでライバルとの差がすべて埋まるわけではないと認めながらも、マラネロで進む取り組みに確かな手応えを感じている。

    フェラーリドライバーとして迎える特別なモンツァ
    ハミルトンは木曜日、最近手に入れたクラシックなフェラーリF40を自ら運転してモンツァのパドックに登場。黒のスーツにブラウン系のオーバーコートを合わせ、多くのカメラマンの注目を集めた。

    その後に出席したF1の記者会見では、フェラーリのドライバーとしてイタリアGPを戦うことへの思いを語った。

    「フェラーリのドライバーでいることは最高の気分だよ。この象徴的なレースに、世界で最も象徴的で最高のチームとともにイタリアへ来られることは、本当に名誉であり特別なことだ」

    「2年連続でこれを経験できるのは本当に素晴らしいし、今でも新鮮に感じている。だから、慣れてしまうようなものではないよ」

    モンツァ投入の新エンジン「少しの改善でも助けになる」
    フェラーリは今週末のF1イタリアGPで、パワーユニットに新たなアップデートを投入する予定だ。高速区間の比率が高く、エンジン性能が重要になるモンツァだけに、その効果には大きな注目が集まる。

    アップデートによって優勝争いに加われるかと問われたハミルトンは、まず今季これまで抱えてきた性能差を説明した。

    「少しでも改善されれば助けになる。どんな小さなものでもね」

    「今年はここまでずっと失ってきた。前回のレースでさえ、あれだけ短いサーキットなのに、決勝では1周につきコンマ4秒を失っていた。それはものすごく大きな差だし、今年はここまでずっとその差を抱えてきた」

    一方で、ハミルトンが強調したのは、マラネロで開発を続けるスタッフたちの姿勢だった。

    「僕が言えるのは、ファクトリーへ戻って、みんながどれだけ懸命に働いているかを見ると、本当に誇らしく思うということだ。みんな黙々と仕事に取り組んでいるし、すごく熱意がある」

    昨年との最大の違い「今はノーススターがある」
    ハミルトンによれば、2026年のフェラーリには昨年には感じられなかった明確な開発目標が存在する。

    「今年は昨年とは違う集中力を感じている。昨年は本当の意味での『ノーススター』がなかったように感じていた。僕たちはできる限りのことをしていたと思うけど、正確にどこを目指しているのかが、はっきりしていなかった」

    ここでハミルトンが使った「ノーススター」は、チーム全体が共有する明確な目標や進むべき方向を意味する。

    「今はノーススターがある。どこに向かって取り組む必要があるのか分かっているし、ファクトリーのみんなは本当に素晴らしい仕事をして、一丸となって成果を届けてくれたと思う」

    今回のエンジンアップデートについても、ハミルトンは現状を一変させるものではなく、継続的な改善の一部として捉えている。

    「これは一歩前進だ。僕たちが埋めなければならない差のすべてではないけど、それは最初から分かっていた」

    「でも、毎週末少しずつ新しいものが投入されて、マシンに加わっていくのを見るのはワクワクする。僕たちがプッシュしていることが分かるからね。僕は今でも、僕たちには勝つために必要なものがあると強く信じている」

    ルイス・ハミルトン(スクーデリア・フェラーリ)

    フェラーリでモンツァ初勝利なら歴史的な6勝目
    ハミルトンにとって今週末は、自身のF1キャリアに新たな記録を加える可能性もある。

    ハミルトンはこれまでモンツァで5勝を挙げており、ミハエル・シューマッハと並んでいる。フェラーリのドライバーとしてイタリアGPを制すれば、モンツァ通算6勝目となり、シューマッハを上回ることになる。

    難しいフェラーリ加入初年度を経て迎えた2度目のホームグランプリだけに、ハミルトン自身も「初めてのことが待っているかもしれない」と意識している。

    ただし、勝利への自信について改めて問われると、それは単純にエンジンアップデートだけを根拠にした発言ではないと説明した。

    「僕が言いたかったのは、このチームには勝つために必要なものがあると強く信じているということだ」

    「このレベルでは上位の差は本当に小さい。僕たちが今週末に勝つためにも、どの週末に勝つためにも、チーム全体がひとつにならなければならない」

    「ひとつの要素だけじゃない。最初からすべてがうまく流れていかなければならないんだ」

    ティフォシの期待と母親の応援を力に
    フェラーリにとってモンツァは単なる1戦ではない。チームの母国であり、ティフォシから結果を求められる特別なグランプリだ。

    ハミルトンも、その期待が大きなプレッシャーになることを認めている。

    「プレッシャーは大きい。チームのために結果を出したいと思う。ファクトリーにはたくさんの人たちがいて、その多くがこのレースにも来る」

    「ティフォシも本当に大勢来てくれるし、その情熱は他とは比べものにならない。彼らのためにも結果を届けたい」

    さらに今週末は、ハミルトンの母親もモンツァを訪れているという。

    「今週末は母も来ている。モンツァに来たことはなかったと思うし、特にフェラーリの週末を経験したことはない。だから、この雰囲気を体験してほしかったんだ。それに、母が持っている幸運を少しでも持ってきてもらえたらと思っているよ」

    2026年のフェラーリは、ハミルトンが語る「ノーススター」のもとで開発の方向性を明確にし、段階的な改善を続けている。モンツァで投入されるエンジンアップデートもその一環であり、単独で大きな性能差を消し去るものではない。

    それでもハミルトンは、ファクトリーの取り組みとチーム全体の進歩を根拠に勝利の可能性を信じている。フェラーリのホームで自身通算6度目のモンツァ制覇を達成できれば、ティフォシにとってもハミルトンにとっても特別なF1イタリアGPとなる。

  • リアム・ローソン 2台並行のF1イタリアGP準備「水曜まで決まらなかった」

    リアム・ローソン 2台並行のF1イタリアGP準備「水曜まで決まらなかった」

    リアム・ローソンは、2026年F1イタリアGPで2戦連続となるレッドブル・レーシングからの出場が決まるまで、レッドブルとレーシングブルズという「まったく異なる」2台を想定して準備を続けていたことを明かした。

    左手首の負傷から回復途上にあるアイザック・ハジャーの欠場が正式に決まったのは水曜日。ローソンにとっては直前の決定となったが、シミュレーターでRB22を走らせる時間を確保し、モンツァに向けた準備を整えたという。

    水曜日に決定「かなり遅く感じた」
    ローソンは、ハジャーに代わって再びレッドブルをドライブすると知った時期について「水曜日」と答えた。

    「この1週間は、どうなるのかをずっと待っているような状態だった。当然、アイザックにも回復するための最大限のチャンスを与えようとしていた」

    「心のどこかでは、まだ僕が乗る可能性があることは分かっていた」

    「でも、水曜日になってようやく決まったので、かなり遅く感じた。ただ、それでもシミュレーターのセッションをこなして、週末に向けた通常の準備をするだけの時間はあった」

