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  • アービッド・リンドブラッドが感じた“2ストップの匂い”がローソン8位を後押し

    アービッド・リンドブラッドが感じた“2ストップの匂い”がローソン8位を後押し

    レーシングブルズF1のアービッド・リンドブラッドは、F1ハンガリーGPで自身がレース前から「2ストップになる」と予感していたことが、結果的にチームメイトのリアム・ローソンの8位入賞につながったと明かした。

    ローソンは当初予定されていた1ストップ戦略から2ストップへ切り替え、「ベスト・オブ・ザ・レスト」となる8位でフィニッシュ。一方のリンドブラッドは1ストップ戦略を続行して10位に入り、7週連続でポイント獲得を果たした。

    レース前から「2ストップになる」と確信
    レース中盤、レーシングブルズは戦略を分け、ローソンを2ストップ、リンドブラッドを1ストップで走らせた。これはアウディF1のニコ・ヒュルケンベルグが先に2ストップへ切り替えたことを受けた判断だった。

    結果として、新しいタイヤを履いたローソンとヒュルケンベルグが前へ抜け出し、1ストップを続けたリンドブラッドとガブリエル・ボルトレトは後退。それでもリンドブラッドは10位を守り切った。

    レース後、リンドブラッドは「1ストップが成功していれば自分がヒーローになっていたかもしれない」と振り返り、戦略を分けたチームの判断には納得していると語った。

    「1ストップがうまくいかなかったのは少し残念だった。でも、チームとしてはレース前に大きな判断だったことは理解している」

    「その後、ニコが2ストップに切り替えたので、僕たちは2台で戦略を分けることにした。それは理にかなった判断だった。もしハードタイヤがもっと持っていたら、僕が8位でヒーローになっていたはずだ。でも、残念ながらそうはならなかった」

    「だから最大限に結果を引き出したのはリアムだった。1ストップが失敗したことに後悔はない。逆の結果になっていた可能性も十分あったからね」

    アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    「タイヤの感触」で戦略変更を予感
    リンドブラッドによれば、自身はレース前から2ストップ戦略が必要になるとチームへ伝えていたという。その予感は、暑いコンディションでのタイヤの挙動から生まれたものだった。

    「リアムが何と言っていたかは分からないけど、僕は『2ストップになると思う』と言っていた。もしかしたら、少しは彼の役にも立ったかもしれない」

    「レース前からそう感じていたんだ。直感というか、そういう“匂い”がした。FP1でもタイヤのデグラデーションは少し大きかったし、決勝はさらに20度近く暑くなる。暑いコンディションでは、このタイヤはあまり良くないと感じていた」

    「今年これまで2ストップになったバルセロナとレッドブルリンクも、とても暑かった。このタイヤは熱に対してあまり強くないんだ。だから自然と2ストップになる気がしていた」

    「ミディアムタイヤでは序盤からあまりペースが上がらなかったし、それでもタイヤの感触は良くなかった。21周目あたりでピットインして、その後49周近く走ることになると考えれば、『これは2ストップになる』という感覚だった」

    戦略を分けた判断がダブル入賞を実現
    今回のハンガリーGPでは、レーシングブルズがローソンを2ストップ、リンドブラッドを1ストップとする戦略分散を選択したことが奏功した。

    結果的に1ストップは最適解とはならなかったが、リンドブラッドが事前にタイヤ特性を踏まえて2ストップの可能性を指摘していたことは、チームの柔軟な判断材料となった可能性がある。ローソンは8位、リンドブラッドは10位とダブル入賞を達成し、コンストラクターズ選手権においても貴重なポイントを持ち帰る結果となった。

  • メルセデスF1 ADUO改良版をモンツァ投入か 信頼性問題で開発方針転換

    メルセデスF1 ADUO改良版をモンツァ投入か 信頼性問題で開発方針転換

    メルセデスF1は、2026年シーズン序盤の好調から一転して深刻化する信頼性問題への対応として、モンツァで開催されるイタリアGPに向けて改良版ADUOパワーユニットを投入する準備を進めていると報じられている。

    当初はADUOの開発を打ち切り、2027年マシンへ資源を集中させる方針だったとされるが、相次ぐトラブルとライバル勢の開発継続を受けて戦略を見直したようだ。

    燃焼室やターボを改良した新仕様を準備
    報道によると、新しいADUOパワーユニットには燃焼室やターボチャージャーに加え、パートナーであるペトロナス製燃料にも改良が施される見込みだ。

