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  • アウディF1 外部投資家の受け入れに前向きも「チームの支配権は維持する」

    アウディF1 外部投資家の受け入れに前向きも「チームの支配権は維持する」

    アウディは、F1プロジェクトへの外部投資家からの関心が高まるなか、さらなる資本受け入れに門戸を開いている。ただし、チームの主導権を手放す考えはない。

    フォルクスワーゲン・グループ全体でコスト削減が進められるなか、アウディのF1参戦計画の財務面にも関心が集まっている。しかし、アウディCEOのゲルノート・デルナーはF1スペインGPが行われたマドリンクで、プロジェクトには十分な資金基盤があり、計画を変更する理由はないと強調した。

    アウディF1は2030年までに損益分岐点へ
    アウディは2026年からワークスチームとしてF1に参戦している。フォルクスワーゲン・グループが幅広いコスト削減策を進めていることから、F1プログラムへの影響も注目されている。

    デルナーは、F1参戦に向けた財務計画は十分な準備を経て構築されたものだと説明した。

    「我々はF1参戦に向けて非常に綿密な準備を行い、強固な資金基盤とパートナーを備えたプロジェクトを構築した」

    さらに、現在のビジネスプランは予定通り進んでいるとして、方針転換の必要性を否定した。

    「我々のビジネスプランでは、2030年までに損益分岐点に到達する。我々は計画を堅持しており、何かを変更する理由はない」

    新たな投資家に門戸も「チームの支配権は維持する」
    アウディF1にはすでに大規模な外部資本が入っている。カタールの政府系ファンドは、アウディがワークスチームとして正式参戦する以前に、チームの約3分の1とされる少数株式を取得した。

    そして現在、ほかの投資家からも関心が寄せられているという。デルナーは追加の資本受け入れを否定しなかった一方、アウディがチームの支配権を維持することは明確にした。

    「ほかの潜在的なパートナーからも多くの関心が寄せられている。しかし、我々は常にチームの支配権を維持する」

    その理由について、デルナーはF1特有の意思決定の速さを挙げた。

    「F1チームを民主的なマネジメントスタイルで運営することはできるかもしれない。しかし、それでは決して十分な速さで動けない」

    「パートナーには我々を信頼してもらい、レーシングチームの運営そのものは我々に任せてもらう必要がある」

    アウディ F1

    V8エンジン復活でもアウディF1参戦に影響なし
    アウディは市販車事業で電動化を重要な柱に据えている。一方、F1では2030~2031年以降の将来的なパワーユニット規則をめぐり、V8エンジンを軸とする方向性も議論されている。

    こうした動きがアウディの電動化戦略と矛盾する可能性について問われたデルナーは、その見方を否定した。

    「いや、そこまでの問題だとは考えていない」

    ただし、アウディにとって譲れない条件がひとつある。それが持続可能燃料の継続使用だ。

    「燃料は引き続き持続可能なものでなければならない。それは我々にとって重要だ。そこは我々にとってレッドラインになる。ただし、それ自体は議論の対象にはなっていない」

    つまり、将来的にF1がV8エンジンへ移行したとしても、持続可能燃料という基本原則が維持される限り、それだけでアウディの参戦方針が揺らぐことはないという立場だ。

    ヒュルケンベルグとボルトレトのコンビを高く評価
    スポーツ面では、デルナーはニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトのドライバーラインアップにも満足している。

    特にヒュルケンベルグについては、そのパフォーマンスや中期的な将来をめぐる憶測もあるが、デルナーは明確な支持を示した。

    「我々はヒュルケンベルグとボルトレトの両方に非常に満足している。2人ともアウディF1チームのために同じ方向を向いて取り組んでいる」

    また、ドイツメーカーであるアウディにとって、ヒュルケンベルグがドイツ人であることにも一定の意味があると認めた。

    「ニコがドイツ人であることは、アウディ社内において特別な価値を持っている」

    ただし、国籍がドライバー選考を左右するわけではないと付け加えた。

    「もちろん、それによってパフォーマンスがチーム編成を決める基準であるという原則が変わることはない。それでも、我々は2人をチーム全体を引き上げてくれる素晴らしいコンビだと考えている」

    ドイツGP復活を希望もアウディによる資金援助は否定
    アウディは、F1カレンダーへのドイツGP復活についても前向きな姿勢を示している。ただし、レース開催のためにメーカー自身が資金を拠出する計画はない。

    「我々が財政的に参加する計画はない」

    「自動車メーカーとして我々にできるのは、チームを参戦させることで貢献することだ。しかし、そのようなイベントを実現するためには、ほかの関係者が動き、構築していかなければならない」

    フォルクスワーゲン・グループを取り巻くコスト削減圧力が続くなかでも、アウディはF1プロジェクトを長期的な事業として位置づけている。外部資本のさらなる受け入れには柔軟な姿勢を示す一方、チーム運営の主導権、持続可能燃料、そしてパフォーマンスを軸とするドライバー選考という基本方針については明確な一線を引いている。

  • アウディF1育成フレディ・スレーター 2027年F2昇格 インヴィクタ加入が決定

    アウディF1育成フレディ・スレーター 2027年F2昇格 インヴィクタ加入が決定

    アウディのドライバー育成プログラムに所属するフレディ・スレーターが、2027年にFIA F2へ昇格することが決定した。インヴィクタ・レーシングから参戦し、F1へのステップアップを目指してキャリアを進める。

    18歳のイギリス人ドライバーであるスレーターは、2026年にトライデントからFIA F3に参戦。ルーキーながら最終戦までタイトルを争い、ウーゴ・ウゴチュクウに次ぐランキング2位でシーズンを終えた。

    2027年は近年F2で圧倒的な実績を残しているインヴィクタに加入し、新たな挑戦に臨む。

    F3ルーキーイヤーでランキング2位
    スレーターは2026年シーズンを前に、アウディ・ドライバー・デベロップメント・プログラムの最初の契約ドライバーとして発表された。

