カテゴリー: トヨタ

  • ハースF1 小松礼雄がBWTとのスポンサー契約を否定「ピンクのマシンにはならない」

    ハースF1 小松礼雄がBWTとのスポンサー契約を否定「ピンクのマシンにはならない」

    ハースF1のチーム代表を務める小松礼雄は、2027年にBWTが新たなスポンサーとして加入するとの噂を否定した。「ピンクのマシンにはならない」と明言する一方、チームが複数の企業とスポンサー契約に向けた交渉を進めていることを明かした。

    トヨタから支援を受けるハースF1だが、小松礼雄はこれまで、チームの支出がF1のコストキャップに届いていないことを説明してきた。2027年には予算上限まで使える体制を目指しており、そのための商業パートナー拡大を重要課題としている。

    小松礼雄「ピンクのマシンにはならない」
    F1スペインGPが開催されたマドリードで、小松礼雄は2027年に向けたスポンサー獲得活動について、複数の候補企業との話し合いが進んでいると説明した。

    「多くの候補と話をしていますし、前進しています。来年の予算については非常に前向きに考えています」

    「本当に大きな助けになります。ただ、少しずつではありますが、我々のストーリーを知ってもらい、素晴らしい人たちと出会うことができています。ですから、ここまでは順調です」

    そのなかで浮上したのがBWTだった。

    BWTは長年F1でピンクを象徴的なカラーとして使用してきた企業で、2027年にはアルピーヌとの関係を終了し、同チームではグッチがその後を引き継ぐことになっている。また、BWTは過去にハースとの提携を模索した経緯もあり、2027年からアメリカのチームに加わるのではないかとの噂が広がった。

    しかし、BWTとの契約について直接質問された小松礼雄は、その可能性を否定した。

    「皆さんが言っているような、ピンクのマシンにはなりませんよ!」

    したがって、現時点で2027年型マシン「VF-27」がBWTを象徴するピンクのカラーリングを採用する計画はない。

    2027年はコストキャップ到達を目指す
    一方、BWTではない別の企業との交渉は進行している。

    小松礼雄がスポンサー獲得を重視する背景には、ハースが現在、F1のコストキャップを最大限まで使える財政規模に達していないという事情がある。2027年の予算上限は2億1500万ドルとされており、チームはそこに近づくための収益基盤強化を進めている。

    その一環として、ハースは商業開発を専門とするBrandandとの提携も発表した。

    英国オックスフォードシャー州バンベリーに拠点を置くBrandandは、ハースの英国拠点にも近く、新たな商業パートナーの開拓やライセンス事業の拡大を担当する。

    既存の商品ポートフォリオを活用しながら、ライフスタイル、テクノロジー、ホーム関連など幅広い分野で新たなライセンス商品を開拓。パートナー候補の発掘と交渉から、商品のデザイン、開発、生産までを手掛ける。

    従来のチームウェアやサーキットで販売されるグッズだけでなく、世界中のF1ファンに向けて商品展開そのものを広げていく狙いがある。

    ハースのマーケティング&コマーシャルディレクターを務めるマーク・モレルは次のように説明した。

    「ハースF1が野心的な成長期に入るなか、革新的なライセンスを通じて世界的な商業プレゼンスを拡大することは、我々にとって重要な優先事項です」

    小松礼雄(ハースF1チーム)

    ドライバー選考では資金より速さを優先
    スポンサー獲得を進める一方、ハースは2027年のドライバーラインナップについても検討を続けている。

    エステバン・オコンのシートを巡っては、平川亮、レオナルド・フォルナローリ、ラファエル・カマラ、ジャック・ドゥーハンらが候補として評価されている。

    ドライバーが持ち込む資金が選考に影響する可能性について、小松礼雄は、候補者の実力が極めて接近している場合に限って考慮する可能性があると説明した。

    「例えば1周で0.1秒差というように、本当に、本当に僅差なら、もちろん支援も判断材料にはなります。でも、そうなるとは思っていません。パフォーマンスで選べると思っていますし、まだプログラム全体も終わっていません」

    「我々は本当に速いドライバーを2人そろえたいと思っています。それが、このチームを成長させる一番いい方法だからです」

    所属する育成プログラムについても重要ではないと強調した。

    「フェラーリのドライバーが2人でも、トヨタのドライバーが2人でも、マクラーレンのドライバーが2人でも関係ありません。フォルナローリはマクラーレンのドライバーですが、正直なところ、それは重要ではありません。一番速いドライバーを選ぶことがチームにとってベストです」

    「ここで働く400人全員にとっても、我々が可能な限り最高のドライバーを選んだと分かることが必要です。その2人にマシンの最大限を引き出してもらわなければなりません」

    「例えば0.5秒遅いドライバーを、お金があるという理由で選んだと想像してください。それではあまりモチベーションにはなりませんよね」

    「コンストラクターズ選手権の1ポジションも大きなお金になります。以前から一貫して言っていますが、我々はパフォーマンスでドライバーを選びます。それが我々のやっていることです」

    BWT加入説については明確に否定した小松礼雄だが、ハースF1が2027年に向けて商業規模の拡大を急いでいることは認めている。新スポンサーを獲得してコストキャップまで予算を引き上げながら、ドライバーについては資金力ではなく純粋なパフォーマンスを優先するというのが、小松礼雄が描くチーム強化の方針だ。

  • ジャック・ドゥーハン ハースF1の2027年シート候補へ 平川亮らとヘレスでテスト

    ジャック・ドゥーハン ハースF1の2027年シート候補へ 平川亮らとヘレスでテスト

    ジャック・ドゥーハンが、2027年のドライバー選定を進めるハースF1でアピールの機会を得る。リザーブドライバーを務めるドゥーハンは、ヘレスで実施される旧型車テスト(TPC)でVF-25をドライブする予定だ。

    ハースF1では、エステバン・オコンの2027年残留がまだ確定しておらず、小松礼雄チーム代表は候補を5人に絞っていることを明らかにしている。ドゥーハンにとって今回のテストは、その候補争いに加わるうえで重要な機会となる。

    ドゥーハンがVF-25をドライブ
    ハースF1は9月14日と15日の2日間、スペインのヘレス・サーキットでTPCを実施する。このテストにはドゥーハンのほか、平川亮、2024年スーパーフォーミュラ王者の坪井翔が参加する。日本人2人は、提携関係にあるTOYOTA GAZOO Racingのドライバー陣から起用される。

    ドゥーハンはアルピーヌでF1に7戦出場した経験を持つ。2025年のF1マイアミGPを最後にレースシートを失っており、今回がそれ以来初めてのF1マシンでの本格的な走行となる。

