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  • キャデラックF1筆頭オーナーに集団訴訟 詐欺的隠蔽など複数の疑惑

    キャデラックF1筆頭オーナーに集団訴訟 詐欺的隠蔽など複数の疑惑

    キャデラックF1チームの筆頭株主であるTWGグローバルのオーナー、マーク・ウォルターが、詐欺的隠蔽、契約違反、詐欺の幇助、民事共謀などを主張する集団訴訟に直面している。

    訴訟は米フロリダ州南部地区連邦地方裁判所に提起されたもので、ウォルター本人だけでなく、デラウェア・ライフ・インシュアランス・カンパニー、グループ1001、TWGグローバル、グッゲンハイム・パートナーズなども被告として名を連ねている。

    保険会社の資産配分をめぐり「組織的な隠蔽」を主張
    訴訟は法律事務所ロビンス・ゲラー・ラドマン&ダウドが、マイアミ在住の67歳、アイラ・ロズナーを代表して提起したもので、デラウェア・ライフを通じて購入された年金保険をめぐる問題が中心となっている。

    USA Todayによると、訴状ではウォルターと被告企業が「ウォルターと関係する、あるいはウォルターが支配する事業体への保険会社資産の配分について、隠蔽および虚偽表示を行う組織的な計画」を実行したと主張している。

    訴訟の焦点のひとつとなっているのが、ウォルターが率いるインディアナ州拠点のグループ1001をめぐる情報開示である。

    訴状では、デラウェア・ライフが2月に大陪審から召喚状を受け取っていたにもかかわらず、グループ1001が6月に規制当局への開示が義務付けられるまで、その事実を意図的に公表しなかったと主張している。

    さらに、デラウェア・ライフの投資資産のうち、関連当事者への投資として開示されていたのは約3%にすぎなかった一方で、訴状では「実際の数字はその1,000%以上だった」としている。

    これらはいずれも訴訟を提起した原告側の主張であり、現時点で裁判所が事実として認定したものではない。

    TWGグローバルはキャデラックF1の筆頭株主
    ウォルター率いるTWGグローバルは近年、モータースポーツへの関与を急速に拡大している。その中心となっているのがTWGモータースポーツで、キャデラックF1チームを運営する事業体でもある。

    キャデラックはTWGモータースポーツとゼネラルモーターズ(GM)のパートナーシップによって2026年にF1へ参戦。11番目のコンストラクターとしてグリッドに加わり、ウォルターはチームの筆頭株主となっている。

    F1参戦初年度となる2026年は、セルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスをレースドライバーに起用。周冠宇がリザーブドライバーを務め、コルトン・ハータもテストドライバーとしてチームに加わっている。

    また、先月グレアム・ロードンの後任としてマルチン・ブドコウスキーがチーム代表に就任し、日々のレース活動を統括している。

    キャデラックF1売却の可能性は否定
    ウォルター個人をめぐる法的および規制上の問題が注目を集めたことで、TWGモータースポーツがキャデラックF1への出資を見直すのではないかとの憶測も浮上している。

    しかし、TWGモータースポーツはキャデラックF1チームについて売却する意思はなく、保有する株式から撤退する考えもないと公に表明している。

    今回の訴訟はキャデラックF1チームの活動そのものを対象としたものではなく、ウォルターやTWGグローバルなどを被告として、保険会社の資産運用や情報開示をめぐって提起されたものだ。今後の訴訟の進展とともに、モータースポーツ界で存在感を強めるTWGグループへの影響も注目される。

  • キャデラックF1 ボッタスの2027年残留を確約せず 後任候補にオコンと角田裕毅

    キャデラックF1 ボッタスの2027年残留を確約せず 後任候補にオコンと角田裕毅

    キャデラックF1の2027年ドライバーラインナップを巡る動きが活発化している。新チーム代表のマルチン・ブコウスキーは、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスの残留を明言せず、特にボッタスのシートが不透明になっている。

    フィンランドからの報道では、ボッタスの後任候補としてエステバン・オコンの名前がモンツァで浮上したという。さらに角田裕毅も候補のひとりとして挙げられており、前日には角田自身がキャデラックのシート獲得に向けて動いていることも伝えられている。

    ブコウスキーが2027年ラインナップの確約避ける
    キャデラックは2026年のF1参戦にあたり、ボッタスとペレスという経験豊富なコンビを起用した。両者は複数年契約を結んでおり、当時の情報では少なくとも2027年まで契約が続くとされている。

    しかし、グレアム・ロードンに代わってチーム代表に就任したブコウスキーは、現在の2人を2027年も起用するかについて明確な保証を与えていない。

    F1イタリアGPが開催されたモンツァでAFPから質問されたブコウスキーは、現在のドライバーについて次のように語った。

    「我々が抱えているドライバーには非常に満足している。経験豊富な2人のドライバーがチームの発展を助けてくれている」

    一方、2027年のラインナップについては明言を避けた。

    「発表することがあれば、そのときに発表する。今の私の優先事項はチームの組織とマシンのパフォーマンスだ」

    キャデラック側は8月の段階では2027年にドライバーを変更する計画はないとの姿勢を示していたものの、「F1では状況は常に変わり得る」とも説明していた。

    ボッタスと新代表ブコウスキーの関係も焦点
    ブコウスキーの発言を受け、フィンランドではボッタスの将来を巡る憶測が再燃している。

    『Ilta-Sanomat』のジャーナリスト、ヤンネ・オイヴィオは、ブコウスキーがキャデラックの体制を再構築していくなかで、ボッタスがシートを失う可能性があると報じている。

    ボッタスは前代表ロードンと親しい関係にあり、ロードン自身について「友人」と語っている。一方、ブコウスキーについては代表交代後、「過去からそれほどよく知っているわけではない」と説明していた。

    対照的に、ペレスはキャデラックで強力な商業的支援を持つとされるだけでなく、チーム側もこれまでその働きを高く評価してきた。

    キャデラックのダン・トウリスは8月、ペレスについて「チームにとって素晴らしい財産」と評価し、残留に強い自信を示していた。ブコウスキーも、レッドブルで長年トップチームを経験したペレスがチームを強くプッシュしていることを高く評価している。

