タグ: メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

  • メルセデスF1代表 トト・ヴォルフ「フェラーリとの本格的な戦いになる」

    メルセデスF1代表 トト・ヴォルフ「フェラーリとの本格的な戦いになる」

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPは、メルセデスのジョージ・ラッセルが優勝し、アンドレア・キミ・アントネッリが2位に入る1-2フィニッシュとなった。しかしレース内容は決して一方的なものではなく、フェラーリが強いレースペースを示したことで、タイトル争いは接戦になる可能性が見えてきた。

    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、アルバート・パークでの戦いを振り返り、フェラーリがシーズンを通して大きな脅威になると認めた。

    「フェラーリに関して言えば、レース前は“ロングランを見ると我々が大きく引き離すだろう”と言われていた。しかし実際にはそうならなかった」とトト・ヴォルフは語った。

    「彼らがスタートに強いことは分かっていたし、実際その通りになった。序盤はシャルルとジョージの完全なバトルだった」

    「キミは少し不運だった。バッテリーが本来あるべき状態ではなかったんだ。実際には両方のマシンで多少そういう状態だった」

    「ある時点ではフェラーリ2台とジョージによる三つ巴の戦いになっていたし、最終的にはキミもそこに追いついた」

    「レース終盤の我々のペースは非常に励みになるものだったが、序盤はフェラーリとメルセデスの間にほとんど差がなかった」

    「今の私の率直な感覚は、フェラーリと本格的な戦いになるということだ」

    レースでは、レッドブル・レーシングのアイザック・ハジャーが11周目にストップしたことでバーチャルセーフティカーが導入される。このタイミングでメルセデスは2台をピットインさせた一方、フェラーリはステイアウトを選択。この戦略差が最終的にメルセデスの1-2フィニッシュにつながった。

    しかしレースペースの指標となる最速10周平均では、ルイス・ハミルトンが1分22秒557でトップを記録。マックス・フェルスタッペンが1分22秒632、アンドレア・キミ・アントネッリが1分22秒635で続き、フェラーリの競争力の高さを示す結果となった。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    フェラーリの強力なスタート性能
    フェラーリが序盤で優位に立てた要因の一つは、スタート時のパワーユニット特性にあると見られている。4番グリッドからスタートしたシャルル・ルクレールは、スタート直後に一気にトップへ浮上した。

    これについてヴォルフは、フェラーリのターボ構成が関係している可能性を示唆した。

    「それがすぐに追いつけるものかは分からない。おそらくハードウェアの問題だと思う」

    「ある特定のハードウェア構成やターボサイズによって、ターボをより簡単に回せる可能性がある。それによってスタートが良くなる一方で、コースの他の部分やレース全体では妥協が必要になるかもしれない」

    「我々はスタートに関して何も変更していない。バッテリーが満充電ではなかったにもかかわらず、きちんとスタートできたことには満足している」

    「スタート前にエンジンが吹け上がる音を聞いていると、“いったい何が起きているんだ?”と思うものだ。とにかく全員が無事にスタート位置を離れられることを願うだけだ」

    「それでもシーズン最初のレースとしては、かなり良かったと思う」

  • メルセデスF1 オーストラリアGP予選「すべてがうまく噛み合った」

    メルセデスF1 オーストラリアGP予選「すべてがうまく噛み合った」

    メルセデスは2026年F1オーストラリアGP予選で圧倒的な速さを見せ、ジョージ・ラッセルがポールポジションを獲得。アンドレア・キミ・アントネッリも2番手に入り、フロントロー独占という最高の形でシーズン開幕戦の予選を終えた。

    ラッセルは終始セッションをリードし、最終的には1分18秒518を記録。メルセデス勢以外の最速ドライバーに対して約0.8秒の大差をつける圧巻の走りだった。

    一方でアントネッリはFP3でクラッシュする波乱の一日となったが、チームが奇跡的な修復を行いQ1途中でコース復帰。Q3ではマシンから冷却ファンが外れて赤旗を引き起こすトラブルもあったが、最終アタックで2番手を確保し、チームのフロントロー独占を完成させた。

