フェルナンド・アロンソ F1とFIA首脳に改革直訴「2031年まで待てない」

フェルナンド・アロンソ F1とFIA首脳に改革直訴「2031年まで待てない」

フェルナンド・アロンソは、現在のF1が抱える問題について、F1のステファノ・ドメニカリCEO、FIAのモハメド・ビン・スライエム会長の双方と直接話し合っていることを明かした。

以前から2026年F1レギュレーションを厳しく批判してきたアロンソは、初開催となったF1スペインGPのマドリンクでも、エネルギーマネジメントによってドライバーの技量が結果に反映されにくくなっていると指摘。「2031年まで待つことはできない」と訴え、自身の経験をF1の改善に役立てることも「責任」だと語った。

アロンソがF1とFIAトップと直接協議
アロンソの将来をめぐっては、ビン・スライエムが2度のF1ワールドチャンピオンを引退させないために働きかける意向を示したことが注目を集めた。

その発言は、アロンソやホンダをF1にとどめるため、FIAが規則変更まで検討する可能性を示唆したものとして受け止められ、一部で物議を醸した。その後、特定のドライバーやメーカーを優遇する意図は否定されている。

アロンソ自身は2027年もF1を続けるかどうかについて、依然として明言していない。

「分からない。来年について自分の考えを決めるために、まだ検討しなければならないことがたくさんある」

一方、ビン・スライエムと話したことについては認めた。

「彼とは話した。でも、ステファノとは毎週のように定期的に話している。F1はこのままでは続けられないからだ」

ここでアロンソが問題視しているのは、自身の去就だけではない。2026年から導入された新世代F1マシンそのものが、ドライバーの能力を十分に引き出せていないという点だ。

「2031年まで待つことはできない」
アロンソは、現行レギュレーションの問題を修正するために次の大規模な規則変更まで待つべきではないと主張する。

「僕たちは……適切なスポーツになるまで2031年まで待つことはできない」

「だから、自分の経験を生かして、できる限り改善するために彼らを助けることも僕の責任だと思っている」

その問題を象徴する例としてアロンソが挙げたのが、マドリンクのラ・モニュメンタル(La Monumental)を含むターン10から12の区間だった。

24%のバンク角を持つラ・モニュメンタルは、マドリンクを象徴する高速セクションとして設計された。しかし、アロンソによれば、現在のF1マシンではドライバーが限界を探りながらタイムを削る場所ではなく、MGU-Kからどれだけエネルギーを使えるかによって速さが左右されてしまうという。

「ある意味、悲しいことだ。この世代のマシンで、ここみたいな素晴らしいサーキットに来て、ラ・モニュメンタルを含むターン10から12のようなチャレンジングな場所があるのに、ドライバーの入力はほとんど何の意味も持たない」

フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

「勇気がある方が速い。それがモータースポーツ」
アロンソは近くにいたアストンマーティンのシニア・コミュニケーション&メディアマネージャー、マイケル・クレイトンを例に挙げ、現在の状況を皮肉った。

「マイケルだってターン10から12を走れる。MGU-Kのデプロイなしで全開で行って、あるところで“K”が入れば、出口で速くなる」

「でも、F1、そしてモータースポーツというものは、ターン10から12で、もしマイケルの方が僕より勇気があれば彼の方が速い、僕にもっと能力があれば僕の方が速い、そういうものであるべきだ」

「予選というのはそうあるべきだ。でも今は、どれだけSOCが残っているかによって速くなったり遅くなったりするだけだ」

ここでいうSOC(State of Charge)は、バッテリーに残されているエネルギー量を意味する。2026年F1では電動側の出力が大幅に高められており、エネルギーの回生と使用がラップタイムを左右する重要な要素となっている。

「マックスよりマイケルが速くなってはいけない」
アロンソはさらに、マックス・フェルスタッペンを引き合いに出し、ドライバーの技量よりエネルギーの状態が速さを決める状況への違和感を強調した。

「ターン10から12では、誰が速くても構わない。でも、名前を出したくはないけど、バッテリーが多いというだけでマイケルがマックス・フェルスタッペンより速くなってはいけない」

「ターン10から12は、それほど素晴らしいコーナーなんだ。そこでマイケルとの差を生み出すのは、マックス・フェルスタッペンでなければならない」

「でも今は、それができない」

アロンソがドメニカリやビン・スライエムと話している背景には、自身のF1引退をめぐる問題だけでなく、現行レギュレーションに対する根本的な危機感がある。

45歳のアロンソはまだ2027年の去就を決めていないが、その一方で、20年以上にわたるF1経験を生かしてスポーツの方向性に意見することを自らの役割と位置づけている。マドリンクでの批判も単なるコースへの不満ではなく、「ドライバーが違いを生み出すF1」を取り戻すべきだという、2026年規則そのものへの問題提起となっている。