    ハジャーの状態次第では、ローソンが通常通りレーシングブルズから出場する可能性も残されていた。そのため、決定が下されるまでは両チームを想定した準備が必要だった。

    レッドブルとレーシングブルズの2台を並行して準備
    ローソンは、ハジャーを担当するレッドブル側のエンジニアと、自身を担当するレーシングブルズ側のエンジニアの双方と作業しながら、どちらのマシンに乗ることになっても対応できるよう準備を進めていた。

    「両方と作業していた。どちらになっても準備できているようにするためだ。当然、両チーム、両方のマシンを理解しておく必要があった」

    「2台はドライビングの感覚がかなり違うので、行ったり来たりするのは簡単ではない。シミュレーターの中だけでもそうだ。それが一番大きなチャレンジだった」

    「でも、水曜日にようやく答えが出て、これからは基本的にこのマシンだけに集中できる。それはよかった」

    レッドブルとレーシングブルズは同じパワーユニットを使用しているものの、ローソンによれば、ドライバーが感じるマシンの特性はほぼ全面的に異なるという。

    「すべてが違う」RB22で際立つ高速グリップ
    レッドブルとレーシングブルズのマシンは具体的にどこが違うのか。そう問われたローソンは、「すべて」と端的に答えた。

    「もちろんパワーユニット以外は、ドライビングという点ではかなり違う。特にレッドブルで一番印象的なのは高速コーナーでのグリップだと思う。僕が普段乗っているマシンから乗り換えると、そこが特に印象的だ」

    「でも、マシンの走らせ方もバランスも本当に大きく違う。あまり詳しく言うことはできないけど、ドライビングするうえではまったく違うマシンだ」

    「ステアリングを通じて得られるフィードバックも、マシンの感触も、動き方も、すべてがかなり違う」

    同じパワーユニットを搭載していても、ローソンが「すべて」と表現するほど両車のフィーリングには大きな隔たりがある。なかでも、普段レーシングブルズをドライブするローソンが真っ先に挙げたRB22の高速グリップは、モンツァでも重要な要素となる。

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング) イタリアグランプリ

    ザントフォールトで得たRB22の経験
    一方、今回のローソンには前戦より有利な材料もある。F1オランダGPですでにRB22を実戦で経験していることだ。

    ハジャーの負傷を受けて急きょレッドブルに招集されたローソンは、ザントフォールトで同チーム加入後初となるQ3進出を果たし、決勝では7位でフィニッシュ。6ポイントを獲得した。

    しかもオランダGPはスプリントフォーマットだったため、通常よりフリー走行が少なく、RB22への適応に使える時間は限られていた。

    対してモンツァは通常フォーマットで行われ、金曜日のFP1とFP2、土曜日のFP3と3回のフリー走行が用意される。ローソンは、前戦よりも落ち着いてマシンへの理解を深められると考えている。

    「とにかく、この機会を最大限に生かしたい。今回も僕にとっては興味深い立場だ」

    「ザントフォールトはスプリント週末だったので、かなりストレスを感じる場面もあった。でも、全体としてはいい週末だった」

    「少なくとも今回は、その経験がある。だから適応するのは少し楽になるはずだ。それに、ここでは3回のフリー走行がある。ずっと通常に近い週末だ」

    「だから、またいいチャンスだと思っている」

    ローソンがレッドブル 角田裕毅はレーシングブルズ
    ローソンが引き続きレッドブルでマックス・フェルスタッペンと組むことになったため、レーシングブルズでは角田裕毅が2戦連続で代役を務める。

    角田裕毅はアービッド・リンドブラッドとコンビを組み、モンツァでVCARB-03をドライブする。

    前戦では急な招集にもかかわらずRB22でQ3進出と7位入賞を果たしたローソン。今回は出場決定までレッドブルとレーシングブルズという特性の大きく異なる2台への準備を並行して進める難しさがあったが、水曜日以降はRB22に集中できる状況となった。3回のフリー走行を使えるモンツァで、ザントフォールト以上にマシンへの理解を深められるかがポイントとなる。

  • ホンダF1 新PUで想定以上の燃焼変化「HRC Sakuraで制御対策」

    ホンダF1 新PUで想定以上の燃焼変化「HRC Sakuraで制御対策」

    ホンダ・レーシング(HRC)は、F1オランダGPで投入した新スペックのパワーユニット(PU)について、狙い通りの性能向上を確認する一方、予想以上に大きな燃焼特性の変化によってドライバビリティに課題が生じたことを明らかにした。

    HRCはザントフォールトで得た走行データとドライバーからのフィードバックを栃木県さくら市の開発拠点に持ち帰り、制御面の改善作業を実施。

    パワーへの要求が非常に高いモンツァで行われる2026年F1イタリアGPでは、その対策が狙い通り機能するかを確認することが最大の焦点となる。

    新スペックで性能向上もドライバビリティに課題
    アストンマーティンは前戦オランダGPでホンダの新しいPUスペックを投入した。フェルナンド・アロンソは決勝で9位に入り、ポイント獲得を果たしている。

    HRCの折原伸太郎はイタリアGPを前に、Motorsport Weekを含むメディアに対し、新スペックではダイナモで確認していた性能向上を実際のコース上でも確認できたと説明した。

    「オランダでエンジンに新しいスペックを投入しました。性能面で一歩前進したことを確認しています。ダイナモで確認していた通りの結果だったので、そこはポジティブな点でした」

    一方で、新スペックへの変更によってPUの特性も変化し、ドライバビリティについて新たに改善すべき部分が明らかになった。

    「その一方で、ドライバビリティについて改善できる部分が見つかりました。そのため、変換特性をアップデートして準備しています」

    ホンダ・レーシング

    予想以上だった燃焼特性の変化
    ホンダは2026年シーズン開幕戦でもドライバビリティの問題に直面しており、その後、パワーデリバリーを滑らかにするための専用の制御ツールを開発してきた。

    しかし、今回の新スペックでは燃焼特性の変化が想定以上に大きく、それまでに用意していた制御では十分に対応できなかったという。

    「燃焼の違いが我々の予想よりもはるかに大きかったです。そのため、新しい燃焼に対してより適切に制御できるよう、制御用の新しいツールを調整する必要がありました」

    HRCはザントフォールトで収集したデータとドライバーからのフィードバックをさくらの開発拠点に持ち帰り、ダイナモを使って対策を進めた。

    「データの設定と新しいツールを準備し、新しい変換特性に適応させて、より良いドライバビリティを得られるようにしました。ただ、それでも満足できるドライバビリティには十分ではありませんでした。そこがオランダで見つかった明確な改善ポイントです」

    モンツァで対策効果を確認
    高速のモンツァは、2026年型PUにとってシーズンでも特に厳しいサーキットのひとつとなる。長い全開区間によって内燃エンジン(ICE)への要求が高く、電気エネルギーの展開を含めたPU全体の性能がラップタイムに大きく影響する。