    こうした状況から、仮にキャデラックが2027年にラインナップを変更する場合、ペレスよりもボッタスのシートが対象になるとの見方が強まっている。

    エステバン・オコン

    オコンがボッタス後任候補に浮上
    そのボッタスの後任候補として新たに名前が挙がったのが、現在ハースでF1を戦うエステバン・オコンだ。

    オイヴィオはモンツァで得た情報として、キャデラックを巡るドライバー市場について次のように伝えている。

    「モンツァでは、エステバン・オコンの名前がボッタスの後任候補として挙げられていた」

    オコンは2027年のハースでのシートが保証されているわけではなく、その去就が注目されている。

    キャデラックにとってオコンを検討する理由のひとつとなり得るのが、ブコウスキーとの過去の関係だ。

    2人はアルピーヌで一緒に仕事をした経験があり、オコンが2021年ハンガリーGPで自身初のF1優勝を飾った当時、ブコウスキーはアルピーヌの経営陣に加わっていた。

    ブコウスキーにとって能力や仕事の進め方をすでに把握しているドライバーであり、キャデラックが2027年に変更を検討する場合の候補として名前が浮上している。

    角田裕毅

    角田裕毅も2027年キャデラックF1の候補
    もうひとり、ボッタスの後任候補として名前が挙げられているのが角田裕毅だ。

    角田裕毅はアイザック・ハジャーの負傷に伴うレッドブル陣営のラインナップ再編によってF1オランダGPでレーシングブルズから実戦復帰。続くイタリアGPでは10位に入り、復帰2戦目で今季初ポイントを獲得した。

    さらに今週末のF1スペインGPでもレーシングブルズから出場することが正式に決まっており、2027年のレギュラーシート獲得に向けてアピールする機会を得ている。

    オイヴィオも角田をキャデラックの候補として挙げており、復帰後のパフォーマンスに加え、商業面での支援をもたらす可能性もあると伝えている。

    角田を巡っては、前日にもジャーナリストのジャッキー・マルテンスがPaddock Accessポッドキャストで、キャデラックのシート獲得に向けて実際に動いていると明かしていた。

    マルテンスはボッタスの2027年残留が確定しているとの見方に疑問を呈したうえで、「角田裕毅がそのシートを獲得しようと動いていることは知っている」と語っている。

    異なるルートから相次いで角田とキャデラックを結びつける情報が出てきたことで、2027年のF1復帰を目指す角田にとって、キャデラックが重要な選択肢となっている状況がより鮮明になってきた。

    コルトン・ハータの昇格可能性は後退
    一方、キャデラックの将来的なF1ドライバーとして以前から注目されてきたコルトン・ハータについては、2027年のシート獲得の可能性が後退していると報じられている。

    アメリカ人であるハータはキャデラックにとって自然な候補とみられてきたが、F1参戦に必要なスーパーライセンス取得に向けた状況は厳しい。

    オイヴィオは、F2転向後のハータの苦戦によってスーパーライセンス取得が遠のき、キャデラックのF1シート獲得も難しくなっているとの見方を示している。

    現時点でキャデラックがボッタスの交代を決定したわけではなく、オコンや角田裕毅との契約交渉が正式に確認されたわけでもない。ボッタスとペレスは複数年契約を結んでいるとされ、キャデラックもこれまで2027年の変更を積極的に示唆してはいなかった。

    それでも、新代表ブコウスキーが現在の2人の2027年残留を確約しなかったことで状況は流動的になりつつある。オコンの名前が新たに浮上し、角田についてもシート獲得に動いているとの情報が相次ぐなか、ボッタスのシートを巡る2027年のキャデラックF1のドライバー争いは今後さらに注目を集めそうだ。

  • キャデラックF1に罰金 ハータ車の規則違反でFIA「今後は競技上の罰則も」

    キャデラックF1に罰金 ハータ車の規則違反でFIA「今後は競技上の罰則も」

    キャデラックF1は、F1イタリアGPのフリー走行1回目(FP1)でコルトン・ハータのマシンがコース上に停止した際、クラッチを切り離すためのシステムが機能しなかったとして、3万ユーロ(約520万円)の罰金を科された。このうち2万5000ユーロは執行猶予となっている。

    スチュワードは、原因が外部サプライヤーから供給されたバッテリーのセル故障だったことを認めた一方、規則を順守する最終的な責任はチームにあると判断した。

    さらに、同様のクラッチ・ディスエンゲージメント・システム(CDS)の不具合は今季すでに3件目となっており、今後は金銭的な罰金だけでなく、競技上のペナルティを科す可能性があるとF1各チームに警告した。

    コルトン・ハータ車がレズモ出口でストップ
    コルトン・ハータはセルジオ・ペレスに代わって今季3度目となるFP1に出走していたが、セッション残り約40分、第2レズモを立ち上がったところでMAC-26を停止させた。

    ハータはマーシャルポスト付近にマシンを止めたものの、クラッチがつながった状態のままでマシンを動かすことができなかった。当初はバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、その後セッションは赤旗に切り替えられた。キャデラックF1は当初、このトラブルについて油圧系の問題だと説明していた。

    その後、ハータはFIA F1テクニカルレギュレーションの第C9.3条に違反した疑いでスチュワードに召喚された。

    同条項では、エンジンが停止した状態でマシンが止まった場合、最低15分間にわたってクラッチを切り離せる手段をすべてのマシンに装備することを義務付けている。

    さらに、このシステムについては「マシンの主要な油圧、空圧、電気システムが故障した場合でも、競技期間を通じて正常に作動する状態になければならない」と定められている。

    原因は外部サプライヤー製バッテリーのセル故障
    キャデラックF1がデータと情報を収集するための時間を確保できるよう、審理は土曜日の朝まで延期された。

    スチュワードはチームのスポーティングディレクター、信頼性部門責任者、FIAテクニカルデリゲート、FIA F1エレクトロニクスエンジニアから事情を聴取した。

    キャデラックF1はCDSがどのように設計、搭載されているかを示す詳細な図面を提出。スチュワードは、このシステムがレギュレーションで要求されている通り、マシンの他のシステムから独立して作動するよう設計されていたことを確認した。

    またチームは、競技開始前日の段階でシステムの点検と作動確認を実施していたことも証明した。

    しかし、マシンの電子システムがオフになった「P0モード」でCDSを作動させるためには、外部サプライヤーから供給されたリチウムバッテリーに依存していた。

    調査の結果、このバッテリーを構成する4つのセルのうち1つが故障していたことが判明。その結果、CDSが作動不能となり、ハータのマシンが停止した際にコースから容易に押して移動させることができず、赤旗の原因となった。

    キャデラックF1が再発防止策を提示
    キャデラックF1は今回のトラブルを受け、まずバッテリーのサプライヤーから想定される最大使用期間についての情報を入手すると説明した。

    さらに、毎日または各セッション前に点検を実施するとともに、バッテリーの定期交換プログラムを導入し、同様の故障が再発する可能性を最小限に抑える方針を示した。

    スチュワードは、キャデラックF1が調査に対して完全に透明性のある対応を取ったことを評価し、チームが提示した再発防止策についても合理的なものだと認めた。

    一方で、外部サプライヤー製の部品が故障原因だったとしても、規則への適合について最終的な責任を負うのはチームであるとの立場を明確にした。

    「チームが情報開示において完全に透明性を保っていたこと、そして上記の計画が合理的な対応であることをスチュワードは認める。しかし、レギュレーション違反が発生したことに変わりはない」

