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  • フェルナンド・アロンソ F1引退議論で本音「他カテゴリーの方がレースは楽しい」

    フェルナンド・アロンソ F1引退議論で本音「他カテゴリーの方がレースは楽しい」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、自身のF1での将来について揺れ動く心境を率直に明かした。

    2026年シーズン限りで契約満了を迎えるアロンソは、アストンマーティンとホンダの苦戦もあり、今季序盤から厳しい状況に置かれている。マシンは競争力と信頼性の両面で問題を抱えており、今季限りでF1を離れる可能性も取り沙汰されている。

    “F1以外の楽しさ”を知るアロンソ
    アロンソはこれまでにもF1外のカテゴリーに挑戦してきた。2019年から2020年のF1離脱期間には耐久レースやインディカーに参戦し、2017年にはインディ500にもスポット参戦している。

    そうした経験を踏まえ、アロンソは現在の心境について次のように語った。

    「F1の外に何があるかは分かっている」

    「レースそのものだけを見れば、F1よりも優れているカテゴリーもあると思う」

    「今では他カテゴリーの方が楽しいと感じるドライバーもいる。それを僕は10年前、2017年にインディへ行ったときに感じていた」

    「1レースだけだったけど、ああいう感覚を経験した。だから外で何を期待できるかは理解している」

    アロンソは、純粋な“レース”という観点では、F1以外にも魅力的な世界があることを認めた形だ。

    それでもF1だけが持つ“特別な重圧”
    一方でアロンソは、F1にしか存在しない独特の空気感や緊張感も、自身を引き留める重要な要素だと説明している。

    「でも人生やキャリアには、F1が必要になる時期もある」

    「ドライビングやF1特有のアドレナリンだけじゃなく、F1にはパッケージ全体がある」

    「緊張感もあるし、スポンサーもある。いろいろな要素があって、そのバランスをF1寄りにしている」

    2026年のアストンマーティンは、ホンダとの新体制初年度ながら苦戦が続いている。しかし、2027年に向けてエイドリアン・ニューウェイ主導の本格開発が始まることもあり、アロンソにとっては“待つ価値がある未来”なのか、それとも別カテゴリーへの挑戦を優先するのかが大きな判断材料になりそうだ。

    “今の自分が幸せになれる場所”を模索
    アロンソは最後に、自身の決断基準について非常にシンプルな言葉で締めくくった。

    「今の僕は、自分が何を一番幸せだと感じるかを選べる立場にある」

  • F1開発戦争激化 フェラーリの“排気トリック”を7チームが模倣

    F1開発戦争激化 フェラーリの“排気トリック”を7チームが模倣

    フェラーリが先行して投入した空力コンセプトをライバル勢が相次いで模倣し、2026年F1シーズンの開発競争が序盤から一気に激化している。

    新レギュレーション導入からわずか数戦で、各チームはリアウイングや排気周辺の空力処理に集中。マクラーレンはフェラーリ発の“マカレナ”リアウイングに独自解釈を加える可能性があり、レッドブルもマイアミで攻撃的な仕様を投入した。

    フェラーリの排気ウイングが開発競争の火種に
    ドイツのAuto Motor und Sportによれば、フェラーリはバーレーンテストで排気口の後方にウイング要素を配置し、高温の排気ガスを利用して追加のダウンフォースを生み出す手法を導入した。

    ライバル勢はこの発想に強く反応した。排気ガスをダウンフォース生成に使うことは、すでに許されない領域だと考えられていたためだ。

    フェラーリはFIAが定める“リーガリティボックス”の範囲内で、リアアクスル周辺のサスペンション形状とドライブシャフトの配置を工夫。排気ガスの流れを活用できる余地を見つけたとされる。

    同誌によれば、この効果は1周あたり「数コンマ」に相当する可能性があるという。

    マイアミで7チームが追随
    このコンセプトはすでにグリッド全体へ広がり始めている。

    Auto Motor und Sportは、マイアミGPの時点で7チームが同様の原理に基づいてマシンを変更していたと報じた。

    ウィリアムズは排気流の中に細く高いエレメントを配置し、アルピーヌは平たく幅広いウイングレットを採用。マクラーレンとレッドブルはテールパイプ下端をバッフルで覆い、メルセデスは排気口にダブルウイングを取り付けたとされる。

