角田裕毅が、F1公式サイトが選ぶ2026年F1イタリアGPの“勝者”のひとりに選出された。レーシングブルズから参戦した角田裕毅は、予選Q1敗退から決勝で挽回し、10位で貴重な1ポイントを獲得した。
F1公式のローレンス・バレットは、2026年型マシンでまだ2戦目ながら角田裕毅が見せたクリーンなレースを評価。「2027年にレギュラーシートを見つけられるかもしれないという期待を高める」と、そのパフォーマンスを称えた。
勝者:キミ・アントネッリ
キミ・アントネッリは、近年のF1でも屈指のパフォーマンスを披露した。エンジンコンポーネント交換による複数のグリッド降格ペナルティで19番手からスタートしたものの、わずか18周でトップに浮上した。
20歳のアントネッリは、その後メルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルとのコース上での争いも制し、今季そして自身通算7勝目を獲得。1953年にイタリア人最後のF1ワールドチャンピオンとなったアルベルト・アスカリ以来、最も成功を収めたイタリア人ドライバーとなった。
また、イタリア人によるF1イタリアGP優勝は、1966年のルドヴィコ・スカルフィオッティ以来60年ぶり。19番グリッドからの優勝はF1史上2番目に低いスタート位置からの勝利で、記録は1983年ロングビーチで22番手から勝ったジョン・ワトソンが保持している。
さらにドライバーズ選手権では、ラッセルに対するリードを66ポイントに拡大。3位のルイス・ハミルトンはそこからさらに10ポイント後方となり、残り9戦を迎える。
敗者:ジョージ・ラッセル
結果だけを見れば、ジョージ・ラッセルにとってモンツァにはいくつかのポジティブな材料があった。2戦連続で本来のパフォーマンスに近づいている印象を与え、モンツァで自己最高となる2位を獲得。ドライバーズ選手権でも2位の座を固めた。
しかし、それ以上に大きかったのは、17グリッド後方からスタートしたチームメイトに完敗したという事実だ。
アントネッリがエンジンペナルティで後方に沈んだことは、ラッセルにとって選手権のポイント差を縮める絶好のチャンスだった。それにもかかわらず、逆にリードを広げられる結果となった。
さらにラッセルも近いうちにエンジン交換によるグリッドペナルティを受ける必要があり、そのタイミングは次戦以降になる可能性がある。
勝者:メルセデス
シャシーとパワーユニットの競争力を考えれば意外にも、メルセデスにとって今回が第2戦中国GP以来となる今季2度目のワンツーフィニッシュだった。
アントネッリとラッセルはトップを巡って激しくもフェアな戦いを展開し、最終的にはアントネッリが勝利。メルセデスのドライバーがモンツァの象徴的な表彰台に立ったのも2022年以来となった。
大量得点によってチームズ選手権ではフェラーリとの差を122ポイントまで拡大。残り9戦で獲得可能なポイントは402ポイントとなっている。
敗者:フェラーリ
フェラーリはホームレースに2度目のパワーユニットアップグレードとシャシーの改良を投入し、大きな期待を背負ってモンツァに乗り込んだ。
金曜のフリー走行ではまずまずの速さを示し、予選自体は順調とは言えなかったものの、アントネッリとオスカー・ピアストリのペナルティによって3番手と4番手からスタートすることになった。
しかし、決勝は開始直後から崩れた。ターン1からターン2にかけてハミルトンとシャルル・ルクレールがサイド・バイ・サイドとなり、ハミルトンはグラベルに押し出されて10番手まで後退。さらにルクレールがパラボリカでクラッシュし、モンツァを埋め尽くしたティフォシにとって厳しい展開となった。
ハミルトンは最終的に6位まで挽回したものの、選手権首位アントネッリとの差は3勝分を超えるポイント差に広がった。
勝者:マックス・フェルスタッペン
レッドブル・レーシングは2026年マシンを改善するために多くの課題を抱えているが、マックス・フェルスタッペンは見事なオーバーテイクを連発し、マシンを3位表彰台まで引き上げた。
フェルスタッペンは週末を通じてマシンバランスに満足しておらず、決勝でもデプロイメントの問題に苦しんでいる様子があった。それでもメルセデス勢に続く表彰台を確保した。