    「その原因は第三者から供給された部品の故障に帰することができるものの、規則を順守する最終的な責任は依然としてチームにある。したがって、ペナルティを科す」

    この判断により、キャデラックF1には3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万5000ユーロが執行猶予とされた。

    今季3度目のCDS故障 FIAが競技上のペナルティを警告
    CDSをめぐる同様の違反は今季すでに発生している。カナダGPではリアム・ローソンのマシンで同様の問題が発生したレーシングブルズに3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万ユーロが12カ月間の執行猶予となった。

    また、モナコGPでもランド・ノリスのマクラーレンがプラクティス中に停止して移動できなくなり、同様の制裁を受けている。

    今回で今季3件目のCDS故障となり、いずれもマシンを迅速に撤去できないことによる競技への影響が問題視されている。特に今回も赤旗が提示され、セッションそのものに競技上の影響を与えた。

    スチュワードは今回については金銭的なペナルティにとどめたものの、今後の同様のケースでは処分を強化する可能性を明確にした。

    「スチュワードは、これが今季報告された3件目のCDSの故障であることを指摘する。今回もこの故障によって赤旗が提示され、競技上の影響が生じた」

    「今回は金銭的なペナルティを科すことを決定したが、CDSは重要なコンポーネントであり、マシンを安全かつ迅速にコースから撤去するために設計されたものであることから、今後の故障については金銭的なペナルティだけでなく、競技上のペナルティが科される可能性もあることを競技者に通告する」

    今回のキャデラックF1への処分は、単なる個別の技術的トラブルへの罰金にとどまらず、CDSの信頼性確保を全チームに改めて求める警告となった。今後、同様の不具合によって赤旗など競技進行への影響が生じた場合、金銭的な制裁に加えて競技上のペナルティが科される可能性がある。

  • キャデラックF1 チーム売却報道を否定 TWG調査も「計画はない」

    キャデラックF1 チーム売却報道を否定 TWG調査も「計画はない」

    キャデラックF1は、チームの過半数株式を保有するTWGモータースポーツの親会社TWGグローバルを巡る動きを受けて浮上したチーム売却説を明確に否定した。TWG側は「キャデラックのチーム、あるいはTWGモータースポーツのその他の事業を売却することは検討していない」と声明を出している。

    TWGグローバルでは、創業者マーク・ウォルターの金融取引を巡って米連邦当局による調査が開始されたと報じられており、これがF1プロジェクトの将来にも影響するのではないかとの憶測につながった。

    しかし、キャデラックは新ファクトリーへの投資や人材補強を継続しており、新チーム代表のマルチン・ブコウスキーもプロジェクトへのコミットメントに疑問はないと強調している。

    TWGグローバルを巡る動きで売却説が浮上
    キャデラックのF1プロジェクトは、ゼネラルモーターズ(GM)が「キャデラック」のブランドと技術面での支援を提供し、チームの株式も保有する一方、TWGモータースポーツが支配株主となる形で運営されている。

    そのため、TWGグローバルを巡る動きは、F1チームの所有体制にも関心を集めることになった。

    TWGグローバルの創業者であるマーク・ウォルターは、金融取引を巡って米連邦当局の調査対象となっているとされる。さらにウォルターは、NBAのロサンゼルス・レイカーズを100億ドルで取得してからわずか約1年後に125億ドルで売却したことで注目を集めた。

    こうした背景から、ウォルターが保有する他の資産についても整理を進めるのではないかとの見方が広がり、その対象にキャデラックのF1チームが含まれる可能性も取り沙汰された。

    キャデラックF1「売却は検討していない」
    しかし、キャデラック側はオランダGPの舞台となるザントフォールトで、この売却説を明確に否定した。

    GMのグローバル・モータースポーツ・コミュニケーションズ担当エグゼクティブディレクターを務めるエイドリアン・アトキンソンは、チームの活動について説明する前にTWGグローバルの声明を紹介した。

    「始める前に、現在TWGについていくつかニュースが出ているので触れておきたい。TWGグローバルから声明が出ている」

    「TWGはキャデラックのチーム、あるいはTWGモータースポーツのその他の事業を売却することを検討していない」

    また、TWGモータースポーツのCEOを務めるダン・トウリスについても説明した。

    「参考までに、ダン・トウリスは今週末のインディカーのレースのためワシントンD.C.にいる。そのため、ここには来ていない」

    TWGモータースポーツはF1だけでなく、インディカーを含む複数のモータースポーツカテゴリーに関与している。今回の声明は、親会社を巡る不透明感がキャデラックF1の所有体制に波及するとの見方を打ち消すものとなった。

    キャデラック F1

    ブコウスキー「コミットメントと投資を示している」
    キャデラックは現在、F1プロジェクトの体制を大きく変化させている時期にある。

    チーム代表を務めていたグレアム・ロードンが退任し、その後任としてマルチン・ブコウスキーがF1に復帰。新たなチーム代表として組織づくりを進めている。

    ブコウスキーは、TWGグローバルを巡る状況について、キャデラック加入を決める際の懸念材料にはならなかったと説明した。就任前にチームの将来について保証を求めたのかと質問されると、そうした話題そのものが議論されなかったと明かした。

    「それについての話し合いはまったくなかった。僕にとって疑いはないし、そこから何か影響を受けているということもない」

    さらにブコウスキーは、現在進められている具体的な投資をその根拠として挙げた。

    「新しいファクトリー、僕の就任、それに近いうちに発表できることを期待している重要な人材もいる。これらは、このプロジェクトに対するコミットメントと投資を示していると思う」

    キャデラックは新ファクトリーの整備を進めるとともに、ブコウスキーを中心とした新たなマネジメント体制を構築している。さらに、今後も主要スタッフの加入を発表する予定だという。

    TWGグローバルを巡る調査やウォルターの資産売却を背景にチーム売却説が浮上したものの、現時点でキャデラックF1側が示している動きはむしろ逆だ。新施設への投資、人材補強、経営体制の再構築を進めており、TWGと新チーム代表の双方がF1プロジェクトへの長期的なコミットメントを強調している。

  • キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1新代表ブコウスキー 英米4拠点の連携強化「最優先は聞くこと」

    キャデラックF1の新チーム代表に就任したマルチン・ブコウスキーが、チーム改革に向けた最初のテーマとして英国と米国にまたがる組織の連携状況を把握する考えを明らかにした。

    キャデラックはシルバーストンをF1活動の主要拠点とする一方、米国ではインディアナ州フィッシャーズをはじめ、ノースカロライナ州とミシガン州にも拠点を構えている。

    ブコウスキーは、この4拠点に存在する人材と技術力を最大限に生かすことが重要だと考えている。

    キャデラックF1新代表ブコウスキー まずは「聞いて観察する」
    キャデラックは先週、グレアム・ロードンの後任としてブコウスキーを新チーム代表に起用すると発表した。突然の交代はF1パドックでも驚きをもって受け止められた。