    現在はハースF1のリザーブドライバーを務めており、今回のTPCでは小松礼雄をはじめとするチーム首脳陣に自身の能力を直接示すことになる。

    2027年候補は5人 オコンの残留は未定
    今回のテストが注目される背景には、ハースF1の2027年ドライバーラインナップがまだ固まっていないことがある。

    小松礼雄は、2027年の候補リストに現レギュラーのオコンを含む5人が残っていることを認めている。オコンが残留しない場合、そのシートを巡って複数のドライバーが争うことになる。

    その候補として現在、強く名前が挙がっているのがラファエル・カマラだ。

    ハースF1はヘレスに先立ち、ポルトガルのポルティマオでもTPCを実施。現FIA F3王者のカマラ、平川、マクラーレンのリザーブを務めるレオナルド・フォルナローリが参加した。

    パドックでは、このテストでフェラーリ育成のカマラが最も強い印象を残したとされており、オコンが離脱した場合の有力候補に浮上している。

    平川亮(ハースF1チーム)

    トヨタは平川亮のF1昇格を後押しか
    一方、平川亮も依然として候補から外れていない。

    平川は現在、ハースF1のリザーブドライバーを務めており、2026年シーズンにはすでに2回のFP1に出走している。報道によれば、トヨタは32歳の平川をF1のレギュラーシートに送り込むことを望んでいるとされ、オコンが離脱した場合の候補として現実的な位置にいるという。

    今回のヘレステストには坪井翔も加わるため、ドゥーハン、平川、坪井の3人が同じTPCで走行することになる。それぞれにとって、ハースF1の首脳陣にアピールできる貴重な機会となる。

    角田裕毅はハースF1の候補外
    一方、レッドブルF1のリザーブドライバーである角田裕毅については、ハースF1の2027年候補との噂が出ているものの、PlanetF1.comはチームの検討対象には入っていないと報じている。

    そのため、現時点でハースF1のシート争いは、オコンの残留を軸に、カマラ、平川、ドゥーハンらの動向が焦点となっている。

    ただし、小松礼雄はドライバー決定を急いでいない。最近の大型契約発表によってF1のドライバー市場は落ち着きを見せており、ハース側には判断を急ぐ必要がないためだ。

    モンツァで決定時期について尋ねられた小松礼雄は、毎日「1日ずつ近づいています」と冗談交じりに答え、慎重に候補を評価していく姿勢を示していた。

    ポルティマオで評価を高めたカマラ、トヨタが後押しする平川、そして今回F1マシンに復帰するドゥーハン。オコンの去就を含め、ハースF1の2027年シート争いは今後のTPCでの評価が重要な判断材料となりそうだ。

  • エステバン・オコン 2027年ハースF1残留に金銭面の壁「高額なドライバー」

    エステバン・オコン 2027年ハースF1残留に金銭面の壁「高額なドライバー」

    エステバン・オコンの2027年F1シーズンに向けたハース残留をめぐり、ドライバーとしての評価だけでなく、チームの財政事情が重要な要素になっているとの見方が浮上している。

    オコンはF1スペインGPを前に、ハースと2027年について「今まさに話している」と交渉開始を明らかにしたばかりだ。

    しかし、ブラジル人F1ジャーナリストのジュリアン・セラソーリは、ハースがコストキャップ上限まで支出できていない状況にあり、オコンの高額な報酬が残留に向けて不利な材料になる可能性があると指摘している。

    ハースの2027年シートを左右する財政事情
    オコンは2025年にアルピーヌからハースへ加入。2027年のシートをめぐっては、ラファエル・カマラやレオナルド・フォルナローリら若手ドライバーの名前も候補として取り沙汰されている。

    セラソーリはUOL EsporteのYouTubeチャンネルで、ハースの状況について次のように説明している。

    「ハースのシートは、まさにベアマンがいることで少し複雑になっている」

    「ベアマンはフェラーリとのつながりを持つドライバーで、そのシートを確保している。そして、フェラーリと関係するドライバーを2人同時に起用した前例はない」

    さらに、2027年のドライバー選択を読みづらくしている大きな理由として、ハースの財政状況を挙げた。

    「現時点で彼らの状況を読むのは非常に難しい。なぜなら、大きな予算上の問題を抱えているチームだからだ」

    「キャデラックでさえ、すでにコストキャップの範囲内で運営できている。つまり、マシン開発に使える最大額であるコストキャップまで支出しても、それを賄えるだけの収入があるということだ」

    「オコンは高額なドライバー」
    一方、ハースについては事情が異なるという。

    「ハースは依然としてコストキャップを下回る規模で運営している唯一のチームで、小松礼雄にはこの状況を変えるよう大きなプレッシャーがかかっている」

    ここでドライバー選択も財政面での解決策のひとつになり得るとセラソーリは指摘する。

    「だから、ドライバーも可能な解決策の組み合わせに巻き込まれることになる。そしてオコンについて言えば、彼は高額なドライバーだ。それがフランス人ドライバーにとって不利に働くポイントのひとつになっている」

    実際、2026年のオコンの推定年俸は約700万ドルで、チームメイトのオリバー・ベアマンの約100万ドルに対して7倍に達する。ベアマンはF1フル参戦初年度の2025年から約100万ドルと推定されており、ハースにとって両者の人件費には大きな開きがある。

    この差は、2027年のドライバー選択にも影響する可能性がある。仮にラファエル・カマラがベアマンと同程度のルーキー水準の契約で加入するなら、オコンから若手への交代だけで年間数百万ドル規模の人件費差が生じ得る。

    ただし、F1ではドライバーの報酬はチームのコストキャップ対象外となっている。そのため、オコンの年俸を削減した分をそのままマシン開発費に振り向けられるわけではない。それでも、コストキャップ上限まで支出できるだけの収入を確保できていないとされるハースにとって、チーム全体の支出を考えればドライバーの人件費も無視できない要素となる。

    カマラら若手にはスポンサーという武器
    ハースにはフェラーリとの技術的な関係があり、オリバー・ベアマンもフェラーリの育成プログラム出身だ。そのため、もうひとつのシートを誰に与えるかについては、ドライバー自身の実力だけでなく、フェラーリとの関係やチームにもたらす経済的メリットも絡んでくる。

    「ただ、フェラーリがそのシートを確保するために、さらに何を提供できるのかという話にもなる。もちろんドライバーの実力も重要だ。しかし、F1がチームスポーツであることは分かっているし、そのチームの中でオリー・ベアマンの隣に座るドライバーの存在には合理性が必要になる」

    「財政的にも意味のある選択でなければならない。当然、ラファにはビジネスパートナーやスポンサーがいて、それが助けになる。ただ、別の形でシートに資金をもたらせるドライバーもいる」

    ここで言及された「ラファ」は、フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するラファエル・カマラを指す。若手の場合、オコンより低い年俸で起用できる可能性に加え、スポンサーなどの支援をチームにもたらすことができれば、財政面でさらに魅力的な選択肢となる。

