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  • マクラーレンF1 ピアストリをノリス支援に回すべきとロズベルグ「契約が許すなら」

    マクラーレンF1 ピアストリをノリス支援に回すべきとロズベルグ「契約が許すなら」

    マクラーレンF1はシーズン終盤、オスカー・ピアストリをランド・ノリスの支援役に回す可能性を検討すべきだと、2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグが語った。

    ただし、ピアストリの契約にはチーム内で平等に扱われることを保証する条項が含まれている可能性があり、簡単に実行できるものではないとも指摘している。

    それでもロズベルグは、マクラーレンが現F1ワールドチャンピオンであるノリスのタイトル防衛を本気で後押しするのであれば、いずれチームオーダーを含めた対応が必要になるとの考えを示した。

    マクラーレンのアップデートでノリスが追い上げ
    夏休み前後に投入されたアップデートパッケージ以降、マクラーレンは非常に高い競争力を発揮している。

    ノリスはその間に2勝を挙げ、F1スペインGPでも不運なVSC(バーチャル・セーフティカー)がなければ、勝利を狙える可能性があった。

    しかし、ドライバーズ選手権では首位キミ・アントネッリとの差が106ポイントまで広がっており、タイトル獲得の可能性は厳しい状況にある。

    一方、ピアストリは現在、チームメイトのノリスから66ポイント遅れている。この状況から、マクラーレンが残されたタイトルの可能性を最大化するには、2人を完全に自由に戦わせるのではなく、チームとしてノリスを支援する必要が出てくる可能性があるとロズベルグは考えている。

    ピアストリの契約条項が障壁になる可能性
    ただし、ロズベルグはピアストリとの契約そのものが、マクラーレンの選択肢を制限している可能性を指摘した。

    「まず、オスカーの契約には、常にナンバーワンドライバーとして扱われるという条項が入っていることがよくある。だから、それが最初に乗り越えなければならない障害になる。例えば、僕の契約にもそういうものが入っていた」

    ロズベルグ自身もF1ドライバー時代、チーム内での扱いに関する条項を契約に盛り込んでいたという。

    そのため、単純にマクラーレンがピアストリに対してノリスを支援するよう指示できるとは限らない。

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    「マクラーレンはできるだけ早くやるべき」
    一方、契約上の問題がなければ、ロズベルグはマクラーレンがノリスを優先する体制へ移行すべきだと考えている。

    「でも、それ以外の問題がないのであれば、もちろんマクラーレンはできるだけ早くそうするべきだ。ただ、選手権ではまだ少し早い時期でもある」

    「だから、それをいつ始めるべきなのかは分からない。でも、どこかの時点で、そういう方向へ進むことを検討する可能性はあると思う」

    現時点ですぐにピアストリを明確なサポート役とするのは時期尚早としながらも、タイトル争いの状況次第では判断が必要になるという見方だ。

    ロズベルグがノリスを高評価
    ロズベルグがノリスへの支援を提案する背景には、今季のパフォーマンスに対する高い評価もある。

    「それに、ランドは今年、本当に素晴らしい仕事をしている。これまで以上にいいドライビングをしているし、昨日の予選を除けば、マクラーレンでは明らかに一番いい走りをしている」

    「今の彼は完全に上昇傾向にある」

    アントネッリとの106ポイント差を考えれば、ノリスのタイトル防衛は容易な状況ではない。それでもマクラーレンの競争力が高まるなか、ロズベルグは残された可能性を追求するためにも、ピアストリをノリスの支援に回すという選択肢をチームが検討する時期が訪れる可能性があるとみている。

  • マクラーレンF1 ランビアーゼ早期加入へ攻勢 レッドブルに“公開会談”で圧力

    マクラーレンF1 ランビアーゼ早期加入へ攻勢 レッドブルに“公開会談”で圧力

    マクラーレンF1は、レッドブル・レーシングのレーシング責任者であり、長年マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアを務めてきたジャンピエロ・ランビアーゼを予定より早く迎え入れるための動きを加速させている。

    ランビアーゼはマクラーレンのチーフ・レーシング・オフィサーに就任することで合意しているが、レッドブルとの現在の契約は2027年末まで残っている。

    そのまま契約を全うすればマクラーレンへの加入は2028年となるため、マクラーレンは早期解放に向けてレッドブルとの交渉を続けている。

    その駆け引きが表面化したのが、F1スペインGPが開催されたマドリンクだった。土曜日の朝、マクラーレンCEOのザク・ブラウンとランビアーゼは、人目につくパドック内のカフェで会談。その場所選び自体がレッドブルに対するメッセージだった可能性が指摘されている。

    ザク・ブラウンとランビアーゼがパドックで“公開会談”
    マクラーレンはここ数カ月にわたり、ランビアーゼを契約満了前に迎え入れることができないか、レッドブル側と複数回にわたって協議を行ってきた。

    これまでのところ早期解放について合意には至っていないが、スペインGPでは交渉が新たな段階に入ったことをうかがわせる光景が見られた。

    ブラウンとランビアーゼが話をする場所として選んだのは、マドリンクの広大なパドック内にあるカフェだった。しかも、主要な通路のすぐそばにあるテーブルで、フォトグラファーやテレビカメラから簡単に確認できる場所だった。

    人目を避けて話せる場所はいくらでもあったにもかかわらず、2人はあえて目立つ場所で会談した。このため、両者が公然と話をしていることを意図的に示す狙いがあった可能性が高いとみられている。

    すでにランビアーゼのマクラーレン移籍が決まっている以上、レッドブルが2027年末まで契約で拘束し続けることにどれほどメリットがあるのか。マクラーレン側には、そうした状況を公の場で印象づけ、早期解放に向けてレッドブルを動かしたい思惑があるようだ。

    当初2028年の加入予定 マクラーレンは2027年への前倒し狙う
    ランビアーゼのマクラーレン移籍は今年4月に明らかになった。マクラーレンではチーフ・レーシング・オフィサーを務め、チーム代表アンドレア・ステラの直属としてレース運営部門を強化することになる。

    しかし、問題は加入時期だ。

    ランビアーゼとレッドブルとの契約は2027年末までとなっており、早期解放について両チームが合意しなければ、マクラーレンで仕事を始めるのは2028年になる。

    マクラーレンはそこまで待ちたくないと考えており、ここ数カ月にわたってレッドブルとの交渉を続けてきた。

    オランダ紙『De Telegraaf』によれば、ランビアーゼは少なくとも2026年シーズン終了まではレッドブルに残る見通しだという。したがって、マクラーレンへの移籍が実現するのは早くても2027年となる。

    現在の焦点は、2028年まで待つことになるのか、それとも2027年中の加入を実現できるのかという点に移っている。

    マクラーレン ジャンピエロ・ランビアーゼ

    レッドブルはランビアーゼ後任体制をすでに決定
    マクラーレンが早期加入への働きかけを強めている背景には、レッドブルがランビアーゼ退団後の体制をすでに固めつつあることも関係している。

