カテゴリー: メルセデスF1

  • アストンマーティンF1の2028年PU変更構想 メルセデスとレッドブルは消極的

    アストンマーティンF1の2028年PU変更構想 メルセデスとレッドブルは消極的

    アストンマーティンが将来的なF1パワーユニット供給先の変更を検討するなか、メルセデスは同チームへの再供給に消極的な姿勢へと転じているという。ローレンス・ストロールはメルセデスとレッドブル・パワートレインズに接触したと報じられているが、いずれも前向きな反応を示していないとされる。

    アストンマーティンは2026年からホンダF1とワークス体制を構築したものの、新レギュレーション初年度は厳しい戦いが続いている。

    オランダGPで待望のアップデートが投入された後も、ホンダF1のパワーユニットによってラップあたり約1秒を失っているとの見方もあり、ストロールは2028年以降を視野に代替案を探っているという。

    メルセデスはアストンマーティンへの再供給に消極的
    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、2026年シーズン開幕戦オーストラリアGPを前に行われたチーム代表会見で、メルセデスとしてはアストンマーティンとのパートナーシップを2026年以降も継続する用意があったと説明していた。

    メルセデスは、アストンマーティンの前身であるフォース・インディア時代の2009年からパワーユニットを供給してきた。しかし、ローレンス・ストロールはカスタマーチームではなく事実上のワークスチームになる道を選択し、ホンダF1との提携に踏み切った。

    一方、アルピーヌは自社製パワーユニットによるワークス体制を終了し、メルセデスとのカスタマー契約を締結した。

    「アストンマーティンは長年にわたってメルセデスのカスタマーであり、パートナーでもあった。現在もロードカー部門にはエンジンやその他のコンポーネントを供給している。だから、アストンマーティンとの関係を終わらせるというのはメルセデス側の決定ではなかった」とヴォルフは語っている。

    「彼らはホンダ、そしてパートナーのアラムコとともにワークスチームになるという意識的な決断をしたのだと思う。だから我々は彼らを手放さなければならなかった」

    しかし、その後の状況は変化したようだ。

    イタリア版Motorsport.comのジャーナリスト、フランコ・ヌニェスによれば、現在のヴォルフはアストンマーティンとの新たなパートナーシップに積極的ではなく、レッドブル側も供給契約を結ぶ「意思」を示していないという。

    メルセデスは次のレギュレーションサイクルでカスタマーチームを2チームに限定したい意向とされており、ここからアストンマーティンを供給先に追加することは、その方針と一致しない。

    ストロールは2028年を視野に他メーカーへ接触
    ヌニェスは、ホンダF1側も現状を受けて大幅な改善が必要だと認識したと説明する。

    「私が把握しているところでは、ホンダはクオリティ面で大きな飛躍が必要だと認識した」

    「リスクとしてあったのは、ローレンス・ストロールが別のエンジンを探しに行く可能性だ。2027年ではない。すでにマシンの開発段階に入っており、すぐにエンジンを変更することは問題外だからだ。しかし、2028年を見据えた動きだ」

    「ストロールはあらゆるドアをノックしてみたが、他のメーカー側にはエンジンを供給しようという意思がそれほどなかった」

    仮にアストンマーティンがホンダF1との関係を終了し、新たな供給元を確保できなかった場合、レギュレーション上の仕組みによってパワーユニットメーカーが割り当てられる可能性もある。

    ヌニェスによれば、その場合には供給チーム数が最も少ないメーカーとしてアウディが候補になるという。ただし、アウディのパワーユニットについても現時点では競争力の面で大きく遅れているとの見方を示している。

    「レギュレーション上では、アストンマーティンにエンジンを供給する役割はアウディに回ることになる。供給しているチーム数が最も少ないメーカーだからだ。ただし、ドイツのエンジンもかなり遅れている」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    メルセデスとレッドブルへの接触はホンダへの圧力だった可能性
    一方で、ストロールがメルセデスやレッドブル・パワートレインズと接触した背景には、実際のパワーユニット変更だけでなく、ホンダF1にプレッシャーをかける狙いがあったとの見方も出ている。

    その動きが一定の効果をもたらした可能性もある。ホンダF1では最近、F1プロジェクトの責任者を務めてきた角田哲史氏が退任し、副責任者だった深尾洋一郎氏が10月から後任を務めることが発表された。

    ヌニェスは、シーズン終了を待たずに行われる今回の人事変更は、ホンダF1のさくら拠点における組織文化にも変化をもたらす可能性があると指摘する。

    「これは非常に重要なニュースだと思う」

    「通常、彼らがシステムや組織構造を変更するのはシーズン終了後だ。チャンピオンシップがまだ続いている段階で責任者を交代させたという事実は、明確な戦略変更を示している」

    さらに、前任者のマネジメントスタイルにも言及した。

    「前任の責任者は、あらゆることを完全にコントロールしたい人物だったと言われていたことも覚えておくべきだ。副責任者を昇格させることで、組織内部のエネルギーを解放し、新たなアイデアの波を生み出すことができるかもしれない。それはホンダにとってプラスになる可能性がある」

    アストンマーティンとホンダF1の契約は、2026年から始まったばかりだ。フェルナンド・アロンソもホンダF1の施設、人材、プロジェクトへの投資を挙げて「100%」信頼していると強調している。一方で、現在のパフォーマンス不足が長期化することへの懸念から、ストロールが2028年以降に向けた選択肢を探っているとの報道は続いている。

    かつてアストンマーティンとの関係継続に前向きだったメルセデスも、現在はカスタマー数を絞る方針から再提携に消極的とされ、レッドブル・パワートレインズも供給に前向きではないという。ホンダF1が組織変更と今後の開発によって性能差をどこまで縮められるかは、アストンマーティンの長期的なF1計画を左右する重要な要素になりそうだ。