    同年はトライデントからFIA F3にステップアップすると、早い段階からトップグループに定着。シーズンを通してタイトル争いに加わり、最終戦マドリードまでチャンピオン獲得の可能性を残した。

    最終的にはウゴチュクウにタイトルを譲ったものの、フィーチャーレース1勝、ポールポジション3回、表彰台8回を記録し、ルーキーシーズンをランキング2位で終えた。

    2027年に所属するインヴィクタは、近年のF2で高い競争力を示しているチームだ。2024年と2025年には2年連続でドライバーズタイトルとチームタイトルを獲得している。

    スレーターはF2のポストシーズンテストで初めてインヴィクタと本格的に作業し、2027年シーズンに向けた準備を開始する。

    アウディF1 フレディ・スレーター FIA フォーミュラ2選手権

    アラン・マクニッシュ「F2昇格は自然な次のステップ」
    アウディ・ドライバー・デベロップメント・プログラムのディレクターを務めるアラン・マクニッシュは、スレーターのF2昇格について、育成過程における重要なステップだと説明した。

    「F2への昇格はフレディにとって自然な次のステップであり、ドライバーとしての成長における重要な新しい段階だ」

    「彼は素晴らしいF3シーズンを送り、最終戦までタイトルを争った。シーズンを通してスピード、レースクラフト、そして成長を示してくれた」

    「我々はフレディが今シーズン成し遂げたこと、そしてその過程で見せた成長を非常に誇りに思っている。インヴィクタ・レーシングは近年素晴らしい実績を残しており、彼らと一緒に仕事ができることをうれしく思う」

    「彼にとって理想的な環境だと考えているし、2027年にこの新たな挑戦に臨む彼をサポートしていくことを楽しみにしている」

    フレディ・スレーター「まだ学ぶべきことはたくさんある」
    スレーター自身も、F3での経験を土台としてF2でさらに成長していきたいと語った。

    「来年、インヴィクタ・レーシングとともにF2へステップアップできることに本当に興奮している。今シーズンのF3では多くのことを学んだし、1年を通してドライバーとしても人間としても成長できたと感じている」

    「インヴィクタはF2で素晴らしい実績を持っている。チームと仕事を始め、一緒にシーズンへ向けた準備を進めるのが待ちきれない」

    「アウディ・ドライバー・デベロップメント・プログラムから引き続きサポートしてもらえることにも、とても感謝している。まだ学ぶべきことはたくさんあるし、この新しい挑戦を本当に楽しみにしている」

    インヴィクタ「次の挑戦への準備はできている」
    インヴィクタ・レーシングのCEO兼チーム代表を務めるジェームス・ロビンソンも、F3初年度からタイトル争いを演じたスレーターのパフォーマンスを高く評価している。

    「2027年にフレディをインヴィクタ・レーシングへ迎えられることをうれしく思う。FIA F3参戦初年度でランキング2位になるのは素晴らしい成果だ。特に、このカテゴリーの競争レベルを考えればなおさらだ」

    「1勝、3回のポールポジション、8回の表彰台というシーズンを通した結果は、彼が示してきた速さと安定感を物語っている」

    「フレディは次の挑戦に進む準備ができていることを証明した。彼がF2への次のステップを踏み出す手助けができることを、とても楽しみにしている」

    急速に駆け上がるジュニアカテゴリー
    スレーターは2022年に四輪レースへ転向し、ジネッタ・ジュニア・ウインター・シリーズで史上最年少チャンピオンとなった。翌2023年にはジネッタ・ジュニア選手権を制している。

    2024年にはイタリアF4とUAE F4の両タイトルを獲得。2025年にはフォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権でチャンピオンに輝き、フォーミュラ・リージョナル・ミドルイースト選手権でもランキング2位となった。

    そして2026年はFIA F3でランキング2位。2027年にはF1直下のFIA F2へと進むことになる。

    F2参戦中もアウディ・ドライバー・デベロップメント・プログラムからコース内外で継続的な支援を受ける。アウディF1の育成ドライバーとして、スレーターにとって2027年はF1への道を占う重要なシーズンとなる。

  • アウディF1 角田裕毅のイタリアGP無罰裁定を正式上訴 1ポイント巡る争い

    アウディF1 角田裕毅のイタリアGP無罰裁定を正式上訴 1ポイント巡る争い

    アウディF1チームは、2026年F1イタリアGPで角田裕毅にペナルティを科さなかったFIAスチュワードの裁定について、正式に上訴を提出したことを明らかにした。

    モンツァでは、赤旗後の再スタートを前に角田裕毅のグリッドへの進入と停車姿勢を受けて追加のフォーメーションラップが実施された。角田はスタート手順違反の可能性について審議されたものの、スチュワードは「これ以上の措置は取らない」と判断。角田は10位でフィニッシュし、今季初ポイントとなる1ポイントを獲得した。

    アウディが96時間以内に正式上訴
    アウディはレース後、FIAスポーティングレギュレーション第B5.9.4条の適用について異議を唱え、まず上訴の意思を通知していた。

    この手続きによって与えられた96時間の猶予期間内に、アウディは正式に上訴するかどうかを検討。その結果、チームは実際に上訴手続きを進めることを決断した。

    アウディF1チームは声明で正式な上訴提出を認めた。

    「イタリアGP後、チームは第B5.9.4条の適用について懸念を提起した。この規則では、追加のフォーメーションラップを引き起こしたドライバーはピットレーンに入り、そこからレースを再開することが義務づけられている」

    「規則で定められた96時間以内に上訴を提出したことを確認できる。現在、この件はFIAの上訴手続きの対象となっているため、現段階ではこれ以上のコメントは差し控える」

    争点となっている第B5.9.4条では、追加のフォーメーションラップを引き起こし、その追加フォーメーションラップに参加できるドライバーについて、ラップ終了時にピットレーンへ入り、ピットレーン出口からスタートしなければならないと規定されている。