    FIAの評価では、レッドブル・フォードが現時点で最も優れた内燃エンジン性能を持つとされる一方、ADUOの合法性や運用方法については依然として議論が続いている。

    マックス・フェルスタッペンも、レッドブル・レーシングがFIAとの協議を継続していることを明かした。

    「エンジンの話が出たけど、僕たちにもADUOが欲しいよ。何とかしてね。でも、それがどうなるかは分からない」

    「夏休みの後に、もう一度状況を見ていく」

    また、フェラーリもモンツァでADUOアップグレードと低ダウンフォース仕様のリアウイングを投入するとみられている。

    予算制限も開発判断に影響
    Sky Deutschlandの解説者で元F1ドライバーのラルフ・シューマッハは、メルセデスはこれ以上アップグレードを先送りできないと指摘した。

    「アップグレードの話になると、トト・ウォルフの発言が興味深かった」

    「彼はすぐに予算上限について考えなければならないと言っていた」

    「7月や8月の段階で本当に資金が厳しいとは信じ難いが、そういう状況なのだろう」

    「ウォルフはフェラーリについても『なぜあれほど開発を続けられるのか理解できない』と話していた。メルセデスは早急にアップグレードを投入する必要がある」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリはモンツァでPU交換ペナルティの可能性
    一方で、信頼性の問題は依然として深刻だ。

    ランキング首位のキミ・アントネッリとジョージ・ラッセルは、すでに年間使用上限となる4基目のパワーユニットを使用している。

    ラッセルはハンガリーGP予選後に冷却水漏れが見つかり、パワーユニットを交換。トト・ウォルフ代表は損傷したユニットについて「かなり深刻なダメージを受けており、再使用できない可能性がある」と説明した。

    メルセデスはこれまで使用したユニットを再利用することでペナルティ回避を目指しているものの、ウォルフ代表はモンツァが追加パワーユニット投入の適切なタイミングになる可能性を認めている。

    「キミにとって特別なレースが1つあるが、エンジン交換ペナルティを受けるには良い場所かもしれない」

    「マルコ(アントネッリの父)と話をして、モンツァでペナルティを受けるべきか相談する必要がある。最後尾スタートなら、かえって彼のプレッシャーを軽くできるかもしれない」

    ウォルフ代表は冗談交じりにそう語った一方で、チームの現状については厳しく総括した。

    「事実として、我々の信頼性は単純に十分ではなかった。ペナルティを受け入れるかどうかは、これから判断することになる」

  • アロンソのアルピーヌF1復帰説にブリアトーレ「彼はアストンマーティンで満足」

    アロンソのアルピーヌF1復帰説にブリアトーレ「彼はアストンマーティンで満足」

    フェルナンド・アロンソのマネージャーでもあるフラビオ・ブリアトーレが、2027年にアルピーヌF1へ復帰するとの噂についてコメントした。

    アストンマーティンF1との契約が2026年末で満了を迎えるアロンソは、現役続行か引退かを検討している最中だ。そんな中、一部では古巣アルピーヌへの“電撃復帰”の可能性が報じられているが、ブリアトーレは現時点でその可能性を否定し、アロンソは現在のチームに満足しているとの認識を示した。

    アロンソの去就に注目が集まる理由
    2026年限りでアストンマーティンF1との契約が満了するフェルナンド・アロンソは、2027年以降も現役を続けるか、それともF1から引退して家族との時間を優先するかを検討している。

    2026年シーズン序盤のアストンマーティンF1は、AMR26の競争力不足と信頼性問題に苦しみ、ハンガリーGPまで大規模アップデートを投入しない厳しい戦いが続いた。しかし、ハンガリーGPで投入されたBスペック仕様により大きく前進し、さらに夏休み明けのオランダGPではホンダの新型パワーユニット投入も予定されている。

    アロンソにとって重要な要素のひとつは、エイドリアン・ニューウェイが一から設計したマシンで戦うことだとみられている。2025年春にニューウェイがマネージング・テクニカル・パートナーとして加入して以来、本格的な成果が現れるのは2027年型マシンになると考えられている。

    アルピーヌ復帰説が浮上
    そうした状況の中、一部ではアロンソが2027年にアルピーヌF1へ復帰する可能性も取り沙汰されている。

    アロンソは2003年から2006年までルノーで戦い、2度のF1ワールドチャンピオンを獲得。2008年から2009年にもルノーへ復帰し、さらに2021年にはアルピーヌとして再編されたチームでF1復帰を果たした。