    折原は、新スペックによる性能向上を確認しているものの、モンツァでは現実的な期待値を持つ必要があると語った。

    「ここモンツァでは内燃エンジンに対する要求がかなり大きいです。エンジンに新しいスペックを投入して性能向上を確認できたとしても、このコースでは現実的に考える必要があります。内燃エンジンにとって非常にチャレンジングなコースになると思います」

    そのうえで、イタリアGPではザントフォールト後に準備したドライバビリティ改善策の確認を最優先する。

    「すべてのデータをダイナモに持ち帰り、ドライバーからのフィードバックもダイナモに反映しました。HRC Sakuraでは制御を改善し、より良いドライバビリティを得るためのテストを行っています。ですから、モンツァでの我々の主な焦点は、その対策を確認することです」

    信頼性を犠牲にした性能追求はせず
    「スピードの神殿」と呼ばれるモンツァでは最高速性能が重要になるが、ホンダはラップタイムを求めるために信頼性を犠牲にしてPUを限界以上まで攻める考えはない。

    折原は、現在の信頼性には満足しており、性能を最大化するためにリスクを取る必要はないと強調した。

    「我々は常に信頼性と性能の間で良いバランスポイントを見つける必要があります。信頼性テストの結果を見る限り、現時点では信頼性に満足していますし、性能面でも最大限を引き出すためにリスクを取る必要はありません」

    ホンダにとってモンツァは、新スペックで得た純粋な性能向上を生かしながら、ザントフォールトで表面化したドライバビリティの問題をどこまで解消できたかを見極める重要な週末となる。

  • フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソ F1イタリアGPで特別ヘルメット 恩師カンポスに敬意

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1イタリアGPで自身のキャリアを支えた故エイドリアン・カンポスに敬意を表する特別仕様のヘルメットを着用する。普段のブルーとイエローを基調としたデザインから一変し、レッドとイエローが主役となる。

    アロンソにとってエイドリアン・カンポスは、単なる元F1ドライバーやチームオーナーではない。若き日の才能を見いだし、シングルシーターの世界へと導いた最初のマネージャーであり、その後のF1キャリアにつながる道筋を作った重要な存在だった。

    モンツァで蘇るエイドリアン・カンポスのヘルメット
    今回のヘルメットは、カンポスが現役時代に使用していたデザインへのオマージュとなっている。レッドとイエローを中心に、後部にはホワイトを配色。アロンソが現在契約するスポンサーのロゴを組み合わせながら、カンポスの特徴的なカラーリングを再現した。

    アストンマーティンF1チームは、この特別なヘルメットについて次のように説明した。

    「エイドリアンはフェルナンドの才能を最初に見いだした人物で、彼の最初のマネージャーとなり、シングルシーターの世界へ進む手助けをした」

    「そして今、彼を象徴するヘルメットがモンツァのコースに戻ってくる。彼の家族もこの瞬間を一緒に分かち合う」

    アロンソ自身も、カンポスへの思いを明かしている。

    「エイドリアンとカンポス家のみんなに捧げる、とても特別なヘルメットだ。エイドリアンは僕をカートのレースで見て、シングルシーターに乗るべきだと言ってくれた」

    「僕を信じて最初のチャンスを与えてくれて、数年後にはF1まで連れてきてくれた。僕のため、そして僕たちのモータースポーツのために彼がしてくれたすべてのことに、これからもずっと感謝している。カンポス・レーシングへと受け継がれている、比類のないレガシーだ」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム) イタリアグランプリ

    アロンソの才能を見いだした最初のマネージャー
    エイドリアン・カンポス自身は1987年と1988年にミナルディからF1に参戦。その後はチーム運営と若手育成に活動の軸を移し、多くのドライバーのキャリアを支えた。

    その代表的な存在がアロンソだった。カンポスはカート時代のアロンソの才能に目を留め、シングルシーターへの転向を後押し。1999年には自身のチームからユーロ・オープン・バイ・ニッサンに参戦させ、アロンソはタイトルを獲得した。その後、ミナルディでのテストなどを経てF1への道を切り開いていった。

    カンポスが築いたチームは現在もカンポス・レーシングとして活動し、若手ドライバーの育成を続けている。アレックス・パロウらもその道を歩み、スペインのモータースポーツ界に大きな足跡を残してきた。

    カンポスは2021年1月に死去したが、その功績と若手育成への情熱は現在のチームにも受け継がれている。

    アロンソ自身もミナルディからF1デビュー
    カンポスとアロンソには、F1でのキャリアにも興味深いつながりがある。カンポスが1987年にF1デビューを果たしたミナルディは、アロンソが2001年にF1デビューしたチームでもある。

    さらにモンツァは、アロンソがF1に到達する以前から走ってきたサーキットでもある。1999年のユーロ・オープン・バイ・ニッサン時代にも、カンポスのチームのドライバーとしてこの地を訪れていた。

    普段は故郷アストゥリアスを象徴するブルーとイエローをヘルメットに取り入れているアロンソだが、2026年F1イタリアGPではレッド、イエロー、ホワイトを基調としたカンポスのカラーリングで走る。

    自身のF1キャリアの原点を作った人物への感謝を込め、アロンソはモンツァでエイドリアン・カンポスの象徴的なヘルメットを再びサーキットに蘇らせる。

  • ジャン・アレジが語るF1の英雄ジル・ヴィルヌーヴ「ヒーローの中のヒーロー」

    ジャン・アレジが語るF1の英雄ジル・ヴィルヌーヴ「ヒーローの中のヒーロー」

    元F1ドライバーのジャン・アレジが、自身にとって特別な存在であるジル・ヴィルヌーヴへの思いを語った。フェラーリの象徴的なカーナンバー「27」を受け継いだアレジにとって、ヴィルヌーヴは幼少期にF1へ強く引き込まれるきっかけとなったドライバーだった。

    1981年F1モナコGPで目にしたヴィルヌーヴの走り、フェラーリで「27」を手にした経緯、そして後に息子ジャック・ヴィルヌーヴ本人へ伝えた言葉まで、アレジがF1公式サイトの「F1 Icons」で振り返った。

    テレビではなくサーキットで触れたF1
    ジャン・アレジは1989年から2001年にかけてF1で活躍し、ティレル、フェラーリ、ベネトン、ザウバー、プロスト、ジョーダンなどでドライブした。その情熱的な走りで知られた一方、幼少期のF1に関する記憶はそれほど多くない。当時は現在ほどF1がテレビで放送されていなかったからだ。

    「僕がとても幼かったころ、F1は今ほど人気がなかったから、テレビで見る機会はあまりなかった。僕が育ったアヴィニョンの近くではラリー・モンテカルロが開催されていたし、フランスにはル・マン24時間レースもあった。だから子どものころの記憶にはモーターレーシングがあるけど、F1はそれほど多くないんだ」