    ブコウスキーはマクラーレンやフェラーリなどで経験を積んだ空力エンジニアであり、FIAのF1技術部門責任者やアルピーヌのエグゼクティブディレクターも務めた。今週末のF1オランダGPでは、キャデラックのチーム代表として初めてピットウォールに加わる。

    就任発表時点では、まだ英国シルバーストンのファクトリーを訪れていなかった。キャデラックをめぐっては、将来的に米国フィッシャーズの拠点へ活動の比重を移す可能性も取り沙汰されているだけに、ブコウスキーがどのような組織体制を構築するのかにも注目が集まっている。

    ブコウスキーは、チーム代表として最初に行うべきことは組織を理解することだと説明した。

    「僕の最優先事項は、まず話を聞くことだ。率直に言えば、ファクトリーで話を聞き、観察する。人々に会う必要があるし、彼らがどう働いているのか、さまざまな個人や部門がどう連携しているのかを理解する必要がある」

    特に重視しているのが、ファクトリーとサーキットで活動するチームの連携だ。

    「これまでのF1での経験から、チームが信頼性の問題に苦しんでいるときには、サーキット側のオペレーションとファクトリーとの間に分断が生まれる大きなリスクがあることを知っている。キャデラックはシーズン前半にそうした問題を抱えていた」

    「どんなF1チームでも、そのつながりは非常に強固でなければならない。だから最初の週はファクトリーとザントフォールトのサーキットの両方で過ごす。それぞれの側からチームを見て、どう連携しているのかを確認したい」

    キャデラックF1チーム

    米国の技術力も活用「人材を見ないのは愚かなこと」
    キャデラックの特徴のひとつが、大西洋を挟んだ複数拠点によるF1プロジェクトである。

    現在はシルバーストンがF1活動を主導しているが、米国ではフィッシャーズに大規模な拠点を構え、さらにノースカロライナ州とミシガン州にもリソースを持っている。

    ブコウスキーは、英国だけでなく米国側に存在するエンジニアリング能力をさらに活用できる余地があるとみている。

    「米国には非常に多くの技術的な専門知識がある。彼らは将来、火星に宇宙船を送ろうとしているくらいだからね!」

    「米国側には、もっと活用できるものがたくさんあると思う。すぐにできることではないし、時間はかかる。ただ、大西洋の向こう側にいる人材や技術的な専門知識に目を向けないのは愚かなことだと思う」

    キャデラックにとって、複数拠点の存在は豊富な人材を確保できる強みである一方、距離や時差を越えて各部門を一体化させる必要があるという組織上の課題にもなる。

    特にブコウスキーが指摘したように、マシンの信頼性問題を解決するには、サーキットで発生した問題をファクトリーへ迅速かつ正確にフィードバックし、設計や製造、品質管理へ反映する仕組みが欠かせない。

    その意味でも、新代表にとって最初のオランダGPは単なるレース週末ではない。シルバーストンのファクトリーとザントフォールトの現場を行き来しながら、キャデラックという組織が実際にどのように機能しているのかを確認する最初の機会となる。

    夏休み明けから本格的に指揮を執るブコウスキー。英国と米国に広がる4拠点をひとつのF1チームとしてどこまで効率的に機能させられるかが、新体制での最初の重要課題となりそうだ。

  • キャデラックF1 ボッタスにマシン格差? ペレスのスポンサー力が影響か

    キャデラックF1 ボッタスにマシン格差? ペレスのスポンサー力が影響か

    キャデラックF1でバルテリ・ボッタスがセルジオ・ペレスと同等のマシンを与えられていない可能性があるという。

    ジャーナリストのジュリアン・セラソーリは、チームが2台を完全に同じ仕様、同じ品質に仕上げることに苦戦しており、商業面でより大きな価値をもたらすペレスが優先されるケースがあると伝えている。

    2026年にF1へ新規参戦したキャデラックは、ここまでポイントを獲得できていない。新チーム特有の課題に加え、サスペンションのトラブルやブレーキの火災など信頼性と品質管理を巡る問題も発生しており、その影響をより強く受けているのがボッタスだという。

    ボッタスとペレスで「まったく同じ2台」を用意できず
    経験豊富なボッタスとペレスを起用してF1参戦を開始したキャデラックだが、両者の置かれている状況には違いがあるとされる。

    ドライバーズランキングではボッタスがペレスを上回っているものの、実際のレースではペレスの方がマシンへの適応度が高く、中団勢により近い位置で戦う場面が目立っている。モナコGPではポイント獲得に迫ったが、ピットレーンでの速度違反によるペナルティによってトップ10入りを逃した。

    こうした差について、ブラジルのジャーナリストであるジュリアン・セラソーリは、単純なドライバーのパフォーマンスだけで説明できるものではないと指摘する。

    「キャデラックについて重要なのは、ペレスがボッタスを大きく上回ることが時々あって、それに驚いている人もいるということだ」

    「私が調べたところでは、キャデラックは両ドライバーにまったく同じ2台を用意することにかなり苦労している。だから多くの場合、持ち込む資金が少ないボッタスの方が苦しい立場になる」

    セラソーリによれば、キャデラックが意図的にボッタスを不利な状況に置いているわけではない。新規参戦チームとして組織を構築している段階であり、2台のマシンを常に同じ水準に仕上げること自体が難しいという。

    「彼らはこの問題に懸命に取り組んでいる。そうしたくてやっているわけではない。F1で2台をまったく同じレベルに仕上げることが難しいからだ」

    「レッドブルでさえ、それを実現するのに苦労することがある。当然、多くの新しいスタッフを抱えているキャデラックにも、この種の問題は起きる」

    ペレスの強力なスポンサー基盤が優先順位に影響か
    そこで注目されているのが、ペレスが持つ商業的な価値だ。

    ペレスは長年にわたりメキシコを中心とした強力なスポンサー基盤を持ち、キャデラックにとっても重要な商業的存在となっている。セラソーリの説明では、限られたリソースのなかで2台を同じ状態にできない場合、そのスポンサー力が結果的にパーツやマシンの優先順位へ影響している可能性がある。

    ただし、これはキャデラックが公式に「ペレスを優先している」と認めたものではない。あくまでセラソーリが取材で得た情報に基づく説明であり、チーム側の公式見解とは区別する必要がある。

    また、マシンの個体差は必ずしもアップデートの有無だけを意味するものではない。製造品質、スペアパーツ、部品の状態、セットアップの自由度など、新チームが直面する複数の要因によって2台のコンディションに差が生じる可能性がある。

    バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレス(キャデラックF1チーム)

    2027年の契約状況にも違い
    両ドライバーを巡っては、2027年の契約条件にも違いがあるという。

    セラソーリによれば、ペレスには本人が望めばキャデラックを離れられる余地がある一方、ボッタスとの契約を2027年まで継続しない場合には、キャデラック側が契約を買い取る必要があるとされる。

