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  • レッドブルF1 RB22の不安定挙動 サスペンション応答が鍵

    レッドブルF1 RB22の不安定挙動 サスペンション応答が鍵

    2026年シーズン序盤3戦を終え、各チームはマイアミGPに向けたアップグレード投入の最終段階に入っている。多くは事前に計画されていた開発ロードマップに沿ったものだが、開幕戦からのパフォーマンスを受けて修正も加えられている。

    その中で、レッドブルは再び安定して上位争いに加わるために、マシンの根本的な挙動改善に取り組んでいる。特に問題視されているのは、コーナリング時に見られる急激かつ予測不能な挙動だ。

    各チームの開発方針とマイアミへの準備
    メルセデスは依然として基準となるマシンを持ちながら、当初の計画通りにアップデートを進めている。これまでに発生した問題は主にソフトウェア関連の軽微なものであり、パフォーマンスへの大きな影響は出ていない。

    開発の重点は重量削減にあり、バラスト配置の自由度を高めることで重量配分の最適化を狙う。また、リア周辺を中心とした空力の進化も進められている。

    フェラーリは「マカレナ」リアウイングのコンセプトを軸に、空力効率の最大化を図る方向でSF-26を見直す。アップデートはフロアやサイドポッド下部、フロントウイングのフラップ形状に及び、さらにエネルギー回生システムを制御するソフトウェアにも大きな改善が見込まれている。

    マクラーレンは、これまで「開発途上」と位置づけられてきたMCL40を次の段階へ進めるため、大規模なアップグレードパッケージを投入する予定だ。

    RB22に潜む“決定的弱点”
    一方で、レッドブルの状況はより複雑だ。パドック内の情報によれば、最大の課題は車両ダイナミクス、特に荷重変化に対するサスペンションの応答にある。

    この特性が、コーナリング中に突然かつ予測しづらい挙動を引き起こす原因となっている。ドライバーにとっては限界領域でのコントロールが難しくなり、一貫したパフォーマンス発揮を妨げている。

    興味深いことに、RB22の強みはパワーユニット側にあると見られており、性能不足はADUOの適用対象となるほど深刻ではないとされる。つまり、問題の本質はエンジンではなく、車体側の統合にある。

    レッドブル・レーシング

    空力とメカニカルの“統合”が鍵
    レッドブルが目指しているのは、空力とメカニカル挙動の統合的な最適化だ。具体的には、空力負荷の分布を再マッピングし、各コンポーネントの連携をより一体的に機能させることにある。

    このアプローチは、外見上の大きな変更として現れるものではなく、むしろマシン全体の挙動を滑らかで予測可能なものへと変える内部的な改善となる。

    また、重量削減も重要な柱の一つだ。不要な質量を削減することで、車両ダイナミクス全体に大きな影響を与え、より安定したバランスの実現につながると見られている。

    マイアミGPに投入されるアップグレードは、単なるパフォーマンス向上ではなく、RB22の性格そのものを変える試みとなる可能性がある。ここでの改善が実現すれば、レッドブルは再び安定したフロントランナーへと復帰する足がかりを得ることになる。

    Source: RacingNews365

  • メルセデスF1 アントネッリ躍進でレッドブルに皮肉「3戦で解雇するチームもある」

    メルセデスF1 アントネッリ躍進でレッドブルに皮肉「3戦で解雇するチームもある」

    メルセデスF1のトト・ヴォルフは、若手ドライバー起用におけるチーム方針について語り、アンドレア・キミ・アントネッリを巡る判断の正当性を強調した。

    2026年シーズン序盤、アントネッリは3戦で2勝・2ポールポジションを記録し、史上最年少でランキング首位に立つなど際立ったパフォーマンスを披露している。一方でルーキーイヤーにはミスも多く、チームの対応が注目されていた。

    “自前でフェルスタッペンを作る”という発想
    かつてマックス・フェルスタッペンの獲得を目指していたヴォルフは、その代替として自チームでスターを育てる方向へ舵を切った形となる。

    アントネッリの開幕からの活躍は、そうした戦略の成果を象徴するものとなっているが、その過程は順風満帆ではなかった。デビューシーズンでは好結果とミスが混在し、精神面でも苦しむ時期を経験している。

    それでもチームは方針を変えず、継続的なサポートを続けたことで、現在の結果につながっている。

    レッドブルF1を想起させる“3戦で解雇”発言
    ヴォルフはThe Athleticのインタビューで若手育成に対する考え方を説明し、その中で他チームの方針にも言及した。