    ただし、アヴィニョンからポール・リカール・サーキットは近く、F1を間近で見る機会はあった。

    「アヴィニョンとポール・リカールはとても近くて、僕が子どものころはF1のウインターテストがポール・リカールで行われていた。そこへ行って、ドライバーのすぐそばにいて、マシンを見て、コーナーまで行って走りを見ることができた。本当に素晴らしかった」

    1981年モナコGPで目にしたジル・ヴィルヌーヴ
    そんなアレジの記憶に鮮烈に残っているのが、1981年F1モナコGPでのジル・ヴィルヌーヴの勝利だ。

    フェラーリ126CKを駆ったヴィルヌーヴは、このレースで劇的な勝利を挙げた。その姿こそ、アレジにとって最初の本格的なF1の記憶だった。

    「僕がF1について持っている最初の本当の記憶は、1981年モナコGPでのジル・ヴィルヌーヴの勝利だ。とにかくすごかった。彼のドライビングはものすごくスペクタクルだったし、実況が彼のレースを伝える様子もすごかった。それを見ながら完全に引き込まれてしまった。それが僕にとって最初の本当のF1の記憶なんだ」

    アレジが育った時代のF1では、それぞれのドライバーが持つ個性的なドライビングスタイルを目で見て感じ取ることができたという。

    「僕が育った時代のF1では、それぞれのドライバーのスタイルがはっきり分かった。たとえばアラン・プロストとアイルトン・セナのドライビングスタイルの違いは明確だった。レジェンドたちの話だけどね!」

    当時はエンジン形式もチームによって異なり、それがマシンの性格にも影響を及ぼしていた。

    「V8エンジンを使うドライバーもいれば、V10やV12を使うドライバーもいた。それによってマシンごとに空力も違っていて、ドライバーはそれに適応しなければならなかった」

    「ジルは無謀だったわけではない」
    アレジ自身も、ヴィルヌーヴと同じように情熱的で攻撃的なドライビングスタイルで知られた。そのため、自身の走りをヴィルヌーヴにならったのかと尋ねられることがあるという。

    しかし、アレジは誰かのスタイルを意識して走ったことはないと説明する。

    「僕のドライビングスタイルはジルを手本にしたのかと聞かれることがあるけど、それは不可能だと思う。僕は人生を通して、ただ本能で走ってきた」

    一方で、ヴィルヌーヴの走りがしばしば「無謀」と評されることについて、アレジは明確に否定する。

    「ジルは無謀なドライビングをしていたと言われることがあるけど、彼は無謀だったわけじゃない。僕にとって彼は、マシンの限界から最大限を引き出していた。そして、コース脇にマシンを止めないためにも最大限のことをしていたんだ」

    その象徴としてアレジが挙げるのが、ヴィルヌーヴが母国カナダでフロントウイングを損傷しながら走り続けたレースだ。

    「たとえばカナダでフロントウイングを壊した状態で走ったときも、彼はマシンがまだ走れると言って、そのまま続けようとした。それこそが、僕たちがジルを愛する理由のひとつなんだ」

    英雄の死をニュース映像で目撃
    アレジはヴィルヌーヴに強く憧れていたものの、彼が亡くなるまで実際にサーキットでレースをする姿を見ることはできなかった。

    ヴィルヌーヴは1982年ベルギーGPの予選中、ゾルダーで事故に遭い、32歳で亡くなった。アレジは、その知らせをテレビのニュースで知った。

    「残念ながら、ジルが亡くなる前に彼がレースをするところを実際に見る機会はなかった。彼が亡くなったことはニュースで見たのを覚えている」

    当時のテレビでは事故映像がそのまま放送されており、その光景は若きアレジに強烈な衝撃を与えた。

    「事故はひどいものだった。当時はすべてが映されていて、彼の身体がフェンスへ飛んでいくところまで見えた。とても悲しい瞬間だった。あんなヒーローがいて、その人に何が起きたのかを目の当たりにするのは、本当にショッキングだった」

    ジル・ヴィルヌーヴ

    フェラーリの象徴「27」を受け継いだアレジ
    ジル・ヴィルヌーヴを語るうえで欠かせないのが、フェラーリ時代に使用したカーナンバー「27」だ。

    そして、その番号は後にフェラーリで戦ったアレジ自身とも深く結びつくことになる。

    「ジルは27番でレースをしていたことで有名だった。そしてもちろん、僕もこの番号と結びついている。僕のボートの名前も『27』だし、フェラーリファンにとって27は特別な番号だった」

    1991年にフェラーリへ加入したアレジのチームメイトはアラン・プロストだった。当時、プロストが27番を使用し、アレジには28番が与えられた。

    しかし、アレジが欲しかったのはヴィルヌーヴと同じ27番だった。

    「僕がフェラーリへ移籍したとき、チームメイトはアラン・プロストだった。彼が27番で、僕は28番だった。僕はずっと『アランがいなくなったら、27番が欲しい』と言っていた。そして実際にそうなったんだ!」

    プロストがフェラーリを去った後、アレジは念願だった27番を手にした。

    さらに1993年、ゲルハルト・ベルガーがフェラーリへ復帰した際にも、27番をめぐるやり取りがあったという。

    「1993年にゲルハルト・ベルガーがフェラーリに来て僕のチームメイトになったとき、彼が『27番が欲しい』と言った。でもチームは『ダメだ。それはジャンの番号だ』と言った。だから27は、本当にフェラーリの番号だったんだ」

    アレジはフェラーリを離れるまで27番を背負って戦い、その番号はヴィルヌーヴとともにアレジを象徴するナンバーにもなった。

    息子ジャック・ヴィルヌーヴとF1で対戦
    1996年になると、アレジはF1でジルの息子ジャック・ヴィルヌーヴと戦うことになった。

    ジャック・ヴィルヌーヴがウィリアムズからF1デビューした際、アレジは新聞で彼のインタビューを読んだ。しかし、父ジルとそのレガシーについてジャックが語った内容の一部に強い不満を抱いたという。

    「彼がF1に来たとき、新聞を読んでいて、父親やジルのレガシーについてジャックが話していたことのいくつかに、僕はすごく腹を立てた」

    その後、2人はエストリルでテストに参加することになった。

    テスト終了後、ジャックのマネージャーからアレジに依頼があった。アレジが南フランスへ向かうことを知り、ニースへ戻る飛行機にジャックを同乗させてもらえないかというものだった。

    アレジは快諾した。

    「もちろん問題ないよ、と答えた」

    「君はヒーローの中のヒーローの息子なんだ」
    テストを終え、2人を乗せた飛行機が離陸すると、アレジは新聞記事を読んで以来抱えていた思いをジャック本人に伝えた。

    「ジャック、二度と父親についてあんなことを言うな。君がここにいるのは君自身の才能があるからだし、情熱があるからだ。それは間違いない。でも、君はジル・ヴィルヌーヴの息子なんだ。ヒーローの中のヒーローなんだよ」