    ヴォルフ「どこから祝福すればいいのか分からない」
    メルセデスのモータースポーツ責任者トト・ヴォルフは、チームの総合力を称えた。

    「今日は誰から祝福を始めればいいのか分からないほどだ」とヴォルフはコメント。

    「キミのFP3でのクラッシュのあと、マシンを予選に間に合わせるためにチームは素晴らしい仕事をしてくれた」

    「マシンが戻ってきたときには、正直なところ間に合うとは思えなかったが、彼らは信じられない努力を見せてくれた」

    「ブラックリーとブリックスワースのチームも、W17をメルボルンでこれほど競争力のある状態に仕上げるために素晴らしい仕事をしてくれた」

    「そしてここオーストラリアのレースチームがそれをP1とP2につなげてくれた」

    「ジョージは別次元のパフォーマンスを見せ、キミも冷静さを保ってフロントロー独占を実現した」

    「もちろん今日は予選に過ぎないし、シーズン最初のレースにすぎない」

    「ポイントは明日獲得するものだ。ライバルたちも今日以上の力を見せてくるはずで、これがシーズン全体の勢力図を示すものではない」

    ラッセル「すべてがうまく噛み合った」
    ポールポジションを獲得したジョージ・ラッセルは、チームの準備を称えた。

    「今日はすべてがうまく噛み合ったし、チームは素晴らしい仕事をしてくれた」とラッセルはコメント。

    「マシンを良い状態に仕上げてくれたし、僕たちは歴史的に涼しいコンディションで速いことも分かっている」

    「すべてがうまくいき、それをポールポジションにつなげることができた」

    「ただ今日のアドバンテージがライバルとの差の本当の姿ではないことも分かっている」

    「ブラックリーとブリックスワースのチームは非常に強力なプラットフォームを用意してくれたが、チャンピオンシップを勝つためにはいくつかの分野でまだ改善が必要だ」

    「これはシーズン最初のレースの最初の予選に過ぎないし、全員まだポイントはゼロだ」

    「明日はP1とP2を良い結果につなげるために全力を尽くす」

    「長い午後になるだろうし、どんな課題が出てくるか見ていこう」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリ「今日のヒーローはメカニック」
    2番手となったアンドレア・キミ・アントネッリは、チームの働きを強調した。

    「どうやら僕は自分の人生を難しくするのが好きみたいだ」とアントネッリはコメント。

    「FP3のクラッシュのあとで厳しい状況だったが、今日のヒーローはメカニックとガレージの全員だ」

    「予選に間に合わせるためにマシンを修理してくれたことに本当に感謝している」

    「時間が本当にギリギリで、セットアップを完全に整えることすらできなかった」

    「それでも彼らはフロントローを獲得できる速いマシンを用意してくれた」

    「明日は良い結果を争うチャンスがある」

    「土曜日にはポイントは入らないし、この新しいマシンでは長いグランプリになる」

    「まだ未知の要素も多いし、いろいろなことが起こり得る」

    「今日のポジティブな結果を良いポイントにつなげるために、明日はしっかり仕事をする必要がある」

    ショブリン「フロントロー独占に値する努力」
    トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、チームの努力を称賛した。

    「キミのマシンをQ1終了前に組み上げてコースに送り出したチームには本当に称賛を送りたい」とショブリンはコメント。

    「それを実現するために多くの人が関わり、その努力がフロントロー独占という形で報われたのは素晴らしいことだ」

    「ジョージもシーズン最初のポールポジションを獲得する素晴らしい仕事をした」

    「セッションを最初から最後までコントロールしていたし、とても簡単に見せていたが、それは彼が準備に全力を尽くした結果だ」

    「キミの一日はもっと波乱に満ちていた。FP3のクラッシュは後れを取る原因になったが、彼はそこから多くを学ぶだろう」

    「それでも大きなプレッシャーの中で素晴らしい仕事をし、フロントローに並ぶ結果を残した」

    「最後にブラックリーとブリックスワースのチームにも祝福を送りたい」

    「このレギュレーションに向けてどれだけ努力してきたかを見ると印象的だし、新しい時代の最初のレースで両マシンがグリッド最前列に並ぶことは大きな成果だ」

  • メルセデスF1に追い風 ペトロナス燃料がFIAホモロゲーション取得

    メルセデスF1に追い風 ペトロナス燃料がFIAホモロゲーション取得

    2026年F1シーズン開幕を目前に控え、メルセデスにとって追い風となるニュースが浮上した。報道によると、同チームのパートナーであるペトロナスが供給する燃料が、FIAのホモロゲーション(認証)を正式に取得したという。

    2026年からF1は大規模なレギュレーション変更を迎え、パワーユニットとシャシーの双方が刷新される。その中心にあるのが「完全持続可能燃料」の導入であり、燃料の認証プロセスはこれまで以上に複雑化している。

    2026年F1で大幅に強化された燃料認証プロセス
    2026年F1では、燃料は従来の化学的仕様を満たすだけでは不十分となった。新たに「持続可能性」の要件が導入され、燃料の原料調達から生産、供給までの全工程が厳密に監査される仕組みとなっている。

    このプロセスの検証を担うのが、FIAが任命した独立機関「ゼモ」である。ゼモは燃料の製造プロセス全体を監査し、最終製品だけでなく原料の供給源やライフサイクル全体の温室効果ガス排出量まで確認する。

