カテゴリー: WEC (FIA世界耐久選手権)

  • トヨタ、ル・マン24時間レースに向け好発進

    トヨタ、ル・マン24時間レースに向け好発進

    6月1日(日)フランスのサルト・サーキットでル・マン24時間レースの公式テストが実施された。トヨタはFIA世界耐久選手権(WEC)のポイントリーダーとして、2014年ル・マン24時間レースに挑む。

    2台のTS040 HYBRIDはこの日の午後に叩き出したベストラップでトップ2を独占してテストを終えたが、それ以上に重要なのは、トラブルフリーで順調にテストを完了したことである。2台はこの日、それぞれ88周、約1200kmを走破した。

    ル・マンはWEC第3戦となるが、トヨタ・レーシングは開幕戦のシルバーストン、第2戦のスパ・フランコルシャンと連勝している。この連勝により、トヨタはマニュファクチャラーズポイントで、ライバルのアウディやポルシェに対し、48ポイントリードの首位につけている。

    今日の公式テストデーは、4時間のセッションが2回実施された。チームにとってはレースウィークの公式練習走行が始まる6月11日(水)以前において、初めてかつ唯一、実際のコースで走行テストが出来るチャンスである。

    TS040 HYBRIDにとってもル・マン初走行となり、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、中嶋一貴の#7と、アンソニー・デビッドソン、ニコラス・ラピエール、セバスチャン・ブエミの#8の2台は、盛り沢山のメニューをこなした。

    レースウィークまで2週間を切っての、わずか8時間の走行とあって、空力やメカニカル・セットアップの評価、ミシュランのスリックタイヤの作動領域など、チームは一時も無駄にすることなくテストを行った。

    2014年仕様として改良されたトヨタ・ハイブリッドシステム・レーシング(THS-R)も同様に、4輪駆動で伝えられる480馬力のハイブリッドブーストを、最も効率的に使えるようにするための分析が行われた。

    ハイブリッドシステムは、高熱効率エンジンと組み合わされて合計1000馬力という高出力に貢献するだけでなく、同時に2013年仕様よりも25%の低燃費化を達成している。

    レースウィークは6月11日(水)の16:00(日本時間23:00)からの4時間にわたる練習走行に始まり、22:00(同翌5:00)からは2時間の予選セッションが行われる。予選は、更に12日(木)の19:00(同翌2:00)と22:00(同翌5:00)からの2回にわたる2時間のセッションまで続き、決勝のスターティングリッドを決定。14日(土)は9:00(同16:00)からの45分間のウォームアップ走行の後、15:00(同22:00)に24時間レースのスタートが切られる。

    木下美明 (チーム代表)
    「今日、サルト・サーキットで初めてTS040 HYBRIDを走らせ、良いパフォーマンスが発揮出来たのは、本当に嬉しい。しかし、これはあくまでもテストであり、これが全てではないが、レース本番に向けて大変良い試験になった。昨年から準備し、今日はチームも良い仕事を行った結果だと思う。この気持ちを24時間レースの最後まで、持ち続けたい。レーススタートが待ち遠しい」

    TS040 HYBRID #7
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)
    午前のセッション:4番手(3分26秒371)44周
    午後のセッション:2番手(3分23秒156)44周

    アレックス・ブルツ
    「ここル・マンに戻って来て、このコースでTS040 HYBRIDを初めて走らせられて良かった。今日は非常に興味深い一日だった。全てがこのレースでの3メーカーによる素晴らしい戦いのためのように思う。ありがたいことに今や我々は、レースの勝敗を決しうるような細部の煮詰めをするところまで来ており、非常に実りある一日だった」

    ステファン・サラザン
    「今日やり遂げたことには満足している。我々はレース用のセットアップをし、午後にはそのいくつかを変更した。上手くいかなかったものもあるが、今のうちに発覚して良かったと思っている。クルマの状態は良く、本当に速いしバランスの良さが気に入っている。去年に比べれば大きな前進と言えるのが4輪駆動の素晴らしさとハイブリッドがとてもパワフルなことだ。あらゆる点で改良をしており、運転はとてもエキサイティングだ」

    中嶋一貴
    「我々にとってポジティブな1日だった。午前中いきなり良いペースで走れ、クルマにはとても満足している。午後には少しだけ些細な変更を試みたが、いくつか有意義な結果は得られた。全ての変更が正しかったわけではないが、少なくともデータが取れて、レースウィークに向けての良い準備が出来たと思っている。今は非常に心強いスピードを手にしていると言っていい。我々はレースウィークに向け非常に士気が高まっているが、レースが終わるまではまだ長い時間がある」

    TS040 HYBRID #8
    (アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
    午前のセッション:2番手(3分25秒881)42周
    午後のセッション:1番手(3分23秒014)46周

    アンソニー・デビッドソン
    「毎年あっという間に感じるが、1年ぶりのル・マンでのレースカードライブを楽しむことが出来た。TS040 HYBRIDは一日を通して強力で、バランスも良く感じた。プログラムを遂行し、多くの成果を得た。今朝の走り始めから車両のバランスは良く、細かい部分の作業まで進めることが出来た。全体的に見て順調な一日であり、レースウィークにまたここに戻ってくるのが待ち遠しい」

    ニコラス・ラピエール
    「ル・マンに戻ってくることが出来て喜んでいる。本当にファンタスティックなコースだ。今日は昨年と比較して、いくつかのコーナーに新設された縁石に関する小さな変更について経験を積むことが出来た。建設的な一日となり、満足している。全てが順調にいき、様々なセットアップやタイヤを試し、ハイブリッドのセッティング作業も行った。上手く行っていると思うし、3人のドライバーは全員TS040 HYBRID #8に満足している。安定しており、かつ非常に速い」

    セバスチャン・ブエミ
    「多くの距離を走破し、良い仕事が出来た。それlこそが今回のテストの目標であり、成果に満足している。ル・マンにいられることは本当にファンタスティックで、来週再び戻ってくるのを楽しみにしている。TS040 HYBRIDは好感触で、望んでいたテストを全てこなせた。我々はセットアップに有用ないくつかの指標を見出した。我々にはまだ学ぶべきことが多くあり、これから得られたデータの全てを分析する必要がある。我々のパッケージから可能な限りのパフォーマンスを発揮させるべく試み、レースウィークには最高のポジションにつけられるようにしたい」