    一方で、すでにベアマンというフェラーリ系ドライバーがいることは、カマラを起用する場合の複雑な要素となる。セラソーリが指摘するように、ハースにはフェラーリとのつながりを持つドライバーを2人同時に起用した前例がなく、速さ、給与、スポンサー、フェラーリとの関係まで含めた総合的な判断が必要になる。

    ハースF1チーム

    オコンは「ドライバーが問題ではない」と主張
    今回の財政面からの指摘は、オコン自身がF1スペインGPを前に語った内容とも対照的だ。

    オコンは2027年について「もちろん、ここ数週間は将来について話し合っている。僕は2025年から小松さんとこのプロジェクトに加わることを決めた。当然、最初に話をするべきなのはこのチームだし、今まさにその話し合いをしている」と説明している。

    また、ハースがTPC(旧型車テスト)で他のドライバーを走らせていることについても、自身のシートへの直接的な脅威とは捉えていない。

    「チームは望むのであれば、どんなドライバーでもテストすることができる。僕たちにはTPCプログラムがあり、それはチームにとって非常に重要だ。ある意味では収入源にもなっている」

    TPCを「収入源」と表現した点は、今回伝えられたハースの財政事情を考えるうえでも興味深い。チームが旧型車テストを収益機会として活用していることを、現役ドライバーであるオコン自身も認めていることになる。

    一方、オコンはチームが現在直面している競争力の問題について「ドライバーが問題ではない」と強調している。

    「チームの中ではドライバーが問題ではないことは明らかだ。僕たちは全員で同じ方向に向かって、マシンからもっと引き出そうとしている。僕もオリーも、パフォーマンスを発揮できるマシンがあれば、それを結果につなげている」

    オコンが競技面ではドライバー変更の必要性を否定する一方、セラソーリの情報では、2027年の選択には純粋なパフォーマンスとは別に金銭面が絡んでいることになる。

    オコンはハースとの残留交渉をすでに開始しているが、推定年俸約700万ドルという現在の待遇が交渉材料のひとつになる可能性がある。実績と経験ではオコンが優位に立つ一方、若手には低い起用コストやスポンサーによる資金面のメリットがある。「高額なドライバー」という評価が、オコンの2027年F1シートをめぐる思わぬ障壁となる可能性がある。

  • トヨタ WRC史上最多タイ10度目の王座 6連覇でランチアの大記録に並ぶ

    トヨタ WRC史上最多タイ10度目の王座 6連覇でランチアの大記録に並ぶ

    TOYOTAGAZOO Racing WRTが2026年WRC(世界ラリー選手権)のマニュファクチャラーズタイトルを獲得し、通算10度目の王座に輝いた。これによりトヨタは、ランチアが保持していたWRC史上最多のマニュファクチャラーズタイトル獲得記録に並んだ。

    さらに2021年から6年連続でタイトルを獲得。こちらもランチアが1987年から1992年に記録した6連覇に並ぶ歴史的快挙となった。ラリー・チリ・ビオビオではオリバー・ソルベルグが優勝し、トヨタは残り2戦を残して2026年の王座を確定させた。

    トヨタがWRC通算10冠 ランチアの最多記録に並ぶ
    トヨタはラリー・チリを迎えた時点で、マニュファクチャラーズタイトルを数学的に確定させるために必要だったのはわずか7ポイントだった。

    そしてチリで十分なポイントを獲得し、10月のラリー・イタリア・サルディニアと最終戦サウジアラビアを待たずしてタイトルを確定させた。

    トヨタにとって今回が通算10度目のWRCマニュファクチャラーズタイトルとなる。

    最初の王座は1993年。翌1994年にも連覇を達成し、1999年には3度目のタイトルを獲得した。

    2017年にWRCへ復帰すると、翌2018年には早くもマニュファクチャラーズ王座を奪還。そして2021年から2026年まで6年連続でタイトルを獲得した。

    これによって通算タイトル数は10回となり、ランチアと並んでWRC史上最多となった。

    6連覇でもランチアの歴史的記録に並ぶ
    トヨタが達成したのは通算10冠だけではない。

    2021年に始まったマニュファクチャラーズタイトルの連続獲得記録も6年に伸びた。

    これまでWRCにおける長期支配の象徴となっていたのが、ランチアが1987年から1992年に達成した6年連続タイトルだった。

    トヨタは2021年、2022年、2023年、2024年、2025年、そして2026年と一度も王座を譲ることなく6連覇を達成。ランチアが築いたもうひとつの歴史的記録にも肩を並べた。

    ソルベルグの勝利で歴史的タイトルに花
    その記念すべき週末にトヨタへ勝利をもたらしたのが、24歳のオリバー・ソルベルグだった。

    コ・ドライバーのエリオット・エドモンドソンとともに3日間を安定して戦い抜き、9度のWRC王者セバスチャン・オジェに16.6秒差をつけてラリー・チリ・ビオビオを制した。

    3位にはヒョンデのアドリアン・フルモーが入り、首位から33.3秒差でフィニッシュした。

    ソルベルグは金曜日のオープニングステージで首位に立った。SS2終了後に一時エルフィン・エバンスにトップを譲ったものの、その後は変化し続けるコンディション、荒れた路面、難しいタイヤマネジメントに対応しながらラリーをコントロールした。

    今回がソルベルグにとって通算3度目のWRC総合優勝。2026年シーズンでは開幕戦ラリー・モンテカルロに続く2勝目となった。

    2025年のラリー・エストニアでトヨタのRally1マシンによるデビュー戦優勝を飾ったソルベルグは、フル参戦となった今季もその実力を証明している。

    エバンスのタイヤトラブルで展開が一変
    最終日を迎えた時点で、ソルベルグはエバンスに19.1秒のリードを築いていた。

    しかし、日曜日最初のカランパングエでは選手権首位のエバンスがステージ優勝。ソルベルグとの差を13.2秒まで縮めた。

    ソルベルグは続くビオビオの1回目で反撃する。右リアタイヤにダメージを負いながらもステージ最速タイムを記録し、リードを14.5秒まで広げた。

    その後、ラリーだけでなくドライバーズ選手権の行方にも大きな影響を与える出来事が起きた。

    総合2番手を走っていたエバンスが、最後から2番目のカランパングエでマシンを止めてタイヤを交換。2分以上を失い、総合5番手まで後退した。

    これによってオジェが2番手、フルモーが3番手へ浮上。ソルベルグは13.3秒のリードを持って最終ウルフ・パワーステージを迎えた。

    ソルベルグ「完璧な週末だった」
    十分なリードを持ちながらも、ソルベルグは最後までペースを緩めなかった。

    最終ウルフ・パワーステージでもエバンスを0.5秒上回るトップタイムを記録し、ステージ優勝でラリー総合優勝を締めくくった。

    「信じられないような週末でした。浮き沈みもありましたが、チームはいつも支えてくれて、いつもプッシュして、いつも僕を信じてくれました」

    「ようやく少し運も僕の味方をしてくれて、自分の仕事に集中して、自分らしく走ることができました。小さなディテールが重要なんです。そして今週末は完璧、本当に完璧な週末でした」

