アイザック・ハジャーは、手首の負傷によってF1オランダGPを欠場することになったが、その決断の裏ではレッドブルだけでなく、MotoGPで7度の最高峰クラス王者に輝いたマルク・マルケスからも「復帰を急がないように」と助言を受けていた。
ハジャーは先週、トレーニング中に手首を負傷。本人はザントフォールトでのレース出場を望んでいたものの、レッドブルは将来への影響を考慮してリスクを冒さない方針を選択した。さらに、負傷後にハジャーが相談したマルケスも同じ考えを伝えたという。
レッドブル「リスクを冒す理由はない」
ハジャーの欠場に伴い、レッドブルではリアム・ローソンが代役を務め、レーシングブルズでは角田裕毅がF1復帰を果たした。
レーシングブルズCEOのピーター・バイエルによれば、姉妹チームには金曜日の時点でドライバー変更の可能性が伝えられ、その後、火曜日に状況が大きく動いた。角田裕毅はギリシャで休暇を過ごしていたところに急きょ連絡を受け、ローソンは2025年中国GP後の降格以来となるレッドブルでの出場機会を得た。
一方、ハジャーにとってザントフォールトは思い入れのある場所でもある。2025年のオランダGPでは自身初のF1表彰台を獲得しており、今年はその出来事をユーモラスに振り返るスペシャルヘルメットを用意していた。
それだけに本人は出場への意欲を示していたが、レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは、無理をさせる必要はないとの判断を強調した。
「アイザックは大丈夫だ。彼についてリスクを冒す理由はまったくない」
「彼は素晴らしいシーズンのスタートを切った。このマシンでガレージを出るたびに、セッションを重ねるたびに、そして週末を重ねるたびに、どんどん強くなっている」
「我々は一切リスクを冒さない。今週末は回復に専念してもらい、できれば本当に早くマシンに戻ってきてもらいたい」
マルク・マルケスも「復帰を急がない方がいい」
ハジャーに同様の助言を送ったのが、MotoGP王者のマルク・マルケスだった。
一見するとF1ドライバーとMotoGPライダーという異なる世界の2人だが、ハジャーとマルケスは理学療法士のカルロス・J・ガルシアを共通して起用している。このつながりから、ハジャーは手首を負傷した後にマルケスへ連絡を取った。
そこでマルケスは、焦って復帰しないようハジャーに助言したという。また、特定の医療処置についても性急に決断すべきではないとの考えを伝えた。
ハジャーはまだ若く、今後長いF1キャリアを築いていく可能性がある。そのためマルケスは、目の前の1レースへの復帰を優先するよりも、時間をかけて手首を適切に治すことが重要だと考えた。
これは結果的に、レッドブルがハジャーに伝えた方針とも一致していた。

自身も度重なる負傷を経験したマルケス
マルケスの助言には、自身の長い負傷経験という背景がある。
MotoGPで数々の大事故を経験してきたマルケスは、右上腕骨や右手親指の骨折、両肩の脱臼、さらには複視など、キャリアを通じてさまざまな負傷に苦しんできた。
特に右上腕骨の負傷では復帰まで長期間を要しており、早期復帰を目指すことのリスクを身をもって経験している。それだけに、若いハジャーに対して短期的な復帰よりも完全な回復を優先するよう促したことには重みがある。
F1イタリアGPでの復帰が目標
次の焦点は、ハジャーがいつレッドブルのRB22に復帰できるかだ。
レッドブルは現時点で復帰時期について正式な判断を下すには早すぎるとしているが、9月4~6日に開催されるF1イタリアGPでの復帰を目標としている。
メキースは「まだ確実にそう言うには早すぎるが、モンツァで復帰させることが我々の目標だ」と説明した。
高速コースのモンツァはカレンダーの中では身体的負担が比較的小さいサーキットだが、その翌週には新設のマドリンクでマドリードGPが控えている。連戦を考えても、中途半端な状態で復帰させないことが重要になる。
オランダGPへの出場を望んでいたハジャーにとって欠場は悔しい決断となったが、レッドブルと、数々の負傷から復帰してきたマルケスの意見は一致した。目先の1戦ではなく今後のキャリアを優先し、まずは手首を完全に回復させることが最優先となる。
