2026年F1第13戦イタリアGPを前に行われた木曜記者会見のPART2には、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリ、レッドブル・レーシングのリアム・ローソン、アストンマーティンのランス・ストロールが出席した。
母国GPを選手権リーダーとして迎えるアントネッリは、グリッド降格によってむしろプレッシャーから解放されたと説明。フェラーリ移籍説やメルセデスへの思い、モンツァをペナルティ消化の舞台に選んだ理由にも言及した。
Q:母国モンツァに世界選手権首位として戻ってきました。どれほど特別に感じていますか?
アンドレア・キミ・アントネッリ: とても特別だ。去年とは間違いなく大きく違う。最後尾からのスタートにはなるけど、今週末をとても楽しみにしている。大きなチャンスもあると思っているし、以前よりずっと楽しめると思う。いいレースができればと思っている。
Q:ファンのために特別なヘルメットを用意していますか?
アントネッリ: うん。今夜発表するスペシャルヘルメットがある。僕にとって特別な人で、親しい友人でもある人とのコラボレーションによる、とても特別なヘルメットだ。すごくクールだと思うよ。
Q:グリッドペナルティによって最後尾からスタートします。それは今週末への考え方をどう変えますか?
アントネッリ: ある意味ではプレッシャーを軽減してくれると思う。もちろん本当ならポールを争ってフロントからスタートしたい。でも少しリラックスして週末に入れるし、ドライビングや週末そのものをもっと楽しめると思う。それに、いつもとは違うチャンスでもある。特にフリー走行では普段とは違うやり方や作業方法を試せる。とても興味深い週末になると思う。
Q:このサーキットはマシンにどれくらい合うと思いますか? 最後尾からどこまで順位を上げられるでしょうか?
アントネッリ: 僕たちにかなり合う可能性のあるサーキットだと思う。ただ、マクラーレンがどれだけ強いか、過去2戦でどれだけ強かったかは見てきた。フェラーリも、特に新しいエンジンがあるから間違いなく上位に来るだろう。僕たちのマシンはカナダ以降アップデートがないけど、それでも非常に強い。このコースは僕たちに合う可能性があるけど、フェラーリ、マクラーレン、それにレッドブルも速いかもしれない。特にフェラーリとマクラーレンが前方にいることは考慮しなければならない。
Q:リアム、アイザック・ハジャーの欠場によって、再びレッドブルで走る機会が巡ってきました。今週末はどんな気持ちで臨みますか?
リアム・ローソン: とにかく最大限に生かしたい。僕にとって興味深い立場だ。ザントフォールトはスプリント週末でかなりストレスのかかる場面もあったけど、全体的にはいい週末だった。少なくとも一度経験しているから、今回はもう少し適応しやすいはずだ。それに今回は3回のフリー走行があり、もっと通常の週末になる。だから、またいいチャンスだ。
Q:今週末にレースへ出場すると知ったのはいつですか?
ローソン: 水曜日だ。この1週間はずっと、どうなるか待っているような状態だった。もちろんアイザックにも回復するための最大限のチャンスを与えようとしていた。でも心のどこかでは、自分が走る可能性がまだあることは分かっていた。水曜日になってようやく決まったからかなり遅く感じたけど、それでもシミュレーターセッションを行い、通常どおり週末の準備をする時間はあった。
Q:ザントフォールト以降はどちらのチームのエンジニアと話をしていたのですか?
ローソン: 正直に言えば両方だ。どちらになっても準備できるように、両方やっていた。両チーム、両方のマシンを理解しておく必要がある。ドライブした感じはかなり違うから、シミュレーターでさえ2台を行き来するのは簡単ではない。正直、それが最大のチャレンジだった。でも水曜日にようやく答えが出て、今はこのマシンだけに集中できる。それはよかった。
Q:2台はドライブした感じが違うとのことですが、具体的にどこが違うのでしょうか?
ローソン: すべてだ。パワーユニット以外はかなり違う。レッドブルで最も印象的なのは、僕のマシンから乗り換えたときに感じる高速域のグリップだ。でもマシンの走らせ方やバランスも大きく違う。あまり多くは言えないけど、本当に違うマシンだ。ステアリングを通じて得られるフィードバック、マシンの感触、動き方、すべてがかなり違う。
Q:ランス、アストンマーティンはここ数戦で3秒近く改善しました。ハンガリー以前と比べて、マシンはどれくらい違って感じますか?
ランス・ストロール: ずっと良くなった。ハンガリー以降、間違いなく大きく改善している。いい感じだ。
Q:具体的にどこが良くなりましたか?
ストロール: すべてだ。ダウンフォースが増えた。だから、より速くコーナーを回れる。
Q:前戦ではホンダが新しいパワーユニットを投入しました。ドライバビリティについて、まだどの部分を改善する必要がありますか?
ストロール: まだパワーでは劣っている。だから、もっとパワーが必要だ。それとドライバビリティにも取り組んでいる。複雑なものだから、少しずつ改善していくしかない。
Q:スロットルオンだけでなく、オフスロットルでも課題がありますか?