    レッドブルは、アストンマーティンで10年以上にわたって仕事をしてきたトム・マッカローを獲得。2027年からレーシング責任者に就任する予定で、ランビアーゼが担ってきたチーム運営上の役割を引き継ぐことになる。

    また、フェルスタッペンのレースエンジニアについてはトム・ハートが後任を務める予定となっている。

    つまり、ランビアーゼがチームを離れた後を埋める人材はすでに決まっている。マクラーレンは、この状況によって2027年末までランビアーゼをレッドブルに残しておく必要性が以前より低下したと考えているようだ。

    そのため、後任体制が決まった今こそ早期解放について改めて交渉する余地があるとして、レッドブルへの働きかけを強めている。

    フェルスタッペン担当もトム・ハートへの移行開始
    レッドブル側も、ランビアーゼがいずれ離れることを前提に引き継ぎ作業を進めている。

    特にフェルスタッペンのレースエンジニアについては、ハートへの移行がすでに実戦の場で始まっている。

    ハートは2026年の一部のフリー走行でフェルスタッペンのエンジニアを担当しており、この取り組みは次戦F1アゼルバイジャンGPでも継続される予定だ。

    さらに『De Telegraaf』のエリック・ファン・ハーレンによれば、ハートはシーズン終盤のF1アメリカGP、サンパウロGP、ラスベガスGPの3週末で、フェルスタッペンのレースエンジニアを全面的に担当する予定だという。

    単にフリー走行の一部を担当させる段階から、グランプリ週末全体を任せる段階へ移行することになる。

    レッドブルはランビアーゼがまだチームにいる間にハートへ実戦経験を積ませ、フェルスタッペンとの仕事の進め方を確立させることで、将来的な交代をスムーズに進めようとしている。

    レッドブルが重視する後任への引き継ぎ
    一方で、後任が決まったからといって、レッドブルがすぐにランビアーゼを手放すとは限らない。

    レッドブルが重視しているのは、新たに重要な役割を担うハートとマッカローへの十分な引き継ぎだという。

    ハートについては2026年シーズン中から準備を進めることができるが、マッカローの状況は異なる。マッカローがレッドブルに正式加入するのは2027年初頭であり、レーシング責任者としての本格的な引き継ぎを開始できるのもそれ以降となる。

    レッドブルとしては、マッカローが十分な準備をしないまま新しい役割を始めることを避けたい。そのため、ランビアーゼを少なくとも2027年の一定期間まで残し、直接引き継ぎを行わせることも選択肢となる。

    この事情は、マクラーレンが望む早期加入を実現するうえで最大の障壁のひとつとなっている。

    焦点はランビアーゼが「いつ」マクラーレンに移るか
    ランビアーゼのマクラーレン移籍そのものは決まっている。現在の争点は、その時期をどこまで前倒しできるかだ。

    マクラーレンとしては、2028年まで待つのではなく、可能な限り早い段階でランビアーゼをステラ率いる組織に組み込み、レース運営体制の強化につなげたい。

    一方のレッドブルも、ハートをフェルスタッペンの後任レースエンジニアとして実戦投入し始め、マッカローを新たなレーシング責任者として迎える準備を進めるなど、ランビアーゼ退団後を見据えた動きを具体化させている。

    ただし、レッドブルにとって重要なのはランビアーゼを単純に契約満了まで拘束することではなく、後任への引き継ぎをどこまで確実に行えるかという点にある。

    マドリンクのパドックでブラウンとランビアーゼがあえて人目につく形で会談したことは、こうした水面下の交渉が表舞台に出てきた象徴ともいえる。マクラーレンは2028年を待たずにランビアーゼを迎え入れられるのか。今後はレッドブルの引き継ぎ計画と両チームの交渉が、そのタイミングを左右することになりそうだ。

  • マクラーレンF1 ノリスのVSCピット判断を説明「首位を守る選択肢はなかった」

    マクラーレンF1 ノリスのVSCピット判断を説明「首位を守る選択肢はなかった」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、2026年F1スペインGPでランド・ノリスをVSC(バーチャル・セーフティカー)終了間際にピットインさせた判断について説明。「首位を守る選択肢はなかった」と明かした。

    ポールポジションからレースをリードしていたノリスは、勝利が有力視される展開だった。しかし、ランス・ストロールのマシン回収のために導入されたVSCのタイミングに翻弄され、ピットストップ後に5番手まで後退。最終的に3位まで挽回したものの、優勝を逃した。

    VSC発動時にはピット入口を通過
    ノリスは予選で最後のアタックを決め、マドリンクで初開催されたF1スペインGPでポールポジションを獲得。決勝でもスタートでアンドレア・キミ・アントネッリを抑えると、その後はタイヤを管理しながらリードを広げていった。

    レースの流れが変わったのは、ランス・ストロールがマシントラブルによってランオフエリアにマシンを止め、VSCが導入された場面だった。

    アントネッリとマックス・フェルスタッペンはVSCによる減速中にピットストップを行うことができたが、ノリスはその恩恵を受けられなかった。VSCが発動した時点で、ノリスはわずか数秒前にピット入口を通過していたためだ。

    そのためノリスはもう1周してからピットへ向かったが、今度はピットインするタイミングでVSCが終了。通常のレーシングスピードに戻った状況でピットストップを行うことになった。

    さらにピットでは約7秒を要し、ノリスは5番手まで後退した。

    「本来なら何秒もの差をつけて勝てた」
    ノリスはそこから追い上げて3位まで挽回したが、ステラは本来なら勝利できるだけのペースがあったと振り返る。

    「ポールポジションからスタートしてレースをリードし、素晴らしいペースがあった。本来なら何秒もの差をつけて勝てたレースだった。それが最終的には3位になった」

    「現実として、レースには自分たちでコントロールできる要素と、できない要素がある。VSCが出たタイミングは数秒遅すぎた。ランドはすでにピット入口を通過していたからだ」

    「そして今度は数秒早すぎた。ランドがピットに入ったところでVSCが終了してしまった」

    つまりマクラーレンにとっては、VSCの発動があと数秒早ければノリスをすぐにピットへ入れることができ、解除があと数秒遅ければ次の周でもVSC中にタイヤ交換を完了できた可能性があった。

    しかし、実際にはその両方から外れるタイミングとなった。

    ステイアウトしても首位は守れなかった
    一方、VSCが終了するタイミングでノリスをピットへ入れず、そのままコース上に残すという選択肢も考えられた。

    だが、ステラによれば、それでも首位を維持することはできなかったという。

    ノリスが使用していたミディアムタイヤにはすでにグレイニングが発生しており、最後まで走り切ることは現実的ではなかった。そのため、一時的に首位を維持したとしても、その後に通常のレーシングコンディションでピットストップを行う必要があった。

    「そのまま走り続ければ、すでにグレイニングが出ている中古のミディアムで走ることになる。そして、どこかの段階でピットに入れば、すでにハードタイヤへ交換したドライバーたちの後ろに出ることになる。そうなればシャルル・ルクレールと似たようなレースになっていただろう」