  • アントネッリはカート史上トップ3の才能とロズベルグ「世代を代表する逸材」

    アントネッリはカート史上トップ3の才能とロズベルグ「世代を代表する逸材」

    ニコ・ロズベルグは、アンドレア・キミ・アントネッリについて、カート史上でもトップ3に入るドライバーだったと評価し、将来的には世代を代表するF1ドライバーになる可能性があると語った。

    2016年のF1ワールドチャンピオンであるロズベルグは、メルセデスで2年目のシーズンを戦うアントネッリのパフォーマンスに強い印象を受けている。

    20歳のアントネッリは現在、ジョージ・ラッセルに81ポイント、ルイス・ハミルトンに101ポイントのリードを築いており、史上最年少F1ワールドチャンピオンとなる可能性を残している。

    ロズベルグ「カート史上トップ3のひとり」
    アントネッリはフォーミュラカーへ進む前、長年にわたってカートでレースを続け、2019年にはロズベルグのチームでも走っていた。

    2021年にフォーミュラカーへ転向したアントネッリだが、ロズベルグによれば、カート時代に残した実績と才能は歴代でも最高レベルに位置するという。

    「当時、彼は私のカートチームに所属していた。そして、カート界でこれまで見てきたなかでも最高のドライバーのひとりだった」とロズベルグはSky F1に語った。

    「歴代の偉大なドライバーはみんなカートをやってきた。セナ、ハミルトン、フェルスタッペンもそうだ」

    「キミはカート史上トップ3に入るドライバーのひとりだった。だから、彼の才能は世代を代表するレベルなんだ。今年、それを目の当たりにしている」

    「彼のドライビング、そして毎日のように見せるスピードは本当に信じられない。とにかく、いつでも速いんだ」

    2026年F1マシンもアントネッリを後押し
    一方でロズベルグは、アントネッリが今季これほど圧倒的な速さを発揮できている背景には、2026年の新世代F1マシンも多少影響していると分析する。

    アントネッリはルーキーイヤーだった2025年、グラウンドエフェクト世代のマシンへの対応に苦戦する場面もあった。

    「今年はマシンが少しドライブしやすくなったとも思う。それによって、彼は世代を代表する才能をより早く発揮できるようになった」

    「もしマシンが昨年と同じままだったら、おそらくもう少し難しかっただろう。昨年のマシンはより極端で、少しドライブするのが難しかったからね」

    それでもロズベルグは、現在の成功の中心にあるのはマシンではなく、アントネッリ自身の能力だと強調した。

    「いずれにしても、遅かれ早かれ彼はそこに到達していただろう。基本的には彼自身の世代を代表する才能によるものだと思う」

    「ただ、レギュレーションが少し助けになって、これほど圧倒的な強さを見せるチャンスを与えた面はあると思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    初タイトルへのプレッシャーをロズベルグが警戒
    ただし、アントネッリのタイトル獲得に向けて状況を大きく変える可能性がある要素も残っている。それが、初めてF1ワールドチャンピオンを争うなかで受けるプレッシャーだ。

    ロズベルグは、マクラーレンやフェラーリのアップデートによってアントネッリが集団のなかで戦う機会が増えれば、「徐々にパニックが大きくなる」可能性があると指摘した。

    マクラーレンはランド・ノリスによって直近3戦のうち2戦で勝利。F1スペインGPでも、バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングが悪くなければ勝利する可能性があった。

    「マクラーレンは調子がいい。最悪のシナリオは、マクラーレンが突然さらに抜け出し始め、そこにフェラーリの改善も加わって、キミが少しずつ集団のなかへ戻ってしまうことだ」

    ロズベルグは、自身が2016年にF1ワールドチャンピオンを獲得した際にも似た経験をしたと振り返った。

    「これは私がタイトルを獲得した年に経験した状況と似ている。私は少しずつ勢いを失い始め、ドライビングも以前ほどうまくいかなくなった。最後の4レースでは、徐々に集団のなかへ戻っていった」

    「メキシコでもそうだった。予選では最後の瞬間まで苦しんでいた。Q3では最後の最後まで6番手だった」

    「それらのレースでは、どこかの時点で毎回2番手ではなく3番手になっていたし、そこにはマックス・フェルスタッペンがいて、毎レースのように私に襲いかかってきた」

    「だから、もし彼がほんの少しでも集団のなかへ戻るようになれば、リスクは高まる。そうなると、その状況に対して徐々にパニックが大きくなっていくんだ」

    アントネッリは2026年シーズン、圧倒的なスピードを武器にF1タイトル争いをリードしている。ロズベルグはその才能をカート時代から高く評価する一方、初のワールドチャンピオン獲得に向けた終盤戦では、ライバルの追い上げとプレッシャーへの対応が重要になるとみている。

  • フレデリック・ベスティ メルセデスF1リザーブの苦悩「本当に残酷」

    フレデリック・ベスティ メルセデスF1リザーブの苦悩「本当に残酷」

    メルセデスF1のリザーブドライバーを務めるフレデリック・ベスティが、自身の置かれている状況の厳しさを率直に語った。24歳のデンマーク人ドライバーは、幼いころから追い続けてきたF1のレギュラーシート、そして将来的なF1ワールドチャンピオンという夢を今も諦めていない。

    しかし現在のベスティの仕事は、メルセデスでタイトル獲得を目指すキミ・アントネッリとジョージ・ラッセルを支えることだ。

    F1の現場にいながら、自らグランプリでマシンを走らせることはできない。その状況が、次第に大きな精神的負担になっているという。

    「本当に、本当に、本当に残酷だ」
    リザーブドライバーという役割は、ベスティにとってますますつらいものになりつつある。それでもメルセデスでの仕事には全力で取り組み、F1マシンをドライブするわずかなチャンスを得るために努力を続けている。