  • ポルシェ919ハイブリッド:パワーユニット解説

    ポルシェ919ハイブリッド:パワーユニット解説

    ポルシェは、ポルシェ919ハイブリッドによりシルバーストンで開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦で表彰台に登り、スパ・フランコルシャンではポールポジションを獲得して、スポーツカーレースのトップカテゴリーへ見事な復帰を果たした。

    新たに結成されたポルシェ ワークスチームにとっては幸先の良いスタートとなったが、ポルシェ919ハイブリッドの大胆なイノベーションを考えると、決して予測可能な結果ではなかった。

    この結果はWECとル・マンにおける新時代の到来を告げている。ポルシェ919ハイブリッドは、未来の市販車のための技術プラットフォームであり、実証試験でもある。「WECのスターティンググリッドに並ぶ他のプロトタイプには、ポルシェ919ハイブリッドほど効率的で複雑なハイブリッドシステムを備えた車はない」とポルシェは自信をみせる。

    ポルシェは、WECのトップクラスへの復帰によって重要な課題に直面している。第一に、919ハイブリッドは、スポーツカーメーカーがかつて製造した中でも最も複雑なレーシングカーであるということ。第二に、ポルシェはライバル達とは異なり、比較するための前年度の経験やデータを持ち合わせていないということだった。そして第三に、新設のLMP1レーシングチーム内において、ポルシェは自社のエンジニアでプロトタイプを開発したということ。それは、他の企業から既存のコンポーネントを購入するより遥かに困難なことだが、長期的には、より将来性のある道筋といえる。このような試みにおいて、LMP1テクニカルディレクターのアレクサンダー・ヒッツィンガーと彼のチームは、将来の市販車カスタマーにメリットをもたらすソリューションを探し出すというポルシェ伝統の経路を辿ることになる。

    最適なエネルギー変換効率(供給されるエネルギーと使用するエネルギーの間の最良の比率)の追求が、エアロダイナミクスや重量が最適化された各コンポーネントなどポルシェ919ハイブリッドのあらゆる側面に大きな影響を与えている。高度で先進性溢れるエネルギー回生システムとドライブシステムは、2つの際立った特徴となっている。WECの画期的な2014年シーズンの新しいレギュレーションは、ポルシェのスペシャリストたちに大きな裁量を与えた。周回ごとに使用可能な燃料の量が、車の性能の主な制限要因になっている。このアプローチでは、エネルギー効率が主要な要因となる。一方、ハイブリッドシステムも、LMP1-Hカテゴリーから出場するワークスカーの必要条件となる。レギュレーションの制定者は、エンジンの気筒数と最大排気量の選択とともに、回生エネルギーの貯蔵のタイプと方法をメーカーの裁量に任せた。

    ポルシェ919ハイブリッドは24時間に4,500kmを超えるエネルギーを発生
    ル・マンにおいては、周回ごとにドライバーが使用できるブーストとして供給される電気エネルギーの総量は制限される。規定では、2〜8メガジュール(MJ)までのエネルギーレベルに応じて4つのカテゴリーに分かれている。ポルシェは、ポルシェ919ハイブリッドを6メガジュールのカテゴリーで登録した。つまりこのLMP1プロトタイプは、サルトサーキットの13,629kmのロングコースにおいて、厳密に1.67kWhのエネルギーを使用できるということになる。それは実質的にどういうことを表すのだろうか?

    2013年のル・マンの覇者は348周を走破した。同じ距離から算出すると、ニューポルシェ919ハイブリッドは581.2 kWhを発生し、使用する。それは、60Wの電球を9,687時間という莫大な時間点灯させる電力に相当する。言い換えると、LMP1ポルシェ プロトタイプがル・マンのレース中に回生するエネルギーによって、フォルクスワーゲンの新しいe-Golfなど、現在販売されているコンパクトクラスの最も効率的な電気自動車で、4,576kmを走行できることになる。それは米国の東海岸から西海岸、すなわちニューヨークからロサンゼルスまでを横断できる距離にあたる。

    熱エネルギー回生における新たなベンチマークを設定
    「フロントアクスルにおける制動時の運動エネルギーの回生は、ブレーキング時にダイナミックに前方に移動する軸荷重によって大きなポテンシャルを備えるので、これを利用するシステムが論理的な展開といえました。私達は、このソリューションの選択によってリアアクスルへのKERSの適用を諦めました。自然吸気エンジンから始めるとKERSが唯一の選択肢になります。しかしターボチャージャーを使用することによって他の選択肢が生じました。私達が、ターボチャージャーによって排気ガスからエネルギーを引き出すことを選択した理由はそこにあります」とアレクサンダー・ヒッツィンガーは説明する。

    極めて革新的な排気ガスによる熱エネルギー回生を備えた、新しいル・マン・プロトタイプの複雑なハイブリッドシステムは、WECにおいては唯一ポルシェが採用している。このシステムでは、基本的にいわゆるウェイストゲートバルブの代わりに追加のタービンジェネレーターユニットを使用している。このバルブは通常、コンプレッサーの駆動に必要のない、排気ガスによる余分なエネルギーを大気中に逃す。ポルシェは、排気ガスによるこの過剰なエネルギーを利用している。すなわち、このエネルギーが、電気エネルギーを発生するジェネレーターを駆動する2つめのタービンを動かす。この新しいテクノロジーは、他のシステムでは常に失われていたエネルギーを回生する。ポルシェ919ハイブリッドは、このような排気ガスからのエネルギーの使用により、同クラスの車両において唯一、制動時だけでなく加速時にもエネルギーを回生する車となっている。両方のシステムが、電気エネルギーに変換された運動エネルギーと熱エネルギーを、水冷式リチウムイオンバッテリーに戻す。