    一方で、フェラーリのオリジナルに近い形で再現できたのはハースF1チームだけだという。ハースF1チームはフェラーリとリアサスペンション構造を共有しているため、この配置を成立させやすい。

    “マカレナ”リアウイングも模倣対象に
    フェラーリ発の革新的なリアウイング、通称“マカレナ”も注目を集めている。

    マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、ライバルのリアウイング設計を詳しく調査していることを認めた。

    「もちろん見ている。想像できると思うが、すべてのチームは互いに何をしているかを見ている」

    「賢いアイデアだし、有益になる可能性があると考えている。だから、別のチームが使っているのを見ても驚きはない」

    フェラーリが先鞭をつけたこのコンセプトには、レッドブルもマイアミで独自の攻撃的な解釈を持ち込んだ。

    メルセデスはカナダで“W17 2.0”投入へ
    一方、チャンピオンシップ首位のメルセデスは、マイアミでの大規模アップデート競争には本格参戦しなかった。

    La Gazzetta dello Sportによれば、メルセデスはW17が開幕時点でベンチマークとなっていたため、序盤戦では大型開発を意図的に温存していたという。

    しかし、フェラーリ、マクラーレン、レッドブルがマイアミで相次いで大規模アップデートを投入したことで、メルセデスもカナダGPに向けて大幅な改良パッケージを準備している。

    同紙は「メルセデス2.0」という表現がすでに出ていると報じた。

    このパッケージには、空力、メカニカル、ローンチシステムの変更が含まれるとされる。さらに、開幕4戦中3勝を挙げながらスタートに不安定さを見せているキミ・アントネッリを支援するため、ステアリングホイールのクラッチシステムも改良される見込みだ。

    2026年F1の開発競争は、単なるアップデート投入の速さだけでなく、ライバルの発想をどれだけ早く読み取り、自チームの構造に落とし込めるかが問われる段階に入っている。フェラーリの着想を起点に、カナダGPでは勢力図がさらに動く可能性がある。

  • ジョージ・ラッセルは圏外 エクレストンが2026年F1王者候補を断言

    ジョージ・ラッセルは圏外 エクレストンが2026年F1王者候補を断言

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1第4戦マイアミGP終了時点でランキング2位につけているにもかかわらず、元F1最高責任者バーニー・エクレストンからタイトル候補として名前を挙げられなかった。

    2026年シーズンのメルセデスは開幕4連勝と圧倒的な強さを見せており、19歳のアンドレア・キミ・アントネッリが3連勝を達成。ランキング首位を走るアントネッリは、チームメイトのラッセルに20ポイント差をつけている。

    エクレストンは“2人だけ”をタイトル候補に指名
    元F1最高責任者のバーニー・エクレストンは、スイス紙『ブリック』に対し、今季のタイトル争いはアントネッリとマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の2人に絞られるとの見解を示した。

    「アントネッリかフェルスタッペンがワールドチャンピオンになるだろう」

    「レッドブルは明らかに低迷を脱した。マックスは再び火がついた状態だ。そうなると彼は危険だ」

    一方で、ラッセルについては明確に選外扱いとなった。

    フェルスタッペンは74ポイント差でも警戒対象
    マックス・フェルスタッペンは開幕序盤に苦戦し、ランキング7位。アントネッリとは74ポイント差を抱えている。

    しかし、マイアミGPで投入されたアップグレードによってレッドブルRB22の競争力は改善。フェルスタッペン自身のパフォーマンスも上向いたことで、エクレストンは逆転の可能性を警戒している。

    実際、2025年シーズンにもフェルスタッペンは後半戦で大逆襲を見せた。

    オランダGP終了時点では首位と104ポイント差まで後退していたが、その後の8戦とスプリントで差を大幅に縮め、最終戦アブダビGPまでタイトル争いを持ち込んだ。

    最終的にはランド・ノリスにわずか2ポイント届かず5連覇を逃したものの、終盤3連勝を飾るなど驚異的な巻き返しを見せていた。

    ラッセル軽視は“実績差”の現れか
    現時点でランキング2位につけるラッセルを完全に外したことは、エクレストンが“勝負強さ”やタイトル争いの経験値を重視していることの表れとも言える。