    そのためホモロゲーションの手続きは非常に長く複雑になり、プレシーズンテストの段階では一部の燃料サプライヤーが認証を完了できていない状況も報じられていた。

    当初はメルセデスと長年提携するペトロナスも、認証取得に向けて時間との戦いに直面していると噂されていた。

    しかし報道によると、ペトロナスの燃料は2026年F1オーストラリアGPを前にFIAの承認を取得したとされる。

    BPが語る「2026年燃料の難しさ」
    こうした状況の中、アウディと提携するBPのモータースポーツ流体技術責任者ルーク・ジョリーは、新レギュレーション下での燃料開発の難しさを明かしている。

    「2026年の燃料には大きく2つの要素がある」とジョリーは語った。

    「ひとつは、昨年までと同じように定められた燃料仕様だ。物理的・化学的なパラメータがあり、その範囲内に収める必要がある。サンプルをFIA認定ラボに送ってチェックするという点では、以前と同じだ」

    「新しいのは持続可能性に関する要件だ。ここでホモロゲーションのプロセスはまったく新しい次元になった」

    ジョリーによれば、ゼモは燃料の原料から最終製品まで、すべての工程を監査する。

    「FIAが任命した独立機関であるゼモが、原料調達から生産、そして最終燃料のライフサイクルにおける温室効果ガス排出量まで、すべてを検証する」

    「この部分は以前よりもはるかに複雑だ」

    BPはすでに先月ホモロゲーションを取得しており、アウディとの初戦に向けて準備は整っているという。

    「ここ数週間で、このレース週末に間に合う形で認証を取得できた。非常に重要なマイルストーンだった」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    他メーカーは依然沈黙
    ジョリーはまた、2026年燃料の開発が多くのサプライヤーにとって難題になっていることを示唆した。

    「このプロセスは非常に厳格で、燃料に使う原料が何であれ、FIAが任命した監査人が実際に現地に赴き、その原料が本当に持続可能なものか確認する必要がある」

    「そしてその原料が供給チェーンを通じて最終ブレンドに至るまで、すべて追跡される。ここメルボルンに届くまでだ」

    「非常に厳しいプロセスで、だからこそ一部のメーカーではタイミングがかなりタイトになっている」

    さらにジョリーは、他メーカーの状況についても意味深な発言を残した。

    「全体として見ても、かなりの苦労があったという話は聞こえてくる」

    「他のサプライヤーはまだあまり情報を出していない。だから実際の状況は分からない」

    ただし、BP自身は計画的な判断を行ったことで順調に進んでいると説明する。

    「我々は計算された決断をしてきた。その結果、今週末に向けて非常に良い状態にある」

  • F1エンジン論争の決着 メルセデス問題の圧縮比ルールが生んだ妥協

    F1エンジン論争の決着 メルセデス問題の圧縮比ルールが生んだ妥協

    2026年F1シーズン開幕を前に、パワーユニット規則を巡る最大の政治問題となっていた「圧縮比(コンプレッションレシオ)」論争がようやく決着した。FIAはルールの曖昧さを解消する形で新たな測定方法を導入し、メルセデスの設計を巡る議論に終止符を打とうとしている。

    この決定は一見するとメルセデスの優位性を抑えるもののように見えるが、実際には同社、カスタマーチーム、そしてライバルメーカーすべてに一定の利益をもたらす妥協案となった。

    論争の発端となった圧縮比16:1ルール
    2026年F1パワーユニット規則では、完全持続可能燃料の導入と新規メーカー参入を容易にする目的で、エンジンの圧縮比上限が従来の18:1から16:1へ引き下げられた。

    圧縮比とは、シリンダー内で空気と燃料の混合気をどれだけ圧縮できるかを示す数値であり、エンジン効率や出力特性に大きく関わる。

    しかし各メーカーの間で問題となったのは、メルセデスのエンジンが「静的テストでは16:1を満たすが、実際の運転時にはそれ以上の圧縮比になる可能性がある」という点だった。

    この現象は、ピストンやコンロッドの素材が高温で膨張することに関連していると考えられている。ただし現代のF1エンジン部品は高度な3Dプリント技術による多層構造であり、単純な素材膨張だけで説明できるほど単純な問題ではない。

    それでもアウディを中心としたライバルメーカーは、この設計が規則の精神に反していると主張し、フェラーリやホンダと共にFIAへ共同書簡を送った。

    規則の曖昧さが政治問題に発展
    議論がここまで激化した理由は、レギュレーションの文言が曖昧だったためだ。

    技術規則C5.4.3では圧縮比は「常温で測定する」と定められていた。一方で規則1.5には「F1マシンは競技中常に規則を満たさなければならない」と書かれている。

    つまりメルセデス側は「測定条件は常温」と主張でき、ライバル側は「走行中も16:1を守るべき」と主張できる状況だった。

    FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは次のように説明した。

    「この種の問題には多くのニュアンスがある。規則が目指しているものと、実際に書かれている内容が必ずしも一致しないことがある」

    「16:1という圧縮比を維持することは2022年にパワーユニットメーカーと議論した際の重要な目標だった。しかし書かれている内容だけを見ると、より高い圧縮比を実現できる余地があった」

