カテゴリー: WEC (FIA世界耐久選手権)

  • 中嶋一貴、7号車のル・マン初勝利を祝福 「彼らはウィナーに相応しい」

    中嶋一貴、7号車のル・マン初勝利を祝福 「彼らはウィナーに相応しい」

    中嶋一貴を含めたトヨタの8号車のドライバーたちは、念願のル・マン初勝利を挙げた7号車のドライバーたちを祝福した。

    マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名が駆るGR010 HYBRID 7号車は、過去数年に渡り、この伝統的大イベントで最速を誇りながらも勝利を逃してきたが、今年、ついに表彰台の中央に立つことが出来た。

    シリーズのディフェンディングチャンピオンである7号車は2021年のル・マン24時間レースを、ポールポジションからスタートし、24時間で走り抜いた371周の大半をリードして、トップでチェッカーを受けた。

    昨年のウィナーであるセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車は、スタートでグリッケンハウス708号車に追突され、最後尾まで後退を余儀なくされたが、猛烈な追い上げで上位争いに復帰して2位で続き、GR010 HYBRIDのル・マンにおけるデビュー戦で、チームにとって完璧な勝利をもたらした。この勝利により、TGRは今季ここまでの4戦全勝を続けている。

    中嶋一貴は「まず、勝利を挙げた7号車のクルーとチームに最大の祝福を送ります。この勝利はチームの勝利であり、8号車もその一員として、とても嬉しいです。7号車は何年も運に見放されてきましたが、やっと勝利を手にしました。彼らはル・マンウィナーにふさわしいです」とコメント。

    「我々8号車にとっては、なかなか難しいレースになりましたが、トラブルを抱えながらもなんとか最後まで走りきることができました。対処法を見出してくれたエンジニアやメカニック、そしてチームメイトに感謝します。本当に素晴らしいレースでした」

    セバスチャン・ブエミは「1周目のアクシデントがあっただけに、2位でフィニッシュできたことに満足しています。もちろん、目指していたのは勝利ですが、それでも今日はトヨタにとって素晴らしい一日になりました。初めてのハイパーカーによるル・マン挑戦で1-2フィニッシュという、目指していた目標を達成することができました」とコメント。

    「7号車が勝利したというのもとても嬉しいことです。幾つかの技術的な問題に見舞われましたが、チームが上手く対処してくれました。余裕は全くなく、全てを完璧にこなす必要がありましたが、チームの働きには脱帽です。7号車の友人達は何度も悔しい思いをしてきただけに、この勝利は我が事のように嬉しいです」

    ブレンドン・ハートレーは「ル・マンではいつも信じられないようなことが起こりますが、今年も例外ではありませんでした。我々8号車は1周目からアクシデントに巻き込まれました」とコメント。

    「そこから追い上げて1-2フィニッシュを果たせたのは驚くべきことです。トラブルを解決しなければ、一時は最後まで走れるかどうかも分からない状態でした。ずっと不運が続いていた7号車の勝利は、本当に嬉しいです。我々はみんな、本当に仲の良い友人同士で、その友人が勝利を挙げて喜んでいるのを見るのは良いものです。チームにとっても素晴らしい勝利となりました」

  • ロビン・フラインス 「あと50センチでチェッカー担当を轢くところだった」

    ロビン・フラインス 「あと50センチでチェッカー担当を轢くところだった」

    2021年のル・マン24時間レースでLMP2クラスで優勝したロビン・フラインスは、チェッカーフラッグを振っている男との衝突をわずか50cmでなんとか回避できたと語る。

    総合1位と2位のトヨタの2台がランデブー走行をしながら次のレースラップを完了する必要を避けるために後ろに何台かのGTEカーを引き連れてスローダウンしたときに後ろでは恐ろしい状況が起こっていた。

    その背後では、ロビン・フラインス(TEAM WRT)とトム・ブロンクビスト(Jota Sport)がLMP2クラスのトップ争いをしていた。2台が最終コーナーを立ち上がって、前方のマシン勢に避けようとしたフラインスは、チェッカーフラッグを振っているオフィシャルと衝突しそうになった。

    レース後、ロビン・フラインスは、小林可夢偉と中嶋一貴が最終ピットストップを終えて自分たちの前でコースに復帰したことは分かっていたと語った。

    「最後の5周でボックスから出ていたので、そうなることは分かっていた」とロビン・フラインスは語った。

    「彼らを追い抜こうとしていたけど、彼らの方が明らかにより速かった」

    「全員がエクストララップをしたくなかったので、彼らを先に行かせた。彼らの後ろには4~5台いて、フィニッシュラインを待っていた」

    「ブロンクビストに迫られていた僕はフルスピードでそこに向かっていた」

    オフィシャルとの衝突を防ぐために回避行動を取る必要があったかと質問されたロビン・フラインスは「僕の前にいたLMP2が最終コーナーの後で減速したので、右に曲がった。でも、右に曲がった瞬間、右後方のアストンにヒットした」

    「それで基本的にリアが右を向いてた。チェッカーフラッグの男がそこに立っているのを見たので、強引に左に曲がった。もし、その男を当たっていたら、彼は死んでいただろう」

    オフィシャルとの距離を質問されたロビン・フラインスは「50センチくらいだった」と答えた。

    ロビン・フラインスは、紆余曲折に満ちたLMP2レースで勝利を収めた。彼のNo31 ORECAのレースは順調に進めていたが、エアジャックが故障したことで遅れをとった。