    「私もドライバーだったから、彼らが直面するプレッシャーは理解している。あらゆる方向からの圧力がある。我々は才能やスピード、成長力だけでなく、プレッシャーへの対処能力も評価している。F1は結局のところ、その管理がすべてだからだ」

    そのうえで、次のように続けている。

    「他のジュニアチームの方針を見ると、3戦で結果が出なければドライバーを解雇するケースもある。我々はキミに対してその逆をした」

    「我々は18歳のドライバーを起用した。カートやジュニアカテゴリーで最高レベルの実績を持っていたが、最初の年には多くのミスを犯した。世間は厳しく批判した。若すぎる、ミスが多すぎる、才能を潰していると」

    「だが、それは完全に計算されたリスクだった。我々は初年度にそうなることを分かっていた」

    この発言は、若手ドライバーの昇格と降格を短期間で繰り返してきたレッドブルの運用を想起させる内容となっている。

    “待つ育成”がもたらした結果
    結果として、メルセデスの判断は現時点で成功している。アントネッリはシーズン序盤からタイトル争いの中心に立ち、チームの将来を担う存在として確固たる地位を築きつつある。

    短期的な結果よりも長期的な成長を優先するアプローチが、2026年の勢力図にも影響を与え始めている。

  • バレンティーノ・ロッシ フェルスタッペンのGT3参戦に冗談「僕が道を開いた」

    バレンティーノ・ロッシ フェルスタッペンのGT3参戦に冗談「僕が道を開いた」

    モータースポーツ界のレジェンドであるバレンティーノ・ロッシが、マックス・フェルスタッペンのGT3参戦についてユーモアを交えて語った。自身が四輪レースへ転向した流れが、フェルスタッペンの新たな挑戦にもつながったと冗談めかしている。

    2021年のMotoGP引退後に四輪へ転向したロッシは、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ開幕戦ポール・リカールでの週末に、フェルスタッペンの活動について言及。スポーツカー分野への関心が広がる中、その流れを歓迎する姿勢を示した。

    ロッシが語る“道を開いた”という冗談
    ロッシはスカイスポーツ・イタリアの取材に対し、フェルスタッペンのGT3参戦について笑顔でこう語った。

    「少しだけ道を開いたんだ。ちょっと整えておいたよ」

    「もちろん全部が僕のおかげだとは思っていないけど、彼がこういうクルマをドライブしているのを見るのは大きな満足だ」

    「近いうちに同じトラックに立って、一緒に数周走れたらいいと思っている」

    この発言はあくまで軽妙なトーンのものだが、二輪から四輪へと活躍の場を広げたロッシのキャリアが、異なるカテゴリー間の垣根を低くしていることは確かだ。

    GT3で存在感を高めるロッシと広がるF1ドライバーの参戦
    ロッシは現在、チームWRTからBMW M4 GT3をドライブし、ダニエル・ハーパー、マックス・ヘッセとともに耐久レースに参戦している。2025年には世界耐久選手権へのフル参戦も経験し、インディアナポリス8時間レースでの勝利など、すでにGTカテゴリーで確かな実績を築いている。

    今回のポール・リカール6時間レースでは、ロッシに加えてランス・ストロールも参戦しており、F1ドライバーがスポーツカー分野に関与する流れが一層強まっていることが浮き彫りとなった。

    フェルスタッペンのGT3活動はまだ限定的ではあるが、その存在感は大きく、ロッシの言葉通り、今後同じカテゴリーで直接対決が実現する可能性も十分にある。

    異なるカテゴリーを越えたドライバー同士の交流は、モータースポーツ全体の魅力を広げる要素のひとつであり、ロッシとフェルスタッペンの“共演”は、ファンにとっても大きな関心事となりそうだ。

    Source: RacingNews365

  • アルピーヌF1チーム 取締役交代で株式売却に再注目 オトロの動き加速か

    アルピーヌF1チーム 取締役交代で株式売却に再注目 オトロの動き加速か

    アルピーヌF1チームの取締役会における人事交代が、チームの株式構造に関する動きに新たな注目を集めている。ルノー・グループのCFO(最高財務責任者)であるダンカン・ミントが退任し、後任としてギヨーム・ロッソが就任した。