    もし実現すれば、2027年はエンストンを拠点とするチームで4度目の所属となる。

    復帰説が注目される背景には、現在アルピーヌF1を率いるフラビオ・ブリアトーレの存在がある。ブリアトーレは若き日のアロンソを抜擢して世界王者へと育て上げた人物であり、現在もアロンソのマネージャーを務めている。

    ブリアトーレ「現時点では何も言うことはない」
    アルピーヌ復帰の可能性について質問されたブリアトーレは、現時点ではアロンソがアストンマーティンF1に満足していると説明した。

    「フェルナンドはアストンマーティンで走っている」

    「アストンマーティンは(ハンガリーGPでのアップデートによって)以前と比べて良い前進を果たしたように見えるし、彼はアストンマーティンで満足している」

    「現時点では、その件について言うことは何もない」

    「彼はアストンマーティンのドライバーであり、少なくとも今シーズン終了まではアストンマーティンのドライバーだ」

    もっとも、ブリアトーレは将来的な可能性を完全に否定したわけではなく、「今のところ」と前置きしたうえで現状を説明するにとどめた。アロンソ本人が2027年以降の去就について最終決断を下すまで、さまざまな憶測は続きそうだ。

  • F1ラスベガスGP 排水口事故訴訟で和解 F1側が約300万ドル支払い

    F1ラスベガスGP 排水口事故訴訟で和解 F1側が約300万ドル支払い

    F1ラスベガスGPと親会社のリバティ・メディアは、2023年大会の初日に発生した排水口カバー事故を巡る集団訴訟について、300万ドル(約4億8000万円)を超える和解金を支払うことで合意した。

    2023年に提起された訴訟では当初、50億ドル(約8000億円)という巨額の損害賠償が請求されていたが、一部請求が棄却された後も訴訟は継続され、今回の和解によって決着することになった。

    初開催のFP1で発生した排水口事故
    問題が発生したのは、2023年11月に初開催されたラスベガスGPのフリー走行1回目だった。

    セッション開始直後、コース上に設置されていた給水バルブ用のカバーが外れ、カルロス・サインツJr.のフェラーリをはじめ複数のマシンが損傷。安全確認とコース補修のため、セッションは赤旗中断となった。

    その後、走行再開まで約2時間半を要し、フリー走行2回目は深夜に実施された。しかし、警備員や会場スタッフの勤務時間などの制約を理由に、観客は再開前に退場を命じられ、多くのファンが走行を見ることができなかった。

    1日券と3日間通し券の購入者が補償対象
    ラスベガス・レビュー・ジャーナルによると、木曜日のプラクティス1日券、または3日間通し券を購入した観客は、条件を満たせば補償を受けられる可能性がある。

    和解金は300万ドル(約4億8000万円)を超える見通しで、対象となる観客への補償などに充てられる。

    一方で、リバティ・メディアとラスベガスGPは和解に応じたものの、事故や観客対応について法的責任や不正行為は認めていない。

    当初は50億ドルを請求する集団訴訟
    この集団訴訟は2023年に提起され、原告側は走行を観戦できなかったことに加え、交通費や宿泊費なども含めた損害を理由に、総額50億ドル(約8000億円)の賠償を求めていた。

    2025年2月には訴えの一部が棄却されたものの、修正訴状が認められたことで審理は継続。その結果、双方は裁判を続けるのではなく、300万ドル(約4億8000万円)を超える支払いによる和解で合意した。

    2023年のラスベガスGPは、F1が大々的にプロモーションを展開した新たな市街地レースだった一方、初日の排水口事故と観客対応は大会運営に対する大きな批判を招いた。今回の和解により法的な争いは終結するが、この一件はF1における市街地レース運営の課題を象徴する出来事として記憶されることになりそうだ。

  • 角田裕毅 GTワールドチャレンジ参戦計画が消滅 レッドブルF1が阻止

    角田裕毅 GTワールドチャレンジ参戦計画が消滅 レッドブルF1が阻止

    角田裕毅が2026年11月に開催される「アデレード・グランドファイナル」でGT3マシンをドライブする計画が存在していたことが明らかになった。しかし、その実現は所属元であるレッドブル・レーシングの判断によって見送られたという。

    オーストラリアの『Speedcafe』によると、GTワールドチャレンジ・オーストラリアを運営するSROモータースポーツ・オーストラリアは、元レッドブル・レーシングF1ドライバーの角田裕毅を招へいする構想を進めていた。

    レッドブルが参戦計画を認めず
    報道によると、角田裕毅はティガニ・モータースポーツからメルセデスAMG GT3をドライブする予定だった。しかし、この計画はレッドブル・レーシング側が承認せず、実現には至らなかったという。

