ランド・ノリスは、2026年F1スペインGPの予選で今季3回目となるポールポジションを獲得。マドリンクで決めた最後のアタックを「キャリアで最高のラップのひとつ」と表現した。一方で決勝については「僕たちが最速のマシンではない」と警戒している。
マクラーレンのノリスはQ3最後のアタックで1分31秒824を記録。メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリをわずか0.011秒上回り、F1通算19回目、今季3回目のポールポジションを手にした。
「キャリア最高のラップのひとつ」
ノリス自身にとっても会心の1周だった。
「このラップをものすごく誇りに思っている。すべてが噛み合って、自分が達成しようとしていたことを正確に引き出せた瞬間だった」
「マシンの感触はよかったし、自信もあった。このサーキットで自分が走ったなかでは、あの最終ラップは限りなく完璧に近かった」
予選後、「F1でこれまで走ったなかで最高の予選ラップか」と尋ねられたノリスは、「そうだと思う」と答えた。
「ほとんどのコースでは、完璧とはどういうものなのか、自分が完璧なラップで何を達成したいのかは分かっている」
「すごくいい日というのは、それにかなり近づけた日だ。でも今日は、最終コーナーまでは、ほぼすべてのコーナーで自分がやりたかったこと、その完璧なレベルに到達できたと思う」
「こういうラップを達成するのは夢みたいなことだ。間違いなく、これまで走ったなかで最高のラップのひとつだった」
縁石もブレーキングも「すべて完璧にまとまった」
マドリンクでは縁石への乗せ方やブレーキングポイントなど、小さな違いがラップタイムを大きく左右する。
ノリスはQ3最後の1周で、それらの要素をほぼ狙い通りにまとめた。
「すべてが完璧にまとまった。縁石に当てるタイミング、どう縁石に乗るか、ブレーキングポイント、そういうすべてのタイミングを本当にうまく合わせることができた」
「今日みたいな日、こういうコースではミスをするのは本当に簡単だ。でも、一番重要なラップでちゃんと決めることができた」
公式記者会見では、その最終アタックでそれまでの自己ベストから約0.7~0.75秒もタイムを縮めたことを明かしている。
「最終ラップでは、0.7秒とか0.75秒くらい改善した。それ自体は誇るようなことじゃないけど、それを最も重要なQ3でできたことは誇っていいと思う」
特に、それまで慎重になっていたシケインで一気に限界へ踏み込めた。
「シケインは初めてちゃんとうまくいった。ずっと少し慎重になっていたんだけど、縁石を使うという意味では、慎重すぎることが逆に悪くなる場合もある」
最終コーナーでは「ウォールに当たったと思った」
ほぼ完璧だったラップで唯一、ノリス自身が失敗したと感じたのが最終コーナーだった。
「最終コーナーでちょっとした瞬間があった。マシンの中で少し興奮してしまったのか、エントリーでプッシュしすぎた」
「正直、ウォールに当たったと思ったよ」
パルクフェルメでも「今夜みんながマシンを修理することになると思った」と振り返ったが、接触を回避してフィニッシュラインを通過。0.011秒差でポールを奪った。
「こういうラップを達成できることは滅多にない。だから、実際にできたときの感覚は本当に最高だよ」
初開催となるマドリンクでポールを獲得したことも、ノリスにとって特別な意味を持つ。
「マドリンクで行われる最初のF1レースでポールポジションを獲得できたことで、さらに特別なものになった。チームのみんなのハードワークに心から感謝している」
FP2をギアボックス問題で失う
今回のポールをさらに印象的なものにしたのが、金曜日に十分な走行時間を確保できなかったことだ。
ノリスはギアボックスの問題によってFP2で走行できず、新設されたマドリンクで貴重な経験を積む機会を失った。
「FP2でラップを走れなかったから、少し追いつく必要があった」
新しいサーキットでは、単純な走行距離だけでなく、バンプの位置、縁石の使い方、スロットルを開けられるポイントなど、ドライバーが実走から得る情報も重要になる。
「特に新しいコースでは経験を失うことになる。小さな部分だけど、どこにバンプがあるのか、新しいタイヤを履いたときにどこでもっと積極的にスロットルを開けられるのか、シケインの縁石をどう使うのか。ドライバーとしてそういうタイミングを学ぶ機会を失う」
それでもFP3と予選で遅れを取り戻し、最も重要なQ3最後のアタックで結果につなげた。

「ポールだけど僕たちが最速ではない」
一方、ノリスはポールポジションを獲得したからといって、マクラーレンが決勝で最も速いマシンだとは考えていない。
「明日はかなり厳しい一日になると思う」
「ザントフォールトやブダペストほど単純にはいかない。あそこでは僕たちが最速のマシンだった。でも、確かに今は僕がポールにいるけど、僕たちが最速のマシンというわけではない」
ノリスが強調したのは、ポール獲得にはほぼ完璧な1周が必要だったという事実だ。
「今日は完璧なラップを走って、それでようやく100分の1秒差でポールを取れた」
決勝では予選とは異なり、純粋なレースペースとタイヤマネジメントが問われる。その点でノリスには大きな未知数が残されている。
高燃料走行なし 決勝前に「宿題」
FP2を失ったことで、ノリスは決勝を想定した高燃料でのロングランをほとんど行えていない。
「まだ高燃料ではほとんど走っていない。だから宿題をしないといけない」
「昨日オスカーが何をやったのかを見て、何を準備できるか確認する必要がある。データを全部見て、チームと一緒に分析しないといけない」
タイヤデグラデーションが大きいと予想されるだけに、どのコーナーでタイヤを守り、どこでプッシュするかも事前に把握しておく必要がある。
「長いレースだし、新しいコースだ。どのコーナーでプッシュして、どこで抑えるべきなのか、バッテリーがどうなるのか。今夜やらなければならないことはたくさんある」
それでも、オーバーテイクが難しいと予想されるマドリンクで先頭グリッドを確保した意味は大きい。
「明日に向けて自分たちを可能な限り最高のポジションに置くことができた。今はそれを決勝で強い結果につなげることに集中している」
FP2で貴重な走行時間を失いながら、Q3最後の1周ですべてをまとめたノリス。自身が「夢」と表現するほどの渾身のラップで初開催のマドリンクでポールを手にした。ただし、決勝では最速マシンではないとの認識を持っており、高燃料走行を経験していないことも不確定要素となる。アントネッリとマックス・フェルスタッペンを背後に従え、ポールを勝利へ変えられるかが注目される。