    走行性能はそのままに、燃料消費量を30%削減
    電気エネルギーの貯蔵方法においてもポルシェは自らの方針に基づく独自の手法をとった。それは効果が少なくても簡単に利用できるシステムを採用する代わりに、将来性のあるテクノロジー、この場合は水冷式リチウムイオンバッテリーを使用すること。

    「ポルシェのエンジニアとの協力で開発されたこのノウハウは、未来のハイブリッド車にメリットを与えます」とヒッツィンガーは強調する。ヒッツィンガーは、フライホイールによる貯蔵とウルトラキャパシターとも呼ばれるスーパーキャパシターの研究も行ったが、リチウムイオンバッテリーが最高の解決策であることを見つけ出した。「しかしあくまで、高出力密度に高度な貯蔵容量を提供するために適切なセルテクノロジーが利用できる場合に限られます」と彼は付け加えている。ポルシェはこれを達成するために、パートナーのA123システムズによるバッテリーセルに信頼を置いている。

    ポルシェがエンジンのために採用したアプローチも同様に他に類がない。2リッターの排気量と直噴を備えた新開発のV型4気筒ターボエンジンは、ポルシェにとっては異型のシステムで、ダウンサイジングの先駆的な例となる。4気筒エンジンは、低重量なコンパクトサイズと構造的剛性および高出力の理想的な組み合わせ。ポルシェが選択した6-MJカテゴリーでは500PSを超えるガソエンエンジンには、ル・マンの1周に対してわずか4.78リッターの燃料消費しか許可されない。回生システムがパワフルになるほど燃料の燃焼は減少することになる。走行性能は同じにもかかわらず、エネルギーの許容量は昨年より30%減少している。

    ル・マン挑戦のための最先端テクノロジーソリューション
    FIA世界耐久選手権(WEC)の今年のカレンダーには、8つのレースが含まれる。イギリスのシルバーストンと「アルデンヌのジェットコースター」スパ・フランコルシャンの2つの6時間レースの後、待望の第3戦は、シーズンのハイライトであると同時に比類のない挑戦となる伝説のル・マン24時間。13.629kmのサルトサーキットの大半(9km)は、普段は通勤車や重量物運搬車も通行する、わだちの残る地方道を閉鎖して走る。長いストレートもル・マンの特徴。LMP1のワークスカーは、昼夜を問わず周回ごとに320km/hを超えることが数回におよび、2ヶ所のシケインでは、市街地での走行速度まで減速しなければならない。しかも周回の約70%でエンジンはフルスロットル。

    急ブレーキと長く続くパワフルな加速。ポルシェはこの特別な条件に合わせて、運動および熱エネルギー回生システムを備えた、パートタイム4WDのポルシェ919ハイブリッドを開発した。精巧なバランスのエアロダイナミクスも、ル・マンにおいてポルシェ919ハイブリッドの優位性を保つ上で決定的な役割を果たす。結果、発生するダウンフォースは、「ポルシェカーブ」などの高速コーナーで抜群のスピードをもたらす。これに対して可能な限り空気抵抗を減らすることにより、ロングストレートでは最高速度に達することができる。

    フランスのサルト県で行われるル・マン24時間の後、WECは3ヶ月のインターバルをおいてから、ヨーロッパを離れる。スケジュールには、米国(オースティン、9月20日)、日本(富士、10月12日)、中国(上海、11月2日)、バーレーン(サヒール、11月15日)、ブラジル(サンパウロ、11月30日)の5つの6時間レースが含まれる。

  • トヨタ、ル・マン24時間レースのパブリックビューイングを実施

    トヨタ、ル・マン24時間レースのパブリックビューイングを実施

    トヨタは6月14日(土)と15日(日)、フランスのル・マン市で開催されるFIA世界耐久選手権(WEC) 第3戦 ル・マン24時間レースの模様を観戦する「パブリックビューイング」を東京・お台場のメガウェブで実施する。

    トヨタ・レーシングは、2012年よりハイブリッド・レーシングカーTS030 HYBRIDでル・マン24時間レース挑戦を再開。昨年は首位を争ったが、惜しくも2位表彰台獲得という結果に終わった。

    今季は新たなレギュレーションに合わせて生まれ変わったTS040 HYBRIDの2台体制で参戦。システム全体で最大1000馬力を発揮するTS040 HYBRIDは既に、ル・マンの前哨戦とも言えるWEC第1戦、第2戦で連続勝利を飾る速さを示しており、トヨタ・レーシングにとって悲願とも言えるル・マン24時間レース制覇に期待がかかる。

    パブリックビューイングは、24時間レースのスタート時とゴール時にレースの模様を放映する他、ゲストを迎えてのイベントも開催する。ゲスト解説者として、LEXUS RacingでSUPER GTを戦う脇阪寿一と伊藤大輔が出演予定。

    また、フランス・パリのシャンゼリゼ通りにあるトヨタのショールーム「ランデブー・トヨタ」との連携イベントも実施する。

    イベント参加者には特製ステッカーを配布する他、ゴール後にはWECドライバーサイン入りグッズが当たる抽選会も予定している。

    開催概要は以下の通り。

    開催場所: メガウェブ トヨタシティショーケース2F グローバルディスカバリーゾーン内
    〒135-0064 東京都江東区青海1-3-12
    電話:03-3599-0808
    入場無料
    ゲスト解説: 脇阪寿一、伊藤大輔(LEXUS Racing ドライバー)
    MC: 今井優杏

    パブリックビューイング&トークイベントのスケジュール

      受付開始 イベント開始 イベント終了 レーススケジュール
    6月14日(土) 20:30 21:20 22:50 スタート 22:00
    6月15日(日) 19:00 19:50 22:50 ゴール 22:00

    ※15日(日)16:00〜19:50は大画面でのライブ放映のみ実施

  • フェルナンド・アロンソ、ル・マン24時間レースのスターターを担当

    フェルナンド・アロンソ、ル・マン24時間レースのスターターを担当

    フェルナンド・アロンソは、6月15日(日)〜16日(月)に開催される第3戦 第82回 ル・マン24時間レースのゲストスターターを務めることが26日(月)に発表された。