    また主催者は、元アルピーヌF1ドライバーのジャック・ドゥーハンについても参戦を打診しているが、現時点では合意には至っていない。

    SROモータースポーツ・オーストラリアのCEOであるベン・マクレランは、『Speedcafe』の取材に対し、現在も知名度の高いドライバーの招へいを目指して交渉を続けていると明かした。

    「これまでもさまざまなカテゴリーで実現してきたことだ」

    「(ジャンカルロ・)フィジケラはS5000に参戦したし、昨年はオースティン・シンドリックがスーパーカーでワイルドカード参戦した」

    「州政府はイベントに著名なゲストドライバーを招くことに非常に積極的だ。我々としてもGTワールドチャレンジのマシンでビッグネームに走ってもらいたい」

    「残念ながら、現時点で契約がまとまったドライバーはいないが、多くの話し合いを続けている」

    角田裕毅(レッドブル・レーシング)

    GT3人気の高まりも追い風
    マクレランは近年GT3カテゴリーへの注目度が大きく高まっている背景として、マックス・フェルスタッペンの存在を挙げた。

    フェルスタッペンはニュルブルクリンク24時間レースへのスポット参戦で話題を集めたほか、自身の「チーム・フェルスタッペン・レーシング」はGTワールドチャレンジ・ヨーロッパにも参戦している。

    マクレランは、その効果について次のように語った。

    「非常に知名度の高いドライバーがシリーズに関わることは、露出を増やすという意味で素晴らしいことだ」

    「マックスがニュルブルクリンク24時間レースに参戦したことで、世界中のGT3レースにこれまで以上の注目が集まっている」

    「さらに、マックスのチームが現在ヨーロッパで我々のシリーズに参戦していることもあり、GT3レースはかつてないほど注目を浴びていると思う」

    アデレード大会で大物招へいを継続
    GTワールドチャレンジ・オーストラリアは、11月25日から29日に開催されるアデレード・グランドファイナルのサポートレースとして実施される。

    主催者は昨年、NASCARドライバーのオースティン・シンドリックを招へいするなど話題作りに成功しており、今年も元F1ドライバーを含む大物ドライバーの起用を目指している。

    角田裕毅の参戦は実現しなかったものの、その計画が存在していたことは、GT3カテゴリーの注目度向上と、F1ドライバーを巡るプロモーション戦略の一端を示すものとなった。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1の人材流出論を否定「大げさすぎる」

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1の人材流出論を否定「大げさすぎる」

    マックス・フェルスタッペンは、レッドブル・レーシングF1における人材流出が深刻な問題となっているとの見方に異論を唱え、「少し大げさに語られすぎている」との認識を示した。

    2026年シーズン前半は苦戦を強いられたレッドブル・レーシングだが、フェルスタッペンはチーム内部の変化を過度に悲観する必要はないと強調。エイドリアン・ニューウェイをはじめとする主要人物の離脱が大きく報じられてきた一方で、チームは着実に前進しているとの考えを明かした。

    レッドブルF1の「人材流出」は本当に深刻なのか
    RacingNews365の独占インタビューでフェルスタッペンは、レッドブル・レーシングだけが主要人材を失っているかのような報道には違和感があると語った。

    「レッドブルだけで多くの人が去っているように言われるけど、それは少しドラマチックに語られすぎていると思う」

    2024年に長年テクニカルディレクターを務めたエイドリアン・ニューウェイが退団して以降、スポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーや戦略責任者ウィル・コートネイなど、主要メンバーの離脱が相次いだことから、レッドブル・レーシングの組織力低下を懸念する声が広がっていた。

    しかしフェルスタッペンは、そのような変化はどのトップチームにも起こり得ることであり、必要以上に問題視されているとの見方を示した。

    「チームは第二の家族」 揺るがぬ信頼
    フェルスタッペンはレッドブル・レーシングへの強い愛着も口にした。

    「僕にとってチームは第二の家族のような存在なんだ」

    「このチームで本当に多くの素晴らしい経験をしてきた。もちろん素晴らしい時間ばかりではなく、大変な時期もあった」

    4度のF1ワールドチャンピオンに輝いたフェルスタッペンは、チームとともに黄金時代を築いてきた。そのため、一時的な困難があっても、長年築いてきた信頼関係は変わらないと強調した。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    苦戦の2026年も「上向きの流れ」
    2026年はレッドブル・パワートレインズとフォードが共同開発した新パワーユニットで新時代を迎えた。開幕前テストでは高い評価を受け、FIAのADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)の基準となるほどの性能を示した一方、RB22はシャシー性能に課題を抱え、フェルスタッペンとアイザック・ハジャーは序盤戦で苦戦を強いられた。