ストロール: ああ。すべてだ。コーナーに向けたシフトダウン、エンジンブレーキ、そういうすべてだ。ザントフォールトでは週末を通じて改善したけど、まだやるべきことはたくさんある。
Q:残りのシーズンに向けて、チームはどんな目標を持っていますか?
ストロール: 僕たちのマシンに合うサーキットで最大限の結果を出さなければならない。パワーでは劣っているから、モンツァのように長いストレートがある場所はより難しくなる。だからエンジンよりシャシーの比重が大きいサーキットでチャンスを生かさなければならない。ドライバビリティやシャシー側の開発にも取り組む必要がある。ただ、今は徐々に開発を落として2027年により集中し始めている。主なものはドライバビリティとパワーだ。そこを改善していく必要がある。
Q:最後尾スタートによってプレッシャーは軽くなりますか? それでも優勝を狙えると思いますか?
アントネッリ: 勝てたら最高にうれしいよ! 間違いなくプレッシャーは減る。さっきも言ったように、ほとんど何も考えず、自由な状態でマシンに乗ってドライビングと週末を楽しめると思う。もちろん目標はいつもと同じで、結果を最大限にしたい。理想的な世界なら、現実的にはトップ5まで行ければかなりいいと思う。ただ、すべては自分たちのペースとマシン同士の差次第だ。僕たちが速くても、フェラーリやマクラーレン、レッドブルとの差が小さければ、レース中に追いつくには十分ではないかもしれない。でも、やってみないと分からない。精神的には本当に自由だし、すごくワクワクしている。プレッシャーはない。
Q:成功を重ねるほど、いつかフェラーリで走るという期待や憶測が強くなることについてどう考えていますか?
アントネッリ: もちろん、そういうことはあると思う。僕自身イタリア人だから、僕たちがどれだけ感情的で、物事にどれだけ興奮するか分かっている。時には興奮しすぎることもあるよね。だから、そういう話は常に出てくると思う。でもフェラーリが巨大で素晴らしいブランドである一方、僕は今いる場所でとても幸せだ。メルセデスには本当に満足している。僕が子どものころからチャンスを与えてくれたのは彼らだからね。僕には彼らに返したいものがたくさんある。だから、そういう話とは付き合っていかなければならないね。
Q:昨年から今年にかけて、精神面で最も変わったことは何ですか?
アントネッリ: 去年ほど自分を証明する必要がなくなったことだ。昨年は難しい時期を経てここに来ていたし、自分がF1にいる資格があることを証明しなければならないと感じていた。それで自分自身に大きなプレッシャーをかけ、緊張した状態でドライブしていた。昨年はマシンに乗っていることを本当の意味では楽しめていなかった。今年は違う。素晴らしいマシンに乗れているのは幸運だけど、1年間の経験も大きな違いを生んでいる。自分自身もずっと成熟し、状況をよりコントロールできるようになった。良い結果が出れば、証明しなければならないことも減っていく。僕は勝てること、結果を出せることを証明した。だから今週末はホームレースだけど、結局は他と同じひとつのレースだ。1年間の経験がアプローチに大きな違いを生んでいる。
Q:グリッドペナルティがあるため、自分の予選を犠牲にしてジョージ・ラッセルにスリップストリームを与える用意はありますか?
アントネッリ: うん。チームとは話し合ったし、いくつかのことについて合意している。セッションがどう展開するかを見てみよう。チームから求められれば、もちろんやるよ。ポールを取れたらうれしいけど、最後尾からスタートすることに変わりはない。だからチームを助けるためにできることがあるならやるつもりだ。
Q:ロジャー・フェデラーから「常にその瞬間にとどまり、次の一歩だけに集中すること」と助言されていました。どんなメンタル面のアプローチをしていますか?
アントネッリ: そのアドバイスはしっかり受け止めた。「その瞬間にとどまる」ということだ。未来や、自分でコントロールできないことに集中しても意味はない。違いを生み出せるのは、自分でコントロールできることだ。その瞬間に集中して今を生き、自分にできるベストを尽くす。そのあと何が起きるかを見る。それも昨年と比べて大きく変わったところだし、とても役に立っている。
Q:このマシンで最高速域を走ることはどれほど大変になりそうですか? また、ドライビングスタイルを変える必要はありますか?
アントネッリ: 正直、シミュレーターで走った感じでは予想していたほど悪くなかった。スーパークリップもそれほど多くない。他のレースと比べてハーベストの制限を少し変更し、スーパークリップを減らしているからね。速度が頭打ちになる感じは増えるけど、大きく減速することはない。それはポジティブだ。それでも難しいコーナーはある。アスカリ・シケインはかなり難しくなると思う。大きなパワーがあって、ずっと加速し続けるから簡単ではない。レスモもいつだってチャレンジだ。このマシンはブレーキングも簡単ではないから、どうなるか興味深い。でも全体としては、僕たちが予想していたよりかなり良くなると思う。
ローソン: それほど付け加えることはない。過去に慣れていたものとはかなり違うし、ミスをしたときの代償はより大きくなるかもしれない。エネルギーを使いすぎるのは簡単だし、特に他のコースより影響が大きくなる。ただ、予想していたより少し良くなりそうだ。実際にコースを走ってみないと分からないけどね。
Q:フェルスタッペンはレッドブルと非常に長い契約を結びました。ひとつのチームでキャリア全体を過ごすのと、複数のチームで自分を試すのでは、どちらがいいと思いますか?