    母国デンマークの『Ekstra Bladet』のインタビューで、ベスティは現在のフラストレーションを隠そうとはしなかった。

    「本当に、本当に、本当に残酷だ」

    さらに難しいのは、自分自身がいつかその座を手に入れたいと願っている一方で、現在はメルセデスの2人のレギュラードライバーを支えることに仕事の大部分を費やさなければならない点だ。

    「僕の持っているポジティブなエネルギーはすべて、キミかジョージがワールドチャンピオンになるのを助けるために使っている。もちろん、それは難しい。僕自身、8歳のころからワールドチャンピオンになることを夢見てきたからね」

    それでも、ベスティは現状を受け入れて諦めたわけではない。現在はレギュラードライバーの陰にいる立場だが、チャンスが訪れたときに備え、最大限の準備を続けている。

    そのなかでも、メルセデスのシミュレーターでの作業は重要な役割を占めている。

    「僕はこのツールで懸命に仕事をしているし、誰よりもよく理解している」

    フレデリック・ヴェスティ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    2週間ごとにショブリンへ「いつ乗れる?」
    ベスティは、実際のF1マシンを次にいつドライブできるのかを確認するため、チームにも継続的に働きかけている。

    「2週間に一度、『ショブ』(トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリン)に、いつまたマシンを運転できるのか聞いている。必要なチャンスを作り出すために、できる限りプッシュしているんだ」

    だが、何よりつらいのは、グランプリの現場まで足を運びながら、自分自身はレースに参加できないことかもしれない。

    ベスティは笑みを浮かべながらも、F1が常に目の前にあることが、逆に待ち続ける苦しさを増幅させていると明かした。

    「僕はF1にいるのが嫌いなんだ。笑ってしまうかもしれないけど、それが一番強く感じていることだ」

    「F1はそこにある。でも、手が届かない。あるいは、ほとんど手が届かない。その『ほとんど』という部分が、僕に希望を持たせ続け、信じさせ続けている」

    「その間、22台のマシンがぐるぐる走っているのをただ立って見ていて、自分自身は運転することを許されていない。それ以上に残酷なことなんて、僕には想像できない」

    2028年のF1レギュラーシートを目指すベスティ
    ベスティは2027年もメルセデスのリザーブドライバーを務める見通しだ。それでも2028年に向けてチャンスが生まれることを期待し、F1のレギュラーシート獲得を目指し続けている。

    その目標は、子どものころからまったく変わっていない。

    「僕は人生ずっと、F1のワールドチャンピオンになることを夢見てきた。プロのレーシングドライバーになることを夢見ていたわけじゃない」

    「夢はF1なんだ」

    F1のすぐそばまでたどり着きながら、その最後の一歩を踏み出せないベスティ。メルセデスを支える重要な役割を果たしながらも、本人が求めているのはリザーブという立場ではなく、自らグリッドに並び、F1で勝利とタイトルを争う機会である。

  • メルセデスF1 2027年開発に軸足 ヴォルフ「愚かにライバルへポイントを与えるな」

    メルセデスF1 2027年開発に軸足 ヴォルフ「愚かにライバルへポイントを与えるな」

    メルセデスF1は現在、コンストラクターズ選手権で2番手に145ポイント差をつける大きなリードを築いている。ドイツのチームはすでに次のシーズンに向けた準備を本格化させているが、チーム代表のトト・ヴォルフは2026年のタイトルが決まったとは考えていない。

    新レギュレーション時代の序盤を圧倒してきたメルセデスF1は、すでにリソースの一部を2027年型マシンの開発へと移行している。

    一方でW17には今季最後となるアップデートも予定されており、ヴォルフはジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリに対し、不必要な接触でライバルにポイントを与えないよう釘を刺した。

    メルセデスF1はすでに2027年型マシンの開発を本格化
    グラウンドエフェクト時代に苦しい時期を経験したメルセデスF1だが、2026年は一転してシーズンを支配している。コンストラクターズ選手権ではフェラーリに大差をつけ、ドライバーズ選手権でもキミ・アントネッリが首位に立っている。

    メルセデスは今季ここまで行われた14戦のうち10戦で勝利を挙げている。ライバルも追撃を続けており、特にマクラーレンとフェラーリはメルセデスとの差を縮めるため、2026年型マシンに相次いでアップデートを投入してきた。

    メルセデスは5月のF1カナダGPで大規模なアップデートを導入したほか、来月マレーシアのセパンで行われるF1バーレーンGPでも新たなパッケージを投入する予定だ。

    その間にもサーキット特性に合わせた細かな変更は行ってきたが、開発ペースそのものはフェラーリやマクラーレンほど積極的ではなかった。

    そして、この傾向はシーズン終了まで続くことになりそうだ。トト・ヴォルフは、すでにチームのリソースの一部を2027年プロジェクトへ移していることを明らかにした。

    「2027年の開発はかなり前、夏よりも前から始まっている」

    「夏の間に来年へ向けてリソースを移した。そして、それは選手権での我々のポジションとは関係なく、計画通りに進んでいる」

    W17には今季最後の「強力なアップデート」
    それでも、メルセデスF1が2026年の戦いを緩めるわけではない。チームはマレーシアで「強力」と表現するアップデートを投入する予定だ。

    ただしヴォルフは、新しいパーツを投入したからといって、必ずしもサーキット上で期待通りのパフォーマンス向上につながるとは限らないと認める。ファクトリーで得られたデータと、実際のコース上での挙動との相関が問題になることもあるからだ。