    この交代は単なる人事ではなく、少数株主であるオトロ・キャピタルの持分売却を巡る動きと密接に関係している可能性がある。

    チームの所有構造が転換点を迎える中で、ルノーの意思がより明確に反映される体制が整えられつつある。

    ルノー主導の統治強化と新任ロッソの役割
    アルピーヌF1チームは、ルノー・グループが過半を保有し、エンストン拠点の運営を主導している。独立した組織として機能しつつも、取締役会にはグループ側の人材が参加する構造となっている。

    今回就任したギヨーム・ロッソは、ルノーのグローバルM&A(合併・買収)責任者であり、2025年10月に同グループへ加わった人物だ。さらにルノー・日産・三菱アライアンスの投資部門「アライアンス・ベンチャーズ」のマネージングディレクターも務めている。

    モータースポーツではなく、投資・企業統治の分野を専門とするロッソの起用は、チームの競技面ではなく資本戦略面の強化を意図したものとみられる。

    オトロ・キャピタルの持分売却が焦点に
    アルピーヌF1チームの約24%を保有するオトロ・キャピタルは、現在その持分の売却を検討している。この株式は2023年に約2億1500万ドルで取得されたが、現在はチーム評価額の上昇により6億2000万ドル以上の価値があるとされている。

    ただし契約上、オトロは一定期間(ロックアップ期間)が設けられており、2026年9月までは自由な売却が制限されている。また、ルノーは売却先に対する承認権を持っており、新たな株主の選定にも大きな影響力を維持している。

    関係者によれば、オトロ側は投資リターンの最大化を目指している一方で、ルノーはチームの長期戦略に合致するパートナーの選定を重視しているという。

    複数の買収候補と高まる関心
    オトロの持分を巡っては、すでに複数の関心が報じられている。メルセデス・ベンツが約5億ドル規模の出資を検討しているほか、米国の富豪スティーブ・コーエンの名前も候補として挙がっている。

    さらに、元レッドブルF1代表のクリスチャン・ホーナーも出資を模索しているとされ、将来的なF1復帰に向けた動きとして注目を集めている。

    こうした状況の中で、投資家として比較的受動的とされるオトロの姿勢は、チーム側との間に摩擦を生んでいるとも伝えられており、予定より早い段階での売却も現実味を帯びている。

    所有構造の転換点で強まるルノーの主導権
    今回の取締役交代は、単なる人事刷新ではなく、アルピーヌF1の所有構造が見直される局面における重要な布石と捉えられる。

    ロッソの専門性を踏まえれば、その役割は新規投資家の選定や取引の管理、そしてガバナンスの強化にあると考えられる。

    アルピーヌF1は競技チームであると同時に、ルノーにとっては投資およびマーケティング資産でもある。その中で、少数株主の構成見直しが進む今、グループとしての統制を維持・強化する動きが明確になってきている。

  • キャデラックF1 コルトン・ハータがバルセロナでFP1初走行 F2転向で昇格狙う

    キャデラックF1 コルトン・ハータがバルセロナでFP1初走行 F2転向で昇格狙う

    キャデラックF1チームは、テストドライバーを務めるコルトン・ハータを今季4回のフリー走行1回目(FP1)に起用する方針を明らかにした。初走行は6月12日のバルセロナ・カタルーニャGPで実施され、現行F1マシンでの初セッションとなる。

    インディカーで9勝を挙げたハータは、F1昇格を目指して今季からF2に参戦しており、今回のFP1起用はその挑戦を象徴する重要なステップとなる。

    一方で、F1参戦に必要なFIAスーパーライセンスは現時点で35ポイントにとどまり、規定の40ポイントには届いていない状況だ。

    F2転向はスーパーライセンスポイント獲得が目的
    ハータはこれまでインディカーで実績を重ね、2024年にはランキング2位を記録したが、ポイント制度の違いによりF1参戦条件を満たしていない。

    F2では上位3名が40ポイントを獲得できる一方、インディカーはチャンピオンのみが40ポイントに到達する仕組みとなっており、ランキング2位では30ポイント、3位では20ポイントにとどまる。この制度差が、ハータのF2転向を後押しした形だ。

    26歳という年齢でのF2参戦は異例とも言えるが、ハータにとってはF1昇格に向けた現実的な選択となっている。今季はハイテックから参戦し、メルボルンのフィーチャーレースで7位を記録している。

    FP1で4度の実戦機会を獲得
    F1では各チームに対し、ルーキードライバーをFP1で起用する義務が課されており、グランプリ出走が2回以下のドライバーが対象となる。

