アストンマーティンF1は、2026年F1オランダGPにAMR26Bのさらなる空力アップデートを投入した。FIAが公開した資料によると、変更はフロントウイング、フロントウイング・エンドプレート、オプショナルフラップ、フロアフェンス、ディフューザーの計5項目に及ぶ。
前戦ハンガリーGPで16項目もの大規模アップデートを投入したアストンマーティンだが、開発の手を緩めてはいない。
ハンガリーで投入した新フロントウイングをさらに改良
フロントでは3項目の変更がFIAに申告された。
まずフロントウイングでは、最終エレメントのアウトボード側のコード長を短縮。さらにフロントウイング・エンドプレートでは、内側のフット部分の形状が変更された。
アストンマーティンはFIAへの提出資料で、この2つの変更について、前戦で導入した新しいフロントウイングの性能を改善するためのものだと説明している。
つまり、ハンガリーGPで投入されたフロントウイングをそのまま継続使用するのではなく、実戦投入直後のオランダGPで早くも細部をアップデートした形だ。
3つ目は、新しいオプショナル・フロントウイングフラップである。このフラップは単純にフロントの空力荷重を増やすことだけを目的としたものではない。
FIA資料によれば、フロントウイングの調整によって得られるマシンバランスの範囲を広げ、セットアップを最適化することが狙いとされている。
ザントフォールトは高速コーナーだけでなく、バンクを持つターン3や最終コーナーなど独特の特性を備えている。フロントウイングの調整幅を広げることは、こうしたコースで前後の空力バランスを合わせ込むうえでも重要な意味を持つ。
リアは新パッケージ評価後に空力荷重を追加
リア側では、フロアフェンスとディフューザーに変更が施された。
フロアフェンスについては、ディフューザー部分に新しいフェンスを追加。ディフューザーでは、ウイングレットの下端形状が変更されている。
ここで注目されるのが、アストンマーティンがFIAに示した変更理由だ。
チームは、これらリア部分の変更について「新しいパッケージの性能を評価した後、リアの空力荷重を増加させるために組み合わせて機能する」と説明している。
前戦ハンガリーGPで投入した大規模な新パッケージを評価したうえで、その性能をさらに引き出すためにリア側へ手を加えたことが読み取れる。
フロアフェンスとディフューザーは個別に機能するのではなく、一体となってリアの空力荷重を高める設計となっており、AMR26Bの空力パッケージをさらに発展させるアップデートと位置づけられる。
16項目の大改修からわずか1戦で追加アップデート
アストンマーティンはハンガリーGPで、AMR26に16項目もの変更を加えた大規模アップデートを投入。従来型から大きく姿を変えたマシンは「AMR26B」とも呼ばれ、シーズン後半戦に向けた巻き返しの重要なステップとなった。
そして、わずか1戦後のオランダGPでさらに5項目を追加した。今回のFIA資料では、フロントウイングについて前戦投入仕様の性能改善であることが明記され、リア側についても新パッケージの評価を踏まえた変更であることが示されている。
そのため今回のアップデートは、ハンガリー仕様とは独立した新パッケージというより、そこで導入したコンセプトを実戦データを基に磨き込む継続的な開発と見ることができる。
さらにオランダGPでは、車体側の空力アップデートと同時にホンダもRA626Hの新スペックを投入。アストンマーティンにとっては、シャシーとパワーユニットの両面で性能向上を図る重要な週末となる。
ハンガリーで大きく刷新されたAMR26Bが、今回の5項目の空力変更とホンダの新スペックPUによってどこまで前進できるか。ザントフォールトでの走行データは、シーズン後半に向けたアストンマーティンの開発方向を占う重要な材料となりそうだ。

アルピーヌは最多8項目 フェラーリも5項目を投入
オランダGPではアストンマーティン以外にも複数のチームがアップデートを投入している。FIAへの申告数で最多となったのはアルピーヌで、計8項目の変更を持ち込んだ。
アルピーヌはフロアボディ、フロアボード、フロアエッジ、ディフューザー、サイドポッド/コーク、リアコーナー、リアインパクトストラクチャー、リアウイングを変更。フロアを中心にマシン後方まで広範囲に手を加え、空力荷重の増加と気流の改善を狙っている。オランダGPではピエール・ガスリーが新パーツを使用し、フランコ・コラピントには次戦イタリアGPから同仕様が用意される予定だ。
フェラーリもアストンマーティンと同じ5項目を申告。SF-26のフロアボディ、フロアボード、フロアエッジを改良したほか、ディフューザーとビームウイングにも変更を施した。FIA資料では、作動領域全体で空力荷重を増やすとともに、リアディフューザーへ送り込む気流のエネルギーを高めることが狙いと説明されている。
マクラーレンは3項目で、新しいリアウイングに加えてエンジンカバーとリアコーナーを変更。リアウイングとボディワークを連携させて空力効率を高めるとともに、リアブレーキダクトの変更によって気流とブレーキ冷却性能の改善を図った。
メルセデスはフロントコーナーの1項目のみ。ブレーキダクト入口からドラム前端のリップを分離してキャンバーも調整し、ステアリングの作動範囲を通じた気流の安定化とマシン後方への流れの改善を狙う。
レッドブル・レーシングもフロントコーナーの1項目だが、こちらはパフォーマンスではなく信頼性向上が目的。高いステアリング角でホイールボディワークにかかる負担を減らすため、ロワーウィッシュボーン後方レッグのコード長などを変更している。
一方、ウィリアムズ、レーシングブルズ、ハース、アウディ、キャデラックは、今回のオランダGPに向けたアップデートをFIAに申告していない。
ザントフォールトではアルピーヌの8項目を筆頭に、アストンマーティンとフェラーリが各5項目、マクラーレンが3項目を投入した。シーズン後半戦最初の一戦から、各チームの開発競争も再び活発に動き始めている。