    「実際、ペレスは望めば離れることができる。そういう状況に近い」

    「ボッタスについて私が聞いているのは、2年目の契約を履行しなくていいようにするには、キャデラックが契約を買い取らなければならないということだ」

    「2人ともキャデラックとの契約を持っている。結局のところ、商業面も含め、あらゆる意味でより良い解決策を提示できるかどうかという問題になる」

    ペレスについては2027年に向けてウィリアムズとの関連も取り沙汰されており、ドライバー市場の動き次第ではキャデラックのラインアップにも変化が生じる可能性がある。

    ブコウスキー新体制で品質管理も課題
    キャデラックは参戦初年度から組織面でも大きな変化を迎えている。グレアム・ロウドンの退任後、新たにチーム代表となったマルチン・ブコウスキーには、競争力向上だけでなく組織と開発プロセスを整える役割も求められている。

    新規F1チームにとって、速いマシンを開発することと同時に重要なのが、2台分の部品を安定した品質で製造し、レースごとに同じ仕様を揃える能力だ。キャデラックで発生しているとされる問題は、単なるボッタス対ペレスというドライバー間の比較だけではなく、チームがF1の製造・運用体制を確立していく過程で直面している課題ともいえる。

    ペレスのスポンサー力が実際にどこまでマシンの優先順位へ影響しているのかは、現時点ではチームによって確認された事実ではない。それでも、2台を同じ水準に揃えられていないとの情報が事実なら、ボッタスの成績を評価するうえで無視できない要素となる。ブコウスキー新体制のキャデラックにとって、速さだけでなく2台を平等な競争環境に置ける品質と供給体制を構築することも、今後の重要な課題となりそうだ。

  • キャデラックF1新代表 フェラーリPUの「隠されたノウハウ」に注目

    キャデラックF1新代表 フェラーリPUの「隠されたノウハウ」に注目

    キャデラックF1の新チーム代表に就任するマルチン・ブコウスキーは、チームがフェラーリ製パワーユニット(PU)の性能を最大限に引き出せているのかを精査する考えを示した。

    2026年のF1では、新世代PUのエネルギーマネジメントが大きなパフォーマンス要因となっている。ブコウスキーは、ワークスとカスタマーに同一のハードウェアが供給されていても、その使い方に関するすべてのノウハウが共有されるとは限らないと指摘。

    フェラーリを非難する意図はないと強調したうえで、キャデラック側にも改善できる余地があるとの認識を示した。

    新代表ブコウスキーがフェラーリPUの活用法を精査
    キャデラックは将来的にゼネラルモーターズ(GM)製PUを投入してワークスチームとなる計画だが、F1参戦初年度となる2026年はフェラーリからPUの供給を受けている。

    チームはサマーブレイク中に首脳陣を刷新。グレアム・ロードンをチーム代表から解任し、アルピーヌF1でエグゼクティブディレクターを務めたブコウスキーを後任に起用した。

    ブコウスキーが着任後に確認したいポイントのひとつが、フェラーリPUの使い方だ。

    2026年シーズン前半には、ワークスとカスタマーチームの間で新世代PUに関する知識の差が話題となった。特にマクラーレンは序盤戦で、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズから提供される情報が十分ではないとの問題意識を示していた。

    新規則では電気エネルギーの管理がこれまで以上に重要となっており、同じPUを搭載していても、その制御や運用方法によって実際に引き出せるパフォーマンスには差が生じる。

    「もちろん、我々はフェラーリのカスタマーだ。レギュレーションに従って、同じハードウェア、同じエンジンを供給してもらっている」とブコウスキーは語った。

    「ただ、今年はフェラーリに限った話ではなく、特にメルセデスのエンジンを見ても分かるように、主にエネルギーマネジメントの細かな部分を理解することで、まだ多くのパフォーマンスを引き出せることが分かっている。それがパフォーマンスを左右する要素になっている」

    「これは我々のチームでも確認しなければならないことだと思う。供給されているハードウェアを本当に最大限に活用できているのか、ということだ」

    「すべての秘訣を共有するとは限らない」
    ブコウスキーは、フェラーリPUそのものの競争力には疑問を持っていない。むしろ重要なのは、キャデラックがその能力をどこまで引き出せているかだと考えている。

    「エンジンには競争力がある。ADUOによるアップグレードで、さらに競争力を増していくだろう。ただ、我々が本当にそのポテンシャルを最大限に使えているのかという問題がある」

    2026年から導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)は、PUメーカー間の性能差に応じて追加開発の機会を認める仕組みだ。シーズン中の性能評価に基づいて開発機会が与えられるため、フェラーリPUにも今後さらなる性能向上の余地がある。

    一方で、ブコウスキーはPUメーカーとカスタマーチームの関係には、単純なハードウェア供給だけでは説明できない部分が存在すると指摘する。

    「もちろん、サプライヤーとの関係は重要だ。ただ、最大限のパフォーマンスを引き出すための『商売上の秘訣』を、サプライヤーが必ずしもすべて共有するわけではないという部分は常にある」

    「それはフェアなゲームだし、チーム側が取り組むべきことだ。フェラーリや、グリッド上の誰かを責めているわけではない」

    つまり、フェラーリには規則で定められた同等のPUを供給する責任がある一方、そのPUをどう使いこなし、エネルギーマネジメントを最適化するかはキャデラック自身の技術力に委ねられるという考えだ。

    「可能な限り最高のエンジンを供給するという部分があり、もうひとつには、それを可能な限りうまく使うという部分がある」

    「これは間違いなく、僕がチームに加わったときに確認していくことのひとつだ」

    同じPUでも差を生む2026年F1のエネルギーマネジメント
    2026年のF1では、PUに占める電動システムの重要性が大幅に高まったことで、エネルギーの回収、蓄積、放出をどのように管理するかがラップタイムを左右する重要な要素となった。

    そのため、同じメーカーのPUを搭載するチームであっても、ハードウェアが同じだからといって必ずしも同じ性能を発揮できるわけではない。PUの制御方法だけでなく、車体側との統合、ドライバーの操作、レース中のエネルギー配分などを含めた総合的な最適化が必要になる。

    ブコウスキーが例に挙げたメルセデスとマクラーレンの関係は、その難しさを象徴している。2026年序盤には、マクラーレンが新PUの運用に必要な情報についてメルセデス側との間に課題があることを認めており、カスタマーチームが同一ハードウェアから最大性能を引き出す難しさが浮き彫りとなった。

    キャデラックも同じ課題に直面している可能性がある。11戦を終えた段階でチームはまだ今季初ポイントを獲得できておらず、バルテリ・ボッタスが中国GPで記録した13位がここまでの最高成績となっている。

    ブコウスキーにとって、フェラーリとの関係を強化することだけが解決策ではない。供給されたPUについてキャデラック自身が理解を深め、フェラーリが持つすべての運用ノウハウを知らなくても最大限の性能を引き出せる体制を構築することが重要になる。