    しかし、レースの最後の数分で、クラストップを走行していたイーフェイ・イェがステアリングを握っていた姉妹車が最終ラップで故障したことで、ロビン・フラインスはリードを取り戻した。

    「現時点では、レースの4分の3をリードし、問題のために負けたような変な気持ちになっている。最終ラップで取り戻せたので、もちろん嬉しいけど、純粋なペースで勝ちたいという気持ちがある。問題がなければ、僕たちはそうしていたと思う」

    「最後のラップで姉妹車が故障するのを見るのはチームにとって苦痛だ。特に、チームはレース全体を通して1-2のスポットをにいたからね。僕たちは1-2で終えるべはずだった」

  • フェルナンド・アロンソ 「今のWECレースはそこまで魅力的ではない」

    フェルナンド・アロンソ 「今のWECレースはそこまで魅力的ではない」

    フェルナンド・アロンソは、耐久レースは“大好き”だが、今のWEC(FIA 世界耐久選手権)のトップカテゴリーであるハイパーカーはスピードが遅くなっているため、「そこまで魅力的ではない」と語る。

    LMP1に代わる新しいハイパーカークラスの導入は、WECの将来に望ましい効果をもたらしており、2023年以降、いくつかの新しいメーカーが参戦を予定している。

    今年のル・マン24時間レースに出場したハイパーカーはほんの一握りだったが、将来のフェラーリ、ポルシェ、プジョーなどの将来の参入により、新しいルールは今後数年間でその分野が深まっていくだろう。

    ただし、その注意点は、新しいデザインが導入されたことにより、マシンのスピードが低下したことだ。

    今年、元F1ドライバーの小林可夢偉が設定したポールポジションタイムは、2019年のLMP1でのタイムよりも8秒以上遅く、過去のLMP2カーとほぼ同じタイムだった。

    フェルンド・アロンソは土曜日に、アルピーヌのデモランで有名なサルト・サーキットをF1マシンで周回した最初のドライバーとして歴史に名を刻んだ。

    アルピーヌは、フェルナンド・アロンソが将来のハイパーカープログラムで“理想的”な候補者になるだろうと勝っているが、アロンソは。自分が何をしたいのかを明確に言うことはできない。

    F1とWECの両方でチャンピオンを獲得しているフェルナンド・アロンソは「耐久レースのこの進化は良いことだとは思う」と SoyMotor.com 語った。

    「2023年に登場する新しいルールである LMDh (ル・マン デイトナ ハイパーカー) はすでに多くのブランドを魅了しており、耐久レースは素晴らしい未来に向かっていると思う」

    「僕はモータースポーツのこの部分が大好きなので、とても素晴らしいことだと思う。でも、将来、それらのマシンをドライブするかどうかは分からない」

    「それに、BoP(Balance of Performance/性能調整)とそのオフセットでマシンは少し遅いと言わなければならない」

    「タイムを見れば、僕がここでレースをしていた2019年よりもレースペースは10秒くらい遅いよ」

    フェルナンド・アロンソは、以前よりもスピードが遅いマシンが耐久レースに復帰するかどうかの要因になることを認めたが、将来そのスピードが戻る可能性はあると考えている。

    「純粋な楽しみという点では、スピードが遅いことで、今はそこまで魅力的ではないけど、数年後には再び速くなると確信している」とフェルナンド・アロンソは付け加えた。

  • 豊田章男氏、7号車初勝利に「ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

    豊田章男氏、7号車初勝利に「ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでした」

    TOYOTA GAZOO Racingチームオーナーであるトヨタ自動車の豊田章男社長が、悲願のル・マン初勝利を挙げた7号車のドライバー、そして、2位でフィニッシュした8号車のドライバーにメッセージを送った。

    トヨタはル・マン24時間レースで3連勝を挙げてきたが、どれも8号車による勝利だった。小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名は優勝に近づくことあっても、マシントラブルや運に見放される形で逃してきた。

    豊田章男社長は、7号車のドライバーに「ずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでした」と語った。

    豊田章男(TOYOTA GAZOO Racingチームオーナー)
    可夢偉、マイク、ホセ、
    やっと”忘れ物”を取ってこれましたね。おめでとう!本当によかった!

    ル・マンでトヨタが3連勝できても…
    君たちがシリーズチャンピオンに輝いても…
    私は心の底から喜ぶことができずにいました。

    それは君たちがル・マンで悔しい思いしかしていなかったから。それも、君たちドライバーのせいではなく、我々のつくったクルマやチームが至らずに、そんな思いをさせ続けてしまっていたからです。だから、君たちに話しかける時、私はずっと申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

    だけど君たちは、一度も誰かを責めることはしませんでした。常に、どうやって失敗を無くしていくか?どうやったらみんなで強くなっていけるか?それだけを考え、勝つための戦いを続けてくれていました。

    その3人が、やっと24時間を走り切ってチェッカーを受け、表彰台の一番高いところに立ってくれた。そして、心からの笑顔でシャンパンを掛け合ってくれていました。その姿を、ようやく見ることができて、涙が出るほど嬉しく、そして、ホッとしました。本当におめでとう!本当にありがとう!

    可夢偉がシャンパンの栓を、なんのトラブルもなく抜いた姿もちゃんと見ていました。シャンパンの抜き方を忘れない内に勝てるクルマを準備できて本当によかった(笑)

    一貴、セブ、ブレンドン
    2位は悔しい結果だと思うけど、ワンツーフィニッシュをありがとう。8号車に出たトラブルを、セブが走りながら対処し、その方法を7号車にもシェアしてくれたと聞きました。セブ!そして8号車メンバーのみんなありがとう!