    「このレースのスターターに選ばれてすごく嬉しい。ル・マンはモータースポーツの歴史を確立した数少ないレースのひとつだからね」とフェルナンド・アロンソはコメント。

    「この種のクルマの詳細をチェックしたい。F1で僕たちもハイブリッド時代に突入しているし、このシリーズに関連する作業方法やテクノロジーをもっと知りたい」

    また、フェルナンド・アロンソは、昨年限りでF1を引退し、今年ポルシェからWECに参戦するマーク・ウェバーともル・マンで再会することになる。

    「もちろん、マーク・ウェバーは素晴らしい友人だし、彼に会えるのも嬉しいね。F1は彼がいなくて寂しく思ってるし、彼が耐久レースをどのように闘ってるのか知りたい」

  • アウディ、ル・マンへの準備を順調に進める

    アウディ、ル・マンへの準備を順調に進める

    来る6月14〜15日に開催されるル・マン24時間レースは、アウディスポーツ チームヨーストが迎えるシーズン最大のイベント。世界最多レベルの観客が集い、世界耐久選手権(WEC)のシリーズポイントが2倍与えられるレースということもあり、ル・マンの準備は他のレースに比べ、大規模でより入念に行われる。

    アウディ R18 e-tron クアトロがピットストップした際は、ぜひメカニックの動きにも注目だ。どのメカニックも非常に訓練されており、その動作に無駄がないことに気付くはずだ。

    特にタイヤ交換、給油、ドライバー交替は、抜群の精度で行われる。これを実現するため、メカニックはあらゆる作業に改善を重ね、その「動き」を数百回もリハーサルしている。

    タイヤ交換が主となるDTMなどのスプリントレースと異なり、ル・マンでのピット作業は多岐に渡る。作業のメインは、給油と必要に応じたタイヤ交換で。レギュレーションにより、作業出来るメカニックの数が最大4名に制限されている。タイヤ交換は、そのうち2名で行われる。少ない人数のため、各作業を正確に行うことが非常に重要となる。メカニックはフィジカルトレーニングと各種用具の入念な下準備を行い、目隠しでも素早く作業出来るまでに練習を重ね、高い精度を生み出している。

    アウディスポーツ チームヨーストのテクニカルディレクター・ラルフ ユットナーは「メカニック達は1月から週に2回2時間のジム トレーニングを行っています」と説明。

    このスペシャルトレーニングは、専門のフィットネス トレーナー監修のもとで行われる。アウディスポーツ チームヨーストのチーフ ピットクルー・ シュテファン グリムは「持久力と体力の向上がトレーニングの2つの大きな柱です。インパクトレンチを使ったタイヤ交換作業中などに不慮の怪我を防ぐのが最大の目的です」と説明。

    メカニックに最適なエクササイズ プログラムは、1983年からアウディスポーツのチームドクターを務めるDr. クリスチャン ジョンが考案た。ドクターは、レースウイーク中の栄養管理についてもチームをサポートしている。

    チームメンバーは車両開発の初期段階から深く携わっており、年々進化を遂げるレーシングカーの最先端技術に対応している。アウディスポーツ チームヨーストの主要メカニックは、冬に行われるアウディ開発チームの次世代マシンのテスト走行に参加し、早い段階から新しい技術に触れ、その内容を他のメカニックに伝え万全の準備を行っている。その一方で、インゴルシュタットではシーズン開幕の準備も同時に行われる。

    シュテファン グリムは「非常に早い段階から、次世代マシンの刷新された部分すべてを検証し特殊工具などを準備します。さらに、作業行程に関する詳細な指示書も作成します」とコメント。分かりやすい例を挙げると、サスペンションパーツは、その時のセッティングに合わせてほぼ組みあがった状態で準備される。アクシデントが発生した場合、チームはサスペンションをアッセンブリーで素早く交換する。ピットクルーはこの作業をわずか4〜5分で行う。

    損傷したボディパーツの交換も、驚くべき早さで行われる。リヤセクションの場合、ウイングやディフューザー、エンジンカバーを含んだすべてのパーツ交換を、60〜70秒で終わらせてしまう。あるピットクルーは「落ち着いてやれば、自然に作業時間は短くなります。その場で検討する課題を極力減らし、素早く作業出来るようになるには、多くの準備や経験が必要です。レース中の作業は、例えば歯磨きのように、身体が覚えた動作を自然に行うようになるべきなのです」と説明。驚異的な作業スピードは、あらゆるパーツを入念に検証して用意することに支えられている。膨大な量におよぶ事前準備は、そのひとつひとつが細かく検証される。その上で充分な量のスペアパーツが仮組みされた状態で用意される。

    ピットクルーの緊張はレース終了まで続く。シュテファン グリムは「ピットクルーは、レース中ずっとスタンバイしていなければなりません。その意味でも、栄養管理とフィットネスが大きな意味を持ちます。ピットストップの合間でも、断続的に聞こえるドライバーとの無線が、ゆっくり寝かせてくれません」と説明。さらに、ピットウォールにいるレースエンジニアからの指示がいつ無線で届くか分からない為、クルーは気を抜くことができない。

  • アウディ、徹底的に磨かれたエアロダイナミクスでル・マンに臨む

    アウディ、徹底的に磨かれたエアロダイナミクスでル・マンに臨む

    アウディ R18 e-tron クアトロ 2014年モデルは、アウディのプロトタイプカー史上、最高の燃費性能を誇っている。

    燃費とラップタイムの向上には、パワートレインだけではなく、優れたエアロダイナミクスが大きく貢献する。FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャンでは、ル・マンのハイスピードレイアウト向けに最適化したエアロダイナミクスを持つ、別バージョンのアウディ R18 e-tron クアトロがデビューを飾った。

    レースマシンのエアロダイナミクス開発は、マシンの基本コンセプトと密接に関連するのが通例。アウディスポーツの2014年モデルのエアロダイナミクス開発は、2012年の夏に新型マシンのコンセプトが決定した時から始まった。