    「実際にはミディアムの方が早く終わるので、我々はもっと早くピットに入れる必要があった。つまり、首位を維持するための選択肢は本当になかった」

    VSC中にハードタイヤへ交換したライバルに対し、ノリスだけが中古ミディアムでステイアウトすれば、後のピットストップで大きなタイムロスを負う。マクラーレンは、VSCが解除されようとしていてもタイヤ交換を行うことが最善だったと判断した。

    「信じられないほど不運だった」
    ステラは今回の結果について、戦略そのものではなく、VSCのタイミングというチームがコントロールできない要素が決定的だったとの認識を示した。

    「タイミングが信じられないほど不運だったことを受け入れる必要がある。それでも、全体としてはポジティブなレースだった」

    「我々がコントロールできなかった要素が結果を左右した。しかし、自分たちでコントロールできた部分については、今後に向けて非常に楽観的になれる」

    実際、マドリンクでのマクラーレンのペースはライバルからも高く評価された。

    レース終盤にノリスを抑えたフェルスタッペンは、ノリスについて「僕たち全員より速かった」と認め、アントネッリもノリスは「勝利に値していた」と語った。

    アンドレア・ステラ(マクラーレン)

    異なるコースでも示したマクラーレンの競争力
    マクラーレンにとって結果以上に重要なのは、特性の異なるマドリンクでも高い競争力を発揮できたことだった。

    ノリスはハンガリーGPとオランダGPで勝利を挙げており、マドリンクでもポールポジションを獲得して決勝をリード。VSCがなければ勝利できた可能性が高いレース内容だった。

    「本当に不運だった。ただ、ザントフォールトやハンガリーとは非常に異なるレイアウトで、マクラーレンがこれほど競争力を発揮できたというポジティブなメッセージを受け取りたい。今後に向けて非常に心強い」

    ステラは最後に、今回の不運を冗談交じりに表現した。

    「これは受け入れるしかない。今日はレースに勝つには速すぎたんだ。もう少し遅ければ、ピットに間に合っていたのだから!」

    「我々は笑顔で受け止めているし、残りのシーズンを楽しみにしている」

    F1スペインGPでノリスが勝利を逃した背景には、VSC発動時にはすでにピット入口を通過し、次の周にピットへ向かうとVSCが終了するという数秒単位の不運があった。中古ミディアムでステイアウトしても後にピットストップが必要だったため、マクラーレンには首位を守れる現実的な選択肢はなかったというのがステラの説明だ。それでも、異なる特性を持つマドリンクで優勝を狙える速さを示したことは、残るF1シーズンに向けて大きな手応えとなった。

  • マクラーレンF1 スペインGPでMCL40に小規模アップデート Hウイングは撤去

    マクラーレンF1 スペインGPでMCL40に小規模アップデート Hウイングは撤去

    マクラーレンは、2026年F1第14戦スペインGPでMCL40に小規模なアップデートを投入する。一方、前戦イタリアGPのモンツァで導入した「Hウイング」は、マドリンクの特性に適さないことから使用しない方針だ。

    F1がマドリードで開催されるのは1981年以来45年ぶり。今回の舞台となるマドリンクは完全な新設サーキットであり、各チームには過去のレースデータが存在しない。マクラーレンにとっても、金曜日のフリー走行で路面のグリップレベルやタイヤの挙動をいかに早く把握できるかが重要になる。

    過去データのないマドリンク シミュレーターを軸に準備
    マドリンクはF1にとってまったく新しい市街地サーキットだ。既存の開催地とは異なり、マクラーレンには過去のレースから得られたデータがなく、セットアップを比較するための基準も存在しない。そのため、走行するすべてのラップが学習の機会となり、最初のフリー走行から重要な意味を持つ。

    マクラーレンは主にシミュレーターを使ってスペインGPへの準備を進めてきた。シミュレーションによってMCL40のセットアップの出発点を定めるとともに、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリもマドリンクのレイアウトへの習熟を進めている。

    ただし、実際にMCL40をコースへ送り出さなければ分からない要素も多い。実際のグリップレベル、タイヤの挙動、エネルギーデプロイメント、オーバーテイクの可能性、そして週末を通じた路面の進化などは、実走データによって確認する必要がある。

    過去のデータがないからこそ、マクラーレンには素早く学習し、それに応じてマシンを適応させる能力が求められる。シミュレーターで得た情報とサーキットで収集したデータを早い段階で照合し、セットアップを煮詰めながら実際の勢力図を把握していくことになる。

    また、走行プログラムを効率的に消化すると同時に、セッションごとに明らかになる新たな情報にも対応しなければならない。未知のサーキットでは、マシンそのものの速さだけでなく、チームの適応速度も結果を左右する要素となりそうだ。

    MCL40に小規模アップデート モンツァのHウイングは使用せず
    マクラーレンはスペインGPで、MCL40に小規模な空力アップデートを投入する予定だ。

    その一方で、イタリアGPで登場したHウイングは使用しない。モンツァの高速・低ドラッグ特性に合わせて採用されたエアロパーツであり、マドリンクのコース特性には適していないと判断された。

    マクラーレンでパフォーマンス担当テクニカルディレクターを務めるマーク・テンプルは、完全な新設サーキットで戦うことには大きなチャンスがある一方で、相応のリスクも伴うと説明する。

    「マドリードの完全に新しいサーキットに挑むことは、大きなチャンスであると同時に、大きなリスクでもある。レイアウト、エネルギーデプロイメント、空力面での要求についてはシミュレーションから確かなデータを得ているが、最大の不確定要素は、この新しいアスファルトでタイヤがどのように機能するかだ」

    「金曜日のフリー走行でコースのグリップレベルと路面コンディションを理解することが、その後の週末を組み立てるうえで非常に重要になる」

    マクラーレン スペイングランプリ

    「狭くブレーキング安定性が必要」マドリンクの特徴
    未知数なのは新しいアスファルトだけではない。テンプルによれば、マドリンクそのものもドライバーにとって難しいレイアウトになるという。

    低速区間では縁石を正確に使うことが求められる一方、いくつかの高速コーナーも存在し、そこでドライバーやマシンの差が表れる可能性がある。

    「サーキット自体は狭く、特にコーナーへ進入する際には非常に高いブレーキング時の安定性が求められる。また、低速セクションでは縁石に対する高い精度が必要で、それに加えていくつかの重要な高速コーナーもある」

    こうした組み合わせにより、最初のフリー走行では限界を探る作業も難しくなりそうだ。ノリスとピアストリはMCL40の挙動を確認すると同時に、グリップの限界を探りながら、新しいコースそのものを学習していかなければならない。