    ハータはこのルールを満たしており、キャデラックF1チームの4回分のルーキー枠をすべて担当する予定だ。初回はバルセロナで実施され、残り3戦は未発表となっている。

    すでにシート合わせも完了しており、マイアミGPでは再び現地入りする予定だ。これはバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止に伴い、F2のスケジュールが再編された影響でもある。

    ハータ「すべての走行から学びたい」
    ハータは今回の機会について次のように語った。

    「初めてキャデラックF1チームのマシンに乗るのが待ちきれない」

    「フルのグランプリ週末の中でチームと密接に仕事ができることを楽しみにしているし、すべての走行から学ぶことに集中している」

    「レース週末全体に貢献し、チーム、チェコ、そしてバルテリをできる限り助けたい」

    グレアム・ロードンも高評価
    チーム代表のグレアム・ロードンは、ハータの実績とF2でのパフォーマンスを評価し、今回の起用を自然なステップと説明した。

    「コルトンはトップタレントだ。インディカーでの実績だけでなく、F2での力強いスタートでもそれを証明している」

    「4回すべてのヤングドライバーFP1を彼が担当するのは、テストドライバーとしての自然な次のステップだ。開発面で何をもたらすのか楽しみにしている」

    スーパーライセンス制度への疑問も浮上
    FIAスーパーライセンス制度については、一部から不公平との指摘も出ている。

    F1パドック関係者のウィル・バクストンは、制度のあり方について次のように疑問を呈した。

    「F1スーパーライセンス制度は、ある特定の才能の台頭に対する短絡的な反応として生まれたものだと何度も言ってきた」

    「制度を維持するなら、特にインディカーのポイント配分について大幅な見直しが必要だ」

    F1昇格へ向けた試金石
    今回のFP1起用は、ハータにとって単なる経験の場にとどまらず、F1昇格の可能性を左右する重要な評価機会となる。

    キャデラックF1チームにとっても、新規参戦体制の中で将来のドライバー候補を見極める場となり、ハータのパフォーマンスは今後の起用方針に直結する可能性がある。

  • フェルナンド・アロンソをF1専門家が解剖 2つの強みと“異次元の適応力”

    フェルナンド・アロンソをF1専門家が解剖 2つの強みと“異次元の適応力”

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、F1で2度のワールドチャンピオンに輝き、106回の表彰台と32勝を記録している。だが、その評価は単なる数字を超えた領域にある。

    『The Race』でマーク・ヒューズとエド・ストローが分析したように、彼の価値は統計ではなくドライビングそのものに宿る。適応力、感覚、知性、そして一貫性。複数の要素が極めて高い水準で融合している点こそが、フェルナンド・アロンソを特別な存在にしている。

    あらゆる条件で速さを引き出す“究極の適応力”
    ドライバーの才能といえば純粋なスピードが想起されがちだが、ヒューズはそれだけでは説明できないと指摘する。

    「おそらくこの世紀で最も適応力の高いドライバーだ。どんなクルマでも、どんなバランスでも、どんなタイヤでも最大限のパフォーマンスを引き出せる」

    さらにヒューズは、アロンソのスピード特性を独特の形で説明する。

    「シューマッハやフェルスタッペンのように“ピーク一点”で極限に達するタイプではない。彼の速さは広い範囲に分布している。絶対的なピークはわずかに劣るかもしれないが、その差は極めて小さい」

    そしてその適応力こそが、問題が発生した際の対応力につながる。

    「クルマに問題があっても、それを乗り越えて機能させることができる。これほどの能力を持つドライバーは他に見たことがない」

    この能力を象徴する例として、2004年の出来事が挙げられる。

    「シルバーストンでは電子制御が崩壊し、完全に制御不能になった。彼は半周で理解し、2周で元のペースに戻した。当時のパット・シモンズでさえ“どうやったのか全く分からない”と言っていた」

    さらにホッケンハイムでは、フロントバランスが18%も前方に移動するトラブルに見舞われた。

    「通常なら運転不能になるレベルだったが、4〜5周で対応した。他のドライバーならピットに戻っていただろう」

    “扱いにくいマシン”で真価を発揮するドライバー
    ストローもこの評価に同調し、アロンソの別の側面を強調する。

    「彼は史上最高レベルの“遅いクルマのドライバー”の一人だ」

    その理由について、具体例を挙げながら説明する。

    「2001年のミナルディ、2012年のフェラーリ、今季序盤のアストンマーティン、そしてマクラーレン時代。難しいクルマほど彼の力が際立つ」

    さらにこう続ける。

    「クルマが複雑で扱いにくいほど、チームメイトとの差が開く。彼はクルマに足りない要素を“引き出す”ことができる。固定されたスタイルではなく、動的に変化するドライバーだ」