    それほどまでに、アレジにとってジル・ヴィルヌーヴという存在は大きかった。

    「僕は本当に怒っていた。すると彼は、『いや、本当にそういう意味で言いたかったわけじゃない』と説明してくれた」

    ただし、ジャックと直接話したことで、アレジ自身も父親を幼くして失った息子が抱えていた複雑な感情に思いを巡らせるようになった。

    「もちろん、子どものころに父親を亡くした彼にとって、それは難しいことだったと思う」

    「きっと彼の内側には、ある種の……フラストレーションというより、痛みのようなものがあるんだと思う」

    1981年モナコGPでテレビ越しに目にしたヴィルヌーヴの走りに魅了され、その後、自身もフェラーリのF1ドライバーとなって象徴的な27番を受け継いだアレジ。さらに年月を経て、その息子ジャックと同じグリッドで戦うことになった。

    アレジにとってジル・ヴィルヌーヴは、単に憧れたF1ドライバーのひとりではない。幼少期の記憶からフェラーリでのキャリアまでをつなぐ存在であり、今なお「ヒーローの中のヒーロー」と呼ぶ特別な存在であり続けている。

  • キミ・アントネッリ フェラーリF1移籍説を一蹴「メルセデスでとても幸せ」

    キミ・アントネッリ フェラーリF1移籍説を一蹴「メルセデスでとても幸せ」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1イタリアGPを前に将来的なフェラーリ移籍をめぐる憶測について言及し、現在所属するメルセデスで「とても幸せ」だと強調した。

    母国モンツァにドライバーズ選手権首位として乗り込んだ20歳のアントネッリは、チームメイトのジョージ・ラッセルに59ポイント差をつけている。一方、パワーユニットの年間使用上限を超えたことで、決勝では最後尾からスタートすることが決まっている。

    それでも、イタリア人ドライバーがF1世界選手権をリードして母国GPを迎えるという状況は、ティフォシにとって大きな注目材料だ。アントネッリがフェラーリではなくメルセデスをドライブしているとはいえ、2026年の躍進とともに、将来的にマラネロへ移籍する可能性をめぐる話題も増えている。

    「フェラーリは巨大で素晴らしいブランド。でも僕はメルセデスで幸せ」
    イタリア人である以上、キャリアを通じてフェラーリと結びつけられることは避けられないと受け入れているかと質問されたアントネッリは、「もちろん」と答えた。

    「僕自身がイタリア人だから、僕たちがどれだけ感情的で、物事にどれだけ熱くなるかは分かっている。時には熱くなりすぎることもある」

    「だから、もちろん、こういう話はこれからもずっと出てくると思う」

    「でも結局のところ、フェラーリが巨大で素晴らしいブランドであるのと同じくらい、僕は今いる場所でとても幸せだ。メルセデスでとても幸せだよ。僕が子どものころからチャンスを与えてくれたのは彼らだからね。僕には彼らに恩返しできることがまだたくさんあると感じている」

    メルセデスの育成プログラムでキャリアを築き、F1への道を切り開いてきたアントネッリにとって、現在の成功は長年支えてきたチームとの関係の延長線上にある。フェラーリへの敬意を示しながらも、現時点で移籍を考えていないことを明確にした形だ。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) イタリアグランプリ

    最後尾スタートが母国GPのプレッシャーを軽減
    アントネッリは日曜日の決勝で、新たなパワーユニットを搭載したW17により最後尾からスタートする。

    母国ファンの前でポールポジションや優勝を争いたかったという思いはあるものの、アントネッリはグリッド降格によって週末にかかるプレッシャーが多少軽くなるという意外な側面も認めた。

    「ある意味では、プレッシャーを和らげる助けになると思う」

    「もちろん、本当ならポールポジションを争って前方からスタートしたい。でも、ある意味では、この週末に入るにあたって少しリラックスできるような気がしている」

    「だからこそ、ドライビングそのものや週末をもっと楽しめると思う」

    さらに、最後尾スタートが決まっていることで、メルセデスにはフリー走行で通常とは異なるセットアップや作業方法を試す余地も生まれる。

    「もちろん、これは違ったチャンスでもある。週末を通して違うことを試したり、特にフリー走行では普段とは違う作業方法を試したりする機会になる。今回はそれができるからね」

    選手権首位として初めて母国F1イタリアGPを迎えるアントネッリ。フェラーリ移籍を期待する声が今後も消えることはなさそうだが、本人の視線はメルセデスでのタイトル争いと、最後尾から挑むモンツァでの戦いに向けられている。

  • 2026年F1イタリアGPでオーバーテイク記録更新か「MotoGPのようになる」

    2026年F1イタリアGPでオーバーテイク記録更新か「MotoGPのようになる」

    2026年F1第13戦イタリアGPでは、モンツァならではの高速レイアウトと2026年型パワーユニットのエネルギー制約が重なり、例年以上に激しいオーバーテイク合戦が繰り広げられる可能性がある。

    アストンマーティンのトラックサイドエンジニアリング責任者を務めるマイク・クラックは、エネルギーマネジメントとスリップストリームが大きな役割を果たすことで、抜いては抜き返す展開が増え、「史上最多」のオーバーテイクを記録する可能性があると予想。「F1というよりMotoGPのようになる」と表現した。

    モンツァで深刻になる2026年F1のエネルギー問題
    超高速サーキットとして知られるモンツァは、2026年F1カレンダーのなかでも特にエネルギー面で厳しいサーキットになるとみられている。

    2026年型F1マシンでは電動パワーの重要性が大幅に高まっており、長い全開区間が続くモンツァでは、ラップ全体にわたって十分な電気エネルギーを供給し続けることが難しくなる。

    そのため、ドライバーは単純にアクセルを踏み続ければいいわけではなく、どこでエネルギーを使い、どこで温存するかを考えながら走る必要がある。

    このエネルギー管理によって、2026年シーズン序盤の高速サーキットで見られた、前後のマシンの位置関係が頻繁に入れ替わる、いわゆる「ヨーヨー」のようなレース展開がモンツァでより顕著になる可能性がある。

    スリップストリームが予選でも重要に
    クラックは、エネルギー不足を補う手段としてスリップストリームの重要性が高まると考えている。

    木曜日にモンツァで、今年はトウ(スリップストリーム)が重要になるかと質問されたクラックは「そう思う」と答えた。

    「ここでは予選ラップでも基本的にエネルギーが不足する。その影響によって、みんながトウを探すことになると思う」

    「2019年のような状況にならないことを願っている。少なくともQ1ではそうならないと思うが、その先で何が起こるかは分からない」

    2019年のイタリアGP予選では、各ドライバーがスリップストリームを得ようとしてコース上で位置取りを争った結果、Q3終盤に大半のマシンが時間内に最後のアタックを開始できない異例の事態が発生した。