    空力とメカニカルの改良を継続「一歩ずつ前進」
    マクラーレンはマドリードでも、ここ数戦で進めてきたMCL40の継続的な開発を続ける。

    空力面とメカニカル面の双方で段階的な改良を進めており、今回の小規模アップデートもその一環となる。トップチーム間の差が依然として小さい状況では、わずかな改善でも結果を左右する可能性がある。

    「MCL40に対する継続的な空力面とメカニカル面の改良によって、我々は一歩ずつ前進している。ただ、トップチーム間の差は依然として非常に小さい」

    「新しいサーキットでは、最も素早く適応したチームが報われる。我々の目標は、各セッションを重ねるごとに自信とパフォーマンスを高め、日曜日の重要な場面で可能な限り最高の結果を手にすることだ」

    過去の実走データが存在しないマドリンクでは、金曜日からどれだけ早くシミュレーションとの相関を取り、MCL40を最適な状態へ近づけられるかが鍵になる。小規模なアップデートも投入するマクラーレンにとって、F1スペインGPはマシン性能だけでなく、チームの対応力も試される週末となる。

  • マクラーレンF1 ノリスとピアストリの同士討ちを容認「レースをさせる方が重要」

    マクラーレンF1 ノリスとピアストリの同士討ちを容認「レースをさせる方が重要」

    マクラーレンは、2026年F1イタリアGP終盤にランド・ノリスとオスカー・ピアストリが激しく4位を争った場面について、チームオーダーを出さなかった判断を擁護した。アンドレア・ステラ代表は、同じマシン、同じタイヤ条件で走る2人の争いに介入する必要はなかったと説明している。

    一方で、2人を自由に戦わせたことで前を走るマックス・フェルスタッペンを攻略するチャンスを失った可能性については、レース後に検証する方針を示した。

    ノリスが芝生に押し出されたと訴えた際の攻防についても確認したが、ステラは「その瞬間に見えたほど深刻なものではなかった」との見解を示している。

    ノリスとピアストリが終盤に4位を巡って激突
    マクラーレン勢は、予選でピアストリが3番手から6番手に降格し、ノリスが8番手からスタート。決勝ではともに順位を上げ、終盤には3番手を走るフェルスタッペンの直後まで迫った。

    48周目、ノリスがまずピアストリをかわしたものの、ピアストリが反撃。その後も2人の接近戦は続き、51周目には大きな緊張が走った。

    ノリスはクルバ・グランデでピアストリのアウト側から仕掛けたが、ピアストリが左へ寄せてポジションを守ったことで、ノリスは左側のタイヤを芝生に落とした。

    ノリスは無線でピアストリにコース外へ押し出されたと訴え、マクラーレンもピアストリに対してクリーンなバトルを続けるよう伝えた。

    それでもチームは順位を固定することなく、2人に自由に争わせた。最終的にはノリスがファイナルラップで4位を奪い返し、ピアストリが5位でチェッカーを受けた。

    ステラ「介入する必要はないと考えた」
    アンドレア・ステラは、マクラーレンがチームオーダーを出さなかった理由について、ノリスがフェルスタッペンを追うためには、まず自力でピアストリを抜く必要があったと説明した。

    「この状況では、ランドがマックスに挑戦するチャンスを得るためには、まずオスカーを抜けなければならないと考えていた」

    「そして2台は同じタイヤで、タイヤの使用年数も同じ、マシンも同じだった。だから、レースの自然な展開に介入する必要はないと考えた。我々は彼らにレースをさせた」

    「それが正しい判断だったと考えている。全体的に見ればマックスの方が速かったと思う。モンツァではスリップストリームを失うと、後ろの相手からポジションを守るためにエネルギーを使わなければならなくなる。彼はそういう状況に陥っていただけだ」

    結果的にノリスとピアストリは4位と5位に終わり、フェルスタッペンを攻略することはできなかった。

    同士討ちでフェルスタッペン攻略の機会を失った?
    ステラは、2人を争わせたことでタイムを失い、フェルスタッペンに仕掛ける可能性を自ら小さくしたのではないかという点については、検証が必要だと認めた。

    「互いに戦い始めれば、当然ながらタイムを失う可能性がある」

    「では、マクラーレンがフェルスタッペンと戦うために、もっと良い方法があったのか。それについては検証する」

    「ピットウォールから見て、それは明白ではなかった。我々としては、自分たちのレース哲学に従い、彼らにレースをさせることの方が重要だと考えた」

    マクラーレンはドライバー同士を可能な限り自由に競わせる方針を掲げており、今回もその原則を優先した形だ。

    ノリスの芝生走行「見た目より穏やかな出来事」
    ノリスが芝生にタイヤを落とした場面についても、ステラは映像を確認した結果、重大な問題とは捉えていない。

    「ランドが芝生にタイヤを落とした瞬間、彼は無線で『押し出された』というようなコメントをしていた」

    「だが実際に確認してみると、その瞬間の緊張感の中で見えたものより、はるかに穏やかな出来事だったと思う」

    「もちろん、これは検証する。そして、このようなレースをどのように行うべきなのかという文脈の中でも検証する」

    アンドレア・ステラ マクラーレン F1

    ノリス「ピアストリは何も悪くなかったと思う」
    レース直後のノリス自身も、無線で示した不満からトーンを変え、ピアストリに問題があったとは考えていないと語った。

    「映像を見ないといけない。でも、正直なところ、そうではないと思う。マシンに乗っていると、すべてが本当に一瞬で起きるからね」

    「僕が少し左に動いて、彼が右側に戻ってきて、そのあと真っすぐにした。だから、ときには何かされたような感覚になることもある。でも、彼が何か悪いことをしたとは思っていない」

    「いい激しいバトルだった。僕たち2人ともいいレースをしたし、楽しかった。僕にとって4位で終えられたのは、今日はいい結果だった」

    「だから満足している」

    ピアストリもレース後、最終的にポジションを失ったものの、ノリスとの攻防を良いバトルだったと振り返っている。

    予選ではピアストリがリアム・ローソンを妨害したことで3番手から6番手へ降格し、ノリスも8番手にとどまったが、決勝では4位と5位まで挽回した。ステラは予選よりもレースでチームの力を引き出せたと評価する一方、モンツァ特有のストレート性能が要求される状況では、上位を走ったメルセデス勢に挑むだけのペースはなかったと認めている。

    マクラーレンにとって今回の焦点は、ノリスとピアストリの接触寸前の攻防そのものだけではない。ドライバーを自由に競わせるというチームの基本方針を維持しながら、前方のライバルを攻略するためにどこまで戦略的な介入を行うべきなのか。ステラはイタリアGPでの一件を材料に、そのバランスを改めて検証することになる。

  • マクラーレンF1 イタリアGPに「Hウイング」投入 低ドラッグ仕様で3連勝狙う

    マクラーレンF1 イタリアGPに「Hウイング」投入 低ドラッグ仕様で3連勝狙う

    マクラーレンF1は、2026年F1第13戦イタリアGPに向け、MCL40にモンツァ専用のロードラッグ仕様を投入する。最大の注目点は、チームが「Hウイング」と名付けたウイングの実戦投入だ。

