マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

マクラーレンF1代表 オスカー・ピアストリ苦戦の原因は「心理面ではなく技術面」

オスカー・ピアストリは、2026年F1シーズンでマクラーレンのMCL40から安定してパフォーマンスを引き出すことに苦戦している。オランダGPでも一時3番手を走りながら、最終的には6位まで後退した。

マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、ピアストリが抱える問題について、心理的なものではなく、低グリップ状態のマシンに自身の自然なドライビングスタイルを適応させる必要があるという「純粋に技術的」な課題だと分析している。

MCL40への適応に苦しむピアストリ
オランダGPの週末は、ピアストリが最後にF1で勝利してからちょうど1年という節目でもあった。2025年はドライバーズタイトル争いを繰り広げながらシーズン終盤に勢いを失い、2026年には新世代マシンへの対応という新たな課題に直面している。

ザントフォールトではチームメイトのランド・ノリスが優勝。ノリスは今季これでグランプリ2勝、スプリント1勝となった一方、ピアストリはここまで表彰台2回にとどまっている。

特にハード寄りのタイヤコンパウンドでは、マクラーレンの2人がMCL40からパフォーマンスを引き出す方法に違いが見られる。ピアストリは昨年タイトル獲得に迫ったときの速さを見せる場面もあるものの、スティント後半になるとペースが低下するケースが目立っている。

オランダGP決勝では、ピアストリはジョージ・ラッセルの隙を突く見事なオーバーテイクを決め、ハードタイヤで3番手を走行した。しかし、2セット目のハードタイヤに交換した後はペースが低下。フェラーリ勢にも先行を許し、最終的には6位でフィニッシュした。

オスカー・ピアストリはF1オランダGPで一時3番手を走行したものの、最終的には6位に後退した

低グリップでは自然なドライビングスタイルの変更が必要
ステラは、こうしたピアストリの特徴は2025年シーズンにも確認されていたと説明した。

「昨年すでにオスカーについて分かっていたことだが、技術的なドライビングという観点では、例えば昨年のメキシコやオースティンで見られたように、マシンのグリップレベルが低い場合、彼は自分のドライビングの仕方、考え方、そして期待するものを適応させる必要がある」

「それには少し頭を使う必要があり、その結果としてコンマ数秒を失う。純粋な本能だけでドライブするのではなく、ある意味で状況を頭の中で処理しなければならないからだ。本来なら、自分が予想したことがそのまま起きる状態で走れる」

ピアストリの場合、マシンの要求に合わせるため、本来持っている自然なドライビングスタイルを変えなければならない場面があるという。

「だから、自分の自然なドライビングスタイルをマシンが要求するものに適応させなければならないケースのひとつだと思う。したがって、これはドライビングと技術面の領域にある問題だ」

「心理的なものが関係しているとは思っていない。これは純粋に技術的なものだ。実際、今週末はオスカーが競争力のあるラップタイムを出しているところも見られた」

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

2026年型F1マシンへの適応と序盤2戦DNSの影響
2026年世代のF1マシンは2025年型とは大きく異なる。さらにピアストリはシーズン開幕から2戦連続でDNSとなり、実戦データを蓄積する機会を失った。

新レギュレーション下では、ドライバー自身もエネルギーデプロイメントの最適な使い方やタイヤの扱い方を学ぶ必要がある。その状況でグランプリ2戦分の経験を得られなかったことも、ピアストリの適応を難しくした要因のひとつと考えられる。

ただし、ステラはオランダGPで起きたすべてをピアストリのドライビングに帰するべきではないとも強調した。

ピアストリはラッセルをオーバーテイクした後、一度はメルセデスを引き離すことに成功していた。しかし、ラッセルのピットストップをカバーするためにタイヤ交換を行った際、マクラーレン側の作業が遅れたことで再びラッセルの後方に戻ることになった。

「レースではオスカーに影響した要因が2つあったと思う。ひとつはチーム側の責任だ。ラッセルをカバーするためにピットインしたとき、実際にはピットストップが遅かったためラッセルにポジションを奪われた。これはチームの責任であって、オスカーの責任ではない」

2セット目のハードタイヤを機能させられず
もうひとつの大きな問題が、2セット目のハードタイヤだった。

「そしてハードタイヤでの2回目のスティントでは、このタイヤを機能させることができなかった。ずっと非常に、非常にグリップが低い領域にとどまっていた。最初のスティントでは見られなかったことだ」

「だから、我々には取り組まなければならないことがいくつかある」

ステラは同時に、2026年F1の上位争いが極めて僅差になっていることも、ピアストリの結果をより厳しいものにしていると指摘する。

「ただ、それに加えて言っておきたいのは、今のF1は少なくとも3チームがコンマ1秒以内にいる状況だということだ。だから、何かひとつでも最適化されていなければ、順位という意味では非常に大きな損失になる可能性がある」

「最適化できていなければ、今は6位になってしまう。その意味では非常に残酷だ」

ステラは改善を評価「さらに良くなる」
それでもステラは、オランダGPの週末を通じてピアストリに改善が見られたことを前向きに評価している。

「だから、オスカーと一緒にあらゆる改善の可能性について取り組み続けるだけだ。今週末に見られた進歩には満足しているし、シーズンの残りではさらに改善していくと確信している」

2025年にはF1タイトル争いの中心にいたピアストリだが、2026年は新世代マシンへの適応という別の難題に直面している。ただ、ステラが強調するように、それは自信や心理状態の問題ではなく、低グリップ時のMCL40にドライビングを合わせるという技術的な課題だ。

トップチーム間がコンマ1秒単位で争う現在のF1では、そのわずかな適応の遅れが表彰台争いから6位まで順位を落とす結果にもつながる。ピアストリがMCL40の挙動に自身のドライビングを合わせ、より本能的に速さを引き出せるようになるかが、シーズン後半の巻き返しを左右するポイントとなりそうだ。