    アウディスポーツ エアロダイナミクス部門リーダーのヤン・モンショーは「最初に大まかなレイアウトを作ります。エンジンの基本コンセプト、ホイールベース、ラフデザインの3要素をキーとして、基本的なエアロダイナミクス形状を決定します。その後、コンピューターによる空力シミュレーション(CFD : Computational Fluid Dynamics)を活用しポテンシャルを分析します。その結果をもとに、作業に無駄が出ない様に少しずつ詳細を煮詰めました」と説明しています。コンピューターによるCFDは、マシンの設計データをもとにボディ表面の空力を算出します。開発の初期段階でCFDを活用することで、より多くのコストを必要とする風洞実験を省略することが出来ます」と説明する。

    アウディスポーツ技術開発部門リーダーのDr. マーティン・ミュルメイアーは「レギュレーションにより、これまで以上に高い燃費性能が必要となったため、空気抵抗とダウンフォースのベストバランスを探さなければなりませんでした。実走行テストの前に何度もシミュレーションを行い、必要なコーナリングスピードを支えるダウンフォースを発生させる形状を探しました。その一方で、ストレートでのトップスピード向上のために、空気抵抗は出来るだけ抑えなければなりません。2014年から始まったより厳しい燃費規制は、パワートレインだけでなく、エアロダイナミクス開発にも新しいチャレンジを生み出しました」と述べた。

    ル・マンは長いストレートと多くのハイスピードコーナーからなっており、他のサーキットとは次元の異なる高速領域で闘われる。昨年のレースで、アウディのアンドレ・ロッテラーが記録したファステストラップ(3分22.746秒)の平均速度は242km/hにも達している

    アウディはこの問題に対処するため、多くのダウンフォースが求められる他のWEC開催サーキット向けとは別に、空気抵抗を最小限に抑えたル・マン バージョンのボディを専用開発した。

    2つのバージョンは、一目見ただけで違いが明らかだが、スパ フランコルシャン大会で2台が並ぶことにより、違いがより一層明らかになった。

    フロント部分は、開口部が上部から内側に移されたフェンダーが特徴的。そしてリヤ部分はもっと顕著な違いが生まれている。ル・マン専用マシンのボディはリヤウイングと一体化され、全長がレギュレーションで認められる4,650mm最大長まで伸ばされている。これに比べ、通常モデルの全長は短め。テールパイプの形状も異なる。ル・マン専用モデルでは、センターフィンの左右に分かれたレイアウトから、ディフューザーの上部ボディへ変更されている。

    アウディは、新しい燃費規制に対応するためボディの空気抵抗を徹底的に低減するシミュレーションを繰り返した。しかし、それと同時にコーナリングスピード向上のためのダウンフォースも必要とされる。

    ル・マン専用モデル開発についてヤン・モンショーは「ボディのほぼ全ての部分で、通常モデルと対照的な違いが現れています。2014年からの燃費規制によって、空気抵抗低減の要求がより一層厳しさを増しました。我々は、今までにない厳しい状況の中、針に糸を通すかのようなわずかな可能性を探し当てました」と説明。

    5月3日のスパ・フランコルシャンで初めて、2種のボディが同じ環境で同時に走行した。ル・マンのデータ収集のためにエントリーしたアウディ R18 e-tron クアトロのゼッケン3号車は、フィリップ・アルバカーキーとマルコ・ボナノミのドライブによって、アウディスポーツが狙った効果が発揮されていることを確認した。それらの成果を踏まえ、アウディは6月に行われるル・マン24時間レースに磨き抜かれたエアロダイナミクスで臨む。

  • ポルシェ、919ハイブリッドで長距離テストを実施

    ポルシェ、919ハイブリッドで長距離テストを実施

    ポルシェは、世界耐久選手権のトップカテゴリーであるLMP1クラスに参戦するポルシェ919ハイブリッドの長距離テストをスペイン北部のモーターランド・アラゴンで実施した。

    ル・マン24時間レースに向けて最後の長距離テストとなる今回は、ゼッケン14番をドライブするロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブとゼッケン20番をドライブするティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバーが、1台の919ハイブリッドをシェアした。

    理想的ともいえる天候のもとで行われた3日間におよぶレースシュミレーションプログラムの総走行距離は、夜間走行も含めて6.606kmに達した。

    ポルシェAGの研究開発担当役員であるヴォルフガング・ハッツは、LMP1プロジェクトのリーダーであるフリッツ・エンツィンガーとともに、ル・マン前の最終長距離テストを見守った。

    アンドレア・ザイドル (LMP1チーム監督)
    「我々にとって初めての24時間レースを間近に控えた今回のテストで重きを置いたのは、クルマの信頼性です。これまでのテストと今シーズンの2レースで得た経験に基づいて行ったモディファイが正しいことも証明できました。新たに見つかった問題点についても、すでに解決すべく研究を進めています。今後の2週間でスペアパーツも含めた2台の919ハイブリットを準備し、6月1日にル・マンで行われるテストには万全の体制で臨みます。レース手順に関する練習については、特にピットストップを重点的に行っていきます」

  • ポルシェ、919ハイブリッドが4位でフィニッシュ (WEC第2戦)

    ポルシェ、919ハイブリッドが4位でフィニッシュ (WEC第2戦)

    ポルシェのLMP1プロトタイプカー、ポルシェ919ハイブリッドはシルバーストンで開催された世界耐久選手権(WEC)のシーズン開幕戦での表彰台に続き、第2戦となるスパ・フランコルシャン6時間レースで4位となった。

    スパでの6時間レースにおいて、カーナンバー14の919ハイブリッドのドライバーを務めたロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組はポールポジションからスタートし、長時間レースをリードした。

    しかしロマン・デュマがドライビング中に電気系統のトラブルが発生したのに加え、レース終盤ではパンクのためニール・ジャニが予定外のピットインを余儀なくされたのです。

    一方、カーナンバー20の919ハイブリッドをドライブしたティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組は、さらに不運に見舞われました。5番手スタートの直後に3番手まで浮上しましたが、テクニカルトラブルに阻まれ、最下位まで後退してしまいました。