    しかし、そのトラブルは前戦のモンツァでも発生していたもの…、それを直せぬままル・マンを走らせてしまいました。本当に申し訳なく思います。我々は、ドライバーがもっと安心して気持ちよく走れるクルマに進化させていかなければなりません。

    来シーズン、このレースには100%再生可能燃料が導入されると発表されました。新燃料の開発に尽力されている方々、そして、その導入をご決断いただいた皆さまに敬意を表します。

    このレースを通じても、我々はカーボンニュートラルに向け、選択肢を広げていく努力ができることになりました。モータースポーツという真剣勝負の場だからこそ、技術開発のスピードを上げていけると信じています。

    ドライバーが乗りやすいクルマ、
    ファンがもっと熱くなれる魅力的なレース、
    そして、そうした活動を、この先もずっと続けていけるよう、我々は様々な技術開発の努力を続けてまいります。

    ファンの皆さま、
    今回もご声援ありがとうございました。
    今後も引き続き、応援いただければ嬉しく思います。よろしくお願いいたします。

  • ル・マン24時間(途中経過):大波乱のスタートもトヨタが1-2を走行

    ル・マン24時間(途中経過):大波乱のスタートもトヨタが1-2を走行

    8月21日(土)、現地時間午後4時に、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦、第89回ル・マン24時間レースの決勝がスタートした。雨の中、ウェットコンディションでのスタートは、直後に2番手スタートのGR010 HYBRID 8号車が他車との接触を喫し一旦は最後尾まで後退する大波乱の幕開けとなった。しかし、8号車は、すぐに追い上げ、6時間を経過した時点で、トヨタのGR010 HYBRIDは7号車が首位、8号車が1分27秒148遅れの2位で1-2体制を保ち走行、夜間セッションに入った。

    現地時間午後4時のスタートは、1時間ほど前から降り出した強い雨により、ウェットコンディションの下、セーフティーに先導されたフォーメーションラップの状態でスタートが切られ、14分後、3周目から本格戦が開始された。

    ポールポジションからスタートを切った7号車のコンウェイは首位を守ったが、2番手のブエミが駆る8号車は、最初のシケイン進入で4番手スタートのグリッケンハウス708号車に追突されスピン。コース脇に止まった8号車は最後尾まで順位を落としてしまった。

    しかし、そこからブエミの8号車は鬼神の追い上げを開始。10周目にはトップ10にまで順位を戻してピットインし、乾いてきた路面に合わせ、スリックタイヤへと交換。首位を行くコンウェイの7号車もスリックタイヤへと交換した。

    レース開始から1時間を経過し、ほぼ全車が1回目のピットを終えた時点で、8号車は首位と約1分差の3位まで浮上。ファステストラップを更新しながらの力走を続けるブエミは、16周目に2位を走行するLMP2クラスのイオタ38号車をパスし、GR010 HYBRIDが1-2体制となった。

    コンウェイの7号車は最初の90分間、盤石な首位走行を続けていたが、序盤のクラッシュでコース上に撒かれた破片の影響か、2度に渡るタイヤパンクを喫し、予定よりも早いピットイン。

    これを追う8号車にも不運が襲う。ハートレーへと交代した3時間過ぎ、GT車両のアクシデントによりセーフティカーが導入されたことで首位の7号車との差が1分以上開き、その後、5時間を経過して夜を迎える頃、8号車は右リアのタイヤパンクに見舞われ予定よりも早いピットインを余儀なくされた。

    この間にも何度か軽い雨はあったが、6時間を迎えようとするころ、雨が一時的に強まり、LMP2車両によるアクシデントが発生し、セーフティカーが導入された。25分後にセーフティカーが退去しレースが再開されたが、ここで8号車のハートレーはインターミディエイトタイヤに交換。続いて、ロペスへとドライバー交代した7号車もインターミディエイトタイヤに交換した。

    その後、乾いた路面に合わせ、2台のGR010 HYBRIDはスリックタイヤへと交換。8号車は中嶋一貴へと交代し、本格的なナイトセッションへと突入。6時間を経過した時点でGR010 HYBRIDは7号車が首位、8号車が約1分遅れの2位、3位とは1周以上の差をつけている。

    マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
    レーススタート前からの強い雨で、ひどいコンディションでのスタートとなりました。ウェットタイヤは正しい選択でした。その後、雨は止んで路面が乾いていき、ウェットタイヤのままで走り続けるのが難しくなりました。コースの場所によってグリップレベルが異なる状況で走るのはとても大変でした。その後、スリックタイヤに履き替えてからも小雨が降ってきたりと、決して楽なスティントではありませんでしたが、とにかくミス無く、クリーンに走ることを心掛けました。慎重を期し、縁石にも乗らないように走っていたのに、2回のパンクに見舞われたのは不思議ですが、運が悪かったのでしょう。

    セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
    波乱のスタートでした。最初のコーナーで後から追突されたのですが、あの状況では最後尾に落ちるしかなく、最悪のタイミングと場所でのアクシデントとなってしまいました。その後も接触など様々なドラマに見舞われながらも、なんとか追い上げてトップ争いに復帰することができました。ドライバー交代の後、8号車はセーフティカー導入などでタイムをロスしましたが、長いレースはまだ始まったばかりです。

    WEC 第4戦 ル・マン24時間 6時間経過時順位(総合順位)

