ジョージ・ラッセル F1イタリアGPで2位「VSCの正解は誰にも分からなかった」

ジョージ・ラッセル F1イタリアGPで2位「VSCの正解は誰にも分からなかった」

ジョージ・ラッセルは、2026年F1第13戦イタリアGP決勝を2位で終えた。

序盤にトップへ浮上し、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリやマックス・フェルスタッペンと勝利を争ったが、終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)を境に形勢が逆転。母国グランプリを制したアントネッリに勝利を譲る結果となった。

ラッセルはVSCでステイアウトし、アントネッリはピットインしてフレッシュタイヤを装着。メルセデスが2台の戦略を分けたことで、最後はタイヤの差を生かしたアントネッリがラッセルを攻略した。勝利を目前で逃したラッセルは悔しさを認めながらも、チームの判断を支持し、自身のパフォーマンスにも前向きな手応えを示した。

序盤からトップ争い「すべてを出し切った」
ラッセルはスタート直後こそポールポジションのピエール・ガスリーに先行を許したものの、2周目にトップを奪取。その後はフェルスタッペン、さらに19番グリッドから急浮上してきたアントネッリを交えた激しい首位争いを展開した。

「勝利まであと少しだったのに、それを達成できなかったのは悔しい。でも、そういうこともレースではある。僕はすべてを出し切った」

「それでもチームにとっては素晴らしい結果だし、母国レースで勝ったキミには心からおめでとうと言いたい。僕自身にとってもチームにとっても、この週末から持ち帰れるポジティブなことはたくさんある。週末を通して素晴らしいペースを示したし、レースでも最後まで懸命に戦った」

アントネッリが序盤から猛烈な追い上げを見せていることは、ラッセルも早い段階で認識していた。

「ほんの数周が終わった時点で、彼がもう5番手あたりにいるのを見た。まるでグリップのペナルティなんてまったくないようだった。どうやったのか分からないくらいだ。明らかに素晴らしい走りだった」

アントネッリと何度も首位を入れ替える
レース中盤にはラッセルとアントネッリによる直接対決となり、何度も首位が入れ替わった。ラッセルはエネルギーマネジメントを駆使しながら、攻守のタイミングを計っていたという。

「僕はあのバトルで何をする必要があるのか、かなり正確に分かっていた。守るためのエネルギーマネジメントも、いつ攻めて仕掛けるべきかもね。このレースに向けて、その部分はかなり準備していた」

一方で、3番手にはフェルスタッペンが迫っており、メルセデスにとってはチームメイト同士を自由に争わせ続けることが難しい状況でもあった。

「キミとマックスとのバトルは本当に楽しかった。同じ形で最後まで戦い続けられたらよかったんだけどね」

アントネッリとの直接対決についても、ラッセルは「お互いにハードにレースをしたけど、常にリスペクトがあった。勝利を懸けてホイール・トゥ・ホイールで戦えたのは楽しかった」と振り返った。

VSCで明暗「誰にも正解は分からなかった」
勝負を大きく動かしたのが、終盤に導入されたVSCだった。

ハードタイヤを履いていたラッセルはコースに残った一方、摩耗したミディアムタイヤを履いていたアントネッリはピットイン。フレッシュタイヤに交換したアントネッリは失ったポジションを取り戻し、最後はラッセルを抜いてトップに立った。

「VSCは間違いなくレースが変わった瞬間だった。あの時点では何が正しい判断なのか、誰にも分からなかったと思う。ピットに入るのか、ステイアウトするのか、どちらが正解なのかは誰にも分からなかった。たぶん今になっても、どちらがベストだったのかは分からない」

ラッセル自身はピットインを考えておらず、後続もステイアウトすると予想していた。

「僕は考えなかった。実際、後ろのドライバーたちもステイアウトすると思っていた。でも、ピットウォールでは僕たちのバトルを見ながらかなり緊張していたと思うし、2台を別々の戦略にすることには満足していたんじゃないかな」

「マックスも争いに加わっていたから、チームの立場では両方のシナリオをカバーすることになる。あの状況で2台の戦略を分けたのは、僕たちができる最善の判断だった」

「VSCがなければどうなっていたか興味深い」
赤旗中断時にハードタイヤへ交換していたラッセルは、そのまま最後まで走り切れると考えていた。対してアントネッリとフェルスタッペンはミディアムを履いていたため、レース中盤には自分が有利な立場にいると感じていたという。

「最後まで走るなら、ハードが間違いなくベストなタイヤだった。最後まで行けると思っていたし、マックスとキミがミディアムなのを見たときはかなりいい気分だった。彼らの方が僕よりデグラデーションが大きくなると分かっていたからね」

VSCが出る直前にはラッセルがトップを走る時間帯もあり、タイヤの違いが終盤にどう作用するのかは分からないままだった。

「VSCが出る前には、2周か3周くらい僕がトップを走っていた。チームは当然、キミと僕が争うことを望んでいなかった。だからVSCがなかったらレースがどう展開していたのか、すごく興味深かったと思う」

ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

アントネッリを称賛「素晴らしい仕事をした」
戦略によって勝敗が分かれた形にはなったものの、ラッセルはアントネッリの勝利そのものには惜しみなく賛辞を送った。

「もちろんキミには大きな祝福を送りたい。信じられない結果だ。レース序盤に順位表を見たら、もう4番手か5番手あたりまで来ていた。その時点で彼が僕たちとの争いに加わってくることはすぐに分かった」

「今日はキミが素晴らしい仕事をした。彼の走りから何かを差し引くものは何もない」

勝利は逃したが、ラッセルにとっては自身の状態を取り戻したことも大きな収穫だった。サマーブレイク前には厳しいレースが続いていたが、後半戦に入ってからは再び上位争いを続けている。

「サマーブレイク前は厳しい流れだったことは隠すことでもない。でも、今日キミが何を達成したかとは切り離して、自分自身の結果を見れば、また表彰台に戻って、レースを通して勝利を争うことができた」

「もちろん今日は勝ちたかった。でも、シャットダウン前と比べれば、僕のパフォーマンスははるかによくなっている。自分のパフォーマンスには満足している」

選手権は66ポイント差「逆転は極めて難しい」
イタリアGPを終え、ランキング首位のアントネッリとラッセルとの差は66ポイントに拡大した。

ラッセルはタイトル争いについて、現時点では逆転を意識するのではなく、残るレースで可能な限り勝利を積み重ねることに集中すると語った。

「キミが主導権を握っているのは間違いないし、それに値する走りをしている。僕自身は逆転とか、そういうことはまったく考えていない。1レースずつ集中して、毎週末を最大限に生かそうとしているだけだ」

「彼は信じられないくらいうまくやっている。この差をひっくり返すのは極めて難しい。だから今の状況を受け入れて、ここからは楽しみながら、できるだけ多くのレースで勝ちたい」

勝利にはあと一歩届かなかったラッセルだが、メルセデスはアントネッリとのワンツーフィニッシュを達成。ラッセル自身も、サマーブレイク前の不振から抜け出し、再び勝利を争える状態に戻ったことをモンツァで示した。