    「マレーシアでは強力なアップデートを投入できると思っている。その前にまずバクーを乗り越えなければならないし、その後どうなるかを見ていく。ただ、新しいものがサーキットで期待したほど機能しないこともある」

    「だから、うまく機能してくれることを願っている。それによってアップデートという面でも他のチームと同じレベルに到達できればと思う。ただ、それは実際に走らせるまで分からない」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    145ポイント差でもヴォルフはタイトル確定と考えず
    コンストラクターズ選手権で145ポイントのリードを持つメルセデスだが、ヴォルフはタイトル獲得を当然のものとは考えていない。

    フェラーリは依然として大きな差を埋める必要がある一方、マクラーレンもランド・ノリスが2勝を挙げて勢いを取り戻している。F1スペインGPでも、VSCのタイミングが不利に働かなければ、ノリスが3勝目を手にしていた可能性があった。

    「リタイアすることもあるし、クラッシュすることもある。それが2戦続けて起きれば、それまで十分に見えていたリードが突然そうではなくなる。まだ8戦か9戦が残っているからだ」

    「私としては、他のチームが選手権を獲得することが数学的に現実的ではなくなる、あるいは不可能になるまでは、ポイントのことを考えるべきではないと思っている。それまでは毎週の仕事に集中し、可能な限り最高の仕事をするだけだ」

    フェラーリ同士の接触寸前を受けドライバーに警告
    ヴォルフはF1イタリアGPのスタートで起きたフェラーリ勢の一件についても言及した。

    シャルル・ルクレールはレース後、1周目のターン2でチームメイトのルイス・ハミルトンをコース外へ押し出すべきではなかったと認めている。

    ヴォルフは、チームメイト同士でこのような状況を作ることに明確な否定的見解を示した。

    「シャルル自身が認めた。だから今なら私も意見を言えるが、2コーナーでチームメイトをコース外へ押し出すことは受け入れられない」

    しかし、メルセデス自身も同じレースの終盤に似たような事態に陥る寸前だった。

    タイヤが大きく摩耗したジョージ・ラッセルにキミ・アントネッリが追いつき、2人がコース上で争う状況になった。

    アントネッリはターン2の外側に落ちたタイヤかすに片輪を乗せ、そのままワイドになった。結果的に、ルクレールに押し出されたハミルトンが通ったのと同じグラベルエリアを横切ることになった。

    「残り3周か4周のところで、2人のドライバーの間にはかなり怖い瞬間があった。我々もあのような展開になるとは予想していなかった。ジョージのタイヤが完全に終わっていて、キミの方が1秒速かったからだ」

    「彼らがあのように争うことを想定していたか? あれは1台がグラベルに入って終わっていてもおかしくなかった。そうなれば、最終的にフェラーリがそう見えたように、我々もあっという間に愚か者に見えていただろう。その境界線は非常に薄い」

    「愚かにポイントを与えてはいけない」
    アントネッリとラッセルには、W17のマシンとパワーユニットにもう一段階のアップデートが用意されている。しかし、それが2026年シーズン最後の本格的な開発になる。

    「キミとジョージには、マシンとエンジンでもう一度アップデートがある。ただ、先ほど言ったようにリソースは今や2027年に向けられているので、それが最後になる」

    「それでもマクラーレンがどれだけ強いかは見てきたし、フェラーリもすべてを最適化できればそこにいる。我々としては、愚かな形でライバルにポイントを与えないことだ」

    メルセデスF1は大きなリードを築きながら、すでに2027年型マシンへ開発の重点を移し始めている。それでも2026年の戦いは終わっておらず、最後のアップデートを控えるW17で確実にポイントを積み重ねることが求められる。特にラッセルとアントネッリにとっては、チーム内バトルで不必要なリスクを冒さないことも、タイトル獲得へ向けた重要な課題となる。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP勝利を呼んだメルセデスの「秘密の暗号」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP勝利を呼んだメルセデスの「秘密の暗号」

    F1スペインGPでアンドレア・キミ・アントネッリが挙げた勝利の裏には、メルセデスがVirtual Safety Car(VSC)の発動を見越して使った「秘密の暗号」があった。わずか1秒ほどの時間を稼ぐための事前準備とドライバーの対応が、マドリンクでの勝敗を左右した。

    アントネッリの勝利にはVSCという幸運が味方したことは間違いない。しかし、単純にタイミングに恵まれただけではなかった。

    メルセデスはランス・ストロールのマシンがストップした直後からVSCの可能性を予測し、アントネッリに通常以上にペースを落とさせていた。

    VSC発動前にアントネッリが稼いだ「1秒」
    決定的な場面は14周目だった。レースエンジニアから黄旗について知らされたアントネッリは、ターン18からターン20にかけて意図的にペースを落とし、VSCが発動された場合に備えた。

    13周目と比較すると、アントネッリはターン19を29km/h低い速度で通過。ストロールのマシンが止まっていたターン20のブレーキングポイントにも24km/h低い速度で到達しており、かなり早い段階でアクセルを戻していた。

    同じ黄旗区間でマックス・フェルスタッペンは、ターン19をアントネッリより15km/h速く通過。ターン20のブレーキングポイントでも18km/h速く、アクセルを戻したタイミングもアントネッリより遅かった。

    さらにアントネッリは、黄旗区間を抜けてグリーンフラッグが提示された後も、すぐには加速しなかった。

    メルセデスのピットウォールでは、正式なVSC発動前からレースがニュートラル化される可能性が高いと判断していた。その情報をレースエンジニアのピーター・ボニントン、通称“ボノ”がアントネッリへ伝えていた。