    その能力の多くは無意識レベルで行われているとストローは指摘する。

    「非常に知的なドライバーだが、それを意識的にやっているわけではない。あまりにも自然に、速く処理している」

    “すべてが高水準”という完成されたプロファイル
    ストローは、アロンソ自身の言葉にも触れる。

    「彼はよく“すべてにおいて10点満点中9.5点”と言う」

    この言葉が示す通り、特定の能力で突出するタイプではない。

    「予選一発なら他に速いドライバーがいるかもしれない。だが、すべての分野で高いレベルを維持できる。それが真の強さだ」

    レースペース、安定性、適応力、判断力。そのすべてが高水準で統合されている。

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ステアリングとアクセルを“操る”異常な協調性
    ヒューズはもう一つの重要な要素として、操作の精密さを挙げる。

    「ステアリングとアクセルの協調性が驚異的だ。まるでその間を踊っているかのようだ」

    モナコのタバックでの走りを例に出し、こう説明する。

    「クルマが曲がらない状況でも、極端なブレーキングを使いながら成立させる。必要なときだけクルマに対して非常にアグレッシブになれる」

    さらに即興対応力も高く評価する。

    「即興での修正能力は見てきた中で最高レベルだ」

    加えて、空間認識能力にも言及する。

    「周囲の状況把握が非常に優れている。スタート直後の1周目は特に際立っている。クルマの置きどころが完璧で、360度すべてを把握しているようだ」

    “反応型”でありながら先読みする独特のドライビング
    ストローは、アロンソのドライビングスタイルをこう表現する。

    「彼のドライビングは“常軌を逸している”。あのレベルで限界を維持し続けるのは極めて難しい」

    多くのドライバーが同様の走りを試みるとミスやクラッシュにつながるが、アロンソはそれを安定して実現する。

    「フロントタイヤとステアリングからのフィードバックに非常に敏感で、それがすべての基盤になっている。その感覚がなければ何もできないと彼自身も言っている」

    そのスタイルは一見すると“反応型”だが、実際には異なる。

    「反応はしているが、その処理速度が異常に速いため結果的に先読みしているように見える」

    クルマに合わせて“自分を変える”ドライバー
    ヒューズは最後に、アロンソの本質をこうまとめる。

    「彼は常に解決策を見つける」

    たとえアンダーステアの強いクルマでも、それを前提に操作を組み立てる。

    「初期のルノーでは強いアンダーステアがあったが、彼はそれを極端に利用し、ステアリング操作で必要な情報を引き出していた」

    その結果、当時は“独特なスタイル”と誤解された。

    「だが他のクルマに乗れば全く違う運転をする。つまりスタイルがあるのではなく、そのクルマに最適化しているだけだ」

    そしてこの能力は年齢に左右されにくい。

    「重要なのは反応速度ではなく感覚と認知だ」

    さらに、日常的にカートに乗り続けていることも、その能力維持に寄与していると指摘する。

    フェルナンド・アロンソの価値は、タイトル数や勝利数では測れない。適応力と感覚、そしてあらゆる要素を高次元で統合する能力こそが、彼を唯一無二の存在にしている。

  • F1韓国GP復帰へ動き 2028年インチェオン開催構想

    F1韓国GP復帰へ動き 2028年インチェオン開催構想

    韓国がF1カレンダー復帰に向けて具体的な動きを見せている。2028年の開催を目標に、インチェオンでの市街地レース計画が進められていることが明らかになった。

    2010年から2013年まで開催された韓国GPは採算面の問題で消滅したが、近年のF1人気拡大を背景に再挑戦の機運が高まっている。今回の計画は、その現実性を検証する段階に入ったと言える。

    インチェオン市街地で新たなF1構想
    インチェオンの松島ムーンライトフェスティバルパーク周辺に約4.96kmの市街地サーキットを設ける構想が進められている。これは韓国メディア「Korea Times」が報じた内容だ。

    この計画は韓国産業研究院と、ヘルマン・ティルケが率いるドイツのサーキット設計会社による共同調査によって検討され、経済的実現性の面で一定の評価を得た。常設サーキットではなく既存道路を活用する点が特徴となる。