    角田裕毅は正しいグリッド枠内に停止
    問題が起きたのは、シャルル・ルクレールのクラッシュによる赤旗後の再スタートだった。

    14番グリッドからスタートする角田裕毅は、グリッドへ向かう際に当初反対側へ進入しかけた後、進路を修正。最終的には指定された14番グリッドの枠内にマシンを停止させたものの、マシンはピットウォール側へ向いた斜めの状態になっていた。

    レースディレクターのルイ・マルケスは、この状態のままスタートさせることに不安があるとしてスタートを中止し、追加のフォーメーションラップを指示した。

    そのため、角田が追加フォーメーションラップを「引き起こしたドライバー」に該当するのかが争点となった。

    レース後に審議したスチュワードは、角田のマシンがグリッド枠内に正しく収まっており、他のドライバーにも影響を与えていなかったことなどを考慮した。

    さらにマルケス自身が、追加フォーメーションラップは角田の違反によって自動的に必要になったものではなく、マシンの進入時の動きを見た自身の判断だったと説明した。

    スチュワードはこれを踏まえ、追加フォーメーションラップは「22号車のドライバーによって直接引き起こされたものではなく、レースディレクターによる状況判断の結果だった」と結論づけた。

    レーシングブルズにも角田にも通知なし
    もうひとつ重要なポイントとなったのが、レースコントロールからレーシングブルズにも角田裕毅にも、追加フォーメーションラップの原因が22号車であるとの通知がなかったことだ。

    第B5.9.4条に従うのであれば、原因となったドライバーは追加フォーメーションラップ終了時にピットへ入り、ピットレーンからスタートする必要がある。

    しかしスチュワードは、その義務を履行するためには、ドライバー側が自分が追加フォーメーションラップの原因だと認識している必要があると指摘した。

    レーシングブルズ側は、過去にはフォトグラファーの位置など、ドライバーとは無関係の外的要因によって追加フォーメーションラップが実施されたケースもあると主張した。

    今回、チームにもドライバーにも原因が角田であるとのメッセージは送られていなかった。

    さらに角田のマシン自体は指定されたグリッド枠内に収まっていたため、スチュワードはレーシングブルズに角田をピットレーンへ向かわせる理由はなかったと判断。最終的にペナルティを科さないことを決定した。

    アウディ F1 角田裕毅

    アウディは規則を「明確」と主張
    一方、アウディ側はこの解釈に異議を唱えている。

    アウディは、レースディレクターが角田のマシンの状態を理由にスタートを中止して追加フォーメーションラップを指示した以上、第B5.9.4条に照らせば角田がその原因になったと考えるべきだとの立場だ。

    つまり、レーシングブルズや角田に原因であることが通知されていたかどうかとは別に、角田は追加フォーメーションラップ終了時にピットレーンへ入り、そこから再スタートする必要があったという主張になる。

    アウディは、この規則の文言は明確であると考えており、今回の上訴を通じて今後同様のケースが発生した場合の規則適用について明確化することも求めている。

    ボルトレト「正しいことは正しい」
    今回の上訴結果によって直接利益を得る可能性があるのが、アウディのガブリエル・ボルトレトだ。

    イタリアGPで角田裕毅は10位、ボルトレトは11位でフィニッシュした。角田の結果に十分なペナルティが加算されて順位が逆転すれば、ボルトレトが10位に繰り上がり、1ポイントを獲得することになる。

    F1スペインGPを前にマドリードでアウディの上訴について質問されたボルトレトは、規則は明確だとの考えを示した。

    「ルールとしてはかなり明確だと思う。ドライバーが追加のフォーメーションラップを引き起こした場合、そのドライバーはピットレーンからスタートしなければならない。でも、あのケースで裕毅はそうしなかった」

    「だから、それがアウディが上訴している理由だと思う。僕たちは結果について上訴している。僕たちにとっては、順位が上がれば1ポイントになるからね。すべてのポイントが重要だし、結局のところ、正しいことは正しいと思う」

    今季11位が多すぎるのではないかと冗談交じりに問われると、ボルトレトは「ちょっと多すぎるね。僕が望んでいるよりも多いよ」と答えた。

    角田裕毅にとってイタリアGPの10位は、レーシングブルズ復帰2戦目で手にした今季初ポイントだった。一方、11位だったアウディにとっては、わずか1つの順位が選手権ポイントを左右する。

    上訴の焦点は、追加フォーメーションラップを実施する直接の判断を下したのがレースディレクターであっても、その判断のきっかけとなったドライバーを第B5.9.4条上の「原因」とみなすのかという点にある。FIAの上訴手続きによる結論次第では、角田のイタリアGPでの10位と今季初ポイントにも影響が及ぶ可能性がある。

  • アウディF1 2戦連続最速ピットストップの裏に元レッドブル“フェルスタッペン担当”

    アウディF1 2戦連続最速ピットストップの裏に元レッドブル“フェルスタッペン担当”

    アウディF1がピットストップで目覚ましい進歩を遂げている。オランダGPとイタリアGPでは2戦連続でレース最速のピットストップを記録。その改善を支えている人物として、レーシングディレクターのアラン・マクニッシュは、元レッドブルのリー・スティーブンソンの存在を挙げた。

    スティーブンソンはレッドブルで長年にわたって経験を積み、マックス・フェルスタッペンのチーフメカニックまで務めた人物だ。

    現在はアウディのチームマネージャーに昇格し、ガレージ内のオペレーション構築で重要な役割を担っている。

    レッドブルでフェルスタッペンを支えたスティーブンソン
    リー・スティーブンソンはレッドブルの組織内でキャリアを重ね、最終的にはフェルスタッペン担当のチーフメカニックを務めた。

    その後、ザウバーがアウディの2026年F1参戦に向けて準備を進めるなかでチームに加入。現在はチームマネージャーへと昇格している。

    これはレッドブルでジョナサン・ウィートリーが担っていたものに近い役割だ。ウィートリーの在籍時代、レッドブルのピットクルーはF1でも屈指の存在として知られ、ピットストップの世界記録も保持していた。その記録は2023年F1カタールGPでマクラーレンがランド・ノリスを1.80秒で送り出すまで破られなかった。