    メルセデスが使った「秘密の暗号」
    メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、チームがこうした状況に備えてドライバーとの間にコードを設定していることを明かした。

    「レース中にセーフティカーが出た場合、ピットに入る可能性があることをドライバーに知らせるため、我々は秘密のコードを使っている」

    「ただ、他のチームにそのコードが何を意味するのか知られないようにしている。そのため、毎週変更している」

    今回も、そのコードが重要な役割を果たした。

    「黄旗が出て、ボノがそれを確認した。キミは実際に少しペースを落とし、さらに1秒ほど稼いだ。おそらく……それがなくてもピットには入れたと思う。ただ、その1秒によって可能になった」

    「彼のオンボードを見れば分かるが、キミにとってピットに入るのは決して簡単ではなかった。そして彼が自分のピットボックスに止まろうとしているまさにその瞬間、タイヤが運ばれてきていた。あの短い時間の中で実行するのは難しいピットストップだった」

    アントネッリはVSCが発動された時点ですでにピット入口のすぐ近くまで来ていた。

    仮に事前に稼いだ約1秒がなかったとしても、白線を越える直前でピットへ飛び込めた可能性はある。しかし、そのわずかな余裕によってアントネッリには判断する時間が生まれ、同時にメルセデス側もピットストップの準備を整えることができた。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    わずか50秒でドライバーとピットが連動
    黄旗が提示されてからVSCが正式に発動されるまでは35秒。そしてVSC発動からアントネッリがメルセデスのピットボックスに到着するまでは、さらに15秒しかなかった。

    しかも、チームがしなければならなかったのはアントネッリをピットへ呼び込むことだけではない。

    交換用タイヤを用意し、メカニックを配置する必要があり、さらにメルセデスはアントネッリだけでなくジョージ・ラッセルもピットインさせることを決断していた。メカニックにも早い段階で準備の指示が出されていたことになる。

    ショブリンは、こうした状況を想定した準備は決勝日の朝から行われていたと説明する。

    「日曜の朝は、どんなインシデントが起きても対応できるようにすることに集中していた。レースの各段階でVSCやセーフティカーが出た場合に何をするのか、それを確実に把握しておく。これは普通のことで、すべてのチームが同じようにやっている」

    ただし、事前に戦略を決めていても、実際にその状況が訪れた際に迷いが生じることはあるという。

    「計画があったとしても、『本当にこれをやるのか?』というような議論が生じる状況はある」

    「今回良かったのは、きちんと計画があったことだ。キミは自分がVSCのウインドウに入っていることを分かっていた。そしてインシデントが起きると、ボノがすぐにそれを確認した」

    追い抜きが極めて難しいマドリンクでは、このVSCを利用したピットストップがレースの流れを大きく変えた。アントネッリはミディアムからハードへ交換して実質的な首位に浮上し、そのままF1スペインGP優勝につなげた。

    VSCという偶然の要素だけでなく、その発動を予測したピットウォール、暗号を理解して即座にペースを調整したアントネッリ、そして短時間でタイヤを準備したメカニックまで、メルセデスの一連の連携が勝利を引き寄せる重要な要素となった。

  • メルセデスF1代表 アントネッリの攻撃性に苦笑「この白髪は彼のせい」

    メルセデスF1代表 アントネッリの攻撃性に苦笑「この白髪は彼のせい」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、2026年F1タイトル争いで大きなリードを築くアンドレア・キミ・アントネッリについて、その速さを生み出している攻撃性に苦笑しつつ、シーズン終盤には予想外の出来事によって状況が一変する可能性があると警戒している。

    F1スペインGPで今季8勝目を挙げたアントネッリは、ランキング2位のチームメイト、ジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけて首位に立っている。

    それでもヴォルフは、タイトルが決まったかのように考えることを避け、「ブラックスワン」のような予測困難な事態を念頭に置く必要があると語った。

    「白線を越えるな」と何度も念押し
    アントネッリはF1スペインGP終盤、十分なリードを築いていたにもかかわらずプッシュを続け、エンジニアのピーター・ボニントンに無線でウォールに接触した可能性を伝え、マシンにダメージがないか確認を求めた。

    ヴォルフによれば、こうした限界まで攻め続ける姿勢はアントネッリにとって珍しいものではないという。

    「ちょうど彼の父親とその話をしていたんだが、それがキミなんだ」

    「我々は彼に、白線を越えてはいけないと何度も頭に叩き込まなければならなかった。2024年のモンツァのFP1でも、白線を越えてクラッシュしたからね」

    「私は彼に『マシンから外が見えていないのか? トラックリミットが分かるように、もっと高い位置から見えるようにする必要があるのか?』と言ったんだ」

    「それについては一緒に笑った。そして今回のスペインGPでも、残り6周かそのくらいのところで『マシンをチェックしてくれ。ウォールに擦った』と言ってきた」

    アントネッリの大胆なドライビングは、チーム代表にとって気が気ではない部分もある。

    「この白髪は彼のせいだよ。でも、おそらく彼はそういうドライバーなんだろうし、それが彼をあれほど速くしている理由なのかもしれない」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差でもタイトルを意識せず
    アントネッリはF1スペインGP終了時点で267ポイントを獲得し、201ポイントのラッセルに81ポイント差をつけている。

    20歳のアントネッリが2026年のF1ワールドチャンピオンに輝けば、セバスチャン・ベッテルが2010年に記録した史上最年少F1王者の記録を3年以上更新することになる。