    それでもフェルスタッペンは、チームは着実に改善へ向かっていると手応えを語る。

    「今年のスタートはかなり厳しかった」

    「でも、僕たちは上向きの流れにある」

    レッドブル・レーシングはローラン・メキース新代表のもとで新体制への移行を進めている。主要メンバーの離脱という逆風の中でも、フェルスタッペンはチームへの信頼を失っておらず、後半戦での巻き返しに自信をのぞかせた。

  • アレクサンダー・アルボン ウィリアムズF1の”DNA的欠陥”克服へ「最大の取り組み」

    アレクサンダー・アルボン ウィリアムズF1の”DNA的欠陥”克服へ「最大の取り組み」

    アレクサンダー・アルボンは、ウィリアムズF1が長年抱えてきたマシン特性の改善に向けて「これまで見た中で最大の取り組み」を進めていると明かした。チームは今季マシン『FW48』の重量超過に苦しむだけでなく、長年続く設計上の弱点の克服にも取り組んでいる。

    ウィリアムズはシルバーストンで新型フロントウイングを投入したものの期待したほどの効果は得られず、9月のアゼルバイジャンGPでは大規模アップデートを予定している。

    一方でアルボンは、真の狙いは2027年型マシンで同じ欠点を繰り返さないことだと説明した。

    長年続くウィリアムズの弱点
    2026年型FW48は重量超過に悩まされているが、それ以上に問題となっているのが中高速コーナーを多く持つサーキットでの競争力不足だ。

    特にバルセロナやハンガロリンクのような一定半径の中高速コーナーが続くレイアウトでは、アルボンとカルロス・サインツJr.の両者が苦戦。この傾向は2014年のV6ターボハイブリッド時代の開始以来続いており、低ダウンフォースサーキットでは速さを見せる一方、高ダウンフォースコースでは競争力を失うという”体質”になっている。

    アルボンは、その問題をチーム内部では「遺伝子DNA」のような根深い課題として捉えていると語った。

    「僕たちはマシンの弱点も、進むべき方向性も理解している。ファクトリーで行われている作業は、この遺伝子レベルのDNA的な問題と戦うために、僕が見てきた中で最も大きな取り組みだ」

    「再び正しい方向へ戻るために必要なことを、まさに実行していると思う。そもそも今の状況にいること自体は残念だけど、正しいことをしているという確信はある」

    バクーでの改善には慎重な見方
    シルバーストンでは新型フロントウイングが投入されたが、期待したほどのパフォーマンス向上は得られなかった。次の大規模アップデートは9月のアゼルバイジャンGPで予定されている。

    ただしアルボンは、そのアップデートだけで問題が完全に解決するとは考えていない。

    「バクーまでに完全に治るかと言われれば、そうは思わない」

    「バクー向けのアップデートはかなり前から計画されていたものだし、僕たちが本当に力を注いでいるのは来年のマシンなんだ」

    「来年のクルマがこうした特性を持たないようにすることが重要なんだ」

    アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ・レーシング)

    ハンガリーでは風が弱点をさらに悪化
    アルボンはハンガリーGPで苦戦した理由について、強い風によってマシンの弱点がさらに増幅されたと説明した。

    「風の影響が本当に大きかった。正直なところ、ドライビング面ではフラストレーションがたまる。まともに攻めることすらできなかった」

    「チームも僕の力を最大限に引き出せていない。僕自身がかなり抑えて走らなければならないからだ」

    さらに、風向きが変化するたびにマシンの挙動が大きく変わり、一貫した走りができなかったという。

    「突風や風、それにコースを惰性で転がるような感覚もあった。レース中に風が落ち着いたのは6周ほどしかなく、その時だけようやくリズムに乗れた。でもまた風が強くなると同じ状況に戻ってしまう」

    「ミスをしているように感じるけど、実際にはそうじゃない。同じ場所で同じように走っていても、一貫性がまったく得られないんだ」

    ウィリアムズはバクーで大型アップデートを投入する予定だが、アルボンの言葉からは、短期的な改善だけでなく、長年続いてきた設計思想そのものを見直す長期的な改革に取り組んでいることがうかがえる。

  • メルセデスF1代表 フェラーリのアントネッリ獲得を警戒「全力で来る」

    メルセデスF1代表 フェラーリのアントネッリ獲得を警戒「全力で来る」

    2026年F1ドライバーズ選手権をリードするキミ・アントネッリの活躍を受け、メルセデスF1代表のトト・ウォルフは、フェラーリが将来的にイタリア人エースの獲得へ動く可能性を認めた。