    アントネッリはすでに3連勝で主導権を握り、フェルスタッペンは過去に何度も逆境からタイトル争いを成立させてきた。一方のラッセルは、安定して上位に入りながらも、ここ数戦ではアントネッリの勢いに押される展開が続いている。

    メルセデス内部では依然としてラッセルが経験面でチームを支える存在だが、2026年F1タイトル争いの主役として見られているのは、すでにアントネッリとフェルスタッペンなのかもしれない。

  • コルトン・ハータ、ザウバーF1シムでキミ・ライコネン超えを認める「事実だ」

    コルトン・ハータ、ザウバーF1シムでキミ・ライコネン超えを認める「事実だ」

    コルトン・ハータは、かつてザウバーF1のシミュレーター走行でキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィを上回っていたという逸話が事実だったと認めた。当時はマイケル・アンドレッティによるザウバー買収計画とともに、ハータのF1参戦が現実味を帯びていた時期でもあった。

    ハンガロリンクで行われたシミュレーターテストについて、ハータは「事実だ」と認めつつも、「実際のマシンで結果を出さなければ意味はない」と冷静に振り返った。

    現在はキャデラックF1からのFP1参加を控えており、再びF1への扉が開こうとしている。

    ライコネンとジョビナッツィを上回ったシミュレーターテスト
    ハータはザウバーのヒンウィル拠点を訪れ、シミュレーターテストを受けた。1978年F1ワールドチャンピオンのマリオ・アンドレッティは当時、3日目にはハータがライコネンとジョビナッツィより速かったと語っていた。

    その話が本当だったのかをポッドキャスト『ビヨンド・ザ・グリッド』で問われたハータは、事実だったと認めた。

    「そう、事実だ」

    「でも、シミュレーターで彼らより速かったと言えるのはクールなことだけど、実際のドライビングでそれをできなければ、あまり意味はないと思う」

    「チームが見るうえではいいことだと思う。そうすると彼らは『分かった、彼はテストに投資する価値があるかもしれない』となる」

    「シミュレーターから降りたときは間違いなく気分がいい。でも、それが実際の成功につながるのか? そうかもしれないし、そうではないかもしれない。そう言えるのはクールなことだ」

    そのセッションで走ったコースについて、ハータは「ハンガリーだった」と明かした。

    F1シートには届かずも、キャデラックで新たな機会
    ハータはザウバーのファクトリーも見学し、のちにアルファロメオへ加入するバルテリ・ボッタスとも初めて顔を合わせた。

    「クールだったし、そこで過ごした時間を楽しんだ。彼らのファクトリーは本当に素晴らしいし、特に風洞のセットアップはすごかった。そういうものを見られたのは興味深かった」

    「それに、バルテリに初めて会ったのもそのときだった。彼はメルセデスからそこへ移るところで、シート合わせをしていた」

    「残念ながら、そこから何かが生まれることはなかった。でも、その一部を少しだけ内側から見られたのはクールな時間だった」

    マイケル・アンドレッティの買収構想は実現せず、ハータの2022年F1参戦の可能性も消滅した。アルファロメオはその後、バルテリ・ボッタスと周冠宇という新たなドライバーラインアップを採用した。

    その後に浮上したアルファタウリでのF1機会も実現しなかったが、ハータにはキャデラックF1を通じて新たなチャンスが巡ってきている。ハータはスペインGPで同チームからFP1デビューを果たす予定となっている。

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    F1-Gate.comの速報通知をiPhoneで受け取る方法

    F1-Gate.comでは、iPhoneでもF1ニュースの速報通知を受け取ることができます。

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  • マクラーレンF1 本社拡張を承認 新テストリグ施設を建設へ

    マクラーレンF1 本社拡張を承認 新テストリグ施設を建設へ

    マクラーレンF1が、英国ウォーキングの本社拡張計画に関して正式な建築許可を取得した。新たな施設には、F1マシン開発用の「テストリグ(試験装置)」が設置される予定で、チームの技術基盤強化に向けた重要な投資となる。

    今回の計画は、既存のマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)の敷地内を拡張するもので、現在の施設容量が限界に達していることが背景にある。F1活動だけでなく、グループ全体の成長戦略とも結びついたプロジェクトだ。