    オジェはローブに並ぶ通算120回目の表彰台
    2位に入ったセバスチャン・オジェも歴史的な節目を迎えた。

    今回が自身通算120回目のWRC表彰台となり、同じく9度の世界王者であるセバスチャン・ローブの記録に並んだ。

    ヒョンデのフルモーは3位に入り、自身通算13回目のWRC表彰台を獲得した。

    エバンスの後退によってサミ・パヤリが4位に浮上。ソルベルグから1分33.9秒差でフィニッシュした。エストニア、フィンランド、パラグアイで3連勝を飾ったパヤリだったが、チリではそのペースを再現できなかった。

    エバンスは5位でフィニッシュし、ウルフ・パワーステージでも2番手タイムを記録。タイヤトラブルで失ったポイントを少しでも取り戻した。

    「もちろん、できる限り効率よく速く走ろうとしていた。今朝の時点ではかなり良い状況に見えていたけど、こういうことは起こる。僕たちは戦い続ける」

    ドライバーズタイトル争いは残り2戦へ
    エバンスのタイヤトラブルによって、ドライバーズタイトル争いも接近した。

    エバンスは依然としてランキング首位を維持しているが、ラリー・チリを制したソルベルグが21ポイント差まで迫った。また、パヤリはソルベルグを4ポイント上回っている。

    次戦ラリー・イタリア・サルディニアで、エバンスが全ライバルに対して少なくとも36ポイントのリードを築けば、最終戦サウジアラビアを待たずにドライバーズタイトルを確定できる。

    また、WRC2ではヨアン・ロッセルがランチアで優勝。ロバート・ヴィルベスがWRC2チャレンジャー王者、アリ・ターカンが2026年FIAジュニアWRCチャンピオンに輝いた。

    1993年に初めてWRCマニュファクチャラーズ王座を獲得してから33年。トヨタは2026年、通算10度目のタイトルと6年連続王座という二つの記録でランチアに並び、WRC史上最も成功したメーカーのひとつとして新たな歴史を刻んだ。

  • ラファエル・カマラ ハースF1テストでベアマン超え「唯一の障壁はトヨタ」

    ラファエル・カマラ ハースF1テストでベアマン超え「唯一の障壁はトヨタ」

    ラファエル・カマラが、2027年のF1シート獲得に向けて大きく前進している。ハースがポルティマオで実施したTPC(旧型車テスト)で、現役ドライバーのオリバー・ベアマンが設定した基準タイムを上回ったという。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属する21歳のカマラは、8月末にポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキットで行われたハースの3日間のテストに参加。レオナルド・フォルナローリ、平川亮とともに評価を受け、ベアマンが比較対象として走行した。

    ベアマンを上回ったカマラ
    ブラジル人F1ジャーナリストのジュリアン・セラソリによると、カマラは単にベアマンのペースに迫っただけではなく、最終的にそのタイムを上回ったという。

    「ラファ・カマラはハースのテストでベアマンのペースに並んだだけではありません。実際にベアマンより速かったんです」

    セラソリは自身のポッドキャスト『In the F1 Paddock with Ju Cerasoli』でそう説明した。

    「私が聞いた表現をそのまま使うと、『まるでもう1段ギアを持っているようだった』ということでした。テストにはさまざまな項目がありましたが、そのすべてで非常に良かったそうです」

    テスト終盤には、各ドライバーがほぼ同じ条件で3周のアタックを行う比較プログラムが組まれたという。

    「最後に各ドライバーが3周の速いラップを走りました。基本的には同じ条件です。そのとき、ラファはベアマンより速かったんです。ベアマンは基準を作るためにこのテストに参加していました」

    カマラのパフォーマンスについては、ブラジルのgeもベアマンが記録した基準タイムを上回ったと報道。さらにフォルナローリに約0.2秒、平川に0.3秒以上の差をつけたと伝えられている。

    今回使用されたのは2025年型のVF-25であり、ベアマンにとっては前年のF1シーズンを戦った経験のあるマシンだった。一方、カマラにとってハースでのテストは初めてで、ポルティマオでの走行経験もなかった。

    それでも純粋な速さだけでなく、マシンへの適応力やエンジニアへのフィードバックでも高い評価を得たとされている。

    2027年ハースF1シート争いで急浮上
    ハースは2027年のドライバーラインナップをまだ確定していない。

    オリバー・ベアマンは残留する可能性が高い一方、エステバン・オコンの将来は不透明となっており、そのシートを巡って複数の候補が争っている。

    カマラはその有力候補のひとりだ。現在F2に参戦しており、ランキングでは首位ニコラ・ツォロフと11ポイント差の2位につけている。

    さらにフェラーリ側もカマラのF1昇格を強く後押ししている。

    フェラーリのフレデリック・バスール代表は以前、カマラについて、単なる資金面だけでなく旧型F1マシンを使ったテストなどにも多額の投資を行い、F1昇格に向けた準備を進めていることを明かしている。

    今回のハースでのテスト結果によって、その評価はさらに高まったようだ。

    「シートは彼のもの。ただしリスクはトヨタ」
    しかし、セラソリによれば、カマラが2027年のハースF1シートを獲得するうえで、まだひとつ大きな障壁が残されている。

    それがトヨタだ。

    ハースはフェラーリからパワーユニットやギアボックスなどの供給を受ける一方、トヨタとも技術提携を結んでいる。今回のTPCプログラムを拡大できた背景にも、トヨタとの協力関係がある。

    そのため、すでにベアマンというフェラーリ育成出身のドライバーを起用しているハースが、さらにフェラーリ育成のカマラを加入させることに対して、トヨタ側がどのような判断を下すかがポイントになるという。

    「シートは彼のものです。ただし、リスクはトヨタです」

    セラソリはそう説明した。

    「彼らが『ちょっと待ってくれ。フェラーリのドライバーを2人乗せるのか? 我々のスポンサーシップやパートナーシップについて分かっているのか? それなら見直さなければならない』と言う可能性があります」

    トヨタが支援する平川亮も今回のテストに参加しており、ハースのリザーブドライバーを務めている。

    一方、フォルナローリにはマクラーレンの支援がある。つまり、2027年のシート争いは単純なラップタイムだけでなく、フェラーリ、トヨタ、マクラーレンとハースの関係も絡む複雑な構図となっている。