    一方でウォルフは、アントネッリは幼少期からメルセデスが育成してきた才能であり、フェラーリが今になって関心を示しているに過ぎないと強調。また、アントネッリの快進撃の裏側や、ジョージ・ラッセルが直面している不可解なパフォーマンス差についても率直に語った。

    ウォルフ「フェラーリは全力でアントネッリ獲得を狙う」
    ベルギーGP予選でポールポジションを獲得したキミ・アントネッリは、F1タイトル争いをリードするだけでなく、イタリア国内でもトップアスリートの一人として注目を集めている。メルセデス所属でありながら、その活躍はフェラーリにとっても見過ごせない存在となっている。

    RTBFからフェラーリの関心を懸念しているかと問われたウォルフは、次のように答えた。

    「もちろん認識している」

    「でも、キミは11歳の頃からメルセデスのドライバーだ。フェラーリは6〜7年前に動くべきだった。今になって優秀なイタリア人ドライバーがいることに気づいたということだ」

    「もちろん、彼らはイタリア人ドライバーを獲得するために全力を尽くすだろう」

    ウォルフは、トップドライバーの育成には長い時間と継続的な投資が必要だと説明した。

    「若い才能を見極めるには時間がかかる。10歳前後のミニカート時代から始まるんだ」

    「見つけるだけではなく、人間性や技術面、そして人格まで育てていかなければならない」

    「キミ・アントネッリとジョージ・ラッセルという、メルセデス育成の2人を擁していることをとても誇りに思っている」

    想像以上だったアントネッリの成長
    ウォルフは、アントネッリの才能を以前から高く評価していたものの、ここまで早く結果を残すとは予想していなかったことも認めた。

    「私たちは常に彼を信じていた。でも、それが実際にうまくいくかどうかは誰にも分からない」

    「昨年は9戦連続でノーポイントだった。その時は経験不足のドライバーを起用したことを批判され、『間違った判断だ』と言われた」

    「今季ここまで強いとは予想していなかった。でも、彼の才能は以前から分かっていた」

    デビューイヤーの苦戦を経て、今季はタイトル争いをリードするまでに急成長したアントネッリの姿は、メルセデスの育成方針が実を結んだことを示している。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルを悩ませる原因不明のストレート速度差
    その一方で、アントネッリの好調はジョージ・ラッセル側のガレージが抱える課題も浮き彫りにしている。

    ラッセルは現在、チームメイトと対等に戦える状況ではないと認めた。

    「シルバーストンでも同じ問題があった。だからハンガリーまでには解決策を見つけられることを期待している」

    ウォルフも、原因はいまだ特定できていないと説明した。

    「新しいレギュレーションが原因だとは思っていない」

    「ジョージはコーナーでも改善すべき点があるが、ストレートだけでもコンマ25秒失っている。その原因を分析しているところだ」

    「エンジンだけが原因なのか、それとも別の要因があるのか。正直なところ、まだ結論には至っていない」

    「パワーユニットは非常に複雑で、どこからこの差が生まれているのかを正確に特定できていない」

    ラッセルも、当初考えられていたドライビングスタイルの問題ではないとの見解を示した。

    「最初はドライビングスタイルやマシンの問題だと思っていた。でも最終的には違うという結論になった」

    「この状況が続けば優勝争いはできない」

    「チームメイトと公平に戦うことが難しい。今は公平な戦いではない。誰かの責任ではなく、そういう状況になっているだけだ。だから解決策を見つけようと取り組んでいる」

    メルセデスは、アントネッリという将来のエースを確保しながらも、ラッセルの原因不明のパフォーマンス低下という課題にも直面している。ハンガリーGPでは、この問題にどこまで改善の兆しを見せられるかが注目される。

  • アストンマーティンF1 新型ホンダPUで振動改善 ADUOで30馬力向上に期待

    アストンマーティンF1 新型ホンダPUで振動改善 ADUOで30馬力向上に期待

    アストンマーティンF1はハンガロリンクでフィルミングデーを実施し、FIAが認めたADUO(追加開発)を適用したホンダ製2026年型パワーユニットを初めてコース上で走行させた。

    走行はサードドライバーのジャック・クロフォードが担当。ハンガリーGPでデビューしたBスペック仕様のAMR26と新型ホンダPUを初めて組み合わせた実走テストとなり、開幕直後の苦戦から巻き返しを図るアストンマーティンにとって、夏休み明けのF1オランダGP投入へ向けた重要な確認作業となった。

