フェラーリが育成ドライバーのラファエル・カマラを2027年にF1デビューさせるため、キャデラックとの交渉を開始したと報じられている。この動きは、ニコラ・ツォロフをキャデラックに送り込む可能性を模索しているレッドブルの計画にも影響を及ぼしそうだ。
2026年F2では、レッドブル育成のツォロフとフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のカマラがタイトル争いを展開している。
夏休み時点でツォロフが167ポイントで首位に立ち、ガブリエレ・ミニが147ポイント、カマラが145ポイントで続く。F2で争う2人が、2027年のF1シートをめぐっても直接競合する可能性が浮上している。
ローソン好調でツォロフのレーシングブルズ昇格に難題
レッドブルにとって、19歳のツォロフを2027年にF1へ昇格させる最も単純な方法は、レーシングブルズのシートを与えることだ。これまでも同チームは、レッドブルの若手ドライバーをトップチームへ送り出すための育成の場として機能してきた。
しかし、2026年はリアム・ローソンが好調なパフォーマンスを続けており、状況が複雑になっている。ローソンはレーシングブルズの事実上のチームリーダーとして存在感を高め、シーズン前半には安定してポイントを獲得。現在のパフォーマンスを考えれば、2027年もシートを維持するだけの十分な理由がある。
そのため、レッドブルがローソンを残しながらツォロフをF1に昇格させる選択肢として浮上したのが、キャデラックへの期限付き移籍だ。
ツォロフを2027年にキャデラックへ貸し出し、F1で経験を積ませたうえで将来的にレッドブル陣営へ戻すという構想が取り沙汰されている。実現すれば、ローソンのレーシングブルズ残留とツォロフのF1昇格を両立できる。
フェラーリもカマラの2027年F1デビューを模索
ところが、ここにフェラーリが割って入る可能性が出てきた。
Last Word On Sportsによると、フェラーリは当初、2027年にカマラをハースへ期限付きで送り込むことを想定していたという。実現すれば、FDA出身のオリバー・ベアマンとカマラというラインアップになる可能性があった。
しかし、ハースはマクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリの起用に傾いているとされ、フェラーリはカマラの新たな受け入れ先を探す必要に迫られている。
そこで候補として浮上したのがキャデラックだ。
報道によれば、フェラーリはカマラを2027年にキャデラックへ貸し出す可能性について初期交渉を開始したという。カマラのマネジメント陣も、2027年のF1シート確保に向けて複数のF1チームと「積極的に」話し合っていることを認めており、キャデラックが有力候補のひとつとみられている。
カマラとツォロフがキャデラックの同じシートを争う可能性
キャデラックの2027年ドライバーラインアップをめぐっては、複数の選択肢が取り沙汰されている。
テストドライバーのコルトン・ハータをF1デビューさせる案がある一方、ツォロフやカマラを他チームから期限付きで受け入れる可能性もある。また、セルジオ・ペレスが2027年にカルロス・サインツJr.の後任としてウィリアムズへ移籍する可能性について話し合いを行ったとの情報もあり、キャデラックに空席が生じるシナリオも注目されている。
仮にキャデラックがカマラとツォロフのどちらかを選ぶことになれば、フェラーリが有利な立場に立つ可能性がある。
キャデラックは2026年のF1参戦開始からフェラーリ製パワーユニットを使用しており、少なくとも2028年まで供給を受ける契約となっている。その後はゼネラルモーターズ(GM)が独自のワークスPUを投入することを目指している。
ハースと同様、現在のキャデラックはフェラーリのPUカスタマーであり、両者にはすでに技術的な関係が存在する。
フェラーリとの関係強化もカマラ起用のメリット
キャデラックがカマラを起用すれば、単に有望な若手ドライバーを確保するだけでなく、フェラーリとの技術面およびスポーツ面での関係をさらに強化できるとの見方もある。
21歳のカマラは2025年にF3へ参戦すると、ルーキーイヤーでタイトルを獲得。2026年にはF2へ昇格し、初年度からタイトル争いに加わっている。フェラーリが将来を期待する若手のひとりであり、F1昇格に向けた次のステップが注目されている。
一方のツォロフも2026年F2でランキング首位に立っており、レッドブル育成プログラムの次期F1候補として評価を高めている。
こうして2026年のF2タイトルを争うツォロフとカマラが、2027年にはキャデラックのF1シートをめぐって再び競う構図が生まれる可能性がある。
レッドブルにとってツォロフのキャデラック移籍は、好調なローソンをレーシングブルズに残しながら若手をF1へ送り込める有力な解決策だった。しかし、フェラーリがカマラの受け入れ先として同じキャデラックとの交渉に動いたことで、2027年の若手ドライバー市場はさらに複雑な展開を迎えようとしている。