    順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 トップとの差
    1 7 マイク・コンウェイ
    小林可夢偉
    ホセ・マリア・ロペス
    TOYOTA GAZOO Racing/
    トヨタ GR010 HYBRID
    88
    2 8 セバスチャン・ブエミ
    中嶋一貴
    ブレンドン・ハートレー
    TOYOTA GAZOO Racing/
    トヨタ GR010 HYBRID
    88 1:27.148
    3 36 アンドレ・ネグラオ
    ニコラス・ラピエール
    マシュー・バキシビエール
    アルピーヌ・エルフ・マトムート/
    アルピーヌ A480-Gibson
    87 1 Lap
    4 708 ルイス・フェリペ・デラーニ
    フランク・マイルー
    オリビエ・プラ
    グリッケンハウス・レーシング/
    グリッケンハウス 007 LMH
    86 2 Laps
    5 41 ロバート・クビサ
    ルイ・デレトラズ
    イーフェイ・イェ
    Team WRT/
    Aurus 01-Gibson
    86 2 Laps
  • 小林可夢偉がハイパーカーでの新世代最初のポールポジション獲得

    小林可夢偉がハイパーカーでの新世代最初のポールポジション獲得

    トヨタ 5年連続ポールポジション獲得、GR010 HYBRID 2台並び最前列スタート
    8月19日(木)FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦となる第89回ル・マン24時間レースの決勝スターティンググリッドを決定する「ハイパーポール」が行われ、トヨタのGR010 HYBRID 7号車がポールポジションを獲得。新型ハイパーカー GR010 HYBRIDは新たなハイパーカー時代初となるレースで、歴史にその名を刻むこととなった。

    GR010 HYBRID 7号車を駆る小林可夢偉が、ハイパーポールセッションで3分23秒900というタイムをマークし、記念すべきハイパーカーでの初ポールポジションを獲得。チームに取ってはル・マン24時間レース5年連続のポールポジションとなった。

    小林可夢偉は2017年の予選で、サルト・サーキットのコースレコードを記録しているが、今年も最速タイムをマーク、新たなハイパーカークラスで新基準を打ち立てた。彼にとっては4度目のポールポジションであり、これにより、小林可夢偉はジャッキー・イクスが持つル・マン24時間レースでのポールポジション通算獲得回数記録にあと1回へと迫ることになった。

    GR010 HYBRID 8号車でアタックを担当したブレンドン・ハートレーは、7号車に僅か0.295秒及ばず2番手で続き、トヨタのGR010 HYBRIDは5年連続で2台が揃って最前列グリッドから決勝をスタートする。

    ハイパーポールセッションに先立ち、午後2時より公式練習3回目が3時間にわたって行われたが、セッション残り25分というところで、8号車を駆る中嶋一貴がインディアナポリスコーナーでタイヤウォールにヒット。車両後部にダメージを負い、残るセッションは走行できず、8号車はハイパーポールへの準備を予定通りには完了できなかった。しかし、その後4時間にわたるインターバルで8号車は完璧に修復され、8号車は無事ハイパーポールのセッション開始に間に合った。

    現地時間午後9時、まだ明るさは残っているものの、徐々に闇に包まれていくタイミングで、各カテゴリーの上位6台がスターティンググリッドを決定するハイパーポールセッション(30分)が開始された。

    2台のGR010 HYBRIDは共に新品セットのタイヤを装着し、最小限の燃料搭載でポールポジション争いへ向かった。小林可夢偉はセッション開始と同時に目覚ましいペースでのアタックを見せ、コースがクリアな状況でトップタイムを叩き出した。

    フレンドン・ハートレーの最初のアタックラップは、コース上の他の車両に阻まれ、また、GT車両のアクシデントにより10分間ほどの赤旗中断となったことで一旦仕切り直しとなった。セッションが再開されると、小林可夢偉、ブレンドン・ハートレー共に再び新しいタイヤで、更なるタイム更新を狙ってコースに復帰した。

    小林可夢偉の1周目はベストタイムにわずかに及ばす、2周目は最速タイムを上回るペースでアタックを続けたが、トラックリミット違反によりタイム更新はならなかった。一方のブレンドン・ハートレーは連続して自己タイムを更新していったものの、7号車のポールポジションタイムには0.3秒届かなかった。

    チームは2台共にセッション後半ピットで待機し、ライバルチームのアタックを見守ったが、トヨタのタイムを上回る事はなく、アルピーヌ36号車が1.674秒差の3番手となり、7号車のポールポジションが確定した。

    20日(金)は走行がない休息日となるが、チームにとっては休む間もない忙しい一日が続く。2台のGR010 HYBRIDはメカニックによって完全に整備し直され、エンジニアは決勝レースの戦略などの準備に集中する。89回目を迎える伝統のレースは、21日(土)現地時間午後4時(日本時間午後11時)にスタートが切られる。

    小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
    ハイパーカーでの最初のポールポジションを獲得できたことは素晴らしいです。日曜日にGR010 HYBRIDでここル・マンを初めて走って以来、調整を続けてきたことで、着実な進化を遂げています。チームが最高の仕事で準備をしてくれたことが、このタイムに繋がったと思います。もう少しタイムを縮めることもできたと思いますが、トラックリミットに引っかかってしまったのは残念です。1周での最速ラップが取れれば良いというものではなく、我々は決勝レースでの成功という目標に向けて準備を行ってきました。我々はここ数年で何度かのポールポジションを獲得していますが、決勝レースでは勝てていないので、この予選の結果は何も保証してくれるものではありません。24時間レースは長いですし、いつもあと少しの運が必要なのです。

    ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
    まず感激したのは、燃料搭載を少なくし、新品タイヤで、夜へ向かうコンディション下でのGR010 HYBRIDが素晴らしかったということです。クルマの感触は文句なく、練習走行での一貴のアクシデントから迅速に修復してくれたチームに本当に感謝しています。そして、素晴らしいアタックでポールポジションを獲得した可夢偉に祝福を送ります。私自身は、アタックラップ中にミスしてしまったのでちょっと悔しいです。7速へと一気に2つギアを上げてしまい、タイムをロスしてしまいました。車両には差は無かったので、ポールポジション獲得のチャンスもあったと思います。さらに良いペースだった2度目のアタックではコース上の車両に阻まれ、万事休すとなりました。残念な気持ちはありますが、最前列グリッドを獲得できたことは良かったですし、7号車の結果も嬉しいです。

    WEC 第4戦 ル・マン24時間 ハイパーポール結果(総合順位)

    順位 No. ドライバー名 チーム/車種 周回 ベストタイム
    1 7 マイク・コンウェイ
    小林可夢偉
    ホセ・マリア・ロペス
    TOYOTA GAZOO Racing/
    トヨタ GR010 HYBRID
    6 3:23.900
    2 8 セバスチャン・ブエミ
    中嶋一貴
    ブレンドン・ハートレー
    TOYOTA GAZOO Racing/
    トヨタ GR010 HYBRID
    7 3:24.195
    3 36 アンドレ・ネグラオ
    ニコラス・ラピエール
    マシュー・バキシビエール
    アルピーヌ・エルフ・マトムート/
    アルピーヌ A480-Gibson
    9 3:25.574
    4 708 ルイス・フェリペ・デラーニ
    フランク・マイルー
    オリビエ・プラ
    グリッケンハウス・レーシング/
    グリッケンハウス 007 LMH
    10 3:25.639
    5 709 ロマン・デュマ
    ライアン・ブリスコー
    リチャード・ウェストブルック
    グリッケンハウス・レーシング/
    グリッケンハウス 007 LMH
    9 3:27.656
  • ロバート・クビサ 「F1とル・マン24時間レースはまったく異なる世界」

    ロバート・クビサ 「F1とル・マン24時間レースはまったく異なる世界」

    ロバート・クビサは、F1レースとル・マン24時間レースを比較することは、陸上の短距離走のアスリートとマラソンのランナーを比較するようなものだと語る。今週末、ロバート・クビサは、ベルギーのチームWRTからル・マン24時間レースでデビューを果たす。

    BMWザウバー、ルノー、ウィリアムズでF1で97戦を戦ったロバート・クビサは、F1でのフルタイムの役割を退き、代わりにスポーツカーレースに移行した。

    DTM(ドイツツーリングカー選手権)でシーズンを過ごした後、ロバート・クビサは、ルイ・デレトラズとイーフェイ・イェと一緒にヨーロピアン・ル・マン・シリーズのためにチームWRTに加入。ル・マン24時間レースでも2台体制のチームWRTの1台でチームを組む。

    ロバート・クビサは、耐久レースの長いフォーマットは、スプリントレースベースの短いグランプリレースの世界とはまったく異なる世界であると説明した。

    「すべてが違う」とロバート・クビサは言った。「スプリントレースのランナーをマラソンと比較するようなものだ。スプリンターはマラソンとは体格指数 が異なっている必要があるし、彼らは同じようにさえ見ない」

    「結局、同じスポーツではるけど、それくらい違いがあるし、アプローチは異なる。おそらく同じようなことは、最終的にマシンを運転するときにパッケージから最大限を引き出すことを試みる必要があることだ。でも、耐久レースであるため、リスクを最小限に抑える必要がある」

    「あらゆることを考えなければならない、レース中に多くのことが起こる可能性がある。僕たちはそれを認識しているし、僕もそれを認識している。類似点よりもはるかに多くの違いがあるのは確かだ」

    ヨーロピアン・ル・マン・シリーズの4時間のイベントよりも長いレースでの経験は比較的少ないため、ロバート・クビサは今後の課題について現実的なままだ。

    「目標はまず何よりもレースをフィニッシュすることだ」とロバート・クビサは言った。「第二に、優先事項は、技術、スポーツ、ドライビングなどで大きな問題なしにそれを終えることだ」

    「これがまず重要なポイントになると思う。それから、常にイベントを尊重し、トラックを尊重しながら、ベストレースを行うことに集中する必要がある。チャレンジは大きいので、簡単なイベントではない。そこからどうなるか見てみるつもりだ」

    「僕たちに欠けていること、確実に足りないことの1つは、このイベントの経験だ。僕たちは比較的若くもあるし、僕は耐久レースでは若手だ。今年はデイトナ24時間レースに出場したけど、1時間半でリタイアしている。結局、僕は24時間のレースを丸1週間経験したことはない」

    「僕が慣れているものとは完全に異なるものであるのは確かだ。だから、言ったように、僕たちはできる限り自分自身に集中しなければならない。そして、僕たちが良い仕事を提供し、自分たちの仕事を正しく実行できるかどうかを確認しなければならない」

    「これだけですでに良い成果になると思っている。そして、もちろん、最終リゼルトが重要になるだろう。でも、最も重要なことは、自分の仕事に幸せを感じて、満足することだと思う」

    2006年から2019年まで続いたF1でのスティントレース中、ロバート・クビサは、ル・マンでレースをすることに特別な希望はなかったが、イベントをリスペクトしていたと語る。