    試算では、韓国GP開催によって約5900億ウォンの観光収益と5000人規模の雇用創出が見込まれている。

    開催実現には政府支援が不可欠
    ただし、この計画がそのままF1カレンダー入りに直結するわけではない。

    まず地方自治体の正式な支持が必要となり、その後に中央政府の承認を経て、プロモーターによる正式な入札が行われる。そのうえでF1側の審査を通過する必要がある。

    現時点では初期段階にあり、特に政治的な要素が大きな鍵を握る。地方選挙の行方次第では計画の進展に影響が出る可能性もある。

    一方でインチェオン市は年内に民間パートナーの選定を目指しており、2028年にダブルヘッダー開催を狙う構想も浮上している。

    F1 韓国グランプリ

    かつての韓国GPと市場としてのポテンシャル
    韓国GPは2010年から2013年まで全4回開催され、初開催はフェルナンド・アロンソが制した。しかし観客動員の低迷や財政負担の大きさから短期間で終了している。

    それでも近年は状況が変化している。SNSの普及や「Drive to Survive」の影響により、F1の世界的な人気は拡大。特に若年層や女性ファンの増加が顕著となっている。

    メルセデスのトト・ヴォルフは以前、韓国を「未開拓市場」と評価し、F1復帰の可能性に前向きな見解を示している。

    「ここ数年でF1は大きく成長しており、特に若い層への広がりが顕著だ」

    「最も急成長しているのは15歳から24歳の若い女性層で、彼女たちはSNS上で非常に活発だ」

    「韓国は極めてSNSとの結びつきが強い国であり、過去10年で変化したF1を示す場として理想的だ」

    2028年復帰に向けた現実的なハードル
    今回の計画はあくまで初期段階にあり、実現までには複数の課題が残されている。

    政治的承認、資金調達、プロモーター選定、そしてF1側の最終判断といった複数のプロセスをクリアする必要があるため、実際の開催までには数年単位の時間を要する見通しだ。

    それでも、アジア市場の拡大を狙うF1にとって韓国復帰は戦略的な意味を持つ。インチェオンでの市街地レース構想が、その第一歩となるかが注目される。

    Source: Korea Times

  • FIAが予選の“危険な電力トリック”を封じる 2026年F1の抜け穴対策を即断

    FIAが予選の“危険な電力トリック”を封じる 2026年F1の抜け穴対策を即断

    2026年F1のエネルギーマネジメントを巡り、FIAが予選で使われていた“危険なトリック”の封じ込めに動いた。報道によると、メルセデスとレッドブルは、バッテリー残量の低下に応じて出力を段階的に落とすべき仕組みの抜け穴を突き、最後の瞬間まで最大電力を引き出す運用を試していたという。

    この手法によるタイム上の利得はわずかでも、予選ではコンマ数秒が結果を左右する。その一方で、アタック後にマシンの速度が急激に落ち、大きな速度差を生む危険性も露呈した。

    2026年F1マシンのエネルギー依存が強い特性を踏まえれば、FIAが短期間で介入したのは当然の流れだと言える。

    メルセデスとレッドブルが使っていたとされる抜け穴
    4月上旬の報道で明らかになったのは、複数チームが電力デプロイの使い方を極端に攻めていたという実態だった。『Auto Motor und Sport』や『La Gazzetta dello Sport』によると、メルセデスとレッドブルは2026年F1のエネルギーマネジメント規則にある抜け穴を突いていたという。

    問題となったのは、電気エネルギーをラップ終盤まで最大限に使い切り、その後に突然カットオフを発生させるような運用だ。これによりマシンの挙動が不安定になり、さらにMGU-Kシステムには60秒間のロックアウトが発生するとされた。

    本来は保護機能だった“緊急モード”の流用
    『Auto Motor und Sport』によると、この“危険な”手法では、本来ハードウェア保護のために用意されていた内蔵の「緊急モード」を作動させていたという。

    この機能を使うことで、バッテリー残量の低下に応じて出力を50kW刻みで段階的に下げていくべき制御を事実上回避できた。つまり、通常なら徐々に落ちていくはずの電力を、最後の瞬間まで最大のまま引き出せる余地があったことになる。

    この利点について『f1-insider.com』は、「フィニッシュラインまでの最後の数メートルを最大エネルギーで走ることができ、重要なコンマ数秒を稼げる」と伝えた。予選ではそのわずかな差がグリッド順を左右するだけに、チームにとっては見過ごせない武器だった。