    しかし、新たに編成されたポルシェ ワークスチームは2台のLMP1カーを完走させるという今週末の主な目標を達成した。スパでのポルシェ919ハイブリッドのスピードは説得力のあるものだった。919ハイブリッドは長時間にわたり、サーキット最速を維持しました。ファステストラップはマルク・リーブが記録した(1:59.887、フリープラクティス2)。また、ニール・ジャニの最速予選ラップ(2:00.334)が、2位のラップタイムとなった。

    フリッツ・エンツィンガー (LMP1プロジェクトのリーダー)
    「私達の主な目標は、2台の919ハイブリッドが完走することであり、これは達成することができました。ポールポジションを獲得し、決勝では非常によいラップタイムを刻んでいたので、当然もっとよい結果を期待していました。しかし、両車ともにテクニカルトラブルに見舞われ、それは不可能でした」

    アレクサンダー・ヒッチンガー (LMP1テクニカル・ディレクター)
    「カーナンバー14では、誤った警告が出てハイブリッドシステムがシャットダウンしました。そのため、ロマンが時間のかかる再起動手順を行わなければなりませんでした。ハイブリッドシステムについては非常に保守的な立場を取っているため、このようなことが起こり得るのです。これは課題として持ち帰ります。カーナンバー20のポルシェは、リアダンパーにトラブルを抱えたほか、フロントドライブシャフトが2回破損しました。私達はこれらが非常に重大なパーツであることを認識していたため、次回のテストおよびル・マンではより強度の高いパーツを使用する準備ができています。919ハイブリッドは予選ではきわめて速く、決勝では2台とも完走しました。今週は完走を最重要視していたため、結果には満足しています」

    アンドレア・ザイドル (LMP1チーム監督)
    「この週末には、数多くのポジティブな瞬間がありました。例えば、予選でのパフォーマンスや決勝でのラップタイムなどです。しかし、同時に、いろいろな問題も出ました。それでも、決勝ではライバル達と同じレベルにありました。全体として、チームは多くを学び、 今回もすばらしい仕事をしてくれました。このレースは、ル・マンに向けてのもうひとつの大きな次へのステップとなりました」

    ロマン・デュマ (#14 ポルシェ919ハイブリッド)
    「ポルシェ919ハイブリッドでの最初のスティントを終えて、とても嬉しく思っています。しかし私が乗り込んでから、電気系統のトラブルが発生し1周をロスしたのが悔やまれます。1セットのタイヤでは2.5回のスティントはもたないことは明らかだったので、1.5回でピットインしてタイヤ交換と給油を済ませ、最後のスティントはニールが再度ドライブしました」

    ニール・ジャニ (#14 ポルシェ919ハイブリッド)
    「スタート後の第1コーナーでトップを守ることが重要であることがわかっていました。ラ・スルスでは本当に全力を注ぎ、オー・ルージュでも少なからずリスクを取る必要がありました。最初のスティントではすべてを出し切り、大きくリードを広げました。2セット目のタイヤは少し硬く感じましたが、リードを保つことができました。シルバーストンでは予選はまあまあの出来でしたが、決勝は全くダメでした。スパでは予選は上出来で、決勝では長時間トップをキープできたので、大きな進歩があったと思います」

    マルク・リーブ (#14 ポルシェ919ハイブリッド)
    「私のスティントは、どちらかといえば穏やかなものでしたが、前走車のペースについていくのにも苦労しました。しかし、今日学んだ重要なことは、どのように1セットのタイヤを2スティントもたせるために温存するか、ということです」

    ティモ・ベルンハルト (#20 ポルシェ919ハイブリッド)
    「スタート直後、集団に少し押し込まれましたが、1周でアウディとトヨタを抜き、5位から3位にポジションを上げることができました。しかし9ラップ後、突然クルマに異常を感じたため、すぐにピットに入りました。トラブルを解決した後は、50周のダブルスティントを1セットのタイヤでこなしましたが、これは容易なことではありませんでした。残念ながら、その後もさらなるトラブルに見舞われました」

    ブレンドン・ハートレー (#20 ポルシェ919ハイブリッド)
    「ティモの最初の数周はすばらしかったのですが、その後、技術的な問題が起こりました。しかし、クルマがそれほど長時間ピットで足止めされなかったので、チームは非常に良い仕事をしてくれたと思います」

    マーク・ウェバー (#20 ポルシェ919ハイブリッド)
    「私達はクルマに問題を抱えていましたが、決してレースを諦めることなく、最善を尽くしました。919ハイブリッドは非常によい走りをしていますが、ポテンシャルを100%活かすことができませんでした。チームは熱心に仕事に取り組み、すごい速さでさまざまな事を学んでいます。919ハイブリッドのスピードは励みになります。私達は、初期に起こる問題の解決に当たらなければなりませんが、これはこのような新たなプロジェクトではごく普通のことです。スパでのレースがシルバーストンより良くなることはわかっていました。シルバーストンでは戦闘力が全くありませんでしたが、この週末は力を発揮することができました」

  • トヨタ、開幕戦に続き2連勝 (WEC第2戦)

    トヨタ、開幕戦に続き2連勝 (WEC第2戦)

    5月3日(土)ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットでFIA世界選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャン6時間の決勝レースが行われ、トヨタ・レーシングのTS040 HYBRID #8が優勝。トヨタ・レーシングは開幕戦に続き2連勝を飾った。

    #7も3位に入賞し、2台揃って2戦連続表彰台獲得を果たした。チャンピオンシップでも1位、2位のポジションを守り、シリーズ最大のイベントである、第3戦ル・マン24時間レース(6月14日決勝)へと臨む。

    トヨタ・レーシングはWEC第2戦スパで、緊迫した6時間のレースを勝利で飾り、WEC開幕から2連勝を挙げた。

    TS040 HYBRID #8を駆り、勝利へと導いたアンソニー・デビッドソン、ニコラス・ラピエールとセバスチャン・ブエミは、昨年最終戦からの3連勝となり、今季のドライバーズ選手権でも2位以下との差を広げて首位を守ることとなった。

    また、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザンと中嶋一貴が駆るTS040 HYBRID #7が3位入賞を果たし、トヨタ・レーシングはマニュファクチャラーズ選手権でもライバルとの差を広げた。