    だが、F1を去り、アルファロメオF1でテストとリザーブの役割に移行してことで、レースをより真剣に行うことを検討し始めましたとロバート・クビサは語る。

    レースをするのを楽しみにしていたかと質問されたロバート・クビサは「正直なところ、ずっと考えていたわけではなかった。結局、僕はスプリントレースに集中してきたからね」とコメント。

    「もちろん、ル・マンは多くの関心を集めているし、世界最大のレースではないにしても、耐久レースでは最大のレースにひとつだ」

    「だから、僕はこのイベントに常に大きな敬意を払ってきたけど、もちろん、スプリントレースをしているとき、またはF1でレースをしているときは、ル・マンをやろうとは考えていない」

    「でも、F1でレースをしなくなり、考えるようになったのは確かだ。自分がやりたいと思う通常のアプローチ方法だ」

  • WEC:トヨタ 2021年 ル・マン24時間レース 公式練習・予選レポート

    WEC:トヨタ 2021年 ル・マン24時間レース 公式練習・予選レポート

    8月18日(水)2021年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第4戦、第89回ル・マン24時間レースの公式な走行セッションが開始され、レースウィークが幕を開けた。トヨタの新型ハイパーカー GR010 HYBRIDは、初日の予選でトップに立った。

    マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの3名がドライブするGR010 HYBRID 7号車は、小林のアタックで3分26秒279というハイパーカーによるサルト・サーキットでの最速タイムをマークした。

    セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーのGR010 HYBRID 8号車はハートレーがアタックし3番手。2台のGR010 HYBRIDの間には、アルピーヌの36号車が割って入った。

    決勝レースのスターティンググリッドは、19日(木)に行われるハイパーポールで決定される。このハイパーポールには、今日の予選で各クラストップ6に入った車両が、現地時間午後9時から30分間のセッションでタイムを競う。トヨタは5年連続のポールポジションを目指し、このハイパーポールに出場することとなる。

    午後7時から1時間に渡って行われた予選では、小林とハートレーが新品タイヤと軽い燃料搭載量でセッション開始と同時にコースイン。7号車の小林はクリーンな周回でタイムアタックができ、トップタイムをマーク。一方で8号車のハートレーはコース上の混雑に阻まれながらも、その時点で7号車から1.392秒遅れの2番手につけた。

    予選アタックを順調に終えたことで、チームは決勝レースに向けた準備とタイヤの分析へと目的を切り替えた。規定により、この水曜日と木曜日のトータル11時間にわたる練習走行と予選の間、車両1台につき6セットのタイヤしか使用できないため、残りのセッションは使用済みのタイヤで走ることになる。

    このため、GR010 HYBRIDの直接のライバルとなるハイパーカークラスの他の車両は、残る予選セッションでトヨタのタイムを上回るべく、アタックを続けた。セッション中、フルコースイエローやスローゾーン制限などが発生し、アタックの機会は限られたものとなったが、セッション終盤にアルピーヌ36号車が2番手に浮上した。

    ル・マンのレースウィークで公式な走行開始となった18日(水)は、予選以外にも2回に渡る、合計5時間の練習走行セッションが設けられた。エンジニアとドライバーにとっては、去る15日(日)のテストデーのあと、様々なセットアップの変更を検証する貴重な機会となった。

    最初の3時間の練習走行は、開始早々に赤旗が掲示される波乱のスタートとなった。その後の2時間は比較的順調に走行が続けられたが、終盤にはLMP2車両とGT車両のアクシデントにより23分間に渡る赤旗中断となり、最後はフルコースイエローでセッションが終了した。

    2台のGR010 HYBRIDは、空力、及びメカニカルセットアップの比較及び、様々なタイヤコンパウンドの評価を行った。このセッションでは7号車のロペスが3分29秒309でトップタイム、8号車は中嶋が0.087秒差の3番手となった。

    8号車のブエミは、他のレース出場により15日(日)のテストデーを欠席したため、この日の公式練習1回目がGR010 HYBRIDでのサルト・サーキット初走行となったが、公式練習2回目の夜間走行ではセッショントップタイムをマークした。

    予選を終えた後、現地時間午後10時よりこの日2度目の練習走行が行われ、GR010 HYBRIDはル・マンでの初の夜間走行に挑んだ。ル・マンに出場する全てのドライバーは、これまでの経験にかかわらずこの夜間走行セッションで最低5周を走り切ることがレース出場のために義務づけられているが、全員問題なくこの条件をクリアした。

    小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
    いつでもトップタイムは嬉しいことですが、あくまでも予選ですし、まだハイパーポールもあるので、それほど重要視していたわけではありません。GR010 HYBRIDの感触は良く、全てがスムーズで、良いレースウィークのスタートが切れたと思います。24時間という長いレースですから、車両は快適でなくてはなりませんし、安定性も求められます。そのための作業を続けてきましたし、明日の木曜日もこの調子で頑張ります。

    マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
    良い一日で、着実なレースウィークのスタートが切れました。今日の主な目的は決勝レースへ向けた準備でした。テストデーでの作業に続き、更なるテスト項目をこなし、とても上手く行きました。今日は涼しくなりましたが、GR010 HYBRIDはテストデーの時と変わらず、決勝レースへ向けて良い兆候だと思います。

    ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
    1年で最も重要なレースであるル・マンが、今日のセッションで公式に始まりました。チームは素晴らしい仕事をしてくれており、セッションが進むごとにクルマの感触は良くなっています。GR010 HYBRIDは本当に素晴らしいクルマです。もちろんポールポジション獲得は狙っていますが、最も重要なのは決勝レースだということは良く分かっています。