    アウディの現在の姿は、わずか数年前とは大きく異なる。

    2024年にはホイールナットに関連する技術的な問題を抱え、ピットストップで大幅にタイムを失うケースがあった。しかし、現在ではオランダGPとイタリアGPで2戦続けてレース最速のピットストップを記録するまでに改善している。

    「同じメンバーが非常に安定して結果を出している」
    マクニッシュは、当時の問題について人的なミスではなく、技術的な要因が大きかったと説明する。

    「技術的な問題だった。実際、それは2024年のことで、当時は技術的な問題だった」

    そのうえで、ピット作業の改善は昨年末から今年初めにかけて継続的に進めてきた取り組みの成果だと語った。

    「この部分については、昨年末から今年初めにかけて本格的に取り組んできた。チームという意味では、昨年我々のところに来たリーが、何をする必要があるのかをよく理解していた」

    「結局のところ、そこにいるのはほぼ同じメンバーだ。そして今では非常にうまく、安定して仕事をしている」

    マクニッシュが特に評価しているのは、単発で速いピットストップを記録しているだけではない点だ。

    「ザントフォールトでも最速だった。それに、私の立場から見て重要なのは、必ずしもひとつのストップだけではないということだ」

    「複数回のストップがあるときも、すべてのストップがいい。だから、そこでチームは非常にうまく機能している」

    アウディ F1

    僅差の中団争いではピット作業も大きな武器
    現在のF1では中団勢のパフォーマンス差が非常に小さく、わずかなピットストップの差が順位を左右する可能性がある。

    マクニッシュは、だからこそピットクルーの改善がアウディにとって重要な武器になると強調した。

    「我々にとっても重要なことだ。レースでは得られるアドバンテージをすべて引き出さなければならない」

    「中団では大きな差があるわけではない。彼らは間違いなく、ドライバーがレースからより多くのものを引き出すための機会を提供してくれている」

    一方で、マクニッシュは、レッドブルで培われたスティーブンソンのノウハウをアウディが単純に持ち込んだわけではないとも説明する。

    「彼の強みをそのまま受け継いだとは言わない。我々自身で発展させてきたものだと思う」

    「ただ、結局のところ、リーがチームに加わった理由のひとつは、ガレージ内のチームを作り上げることだった」

    そして、その成果はピットストップのタイムだけではなく、ガレージ全体の仕事ぶりにも表れているという。

    「彼と、そこにいるチームは非常にいい仕事をしていると思う。今の彼らを見れば、ピットストップだけでなく、マシンに対するすべての作業の進め方が分かる。本当にいい光景だ」

    2024年にはピット作業の技術的トラブルに苦しんでいたチームが、アウディF1として迎えた2026年には2戦連続で最速ピットストップを記録するまでになった。フェルスタッペンをガレージから支えてきたスティーブンソンの経験と、既存スタッフを生かしたチーム作りが、僅差の中団争いでアウディの新たな強みになりつつある。

  • アウディF1 R26を大幅刷新へ バクーで「完全に異なる」マシン

    アウディF1 R26を大幅刷新へ バクーで「完全に異なる」マシン

    アウディF1は、2026年型マシン「R26」の開発を継続し、アゼルバイジャンGPで大規模な空力アップデートを投入する。チーム内部からは、バクーではマシンが「完全に異なる」外観になるとの声も出ている。

    すでに開発リソースの多くは2027年型マシンへ移行しているが、現在4戦連続でポイントを獲得しているアウディは、R26でつかみ始めた技術的な方向性をさらに追求する方針だ。その前段階として、今週末のF1イタリアGPでは約24週間をかけて準備したギア比の変更も導入する。

    7戦連続ノーポイントから4戦連続入賞へ
    アウディの2026年シーズンは序盤から順調だったわけではない。7戦連続でノーポイントに終わる厳しい時期を経験したが、その後は4戦連続でポイントを獲得。R26の競争力は徐々に改善している。

    前戦オランダGPでもポイントを獲得し、単発の好結果ではなく、パフォーマンスそのものが上向いていることを示した。

    アウディのコンペティションディレクターを務めるアラン・マクニッシュは「ザントフォールトでは良いペースを示し、4戦連続でポイントを持ち帰ることができた。これは常に励みになることだが、もちろん、まだ改善できる領域はある」と語った。

    ただし、モンツァはザントフォールトとは性格が大きく異なる。長いストレートと低ダウンフォースが特徴の高速サーキットであり、現在のR26が抱える弱点が表面化する可能性もある。

    「モンツァは、サーキットそのものにも、その周囲にも多くの歴史があり、いつ行っても特別な場所だ」

    「今週末はこれまでとは異なる挑戦になる。最近続いているポイント獲得を維持するのが難しいコースになる可能性もある。それでも我々は実行力に集中し、手元にあるものから最大限を引き出して、今季最後の欧州連戦を良い形でスタートさせたい」

    イタリアGPで24週間かけたギア比変更を投入
    アウディはモンツァに向けて、R26のトランスミッションにも重要な変更を加える。

    シーズン序盤の実戦データを分析した結果、エンジニアは1速が短すぎる一方で、8速が長すぎることを確認した。そこでギア比を変更し、パワーユニットの特性と各サーキットの要求に、より適した状態へと修正する。

    この変更には約24週間の開発期間を要した。F1の技術規則では、一定の条件下でシーズン中にギア比を変更する機会が認められており、アウディはその制度を利用する。

    ギア比だけでなく、スタート性能もシーズン序盤から改善対象となってきた。スペインGPで小型ターボチャージャーを投入したことで一定の進歩を果たしたものの、クラッチについてはハードウェアと電子制御の両面で、なお改善の余地が残されている。

    モンツァで導入する変更は、単純な最高速対策だけではない。パワーユニットの出力特性をより効率的に利用するためのものであり、アウディがR26全体のパッケージを細部から見直していることを示すアップデートでもある。