    フィルミングデーで新型ホンダPUを初テスト
    アストンマーティンF1はハンガリーGP終了後もハンガロリンクに残留。アルピーヌのフランコ・コラピント、アウディのガブリエル・ボルトレトが2027年用タイヤ開発を目的としたピレリテストを続ける一方、アストンマーティンはシーズン2回目となるフィルミングデーを実施した。

    フィルミングデーは年間2回、各200kmまで認められた商業撮影用の走行機会だが、近年では次戦投入予定のアップデートを事前に確認する場として活用されるケースが増えている。

    実際、フェラーリも4月22日にモンツァで実施したフィルミングデーで、後にマイアミGPで投入する空力アップデートを検証していた。アストンマーティンも同様に、この機会を利用して新仕様マシンと新型ホンダPUを初めて組み合わせて走行させた。

    Bスペック車と新型PUを初めて組み合わせる
    今回のフィルミングデーが注目された最大の理由は、ハンガリーGPで初投入されたBスペック仕様のAMR26に、新型ホンダPUが初めて搭載されたことだった。

    エイドリアン・ニューウェイが主導したBスペック仕様では、シャシーと空力に大幅な改良が施され、その効果はすぐに表れた。フェルナンド・アロンソは今季初めてQ2進出を果たし、決勝では14位でフィニッシュ。マシンの競争力は明らかに向上し、ホンダ側も「今度はPUが上積みをもたらす番です」と手応えを口にしている。

    そのBスペック車に、FIAが認めたADUOによる開発アップデートを受けたホンダ製RA626Hが初めて搭載された。

    クロフォード起用はエンジン評価が主目的
    200kmの走行を担当したのはサードドライバーのジャック・クロフォードだった。

    通常、商業撮影が主目的であればフェルナンド・アロンソやランス・ストロールが起用される可能性が高い。しかし今回はクロフォードがステアリングを握ったことからも、撮影よりも新型ホンダPUの機能確認やデータ収集を優先したプログラムだったことがうかがえる。

    フィルミングデーではデモタイヤしか使用できない制約があるものの、ホンダとアストンマーティンの技術陣はハンガリーGPで収集した実戦データと比較しながら、新型PUとBスペック車の組み合わせを詳細に分析した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ADUOで燃焼効率と摩擦損失を改善
    今回搭載されたホンダ製RA626Hには、FIAが認めたADUO(追加開発)によるアップデートが適用されている。

    ホンダはADUOで得た2回の開発機会を活用し、燃焼効率の向上とフリクション(摩擦損失)の低減を開発の柱としてきた。ホンダ・レーシングのトラックサイド責任者兼チーフエンジニアの折原慎太郎は以前から、「改善すべき点は把握しています」と説明し、ダイノ(エンジンベンチ)ではポジティブなデータが得られていることを明らかにしていた。

    また、ハンガリーGPのフリー走行で発生したオシレーションについても、「冬季テストで経験した振動とは異なる現象」であり、燃焼特性とエンジン温度が原因だったと説明。その後、各種パラメータの最適化によって改善し、「この点では大きな前進を果たせました」と語っている。

    折原はさらに、「現在はシャシーがしっかり機能しています。ですから、今度は私たちのパワーユニットがマシン全体にさらなる上積みをもたらせるはずです」と述べ、ザントフォールトで投入予定の新仕様PUへの期待を示していた。

    GPSデータで約30馬力向上を確認
    Motorsport.com Italiaによると、今回のフィルミングデーで得られた初期データは良好だったという。

    同メディアは、ジャック・クロフォードが走行した際のGPSデータと、ハンガリーGPで使用したパワーユニットのデータを比較した結果、新仕様のRA626Hは従来仕様より約30馬力の出力向上を示したと報道。また、シーズン序盤にアストンマーティンを悩ませた激しい振動についても、ADUOによる開発アップデートによって大幅に抑制されたと伝えている。

    一方で、今回のフィルミングデーでは信頼性確認を優先し、レース本番よりも出力を抑えた状態で走行した可能性もあるという。

    約30馬力の向上だけでメルセデスやレッドブル・フォード、フェラーリに並ぶことは難しいとみられるが、Bスペック仕様のAMR26で競争力を取り戻したアストンマーティンに新型PUが加わることで、中団グループで安定してポイント争いを展開できる戦闘力を手にする可能性は高まっている。

    新型パワーユニットは、栃木県・さくら研究所でのベンチテストを終えており、ザントフォールトで開催されるF1オランダGPで、Bスペック仕様のAMR26とともにグランプリデビューを果たす見通しだ。