アントネッリ: 僕はキャリアを始めたばかりだから、この質問をする相手としては一番適していないと思う。でもマックスとレッドブルには素晴らしい関係がある。彼を非常に若い年齢でマシンに乗せ、信頼したのも彼らだった。外から見る限り、彼はチームで幸せだと思うし、このプロジェクトを信じているんだと思う。だからレッドブルに残る理由も権利もすべてある。いつか変えたいと思えば、それは彼次第だ。でも今いる場所で幸せなら、なぜ変える必要がある? 僕もメルセデスで同じようにすると思う。僕には彼らに返したいものがたくさんあるし、この先ずっと彼らと一緒にいて幸せなら、キャリア全体をメルセデスで過ごすかもしれない。もちろん何が起こるかは分からないけどね。
Q:イタリア人ドライバーが選手権首位で母国GPを迎えるのは1953年のアルベルト・アスカリ以来です。この瞬間はどんな意味がありますか?
アントネッリ: 信じられないような瞬間だ。こういう状況が実際に起こるとは思っていなかった。でも今、自分がその状況にいる以上、パフォーマンスを発揮し、結果を出し続けなければならない。僕にとっても、チーム、家族、応援してくれるすべての人にとっても素晴らしい瞬間だ。でもプッシュし続け、さらに基準を引き上げなければならない。まだ先は長いからね。
Q:モンツァではエネルギー配分が非常に厳しくなります。それは最後尾から追い上げるうえで有利になりますか?
アントネッリ: 非常にエネルギーが厳しいサーキットだから、オーバーテイクのチャンスがたくさん生まれると思う。だからペナルティを受ける場所としてここを選んだ。他にもオーバーテイクできるコースはあるけど、ここはエネルギーが厳しく、場所によって異なるやり方もできる。それが集団の中から順位を上げる最大のチャンスを与えてくれると考えている。それが最善だと判断した。日曜日にうまくいくことを願っている。
Q:高速で走っているとき、F1が危険なスポーツであり、重大な事故では命を落とす可能性もあることを考える時間はありますか?
アントネッリ: うわ、強烈な質問だね。高速コーナーを走っているときにそういうことを考えるかってこと? いや、速すぎてそんな時間はない。ただ行くだけだ。それでうまくいけばいいし、そうでなければ衝撃に備える。僕たちはこのスポーツがどれだけ危険なのか分かっている。でも結局、これが大好きなことなんだし、リスクの一部であることも分かっている。F1とFIAは安全性について素晴らしい仕事をしてきた。今のマシンは昔よりはるかに安全で、それによってコース上でさらに自信を持ってプッシュできる。もちろんリスクがあることは十分理解している。だって……あ、くそ。ごめん。ああ、ごめん、ごめん。さらにまずいことになった。何をやってるんだ、僕は(笑)。今度は罰金が来るんじゃないかって心配になってきたよ。何を話してたっけ? そうだ。リスクは常に存在する。それは十分認識しているけど、これが僕たちの大好きなことだから、そのリスクとともに生きていく。
Q:メカニックたちが誕生日をケーキで祝っていました。今週末、何か仕返しを計画していますか?
アントネッリ: 分からない。むしろ彼らが何を計画しているのか怖いよ。まだ終わっていないからね。今日のはこれから出てくるメニューの前菜にすぎなかったと思う。今朝はかなりひどくやられた。顔に何個ケーキをぶつけられたか分からないけど、本当にたくさんだった。クリームと匂いを落とすために少なくとも15分はシャワーを浴びなきゃいけなかった。本当に臭かったよ。どうなるか見てみよう。予告はしたくない。その瞬間の気分と状況を見て行動すると思う。でも念のため、ポケットには何か用意してあるよ(笑)。
Q:2年前、ここモンツァのFP1でパラボリカにクラッシュしました。そのとき「2年後、選手権をリードして母国GPに戻ってくる」と言われたら、どう答えていましたか?
アントネッリ: 「黙ってくれ」って言ったと思う(笑)。冗談はやめてくれってね。あの日は僕にとってすごく難しい一日だった。ああいう形でこのスポーツに自分を紹介したかったわけではない。あれほど早くクラッシュしてしまった。確かにプッシュしていて、うまくいっていたけど、あまりにも短かった。僕がすべてを始めたかった形ではなかった。その後もしばらく難しい時期が続いた。特に最初の段階では、ああいうことを乗り越えるのは簡単ではない。だからグラベルを歩いていた僕に誰かが「2年後のまさにこの瞬間、世界選手権をリードしている」と言っていたら、「冗談だろう」と答えていたと思う。でも、それが実際に起きている。本当にうれしいし、感謝している。あとはプッシュし続けるだけだ。