    しかし、ヴォルフによれば、本人はタイトル争いをほとんど意識していない。

    「もちろん、彼はそれについて考えていない。この子には物事を切り分ける能力がある。普段は若者として過ごし、マシンに乗れば成熟したレーシングドライバーになる」

    「だからキミが『チャンピオンシップのことは考えていない』と言うなら、本当に考えていないんだ」

    ヴォルフが警戒する「ブラックスワン」
    一方でヴォルフは、現在のポイント差だけを見てタイトル獲得を当然視することには慎重な姿勢を示した。

    そこで持ち出したのが「ブラックスワン」という言葉だ。一般的には、事前にはほとんど予測できず、発生すると大きな影響を及ぼす出来事を意味する。

    「ブラックスワンのような出来事はある。それは起こり得る。そして最後になって、失う可能性などないと思っていたものを失うことだってある」

    アントネッリは今季、速さだけでなく安定した結果を積み重ねてポイントリードを拡大してきた。一方で、限界まで攻め続ける姿勢はヴォルフを悩ませる要素でもあり、その攻撃性こそが20歳の速さを支えている可能性もある。

    残る2026年F1シーズンでメルセデスに求められるのは、アントネッリの持ち味を損なうことなく、不測の事態による大量失点を避けることになる。

  • メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1は、2026年F1スペインGPでジョージ・ラッセルに採用した意外な2ストップ戦略について、その狙いを明らかにした。ハードタイヤでスタートしながらVSC(バーチャル・セーフティカー)中にピットインしたのは、同じハードで前を走っていたシャルル・ルクレールと異なる戦略を取るためだった。

    オーバーテイクが極めて難しかったマドリンクでは、同程度のタイヤを履いたままルクレールの後方を走り続けても順位を上げる可能性は低かった。

    そこでメルセデスはラッセルをミディアムに交換し、その後再びハードへ戻す2ストップを選択。結果的にこの戦略はルクレールへのプレッシャーとなり、キミ・アントネッリの優勝にも間接的に貢献した。

    VSCはラッセルにとって「最悪のタイミング」
    ラッセルとルクレールはともにハードタイヤでF1スペインGPをスタートした。しかしVSCが導入されると、フェラーリはルクレールをコース上に残した一方、メルセデスはラッセルをピットへ呼び、ミディアムタイヤを装着した。

    ルクレールはそのまま首位を走り、45周目までピットストップを引き延ばした。対してラッセルはミディアムで約20周を走った後、28周目に再びピットインしてハードへ交換した。

    メルセデスF1の副チーム代表ブラッドリー・ロードは、VSCのタイミングそのものはラッセルにとって好都合ではなかったと説明した。

    「ジョージにとってVSCはまったく違う展開になった。彼はハードタイヤでスタートして長いスティントを走り、その後レース中に起こる何らかの出来事を利用するつもりだったから、最悪のタイミングでVSCが出たと言える」

    「彼は6番グリッドからハードタイヤでスタートし、1ストップで走る予定だった。VSCが出た時点で、ハードタイヤを履いているマシンの中ではフェラーリのルクレールに続く2台目だった。そのため、我々はジョージにルクレールと逆のことをさせた」

    同じ戦略ではルクレールを抜けないと判断
    メルセデスが戦略を変更した最大の理由は、マドリンクでのオーバーテイクの難しさだった。同じような使用歴のタイヤでルクレールの後ろを走り続ければ、そのまま順位が固定される可能性が高いと判断した。

    「なぜか。それをしなければ、彼はただルクレールの後ろについてフィニッシュまで走ることになったからだ」

    「アンダーカットできるチャンスは非常に、非常に限られていたし、同程度の使用歴のタイヤを履いたマシン同士では、オーバーテイクのチャンスは事実上なかった。そこでジョージにミディアムを履かせた」

    ただし、ミディアムでそのままチェッカーまで走り切ることは最初から想定していなかった。

    「そのミディアムが残り43周を持たないことは分かっていた。それでも違うことを試すことで、ジョージは約20周のスティントを走り、その後もう一度ハードに戻した。レースのできるだけ長い部分をハードで走りたかったからだ」

    「そこからジョージは本当に印象的なペースを発揮した」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルの速さがルクレールのピットインを誘発
    新品タイヤを履いたラッセルのペースは、前方を走るルクレールに対してフェラーリが反応せざるを得ない状況を作り出した。

    「彼は十分に速く走っていたので、実際にはフェラーリが望んでいたよりも早くルクレールをピットに入れさせることができたと思う」

    「それによってルクレールをピットへ引き込み、前を走るキミにはクリーンエアが与えられた。同時にジョージも終盤、かなりデリケートだったソフトタイヤを履くルクレールにプレッシャーをかけることができた。そして最終的にはわずか0.7秒差でレースを終えた」

    ルクレールを予定より早くピットへ向かわせたことで、前方のアントネッリには自由に走れる状況が生まれた。メルセデスにとってラッセルの戦略は、自身の順位を上げるだけではなく、チームメイトのレース展開にも影響を与えるものとなった。

    ラッセル本人は「結局5位だったと思う」
    一方、ラッセル自身はレース後、戦略の違いが最終順位を大きく変えたとは考えていなかったという。

    「レース後、ジョージは非常に現実的だった。我々が何をしたかは、それほど重要ではなかったと思うと言っていた」

    「コース上に残していても、ピットストップさせていても、マドリンクではオーバーテイクがあれほど難しかったことを考えれば、どちらにしてもおそらく5位でフィニッシュしていただろう、と」

    結果としてラッセルは5位に終わったものの、メルセデスF1が選んだ2ストップは単純なタイヤ交換ではなく、ルクレールと同じ戦略から抜け出すための戦術的な判断だった。ラッセルの終盤のペースによってフェラーリに対応を迫り、アントネッリの前方を開ける効果も生み出したことで、チーム全体のレース展開に重要な役割を果たした。

  • キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

    キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

    メルセデスF1のアンドレア・キミ・アントネッリが2026年のF1タイトル争いをリードするなか、2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグは、シーズン終盤に向けてこれまでとは異なる心理的なプレッシャーに直面すると予想した。

    第14戦F1スペインGP終了時点で、アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけてドライバーズランキング首位に立っている。

    ロズベルグは20歳のアントネッリが見せる安定感と成熟ぶりを高く評価する一方、自身が初タイトルを獲得した2016年の経験を振り返り、タイトルが現実味を帯びるほど「失うことへの恐怖」が大きくなると語った。

    ロズベルグが経験したタイトル争い終盤の「恐怖」
    マドリンクで行われたF1スペインGP後、Sky Sports F1でアントネッリについて語ったロズベルグは、現在の落ち着いた走りがシーズン最後まで簡単に続くとは考えていない。

    「僕たちはみんな人間だ。彼だって超人じゃない」

    「僕は本当に恐怖を感じていて、まともにドライブすることさえ難しくなっていた。シーズンの終わりに近づけば近づくほど、レースに勝ったり、ポールポジションを獲ったりすることができなくなっていった」

    ロズベルグは2016年、メルセデスでルイス・ハミルトンとの激しいタイトル争いを制し、最終戦アブダビGPで自身唯一となるF1ワールドチャンピオンを獲得した。その経験から、タイトルが手の届くところまで近づいたときに生じる心理状態を説明した。

    「くだらないミスだったり、簡単に起こり得る何かだったりで、自分の夢を失ってしまうんじゃないかという恐怖で頭がいっぱいになった」

    「どこかの時点で、彼も少しはそれを感じることになると思う。でも、ここまでの彼がどれほど安定していて、成熟しているかは信じられないほどだ。トトでさえ驚いている」

    アントネッリは前年のルーキーシーズンに見せていた速さに、2026年は安定感を加えている。特に直近ではF1イタリアGPとスペインGPで勝利し、タイトル争いで大きなリードを築いている。

    シュタイナー「アントネッリはフェラーリにいるべき」
    一方、元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーは、イタリア人であるアントネッリが母国でさらに大きな支持を得るには、フェラーリで走ることが理想的だとの持論を展開した。

    「フェラーリは国民的なチームで、みんなが応援している。そして、イタリア人ドライバーがいなくなっていたところに、この若者が現れた」

    「イタリア人がモンツァで勝つのは60年ぶりだった。それだけ長い時間が経てば、勝つという感覚さえ忘れてしまう」

    アントネッリはメルセデスのドライバーであり、フェラーリにとっては直接的なライバルでもある。その状況がイタリア国内での人気という面では複雑に作用しているとシュタイナーは考えている。

    「もちろん自分たちのチームに勝ってほしい。でも、別のチームにいるこの若者もイタリア人で、しかもかなり速い」

    「彼はもっと多くのファンに支持されるに値すると思う。やっていることは並外れているし、フェラーリにいるべきだ。そうなれば理想的な世界だね」

    ロズベルグはマドリンクにも注文「サインツJr.も批判されるべき」
    ロズベルグはF1スペインGPの舞台となった新設マドリンクについても言及した。決勝でオーバーテイクが極めて難しかったことを問題視し、コース設計のアンバサダーを務めたカルロス・サインツJr.にも一定の責任があるとの見方を示した。

    「カルロス・サインツはアンバサダーだった。だから、カルロス・サインツも批判しなければならない」

    「来年に向けてコースレイアウトを見直して、少なくともひとつはきちんとしたオーバーテイクのチャンスを作る必要がある。このサーキットではそれが必要だ。とにかく追い抜くのが難しすぎる」

    具体例として挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとアルピーヌのフランコ・コラピントの攻防だった。

    「かなり衝撃的だった。例えばピアストリとコラピントだ。ピアストリは新品タイヤだったのに抜けなかった。あれだけペースが速かったのにだ。それくらい追い抜きが難しい」

    ドライバーの意見をコース設計に反映すべき
    ロズベルグは、新しいF1サーキットを設計する際には、完成後にドライバーから意見を聞くプロセスが重要だと主張した。

    「サーキット全体の設計ができた段階で、ドライバーのところへ行って意見を聞くべきだと思う」

    「ただ、今回については、その段階でドライバーに言われなければ分からないようなことだったとも思わない。僕たちはここへ来て、コースを見た瞬間に『これは追い抜くのがかなり難しくなる』と言っていた。だから、その点について何か対策をしておくべきだったと思う」

    マドリンク側が今後のレイアウト変更に前向きな姿勢を示している点については評価した。

    「彼らは今後変更を加えることについて非常にオープンだ。変更する準備ができている。ここは常設サーキットではないからね」

    「だから、その変更のひとつによって、可能であればオーバーテイクのチャンスが改善されることを願っている」

    アントネッリはF1参戦2年目にしてタイトル争いの先頭に立ち、イタリアGPとスペインGPでの勝利によってその存在感をさらに高めた。ただし、ロズベルグが自身のタイトル獲得経験から指摘するように、残りのシーズンでは速さだけでなく、初のF1ワールドチャンピオンが現実味を帯びるなかで生じるプレッシャーへの対応も大きなテーマとなっていく。

  • メルセデスF1代表トト・ヴォルフの9歳息子ジャック カートで初タイトル獲得

    メルセデスF1代表トト・ヴォルフの9歳息子ジャック カートで初タイトル獲得

    メルセデスF1代表トト・ヴォルフと、F1アカデミーのマネージングディレクターを務めるスージー・ヴォルフの息子、ジャック・ヴォルフが、カートで自身初となるチャンピオンタイトルを獲得した。