    中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
    レースウィーク最初の走行日となりましたが、テストデーと比べコースの路面温度が大きく変わりました。我々は様々なタイヤと、タイヤコンパウンドに合うセットアップを試すと同時に、制御システムについても色々とテストしました。進展はありましたが、明日へ向けてまだやるべきことは多いです。7号車と比べると少しスピードが足りない感じなので、ハイパーポールまでになんとかしたいと思っています。

    セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
    テストデーに参加できなかったので、とにかく習熟と学習に費やしました。これまでここル・マンで走ってきた車両とは別物なので、自分を合わせる必要があり、スピードを取り戻すのに数周かかりました。GR010 HYBRIDの感触は予想以上に良く、コースコンディションもセッションが進むごとにグリップが増しています。残るセッションでの更なる進化を期待しています。

    ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
    とても順調な一日でした。GR010 HYBRIDを再びドライブできて最高です。本当にこの車両はここル・マンで生まれたかのようで、実家に帰ってきたように感じます。テストデーと比べると、路面温度がとても低く、風向きも違ったので、全く異なるコンディションでした。そのおかげで、決勝レースで夜間走行に入るときの適切なタイヤ変更タイミングなど、様々なタイヤコンパウンドについて学ぶことができました。タイヤとセットアップの決定はテストプログラムの大きな要素ですが、全てが上手く行きました。

  • WEC:トヨタ 2021年 ル・マン24時間レース テストデーレポート

    WEC:トヨタ 2021年 ル・マン24時間レース テストデーレポート

    8月15日(日)、フランス・ル・マンのサルト・サーキットで、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レースに向けた公式テストデーが実施され、4連覇を目指すTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)の新型ハイパーカー GR010 HYBRIDが、サルト・サーキットでの記念すべき第一歩を記した。

    昨年は行われなかったため2019年以来となる、レース前の日曜日に伝統的に行われてきた事前テストは、チームにとって、レースウィークの前に公道区間を閉鎖して全長13.626kmのサルト・サーキットを実際に走行できる唯一の機会となる。

    この日は、2回の合計9時間にわたる練習走行セッションが設けられ、シリーズ最大のイベントへ向けて車両の準備を進めるために、特に重要な一日となる。

    今季WECで、ここまで3戦全勝を飾っているTGRの2台のGR010 HYBRIDは、この日の走行を2番手、3番手タイムで終えた。ディフェンディングシリーズチャンピオンのマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスがドライブした7号車がトップと僅か0.225差の2番手、昨年のル・マンウィナーである中嶋一貴とブレンドン・ハートレーが駆る8号車はそこから0.282秒遅れの3番手となった。

    GR010 HYBRIDが争うハイパーカークラスのラップタイムは、この日も非常に接近した争いとなり、今季これまでのスパ・フランコルシャン、ポルティマオ、及びモンツァの3戦と同様に、3チームによる激戦を予想させるものとなった。テストデーでの最終的なトップはグリッケンハウスの708号車がマークした3分29秒115だった。

    8号車のドライバーであるセバスチャン・ブエミは、同日、ドイツのベルリンで行われたフォーミュラE選手権のシーズン最終戦に出場していたため、このテストデーは欠席し、夕方、ベルリンからル・マンに到着した。

    ブエミを除いた5名のドライバーにより、レースウィークへ向けた唯一のテストデーは、晴天の下、現地時間午前9時に開始された。ロペスと中嶋が、GR010 HYBRIDにとって記念すべきサルト・サーキットでの1周目を記し、2台によるテストプログラムが開始された。

    ハイパーカー GR010 HYBRIDは、これまでのLMP1車両とは根本的に異なる車両パフォーマンス特性を持つ全く新しい車両ということもあり、チームはいつも以上に準備のための幅広いテストプログラムに注力した。

    午前9時から4時間に渡って行われた練習走行1回目のセッションは、2度の赤旗中断により若干走行時間が失われたが、TGRの5人のドライバーは着実に周回を重ね、空力及びメカニカルのセットアップ、エネルギー配分やタイヤに関するデータを収集。特にタイヤでは、3種類のドライ用コンパウンドをサルト・サーキットで初めて評価した。

    サルト・サーキットは1周の大部分が公道セクションということもあり、予想通りテスト開始当初は路面が非常に汚れていたが、62台のレース出場車両が周回を重ねて行くうちに路面がクリーンになっていき、ラバーが乗って徐々に状況は改善していった。

    8号車を駆るハートレーが、開始から2時間半ほどを過ぎたところで、3分31秒263というこのセッション最速タイムをマーク。このセッションでは、アルピーヌが2番手、コンウェイがベストラップをマークした7号車が3番手につけた。

    1時間のインターバルを挟んだ後、5時間に渡って行われた午後のセッションでは、レースコントロール確認のために、25分間に渡るセーフティカー導入のテストも実施された。加えてフルコースイエローのテストも行われたが、それ以外はトラブル無くセッションは進み、チームはスムーズにテストプログラムをこなした。7号車は再びコンウェイが最速タイム、8号車はハートレーのタイムが最速となった。

    このテストデーを終えた後、エンジニアは2日間のインターバルで収集したデータを解析し、セッティングの最適化を進めるとともに、メカニックは車両のチェックと再整備を行い、18日(水)午後から行われる公式練習第1回目のセッションに臨むこととなる。