    マクラーレンはハンガリーGPとオランダGPで2連勝を飾り、MCL40の競争力を大きく引き上げてきた。しかし、長いストレートと低ダウンフォースが特徴のモンツァでは要求される性能が大きく異なる。

    チームは直近2戦の勢力図がそのままイタリアGPに持ち込まれるとは考えておらず、ロードラッグ性能とエネルギーマネジメントを週末の重要課題に挙げている。

    モンツァ専用のロードラッグ仕様と「Hウイング」
    マクラーレンは金曜日から2台のMCL40に小規模な空力アップデートを用意するほか、すでに申告済みの高速サーキット向けパーツも投入する。

    その中でも特徴的なのが「Hウイング」だ。名称は2010年のマクラーレンで話題となった「Fダクト」を意識したものとなっている。

    当時のFダクトは、開口部付近に配置されていたスポンサーのロゴに由来して「F」の名称が定着した。今回のHウイングも同様の発想で、その機構が設置される側に掲出されるエティハド(Etihad)の「H」にちなんで命名された。

    さらにマクラーレンは、モンツァに合わせて新しいロードラッグ仕様のリアウイングも投入する。予選までに複数の空力およびロードラッグ仕様を比較し、最終的なパッケージを決定する計画だ。

    2連勝でもモンツァでは勢力図が変わる可能性
    マクラーレンはハンガリーGPとオランダGPで連勝しているが、チームはモンツァで同じ優位性を期待できるとは考えていない。

    マクラーレンのテクニカルディレクター(エンジニアリング)を務めるニール・ホールディは、直近の結果に手応えを示す一方、イタリアGPはまったく異なる性格の戦いになると警戒する。

    「我々は2連勝を挙げてモンツァにやって来る。今シーズンに積み重ねてきた進歩がコース上で結果として報われたことは、チーム全員にとって素晴らしいことだった。再び勝てたことは最高の感覚だったし、さらにプッシュし続けようというチーム全体のモチベーションを高めてくれた」

    「ここ数戦で速いマシンを持っていたことは分かっているが、我々は何も当然だとは考えていない。ここは最近のサーキットとは大きく異なり、ハンガリーやオランダで見られたものとは必ずしも一致しない勢力図になる可能性がある」

    ライバルもシーズン中の開発を続けており、マクラーレン自身もMCL40の性能をさらに引き出す必要がある。

    「ライバルたちは空力とパワーユニットの開発を続けてくる。我々が再び先頭で戦うためには、セットアップやエネルギーマネジメントから、ドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることまで、あらゆる細部を完璧に実行しなければならない」

    ロードラッグだけではないモンツァ特有の難しさ
    モンツァはF1カレンダーを代表する高速サーキットであり、長い全開区間に対応するためドラッグを可能な限り減らす必要がある。

    一方で、単純にリアウイングを寝かせればいいわけではない。高速域からの強烈なブレーキングではマシンの安定性が必要となり、シケインでは縁石を使いながら方向転換するための良好な動的特性も要求される。

    ホールディは次のように説明する。

    「モンツァは独特のチャレンジを突きつけてくる。長いストレートがあるため、ドラッグを減らすことが非常に重要になる」

    「大きなブレーキングゾーンでは安定性が求められ、シケインでは優れた動的挙動が必要になる。また、ラップ全体を通じてエネルギーにも制限があるため、どのように最適な形で回収し、展開するかを理解することがプラクティスでの重要なポイントになる」

    マクラーレン F1 イタリアグランプリ

    エネルギー戦略が生む「ヨーヨー効果」
    2026年F1マシンにとって、モンツァではパワーユニットの電気エネルギーをどこで回収し、どこで使用するかも大きなテーマになる。

    長いストレートが続くため、ライバル同士で異なるエネルギー戦略を採用した場合、同じラップの中でも場所によって加速性能の優劣が入れ替わる可能性がある。

    「その結果、オーバーテイクのマネジメントが特に重要になる。エネルギーの回収と展開について異なるアプローチを取れば、ラップの場所によって各マシンの優位性が入れ替わる『ヨーヨー効果』が生じる可能性がある」

    これは予選の一発の速さだけでなく、決勝でのバトルにも直結する要素となる。ロードラッグ化による最高速、ブレーキング時の安定性、シケインでの挙動、そしてエネルギー展開をどのように両立させるかがMCL40の競争力を左右する。

    新リアウイングを比較して予選仕様を決定
    マクラーレンは事前シミュレーションに加え、金曜日の走行で複数の仕様を比較する。

    「先頭集団の差は依然として非常に小さい。したがって、イベント前のシミュレーションとシミュレーター作業の精度が、しっかりとしたベースラインを作るうえで極めて重要になる。そこからクリーンなプラクティスセッションを重ね、マシンを微調整してマシンとドライバーのパッケージを最大限に引き出す必要がある」

    「今週末は、新しいロードラッグ仕様のリアウイングを含め、競争力を発揮するために必要だと考えているものを持ち込んだ。Hウイングも初めて使用する。それとともに、いくつかの小規模な空力オプションとロードラッグオプションを評価し、予選に向けた最終仕様を決定する」

    MCL40には「まだ引き出せる性能がある」
    マクラーレンにとってイタリアGPは、ハンガリーとオランダで示したMCL40の進歩が、性格のまったく異なる高速サーキットでも通用するのかを測る重要な一戦となる。

    ホールディは、現在のパッケージだけでもまだ性能を引き出せる余地があり、さらに今後のグランプリに向けたアップデートも予定されていると明かした。

    「全体として、MCL40にはまだ引き出せるパフォーマンスがあることが分かっている。すでに持っているパッケージを最大限に活用することでもそうだし、今後のレースに予定しているさらなるアップデートによっても可能だ」

    また、イタリアGPではOKXとのパートナーシップを記念してMCL40のカラーリングにも変更が加えられる。基本デザインを維持しながらOKXロゴ周辺などに専用グラフィックを採用し、ドライバーはオールブラックのレーシングスーツを着用する。

    2連勝という勢いを持ってモンツァに乗り込むマクラーレンだが、低ダウンフォースという特殊な環境では直近の優位性がリセットされる可能性もある。新しいロードラッグ仕様のリアウイングとHウイング、そして2026年F1で重要性を増したエネルギーマネジメントをどこまで最適化できるかが、3連勝を狙うMCL40の鍵となる。

  • マクラーレンF1 イタリアGPとスペインGPでOKX特別カラーのMCL40を投入

    マクラーレンF1 イタリアGPとスペインGPでOKX特別カラーのMCL40を投入

    マクラーレンF1は、オフィシャル・プライマリー・パートナーのOKXとのコラボレーションによる特別カラーを発表した。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがドライブするMCL40に採用され、今週末のF1イタリアGPと、その後マドリードで開催されるスペインGPの2戦で使用される。