    9歳のジャックは、イタリアで開催されたIAME Series Italy Racing FormulaのX30 U10クラスに参戦。最終戦を勝利で飾り、ランキング首位を守ってタイトルを決めた。

    最終戦優勝で初タイトルを獲得
    全6戦で争われたシリーズの最終ラウンドは、レオパード・サーキット・ヴィテルボで開催された。KR Motorsportから参戦するジャックは、ポイントリーダーとして最終戦を迎え、そのまま優勝。表彰台の頂点でシーズンを締めくくり、自身初のカートタイトルを手にした。

    ジャックは今年7月、IAME Series Italyでカートレース初優勝を記録していた。2027年4月に10歳の誕生日を迎える。

    「良かったです。たくさん勝てましたし、うまくいかなかったレースもいくつかありました。でも最後までしっかり戦ってチャンピオンシップを獲得できたので、本当にうれしいです」

    「シーズンが始まったときは、ほぼすべてのラウンドで勝てるなんて思っていませんでした。自分があそこまで上位にいられたことには本当に驚きました」

    トト・ヴォルフ

    「ママ、パパ、家族みんなに感謝」
    ジャックは、U10カテゴリーでも競争は激しかったと振り返り、チームと家族への感謝を口にした。

    「本当に競争が激しいです。チャンピオンシップには速いドライバーがたくさんいて、みんなが争っています。その中で僕たちはトップに立つことができました」

    「チームのみんな、ママ、パパ、そして家族全員に感謝したいです。僕をここまで連れてきてくれて、レースをさせてくれて、チャンピオンシップを勝たせてくれました」

    父トト・ヴォルフはメルセデスF1のチーム代表兼CEOとしてチームを率い、母スージー・ヴォルフは女性ドライバーの育成カテゴリーであるF1アカデミーのマネージングディレクターを務めている。

    モータースポーツ界の第一線で活動する両親を持つジャック・ヴォルフは、9歳にしてカートで最初のタイトルを獲得。今後どのようなステップを歩んでいくのかにも注目が集まりそうだ。

  • アントネッリのF1スペインGP優勝にモウリーニョ驚嘆「こんな若者見たことがない」

    アントネッリのF1スペインGP優勝にモウリーニョ驚嘆「こんな若者見たことがない」

    ジョゼ・モウリーニョが、F1スペインGPで優勝したメルセデスのキミ・アントネッリを絶賛した。マドリンクで一緒にレースを観戦した元F1ドライバーのジャン・アレジによれば、モウリーニョは20歳のアントネッリの走りに強い衝撃を受けていたという。

    レアル・マドリードの監督を務めるモウリーニョは、初開催となったマドリンクでのF1スペインGPを現地観戦。以前からF1への関心を公言しており、2025年のF1イギリスGPではマックス・フェルスタッペンにポールポジション賞を手渡していた。

    モウリーニョ「こんな若者は見たことがない」
    元フェラーリF1ドライバーのジャン・アレジは、スペインGP後に『Corriere della Sera』へ寄稿したコラムで、モウリーニョとともにレースを観戦したことを明かした。

    「私はジョゼ・モウリーニョと一緒にレースを見ていた。彼は何度も『こんな若者は今まで見たことがない』と言っていた」

    アレジは、数多くのトップレベルの選手を率いてきたモウリーニョから出た言葉であることに大きな意味があると感じている。

    「数多くの並外れた才能を扱ってきた監督から出た言葉なのだから、非常に重みのある評価だと思う」

    アントネッリはF1スペインGPで優勝し、ドライバーズランキング首位の座をさらに強固なものとした。そのパフォーマンスは、異なるスポーツの世界で数々のスター選手を見てきたモウリーニョにも強烈な印象を残したようだ。

    スペインGP前からアントネッリを高く評価
    実際、モウリーニョがアントネッリを称賛したのは決勝後が初めてではない。

    スペインGPを前に行われたラ・リーガのラージョ・バジェカーノ戦に向けた記者会見で、モウリーニョはF1について質問され、週末を前にすでにアントネッリの活躍に言及していた。

    「みんな私にとても親切にしてくれて、あちこちに招待してくれるから、発言には気をつけないといけないね」

    フェラーリについては「赤はいつだって赤だ」と語った一方、メルセデスでタイトル争いをリードするアントネッリについても高く評価した。

    「この若者がメルセデスでやっていることは、本当に信じられない」

    そのアントネッリがスペインGPで実際に勝利を飾り、モウリーニョは現地でその走りを目撃することになった。

    ジョゼ・モウリーニョ

    フェルナンド・アロンソとも親交
    モウリーニョは、アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソとも親交があることを明かしている。

    「フェルナンドとも友人なんだ。彼の人柄が本当に好きだ。彼は最高のドライバーのひとりだ」

    一方で、現在のアロンソが置かれている状況についてはマシン側の競争力を問題視した。

    「でも、勝てるマシンもポイントを獲れるマシンもない。彼にはいつも良くないマシンが与えられている」

    初開催のF1スペインGPにはモウリーニョだけでなく、レアル・マドリードの関係者も多数訪れた。サーキットの入口からほど近い場所にクラブのトレーニング施設があることもあり、週末のパドックではサッカー界との交流が目立った。

    レッドブル・レーシングが公開した映像では、マックス・フェルスタッペンがヤン・ディオマンデ、ブラヒム・ディアス、セルヒオ・ラモスらと会話し、記念撮影に応じる様子も紹介された。

    サッカー界で数多くのトップ選手を指導してきたモウリーニョに「こんな若者は見たことがない」と言わせたアントネッリ。F1スペインGPでの勝利は、モータースポーツの枠を超えて強烈な印象を与えるものとなった。