    マクラーレンF1本社に新テストリグ施設
    ウォーキング市議会の計画文書によると、新施設は既存の南東側ルーフキャノピー下に建設される。テストリグエリアの面積は143平方メートルで、関連設備として外部コンデンサーユニットも設置される。

    今回の計画は、2025年に承認された案をベースに調整が加えられており、地下部分の拡張やコンデンサー設備の配置変更が盛り込まれた。

    マクラーレン側の建築設計を担当する「tor&co」は提出書類の中で、次のように説明している。

    「マクラーレングループが新市場への進出と継続的な成長を実現するためには、このようなテストリグを含む新たな施設と試験設備が必要になる」

    「これらはグループの技術的・運営的要求を満たすうえで不可欠な存在になる」

    市議会側は、工事について「3年以内に着工すること」を条件として承認を与えている。

    F1で重要性を増す“テストリグ”
    近年のF1では、コストキャップ導入や走行制限の強化によって、シミュレーション設備やテストリグの重要性が急速に高まっている。

    特に2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットやエネルギーマネジメントが複雑化しており、実車走行前のシステム検証能力が競争力を左右する時代になっている。

    マクラーレンは今年、開幕前テスト前に新車「MCL40」をオーストリアのAVL施設へ搬入し、事前テストを実施していた。

    チーム代表のアンドレア・ステラは当時、その理由について次のように説明している。

    「いまのF1では一般的なやり方だ。こうした施設を使うことで、マシンの基本システムをより深く検証できる」

    「MTCにもギアボックスリグやダイノ設備はあるが、AVLのような施設は以前から活用してきた」

    今回の新施設建設によって、マクラーレンは外部施設への依存を減らし、自社敷地内でより多くの開発・検証作業を進められるようになる可能性が高い。

    “インフラ投資”でF1覇権維持へ
    現在のF1では、空力性能だけでなく、開発スピードや検証効率そのものが戦闘力に直結する。

    メルセデスやレッドブル、フェラーリが巨大なシミュレーション設備を武器にしてきたなか、マクラーレンもここ数年で急速に設備投資を進めている。

    風洞刷新、シミュレーター強化、データ解析能力向上に続き、今回のテストリグ拡張は“次世代F1開発競争”への本格対応とも言える。

    2026年F1シーズンはレギュレーション変更によって各チームの勢力図が大きく変わる可能性がある。その中で、マクラーレンはサーキット外の技術基盤整備でもライバルとの差を縮めようとしている。

  • FIA、F1エンジン救済制度をカナダGP後に適用 ホンダに追加開発の可能性

    FIA、F1エンジン救済制度をカナダGP後に適用 ホンダに追加開発の可能性

    2026年F1シーズンで導入された新パワーユニット規則をめぐり、FIA(国際自動車連盟)はパフォーマンスで遅れを取るメーカーを対象とした追加開発制度「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」の適用時期を明らかにした。

    当初はマイアミGP以降に発動する予定だったが、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって評価期間が再編され、最初の判定はF1カナダGP終了後に行われることになった。

    最初の評価期間は5戦に短縮
    FIAは声明で、2026年F1技術規則の付録C5第4.2条に基づき、シーズンを3つの期間に分けて内燃エンジンの性能を分析すると説明した。

    「これら3つの期間は、それぞれ第1〜6戦、第7〜12戦、第13〜18戦を対象とする。しかし、オーストラリア、中国、日本、バーレーン、サウジアラビア、マイアミの各グランプリを含む最初の期間は、中東で続く情勢によって混乱した」

    「そのため、最初の期間は調整され、現在はシーズン最初の5戦(オーストラリア、中国、日本、マイアミ、カナダ)で構成される。結果はカナダGP後、遅くとも2週間以内に通知される」

    これにより、ADUOの最初の対象メーカーはカナダGP後に確定する。対象となったパワーユニットメーカーには、通常のコストキャップやテスト制限を超えた追加開発枠が認められる。

    ホンダF1が対象候補、アウディとフェラーリも可能性
    ADUOは、最も性能の高いエンジンに対して性能指数が2%以上、4%未満劣っているメーカーを対象とする制度だ。

    2026年F1では新たな50対50のハイブリッド・パワーユニットが導入され、メーカー間の性能差が顕在化している。メルセデスが性能と信頼性の両面で好調な一方、ホンダは開幕から苦戦しており、ADUOの対象となる可能性が高いとみられている。

