角田裕毅 F1イタリアGPも「ルーキーのような感覚」最大の課題はエネルギー管理

角田裕毅 F1イタリアGPも「ルーキーのような感覚」最大の課題はエネルギー管理

角田裕毅は、2026年F1第13戦イタリアGPでレーシングブルズから今季2度目の代役出場を迎える。前戦オランダGPですでにVCARB-03を経験しているものの、モンツァでは複雑なエネルギーマネジメントへの対応が必要になるため、「ルーキーのような感覚」で週末に臨むと語った。

ザントフォールトでは急きょ出場が決まり、スプリント形式の限られた走行時間のなかで11位まで順位を上げた角田裕毅。

今回はシミュレーターで事前準備を進める時間があった一方、長いストレートを持つモンツァでは2026年F1マシン特有のバッテリー使用とエネルギー配分が大きな課題になるという。

正式決定は水曜日「シミュレーターの途中で聞いた」
角田裕毅がイタリアGPへの出場を正式に知らされたのは、水曜日だった。

「実際に聞いたのは昨日です。念のためシミュレーターには乗っていました。本当に午後の途中まで分からなくて、セッション中に『OK、走ることになった。じゃあ通常のレースウイークと同じようにシミュレーター作業を続けよう』という感じでした」

前戦オランダGPへの出場が決まった際、角田裕毅はギリシャのビーチで休暇を過ごしていた。そこから急いでザントフォールトへ向かい、ほとんど準備期間がない状態で2026年型レーシングブルズに乗り込んだ。

今回は状況が異なる。アイザック・ハジャーが欠場を続ける可能性を想定し、角田裕毅はザントフォールト後からトレーニングを継続。ファエンツァのエンジニアとも作業し、シミュレーターでモンツァへの準備を進めていた。

「かなり落ち着いていて、普通のレースウイークのようでした。オランダのときより準備できていたと思います。前回は突然すべてが決まりましたけど、今回はアイザックが負傷してから準備していました」

「たぶん2026年に入ってから一番健康的に過ごした1週間でした! 本当に準備できていますし、これまで以上に準備が整っていると感じています」

ザントフォールトで得たアラン・パーメインからの信頼
準備不足に加え、スプリント形式で通常よりプラクティス時間が少ない厳しい条件だったザントフォールトで、角田裕毅は決勝11位。ポイント獲得まであと一歩に迫った。

そのパフォーマンスについて、レーシングブルズのチーム代表アラン・パーメインからも好意的な評価を受けたという。

「間違いなくポジティブでした。デブリーフのあとにも『今シーズン頑張ってください。楽しかったです』みたいなことを言ったんですけど、アランから『また君が必要になるかもしれない。来週も必要になるかもしれないから準備しておいて』と言われました」

角田裕毅は、その言葉からチーム内での信頼が高まったことを感じ取った。

「レースのあと、彼からもう少し信頼してもらえたと感じました。もし僕が本当に悪い走りをしていたら、この世界では何が起きるか分からないですし、今週走るために呼ばれていなかった可能性もあります。だから、すごくポジティブだったと思います」

モンツァではエネルギー配分が一気に難しくなる
一方で、今回のイタリアGPにはザントフォールトにはなかった大きな難題が待っている。

2026年F1マシンでは電気エネルギーの役割が従来より大幅に増えており、ドライバーはバッテリーをどこで使い、どこで回生するかをラップ全体で管理する必要がある。特に長い全開区間が続くモンツァでは、その影響が顕著になる。

「オランダは幸運にも、エネルギー管理という意味では最も簡単なサーキットのひとつだったと思います。そのおかげで、かなりスムーズにマシンへ適応できました」

「でも今回はエネルギーデプロイメントという意味では最も難しいサーキットです。シミュレーターでも、それがどれほど違うのかをすでに経験しましたし、このレギュレーション特有の難しさが本当に出てきます」

モンツァでは単純にアクセルを踏み続ければ速いわけではない。ラップ全体のエネルギー量を考えながら、場合によっては通常より早く減速したり、エネルギー回収を優先したりする必要がある。