    将来的にGM製PUを自社で扱うワークス体制への移行を目指すキャデラックにとっても、PUのハードウェアだけでなく、その性能を引き出すための知識と技術をチーム内部に蓄積することは欠かせない。ブコウスキーの着任後、その作業がどこまでキャデラックの競争力向上につながるかが注目される。

  • キャデラックF1 ハータとカマラの2027年起用説を否定「根拠がない」

    キャデラックF1 ハータとカマラの2027年起用説を否定「根拠がない」

    キャデラックF1のCEOを務めるダン・トウリスが、2027年のドライバーラインナップを巡って浮上しているコルトン・ハータやラファエル・カマラの起用説について言及した。現時点ではセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスのコンビを変更する計画はないと強調している。

    一方でトウリスは「F1では状況は常に変わり得る」とも語り、将来的な若手起用の可能性を完全には否定しなかった。

    特にキャデラックのテストドライバーを務めるハータはF1昇格を目指してインディカーからFIA F2へ転向しており、その動向が注目されている。

    ハータはF1昇格を目指してインディカーからF2へ
    キャデラックはF1参戦初年度となる2026年、ペレスとボッタスという経験豊富な2人をレギュラードライバーに起用した。

    しかし、2027年に向けたドライバー市場を巡ってはさまざまな憶測が広がっている。ペレスにはウィリアムズ移籍説が浮上しており、その背景にはカルロス・サインツJr.の去就を巡る動きがある。アレクサンダー・アルボンについても将来が確定しているわけではないとされている。

    一方、ボッタスは自身が今回のドライバー市場に加わることはないと明言しているものの、そのシートをハータが引き継ぐ可能性も取り沙汰されてきた。

    ハータはキャデラックの将来的なF1ドライバー候補として以前から期待されている。F1参戦という目標を追うためにインディカーでのキャリアに区切りをつけ、2026年はハイテックからFIA F2に参戦するとともに、キャデラックF1のテストドライバーを務めている。

    ただし、F2ではここまで期待された成績を残せていない。さらに2026年にはキャデラックから4回のF1フリー走行1回目(FP1)への出走が予定されているものの、現在のF2ランキングのまま追加のスーパーライセンスポイントを獲得できなければ、2027年のF1参戦に必要な基準に1ポイント届かない可能性がある。

    ラファエル・カラム

    カマラ獲得説も浮上 キャデラックCEOは「根拠がない」
    ハータがF2で苦戦するなか、新たな候補として名前が挙がったのがフェラーリ・ドライバー・アカデミー所属のラファエル・カマラだ。

    前年のFIA F3王者であるカマラは、2026年のF2でレッドブル育成のニコラ・ツォロフ、アルピーヌ育成のガブリエレ・ミニとタイトルを争っている。ペレスの移籍説と重なったことで、キャデラックが2027年にカマラを起用する可能性が取り沙汰されるようになった。

    しかし、トウリスは若手ドライバーへの交代が現時点で具体的に検討されているとの見方を否定した。

    「若いドライバーが加入してチームをさらにプッシュすることになるのか? もちろん、それは我々が考えることのひとつではある」

    「ただ、我々には経験豊富な2人のドライバーがいて、彼らには非常に満足している。2人はチームをプッシュしてくれているし、これからもそうしてくれるだろう」

    そのうえでトウリスは、現在のラインナップを維持する方針を示しながらも、F1のドライバー市場では状況が急変する可能性があることを認めた。

    「ただし、ひとつ但し書きを付けておく。ここはF1だ。状況は常に変わり得る。現時点で2027年に向けた変更の予定はないが、物事はいつでも変わる可能性がある」

    「若いドライバーについていくつか噂が出ていることは知っている。ただ、それらには根拠がない。だから我々がそこに焦点を当てることはない。現時点では、そのことに注力していない」

    経験を優先するキャデラック ただし2027年への扉は閉じず
    キャデラックにとって、ペレスとボッタスの経験は新規F1チームを構築するうえで大きな意味を持つ。参戦初年度の2026年はまだポイントを獲得できておらず、中国GPでボッタスが記録した13位がここまでの最高成績となっている。

    さらにチームは夏休み中に体制を変更し、チーム代表のグレアム・ロードンを退任させ、元アルピーヌF1エグゼクティブディレクターのマルチン・ブコウスキーを後任に据えた。組織そのものが発展途上にある段階だけに、経験豊富なペレスとボッタスを維持することには一定の合理性がある。

    その一方、キャデラックは将来を見据えたドライバー育成も必要になる。ハータはすでにチームのテストドライバーとしてF1プログラムに組み込まれており、カマラをはじめとする若手の名前も今後さらに浮上する可能性がある。

    トウリスの発言から読み取れるのは、2027年の基本方針はペレスとボッタスの継続であり、ハータやカマラの起用が具体化している事実はないということだ。ただし「状況は常に変わり得る」とあえて付け加えたことで、キャデラックが将来的なドライバー変更の選択肢まで閉ざしているわけではないことも明確になった。

  • キャデラックF1 グレアム・ロードン電撃解任「双方合意ではない」当日朝に通告

    キャデラックF1 グレアム・ロードン電撃解任「双方合意ではない」当日朝に通告

    キャデラックF1のチーム代表交代は、F1界でも異例の突然の人事となった。プロジェクトの立ち上げから約4年間にわたって中心的な役割を担ってきたグレアム・ロードンが、F1参戦からわずか11戦でチーム代表を退任。後任には元アルピーヌF1エグゼクティブディレクターのマルチン・ブドコウスキーが即時就任した。

    キャデラックF1のCEOを務めるダン・トーリスは、この交代について「双方合意ではない」と明言。さらにロードン本人に決定を伝えたのは発表当日の朝だったことを明かした。

    一方で、代表交代そのものは数カ月前から検討されており、キャデラックF1が次の成長段階へ進むための組織改革だったと説明している。

    「私の決定だった」ロードンに当日朝に通告
    F1がサマーブレイクに入っているなか、キャデラックF1は水曜日午後、ロードンの退任とブドコウスキーのチーム代表就任を発表した。

    61歳のロードンは、トーリスやアンドレッティ家とともに約4年間にわたってF1参戦プロジェクトを構築してきた中心人物のひとりだった。それだけに、参戦初年度のシーズン前半を終えたばかりのタイミングでの交代は大きな驚きをもって受け止められた。

    トーリスはメディアとのインタビューで、今回の決定がロードンとの合意によるものではなかったことを認めた。

    「これは私の決定だった。双方合意ではない。お互いが合意して決めたことではない」

    ただし、代表交代という考え自体が突然浮上したわけではないという。

    「このプロセスが本当の意味で始まったのは数カ月前だったと思う。キャデラックのF1における次のフェーズがどうあるべきなのか、いつが適切なタイミングなのか、どのような形にすべきなのか、そして候補となるさまざまな人々がどのような能力を持っているのかを考え始めた」