    ラファエル・カマラ ハースF1チーム トヨタ

    カマラは「できることをすべてやった」
    それでも、カマラ自身がコントロールできる部分については、ほぼ最高の結果を残したとセラソリは評価する。

    「ラファはテストで素晴らしいパフォーマンスを見せましたし、非常に優れたスポンサーのパッケージも持っています。だからハースに対して、自分を可能な限り最高のポジションに置いています。彼にこれ以上できることはありません」

    「パドックで多くの人と話しましたが、彼からシートを奪う可能性があるとすれば、トヨタとフォルナローリを巡る動きです。あのテストの後、彼の評価は非常に、非常に、非常に高くなりました。ただ、状況はより複雑になっています」

    ハースが最終的に純粋なパフォーマンスをどこまで重視し、フェラーリとトヨタという2つの重要なパートナーとの関係をどう整理するのか。

    少なくともポルティマオでカマラは、現役のベアマンを基準とした直接比較で自らの速さを示した。2027年のF1デビューに向け、コース上でできるアピールを終えたカマラにとって、残された最大の不確定要素はハースとトヨタの判断になりそうだ。

  • トヨタGR 入門用レーシングカート「GR KART」発売 価格38万5000円

    トヨタGR 入門用レーシングカート「GR KART」発売 価格38万5000円

    GAZOO Racing(GR)は9月10日、入門用レーシングカート「GR KART」を国内で発売した。メーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。全国36拠点のカートコースと7拠点のGR Garageで販売を開始し、今後順次拡大する。

    GR KARTは、子どもやファミリー層がモータースポーツに触れる入口を広げることを目的に開発された。ノアやヴォクシーで運搬でき、立てた状態で保管することも可能。

    さらに身長135cmから185cmまで対応するポジション調整機構を備え、子どもから大人まで家族で1台を共有できることも特徴となっている。

    モータースポーツへのハードルを下げる「GR KART」
    レーシングカートは、マシンを操る楽しさをダイレクトに体感でき、F1をはじめとするトップカテゴリーで活躍する多くのレーシングドライバーがキャリアの第一歩として経験している。

    一方、個人で始めるには車両価格だけでなく、運搬用車両や保管場所、日常的な整備などが必要となり、初心者にとってハードルが高い側面もある。

    GRは、こうした負担を減らし、より多くの人がモータースポーツに挑戦できる環境をつくることを目指してGR KARTを開発した。

    モリゾウことトヨタ自動車会長の豊田章男は、野球やサッカーのようにモータースポーツも、より多くの人が挑戦できるものにしたいとの思いを持ち続けてきたという。

    GRは「クルマ屋がつくるカート」として、自動車開発で培った知見や工夫をGR KARTに投入。生産は「蒲郡GR KART工房」が担当し、TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)の考え方を取り入れながら品質確保や工程改善、原価低減を進める。

    GR KART

    価格は38万5000円
    GR KARTのメーカー希望小売価格は38万5000円(税込)。入門者が購入しやすい価格を目指すだけでなく、購入後の整備や調整にかかる手間を減らし、長期間使用できるよう耐久性にも配慮した。

    全長は1,820mm、全幅1,160mm、全高670mm、ホイールベース1,045mm。車両重量は83kgで、総排気量215ccのエンジンを搭載する。

    一般公道を走行することはできず、カートコースなどのクローズドコースおよび競技での使用を前提とした専用車両となる。

    ノアやヴォクシーでそのまま運搬
    GR KARTが特に重視したのが運搬と保管のしやすさだ。

    車体は分解することなくノアやヴォクシーに積載できるサイズとされ、大型の専用トランスポーターを用意せず、普段使用しているミニバンでカートコースまで運べる。

    保管時には車体を立てることも可能。立置き対応のエンジンオイルキャッチタンクや、フロート室を持たないダイヤフラム式キャブレターを採用したほか、燃料が漏れにくい給油口の向きとすることで、ガソリンやエンジンオイルを入れた状態でも立置きできる構造とした。

    別売りの立置き台車も用意され、自宅などで必要となる保管スペースを抑えることができる。

    ノアやヴォクシーでそのまま運搬

    身長135cmから185cmまで1台で対応
    家族で1台を共有できるよう、ドライビングポジションを簡単に変更できる機構も盛り込まれた。

    ワンタッチで操作できるペダルスライドとステアリングチルトを採用し、身長135cmから185cmまで対応。子どもが走ったあとに大人が乗るといった使い方を想定している。

    また、レース参戦時には最大15kgのウエイトを搭載できる別売りのウエイトBOXを装着可能。ドライバーに合わせた重量調整を容易に行えるほか、トランスポンダーの装着スペースも設けられている。

    チェーンではなくベルト駆動を採用
    初心者が整備ではなく走行そのものに集中できるよう、メンテナンス性にも工夫が施された。

    駆動方式には一般的なチェーンではなくベルト駆動を採用。チェーンオイルによる汚れをなくし、オートテンショナーによって張り調整も不要とした。

    エンジンには自己充電式バッテリーを内蔵し、別体バッテリーの搭載や充電作業も不要となっている。

    新開発の4ストローク用ダイヤフラム式キャブレターはフロート室を持たず、コーナリング時の横Gによる燃料液面変化の影響を受けにくい構造とした。始動前に燃料をキャブレターへ送るプライマリポンプも装備する。

    初心者を考えた安全性と耐久性
    長期間使用できるよう、リヤシャフトには錆びにくいステンレス材を採用。燃料タンク内部の配管には、ガソリンによる劣化を抑える金属製部品を使用した。

    安全面では、接触時に他車がリヤタイヤへ乗り上げることを抑えるバンパー形状を採用。リヤハブには万一の脱落を防ぐストッパーピンを設けた。

    シートについても、乗り降りする際に手をつく部分を上部に設け、熱を持つマフラーに手が触れにくい形状としている。また、アクセルワイヤーの固定方法にも配慮し、アクセルが開いたままになるトラブルを防ぐ設計とした。

    専用アプリでカートデビューをサポート
    GR KARTでは専用アプリ「GR app」を活用し、購入前の学習から購入後の走行までをサポートする。

    アプリではGR KARTに関する情報に加え、走行に必要な知識を学べる座学コンテンツを提供。利用者登録や「ドライバーパスポート」の取得・管理も行える。

    ドライバーパスポートに対応するカートコースでは、GR KART購入者は別途コースライセンスを取得せずにスポーツ走行を楽しむことができる。ただし、SLカートミーティングのGR KARTレースに参戦する場合には、別途指定されたライセンスが必要となる。

    GR KARTは9月10日から全国36カ所のカートコースと7カ所のGR Garageで販売を開始した。用品やスペアパーツについては楽天市場内の専用ECサイトでも販売する。

