ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

メルセデスF1でジョージ・ラッセルの立場が変わりつつある。ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍後、チームの新たなリーダーになるとみられていたラッセルだが、2年目を迎えたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリが台頭。現在は選手権でもアントネッリが59ポイント上回っている。

元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、この状況について、かつてルイス・ハミルトンのチームメイトとして長くメルセデスに在籍したバルテリ・ボッタスとの類似性を指摘する。

ただし、ラッセル自身がその立場を受け入れるかどうかによって、今後のキャリアは大きく変わるとみている。

ハミルトン後のリーダー候補から状況が変化
ラッセルは2017年にジュニアドライバーとしてメルセデスの育成プログラムに加入し、ウィリアムズでの3シーズンを経て、2022年にワークスチームへ昇格した。

その際にラッセルが引き継いだのが、ボッタスのシートだった。ボッタスは2017年から2021年までメルセデスに所属し、ハミルトンのチームメイトとしてチームのコンストラクターズタイトル獲得に貢献した。

その後、ハミルトンがフェラーリへ移籍すると、ラッセルがメルセデスの中心的な存在になると考えられていた。チームはハミルトンの後任として若手のアントネッリを抜擢し、経験豊富なラッセルがチームを牽引する構図になるとみられていたからだ。

しかし、2人がチームメイトとなって2シーズン目を迎えた現在、その力関係には変化が表れている。アントネッリはドライバーズ選手権でラッセルを59ポイント上回り、パフォーマンス面でも存在感を強めている。

シュタイナー「ボッタスのように見える」
こうした状況から、ラッセルがメルセデスにおける「新しいボッタス」になりつつあるのではないかとの見方も出ている。

この比較について尋ねられたシュタイナーは、断定こそ避けながらも、両者の状況に共通点があることを認めた。

「難しい質問だ。彼がどう反応するのかを見てみよう」

「そう見える。実際にそうなのかどうかは分からないが、そう見えるんだ。本当にそう見える」

シュタイナーが注目しているのは、単にラッセルがアントネッリに後れを取っているという点だけではない。今後も現在の力関係が続いた場合、ラッセル自身がメルセデスでの立場をどう受け止めるかが重要になると考えている。

ボッタスはメルセデスでハミルトンのチームメイトを5年間務めた。シュタイナーは、ラッセルが同じような立場に置かれた場合、それを受け入れるとは限らないと指摘する。

「もしこの傾向が長期的に続くのであれば、それはジョージ次第でもある」

「バルテリは明らかにその立場に満足していた。だからこそ、彼は非常に長い間そこにいたんだ」

ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

ラッセルには「別の道を探す」という選択肢
一方でシュタイナーは、ラッセルの将来がすでにメルセデスのナンバー2という立場に固定されたわけではないとも考えている。

ラッセルがチーム内でアントネッリと同等の機会を得られていないと感じたり、将来的にチームのリーダーになることが難しいと判断したりした場合、自ら別のチームへ移るという選択肢があるからだ。

「ジョージがこの状況に満足していないのであれば、別の道を探さなければならない」

「ただ、別の選択肢を見つけるのは簡単ではない。来年については空いているシートがないからだ。でも、2028年なら可能性はあるかもしれない」

つまりシュタイナーの見方では、ラッセルにとって問題となるのは現在の序列そのものよりも、それが今後も続いた場合にどう行動するかという点にある。

メルセデスに残れば、アントネッリがチームの中心的存在へと成長していくなかで、ラッセルが事実上のナンバー2という立場に置かれる可能性もある。一方、別のチームへ移籍すれば、自らがリーダーとなれる環境を探すこともできる。

「残りの人生ずっと2番手にはなりたくない」と考える可能性
シュタイナーは、ラッセル自身がボッタスと同じキャリアを歩むことを望まない可能性があるとみている。

「もしかするとジョージは『次のバルテリ・ボッタスにはなりたくない。ここに10年間いて、残りの人生ずっと2番手で終わるなんて嫌だ。どこか別の場所へ行かなければならない』と考えるかもしれない」

「だが、それを決めるのは彼自身だ。メルセデスではない」

アントネッリはメルセデスが長期的な将来を託して育成してきたドライバーであり、その存在感が高まれば、ラッセルを取り巻くチーム内の構図も変化していく可能性がある。

一方で、現時点でラッセルがメルセデスの「新しいボッタス」になったと断定するのは早い。シュタイナー自身もあくまで現状に類似性があると指摘しているにすぎず、今後のパフォーマンスによって力関係が再び変わる可能性も残されている。

それでも、アントネッリが現在の勢いを維持し、メルセデスの中心的存在として地位を固めていけば、ラッセルはいずれ重要な決断を迫られることになる。メルセデスに残って現在の環境で戦い続けるのか、それとも自らがチームを牽引できる場所を求めるのか。シュタイナーは、その分岐点として2028年がひとつの可能性になるとみている。