    問題はタイムではなく安全性だった
    ただし、この手法がもたらす影響はラップタイムだけではなかった。

    アタックラップ後、MGU-Kが60秒間停止することで、マシンは突然大きく減速する可能性があった。すでに2026年F1マシンはエネルギーマネジメントの特性によって速度差が大きくなりやすいと懸念されており、そこにさらに予測しにくい減速が加われば、後続車との相対速度差は一段と危険なものになる。

    今回の件は、単なる“うまい使い方”ではなく、安全性を脅かし得る運用として受け止められたからこそ、FIAが早急に手を打ったと見るべきだ。

    国際自動車連盟 F1

    FIAは即座に監視強化 乱用にはペナルティ
    4月のインターバル期間に入る中で、FIAはこの問題に対して明確な姿勢を示した。

    各チームには、緊急モードは本当に技術的な問題が発生した場合に限って使用すべきであり、パフォーマンス目的で使うことは認められないと通達された。今後はテレメトリーが厳しく監視され、不適切な使用があればペナルティが科される見通しだ。

    重要なのは、仕組みそのものが完全に違法化されたわけではない点だ。あくまで合法な保護機能としては残されるが、予選タイムを稼ぐための利用は実質的に封じられた。

    2026年F1の課題を象徴する一件
    今回の措置は、2026年F1レギュレーションが持つ難しさを改めて浮き彫りにした。

    チームはルールの範囲内で常に限界を探る。しかし、その最適化が安全性と衝突したとき、FIAは線引きを迫られる。今回の“電力トリック”封じは、まさにその典型例だった。

    予選での数百分の1秒を争う攻防の裏で、マシンの速度差や挙動の予測不能性が拡大していた以上、この問題は放置できなかった。2026年F1のエネルギーマネジメントを巡る議論は今後も続くが、FIAは少なくともひとつの危険な抜け穴について、早い段階で明
    確に境界線を引いた。

  • アストンマーティンF1低迷でニューウェイに批判の声「役割を理解していない」

    アストンマーティンF1低迷でニューウェイに批判の声「役割を理解していない」

    ギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンF1の不振の要因としてエイドリアン・ニューウェイの役割を疑問視した。開幕から期待を裏切る結果が続く中で、チーム代表というポジションの適性にまで踏み込んで批判を展開している。

    今季のアストンマーティンは上位争いを予想されながらも苦戦が続き、完走すら難しいレースも目立つ状況だ。そうした中でシュタイナーは、技術トップとしての実績は認めつつも、チーム運営の中核を担う立場としては別の能力が求められると指摘した。

    シュタイナーが指摘した「役割のミスマッチ」
    ギュンター・シュタイナーはポッドキャスト内で、ニューウェイがチーム代表という役割を十分に理解しないまま引き受けた可能性に言及した。

    「もし今アドリアンに聞けば、『なぜ引き受けたのか分からない』と答えるかもしれない。チーム代表になりたかったのかどうかも分からないが、いずれにしてもそれは彼の強みではない」

    さらに、設計者としての能力とチーム運営の能力は別物だと強調する。

    「彼は自分の仕事では非常に優れている。つまりマシンを設計することだ。今のアストンマーティンは別としても、いずれ修正するだろう。ただ、チーム代表になるというのは別の話だ」

    “昇格のリスク”という視点
    シュタイナーは今回のケースを、組織運営における典型的な失敗例として捉えている。

    「これはアドリアンの一種のこだわりだったのかもしれない。『チーム代表にならなければならない』という。しかし実際にその役割が何を意味するのかを理解していなかった」

    そのうえで、個々の強みに応じた役割配置の重要性を強調した。

    「人にはそれぞれ強みがある。その強みを発揮できる役割を与えるべきで、過剰に昇格させるべきではない」

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    アストンマーティンの現状が示す構造的課題
    今回の発言は単なる個人批判にとどまらず、アストンマーティンの組織構造そのものへの問題提起でもある。設計面の強化を狙った人事が、結果としてマネジメント機能の弱体化につながっている可能性が示唆されている。

    本来、チーム代表には開発・戦略・人材管理を横断的に統括する能力が求められる。技術分野で突出した才能を持つ人物であっても、そのまま組織トップとして成功するとは限らないという現実が、現在のパフォーマンスに表れている形だ。

    アストンマーティンが今後巻き返しを図るためには、マシン開発だけでなく組織全体の役割分担を見直す必要がある状況にある。

  • 2031年F1レギュレーション エンジン議論の裏で問われる“2026年の教訓”