    車両価格だけでなく、運搬、保管、整備、家族での共有といったレーシングカートを所有する際のハードルそのものを下げることを狙ったGR KART。GRが掲げるモータースポーツの裾野拡大に向け、新たなエントリーモデルとして展開される。

  • 平川亮の2027年ハースF1シート獲得に備えるトヨタWEC「すでに後任プランがある」

    平川亮の2027年ハースF1シート獲得に備えるトヨタWEC「すでに後任プランがある」

    平川亮が2027年にハースのF1レギュラーシートを獲得した場合に備え、トヨタはすでにWEC(FIA世界耐久選手権)での後任プランを準備している。トヨタ・レーシングのテクニカルディレクターを務めるデビッド・フルーリーが明らかにした。

    ハースのリザーブドライバーを務める平川亮は、先週ポルティマオで行われたTPC(旧型車テスト)に参加。2027年のエステバン・オコンの後任候補として評価を受けており、トヨタ側も平川亮がF1へステップアップする可能性を現実的なシナリオとして想定している。

    トヨタ「平川亮がどの道を選んでもサポートする」
    平川亮は現在、トヨタのWECプログラムの中心的なドライバーのひとりである一方、ハースではリザーブドライバーとしてF1活動にも関わっている。

    トヨタとハースの関係は近年さらに深まり、トヨタ・ガズー・レーシングはハースのタイトルスポンサーを務めている。そのなかで平川亮は先週、ポルトガルのポルティマオで実施されたハースのTPCに参加した。

    テストには平川亮のほか、マクラーレンの開発ドライバーで現FIA F2王者のレオナルド・フォルナローリ、現在F2タイトルを争っているラファエル・カマラが参加。3人はいずれも、2027年にオリバー・ベアマンのチームメイトとなる可能性のある候補として評価を受けた。

    ハースはまだ最終決定を下していないものの、トヨタは平川亮がF1シートを獲得した場合に備え、2027年のTR010ハイブリッドのドライバーラインナップについて代替案を用意している。

    「亮がハースでテストしているのはかなり前からなので、予想外のことではない」とフルーリーはSportscar365に語った。

    「チームとして、我々は亮をサポートする。どのようなキャリアの道を選ぶとしても、彼にとって最善の結果になることを願っている」

    「どのような決定になったとしても、我々としてはおおむね対応できる状態にある。彼の来年のプランが正式に分かれば、それに越したことはない」

    平川亮の後任候補にエステバン・マッソン
    平川亮がハースのF1シートを獲得した場合、トヨタのハイパーカープログラムへ昇格する有力候補のひとりがエステバン・マッソンだ。

    フランス出身のマッソンは、WECでアコーディスASPのレクサスRC F GT3をドライブしており、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズの現王者でもある。

    過去2シーズンにわたってトヨタのリザーブを務め、プライベートテストではハイパーカーもすでに経験している。

    「我々はエステバンをGT3とLMP2を通じて育成してきた。彼はプライベートテストで我々のハイパーカーも走らせており、これまで期待通りの仕事をしている。彼の成長過程で設定したすべてのマイルストーンをクリアしてきた」とフルーリーは評価する。

    「将来的にステップアップするうえで、間違いなく有力な候補だ。非常に才能があり、頭のいいドライバーだ」

    つまりトヨタは、平川亮をWECに引き留めることだけを優先するのではなく、F1への昇格が決まればそのキャリアを後押ししつつ、自社のWECプログラムについては別のドライバーを昇格させる準備を進めていることになる。

    平川亮(ハースF1チーム)

    平川亮「3回テストしてまだ候補に残っている」
    一方、平川亮自身もポルティマオでのテストには手応えを感じている。

    ハースで3回のテストを経験したうえで、依然として2027年のレギュラー候補に残っていることを前向きに捉えているという。

    「3回テストをして、まだ候補に残れているというのは本当にいいことだと思います。なので、このままプッシュし続けて、どうなるか見ていきたいです」

    F1のレギュラーシートについては「すべてのドライバーが望んでいる」ポジションだと語り、自分にできるアピールはすべて行ったとの認識を示した。

    平川亮の強みのひとつが豊富なレース経験だ。2012年に全日本F3選手権のタイトルを獲得し、その後はスーパーフォーミュラを中心にシングルシーターで9シーズンを戦った。2022年からトヨタのWECラインナップに加わり、これまで2度ドライバーズタイトルを獲得している。

    平川亮は、オコンの後任を争う他の候補と比較して、この経験値が自身の武器になると考えている。

    「僕はスーパーフォーミュラで何年も走ってきたので、経験があります」

    「他のドライバーと比べれば、僕にとって初めて走るサーキットは多いかもしれません。でも、その一方で経験があります。なので、どうなるか見てみたいです」

    F1については「来週話し合うかもしれない」
    ただし、現時点で平川亮が最優先しているのはWECだ。

    トヨタは夏休み前に行われたブラジル戦で2台ともノーポイントに終わっており、今週末のローン・スター・ル・マンでは巻き返しが必要となる。

    「ここは僕にとってもチームにとっても、チャンピオンシップを考えると非常に重要です。なので、今は今週末に集中しています。F1については、もしかすると来週いくつか話し合いがあるかもしれません」

    ハースは2027年のドライバーラインナップについて結論を急いでおらず、平川亮、フォルナローリ、カマラらを比較しながら検討を続けている。

    その一方で、トヨタがすでに平川亮のWEC離脱を想定したプランを用意していることは、F1昇格が単なる憶測ではなく、関係者が具体的に備える段階に入っていることを示している。

    なおSportscar365によれば、トヨタは平川亮の後任候補とは別に、2027年のWECラインナップでマイク・コンウェイに代わり、ポルシェのファクトリードライバーであるケビン・エストレを起用する見通しだ。

  • ラファエル・カマラ ハースF1テストでフォルナローリと平川亮を上回る

    ラファエル・カマラ ハースF1テストでフォルナローリと平川亮を上回る

    ラファエル・カマラが、2027年のF1昇格に向けた重要な一歩を踏み出した。

    ポルトガルのアルガルヴェ・インターナショナル・サーキット(ポルティマオ)で行われたハースの非公開テストで、比較基準となったオリバー・ベアマンのタイムに最も近いパフォーマンスを示し、レオナルド・フォルナローリと平川亮を上回ったとブラジルのGE.globoが報じている。

    2027年のF1シート候補を評価する今回のテストには、21歳のカマラ、同じく21歳のフォルナローリ、32歳の平川亮が参加。ハースは3人に類似したテストプログラムを与えて比較を行ったが、非公開セッションだったため、それぞれのラップタイムは公表されていない。

    GE.globoが入手した情報によると、そのなかでレギュラードライバーのベアマンが記録した基準タイムに最も近づいたのがカマラだった。その結果、フォルナローリと平川亮を上回る評価につながったという。