    「そしてもちろん、マルチンとの話し合いや、彼との関係がどのように発展していったかについて、我々は非常に満足していた」

    数カ月前から検討も最終通告は発表当日
    水面下では数カ月にわたって検討されていた一方、ロードン本人との最終的な話し合いが行われたのは発表当日の朝だった。

    「そうだ。グレアムと私は今朝話をした。その意味では、本当に直近の話し合いだった。F1でこうした移行を簡単に進める方法はない」

    トーリスによれば、早い段階から後任候補をチーム内部に出入りさせれば、現体制を不安定にする危険性があった。

    「もしマルチンがファクトリーを歩き回って見学していたり、我々がこうした話し合いをしていたりしたら、メディアがどう反応するか想像できるだろう。それでは、その時点で組織が不安定になってしまう」

    「だから、その時点で責任を負っている経営陣の職務範囲を尊重することが重要だった。それによって必然的に、決断を下すまでの時間やスケジュール、すべてを実行に移す方法は限られてくる」

    「そのため、通常とは違って非常に唐突に物事が進んだように見える。しかし、それがF1という世界の性質であり、こうする必要があった」

    つまりキャデラックF1は、交代を検討しながらもロードンが指揮を執っている間の混乱を避けるため、最終段階まで情報を厳重に管理していたことになる。

    ロードンは最初から「暫定代表」だったわけではない
    キャデラックF1が発表した声明では、ロードン退任の具体的な理由は示されなかった。ロードンについて触れられたのもわずかで、経営体制の進化は以前から計画されていたとの説明にとどまった。

    トーリスはロードンとの個人的な話し合いの詳細について明言を避けたものの、将来的な代表交代について両者が以前から話していたことは認めた。

    「グレアムと私は、いつか移行する時が来るということについて常に話をしていた。この決定は私が下したものだ」

    ただし、ロードンがF1参戦を実現させるまでの「暫定的なチーム代表」として起用されていたとの見方は否定した。

    「彼が暫定的な役割としてここにいたと言うのは正しくないと思う。実際にはパフォーマンスと、物事がどのように進展していくかに基づいていた」

    トーリスは今回の交代について、参戦初年度の結果に対する処分というより、キャデラックF1の将来像をめぐる判断だったことを強調している。

    「どの部分でグレアムと私の考えが一致し、どの部分で一致していなかったのか。それについての話し合いは、間違いなくグレアムと私の間だけにとどめる」

    「ただ、達成してきたことについては話せる。私はグレアムを心から尊敬しているし、我々は一緒に本当に多くのことを経験してきた」

    「繰り返すが、私にとってもグレアムにとっても、これは暫定的な期間ではなかった。計画し、組織を築き、必要なすべてのステップを実現するために、ほぼ4年間を費やしてきた」

    キャデラックF1が求める「次のフェーズ」
    今回の人事の背景としてトーリスが繰り返したのが、キャデラックF1の「次のフェーズ」という言葉だ。

    新規参入チームだからこそ、既存のF1チームを単純に模倣するのではなく、新しい組織をゼロから構築できる期間は限られているという。

    「我々が今築いているものを考えれば、新しく革新的なものを構築できる非常に限られた機会が存在している」

    「私が望まなかったのは、すでに誰かが作ったもの、古いものをもう一度作って、それを少し改善しようとすることだった」

    「そして、この変更を行うタイミングが、予想していたよりも早く訪れたのだと思う」

    一方で、参戦初年度にキャデラックF1が経験している苦戦や、ここ数戦で表面化した問題がロードン退任の直接的な原因だったとの見方は否定した。

    「最近数週間のパフォーマンスや初期トラブルが原因だとは言わない」

    「これは本当に、我々が将来に向けて何を構築しているのか、その明確なビジョンを持つこと、どのようなペースで前進しているのか、そしてそれをオーナーたちの野心と一致させることについての判断だ」

    なぜ情報は一切漏れなかったのか
    F1では、ドライバー移籍だけでなく、チーム代表や技術責任者の交代も正式発表より前に情報が漏れることが珍しくない。

    しかし今回、ロードン退任とブドコウスキー就任を示唆する情報はほとんど表に出なかった。ロードン自身も直近のメディア対応で退任を示唆していなかった。

    トーリスは、秘密を維持すること自体が難しかったと認めている。

    「F1でこうした移行を行うときは、知ってのとおり非常に難しい。本当に秘密を守るのが難しい世界だが、今回はこの件についてリークがなかった」

    結果として発表が「電撃的」に映ったのは偶然ではない。現体制の指揮系統を維持し、チーム内部への影響を最小限に抑えるため、キャデラックF1側が意図的に最後まで情報を限定していたというのがトーリスの説明だ。

    ブドコウスキー起用で組織構築を加速
    後任となるマルチン・ブドコウスキーは、F1の技術部門と統括組織、そしてチーム経営の双方を経験してきた人物だ。

    マクラーレンやフェラーリなどで技術職を経験した後、FIAでF1技術部門の責任者を務め、その後ルノー/アルピーヌに加入。アルピーヌではエグゼクティブディレクターとしてチーム運営にも携わった。

    キャデラックF1がブドコウスキーに期待するのは、単なる現場指揮だけではなく、新規参入チームを次の段階へ移行させるための組織構築だとみられる。

    トーリスは、現在のチームとF1を取り巻く状況を考えれば、今が交代のタイミングだったと説明した。

    「スポーツとチームの双方に存在する状況を考えれば、今が適切なタイミングだった。だから、このステップを踏むには今が正しい時期であり、正しい場所だった」

    「グレアムがチームにもたらしてくれたすべてのものに、改めて心から感謝している。そしてマルチンのリーダーシップと、キャデラックの未来がどうなっていくのかを非常に楽しみにしている」

    約4年間をかけてキャデラックF1参戦の基礎を築いたロードン。その役割を評価しながらも、トーリスは参戦わずか11戦でトップ交代を決断した。

    今回の説明から浮かび上がるのは、単純な成績不振による更迭ではなく、オーナー側が求める成長速度や将来の組織像をめぐって、ロウドン体制からブドコウスキー体制へ早期に切り替える必要があると判断したという構図だ。もっとも、トーリスが「一致していた部分と、そうでなかった部分」に言及した以上、両者の間に今後のチーム運営をめぐる考え方の違いが存在していたこともうかがえる。キャデラックF1は、参戦初年度の折り返し地点で早くも次の組織づくりへと舵を切った。

  • キャデラックF1 ペレスのウィリアムズ移籍説を否定「2027年も残留すると確信」

    キャデラックF1 ペレスのウィリアムズ移籍説を否定「2027年も残留すると確信」

    キャデラックF1の最高経営責任者(CEO)ダン・タウリスと、新たにチーム代表へ就任したマルチン・ブコウスキーが、セルジオ・ペレスの2027年ウィリアムズ移籍説について言及した。タウリスは「ペレスがキャデラックに残ると強く確信している」と述べ、現時点でドライバー変更を計画していないことを強調した。