    今回のデザインは、2022年に始まったマクラーレン・レーシングとOKXのパートナーシップを記念したものだ。

    両者はこれまでにも複数の特別カラーやキャンペーンを展開しており、今回のMCL40はその歩みそのものをテーマとしている。

    モンツァとマドリードの2戦で特別カラーを採用
    マクラーレンとOKXの協力関係は2022年にスタートした。それ以来、F1マシンのカラーリングを活用した企画をはじめ、ファン向けのさまざまなキャンペーンやコンテンツを展開してきた。

    特別カラーでの取り組みとしては、2023年シンガポールGPの「ステルスモード」、2024年モナコGPでアイルトン・セナを称えた「McLaren SENNA presented by OKX」、さらに2025年モナコGPとスペインGPで採用されたリビエラをイメージしたカラーリングなどがある。

    今回発表されたデザインは、そうした過去の企画を踏まえながら、マクラーレンとOKXが築いてきたパートナーシップそのものに焦点を当てたものとなる。

    特別カラーは、モンツァで開催されるイタリアGPの週末を通じてノリスとピアストリのMCL40に施され、その後、マドリードで開催されるスペインGPでも再び使用される。

    マクラーレン イタリアグランプリ

    マクラーレン「パートナーシップの大きな価値を示している」
    マクラーレン・レーシングの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるルイーズ・マキューエンは、OKXとの特別カラー企画が毎年大きな反響を呼んできたと語った。

    「OKXとのカラーリング・キャンペーンは、毎シーズンのハイライトになっています。象徴的だった2024年のSENNAデザインは、現在までで最も成功したキャンペーンのひとつであり、世代を超えたファンから世界的に非常に大きな反響を得ました」

    「この成功は、我々のパートナーシップが持つ大きな価値を示しています。今年、モンツァとマドリードで、これまで両者がともに成し遂げてきた成果を祝えることを大変うれしく思います」

    マクラーレン スペイングランプリ

    OKX「このデザインはパートナーシップそのものを表現」
    OKXの最高マーケティング責任者(CMO)であるハイダー・ラフィークは、2022年に提携を開始した当時から現在までのマクラーレンの変化を振り返り、今回のデザインには両者が歩んできた道のりが込められていると説明した。

    「2022年にマクラーレン・レーシングとパートナーシップを結んだとき、チームは中団にいて、その先にどんな道が待っているのか、誰にとっても明確だったわけではありません。それでも我々は、このチームがどこまで成長できるのかを信じていました」

    「シンガポールからモナコ、そしてリビエラまで、我々が一緒に作り上げてきたそれぞれのカラーリングは、その道のりにおける異なる瞬間を象徴してきました」

    「今回のデザインが表現しているのは、パートナーシップそのものです。ここまでたどり着くために何が必要だったのか、そしてそれがチーム、我々のブランド、さらにはこの物語を見守ってきたファンにとって何を意味するのかを表しています」

    2022年の提携開始から、マクラーレンとOKXの特別カラーは各シーズンの節目を象徴する企画として展開されてきた。2026年はモンツァとマドリードの2戦でMCL40の外観を変更し、両者が築いてきたパートナーシップの歩みを表現する。

  • マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンF1 MCL40の新兵器 エンケイ製新型ホイールでタイヤ昇温改善

    マクラーレンは、F1オランダGPでMCL40に投入したアップデートによって単にダウンフォースを増やしただけではない。新たに導入されたフロントホイールとホイールカバーには、フロントタイヤをより効率的に温める狙いがあり、ザントフォールトでの予選パフォーマンスを支える重要な要素となった。

    ランド・ノリスがハンガリーGPに続く2連勝を飾ったことで、マクラーレンの開発が明確な成果を上げていることが示された。

    MCL40は夏休み前後に投入されたアップデートによって不足していた空力荷重を補うと同時に、タイヤを適切な作動温度へ持ち込むという別の課題にも手を入れていた。

    高速かつ長いコーナーで強さを増したMCL40
    マクラーレンの強みはスペインGPですでに表れ、スパではそれまでで最も競争力の高いMCL40が姿を見せていた。

    重要なのは、単純にコーナリングスピードが高いことではない。高速コーナーが長く続き、マシンに継続的な空力荷重が求められる状況になるほどMCL40の競争力が高まる傾向がある。アップデートによって追加されたダウンフォースが、そうした区間で大きな効果を発揮している。

    その改善幅はマクラーレン自身の予想を上回るものだった。特に高速セクションで示した強さはチーム内部の期待以上であり、MCL40は高ダウンフォースを要求されるサーキットで基準となる存在へと変化した。

    しかし、ザントフォールトでの勝利を読み解くうえでは、空力アップデートだけに注目するのは十分ではない。オランダGPでは、フロントタイヤの温度管理を目的とした新しいホイールも投入されていた。

    新フロントホイールの狙いはタイヤ温度
    マクラーレンのテクニカルディレクターのひとりであるニール・ホールディは、オランダGPを前に今回のアップデートについて説明していた。

    「フロア後部に小さな変更を加え、少し追加のダウンフォースを生み出せるようにした。それに加えて、リアブレーキダクトにもいくつか小規模な変更を施している」

    「さらに新しいフロントホイールも導入した。これによってタイヤにより多くの温度を発生させることができる。これらのアップデートはラップタイムという意味では大規模なものではないが、僕たちの競争力を少し高める助けになる」

    この変更が重要なのは、MCL40が今季抱えてきた弱点のひとつに直接働きかけるものだからだ。

    モナコで露呈したフロントタイヤの課題
    アンドレア・ステラ代表はオランダGP後、ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも高いダウンフォースを要求するため、MCL40の特性に適していたと説明した。

    一方で、同じく高ダウンフォース仕様が用いられるモナコでは状況が異なっていた。ステラはモナコGPを前に前年のように優勝争いへ加わることへの期待を隠していなかったが、実際のMCL40は期待されたほどのパフォーマンスを発揮できなかった。

    原因は単純な低速コーナーへの適性ではない。モンテカルロではセットアップの自由度が比較的高く、他のサーキットほど妥協を強いられない。それでもマクラーレンは必要なダウンフォースを十分に確保できず、さらにフロントタイヤを素早く適正温度に入れることにも苦戦した。

    フロントタイヤを十分に機能させられなければグリップを引き出すことができない。同様の傾向はオーストラリアGPや中国GPでも確認されており、MCL40はグレイニングにも苦しんでいた。

    つまりマクラーレンにとって、空力性能の向上とタイヤ温度の管理は別々のテーマではなく、マシン全体のパフォーマンスを引き出すために同時に解決すべき課題だった。

    ザントフォールト予選で表れた効果
    ザントフォールトでも週末を前に懸念されていたのが、フロントタイヤにグレイニングが発生する可能性だった。実際にはグレイニングは比較的限定的だったが、より重要だったのはドライコンディションでタイヤを素早く適正温度まで上げられるかどうかだった。

