キャデラックF1は、F1イタリアGPのフリー走行1回目(FP1)でコルトン・ハータのマシンがコース上に停止した際、クラッチを切り離すためのシステムが機能しなかったとして、3万ユーロ(約520万円)の罰金を科された。このうち2万5000ユーロは執行猶予となっている。
スチュワードは、原因が外部サプライヤーから供給されたバッテリーのセル故障だったことを認めた一方、規則を順守する最終的な責任はチームにあると判断した。
さらに、同様のクラッチ・ディスエンゲージメント・システム(CDS)の不具合は今季すでに3件目となっており、今後は金銭的な罰金だけでなく、競技上のペナルティを科す可能性があるとF1各チームに警告した。
コルトン・ハータ車がレズモ出口でストップ
コルトン・ハータはセルジオ・ペレスに代わって今季3度目となるFP1に出走していたが、セッション残り約40分、第2レズモを立ち上がったところでMAC-26を停止させた。
ハータはマーシャルポスト付近にマシンを止めたものの、クラッチがつながった状態のままでマシンを動かすことができなかった。当初はバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、その後セッションは赤旗に切り替えられた。キャデラックF1は当初、このトラブルについて油圧系の問題だと説明していた。
その後、ハータはFIA F1テクニカルレギュレーションの第C9.3条に違反した疑いでスチュワードに召喚された。
同条項では、エンジンが停止した状態でマシンが止まった場合、最低15分間にわたってクラッチを切り離せる手段をすべてのマシンに装備することを義務付けている。
さらに、このシステムについては「マシンの主要な油圧、空圧、電気システムが故障した場合でも、競技期間を通じて正常に作動する状態になければならない」と定められている。
原因は外部サプライヤー製バッテリーのセル故障
キャデラックF1がデータと情報を収集するための時間を確保できるよう、審理は土曜日の朝まで延期された。
スチュワードはチームのスポーティングディレクター、信頼性部門責任者、FIAテクニカルデリゲート、FIA F1エレクトロニクスエンジニアから事情を聴取した。
キャデラックF1はCDSがどのように設計、搭載されているかを示す詳細な図面を提出。スチュワードは、このシステムがレギュレーションで要求されている通り、マシンの他のシステムから独立して作動するよう設計されていたことを確認した。
またチームは、競技開始前日の段階でシステムの点検と作動確認を実施していたことも証明した。
しかし、マシンの電子システムがオフになった「P0モード」でCDSを作動させるためには、外部サプライヤーから供給されたリチウムバッテリーに依存していた。
調査の結果、このバッテリーを構成する4つのセルのうち1つが故障していたことが判明。その結果、CDSが作動不能となり、ハータのマシンが停止した際にコースから容易に押して移動させることができず、赤旗の原因となった。
キャデラックF1が再発防止策を提示
キャデラックF1は今回のトラブルを受け、まずバッテリーのサプライヤーから想定される最大使用期間についての情報を入手すると説明した。
さらに、毎日または各セッション前に点検を実施するとともに、バッテリーの定期交換プログラムを導入し、同様の故障が再発する可能性を最小限に抑える方針を示した。
スチュワードは、キャデラックF1が調査に対して完全に透明性のある対応を取ったことを評価し、チームが提示した再発防止策についても合理的なものだと認めた。
一方で、外部サプライヤー製の部品が故障原因だったとしても、規則への適合について最終的な責任を負うのはチームであるとの立場を明確にした。
「チームが情報開示において完全に透明性を保っていたこと、そして上記の計画が合理的な対応であることをスチュワードは認める。しかし、レギュレーション違反が発生したことに変わりはない」
「その原因は第三者から供給された部品の故障に帰することができるものの、規則を順守する最終的な責任は依然としてチームにある。したがって、ペナルティを科す」
この判断により、キャデラックF1には3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万5000ユーロが執行猶予とされた。
今季3度目のCDS故障 FIAが競技上のペナルティを警告
CDSをめぐる同様の違反は今季すでに発生している。カナダGPではリアム・ローソンのマシンで同様の問題が発生したレーシングブルズに3万ユーロの罰金が科され、そのうち2万ユーロが12カ月間の執行猶予となった。
また、モナコGPでもランド・ノリスのマクラーレンがプラクティス中に停止して移動できなくなり、同様の制裁を受けている。
今回で今季3件目のCDS故障となり、いずれもマシンを迅速に撤去できないことによる競技への影響が問題視されている。特に今回も赤旗が提示され、セッションそのものに競技上の影響を与えた。
スチュワードは今回については金銭的なペナルティにとどめたものの、今後の同様のケースでは処分を強化する可能性を明確にした。
「スチュワードは、これが今季報告された3件目のCDSの故障であることを指摘する。今回もこの故障によって赤旗が提示され、競技上の影響が生じた」
「今回は金銭的なペナルティを科すことを決定したが、CDSは重要なコンポーネントであり、マシンを安全かつ迅速にコースから撤去するために設計されたものであることから、今後の故障については金銭的なペナルティだけでなく、競技上のペナルティが科される可能性もあることを競技者に通告する」
今回のキャデラックF1への処分は、単なる個別の技術的トラブルへの罰金にとどまらず、CDSの信頼性確保を全チームに改めて求める警告となった。今後、同様の不具合によって赤旗など競技進行への影響が生じた場合、金銭的な制裁に加えて競技上のペナルティが科される可能性がある。
