マクラーレンF1 ノリスとピアストリの同士討ちを容認「レースをさせる方が重要」

マクラーレンF1 ノリスとピアストリの同士討ちを容認「レースをさせる方が重要」

マクラーレンは、2026年F1イタリアGP終盤にランド・ノリスとオスカー・ピアストリが激しく4位を争った場面について、チームオーダーを出さなかった判断を擁護した。アンドレア・ステラ代表は、同じマシン、同じタイヤ条件で走る2人の争いに介入する必要はなかったと説明している。

一方で、2人を自由に戦わせたことで前を走るマックス・フェルスタッペンを攻略するチャンスを失った可能性については、レース後に検証する方針を示した。

ノリスが芝生に押し出されたと訴えた際の攻防についても確認したが、ステラは「その瞬間に見えたほど深刻なものではなかった」との見解を示している。

ノリスとピアストリが終盤に4位を巡って激突
マクラーレン勢は、予選でピアストリが3番手から6番手に降格し、ノリスが8番手からスタート。決勝ではともに順位を上げ、終盤には3番手を走るフェルスタッペンの直後まで迫った。

48周目、ノリスがまずピアストリをかわしたものの、ピアストリが反撃。その後も2人の接近戦は続き、51周目には大きな緊張が走った。

ノリスはクルバ・グランデでピアストリのアウト側から仕掛けたが、ピアストリが左へ寄せてポジションを守ったことで、ノリスは左側のタイヤを芝生に落とした。

ノリスは無線でピアストリにコース外へ押し出されたと訴え、マクラーレンもピアストリに対してクリーンなバトルを続けるよう伝えた。

それでもチームは順位を固定することなく、2人に自由に争わせた。最終的にはノリスがファイナルラップで4位を奪い返し、ピアストリが5位でチェッカーを受けた。

ステラ「介入する必要はないと考えた」
アンドレア・ステラは、マクラーレンがチームオーダーを出さなかった理由について、ノリスがフェルスタッペンを追うためには、まず自力でピアストリを抜く必要があったと説明した。

「この状況では、ランドがマックスに挑戦するチャンスを得るためには、まずオスカーを抜けなければならないと考えていた」

「そして2台は同じタイヤで、タイヤの使用年数も同じ、マシンも同じだった。だから、レースの自然な展開に介入する必要はないと考えた。我々は彼らにレースをさせた」

「それが正しい判断だったと考えている。全体的に見ればマックスの方が速かったと思う。モンツァではスリップストリームを失うと、後ろの相手からポジションを守るためにエネルギーを使わなければならなくなる。彼はそういう状況に陥っていただけだ」

結果的にノリスとピアストリは4位と5位に終わり、フェルスタッペンを攻略することはできなかった。

同士討ちでフェルスタッペン攻略の機会を失った?
ステラは、2人を争わせたことでタイムを失い、フェルスタッペンに仕掛ける可能性を自ら小さくしたのではないかという点については、検証が必要だと認めた。

「互いに戦い始めれば、当然ながらタイムを失う可能性がある」

「では、マクラーレンがフェルスタッペンと戦うために、もっと良い方法があったのか。それについては検証する」

「ピットウォールから見て、それは明白ではなかった。我々としては、自分たちのレース哲学に従い、彼らにレースをさせることの方が重要だと考えた」

マクラーレンはドライバー同士を可能な限り自由に競わせる方針を掲げており、今回もその原則を優先した形だ。

ノリスの芝生走行「見た目より穏やかな出来事」
ノリスが芝生にタイヤを落とした場面についても、ステラは映像を確認した結果、重大な問題とは捉えていない。

「ランドが芝生にタイヤを落とした瞬間、彼は無線で『押し出された』というようなコメントをしていた」

「だが実際に確認してみると、その瞬間の緊張感の中で見えたものより、はるかに穏やかな出来事だったと思う」

「もちろん、これは検証する。そして、このようなレースをどのように行うべきなのかという文脈の中でも検証する」

アンドレア・ステラ マクラーレン F1

ノリス「ピアストリは何も悪くなかったと思う」
レース直後のノリス自身も、無線で示した不満からトーンを変え、ピアストリに問題があったとは考えていないと語った。

「映像を見ないといけない。でも、正直なところ、そうではないと思う。マシンに乗っていると、すべてが本当に一瞬で起きるからね」

「僕が少し左に動いて、彼が右側に戻ってきて、そのあと真っすぐにした。だから、ときには何かされたような感覚になることもある。でも、彼が何か悪いことをしたとは思っていない」

「いい激しいバトルだった。僕たち2人ともいいレースをしたし、楽しかった。僕にとって4位で終えられたのは、今日はいい結果だった」

「だから満足している」

ピアストリもレース後、最終的にポジションを失ったものの、ノリスとの攻防を良いバトルだったと振り返っている。

予選ではピアストリがリアム・ローソンを妨害したことで3番手から6番手へ降格し、ノリスも8番手にとどまったが、決勝では4位と5位まで挽回した。ステラは予選よりもレースでチームの力を引き出せたと評価する一方、モンツァ特有のストレート性能が要求される状況では、上位を走ったメルセデス勢に挑むだけのペースはなかったと認めている。

マクラーレンにとって今回の焦点は、ノリスとピアストリの接触寸前の攻防そのものだけではない。ドライバーを自由に競わせるというチームの基本方針を維持しながら、前方のライバルを攻略するためにどこまで戦略的な介入を行うべきなのか。ステラはイタリアGPでの一件を材料に、そのバランスを改めて検証することになる。