    クラックは、今年も前を走ることを避けようとする動きが強まる可能性があるとみている。

    「おそらく誰も先頭を走りたくないだろう。近年よりも、そういう場面は増えると思う」

    トウの有無でエネルギー戦略も変化
    問題をさらに複雑にするのが、単純にスリップストリームの効果を計算するだけでは十分ではないという点だ。

    チームは単独走行時と前車を追走している状況の両方について、エネルギーの展開方法を最適化する必要がある。

    「モデルを検証するという意味でも間違いなく興味深い作業になる。しかし、運用面でどう管理するかを見ることも重要だ」

    「効果が大きい、小さいと言うだけなら簡単だが、実際には誰かの後ろを走れる位置にいなければならない」

    「今週末はエネルギー面でかなり多くの制約がある。各チームがどう対処するのかを見るのは興味深い」

    クラックによれば、まずチームはトウを使わない状態でのエネルギーデプロイメントを決め、そのうえでスリップストリームに入った場合の設定や運用を考える必要がある。

    イタリアグランプリ MotoGP

    決勝は「抜いて抜き返す」展開か
    こうした特徴は予選だけでなく、決勝のオーバーテイクにも大きな影響を与える可能性がある。

    前車のスリップストリームに入れば空気抵抗を減らすことができ、ストレートで必要となるエネルギーを抑えながら速度を伸ばせる。一方、先頭に出たマシンは自ら空気抵抗を受けるため、エネルギー面で不利になる可能性がある。

    その結果、一度オーバーテイクを成功させても、次のストレートでは今度は抜かれた側がトウを利用して反撃するという展開が生まれやすくなる。

    クラックは決勝について次のように予想した。

    「レースではどれだけ簡単にオーバーテイクできるのか。そして特に、抜いたり抜き返したりする展開は、おそらくここで史上最多になると思う。F1というよりMotoGPのようになるだろう」

    MotoGPではスリップストリームを利用した順位変動が頻繁に発生し、同じライダー同士が何度もポジションを入れ替える展開も珍しくない。クラックは、2026年のモンツァではF1でもそれに近い状況が生まれると考えている。

    高速モンツァで再び問われる2026年F1の特性
    直近のハンガリーGPとオランダGPでは、サーキット特性からエネルギーマネジメントの影響は比較的小さかった。

    一方、全開区間の長いベルギーGPでは、エネルギー管理によってマシンの挙動やレースの戦い方が大きく左右され、一部のドライバーから批判も出ていた。

    そしてモンツァは、その問題がさらに明確に表れる可能性のある舞台だ。

    長いストレートで電気エネルギーをどう配分するのか。単独走行とスリップストリーム走行で戦略をどう変えるのか。そして先頭に立つことが本当に有利なのか。2026年F1イタリアGPでは、従来のモンツァ以上にエネルギーマネジメントと位置取りが勝負を左右することになりそうだ。

    クラックの予想通りなら、今年のモンツァでは単純に「抜けるレース」になるだけではない。オーバーテイクした直後に立場が逆転し、再び抜き返される――そんなMotoGPを思わせる激しいポジション争いが、2026年F1の新たな特徴として浮き彫りになる可能性がある。

  • マックス・フェルスタッペン F1オランダGPで深刻な体調不良「週末全体が酷かった」

    マックス・フェルスタッペン F1オランダGPで深刻な体調不良「週末全体が酷かった」

    マックス・フェルスタッペンは、F1オランダGPで深刻な体調不良に苦しんでいたことを明かした。インフルエンザのような症状はレース後も数日間続いたが、1週間の休養を経て、今週末のイタリアGPを前に完全に回復したという。

    一方、体調面の不安が解消されたフェルスタッペンは、モンツァでのレッドブル・レーシングの競争力について厳しい見通しを示している。

    長いストレートを持つモンツァでは2026年型F1マシンのエネルギー管理が大きな課題となり、「奇跡は期待していない」と語った。

    オランダGPでは「かなり体調が悪かった」
    母国ザントフォールトで行われたオランダGPで、フェルスタッペンは週末を通して万全の状態ではなかった。

    決勝ではオープニングラップに大クラッシュを喫してリタイアしたが、事故による身体へのダメージよりも、週末を通して続いた体調不良の方がつらかったという。

    「かなり体調が悪かった。でも完全に治ってみると、普通に元気でいられることがどれだけ素晴らしいか、あらためて実感するよ」

    「ザントフォールトでは週末全体がひどかったし、終わってからも数日間はまだ調子が良くなかった」

    「だから、回復するための1週間があって、また元気になれたのは本当に良かった。あれほど体調が悪くなったのは本当に久しぶりだったからね」

    クラッシュの衝撃については、大きな問題はなかった。

    「衝撃という意味では大丈夫だった。SAFERバリアだったからね。あれに当たったのは初めてだったけど、実際にかなりうまく機能してくれた」

    オランダGP後もしばらく症状が残っていたフェルスタッペンだが、イタリアGPを迎える現在は回復しており、体調面での懸念はなくなっている。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング) イタリアグランプリ

    モンツァでは一転してマシンのエネルギー問題を警戒
    体調面では万全に戻った一方、フェルスタッペンはイタリアGPについて楽観視していない。

    最大の理由は、長いストレートが特徴のモンツァで求められるエネルギー管理だ。2026年のF1では電気エネルギーへの依存度が高まっており、モンツァのようなエネルギー効率の厳しいコースでは、その使い方がラップタイムやレースでの攻防に大きく影響する。

    「かなり厳しくなると思う。このサーキットはエネルギー効率がすごく悪い。でも、あまりネガティブなことばかり言いたくはない。こういうものだからね。もう精神的には受け入れている」

    「少し違った週末になることを想定して準備してきた。ずっと全開でプッシュできるわけではないし、アクセルペダルを優しく扱わなければならない。そういう言い方になるかな」

    フェルスタッペンは2023年の段階から、2026年レギュレーションではモンツァのようなサーキットでエネルギー管理が問題になる可能性を指摘していた。

    その後、FIAとF1は状況を改善するための変更を進めてきたものの、フェルスタッペンは根本的な問題が解決したわけではないと考えている。

    「良くするために変更はいろいろ行われている。でも、良くなったからといって問題が解決したという意味ではない。解決にはまだ程遠い」

    「みんなできる限りのことをやっている。FIAもF1も、今の状況に対応しようとしている」

    特に決勝では、エネルギーをどこで使い、どこで温存するのかが重要になる。前車を追いかけたり、オーバーテイクを仕掛けたりする際にも制約が生じる可能性がある。

    「進入から走行中、立ち上がりまでどう管理するのか、みんなにとってかなり難しい経験になると思う。実際に誰かを抜くためにどこまでプッシュできるのか、僕にも分からない」

    レッドブルの競争力にも慎重「奇跡は期待していない」
    エネルギー管理の難しさに加え、フェルスタッペンは現在のレッドブルの競争力そのものについても現実的な姿勢を示している。