    具体的なタイムや差は明らかになっていないものの、2027年のレギュラーシート獲得を目指すカマラにとって重要な結果となった。

    VF-25で3人を比較 カマラがベアマンの基準に最接近
    今回ハースが使用したのは、2025年F1シーズンを戦ったVF-25だった。現行規則で認められている旧型車テスト、TPC(Testing of Previous Cars)の一環として実施され、3人は類似したプログラムをこなした。

    カマラがハースのF1マシンをドライブするのは今回が初めてだった。しかし、F1マシンでの走行自体が初めてだったわけではない。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するカマラは、これまでハンガロリンク、バルセロナ、ムジェロでフェラーリのF1マシンをドライブしている。

    さらに今回のハースのテスト直前にもフェラーリがカマラの準備を支援した。8月26日(水)にはムジェロで2025年型SF-25を走らせ、その後ポルティマオへ移動してハースの評価に臨んだ。

    GE.globoによると、カマラはそれまでに行ったフェラーリでのテストでも好印象を残しており、高い評価を得た状態で今回のハースのテストに参加した。

    F2王者フォルナローリと経験豊富な平川亮も参加
    フォルナローリは2025年のFIA F2チャンピオンで、現在はマクラーレンのリザーブドライバーを務めている。

    フォルナローリは6月にスペインのヘレスでハースのTPCに参加しており、今回がチームで初めての走行ではなかった。また、数週間前には今回と同じポルティマオで2025年型マクラーレンもドライブしている。

    一方、平川亮は3人のなかでは最も豊富な経験を持つ。ル・マン24時間レースでの優勝をキャリアに持ち、日本のスーパーフォーミュラでは2020年にランキング2位を獲得している。

    F1でも複数のチームでリザーブドライバーを経験してきた。平川亮は昨年、ハースのリザーブドライバーとして契約。それ以前にはマクラーレンのドライバー・デベロップメント・プログラムに所属し、同チームのリザーブドライバーを務めたほか、アルピーヌでもリザーブを担当した。

    つまりカマラにとって今回のテストは、F2タイトルを獲得し、すでにハースとマクラーレンのF1マシンを経験しているフォルナローリ、そしてル・マン24時間レース優勝を含む豊富な実績と複数のF1チームでのリザーブ経験を持つ平川亮との比較でもあった。

    そうしたなか、GE.globoが入手した情報では、カマラが3人のうちベアマンの基準タイムに最も近いパフォーマンスを示した。

    カマラとフォルナローリが2027年シートの有力候補
    ただし、ハースのドライバー評価は今回で終了ではない。

    元アルピーヌF1ドライバーのジャック・ドゥーハンも翌週、スペインのヘレスでVF-25をテストする予定となっている。

    それでもGE.globoは、現時点で2027年のレギュラーシートを獲得する有力候補はカマラとフォルナローリの2人だとしている。

    空く可能性があるとされているのは、現在エステバン・オコンが座っているシートだ。

    GE.globoは以前から、オコンのパフォーマンスにハースが満足しておらず、現在のシートが近く空く可能性があると報じている。

    ベアマンは引き続きチームの中心となる見込みであり、カマラがシートを獲得すれば、ハースはフェラーリ・ドライバー・アカデミー出身の若手2人を並べることになる。

    ラファエル・カマラ

    フェラーリとの契約交渉もカマラの追い風
    カマラには、純粋なドライビングパフォーマンスとは別の強力な追い風もある。

    カマラは2021年、まだカートで戦っていた時期にフェラーリ・ドライバー・アカデミーに加入した。一方、ハースはフェラーリと緊密な技術提携関係にあり、パワーユニットだけでなく、ギアボックスやリアサスペンションなど、FIAの技術規則で認められる範囲のコンポーネントをフェラーリから購入している。

    両者の現在の供給契約は2027年末で満了する。

    GE.globoによると、ハースはこの契約をより有利な条件で更新することを目指しており、フェラーリ側もカマラを2027年のレギュラードライバーとして起用することと関連して、前向きな姿勢を示しているという。

    カマラとの契約が成立すれば、ハースはフェラーリから購入するコンポーネントについて、値引きを含む経済的な恩恵を得られる可能性がある。

    フェラーリにとっても、自ら育成してきたカマラをF1に昇格させ、ベアマンと同様にハースで実戦経験を積ませられるメリットがある。フェラーリとハース双方の利害が一致する構図となっている。

    ハースを逃した場合はフェラーリのリザーブへ
    一方、カマラには2027年にハースのシートを獲得できなかった場合の「プランB」も用意されている。

    GE.globoによると、ハースとの契約が実現しなかった場合、カマラは2027年シーズンにフェラーリのリザーブドライバーを務める見込みだという。

    さらにカマラ自身は、2026年中にフェラーリからF1公式セッションのフリー走行に出走する予定であることも明らかにしている。

    現在カマラはF2で145ポイントを獲得してランキング3位。首位のニコラ・ツォロフが167ポイント、2位のガブリエレ・ミニが147ポイントとなっており、残り5大会でタイトル争いを続けている。

    F2での結果に加え、フェラーリでのF1テスト、そして今回のハースでの直接比較と、カマラのF1昇格に向けた評価材料は着実に積み上がっている。

    特に今回、ラップタイムそのものは非公開ながら、F2王者のフォルナローリと、ル・マン24時間レース優勝や複数のF1チームでのリザーブ経験を持つ平川亮を上回り、ベアマンの基準タイムに最も近づいたというGE.globoの情報は大きい。フェラーリとの技術提携を巡る事情も含め、カマラは2027年のハースF1シート獲得に向けて有力な位置につけている。

  • ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースF1 オコン後任へ3人を“オーディション” カマラ、フォルナローリ、平川亮

    ハースが2027年F1シートを巡る事実上の“オーディション”を実施すると報じられている。エステバン・オコンの後任候補として、ラファエル・カマラ、レオナルド・フォルナローリ、平川亮の3人がポルティマオでテストに臨むという。

    ブラジル『UOL』のジュリアン・セラソリによれば、テストは水曜日と木曜日に行われる予定で、フェラーリとマクラーレンがそれぞれの有望株を2027年のF1グリッドに送り込もうとするなか、トヨタの支援を受ける平川亮も候補に加わる。

    オリバー・ベアマンも走行し、3人を評価するための比較対象になるとされている。

    オコン後任へポルティマオで“オーディション”
    今回のテストに参加すると報じられているのは、フェラーリ・ドライバー・アカデミーのブラジル人ドライバー、ラファエル・カマラ、マクラーレンのリザーブドライバーを務めるレオナルド・フォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、現在ハースのリザーブドライバーを務める平川亮だ。