角田裕毅にとって、その感覚はまだ自然なものではない。

「マネジメントだったり、早めにブレーキを踏んだり、そういうことをたくさん練習しないといけません。シミュレーターではすごく変な感覚でした。もっと速く走れると分かっているのに、そうしてはいけないんです。そうするとラップ全体では遅くなってしまうので。そこが僕にとって最大のチャレンジになると思います」

角田裕毅(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム) イタリアグランプリ

決勝では他車との駆け引きがさらに難題
予選の1周だけであれば、フリー走行で実際の挙動を確認しながら自分自身の走りに集中できる。しかし決勝では、単純なラップタイムだけではなく、他車との位置関係を踏まえてバッテリーを使う必要がある。

オーバーテイクのためにエネルギーを使うのか、後方車を防ぐために残すのか。使用したあとにマシンがどのような状態になるのかまで予測しながら戦うことになる。

「レースコンディションではもっと難しくなると思います。他のマシンとのエネルギーマネジメントを使った戦略的なバトルは僕は経験していませんし、他のドライバーたちはオーバーテイクやディフェンスのためにバッテリーを使ったあと、マシンがどうなるのかも分かっていると思います」

「僕はシミュレーターでしか知りませんし、オランダはおそらくエネルギーの影響が一番小さいところでした」

2026年シーズンを戦い続けてきた他のドライバーは、上海やスパ・フランコルシャンなど長いストレートを持つサーキットですでに実戦経験を積んでいる。それに対し、角田裕毅にとって2026年型F1マシンでモンツァを走るのは初めてだ。

「ショートランについては、それほど心配していません。フリー走行がありますし、何が必要なのか確認できます。自分自身だけに集中することもできます」

「でもレースでは先を読んで動かないといけないですよね。そこはオランダ以上に準備しておかなければいけない部分です」

「またルーキーのよう」Q3進出とポイント獲得を目標
それでも、角田裕毅はザントフォールトから一歩前進することを目指している。理想は予選Q3進出と決勝でのポイント獲得だ。

レーシングブルズはイタリアGPにアップデートも投入する予定で、角田裕毅もその効果を楽しみにしている。

「FP1で、このエネルギー関連が実際にどれくらい難しいのか確認したいです。本当にまだ分かりません。でもマシンのペースはいいと思いますし、ここにはアップデートも持ち込むので、それを見るのも楽しみです」

角田裕毅は、ザントフォールトでの自身を「ルーキーのようだった」と振り返る。そして2戦目となる今回も、別の意味で同じ姿勢が必要になると考えている。

「オランダは本当に、ルーキーみたいな感じでレースに入ったと思います。できるだけ多くのことを学ぼうとしていました。スプリント形式だったので時間もすごく限られていました」

「今回もエネルギーデプロイメントなど、たくさん練習しないといけません。1周のなかでも我慢しなければいけないところがあります。自分ではルーキーのような感覚ですし、すべてを学んで、チームから指示されたことをひとつも取りこぼさないようにしたいです」

モンツァでは過去5年間で一度も満足できる結果なし
角田裕毅にとって、モンツァで結果を残したい理由はもうひとつある。これまでF1でイタリアGPとの相性に恵まれてこなかったからだ。

「ここではいい結果を出したいです。今まで一度もいい結果を残せていません。5年間で3回リタイアして、2回はスタートすらできませんでした。ここで何が起きているのか分からないですけど、今回こういうチャンスをもらえたので、今度こそ幸運になることを願っています」

前戦ザントフォールトでは、準備不足という条件を乗り越えて11位まで走った角田裕毅。モンツァでは準備時間こそ増えたものの、今度は2026年F1レギュレーションを象徴する複雑なエネルギーマネジメントという新たな課題に直面する。

経験不足を本人が「ルーキー」と表現するなか、FP1からどこまで早く学習を進められるか。それがQ3進出、そして今季初ポイントを狙うイタリアGPの鍵となりそうだ。