    さらに、フェラーリや新規参入のアウディも、最初のADUOリストに含まれる可能性がある。

    FIAは今後の評価期間についても説明している。

    「第2期間は第6〜11戦(モナコからハンガリー)、第3期間は第12戦(オランダ)から第18戦(メキシコシティ)までを対象とする」

    「結果が通知されると、ADUO対象のパワーユニットメーカーには、認められる開発枠の詳細が個別に通知される」

    「対象メーカーは、早ければ次戦からアップグレードを投入できる」

    救済ではなく競争均衡を保つための開発枠
    ADUOは単なる救済措置ではなく、2026年F1の新パワーユニット規則で生じたメーカー間格差を一定範囲に収めるための制度だ。

    ただし、対象となるには明確な性能基準があり、最下位メーカーに無制限の開発を認めるものではない。あくまで、最良のパワーユニットに対して一定以上の遅れが確認された場合に限り、追加開発の機会を与える仕組みとなる。

    ホンダにとっては、アストンマーティンとの2026年F1プロジェクトを立て直すうえで重要な機会となる。一方で、ADUOが認められたとしても、その効果が即座にパフォーマンスへ反映されるとは限らない。追加開発枠をどの領域に使い、どのタイミングで実戦投入できるかが、シーズン中盤以降の競争力を左右することになる。

  • エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイは何が特別なのか “空気を見る男”F1伝説の正体

    エイドリアン・ニューウェイを語るとき、F1界では必ずと言っていいほど「空気が見える男」という表現が使われる。

    その象徴的な言葉を広めたのは、当時レッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーだった。「ニューウェイは空気を見ることができる男だ」という表現は、彼の空力感覚を神格化する比喩として定着した。

    だが、本人はそのイメージを笑いながら否定している。

    2024年のポッドキャスト出演時、ニューウェイは「もちろん空気なんて見えない」と語った。

    それでも彼は、“見えているように感じさせる”何かを持っている。

    その本質は、現代F1のエンジニアリングが失いつつある“感覚的理解”にある。

    CFD以前の世代だからこそ身についた“想像力”
    ニューウェイがキャリアを築いた時代には、現在のような高度なCFD(数値流体解析)やCAD(コンピューター設計)は存在しなかった。

    設計者はドラフターに向かい、風洞実験を繰り返しながら、自分の頭の中で空気の流れを想像するしかなかった。

    ニューウェイはその時代を生き抜いた。

    だからこそ彼は、コンピューターが答えを出す前に、“どう流れるべきか”を直感で組み立てる癖が身についている。

    本人も「理解し、視覚化しようとする」と語っているように、彼の武器は計算能力ではなく“イメージ化能力”だ。

    これは単なるロマン主義ではない。

    むしろ、現代F1において極めて希少な能力になっている。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが特別なのは“空力”ではなく“全体像”を見ているから
    ニューウェイが本当に優れているのは、単純なダウンフォース量の追求ではない。