    #8はラピエールがスタートを担当し、2番手グリッドからポジションをキープ。一方でサラザンが最初にステアリングを握った#7は4番手グリッドから、スタート直後の激しい順位争いを繰り広げた。

    2台は共に最初のスティントを終えてタイヤを交換すると共に、#7が中嶋、#8はブエミへと交代。ブエミは首位との差を詰めると、続くピット作業で首位の座を奪い、更にリードを広げていった。中嶋も表彰台圏内へとポジションを上げ、前を行くライバルを追撃した。

    その後、チームはタイヤ交換時のタイムロスを抑えるために、2スティントを1セットのタイヤで走行する作戦を試みたが、この作戦は効を奏せず、その後は1スティントごとにタイヤを新品に交換することとなった。

    レースが半分を過ぎて間もなく、中嶋はブルツへと、ブエミはデビッドソンへと交代。デビッドソンはレース中の最速ラップタイムをマークする速さを見せ、2位以下との差を更に広げていった。

    2位を争っていたブルツは、他車により排出されたオイルがフロントウィンドウに付着し、視界が妨げられるというハンディを負い苦戦。このトラブルは次のピットストップで改善され、サラザンへと交代した#7は再び2位争いを展開。首位の#8はラピエールが最後のスティントを担当し、首位を快走した。

    2台は共に、最後にわずかな燃料を給油するためにピットイン。ポジションを守ったままコースへ戻った#8ラピエールは、2位に1分13秒926の差をつけてトップでチェッカー。開幕からの2戦連続の優勝を飾った。また、#7サラザンは2位にわずか6.935秒及ばず3位でフィニッシュした。

    次戦第3戦はシリーズ最大のレースであるル・マン24時間。決勝日の2週間前、6月1日(日)の公式テストデーで幕を開ける。

    木下美明 チーム代表:
    今日、チームが成し遂げた仕事を大変誇りに思っている。トヨタ・レーシングがマニュファクチャラーズ選手権をリードするというのは大変嬉しく、ル・マンへ向けてチーム全体のモチベーションを上げることが出来る。今日は、大変多くの観客の前で、ライバルとの素晴らしいレースが出来た。優勝できたのは、最高の結果を出そうと全員が頑張った結果であり、チームも、ドライバーも、皆が本当に良くやってくれた。この先、ル・マンまで厳しい時間が待っている。何度も経験してきたように、ル・マンは特別なレースで、何が起こっても不思議ではない。そのレースに向けて我々は全力で仕事をこなし、最高のチャンスを得られるように頑張って行く。

    TS040 HYBRID #8:
    (アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
    決勝レース:1位、171周、ピットストップ7回、最速ラップ:2分01秒327

    アンソニー・デビッドソン:
    今シーズンはとても上手く行っている。選手権のポイントリーダーも守れている。チームのホームレースのひとつであるスパで、ケルンからやって来た大勢の仲間の応援を受けながら勝つということは、本当に素晴らしいことだ。セバスチャンはレース中盤の難しい局面でとても良い仕事をしてくれた。おかげで私がステアリングを受け持つ時には、やるべきことは殆ど彼が終えてくれていた。こうして再び2台とも表彰台に上がれたというのは実に嬉しい。もう我々の関心は、6月の大きなイベントに移さなければいけない。私は、我々の持つパッケージと周りの皆に自信を持っている。本当に、良い時に波に乗れているという感じだ。

    ニコラス・ラピエール:
    チームの皆にとって大変素晴らしい結果だ。週末の始めから全てが上手く行っていた。予選では持てる力を全て発揮出来たので、レース中は落ち着いていられた。ポルシェとの戦いは本当に厳しいものだったが、我々はピットストップでリードすることが出来たのだから、メカニックにはお礼を言いたい。セバスチャンとアンソニーが上手く走ってくれたおかげで、リードを更に広げられた。最後にチェッカーフラッグを無事に受けられるよう、全てがコントロール下にあったことが何よりだ。我々はここスパでル・マン仕様が上手く機能することと、ハイブリッドシステムの素晴らしさも確認している。この結果は大変嬉しいし、ル・マンへの備えとしては最高だ。

    セバスチャン・ブエミ:
    今日のレースには本当に満足している。これで昨シーズン末のバーレーン、今シーズン初めのシルバーストンに続き、もう3度目の優勝だ。レースは厳しいものだった。私がTS040 HYBRIDに乗り込んだ時は首位とのギャップを縮め始めることが出来たが、首位に立ってからは、後続とのギャップを広げるよう、プッシュしなければならなかったからだ。しかし、#14のポルシェが何かのトラブルを抱えた時も、我々はきちんとコントロールが効いていたので、とにかくどんなミスもしないように、という点だけに留意した。シーズン最初の2レースを勝って、ル・マンへの準備は完璧だ。しかし、我々は、基本に立ち返らなければいけない。昨年よりも良い準備が出来たからこそ、こうして今の結果があるのだから。

    TS040 HYBRID #7:
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)
    決勝レース:3位、171周、ピットストップ7回、最速ラップ:2分02秒089

    アレックス・ブルツ:
    面白いレースだった。出来ればまた1-2フィニッシュを飾りたかったが、ほんの些細なことが理由でそれは叶わなかった。私自身にとってレースは大忙しだった。とても簡単な事ではなかった。全般的に我々のTS040 HYBRIDはナーバスで、もう1台のTS040 HYBRIDのようにプッシュすることが出来なかった。とはいえ、ポイントは獲得出来、チームとして世界選手権のリードを広げられたということは良い気分だ。

    ステファン・サラザン:
    1位、3位でゴール出来たことはチームにとって素晴らしい結果で、力強いシーズンスタートを続けることが出来た。#8は非常に速く、最高の仕事をした。それに引き替え我々はベストバランスを見つけるのに苦労し、オーバーステアに悩んだ。TS040 HYBRIDの性能を100%引き出すのは難しかった。攻めた走りをしたし、もう少しで2位を捕まえられそうだったが、まず、選手権ポイントを獲得することが重要で、諦めるしかなかった。これからはル・マンに向けての準備が待っている。

