フェラーリF1のチーム代表フレデリック・バスールが、2026年F1オランダGPでルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールから疑問の声が上がったレース戦略について説明した。ハミルトンに戦略の全容を伝えなかったのは、ライバルに意図を悟られないための意図的な判断だったという。
フェラーリはザントフォールトでハミルトンが4位、ルクレールが5位に終わり、表彰台を逃した。
レース中には戦略を巡って両ドライバーが無線で不満を示す場面があり、特にハミルトンは「タイムを無駄にした」「僕をモルモットにしているの?」とチームの判断に疑問を投げかけていた。
ハミルトンをステイアウトさせた本来の狙い
ハミルトンはルクレールより新しいタイヤを履き、異なる戦略を採っていたものの、前を走るチームメイトに抑えられる形となった。
本来はルクレールを先にピットインさせる予定だったが、そのタイミングが1周延長されたことでハミルトンが後方でタイムを失った。ようやく前が開いた際、ハミルトンは無線で皮肉を込めて「素晴らしいタイムロスだったね、みんな」と口にした。
その後、フェラーリはハミルトンを古くなったタイヤのままコース上に残した。ハミルトンはランド・ノリスとキミ・アントネッリに抜かれ、終盤のバーチャル・セーフティカー(VSC)でようやく最後のピットストップを行った。
バスールによれば、フェラーリの狙いはVSCが出る前の段階から、ハミルトンを可能な限り最後までステイアウトさせることにあった。
「その段階では戦略を彼に伝えたくなかった。ライバルにこちらの戦略を明かしたくなかったからだ。終盤まで彼をコース上に残したかった。VSCが出る前の状況を考えれば、それが正しい判断だったと思う」
つまり、ハミルトンが無線で状況を把握できずに苛立っていた背景には、フェラーリが無線を通じてライバルに戦略を察知されることを避ける狙いがあった。
ルクレールのピットインを1周延長「混乱があった」
一方、ハミルトンがルクレールの後方でタイムを失った場面について、バスールは予定していたピットストップが1周ずれたことで混乱が生じたことを認めた。
「シャルルはピットインする予定だったが、我々はそれを1周延ばした。そこで少し混乱があった。ただ、このことについて心配はしていない。彼らにはレースについて明確な全体像を説明することになる」
ルクレール自身も戦略に不満を示しており、特にタイヤコンパウンドの選択について疑問を抱いていた。
バスールは、今回のレースではフェラーリだけでなく、各チームがソフトとミディアムの性能差を正確に読み切ることが難しかったと説明する。

ソフトとミディアムの差は「非常に小さかった」
「シャルルもある段階ではタイヤコンパウンドについて少しフラストレーションを感じていた。ただ、コンパウンドについては全員が多少混乱していたと思う」
「ノリスは最初のスタートではミディアムを履き、その後ソフトに替えた。この日の2つのコンパウンドの差は非常に小さく、戦略について明確な全体像をつかむのは難しかった」
オランダGPではマックス・フェルスタッペンのクラッシュによる赤旗もあり、レース序盤から各チームの当初の戦略が崩れる展開となった。さらにタイヤ間の性能差が小さかったことで、他車の動きを確認しながら戦略を修正する必要があった。
「他のチームから学びながら戦っているので、時には戦略を変更したり、状況に合わせて適応したりしなければならない。ドライバーにとっては、それが少しフラストレーションになることもある」
結果は4位と5位 表彰台には届かず
フェラーリは最終的にハミルトンが4位、ルクレールが5位。終盤にはハミルトンが3位ジョージ・ラッセルにプレッシャーをかけたものの、メルセデスを攻略することはできず、表彰台には届かなかった。
ハミルトンとルクレールの無線だけを見れば、フェラーリの戦略には混乱があったようにも映った。しかしバスールの説明では、ハミルトンを長くステイアウトさせたこと自体は意図した戦略であり、その狙いをあえてドライバーに詳しく伝えない判断も含まれていた。一方で、ルクレールのピットインを1周延長した場面については「混乱」があったことを認めており、戦略そのものとその遂行、そしてドライバーとの情報共有という別々の要素が絡み合ったレースとなった。