    彼は「マシン全体のバランス」を最優先に考える。

    それが最も分かりやすく現れたのが、2022年のグラウンドエフェクト時代の幕開けだった。

    多くのチームが“最大ダウンフォース”を追求した結果、激しいポーパシングに苦しんだ。

    一方でニューウェイは、空力数値だけではなく「安定したプラットフォーム」の重要性を重視し、自らサスペンション設計に深く関与した。

    その結果、レッドブルRB18は他チームほど深刻なバウンシングに苦しまず、マックス・フェルスタッペンは2022年に15勝を挙げる支配的シーズンを築いた。

    翌2023年には、F1史上でも屈指の圧倒的マシンへと進化する。

    ここで重要なのは、ニューウェイが“空力だけ”を見ていなかったことだ。

    多くのライバルがCFDの数値を追い続ける中、彼は「ドライバーが扱えるか」「姿勢変化で破綻しないか」という現実側を見ていた。

    現代F1が失いつつある“職人的直感”
    この記事が面白いのは、単なるニューウェイ賛美で終わっていない点にある。

    むしろテーマは、「技術進化が人間の感覚を奪っているのではないか」という問題提起だ。

    スマートフォンが記憶力を代替し、AIが文章を代替し、CFDが空力感覚を代替する。

    便利さと引き換えに、人間は“自分の頭で補完する能力”を失いつつある。

    F1の設計現場も同じだ。

    現代の若いエンジニアはCADやシミュレーションに極めて強い。

    しかしニューウェイ世代のように、“頭の中で空気を流す”訓練は受けていない。

    だからこそ、ニューウェイのような人物は再現不可能とも言われる。

    彼の才能は「知識量」ではなく、「感覚」「経験」「直感」「芸術性」の複合体だからだ。

    レッドブル低迷が“ニューウェイ不在”を際立たせた
    この記事が強く示唆しているのは、ニューウェイ離脱後のレッドブルの変化でもある。

    2024年にニューウェイ退団が発表された後、レッドブルは次第に“他チームと同じ方向”へ進み始めた。

    ピエール・ワシェ自身も、後に「ドライバー向けではない特性を導入してしまった」と認めている。

    つまりニューウェイは、単に速いマシンを設計していたわけではない。

    「何をやってはいけないか」を知っていた。

    それが最大の価値だった。

    F1では、多くの場合“見えているもの”より、“他人が見落としているもの”のほうが重要になる。

    そしてニューウェイは、その“見落とし”を察知できる数少ない設計者だった。

    “最後の鉛筆世代”が去った後に残るもの
    ニューウェイはいずれ鉛筆を置く。

    そのときF1は、おそらくさらに高度なシミュレーション時代へ進んでいる。

    だが同時に、“感覚でマシンを理解する設計者”は減っていく可能性が高い。

    この記事が言いたいのは、「ニューウェイは空気が見える」という神話ではない。

    “コンピューターに頼り切らず、自分の頭の中で考え抜く能力こそが、本当の差を生む”ということだ。

    そして、それこそがエイドリアン・ニューウェイという存在の本質なのかもしれない。

    Source: PlanetF1

  • ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンが、FIA会長モハメド・ビン・スライエムに対し、F1における“複数チーム所有”の規制強化を求める書簡を送っていたことが明らかになった。

    現在、レッドブル社はレッドブルとレーシングブルズの2チームを所有しており、ブラウンは以前からこの体制について「スポーツの公正性を損なうリスクが高い」と批判を続けてきた。RacingNews365が確認した書簡では、近年の具体例を挙げながら、現行ルールへの問題提起を行っている。

    “チーム間連携”を問題視したシンガポールGP
    ブラウンが特に問題視したのは、2024年F1シンガポールGPでの出来事だ。

    当時レーシングブルズに所属していたダニエル・リカルドは、レース最終盤にファステストラップ狙いのピットストップを実施。その結果、マクラーレンのランド・ノリスからボーナスポイントを奪う形となり、タイトル争いを展開していたマックス・フェルスタッペンに有利な状況を生み出した。

    結果としてフェルスタッペンは、残りレースでノリスに次ぐ順位でもタイトル獲得が可能な条件を維持することになり、ブラウンはこの件を“系列チームによる競技介入”の象徴例として挙げた。

    マイアミGPのローソン指示も槍玉に
    ブラウンはさらに、先日のF1マイアミGPで発生したレーシングブルズの対応についても言及した。

    レース序盤、ターン2で360度スピンを喫したマックス・フェルスタッペンは順位を落としたが、その後リアム・ローソンとの争いの中でコース外へ押し出したように見える場面があった。

    その後、レーシングブルズはローソンに対してフェルスタッペンへポジションを返すよう指示。ブラウンは、この対応が結果的にレッドブル側を利するものだったとして、競技の独立性に疑問を投げかけている。

    ローレン・メキース移籍問題も指摘
    書簡では、人材移動の扱いについても問題視された。

    2025年7月、レーシングブルズ代表だったローラン・メキースは、解任されたクリスチャン・ホーナーの後任として即座にレッドブルへ昇格。当時、一般的に適用される“ガーデニング休暇”は課されなかった。

    ブラウンはこれに対し、マクラーレンがレッドブルからロブ・マーシャルを引き抜いた際には、9か月のガーデニング休暇と高額補償が必要だったと比較。さらに、レーシングブルズからアンドレア・ランディがレッドブル入りした件も挙げ、「本当に独立した競争相手同士で許容されるレベルのファイアウォールが機能しているとは思えない」と主張した。