    バクーでR26に大規模空力アップデート
    さらに大きな変化が予定されているのが、その後のアゼルバイジャンGPだ。

    アウディはすでに開発リソースの大部分を2027年型マシンへ振り向けているものの、R26の開発を完全に打ち切ってはいない。バクーには、これまでのアップデートを大きく上回る規模の空力パッケージを投入する計画だ。

    チーム内部の情報では、その変更によってR26は「完全に異なる」外観になる可能性があるという。

    具体的な変更箇所は明らかになっていないが、外観そのものが大きく変わるほどの規模とされていることから、単独のウイングやフロア部品を更新するだけではなく、複数の空力コンポーネントを連動させたパッケージになるとみられる。

    このアップデートが重要なのは、単に2026年シーズンの成績を改善するためだけではない。

    アウディはF1参戦初年度となる今季、序盤に苦戦しながらも開発を続け、直近では4戦連続入賞まで競争力を引き上げてきた。そこで得られた空力開発の方向性やマシンへの理解は、規則が変更される2027年型マシンの開発にもつながる。

    アウディ F1

    ヒュルケンベルグ「正しい方向に進んでいる」
    ニコ・ヒュルケンベルグも、最近の結果以上にチームの進歩そのものを評価している。

    「ザントフォールトの日曜日も、僕たちにとって満足できる形で終わった。またポイントを獲得できたし、それ以上に重要なのは、チームとして正しい方向に進んでいることを確認できたことだ。次のレースでも、この実行レベルを維持することが目標になる」

    一方で、中団争いは依然として極めて僅差だ。小さなミスやセットアップの違いだけで、ポイント圏内から大きく順位を落とす可能性がある。

    「モンツァに戻るのはいつだってうれしい。多くの情熱的なティフォシがいる、本当の意味でのクラシックサーキットのひとつだし、F1マシンを走らせるのが本当に楽しい場所だ」

    「中団は相変わらず信じられないほど接近している。だから、もう一度クリーンな週末をまとめて、それでどこまで行けるかを見てみたい」

    ボルトレトもR26のペースに手応え
    ガブリエル・ボルトレトも、オランダGPでは結果以上にR26のパフォーマンスに手応えを感じていた。

    「日曜日のザントフォールトは混乱したスタートもあって、望んでいた結果ではなかった。でも、マシンには快適さを感じていたし、良いペースもあった。それは休み明けのレースとして明らかにポジティブだった」

    ボルトレトにとってモンツァは個人的にも特別な場所だ。ジュニアカテゴリー時代にはイタリアを拠点として活動し、モンツァでも好成績を残してきた。

    「モンツァは僕にとっていつも特別な意味を持つ週末だ。ジュニアカテゴリーでレースをしていた間はずっとイタリアに住んでいたし、ここ数年はここで良い結果も残している」

    「何より『スピードの殿堂』でレースをするのは、いつだって楽しみにせずにはいられない。最近のレースでは僕たちは競争力を発揮できているので、今週末もその勢いを維持して、良い結果を残せればと思っている」

    モンツァからバクーへ R26開発は次の段階に
    7戦連続ノーポイントという状況から4戦連続入賞まで盛り返したアウディにとって、イタリアGPからアゼルバイジャンGPにかけては、R26の開発がさらに一段進む重要な局面となる。

    まずモンツァでギア比を変更し、パワーユニットとトランスミッションの使い方を最適化する。そしてバクーでは、マシンの外観が「完全に異なる」と表現されるほどの大規模空力パッケージを投入する。

    2027年型マシンの開発を優先しながらも、アウディは2026年型R26をまだ完成形とは考えていない。直近4戦で示した上昇傾向が本物なのか。そしてバクーの大型アップデートによって中団争いの勢力図をさらに動かせるのか。アウディF1の参戦初年度は、ここから新たな開発段階に入る。

  • アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1の将来性にスメドレー太鼓判「PU施設は他の追随を許さない」

    アウディF1は2026年からワークスチームとしてF1に参戦し、現時点ではパワーユニット(PU)の性能面でトップとの差を抱えている。しかし、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーは、ドイツ・ノイブルクに構えるPU開発施設を「他の追随を許さない」と高く評価し、長期的な飛躍につながる可能性を指摘した。

    ザウバーを完全にワークスチームへと移行させたアウディにとって、2026年は大規模なF1プロジェクトの本格的なスタートとなった。

    スメドレーは、現在の成績だけでは見えない規模の投資が進められているとして、その将来性に期待を寄せている。

    「ここ2、3年のザウバーはひどかった」
    スメドレーは、ジェイク・ハンフリーが司会を務め、元アルピーヌF1代表のオトマー・サフナウアーも出演した『High Performance Racing』ポッドキャストで、アウディF1について語った。

    まず、アウディによる本格的な変革が始まる以前のザウバーについて、スメドレーは厳しい評価を下している。

    「ザウバーは、ここ2、3年はかなり悲惨だった。とにかくひどかった。それ以外に言いようがない」

    これに対しサフナウアーは、その時期にはすでにアウディがチームを所有しており、十分な資金力に加えて一定水準の技術インフラも備えていたと指摘した。

    スメドレーも、スイス・ヒンウィルのザウバーが以前から優れた風洞を所有していたことは認めている。ただし、現在ドイツで進められているPU部門への投資は、それとはまったく異なる規模だという。

    「彼らは以前から非常に優れた風洞を持っていた。かなり長い間そうだったと思う。でも今、ドイツにある彼らの施設、エンジン施設、パワーユニット施設を見れば、他の追随を許さないレベルだ。それでもまだ建設と拡張を続けている」

    「だから、これは彼らにとって巨大なプロジェクトだ。F1施設としてのヒンウィルには、少し物足りない部分もあるかもしれない。でも、そこも拡張していて、将来どこまで持っていきたいのかという計画もある。彼らにとって本当に重要なプロジェクトなんだ」

    ノイブルクのPU施設を「他の追随を許さない」と評価
    アウディは2026年の新しいF1パワーユニット規則への参入にあたり、既存メーカーからPUの供給を受けるのではなく、独自のPUをゼロから開発する道を選んだ。