    ハースは2027年にベアマンと組むドライバーとしてオコンに代わる候補を見極めるため、非公式なオーディションを行うとされている。

    ベアマン自身もテストに参加するが、シートを争う候補ではなく、3人のパフォーマンスを判断するための比較対象という位置づけになる。

    フェラーリとマクラーレンはいずれも、自らが推すドライバーを2027年に残された数少ないF1シートのひとつに送り込もうと強く働きかけているという。

    フェラーリが推しているのがカマラで、キャデラックの候補としても名前が挙がっている。一方、マクラーレンはフォルナローリを支援している。

    さらに、32歳の平川亮についても、トヨタがF1グリッド入りを望んでいると報じられている。

    平川亮(ハースF1チーム)

    フェラーリはカマラを全面支援
    なかでもフェラーリは、カマラのF1昇格に向けて大規模な支援を行っている。

    フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは『UOL』に対し、カマラへの投資について次のように語った。

    「我々はラファエルを全面的に支援している。単なる金銭的な支援という話ではない。資金面での支援も行ってきたが、今年は旧型車を使ったトレーニングにも多額の投資をしてきた」

    「そのコストは、金銭的な支援そのものよりもはるかに大きい。来週のテスト、そして来シーズンに向けて彼を可能な限り準備させるためだ。パートナーであるハースも、来年彼をF1に送り込むための最善の方法を見つけようとしている」

    フェラーリは資金面でカマラを支援するだけでなく、旧型F1マシンを使ったトレーニングにも多額の費用を投じ、今回のテストとその先を見据えた準備を進めている。

    カマラはリザーブ起用にとどまる可能性も
    ただし、カマラが今回のテストで最もF1への準備が整ったドライバー、あるいは最も即戦力としての可能性を示したとしても、2027年のレギュラーシート獲得が保証されるわけではない。

    カマラの2027年の役割がハースのテスト兼リザーブドライバーにとどまる可能性も十分にあるという。

    ハースはF1グリッドのなかでも資金力が比較的小さいチームであり、別のドライバーがスポンサーや投資という形でより多くの資金をもたらすことができると判断すれば、別の選択肢に向かう可能性もあるとされている。

    マクラーレンはF3&F2王者フォルナローリを後押し
    その対抗候補となるのがフォルナローリだ。

    マクラーレンはフォルナローリの将来に大きく投資してきた。フォルナローリは2024年のFIA F3、2025年のFIA F2で2年連続タイトルを獲得しており、今回のテストでハースのシート候補として評価を受けることになる。

    フェラーリが全面的に支援するカマラ、マクラーレンが投資してきたフォルナローリ、そしてトヨタの支援を受け、すでにハースのリザーブを務める平川亮。3人が参加するとされるポルティマオでのテストは、オコンの後任を巡る2027年のF1シート争いを占う重要な機会となりそうだ。

  • ハースF1チームがTPCの目的を解説 富士で示したトヨタとの育成プログラム

    ハースF1チームがTPCの目的を解説 富士で示したトヨタとの育成プログラム

    TGRハースF1チームは、富士スピードウェイで実施したTPC(Testing of Previous Cars)にあわせて、そのプログラムの目的や舞台裏を紹介する動画を公開した。

    TPCはFIA(国際自動車連盟)の規則で認められた旧型F1マシンによるテストであり、ドライバー育成だけでなく、エンジニアやメカニックなどチームスタッフの育成も担う重要なプログラムとなっている。

    TPCとは何か?
    F1ではテストが厳しく制限されており、グランプリ週末以外で現行マシンを走らせる機会はほとんどない。そのためFIAは、原則として2年以上前のマシンを使用した「Testing of Previous Cars(TPC)」を認めている。

    ただし2026年はレギュレーションが全面刷新されたため、2025年型マシンも「旧型車」と見なされ、ハースはVF-25を使用してテストを実施できる。

    TGRハースF1チームは2025年にTOYOTA GAZOO Racingとの協力による「TGRハース・ドライバー育成プログラム」を立ち上げ、このTPCを本格的に開始した。

    ドライバーだけでなくチーム全体を育成
    プログラム責任者は、TPCの目的は単なるドライバー育成ではないと説明する。

    「このプログラムはトヨタとの協力から生まれた。トヨタが支援する日本人ドライバーを育成したいという思いがあり、それがスタートだった」

    「今年は昨年型マシンを使えるようになり、ドライバー育成プログラムもさらに充実した。事前にシミュレーターを行い、各ドライバーに合わせたカリキュラムを用意し、習得してほしいスキルに応じて走行プランを組み立てている」

    一方で、チームにとって同じくらい重要なのがスタッフ育成だという。

    「レース週末のプレッシャーから離れて人材を育成できる貴重な機会だ。若いエンジニアやメカニック、新しい役割に挑戦するスタッフが参加している。ドライバーだけでなくチーム全体を成長させることができる」

    また、トヨタから派遣されたエンジニアやメカニックも現場でハースのスタッフとともに活動しており、両者の協力体制が強化されている。

    ハースF1チーム トヨタ

    若手スタッフの実践的な育成の場
    TPCでは若手メカニックが通常のレースでは担当しない作業も経験できる。

    あるメカニックは「フロントやリアなど車両全体を経験することで、レースチームに昇格した際も様々な役割に対応できるようになる」と説明。別のスタッフも「レース週末ほどのプレッシャーがない環境で実車を扱えることが大きい」と語っている。

    2025年にTPCからレースチームへ昇格したメカニックは、その経験が大きな助けになったという。

    「TPCで1年間経験を積んでいたので、レースチームへ移っても何が起きるか分かっていた。自分の担当だけでなく他の役割も学べるので、チーム全体でより価値のある存在になれる」

    「仕事の基本は同じだが、違うのはプレッシャーと環境だ。その環境に入る前にTPCで経験できたことで、レースチームへの移行はずっとスムーズになった」

    1年前から始まる準備
    TPCイベントの準備は約1年前から始まる。

    チームはトヨタと協議して開催サーキットを選定し、各サーキットと日程を調整。FIAのテスト規則を考慮しながら、輸送や機材搬入も自前で手配する。

    担当者は「サーキットを丸1日借り切るため、自分たちのペースで運営できる。レース週末ほど時間的な制約がないので、新人スタッフやドライバーにとって理想的なトレーニング環境になっている」と説明する。

    目標はF1レースシート輩出
    ハースとトヨタは、このプログラムを通じてドライバーだけでなく技術者の育成も進めている。

    すでにTPCを経験したトヨタの技術者やメカニックがハースのレースチームへ昇格しており、成果も現れ始めている。

    チームは最終的な目標について「究極の目標は、このプログラムからF1レースドライバーを輩出することだ。ただし、それは実力主義であり、適切なタイミングとチャンスが必要になる。いつ実現するかは分からないが、いつかそこへ到達できるかもしれない」と期待を寄せている。