    中嶋一貴:
    チームは良い仕事をし、2台揃って表彰台に立てたことは最高の結果だ。我々に戦闘力の高いTS040 HYBRIDを与えてくれたチームには感謝している。恐らく2位は可能だったと思うが、僅かに力不足だったと思う。私のスティントの時には、タイヤを2スティント通して使用した。他のライバルも同様だったと思う。しかし、それはリスキーな判断で、グリップが低下してしまった。ここから先は次のレースに向けて集中しなくてはいけない。我々にとって絶対に落とせない大きな目標だ。

  • ポルシェ、919ハイブリッドが初ポールポジション獲得 (WEC第2戦)

    ポルシェ、919ハイブリッドが初ポールポジション獲得 (WEC第2戦)

    ポルシェは、WEC第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースの予選で早くもLMP1クラス復帰後初となるポールポジションを獲得した。

    ポルシェ919ハイブリッド 14号車は、マルク・リーブとニール・ジャニが予選を担当。マーク・リーブが、最速タイムとなる2分0秒334を記録し、ポールポジションを獲得した。

    ティモ・ベルンハルトとブレンドン・ハートレーが予選アタックに挑んだ20号車は5番手だった。

    ヴォルフガング・ハッツ (ポルシェAG 研究開発担当役員)
    「今夜は本当に嬉しい夜だ。シルバーストンの後、我々は大きな前進を果たした。トリッキーな環境で初ポールポジションを獲得できたことは本当に信じられないこおとだ。チーム全体が素晴らしい仕事をした。我々の戦略は適切だったし、予想以上のことをすることができた。相応しい結果だ。クルマには大きなポテンシャルがある。今夜はこの瞬間を楽しみ、明日はレースをフィニッシュすることに集中する。スパの週末を成功した週末と呼べるのはその後だ」

    フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
    「信じられない結果だ。早すぎると感じるくらいだ。シルバーーストンでの表彰台のあと、また新たなマイルストーンだ。だが、スパで最も重要な目標は2台のポルシェ919ハイブリッドが6時間レースをフィニッシュすることだ」

    アンドレア・ザイドル (LMP1チーム監督)
    「今日チームが成し遂げたことはただただ素晴らしい。我々は難しいコンディションで全て正しい判断を行った。トラックが改善していくだろうことは明らかだったし、序盤にインターミディエイトスリックタイヤを搭載したクルマでドライバーを戻すことを決断した。彼れらのラップタイムは改善にむけて最大のポテンシャルがあった。マーク・リーブが、そこで絵に描いたような仕事をした。ブレンドン・ハートレーもラップタイムを改善したが、2回目のラップでタイムを残せなかった。この結果はチーム全体のタフな仕事に対する大きな報酬だ」

    ロマン・デュマ (#14ポルシェ919ハイブリッド)
    「僕たちは午前中に速かったし、午後と予選でも速かった。雨となった1回目のプラクティスセッションは予選のための良いレッスンとなった。スパ・フランコルシャンでは多くのことが予測しづらい。バランスは良かったし、ドライビングはとても楽しかった。スピードも問題ないし、有望そうだ」

    ニール・ジャニ (#14ポルシェ919ハイブリッド)
    「ポールは本当に素晴らしい結果だ。コンディションはトリッキーだった。特にスリックでの1周目はね。そのあと良くなってきて、2回目のラップは速かった。でも、同時に暗くなってきたこともあり、ウェットパッチが残っていないことをただただ願っていた。さらに改善できると思ったけど、そのあとピットに戻るという連絡があり、再びマークに託した。最初は驚いたけど、チームによる素晴らしい戦略判断だった。今日はフリープラクティスでウェットで多くの経験を積むことができた。スパはウェットレースで有名だけど、モンスーン・スタイルでない限り僕には問題ない。僕たちのハイブリッドカーの一時的な4輪駆動はエキサイティングだし、システムのポテンシャルをフルに発揮できるようにドライビングスタイルに取り組み続けたい」

    マルク・リーブ (#14ポルシェ919ハイブリッド)
    「このポールポジションは僕にとって多くの意味がある。多くの人々のために長い間懸命に取り組んできた。今日ポールポジションを獲得できたことは本当に驚きだった。1回目の走行はスリックにとっては十分にドライではなかった。そのあとニールがクルマに乗り込んだ。ガレージの裏でコーヒーを飲みながら彼を見ていた。その後、突然ヘルメットを被って、ラップタイムを改善するように伝えられた。時間管理はタフだったけど、とてもハッピーだ。今は良いレースができることを期待している」

    ティモ・ベルンハルト (#20ポルシェ919ハイブリッド)
    「1回目のフリープラクティスセッションはスムーズに進んだし、多くのインフォーメーションを集めることができた。予選ではちょっと長くステイアウトしてしまい、ブレドンが2回のフライングラップをする十分な時間がなこっておらず、改善することができなかった。それでも、素晴らしい予選だった。カーナッバー14のスタッフにおめでとうと言いたい。このポールポジションは、僕たちにとってもうひとつの素晴らしい瞬間だ。これから明日のレースに向けてクルマを改善するために働き続けていく」

    ブレンドン・ハートレー (#20ポルシェ919ハイブリッド)
    「午前中から919がウェットでとても良いとすでに感じていたし、クルマはとても信頼できた。一時的な4輪駆動は以前い経験していたよりも多くのトラクションを届けてくれたし、とても素晴らしかった。FP2では赤旗の不運があって、3周しかできなかった。予選でのコンディションの変化はもちろん難しかった。でも、チームは本当にうまく実行した。僕たちはコンペティティブだし、明日はエキサイティングなレースが見られそうだね!」

    マーク・ウェバー (#20ポルシェ919ハイブリッド)
    「ここスパで僕たちの新しいポルシェ919ハイブリッドを走らせるのはとても楽しかった。素晴らしいトラックだし、今日は天候が典型的なスパとなり、僕たちにチャレンジを提供したけど、僕たちはできる限り多くの情報を集めているし、自信はある。土曜日の天気予報を考慮すれば、シルバーストンよりドラマティックなレースにはならないだろう。僕たちの一番のゴールは2台揃ってスパの6時間を走り切ることだ」