    キャデラックは2026年F1サマーブレイク中に首脳陣を刷新し、グレアム・ロードンに代わってブコウスキーをチーム代表に起用した。

    F1参戦初年度は11戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位に沈んでいるが、チームは経験豊富なペレスとバルテリ・ボッタスを今後の成長に不可欠な存在と位置づけている。

    ペレスのウィリアムズ移籍説 キャデラックは「まったく気にしていない」
    キャデラックはデビューシーズンを通じて信頼性トラブルにも苦しんできた。ペレスはモナコGPで10位フィニッシュを果たし、チーム初ポイントに迫ったものの、レース後のタイムペナルティによって15位へ降格した。

    そうしたなか、ペレスのマネジメント陣が2027年に向けてウィリアムズと交渉しているとの報道が浮上している。カルロス・サインツJr.が契約満了を機にチームを離れる可能性があり、その後任候補としてペレスの名前が挙がっているというものだ。

    しかし、新代表のブコウスキーは、キャデラックのような若いF1チームにとって、ペレスほど経験豊富なドライバーを擁することには大きな意味があると強調した。

    「僕が仕事を始める前なので、少し難しい質問ではある。ただ、チェコはチームにとって大きな戦力になっている。正直に言えば、2人のドライバーともそうだ」

    「キャデラックが非常に経験豊富な2人のドライバーを選んだことについてはいろいろと言われてきた。しかし、このような若いチームにとって、その経験と安定性は極めて重要だと思っている」

    「ドライバーも学んでいて、同時にチーム全体も学んでいるという状況になれば、変数が多すぎる」

    そのため、ブコウスキーはペレスの存在がチーム構築のうえで重要だと考えている。

    「だから、チェコのようなドライバーがいることは重要だ。ダンとの会話やチームのほかの人たちから聞いている限り、彼は非常に素晴らしい走りをしているだけではなく、舞台裏でもチームをものすごく強くプッシュしている」

    「それはレッドブルで何年も過ごし、最高レベルを知っているドライバーなら当然期待されることでもある」

    「そして、それこそ僕たちが求めているマインドセットだと思う。僕自身も同じような姿勢を持ち込むつもりだ。だから、その考え方や前進しようとする意欲について、僕たちは完全に一致すると思っている」

    キャデラックF1のCEOを務めるタウリスも、ブコウスキーの評価に同意。ペレスを2027年もチームに残せると「非常に確信している」と語った。

    「マルチンが言ったことはすべて強調しておきたい。チェコはチームにとって素晴らしい戦力になっている。非常にいい走りをしているし、間違いなくチームをかなり強くプッシュしている」

    「チェコがキャデラックに残ることを私は非常に確信している。ウィリアムズに関する噂に気を取られていることは一瞬たりともない」

    「われわれはこの関係に非常に自信を持っているし、これからも彼がキャデラックF1マシンをドライブする姿を見ることになると確信している」

    ラファエル・カマラ加入説も「根拠のある話ではない」
    ペレスのウィリアムズ移籍説と並行して浮上しているのが、フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するラファエル・カマラのキャデラック加入説だ。

    2026年のFIA F2選手権でタイトルを争っているブラジル人のカマラについて、フェラーリが2027年のF1シートを確保するため、キャデラックとローン移籍に関する交渉を始めたとの報道も出ている。

    ペレスが離脱した場合、若手ドライバーを起用する可能性があるかと問われたタウリスは、将来的な選択肢として検討する価値は認めながらも、現在具体的に動いている話ではないと否定した。

    「若いドライバーを入れることでチームをさらにプッシュできるのかというのは、とてもいい質問だ。もちろん、われわれも考えていることではある」

    「われわれには現在、非常に満足している経験豊富な2人のドライバーがいる。2人ともチームをプッシュしてくれているし、われわれも彼らをプッシュし続けていく」

    「ただし、ひとつ付け加えておかなければならないのは、ここがF1だということだ。物事はいつでも変わる可能性がある。現時点で2027年に向けた変更は何も計画していない」

    「もちろん状況が変わる可能性はあるが、われわれが変更を求めているわけではない。若手ドライバーについていくつか噂が出ていることは知っているが、それらには根拠がない」

    「だから、そこに注目する必要はないと思う。現時点でわれわれがそこに焦点を当てているわけではない」

    ラファエル・カマラ

    ブコウスキーが重視するフェラーリPUの「使い切る力」
    カマラ獲得説の背景には、キャデラックとフェラーリの関係もある。キャデラックはF1参戦初期にフェラーリ製パワーユニットを使用しており、フェラーリの若手を起用することで両者の関係を強化する可能性も取り沙汰されている。

    だが、ブコウスキーが現時点で重視しているのはドライバーを介した関係強化ではなく、フェラーリから供給されるパワーユニットの性能をキャデラック側が最大限に引き出すことだ。

    「フェラーリとの関係について言えば、もちろん僕たちはフェラーリのカスタマーだ。レギュレーションに従って、同じハードウェア、同じエンジンを供給してもらっている」

    「ただ、今年はフェラーリに限った話ではないが、特にメルセデスのエンジンを見ても、主にエネルギーマネジメントの細かな部分を理解することで、まだ多くのパフォーマンスを引き出せることが分かっている。それが性能差を生む要素になっている」

    ブコウスキーは、キャデラック自身が「供給されたハードウェアを本当に最大限活用できているのか」を検証する必要があると指摘する。

    「チームとして見なければならないのは、『僕たちは供給されているハードウェアを最大限に生かせているのか?』ということだ」

    「エンジンには競争力がある。アップグレードによって、さらに競争力を増していくだろう。しかし、僕たちは本当にそのポテンシャルを100%使えているのか。そこを確認しなければならない」

    一方で、PUメーカーがすべてのノウハウをカスタマーチームへ開示するわけではないことも、F1では当然の競争の一部だとブコウスキーは捉えている。

    「もちろん、その関係は重要だ。しかし、最大限のパフォーマンスを引き出すためのあらゆるノウハウを、サプライヤーが必ずしも共有してくれるわけではない。それはフェアなゲームだし、そこから先はチーム側の仕事になる」

    「フェラーリを責めているわけでも、グリッド上の誰かを責めているわけでもない。可能な限り最高のエンジンを供給するという部分があり、それを可能な限りうまく使うという部分がある」

    「僕がチームに加わったら、そこは間違いなく確認していくことになる」

    キャデラックにとって、2027年のドライバー市場を巡る噂以上に重要なのは、参戦初年度に浮き彫りとなった課題をひとつずつ解消し、チームとしての競争力を高めることになる。新代表ブコウスキーは、経験豊富なペレスとボッタスを軸にチームを成長させながら、フェラーリ製パワーユニットを含め、現在手にしているパッケージから最大限の性能を引き出すことを最初の課題のひとつとしている。