    小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
    今日のテストは順調に終わり、満足しています。ハイパーカーで初めてのル・マン走行で、いつものように午前中のコースコンディションはあまり良くなかったものの、その後徐々に改善されていきました。これまでのところGR010 HYBRIDはとても力強く感じます。バランスも悪くないですが、改良の余地はまだ沢山あるので、この後の数日でデータを分析していきます。

    マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
    ル・マンに戻ってきて、周回を重ねることができて良かったです。GR010 HYBRIDは好感触で、良い兆候です。我々はこの日、一歩一歩改良を進めました。今日はレースウィークに想定しているコンディションに近かったので、今日得られたデータは車両理解の参考になるはずです。まだまだ学習中で、全ての面で最適化にトライしているところです。最速タイムをマークすることはいつでも嬉しいですが、重要なのは来週からであり、今日はとにかく目の前のことに集中しました。

    ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
    ル・マンでのハイパーカー初走行日は、良い一日となり、大きなトラブル無く走行を終えることができました。まだこれから長いレースウィークが待っていますが、最初のテストは終え、この後はあっという間に時間が過ぎていきます。これから水曜日までに、得られたデータを理解するという、最も重要な作業が待っていますが、今のところとても満足しています。GR010 HYBRIDは、まるでル・マンのために生まれた車両のように感じます。いつもそうなのですが、ここル・マンでは車両が生き生きとして、全てのポテンシャルが見られるように感じます。そんなル・マンで走れるというのは本当に最高です。

    中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
    ル・マンに戻り、新しいGR010 HYBRIDで走ることができて最高です。GR010 HYBRIDは1周目から好調で、ル・マンというコースでの感触を楽しむことができました。今日は長い一日でしたが、時間が経つにつれコース路面はどんどん良くなっていきました。決勝レースへ向けた異なるセットアップやタイヤのテストなど、予定していたプログラムを消化するために、多くの周回をこなすことができました。全体的に見れば今日の結果には満足していますが、パフォーマンスについて語るにはまだ早いです。

    ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
    ハイパーカーと共に、サルト・サーキットに戻ってこられて嬉しいです。昨年までここでレースをしていたのとは全く別物のクルマなので、多くのことを学んでいるところです。やっとここル・マンで走ることができたGR010 HYBRIDは本当に水を得た魚のようで、特に高速セクションでは素晴らしく、楽しめた一日でした。今日一日で我々は多くを学びましたし、良い方向へ向かっていると思います。レースウィークが楽しみです。

  • F1ベルギーGP:スパ・フランコルシャンのCEOが遺体で発見 殺人の疑い

    F1ベルギーGP:スパ・フランコルシャンのCEOが遺体で発見 殺人の疑い

    今月後半にF1ベルギーGPを主催するスパ・フランコルシャン・サーキットのCEOを務めていたナタリー・マイエが遺体で発見され、殺人/自殺の両方の線で捜査が進められている。

    ナタリー・マイエは、日曜日の朝の早い時間に、ベルギーとルクセンブルグの国境にあるグヴィーの彼女の家で死んでいるのが発見された。彼女は、別の女性と男性の遺体とともに銃で撃たれていた。

    この男性とは夫のフランツ・ドゥボワであり、彼がナタリー・マイエと友人の女性を銃で殺害した後、自殺したと報じられている。

    「受け取った最初の情報によると、男性は妻を含む2人の女性に武器を使用し、自分の命を奪う前に死に至らしめた」とルクセンブルクの検察官は述べた。

    「私の考えは、ナタリーの家族、彼女の両親、彼女の愛する人、そして彼女のチームにある」とスパ・フランコルシャン・サーキットの取締役会会長であるメルキオール・ワトゥレは述べた。

    「このニュースが我々のチームをどれほど混乱させることになるかは分かっている。取締役会を代表して、サーキットチーム全体に心からお悔やみを申し上げる。今日、我々は非常に尊敬されている女性であり、真のリーダーを失った。大いに惜しまれるだる。

    「ナタリーはサーキットの顔になった。彼女は我々全員が共有するレースへの情熱を体現していた」

    モータースポーツ一家で生まれたナタリー・マイエは、建築家になるために勉強した後、30代でレースを始めた。彼女はドライバーとして競争するだけでなく、レースの組織的な側面にも関与するようになった。そして、2016年6月にスパ・フランコルシャン・サーキットのCEOに就任し、彼女のリーダーシップと革新性は高く評価されていた。

    ナタリー・マイエの死は、スパが初めて世界ラリー選手権(WRC)を開催する前夜に発生した。サーキットのステージは、WRCの一環としてイープルラリーの最初のイベントの最終日に使用された。

    F1は「友人のナタリー・マイエが亡くなったというひどいニュースに深く悲しんでいる」と声明で述べた。

    「F1全体が彼女の家族や友人に深い哀悼の意を表する。モータースポーツコミュニティは信じられないほどの人を失った。そして、我々は皆、彼女を大いに恋しく思うだろう」

    FIA世界耐久選手権(WEC)の主催者であるAutomobileClub del’Ouest(ACO)の代表を務めるピエール・フィロンも、ナタリー・マイエに哀悼のを表した。

    「我々はこのニュースにショックを受け、動揺している。特にFIA世界耐久選手権に関して、我々過去数年間定期的に連絡を取り合っていた」とピエール・フィヨンは述べた。

    「ナタリーはモータースポーツに情熱を注いでおり、我々の目的を守るために努力を惜しまなかった。

    「ACOを代表して、彼女の友人や家族、そしてスパ・フランコルシャンのスタッフに心からお悔やみを申し上げる。彼らはこの困難な時期に我々のサポートを頼りにすることができる」