アイザック・ハジャーは、夏休み中のトレーニングで左手首を骨折して以来、レッドブル・レーシングのF1マシンに戻れていない。F1アゼルバイジャンGPでの復帰が期待されるなか、2016年F1王者のニコ・ロズベルグが、手首の負傷がF1ドライバーにとって特に厄介な理由を説明した。
ハジャーは夏休み中に手首を負傷し、F1オランダGPを欠場。その後も復帰には至らず、イタリアGP、スペインGPと3戦連続で欠場した。
レッドブルは「100%」を復帰の条件に
スペインGPが行われたマドリンクで、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、ハジャーの状態と本人の感覚を最優先していると説明した。
「簡単な判断だった。彼は100%だと感じていなかった。それが我々が用いた唯一の基準だ。100%なのか? そこから先の判断は簡単だった」
「我々は常に、100%健康な状態での復帰を最優先すると言ってきた。それに基づいて判断した」
レッドブルは現在、ハジャーが次戦F1アゼルバイジャンGPに出場できるまで回復することを期待している。
最終的な判断を下す前にはシミュレーターを使用し、F1マシンをドライブする際にかかる身体的な負荷に耐えられるかを確認する予定だ。
現時点でバクーでの復帰は確定していない。市街地コースであるバクーはコース脇にウォールが迫り、ミスをした際の衝撃も考慮する必要がある。
ロズベルグ「手首を負傷した状態でF1を運転するのは本当にひどい」
ロズベルグは、ハジャーの復帰に時間がかかっている理由について、F1マシン特有の身体的な負荷を挙げた。
比較対象となるのがランス・ストロールだ。ストロールは2023年、サイクリング中の事故で右手首を骨折したものの、わずか2週間後にはF1マシンに復帰した。
ただし、ストロールは2025年にも手首の問題を抱え、詳しい内容は明らかにされなかったものの、再び手術を受けてスペインGPを欠場している。
「手首を負傷した状態で運転するのは本当にひどい」とロズベルグは語った。
「数年前にランス・ストロールがやってのけたのを見た。信じられないことだった。でも、ダウンフォースによる負荷などを考えると、本当に過酷なんだ。彼は痛みを乗り越えて走っていて、みんなが驚いていた」
特に大きな問題になるのがブレーキングだという。ドライバーは減速時に大きな前後方向のGを受け、その力に対抗するためステアリングを強く支える必要がある。
「そして、あまり考えないかもしれないけど、ブレーキングでは身体がシートベルトに対して前方へ押し出される」
「そこでステアリングを使って身体を支えなければならない。そうしなければ身体が前へ行ってしまうし、当然ながらシートベルトだけに身体を預けたくはない」
「だからステアリングにものすごく強い力をかけなければならない。でも、手首を骨折していたらそれはできない。痛みがあまりにも強すぎるからだ」

バクー復帰はシミュレーターで最終判断
F1スペインGPの週末にはハジャー本人もマドリンクを訪れていたが、負傷の回復状況について公の場ではコメントしなかった。レッドブルはメディアに対し、ハジャーの負傷について本人へ質問しないよう求めていた。
一方、メキースは回復そのものに問題はなく、この種の負傷として通常の経過をたどっていると説明している。
「アイザックの回復には何の問題もない。この種の負傷として、基本的には通常の回復期間だと理解している」
「だから我々は同じアプローチを続ける。バクーに向けて状態を評価し、彼がどう感じているかを確認したうえでシミュレーターに乗せ、実際に近い負荷をかける」
「100%に近いと感じられれば、挑戦する。まだ回復が完了していないと本人が感じるのであれば、我々はこれまでの方針を貫き、回復を最優先する」
ハジャーにとって重要なのは、単に骨折箇所が回復することだけではない。強烈なブレーキングやステアリング操作を繰り返しても痛みなく走り切れる状態まで戻す必要がある。レッドブルはシミュレーターでその状態を確認したうえで、F1アゼルバイジャンGPでの復帰可否を決めることになる。


