    その違いは予選Q3最後のアタックで明確に表れた。

    マクラーレンはアタックに入るとすぐにタイヤを機能させ、ランド・ノリスがポールポジションを決めるタイムを記録した。一方、フェラーリをはじめとする一部のライバルはタイヤを十分に温めることに苦戦し、さらに1周を費やして温度を作る必要があった。

    わずかな違いに見えるが、予選ではタイヤをいつピークの状態に持ち込めるかがアタックの成否を左右する。特にザントフォールトのようにタイヤへの要求が厳しいサーキットでは、その差が直接ラップタイムへつながる。

    2026年に再び開発領域となったホイール
    この改善の背景には、F1の技術規則におけるホイール開発の変化もある。今季からホイールの開発自由度が再び広がったことで、各チームにとってタイヤの温度と作動圧力を管理するための新たな開発領域となっている。

    ホイールの構造には、空気の流れ方をコントロールするための空間や形状を設けることができる。それによってホイール周辺を流れる空気を受動的に制御し、ホイール自体の温度、さらにタイヤへ伝わる熱を調整することが可能になる。

    タイヤを直接変更することはできなくても、その周囲の熱環境をコントロールすることで、タイヤを狙った作動領域へ近づけられるというわけだ。

    マクラーレン F1

    エンケイ製フロントホイールと閉じたホイールカバー
    マクラーレンはザントフォールトで、まさにこの領域へ変更を加えた。

    変更されたのは、長年のパートナーである日本のエンケイが製造するフロントホイールだ。新仕様ではホイール内部の温度をより高く維持し、その熱をタイヤへ伝えることでフロントタイヤのウォームアップを促進することを狙っている。

    同時にホイールカバーも変更され、従来より閉じた形状が採用された。外部から入ってくる冷たい空気の影響を抑えることでホイールが冷却されすぎるのを防ぎ、より高い温度を維持しやすくしている。

    興味深いのは、変更がフロントだけに限定されたことだ。

    リアは変更せず 前後で異なる温度管理
    リアホイールについては従来仕様が維持された。これはザントフォールトで各チームがリアタイヤの消耗にも苦しんでいたことと無関係ではない。

    週末を通じて強い風が吹き、マシンは高速コーナーでスライドしやすい状況にあった。こうした場面ではダウンフォースが大きいほどマシンを安定させやすいが、スライドが増えればリアタイヤへの負荷も高まる。

    さらに低速コーナーからの立ち上がりではリアタイヤに大きなトラクション負荷がかかる。そのためリア側については、フロントと同じように積極的に温度を上げる必要性はなかった。

    マクラーレンは前後で異なるタイヤの要求を見極め、ウォームアップに課題を抱えるフロント側だけに変更を集中させたことになる。

    空力だけではないマクラーレンの開発
    MCL40がハンガリーとザントフォールトで示した速さは、高ダウンフォース型サーキットとの相性だけで説明できるものではない。

    夏休み前後のアップデートによって空力荷重そのものを増やす一方、マクラーレンはホイールという細かな領域にも手を入れ、タイヤをより早く適正な作動温度へ入れるための改善を進めている。

    新しいフロントホイールだけで大幅なラップタイム短縮が得られるわけではない。しかし、予選の1周でフロントタイヤを素早く機能させられること、そしてマシンが本来持つダウンフォースを確実にグリップへ変換できることは、僅差のF1では大きな意味を持つ。

    ザントフォールトでの勝利は、MCL40が単にダウンフォースを増しただけではなく、空力とタイヤ温度管理を組み合わせることで、マシン全体の性能をより安定して引き出せるようになったことを示す結果でもあった。

  • マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

    マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

    オスカー・ピアストリは、2026年F1シーズンでマクラーレンのMCL40から安定してパフォーマンスを引き出すことに苦戦している。オランダGPでも一時3番手を走りながら、最終的には6位まで後退した。

    マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、ピアストリが抱える問題について、心理的なものではなく、低グリップ状態のマシンに自身の自然なドライビングスタイルを適応させる必要があるという「純粋に技術的」な課題だと分析している。

    MCL40への適応に苦しむピアストリ
    オランダGPの週末は、ピアストリが最後にF1で勝利してからちょうど1年という節目でもあった。2025年はドライバーズタイトル争いを繰り広げながらシーズン終盤に勢いを失い、2026年には新世代マシンへの対応という新たな課題に直面している。

    ザントフォールトではチームメイトのランド・ノリスが優勝。ノリスは今季これでグランプリ2勝、スプリント1勝となった一方、ピアストリはここまで表彰台2回にとどまっている。

    特にハード寄りのタイヤコンパウンドでは、マクラーレンの2人がMCL40からパフォーマンスを引き出す方法に違いが見られる。ピアストリは昨年タイトル獲得に迫ったときの速さを見せる場面もあるものの、スティント後半になるとペースが低下するケースが目立っている。

    オランダGP決勝では、ピアストリはジョージ・ラッセルの隙を突く見事なオーバーテイクを決め、ハードタイヤで3番手を走行した。しかし、2セット目のハードタイヤに交換した後はペースが低下。フェラーリ勢にも先行を許し、最終的には6位でフィニッシュした。

    オスカー・ピアストリはF1オランダGPで一時3番手を走行したものの、最終的には6位に後退した

    低グリップでは自然なドライビングスタイルの変更が必要
    ステラは、こうしたピアストリの特徴は2025年シーズンにも確認されていたと説明した。

    「昨年すでにオスカーについて分かっていたことだが、技術的なドライビングという観点では、例えば昨年のメキシコやオースティンで見られたように、マシンのグリップレベルが低い場合、彼は自分のドライビングの仕方、考え方、そして期待するものを適応させる必要がある」

    「それには少し頭を使う必要があり、その結果としてコンマ数秒を失う。純粋な本能だけでドライブするのではなく、ある意味で状況を頭の中で処理しなければならないからだ。本来なら、自分が予想したことがそのまま起きる状態で走れる」

    ピアストリの場合、マシンの要求に合わせるため、本来持っている自然なドライビングスタイルを変えなければならない場面があるという。

    「だから、自分の自然なドライビングスタイルをマシンが要求するものに適応させなければならないケースのひとつだと思う。したがって、これはドライビングと技術面の領域にある問題だ」

    「心理的なものが関係しているとは思っていない。これは純粋に技術的なものだ。実際、今週末はオスカーが競争力のあるラップタイムを出しているところも見られた」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    2026年型F1マシンへの適応と序盤2戦DNSの影響
    2026年世代のF1マシンは2025年型とは大きく異なる。さらにピアストリはシーズン開幕から2戦連続でDNSとなり、実戦データを蓄積する機会を失った。

    新レギュレーション下では、ドライバー自身もエネルギーデプロイメントの最適な使い方やタイヤの扱い方を学ぶ必要がある。その状況でグランプリ2戦分の経験を得られなかったことも、ピアストリの適応を難しくした要因のひとつと考えられる。