    その中核となっているのが、ドイツ・ノイブルクに置かれたPU開発拠点だ。スメドレーによれば、アウディはすでに非常に高い水準の設備を整えているだけでなく、現在もさらなる拡張を続けている。

    一方で、初年度となる2026年の競争力という点では、アウディはまだトップメーカーに追いついていない。

    FIAが新たに導入した追加開発・アップグレード機会(ADUO)の最初の評価では、アウディのPUは基準となったレッドブル・フォードのPUに対して4%以上の性能差があると判定された。

    その結果、アウディはフェラーリ、ホンダとともに最大限の開発優遇措置を受ける対象となった。2026年と2027年にそれぞれ2回の追加ホモロゲーション機会が与えられるほか、テストや開発費についても追加枠が認められる。

    アウディ F1

    ADUOの追加開発機会も追い風に
    F1で独自PUを立ち上げたばかりのアウディにとって、この追加開発機会は大きな意味を持つ。

    現在はレッドブル・フォードに対して明確な性能差を抱えているものの、PUそのものを改善する余地が通常より多く与えられるため、ノイブルクの充実した設備と豊富なリソースを実際の性能向上へと結びつけるチャンスが増える。

    また、アウディのF1プロジェクトはPU部門だけで完結するものではない。スメドレーが指摘したように、シャシー開発の本拠地であるヒンウィルについても拡張計画が進められており、ワークスチームとして組織全体の能力を引き上げようとしている。

    スメドレーの評価を踏まえれば、現在のアウディF1が抱える性能差は、プロジェクトの将来性をそのまま示すものではない。ノイブルクのPU施設への大規模投資とヒンウィルの強化、さらにADUOによる追加開発機会を生かせるかどうかが、アウディがF1のトップ争いへ近づくうえで重要な鍵となりそうだ。

  • アウディF1の現状は「1995年のフェラーリ」 ビノットが2030年王座へ描く再建計画

    アウディF1の現状は「1995年のフェラーリ」 ビノットが2030年王座へ描く再建計画

    アウディF1の責任者を務めるマッティア・ビノットは、現在のチームが「1995年のフェラーリ」に似た段階にあるとの見方を示した。

    施設や人員、組織体制ではトップチームとの差が残る一方、2030年までにF1世界選手権を争うという目標については「具体的な目標」であり、達成可能だと強調している。

    アウディは2026年、ザウバーを完全に引き継ぐ形でワークスチームとしてF1に参戦した。ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトを擁し、11戦終了時点で12ポイントを獲得しているものの、6レースで11位フィニッシュを記録するなど、トップグループとの差は依然として大きい。

    2030年のタイトル争いを見据えるアウディF1
    アウディはF1参戦当初から、短期間での成功ではなく長期的なプロジェクトとしてチームを構築する方針を明確にしてきた。そのなかで掲げているのが、2030年までに世界選手権を争えるチームになるという目標だ。

    現時点で競争力向上の最大の焦点となっているのは、自社開発するパワーユニットである。一方、ビノットは課題がパワーユニットだけにあるわけではないと考えている。

    アウディがザウバーから引き継いだスイス・ヒンウィルのファクトリーは、近年トップチームほど大規模な投資を受けてこなかった。ザウバーは2016年にスウェーデンの実業家フィン・ラウジングの支援を受けて以降、ザウバー、アルファロメオ、ステークと名称を変えながら参戦を続けたが、基本的には中団下位で戦うシーズンが続いていた。

    そのため、現在のアウディにはメルセデス、フェラーリ、マクラーレン、レッドブル・レーシングと競争するためのインフラ整備も求められている。

    ビノットはRacingNews365のインタビューで、トップチームとの差について率直に認めた。

    「メルセデス、フェラーリ、あるいはマクラーレンを訪れ、そのあとで我々のところを訪れれば、そこにギャップ、明確な違いがあることに気づくだろう」

    「我々の建物やインフラはトップチームと同じレベルにはない。ただ、それを誰かの責任だと言っているわけではない。以前のチームオーナーがどのような野心を持っていたのかという事実の結果だ。だから現在はギャップがあり、それを埋めていかなければならない」

    「もっと大きくならなければならない」
    アウディがタイトルを争うためには、単純に既存設備を改善するだけでは十分ではないとビノットは考えている。人員、製造能力、ファクトリーそのものを拡大する必要があるという。

    「将来的にはもっと大きくならなければならない。もっと多くの人材が必要だし、製造のためのスペースもさらに必要になる」

    「だから当然、拡張計画について検討している。拡張は将来の成功を左右する要素になるからだ」

    ただし、大規模な施設拡張は短期間で完成するものではない。

    「拡張は一夜にして実現するものではない。それでも、そうしたプロジェクトについて検討しているし、真剣に考えている。決定が下されれば、そのときに知らせることになる」

    ビノットが重ねる「1995年のフェラーリ」
    ビノットにとって現在のアウディの状況は、自身がフェラーリに加入した1995年と重なって見えるという。

    当時のフェラーリは、現在のようなF1を代表する巨大組織とは大きく異なっていた。ジャン・トッドの指揮下でチーム再建が始まっていた時期であり、その後、ミハエル・シューマッハ、ロス・ブラウン、ロリー・バーンらを迎え、2000年代初頭の黄金時代につながる基盤が築かれていった。

    ビノット自身も1995年にエンジンのテストエンジニアとしてフェラーリに加入。その後、技術部門でキャリアを重ね、最終的には2019年から2022年までチーム代表を務めた。

    「僕がここに来たときに目にしたものは、1995年のフェラーリのようだった。僕にとって比較対象になるのは1995年のフェラーリだ」

    「古くて小さなファクトリーで、人員も少なく、導入されているプロセスも限られている。だから僕にとっては、本当に当時のフェラーリとの比較になる。1995年のフェラーリと現在のフェラーリを比較するようなものだ」

    1995年のフェラーリは、まだタイトルを争える完成された組織ではなかった。しかし、その翌年にはシューマッハを迎え、その後の数年間をかけて組織、技術、人材を整備。最終的にコンストラクターズ選手権6連覇、ドライバーズ選手権5連覇という黄金期につなげた。

