ランス・ストロール 赤信号無視のライバルに厳罰要求「ルールではストップ&ゴー」

ランス・ストロール 赤信号無視のライバルに厳罰要求「ルールではストップ&ゴー」

ランス・ストロールは、2026年F1オランダGPの赤旗中断後の再スタートを前に、ピット出口の赤信号を無視してコースへ出たオリバー・ベアマンとガブリエル・ボルトレトに対し、ストップ&ゴーペナルティを科すべきだと無線で繰り返し訴えた。

通常であれば「非常に重大なペナルティ」が科される違反だったが、スチュワードは特殊な状況だったことや、両者がアドバンテージを得ていなかったことなどを考慮。最終的にベアマンとボルトレトには戒告処分が下されるにとどまった。

赤旗後のピット出口で信号が突然赤に
問題の場面は、マックス・フェルスタッペンのクラッシュによる赤旗中断からレースが再開される際に発生した。

各車がピットレーンからコースへ向かい始めた時点では、ピット出口の信号はグリーンだった。しかし、フェルナンド・アロンソが通過した後、信号は点滅する赤へと変わった。

その直後、オリバー・ベアマンとガブリエル・ボルトレトは赤信号を通過。そのままグリッドへ向かった。ベアマンはその後、パワーユニットのトラブルに見舞われ、グリッドに到達する前にマシンを止めることになった。

一方、2台の後方にいたストロールは赤信号を確認すると、ピット出口で停止した。

ストロール「赤だよね? 僕はグリーンになるまで行かない」
ストロールはすぐにレースエンジニアのゲイリー・ギャノンに状況を伝えた。

ストロール:「ライトが赤だよね? 赤だ」

ギャノン:「確認している。今確認している」

ストロール:「グリーンになるまで僕は行かないよ」

ギャノン:「ああ、了解した、ランス」

それから約10秒後、まだ赤信号が続くなかでストロールは再び確認を求めた。

ストロール:「行っていいのか、ダメなのか教えて」

ギャノン:「FIAからの返答を待っている」

その後、信号がグリーンに変わり、ストロールはようやくピット出口からコースへと向かった。

「赤で出た全員にペナルティだ。ストップ&ゴー」
ストロールが強く問題視したのは、赤信号を無視して先に出ていったドライバーへの処分だった。

F1のペナルティガイドラインでは、レース中にピット出口の赤信号を通過した場合、10秒間のストップ&ゴーペナルティが基本的な処分とされている。ストロールはその点を認識しており、無線で繰り返しチームに訴えた。

ストロール:「じゃあ、赤信号で出ていった全員がペナルティを受けるべきだ」

ギャノン:「ああ、そうだ」

ストロール:「ストップ&ゴーだ」

ギャノン:「了解した。報告する」

ストロール:「それがルールだ」

ストロールは、実際に赤信号を通過したベアマンとボルトレトだけでなく、さらに多くのドライバーが違反したと考えていたようで、その後も追及を続けた。

ストロール:「明らかに全員が赤で出ていったんだったら、全員がペナルティを受けるべきだ」

ギャノン:「今確認している」

ストロール:「ストップ&ゴーだ」

ギャノン:「ああ、今確認している」

ストロール:「全員だよ」

ギャノン:「最初はグリーンだった。それから赤になった。誰が赤で通過したのか確認して、できるだけ早く報告している。間違いなく対応しているよ、ランス」

F1 オランダグランプリ

エンジニアが「レースに集中して」と促す場面も
ストロールの主張はフォーメーションラップに入ってからも続いた。

前方ではベアマンがマシントラブルによってスローダウンしており、ギャノンはストロールに注意を促した。しかし、ストロールはなおも赤信号の件を気にしていた。

ギャノン:「ベアマンがターン10から11の間で遅い。前方イエロー、ベアマンが止まっている。ターン10から11の間だ。ベアマンに注意して……」

ストロール:「それがルールだ」

ギャノン:「……そこにいる。ベアマンに注意して」

ストロール:「ルールでは、赤だったら……」

ここでギャノンは、すでにチームからFIAへ報告済みであることを強調し、ストロールに再スタートへ集中するよう求めた。

ギャノン:「ランス、もう報告した。報告済みだ。今はグリッドに向かうことに集中しよう、いいね? こちらから報告してあるし、彼らが対処する」

スチュワードは「非常に重大なペナルティ」の可能性を認める
しかし、スチュワードが下した裁定は、ストロールが求めていたストップ&ゴーではなかった。

ベアマンとボルトレトはともにピット出口の赤信号を無視した違反について戒告処分を受けた。スチュワードは、通常のレース中に同様の違反が起きれば非常に重大なペナルティの対象になると認めた一方、今回は特殊な状況だったと説明した。

スチュワードによれば、ピット出口の信号は両ドライバーが赤旗中断後の再スタートに向けてコースへ合流しようとしていたタイミングで赤に変わった。

「このような違反がレース中に発生した場合、ドライバーは常に信号に従う義務があるため、通常は非常に重大なペナルティが必要となる」

その一方で、今回については通常の意味でレースが進行している最中ではなかったことを考慮した。

「しかし今回、この違反はレースがライブの状態で発生したものではなく、再スタートに向けた準備段階で発生した。ただし、レース自体は第B5.15.2g条に従い、技術的にはすでに再開されていた」

さらにスチュワードは、ベアマンとボルトレトの行為によって競技上の利益や危険な状況が生じなかったことも軽減要素とした。

「加えてスチュワードは、いずれのドライバーもアドバンテージを得ておらず、潜在的に危険または安全ではない状況も生み出していなかったことを認める。したがって、軽減すべき事情と今回の特殊な状況を考慮し、ドライバーへの戒告が適切であると判断した」

この結果、ベアマンとボルトレトにはそれぞれ今季初となるドライビングに関する戒告が科された。

ピット出口の信号がなぜ突然グリーンから赤に変わったのかについて、公式な説明は出されていない。信号システム上のミスだった可能性も指摘されている。

ストロールは赤信号を確認して正しく停止し、「それがルールだ」「ストップ&ゴーだ」と無線で何度も主張したが、スチュワードは通常のレース中とは異なる特殊な再スタート手順だったことを重視。規則上は重大な違反になり得る行為だったものの、最終的には戒告という軽い処分で決着した。