  • マクラーレンF1 ポルティマオでTPC実施 ノリスら3人がMCL60をテスト

    マクラーレンF1 ポルティマオでTPC実施 ノリスら3人がMCL60をテスト

    マクラーレンF1は、F1のサマーブレイクを前にポルトガルのアルガルベ・インターナショナル・サーキット(ポルティマオ)で2日間にわたるTPC(Testing of Previous Cars)テストを実施した。

    ランド・ノリス、オスカー・ピアストリ、リザーブドライバーのレオナルド・フォルナローリが2023年型マシン「MCL60」をドライブ。ハンガリーGPで今季初優勝を飾った現王者ノリスにとっては、2017年に初めてF1マシンを走らせた思い出のサーキットへの帰還となった。

    今回のテストでは、現役レギュラードライバーの走行に加え、若手育成プログラムの一環としてフォルナローリの走行機会も設けられた。さらに、2027年にF1カレンダーへ復帰予定のポルティマオを、ノリスとピアストリが事前に経験する機会にもなった。

    TPCで3人が走行 プログラムを順調に消化ノリスは49周(225km)、ピアストリは初日に55周(256km)、フォルナローリは2日間午後のセッションで計47周(217km)を走行した。

    高速コーナーと低速シケインが組み合わさるポルティマオは、風の影響を受けやすいことで知られるサーキット。当日はアルガルベ地方らしい暑さに加え、午後には風が強まり、コンディションは刻々と変化した。

    とくに午後を担当したフォルナローリは、変化する路面状況への対応も重要なテーマとなった。

    フォルナローリはF1ドライバーから学習
    フォルナローリはハンガリーGPでマクラーレンの2026年型マシン「MCL40」を使用したフリー走行1回目(FP1)への出走を終えた直後にポルティマオ入りした。

    今年5回目となるMCL60でのTPC走行では、自身のドライビングを磨くだけでなく、ノリスとピアストリの走行やエンジニアとのやり取りを間近で観察。フィードバックの伝え方など、実戦では得られない経験を積んだ。

    マクラーレンのTPCプログラムは2026年前半だけでバルセロナ、シルバーストン、オースティン、モンツァ、そしてポルティマオの5サーキットで実施されており、サマーブレイク後も継続される予定だ。

    マクラーレン

    ノリス「特別な場所で有意義なテストになった」
    ノリスは、F1初走行の思い出があるサーキットでのテストを振り返った。

    「僕たちにとって実りの多いテストになったし、ポルティマオに戻って来られて本当に良かった。ここは僕が初めてF1マシンをドライブした場所なので、特別なサーキットなんだ。それに、とても楽しくて、チャレンジングなコーナーがいくつもあるコースでもある」

    「予定していたプログラムをすべて完了し、有益な走行距離も重ねることができた。サマーブレイク前を締めくくるには良い形だったよ。家族や友人と過ごしてしっかりリフレッシュし、ザントフォールトでは万全の状態で戻ってきたい」

    ピアストリ「変化するコンディションが面白かった」
    ピアストリは、ポルティマオで初めてF1マシンを走らせた感想を語った。

    「ポルティマオでF1レイアウトを走るのは今回が初めてだった。コンディションが変化していくので、とても興味深いサーキットだったし、高低差もあって本当に楽しかった」

    「予定していたプログラムはすべて完了できたし、チームも満足している。サマーブレイクに入るにはちょうど良いタイミングだ。今年はかなりハードなシーズンだったので、みんなが少し気持ちを切り替えて、また再開に向けて準備できるのは良いことだと思う」

    フォルナローリ「すべてが学びになった」
    フォルナローリは、トップドライバーとともに過ごした2日間が大きな収穫だったと振り返った。

    「ポルティマオでのイベントに参加できて本当に楽しかった。このサーキットを走るのは初めてだったし、TPCテストでMCL60を運転できる機会は、自分の成長にとってとても重要なんだ」

    「ランドとオスカーと一緒に仕事ができたのは素晴らしい経験だった。さまざまなコンディションへの対応や、彼らがどのようなフィードバックをチームへ伝えているのかを見ることは、とても価値のある学びになった」

    「2日間を通して多くの周回を重ねることができた。風の影響で少し難しい場面もあったけれど、そのぶん学ぶことも多かった。マクラーレンF1チームとマクラーレン・ドライバー育成プログラムのみなさんには、継続的なサポートと成長の機会を与えてくれて感謝している。周回を重ねるたびに自分が成長していることを実感しているし、この先もさらに積み重ねていきたい」

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