    ビノットが現在のアウディに重ねているのも、当時のフェラーリの成績そのものではなく、トップチームになるための土台を構築している「段階」だ。

    アウディ F1

    表から見えないところで進むアウディの再建
    2026年の結果だけを見れば、アウディはまだF1のトップチームとは大きな隔たりがある。しかしビノットは、レース結果には現れない部分で重要な変化が進んでいると説明する。

    「これまでやってきたことは正しい方向に進んでいると思う。チームは改善し、前進している。そしてファクトリーでは、メディアやファンからは見えないところで多くのことが起きている」

    「本当に多くのことが進んでいる。我々は正直に、そして本当の意味で将来のための基盤を築いている」

    そのうえでビノットは、2030年という目標が単なるスローガンではないことを強調した。

    「だから、2030年までに世界選手権を争うという目標は間違いなく達成可能だと確認できる。2030年は具体的な目標だ」

    アウディにとって2026年は完成形を示すシーズンではなく、タイトルを争う組織へ変貌するための出発点に位置づけられている。ビノットが経験した1995年のフェラーリと同じように、現在の成績以上に、今後数年間でどこまで人材、設備、開発体制を積み上げられるかが2030年の成否を左右することになりそうだ。

  • アウディF1 着実な進歩も首脳は冷静「トップ4との差は大きい」

    アウディF1 着実な進歩も首脳は冷静「トップ4との差は大きい」

    アウディF1は2026年シーズン前半戦終盤で着実な進歩を見せ、3戦連続でポイントを獲得した。コンストラクターズ選手権ではウィリアムズを上回り8位へ浮上し、チーム全体の成長が数字にも表れ始めている。

    しかし、モータースポーツ責任者のアラン・マクニッシュは「トップ4チームとの差は依然として大きい」と現状を冷静に分析。空力アップデートの成果や車両理解の進展を評価する一方、2027年を見据えた開発戦略や改善すべき課題についても率直に語った。

    空力アップデートで低速域の弱点を改善
    アウディF1はシーズン序盤、速さを持ちながらも結果につなげられないレースが続いていた。しかし、シルバーストンから3戦連続でポイントを獲得し、ようやくパフォーマンスを結果へ結び付けられるようになった。

    マクニッシュは、その要因としてオーストリアGPで投入した空力アップデートを挙げた。

    「オーストリアで空力アップデートを投入し、それが非常に効果的だった。特に少し弱点だった低速コーナーで大きな助けになった」

    「さらに、マシンをより運転しやすくする変更も加えた。これも主に低速コーナーで効果を発揮している」

    また、エンジニアがマシンの特性をより深く理解できるようになったことも進歩の要因だという。

    「重要なのは、マシンが何を好み、ドライバーが何を求めているかを理解することだ。その点でも私たちは前進している」

    PU大型アップデートは2027年まで見送り
    アウディF1は今季、パワーユニットの開発機会をすべて使い切る方針は採らない。予算上限を考慮し、大規模なアップデートは2027年まで温存する考えだ。

    「バルセロナでは小規模な改善を実施し、それは期待どおり機能した」

    「より大きなアップデートは2027年になる可能性が高い。そのため、それまでパワーユニットに大きな変更はないだろう」

    その理由についても次のように説明した。

    「資金を一度に使い切るわけにはいかない。そうすれば、その後に戦うための余力がなくなってしまう。だからこそ期待値を適切に管理する必要がある」

    アラン・マクニッシュ(アウディF1)

    チーム全体の成長を実感
    今季からジョナサン・ウィートリーに代わってスポーツ部門を率いるマクニッシュは、チーム内部の変化を強く感じているという。

    「私が直接関わるようになってから、人材が着実に成長しているのを感じる。チーム全体の自信も高まっている」

    「ブダペストはさまざまな理由で難しい週末だったが、その中でもオペレーションは非常に良かった」

    さらに予選パフォーマンスについても予想以上だったと評価した。

    「純粋なパフォーマンスという意味では、予選は予想以上だった。これほど速く、しかも安定して速さを発揮できるとは思っていなかった」

    「その速さを引き出せるようになっているが、さらに一段階成長する必要がある」

    改善すべき課題はスタート
    一方で、改善すべき課題としてスタートを挙げた。

    「満足できていない分野の一つがスタートだ。今回もそこで不利になってしまった」

    「リアム・ローソンの後ろに入ってしまい、本来ならレーシングブルズの1台を上回るチャンスがあったにもかかわらず、最終的には2台とも前でフィニッシュされた」

    それでも夏休み前の手応えには満足しているという。

    「改善すべきことは本当にたくさんある。しかし、ここまで示してきた内容は非常に前向きなものだ」

    トップ4との差は依然として大きい
    アウディF1は現在、コンストラクターズランキングでウィリアムズを抜いて8位に浮上。Q3進出や入賞も常連となりつつある。

    マクニッシュは、この成長が今後も続くと確信している。

    「私たちはウィリアムズをランキングで上回った。Q3にも安定して進出し、レースでもトップ10に入り、ポイントを獲得している」

    「オペレーション面でも技術面でもチームは着実に前進している。この流れは今後も続くだろう」

    ただし、現状を過大評価することはなかった。

    「今感じているのは自信というより安心感だ。チームが着実に強くなり、正しい方向へ進んでいるという安心感がある」

    「しかし正直に言えば、私たちの現在地は中団であり、トップ4チームとの差は依然として大きい」

    それでも、F1参戦からまだ11戦しか経験していない新チームであることを踏まえれば、現在の位置は十分に評価できると締めくくった。

    「私たちはF1でまだ11戦しか戦っていない。そのことを考えれば、現在の位置は非常に良いものだと思っている」

  • アウディF1代表 ピアストリ&サインツ移籍説は「プロジェクトの信頼性の証」

    アウディF1代表 ピアストリ&サインツ移籍説は「プロジェクトの信頼性の証」

    アウディF1代表のマッティア・ビノットは、オスカー・ピアストリやカルロス・サインツJr.がチームへの移籍候補として報じられていることについて、「非常にうれしい」と歓迎する姿勢を示した。