    「現時点でチームがどの位置にいて、どんなパフォーマンスなのかについて現実的になる必要がある。ただ、いい週末にできるように努力するだけだ」

    「ここではエネルギーの面ですでにかなり複雑になることは分かっている。まずそこを理解して、それから勢力図のどこにいるのかを見ることになる」

    「ここ数戦を見れば、現実的にならなければならない」

    特にレッドブルは、エネルギー効率が厳しいサーキットで十分な強さを発揮できていないとフェルスタッペンは認める。

    「エネルギー効率の悪いサーキットでは、僕たちはエネルギー面で特に良かったわけではない。だから、ここで奇跡が起きるとは期待していない。厳しくなるだろうね」

    さらに、ライバル勢がシーズン中のアップデートによって前進していることも懸念材料となっている。

    「周囲の他チームは今アップデートを持ち込んでいて、前進している。僕たちはその前からすでに遅れていたから、今になってそれが変わるとは思っていない」

    「ただ、マシンについてもっと学んでいく。来年に向けて変えたいことについても理解を深めていきたい」

    オランダGPでの体調不良からは完全に回復したフェルスタッペンだが、イタリアGPではモンツァ特有のエネルギー管理とレッドブルの現在の競争力という別の難題に直面する。本人も大幅な状況改善には慎重で、まずは2026年型マシンへの理解を深めながら、現実的な結果を目指す週末となりそうだ。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1残留の決め手はバスール「200%信じている」

    シャルル・ルクレール フェラーリF1残留の決め手はバスール「200%信じている」

    シャルル・ルクレールが、フェラーリとのF1契約を複数年延長した理由を明かし、フレデリック・バスール代表への絶大な信頼が決断を後押ししたと語った。

    2019年からフェラーリでF1を戦うルクレールにとって、スクーデリアでワールドチャンピオンになるという目標は今も変わっていない。2026年シーズン前半には苦しい時期も経験したが、それでもフェラーリのプロジェクトとバスールへの信頼に揺らぎはなく、「これが正しい決断だということに疑いはなかった」と強調している。

    「ここが自分の居場所」フェラーリとの契約延長
    2026年シーズン序盤、ルクレールはモナコ、バルセロナ、オーストリアの3戦で2度のリタイアと8位という厳しい結果に直面した。

    その一方で、28歳のルクレールはフェラーリとの新たな複数年契約に合意。「今後数シーズン」にわたって赤いマシンをドライブすることが決まった。

    F1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演したルクレールは、契約延長について「ただ、それが正しいと感じた」と説明した。

    「それ以上の説明が必要ないこともあると思う。僕にとって、今はここが自分の居場所なんだ。ここにいると心地いいし、いい結果を出したいというモチベーションを一番強く感じられる。それだけこのチームが大好きだからだ」

    「2019年にF1チームに加入してからもう何年も経っているけど、フェラーリファミリーの一員になったのはそれよりも前だ。フェラーリと一緒にワールドチャンピオンになるという究極の目標を諦めたくない」

    ルクレールは、現在のフェラーリが示している開発姿勢も将来への期待につながっていると語る。

    「このプロジェクトを信じているし、チームの一人ひとりを信じている。今年は僕たちがイノベーションを示しているシーズンだと思う。生産計画でも非常にアグレッシブだし、投入しているアップグレードについてもそうだ。それが将来に大きな希望を与えてくれている」

    バスールへの絶大な信頼「200%信じている」
    契約延長を決断するうえで大きな要素となったのが、フェラーリF1代表を務めるフレデリック・バスールの存在だった。

    「フレッドも、僕が再び契約した大きな理由のひとつだ。僕はフレッドを200%信じている」

    「僕たちはもう何年も前からお互いを知っているし、ずっと大好きだったチームで彼と一緒に仕事ができるのは特別なことだ。だから僕にとって、これが正しい決断だということに疑いはなかった」

    ルクレールとバスールの関係はF1以前にまでさかのぼる。2016年にルクレールがGP3に参戦したARTグランプリを率いていたのがバスールだった。

    「もうずっと昔からフレッドを知っているような感覚なんだ。彼は、一度話しただけでもそういう感じになる人だ。たぶん価値観なんだと思う。最初から自然とうまくいく何かがあって、それを完全に説明することはできない」

    「最初に話したときから、ずっと前から知っているように感じていた。だから当然、僕たちの絆は単なる仕事上の関係やビジネス上の関係よりも強い」

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)

    ハミルトンとの違いに苦しんだ2026年前半
    2026年シーズン前半、ルクレールが苦戦する一方で、チームメイトのルイス・ハミルトンは好調だった。ハミルトンはカナダGPとモナコGPで2位に入り、バルセロナではフェラーリ加入後初勝利を挙げた。

    ルクレールは当時、自分のマシンのセットアップを見直すか、自身のドライビングスタイルをマシンに合わせる必要があると考えていたという。しかし、7度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンの走り方をそのままコピーすることはできないと説明する。

    「『ルイスはこうしている。じゃあ僕も同じことをしよう』というほど簡単じゃない。ルイスは信じられないほど才能のあるドライバーだし、彼自身の自然なドライビングスタイルを持っている。その特定のスタイルでは世界最高だ」

    「それを再現するのはものすごく難しい。だから僕は、自分のドライビングスタイルにもう少し合うマシンにする方法を探すことに力を入れた。データの中から、うまく機能していない部分もいくつか見つけた。ただ、F1では物事がいつも白か黒かというほど単純ではない」

    データを見ればすぐに答えが見つかるわけではないともルクレールは説明する。

    「コンピューターの前に座ってデータを見て、『ここで0.15秒失っている。じゃあこれを変えよう』というような簡単な話じゃない。直感やフィーリングなんだ」

    「『これがマシンの中で自分を少し不快にさせている部分かもしれない。この感覚を改善できればパフォーマンスもついてくる』と考えるようなものだ」

    シルバーストンで見つけた転機
    転機となったのはイギリスGPだった。ルクレールはシルバーストンでマシンにいくつかの変更を施し、それが「正しい方向」に進んだと感じた。そして決勝では今季初勝利を挙げた。

    それ以降、ルクレールが意識しているのは、マシンの挙動について考えすぎないことだという。

    「マシンは常に変化している。だからメルボルンで感じていたものに完全に戻れるわけではない。すべてが進化している。でも僕の目標は、マシンに乗ったときに考えすぎないことだ」

    「考えすぎているときは、それだけでタイムを失っていると分かる。僕たちのスポーツでは、マシンで起きていることに反応することよりも、先を予測してマシンを感じることの方が重要だからだ」