    2031年F1レギュレーション エンジン議論の裏で問われる“2026年の教訓”

    F1は現在、短期的な2026年レギュレーションの修正と並行して、すでに次の技術サイクルである2031年規則の検討を進めている。エンジン形式を巡る議論は活発化しているが、本質はそこにとどまらない。重要なのは、マシン全体を統合的に設計するという視点を失わないことだ。

    2026年規則で露呈した課題――パワーユニット先行設計によるバランス崩壊――を繰り返せば、次の時代も同じ問題に直面する可能性が高い。

    2031年F1エンジン規則 多様化する選択肢
    2031年に向けたエンジン規則では、複数の方向性が検討されている。独Auto Motor und Sportによると、ハイブリッド要素の縮小、あるいは完全廃止も議論の俎上に載っている。

    その場合、環境性能は合成燃料やバイオ燃料に委ねられるが、これらも完全なカーボンニュートラルではないという課題を抱える。

    内燃機関の構成についても議論は分かれる。自然吸気はサウンド面で魅力がある一方、ターボは効率や燃費、燃料重量の面で優位性を持つ。

    気筒数についても明確な制約はなく、V6・V8・V10といった複数の選択肢が現実的に成立する。理論上はメーカーごとに自由なアーキテクチャを認めることも可能だが、性能差拡大への懸念から、実現の可能性は高くないとみられている。

    ハイブリッドの行方とメーカーの思惑
    最大の焦点はハイブリッドの扱いだ。電動化の流れが鈍化する中で、完全な内燃機関回帰も議論されている。

    しかし、すべてのメーカーがそれを支持しているわけではない。ホンダ・レーシングの渡辺康治は「パワーユニットには一定のハイブリッド要素が必要」と明言しており、参戦継続の条件としている。

    トヨタも復帰の可能性を探る中で、同様の立場を取る可能性が高い。

    そのため現実的な落としどころとしては、「簡素化されたハイブリッド」が有力視されている。長時間の電力アシストではなく、短時間のブースト用途に限定する形だ。

    これはインディカーが採用するスーパーキャパシタ方式に近く、軽量かつ高出力という特性を活かした方向性となる。

    フォーミュラ1エンジン F1レギュレーション

    シャシー設計の優先課題 軽量化と空力整理
    現時点での議論はエンジンに偏っているが、真に重要なのはシャシー側の設計思想だ。

    2026年の問題は、内燃機関と電動出力の比率ではなく、「パワーユニット先行」で設計されたことにあった。空力との統合が後手に回り、結果として不自然な挙動を招いた。

    2031年に向けた優先事項は明確だ。車体の小型化・軽量化、そして空力乱流の低減である。

    車体をコンパクトにすることで重量は自然に減り、必要なダウンフォースも低減する。これはストレートでの抵抗減少にもつながり、エンジン出力とのバランス設計がより重要になる。

    また、アクティブエアロの扱いも鍵を握る。直線でのドラッグ削減を維持するならば、最高速の上昇を抑えるためにパワーユニット側の出力制御も不可欠となる。

    オーバーテイク問題と新たな解決策
    もうひとつの重要な論点がオーバーテイクだ。2026年はエネルギーマネジメントによって“差が生まれる”問題が指摘されたが、逆に差が縮まれば追い抜きは困難になる。

    そのバランスを取るための手段として、インディカー型の「プッシュ・トゥ・パス」が検討されている。一定時間のみ追加出力を解放する仕組みで、攻撃側だけでなく防御側も使用可能とすることで公平性を保つ狙いがある。

    ただし、オーバーテイクの成立はマシン性能だけでなく、サーキット特性にも大きく依存する。市街地サーキットの増加が続く中で、この問題はより複雑になっていく。

    鈴鹿での2026年マシンとグラウンドエフェクト時代の比較が示す通り、同じコースでもマシン特性によってレース内容は大きく変わる。

    “統合設計”が2031年成功の分岐点
    2031年規則の成否は、エンジン単体の選択では決まらない。

    重要なのは、パワーユニット、シャシー、空力、レース特性を一体として設計できるかどうかだ。

    2026年のように要素ごとに最適化を進めれば、全体としての最適解を失うリスクがある。逆に統合的な設計が実現できれば、パフォーマンスとレースの質を両立する新たなF1像が見えてくる。

    FIAと各チームが過去の教訓をどう活かすか――それが次の時代を決定づける。