    ビノットは現時点でドライバー交代の予定を否定しつつも、有力ドライバーの名前がアウディと結び付けられること自体が、F1界でプロジェクトへの評価が高まっている証拠だと強調した。

    ピアストリやサインツとの移籍報道を歓迎
    アウディは2026年からザウバーを引き継ぎ、ワークスチームとしてF1へ本格参戦した。ドイツ・ノイブルクのパワーユニット部門と、スイス・ヒンウィルのレースチームという2拠点体制でプロジェクトを進めており、ビノットは2024年7月からその指揮を執っている。

    2027年に向けたドライバー市場では、現ウィリアムズのカルロス・サインツJr.や、マクラーレンのオスカー・ピアストリがアウディ移籍候補として報じられている。一方で、アウディ側はニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトのコンビを維持する方針を繰り返し示している。

    そうした状況について、ビノットは『RacingNews365』に次のように語った。

    「まず、私は新聞をほとんど読まないので、その話はあなたから初めて聞いた」

    「カルロスは私がとてもよく知っている人物だ。だから彼とアウディが結び付けられるのは自然なことなのだろう。しかし、私が言えるのは、現在のラインアップにとても満足しているということだけだ」

    ヒュルケンベルグとボルトレトを高く評価
    ビノットは現在のドライバーラインアップについても高く評価し、経験と若さのバランスだけではなく、純粋な速さを重視して起用していると説明した。

    「ガブリエルとニコについて語られるとき、多くの人は経験豊富なドライバーと若手の組み合わせだと言う」

    「だが私は別の見方をしている。2人とも非常に速いドライバーであり、だからこそ満足している。我々には良いラインアップがある」

    ヒュルケンベルグは2026年ハンガリーGPで9位に入り、アウディとして今季初ポイントを獲得。チーム内部でも、そのパフォーマンス自体は高く評価されており、成績不振の主因はマシンにあるとの認識から、2027年契約に盛り込まれている解除条項を行使する考えはないと報じられている。

    アウディ F1 マッティア・ビノット

    「アウディは競争力を持てる」という評価の表れ
    ビノットは、有力ドライバーとの移籍報道そのものがアウディの将来性を物語っていると受け止めている。

    「他のドライバーが我々のチームと結び付けられることについては、とてもうれしく思っている」

    「それは我々のプロジェクトに対する信頼性が高まっていることを示しているからだ」

    「外部から見ても、いつかアウディが競争力のあるチームになるという認識は、もはや単なる噂ではなく事実として受け止められ始めている」

    サインツJr.については、フェラーリ時代にビノットとともに仕事をした経験があり、再びタッグを組む可能性がたびたび取り沙汰されている。また将来的にはジョージ・ラッセルが2028年以降の候補として浮上するとの見方もあり、アウディのシートは今後さらに注目を集めることになりそうだ。

    アウディは現時点ではヒュルケンベルグとボルトレトの体制を維持する方針だが、ピアストリやサインツJr.といったトップドライバーの名前が移籍候補として挙がるようになったことは、新興ワークスチームとしての存在感が着実に高まっていることを示している。

  • アウディF1 2026年PU開発を事実上終了 2027年へ開発資源を集中

    アウディF1 2026年PU開発を事実上終了 2027年へ開発資源を集中

    アウディF1は、2026年シーズン中にパワーユニット(PU)の大規模アップデートを実施しない方針を明らかにした。限られた開発予算とリソースを2027年に向けた開発へ集中させる戦略で、今季の性能向上は最小限にとどめる。

    一方で、同じくFIAの追加開発制度「ADUO」の対象となっているホンダは、アストンマーティンF1向けにオランダGPで新仕様PUを投入予定であり、両社の戦略の違いが鮮明になっている。

    アウディF1は2027年に開発資源を集中
    アウディF1のレーシングディレクターを務めるアラン・マクニッシュは、ハンガリーGP週末に今後のPU開発方針について説明した。

    2026年シーズン開幕時点で、アウディ製PUはトップエンジンと比較して4%以上の性能差があると評価されていた。この差により、FIAの「ADUO(Additional Development Opportunity Units)」制度に基づく追加開発枠を獲得している。

    アウディはその制度を活用し、スペインGPでPUのドライバビリティを改善するアップデートを投入した。しかし、それ以降は大規模な性能向上を見送る決断を下した。

    「バルセロナではADUOを使って小規模な改善を行い、正しい方向性を示すことができた」とマクニッシュは語った。

    「ただ、本格的なアップグレードは2027年向けだ。それまではパワーユニットに大きな変更は予定していない」

    限られた予算で将来を優先
    マクニッシュは、この判断の背景には財政面の現実があると説明する。

    「シャシーとパワーユニットの両方について、いつアップデートを投入するか、そして予算をどこへ配分するかのバランスを取らなければならない」

    「すべてを一度に使い切ることはできない。将来の戦いに向けてリソースを残しておく必要がある。重要なのは1シーズンではなく、数年先まで見据えてマネジメントすることだ」

    アウディは今季後半にR26のシャシーアップデートを投入する予定だが、PUについては現行仕様を基本としながら2027年型の開発へ軸足を移す考えだ。

    アウディ F1

    ホンダとは対照的な開発方針
    アウディの判断は、同じくADUO制度の対象となっているホンダとは対照的だ。

    ホンダはアストンマーティンF1向けに新仕様PUをハンガロリンクで実走させ、オランダGPでレースデビューさせる予定となっている。トップ勢との差を縮めるため、2026年シーズン中も積極的な開発を継続している。

    一方のアウディは、短期的な性能向上よりも2027年シーズンでの競争力確保を優先する戦略を選択した。ADUOによる追加開発枠を活用しながらも、大規模な投資は翌年へ持ち越すことで、長期的な戦力強化を図る構えだ。