    ただし、ステラはオランダGPで起きたすべてをピアストリのドライビングに帰するべきではないとも強調した。

    ピアストリはラッセルをオーバーテイクした後、一度はメルセデスを引き離すことに成功していた。しかし、ラッセルのピットストップをカバーするためにタイヤ交換を行った際、マクラーレン側の作業が遅れたことで再びラッセルの後方に戻ることになった。

    「レースではオスカーに影響した要因が2つあったと思う。ひとつはチーム側の責任だ。ラッセルをカバーするためにピットインしたとき、実際にはピットストップが遅かったためラッセルにポジションを奪われた。これはチームの責任であって、オスカーの責任ではない」

    2セット目のハードタイヤを機能させられず
    もうひとつの大きな問題が、2セット目のハードタイヤだった。

    「そしてハードタイヤでの2回目のスティントでは、このタイヤを機能させることができなかった。ずっと非常に、非常にグリップが低い領域にとどまっていた。最初のスティントでは見られなかったことだ」

    「だから、我々には取り組まなければならないことがいくつかある」

    ステラは同時に、2026年F1の上位争いが極めて僅差になっていることも、ピアストリの結果をより厳しいものにしていると指摘する。

    「ただ、それに加えて言っておきたいのは、今のF1は少なくとも3チームがコンマ1秒以内にいる状況だということだ。だから、何かひとつでも最適化されていなければ、順位という意味では非常に大きな損失になる可能性がある」

    「最適化できていなければ、今は6位になってしまう。その意味では非常に残酷だ」

    ステラは改善を評価「さらに良くなる」
    それでもステラは、オランダGPの週末を通じてピアストリに改善が見られたことを前向きに評価している。

    「だから、オスカーと一緒にあらゆる改善の可能性について取り組み続けるだけだ。今週末に見られた進歩には満足しているし、シーズンの残りではさらに改善していくと確信している」

    2025年にはF1タイトル争いの中心にいたピアストリだが、2026年は新世代マシンへの適応という別の難題に直面している。ただ、ステラが強調するように、それは自信や心理状態の問題ではなく、低グリップ時のMCL40にドライビングを合わせるという技術的な課題だ。

    トップチーム間がコンマ1秒単位で争う現在のF1では、そのわずかな適応の遅れが表彰台争いから6位まで順位を落とす結果にもつながる。ピアストリがMCL40の挙動に自身のドライビングを合わせ、より本能的に速さを引き出せるようになるかが、シーズン後半の巻き返しを左右するポイントとなりそうだ。

  • マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

    マクラーレン F1オランダGPで新リアウイング投入 「折れ目状のライン」に注目

    マクラーレンは、2026年F1第12戦オランダGPにリアウイング周辺のアップデートを投入した。ザントフォールトの高いダウンフォース要求に対応するため、リアウイングのエンドプレート形状を見直し、マシン後部全体の空力効率を高めることを狙った変更となっている。

    今回のアップデートで注目されるのは、単純にリアウイング単体のダウンフォースを増やすのではなく、リアブレーキダクト周辺の空力パーツやディフューザーを含めた後部の気流を整える考え方だ。

    ハンガリーGP仕様との比較では、エンドプレート外側の輪郭や後端部に細かな変更が確認できる。

    リアウイングのエンドプレート形状を変更
    マクラーレンがオランダGPに持ち込んだリアウイングでは、エンドプレート外側の表面形状が変更されている。

    特に目を引くのが、スポンサーロゴ付近を横方向に走る折れ目状のラインだ。ハンガリーGPで使用された仕様と比べると、そのカーブがより明確になり、表面の立体的な処理が強調されている。

    さらに下側では、エンドプレート後端のアンダーカット部分も再形成された。小さな形状変更ではあるものの、F1マシンの空力ではこうした部分が周辺の気流構造に影響を及ぼす。

    重要なのは、この変更をリアウイングだけで切り離して考えないことだ。

    現在のF1マシンでは、リアタイヤ、ブレーキダクト、ディフューザー、ビームウイング、リアウイングが互いに影響しながらマシン後部の気流を形成する。そのため、エンドプレートのわずかな形状変更も、後方へ流れる空気をどのように処理するかという全体設計の一部となる。

    リアタイヤ周辺の乱流をコントロール
    リアタイヤは高速で回転することで複雑な乱流を発生させる。特にタイヤ周辺からフロアやディフューザー方向へ入り込む気流は、マシン後部の空力性能を不安定にする要因となる。

    マクラーレンはリアブレーキダクト周辺に配置されたウイングレットとリアウイングのエンドプレートを組み合わせ、こうした気流を管理している。

    今回変更されたエンドプレートの表面形状も、その流れを整えるための要素と考えられる。リアタイヤから発生する乱れた空気を適切な方向へ導き、リアウイング周辺で形成される上向きの流れ、いわゆるアップウォッシュをコントロールする狙いがある。

    アップウォッシュを適切に形成できれば、マシン後方の圧力場にも影響し、ディフューザーから排出される気流の働きを助けることができる。

    ただし、エンドプレートの変更だけでフロアのダウンフォースが直接的かつ大幅に増えると捉えるのは適切ではない。実際にはリアウイング、ブレーキダクト、ディフューザーなどが相互作用するなかで、マシン後部全体の流れを最適化することが目的となる。

    マクラーレン MCL40 オランダグランプリ

    ザントフォールトに求められる高ダウンフォース
    ザントフォールトは、長いストレートで最高速を追求するタイプのサーキットではない。高速コーナーとバンクを備えた連続区間が多く、安定したダウンフォースがラップタイムを左右する。

    一方で、単純に大きなリアウイングを装着すればいいわけではない。ドラッグが増えればストレートでの速度を失うため、各チームには必要なダウンフォースを確保しながら空気抵抗を抑える効率が求められる。

    マクラーレンが細部までリアウイング周辺の気流を調整しているのも、この空力効率を高めるためだ。エンドプレートで発生する気流をリアタイヤやブレーキダクト周辺の流れと結び付けることで、リアエンド全体からより安定した性能を引き出そうとしている。

    パワーユニット使用状況にも余裕
    一方、FIAのオランダGP技術代表レポートによれば、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリはともに今季3基目の内燃エンジン(ICE)と3基目のターボチャージャー(TC)を使用している。

    主要な内燃機関系コンポーネントについて、両者の使用状況に大きな違いはない。一方、電装系では差があり、記事掲載時点でピアストリが2基目のコントロールエレクトロニクスを使用しているのに対し、ノリスはすでに4基を使用している。

    マクラーレンにとってオランダGPのリアウイング変更は、目立つ大型パーツを追加するタイプのアップデートではない。しかし、リアタイヤからディフューザー、リアウイングへとつながる気流をひとつのシステムとして扱い、細部を最適化していく現在のF1空力開発を象徴する変更と言える。

    ザントフォールトでは高いダウンフォースと空力効率の両立が重要になる。マクラーレンが投入したリアエンドの改良が、予選と決勝でどこまでパフォーマンスにつながるかが注目される。