ピエール・ガスリー F1モナコGP表彰台を再び失う FIA控訴審で裁定覆る

ピエール・ガスリー F1モナコGP表彰台を再び失う FIA控訴審で裁定覆る

ピエール・ガスリーは、2026年F1モナコGPで一度取り戻していた3位表彰台を再び失うことになった。FIA国際控訴裁判所(ICA)が、マクラーレンとレッドブル・レーシングによる控訴を認め、ガスリーに科されていた2件の5秒タイムペナルティを復活させた。

これにより、レッドブルのアイザック・ハジャーが3位に復帰し、オスカー・ピアストリが4位、リアム・ローソンが5位、アービッド・リンドブラッドが6位へ繰り上がる。ガスリーは合計10秒のペナルティによって7位に再分類される。

FIAは9月4日、8月25日にパリで行われた審理の裁定を正式に発表した。

ガスリーの2件の5秒ペナルティが復活
6月7日に行われたモナコGPで、ガスリーはコース上では3位でフィニッシュした。しかしレース中にピットレーンの制限速度違反が2度あったとして、それぞれ5秒、合計10秒のタイムペナルティを受けた。

当初の計測では、ガスリーは60km/hの制限に対して60.1km/hと60.4km/hを記録したとされていた。ガスリーはレース中にペナルティを消化していなかったため、チェッカー後に10秒が加算され、暫定結果では7位に降格。ハジャーが3位へ繰り上がっていた。

ところがアルピーヌはレース後、FIA国際スポーティングコード第14条に基づく「再審査請求(Right of Review)」を提出した。

チームが新たな証拠を提示した結果、ピットレーン速度を算出する際に使用された計測に問題があり、実際にはガスリーが制限速度を超えていなかったことを示すデータが明らかになった。

スチュワードは6月12日、この情報が当初の裁定時には入手できなかった「重要かつ関連性のある新たな要素」に該当すると判断。2件の5秒ペナルティを取り消し、ガスリーを3位へ戻した。

マクラーレンとレッドブルが控訴
しかし、この裁定にマクラーレンとレッドブルが異議を唱えた。

特に問題となったのは、同じピットレーン速度違反でペナルティを受けた他のドライバーとの公平性だった。

オスカー・ピアストリはレース中に5秒ペナルティを消化済み。一方、ジョージ・ラッセルもペナルティに関連してレース中にタイムを失っていた。すでに消化されたペナルティによって失った時間を、レース後になって結果から取り除く仕組みはF1の規則には存在しない。

それに対し、ガスリーはペナルティをレース中に消化していなかったため、チェッカー後に加算された10秒を取り消すだけで元の3位へ戻ることができた。

マクラーレンは控訴に際し、問題は特定のライバルを対象にしたものではなく、「スポーツ上の公平性、規則適用の一貫性、競技の完全性」に関わるものだと説明していた。

マクラーレンとレッドブルは6月16日、スチュワードが6月12日に下した裁定をFIA国際控訴裁判所へ正式に控訴。8月25日にパリで審理が行われた。

2026年 モナコグランプリ

FIA国際控訴裁判所がアルピーヌの裁定を覆す
FIA国際控訴裁判所は9月4日、マクラーレンとレッドブルの控訴を認める裁定を発表した。

裁判所は、両チームの控訴を受理可能と認定したうえで、6月12日にスチュワードが下したガスリーの2件のペナルティ取り消し決定を破棄した。

さらに、当初ガスリーに科されていた2件の5秒タイムペナルティは有効であるとし、FIA司法・懲戒規則の権限に基づいてこれを再び科すことを決定した。

FIAは裁定について次のように発表している。

「控訴を認め、2026年モナコGPのスチュワードが2026年6月12日付文書99で下した決定1および2を破棄する」

「文書73および75によって10号車のドライバー、ピエール・ガスリーに科された2件の5秒タイムペナルティは有効であると宣言し、司法・懲戒規則第14.12.1条および第14.12.2条によって与えられた権限を行使して、これを再び科す」

また、FIAは管轄するスポーツ当局に対し、最終レース結果とチャンピオンシップポイントを含め、今回の裁定を反映した修正を行うよう命じた。

ハジャーがレッドブル加入後初表彰台を取り戻す
この裁定によって、6月7日のモナコGPの順位は再び変更される。

優勝したメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリと2位ルイス・ハミルトンに変更はないが、ハジャーが3位へ復帰。レッドブル加入後初となる表彰台を改めて手にすることになった。

ピアストリは4位、ローソンは5位、リンドブラッドは6位へそれぞれ繰り上がり、ガスリーは7位となる。

ガスリーにとっては、モナコでチェッカーを3位で受けた後、一度はペナルティによって7位へ降格し、アルピーヌの再審査請求によって3位へ復帰。そして約3カ月後の国際控訴裁判所の裁定によって、再び7位へ戻される異例の展開となった。

2026年F1モナコGPの結果をめぐる長期の法的手続きは、マクラーレンとレッドブルの控訴が認められたことで決着。ガスリーの表彰台は取り消され、ハジャーの3位が正式に復活することになった。