ジェレミー・クラークソン アルピーヌF1にビール贈呈「俺はフランス人じゃない」

ジェレミー・クラークソン アルピーヌF1にビール贈呈「俺はフランス人じゃない」

元アルピーヌF1チーム代表のオトマー・サフナウアーが、2023年F1モナコGPでエステバン・オコンが表彰台を獲得した際、英国の人気テレビ司会者ジェレミー・クラークソンがチームに大量のビールを贈った舞台裏を明かした。

アルピーヌの本拠地エンストンの近くに農場を所有するクラークソンは、同チームを自身の「地元チーム」と呼び、これまでにもグランプリを訪れている。

2023年のモナコでは、アルピーヌが表彰台に上がった場合、チーム全員に自身のビールブランド「ホークストーン」をプレゼントすると約束していた。

オコンの3位でクラークソンが約束を実行
当時のアルピーヌにとって、表彰台は決して現実味の高い目標ではなかった。モナコGPを迎えるまでオコンはシーズン2度の入賞にとどまり、チームの最高位もオコンとピエール・ガスリーがそれぞれ記録した8位だった。

しかしモナコでオコンは予選4番手を獲得。シャルル・ルクレールのグリッド降格によって3番グリッドからスタートすると、決勝でもそのポジションを守り切り、3位表彰台を獲得した。

クラークソンも約束を忘れてはいなかった。

「エステバンがモナコで表彰台に上がった。そのレース中、ジェレミー・クラークソンが『近所の連中が表彰台に上がったら、全員にホークストーンを6本ずつやる』と言っていたんだ」とサフナウアーは『High Performance Racing』ポッドキャストで振り返った。

「すると本当にランボルギーニのトラクターでやって来た。後ろには巨大な農業用トレーラーを引いていて、干し草とビールが山ほど積まれていた。全員が6本パックのビールをもらったよ」

クラークソンは自身が所有する農場「ディドリー・スクワット・ファーム」で農業を営んでおり、ホークストーンはそこで収穫された大麦などを使って展開されているブランドだ。大量のビールを農業用トラクターでアルピーヌへ届けるという、いかにもクラークソンらしい演出だった。

エステバン・オコン(アルピーヌF1チーム) 2023年モナコGP

「なぜなら俺はフランス人じゃないからな!」
さらにサフナウアーによれば、ビールが届けられた際にはチームメンバーが屋外に集まり、オコンがマイクを手にクラークソンへの感謝を伝えたという。

「僕はジェレミーの隣に立っていた。エステバンがマイクを持っていて、スピーカーも用意され、みんなが外に集まっていた。夏だったね」

「エステバンが『ジェレミー・クラークソンには、僕たち全員に6本ずつビールをくれただけでなく、約束を守ってくれたことにも本当に感謝したい』と言ったんだ」

その言葉を聞いたクラークソンは、隣にいたサフナウアーの前で即座にこう叫んだという。

「なぜなら俺はフランス人じゃないからな!」

英国人らしい皮肉を交えたクラークソンの一言により、アルピーヌにとって記念すべき表彰台祝いはさらに印象深いものとなった。

アルピーヌとの関係は2026年も継続
クラークソンとアルピーヌの関係は、その後も続いている。

2026年F1イギリスGPでは、ディドリー・スクワット・ファームがアルピーヌのホスピタリティに食材を提供。モナコでのビールのプレゼントから3年が経過した現在も、クラークソンは「地元チーム」とのつながりを維持している。

オコンがもたらした2023年モナコGPの表彰台はアルピーヌにとって貴重な成功だったが、その裏ではクラークソンがトラクターいっぱいのビールを届け、得意のジョークでチームを沸かせるという、F1パドックらしいユニークなエピソードが生まれていた。