2026年F1第14戦スペインGPで、マドリードの新サーキット「マドリンク」がF1世界選手権デビューを迎える。ピレリは、全長550mのバンク付きコーナー「モニュメンタル」が、今季のF1カレンダーで最も大きな垂直荷重をタイヤに与えるコーナーになると分析している。
マドリンクは市街地と常設区間を組み合わせた全長5.416km、22コーナーのコースだ。
タイヤにかかるエネルギーという観点ではF1カレンダーで上位5サーキットに入る厳しさとされ、初開催だけに金曜フリー走行で得られる実走データが週末の戦略を大きく左右することになる。
全長550mの「モニュメンタル」が最大の難所
マドリンク最大の特徴となるのが「モニュメンタル」と呼ばれる全長550mのターンだ。最大24%のバンクを備え、その長さと傾斜によって非常に大きな負荷がタイヤにかかる。
ピレリによれば、マドリンクはタイヤに入力されるエネルギーの面でF1カレンダーのなかでも上位5コースに位置し、横方向の負荷はバルセロナやシルバーストンに匹敵する。
なかでもモニュメンタルは、バンク角だけでなくコーナーそのものが長いことから、今季のF1カレンダーで最も高い垂直荷重を発生させるコーナーになるという。
さらに、この特殊なレイアウトはタイヤのグリップという面でも大きな課題をもたらす。モニュメンタルをどのようなラインで攻略するかについては、その次のコーナーへの進入でどれだけ攻めることを優先するかによって、ドライバーごとに異なるアプローチが見られる可能性がある。
ハードC2 ミディアムC3 ソフトC4を選択
ピレリはF1スペインGPにC2をハード、C3をミディアム、C4をソフトとして持ち込む。
スタート/フィニッシュラインからターン1まではわずか約200m。第1セクターは非常に高速で、その後はバンクの付いたターン12を含め、中低速コーナーが連続するセクションへと入っていく。
ラップ終盤には、バクー市街地サーキットで見られるような90度コーナーが複数配置されており、ひとつのコースのなかに異なる性格を持つ区間が組み合わされている。

ピレリは3年前からシミュレーションを開始
ピレリがマドリンクでタイヤにかかる負荷を分析する作業を開始したのは3年前だった。
サーキット設計者から最終レイアウトに関する最初の情報が提供されると、ピレリはシミュレーションツールを使用してF1マシンが走行すると予想されるラインを特定。そこからタイヤに加わる負荷を算出した。
サーキット完成後にはピレリのエンジニアが現地を訪れ、路面のマクロおよびミクロの粗さを測定。そのデータを用いてシミュレーションをさらに精密化し、各チームが初開催のF1スペインGPに備えるための技術資料を作成して共有した。
新舗装は非常に滑らか グリップは低め
マドリンクのアスファルトは非常に滑らかで、路面が生み出すグリップは比較的低いと予想されている。
そのため、新しく舗装された路面に残りやすいほこりや油分を除去する目的で、高圧のウォータージェットによる処理が施された。これはシンガポールなど、ほかのF1開催地でも採用されている方法だ。
新しい路面という不確定要素に加えて、実際のF1マシンによる事前テストが行われていないことも、チームにとって大きな課題となる。
各チームは金曜のFP1で初めて実際のタイヤ挙動やデグラデーションを確認し、その結果をもとに残りの週末の走行プログラムを組み立てることになる。
ソフト側のコンパウンドでデグラデーションが大きいことが判明した場合、決勝に向けてハードタイヤを温存する戦略を採用する可能性もある。
高低差26m 標高約700mまで上昇
マドリンクには高低差も存在する。コース最高地点はターン7で、標高は約700mに達する。
ターン6からターン7へ向かう区間には最大8%の勾配があり、約10mの高低差を一気に上っていく。一方、コース最低地点はターン2で、ターン7との標高差は26mとなっている。
気温については、前年の同じ週にマドリードで最高気温29度を記録している。ただし、サーキット自体が比較的標高の高い場所に位置していることから、ピレリは極端な高温になる可能性は低いとみている。
マドリードでのF1開催は45年ぶり
マドリンクでF1世界選手権が開催されるのは今回が初めてだが、マドリード地域でF1スペインGPが行われるのは初めてではない。
1968年から1981年にかけて、マドリード中心部から約30kmに位置するハラマ・サーキットでスペインGPが9回開催された。
ハラマで最多勝を記録しているドライバーは2勝のマリオ・アンドレッティで、コンストラクターではロータスが4勝で最多となっている。
スペインGP全体ではこれまで5つのサーキットで計55回開催されており、ドライバーの最多勝はミハエル・シューマッハとルイス・ハミルトンの各6勝。コンストラクターではフェラーリが12勝で最多を記録している。

マドリード限定の表彰台キャップも登場
ピレリはF1スペインGPに合わせて、マドリード限定デザインの「Podium Cap」も用意した。
デザイナーのデニス・デコビッチがピレリ・デザインのために手掛けたもので、クラウン部分は全面ホワイト。つばの裏側には、スペインの首都マドリードを象徴するモチーフのひとつである北斗七星の7つの星があしらわれている。
初開催となるマドリンクでは、チームもピレリも実走データを持たない状態で週末を迎える。滑らかな新舗装、カレンダー屈指のタイヤ負荷、そして今季最大の垂直荷重を生み出す「モニュメンタル」。FP1からどれだけ早く路面とタイヤを理解できるかが、F1スペインGPの勝負を左右する重要なポイントとなりそうだ。



