モンツァでは2022年、2023年、2025年に優勝しており、今回が勝利以外では初めての表彰台。今季では5度目のトップ3入りとなった。
敗者:アストンマーティン
アストンマーティンは、ホンダ製パワーユニットの弱点を考えれば「スピードの神殿」と呼ばれるモンツァが厳しい戦いになることを事前に認識していた。そして、その懸念が現実となった。
予選Q1では今季7度目となる最も遅い2台となり、ランス・ストロールは22番手で自身通算100回目のQ1敗退を喫した。
決勝ではフェルナンド・アロンソのマシンにトラブルが発生してリタイア。ストロールも油圧系とみられる問題によってレースを終えた。これでアストンマーティンは今季4度目のダブルリタイアとなった。

勝者:ピエール・ガスリー
ピエール・ガスリーは、F1史に残る予選パフォーマンスのひとつを披露し、191回目のグランプリ出走で自身初のポールポジションを獲得した。
決勝ではそのポジションを維持することはできなかったものの、巧みなレース運びで7位フィニッシュ。中団勢のトップとしてチェッカーを受けた。
今季9度目のポイント獲得となり、レッドブル/レーシングブルズのリアム・ローソンまで10ポイント差に迫った。
チームメイトのフランコ・コラピントもグラベルへのコースオフがありながら9位でフィニッシュ。アルピーヌはチームズ選手権5位のレーシングブルズとの差を13ポイントまで縮めている。
敗者:ハース
ハースはモンツァに今季最大規模となるシャシーアップグレードを持ち込み、オリバー・ベアマンとエステバン・オコンの2台に新パーツを投入した。
さらにベアマンには、フェラーリから供給された新仕様パワーユニットが搭載され、序盤にはポイント争いへの復帰を期待させる兆候が見られた。
ベアマンは第2戦中国GPでQ3に進出して以来となる好位置の12番グリッドを獲得したが、決勝ではそこから順位を上げるだけのペースがなく14位。オコンもライバル勢よりタイヤデグラデーションが大きく、16位に終わった。
ハースはこれで7戦連続ノーポイント。それでもチームズ選手権7位を維持している。
勝者:アービッド・リンドブラッド
アービッド・リンドブラッドは、印象的なルーキーシーズンをモンツァでも継続した。レーシングブルズのリンドブラッドは6戦連続でQ3進出を果たし、ポイント獲得を狙える位置につけた。
決勝でも力強い走りを見せて8位に入り、直近9戦で8度目となるポイントを獲得した。
純粋なパフォーマンスではアルピーヌに先行された週末だったが、レーシングブルズにとってはダメージを最小限に抑える結果となり、チームズ選手権5位を守った。
敗者:リアム・ローソン
リアム・ローソンにとって、レッドブル・レーシングの代役として臨んだ2戦目は、前戦オランダGPほどスムーズには進まなかった。
エンジンコンポーネント交換によるグリッドペナルティを受けることが決まった段階から厳しい状況となり、予選では15番手だったものの、チームはピットレーンスタートを選択した。
序盤には好スタートでいくつか順位を上げたが、ニコ・ヒュルケンベルグのアウディと接触してフロントウイングを破損。早期のピットストップを余儀なくされ、ポイント争いの可能性を失った。
勝者:角田裕毅
角田裕毅は、レーシングブルズの代役として2戦目となったF1イタリアGPで浮き沈みのある週末を過ごした。フリー走行では速さを見せた一方、予選ではQ1敗退を喫した。
決勝のスタートでは理想的な位置にマシンを置くことができなかったものの、それはレース全体で見れば小さなミスにすぎなかった。その後はクリーンなレースを展開し、トップ10まで順位を上げて10位で1ポイントを獲得した。
2026年型シャシーでまだ2戦目という状況を考えれば、評価できるパフォーマンスだった。2027年にF1のレギュラーシートを確保できるのではないかという期待を高める結果にもなった。
アントネッリが19番手から母国優勝を成し遂げたメルセデスが最大の勝者となった一方、フェラーリやアストンマーティン、ハースには厳しいモンツァとなった。そして角田裕毅にとっては、レーシングブルズ復帰後2戦目で結果を残し、2027年のF1シート獲得に向けて存在感を示す週末となった。