    また、風洞利用やソフトウェア開発などにおいても、複数チーム所有による潜在的な優位性が存在する可能性があると指摘している。

    FIA会長も“2チーム所有”に疑問
    こうした問題提起に対し、FIA会長モハメド・ビン・スライエムも、F1マイアミGPでRacingNews365などに対して見解を示していた。

    「2チーム所有については、その理由が正しいものである限り問題ないとも言える。だが、“正しい理由”とは何か?」

    「他チームに買われたくないから保有する、あるいはレギュレーション投票で影響力を得るためという理由であれば問題だ」

    「個人的には、2チーム所有は正しい形ではないと思っている。ただ非常に複雑な問題なので、現在FIA内部で調査を進めている。可能なのか? 許されるべきなのか? 本当に正しいのか? を検討している」

    ブラウンは書簡の中で、FIAとのさらなる協議にも前向きな姿勢を示している。

    “レッドブルモデル”への包囲網は強まるのか
    これまでF1では、レッドブルとレーシングブルズの関係性についてたびたび議論が巻き起こってきた。

    特に2026年F1シーズンは、新レギュレーションやPU勢力図の変化により、チーム間協力や技術共有への視線がこれまで以上に厳しくなる可能性がある。ザク・ブラウンの書簡は、単なる政治的牽制ではなく、F1全体の競技構造そのものに一石を投じる動きとなりそうだ。

  • ジョージ・ラッセルに正念場 トト・ヴォルフ「F1カナダGPで反撃する」

    ジョージ・ラッセルに正念場 トト・ヴォルフ「F1カナダGPで反撃する」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、F1カナダGPで反撃を狙う。メルセデスは開幕4戦を全勝し、コンストラクターズ選手権でフェラーリに70ポイント差をつけているが、チーム内ではキミ・アントネッリが急速に存在感を高めている。

    アントネッリは中国GP、日本GP、マイアミGPで3連勝を飾り、ラッセルに20ポイント差をつけてタイトル争いをリード。開幕戦オーストラリアGPを制したラッセルにとって、モントリオールは流れを取り戻す重要な一戦となる。

    アントネッリ3連勝で変化したチーム内の勢力図
    トト・ヴォルフは、ラ・ガゼッタ・デロ・スポルトに対し、アントネッリの直近3戦の勝利を率直に認めた。

    「このスポーツで我々が愛しているのは、レースの最後に時計が嘘をつかないことだ。そして時計は、キミが直近3つのグランプリで勝つにふさわしかったことを示している」

    一方で、ラッセルの不振がすべて本人の責任だったわけではない。中国GPではQ3で電気系のトラブルに見舞われ、マシンが1速に固定される問題を抱えながらも2位でフィニッシュした。日本GPではセットアップ変更が裏目に出たうえ、セーフティカーのタイミングと再スタート時のバッテリー充電問題が重なり、勝機を逃した。

    マイアミでは本人のミスも指摘
    マイアミGPでは状況がさらに厳しかった。ラッセルは中盤のテクニカル区間でバランスとタイヤのオーバーヒートに苦しみ、予選5番手、決勝4位。優勝したチームメイトのアントネッリから43秒遅れてチェッカーを受けた。

    ヴォルフは、ラッセルの停滞についてチーム側の問題や不運もあったとしながら、マイアミでは本人のミスもあったと認めた。

    「ラッセルはうまくいかなかった。場合によってはチームの問題や不運が原因であり、マイアミでは彼自身のミスによるものだった」

    トト・ヴォイルフ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    カナダGPから巻き返しへ
    それでもヴォルフは、ラッセルの実力に対する信頼を崩していない。カナダGPの舞台となるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで、ラッセルが再び本来の競争力を取り戻すと見ている。

    「とはいえ、我々はジョージの価値を知っている。そして彼がカナダから戻ってきて、非常に競争力を発揮し、ライバルたちを苦しめる準備ができていることも分かっている」

    メルセデスが圧倒的な序盤戦を築くなか、焦点はチーム内のタイトル争いに移りつつある。アントネッリが勢いで先行する一方、ラッセルには経験と実績がある。カナダGPは、その均衡が再び動き出す最初の分岐点になる。