    「コーナーに入るとき、マシンがどう動くのかを正確に分かっていなければならない。そうすれば、いちいち考えすぎる必要がなくなる」

    ルクレールは、ドライバーが最大限の能力を発揮するためには、いわゆる「フロー状態」に入ることが重要だと考えている。

    「考えすぎることはパフォーマンスを殺すと思う。物事が自然に起きるとき、それがレーシングドライバーやアスリートが言う『フロー状態』なんだと思う」

    「すべてが自然に流れているときこそ、自分のポテンシャルを100%使えている。いろいろなことを考えなければならなくなると、そこから難しくなる」

    フェラーリはメルセデスを逆転できるのか
    フェラーリは現在、F1コンストラクターズ選手権で2位につけているが、首位メルセデスとの差は87ポイントとなっている。

    残るシーズンでフェラーリがメルセデスを逆転できるかについて、ルクレールは2026年マシンではアップグレードによって勢力図が大きく変化するため「予測するのは非常に難しい」と語った。

    「そこについて考えることに、あまりエネルギーを使いたくない。このチャンピオンシップはアップグレードによって決まると思う。それくらい、このマシンではアップグレードの影響が大きい」

    「以前よりダウンフォースがかなり少なくなっているから、このマシンにダウンフォースを少し加えるだけでも、コース上でのフィーリングに与える影響はずっと大きい。だから勢力図は、良い方向にも悪い方向にもあっという間に変わる可能性がある」

    そのため、ルクレールはタイトル争いの可能性を計算するのではなく、一戦ずつに集中していくという。

    「僕は一戦一戦に集中している。そのチャンピオンシップを本当に狙えるのかという長期的なことは、あまり考えていない。でも、可能性が完全になくなるまでは信じ続けるよ。どうなるか見てみよう」

    「チャンピオンシップは、いつか達成したい夢だ。特に赤いチームと一緒にね。それはもう何年も前から僕が抱いている夢だ」

    「僕たちは近づいていると感じている。それがいつになるのかは分からない。でも、できるだけ早く実現してほしいと思っている」

    苦しい2026年シーズン前半を経験しても、ルクレールがフェラーリへの信頼を失うことはなかった。バスールへの「200%」の信頼、積極的な開発姿勢、そしてフェラーリでF1ワールドチャンピオンになるという長年の夢。そのすべてが、ルクレールにとって契約延長を迷う余地のない決断にした。

  • リンドブラッド レッドブルF1起用見送りに納得「ローソン継続の方が理にかなう」

    リンドブラッド レッドブルF1起用見送りに納得「ローソン継続の方が理にかなう」

    アービッド・リンドブラッドは、2026年F1イタリアGPでレッドブル・レーシングが自身ではなくリアム・ローソンを継続起用した判断について、「パフォーマンスを最大化することにはならない」として、ドライバーを入れ替えない決定に理解を示した。

    負傷したアイザック・ハジャーの欠場に伴い、レッドブルはオランダGPに続いてローソンをマックス・フェルスタッペンのチームメイトに起用。レーシングブルズでは角田裕毅がリンドブラッドとコンビを組む。

    リンドブラッドにもレッドブルをドライブする機会を与える案が考えられたが、本人は2戦で異なるドライバーを起用することは最適ではないとの考えを示している。

    リンドブラッド「2人を別々の週末に乗せても最適化できない」
    ハジャーの欠場が決まった際、レッドブルは2026年ルーキーのリンドブラッドではなく、F1で50戦近い経験を持つローソンを代役に選んだ。

    イタリアGPのメディアデーでは、Sky Sports F1のクレイグ・スレーターがリンドブラッドに対し、ローソンとリンドブラッドを1戦ずつレッドブルに乗せ、フェルスタッペンを基準に両者を比較するという考え方について質問した。

    スレーターは『Paddock Uncut』で、そのやり取りを次のように説明している。

    「レーシングブルズの2人について、アービッド・リンドブラッドに聞いた。2人をそれぞれ1回ずつレッドブルに乗せるという考えはなかったのか、とね。少しナイーブな質問だとは思った」

    「彼は『そうだね。別々の週末に2人の異なるドライバーをマシンに乗せても、パフォーマンスを最大化することにはならない。だから今回の方が理にかなっている』と答えた」

    オランダGPでローソンを起用した以上、モンツァでも同じドライバーを継続する方が、マシンへの習熟やエンジニアとの連携という点で合理的だというのがリンドブラッドの見方だ。

    一方でスレーターは、リンドブラッドにもレッドブルをドライブする資格があることを本人も意識しているようだったと付け加えた。

    「ただ、あのマシンで週末を走る権利という意味では、自分もリアム・ローソンとほぼ同じくらい強い立場にいるという指摘を、彼は評価していたと思う」

    アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    2027年のレーシングブルズを巡る競争
    今回ローソンがレッドブルに抜擢された一方、2027年のドライバー争いではローソン自身も安泰とは限らないとの見方がある。

    F2選手権をリードするニコラ・ツォロフが2027年のレーシングブルズ昇格候補として浮上しており、スレーターはローソンがシート争いで最も厳しい立場に置かれる可能性を指摘した。

    「ローソンは昇格したにもかかわらず、それでも我々は考えている。ドライバープログラムにはツォロフが控えているわけで、最も危険な立場にいるのは彼なのではないか、と」

    「それが公平には見えないかもしれない。でも、そういう状況なのかもしれない」

    ローソンにとって今回のレッドブルでの代役参戦は、単なるハジャーの穴埋めだけではない。2027年に向けて自身の評価を高める重要な機会にもなっている。

    ハジャーはマドリードGPも欠場の可能性
    ハジャーについては、次戦スペイン・マドリードGPで復帰できるかどうかもまだ確定していない。

    Sky Sports F1のナオミ・シフによれば、ハジャーはイタリアGPに出場できる可能性もあったものの、さらなる負傷のリスクを避けるため欠場という判断が下されたという。

    「彼らは今回には間に合うとほぼ確信していた。おそらく痛みを抱えながらでも走ることはできたと言っていたけど、もしさらにダメージを負えば、負傷が長引くことになる」

    「だから予防的な意味で、もう1戦休ませることにしたのだと思う」

    スレーターも、ハジャーがシミュレーターで作業を行い、医学的な検査も受けたことを明かしている。

    「彼はシミュレーター作業も行い、医学的な評価も受けた。結論としては、回復がモンツァまでに完了しなかったということだ。マドリードの前にもう一度評価される」

    さらにテッド・クラビッツは、マドリードの新コースがモンツァよりも手首への負担が大きくなる可能性を指摘した。

    「マドリードにはここよりはるかに多くのコーナーがあり、その中には負荷がずっと大きいものもある。彼が3戦を欠場する可能性もある」

    ハジャーの復帰時期が流動的ななか、レッドブルは少なくともイタリアGPではドライバーを再び入れ替えることなく、ローソンを継続起用する道を選んだ。

    リンドブラッド自身もその判断を合理的と受け止めている。レッドブル昇格の機会を逃した形ではあるものの、モンツァでは角田裕毅とともにレーシングブルズを走り、自身の評価を高める週末に臨む。