    結果としてFIAは、ルールの解釈争いを避けるため文言自体を修正する必要があると判断した。

    メルセデスも受け入れた妥協案
    最終的にFIAが採用した解決策は、圧縮比の二重測定だった。

    ■ 常温
    ■ 130度の高温状態

    この両方で16:1を満たさなければならない。

    メルセデス代表トト・ヴォルフは次のように語った。

    「今回の方法では、エンジンが冷えている状態でも熱い状態でも規則に適合する必要がある。だから誰にも優位性はない」

    「他のメーカーは“熱い状態だけ測定する”ことを望んでいたが、それでは冷えているときに規則外の状態になる可能性がある」

    メルセデスはエンジンが温まると圧縮比が上がる設計だが、一般的には逆に温度上昇で圧縮比が下がる傾向がある。

    つまり「高温のみ測定」だった場合、今度はライバルが逆方向の抜け穴を利用する可能性があった。

    二重測定はその両方を封じる仕組みとなる。

    6月施行という政治的バランス
    今回のルール変更は2026年6月1日から適用される。

    当初は8月開始が検討されていたが、開始時期を前倒しすることでライバルメーカーの不満を和らげた。

    一方でメルセデスにとっては二重測定という条件を維持できたことが譲歩となる。

    FIAパワーユニット委員会では、変更には5メーカー中4社の賛成が必要だったが、最終的には全会一致で承認された。

    まさに典型的なF1政治の妥協と言える。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ 圧縮比

    2027年には再びルール変更
    さらにこの問題にはもう一つの段階がある。

    2027年からは圧縮比の測定が高温のみへ変更される予定だ。

    それまでの期間は、すべてのメーカーが設計を調整するための猶予期間となる。

    もし内燃エンジンの仕様変更が必要になった場合でも、規則上は一定の改修が認められている。ただしその費用はパワーユニットメーカーのコストキャップ内に収めなければならない。

    次の政治問題はエネルギー管理
    圧縮比問題が決着した一方で、FIAにはさらに大きな課題が残っている。

    それが2026年マシンのエネルギー管理だ。

    特にメルボルンやジェッダのような高速サーキットでは回生エネルギーが少なく、電力不足が発生する可能性が指摘されている。

    マクラーレン代表アンドレア・ステラはこれらのコースを「回生が少ないサーキット」と表現した。

    FIAにはいくつかの対策案がある。

    ■ レース時の電動出力を250kWへ制限
    ■ 350kWのスーパークリッピングを許可

    ただしこれらは政治的に非常に敏感な問題だ。

    エネルギー効率に優れたチームは、その優位性を失う可能性があるからだ。

    開幕戦メルボルンで次の議論が始まる可能性
    FIAは、まずは実際のレースを見てから判断する方針を示している。

    「2026年レギュレーションは近年で最大級の変化だ。プレシーズンテストとシーズン序盤のレースから学ぶ必要がある」

    FIAはそう説明している。

    圧縮比を巡る論争は一応の決着を見たが、2026年F1の政治戦はまだ始まったばかりだ。次の焦点はエネルギー管理とレースの成立性へと移っていく可能性が高い。

  • メルセデスF1のPU戦略が判明 マクラーレンらは開幕戦で“性能解放”

    メルセデスF1のPU戦略が判明 マクラーレンらは開幕戦で“性能解放”

    メルセデスのカスタマーチームであるマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌは、開幕戦オーストラリアGP(メルボルン)に向けてパフォーマンス向上版のパワーユニットを受け取る見通しだ。

    バーレーンで行われたプレシーズンテストでは、メルセデスが“二本立て”の戦略を採用していたことが明らかになっている。

    テストでは“安全仕様”を供給
    テスト期間中、メルセデスのカスタマーチームであるマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌには、信頼性を重視した“セーフティ寄り”の仕様が供給されていた。

    一方でワークスチームのメルセデスは、3月1日に予定されている最終ホモロゲーションを見据え、よりアグレッシブなパフォーマンス重視の実験的仕様を走らせていたとされる。

    実際にテストではメルセデスが信頼性面でいくつかのトラブルに見舞われ、とりわけアンドレア・キミ・アントネッリの走行中にはパワーユニット関連の問題が発生していた。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルボルンでは最終仕様に統一
    開幕戦メルボルンでは、メルセデスがホモロゲーションする“最終仕様”のパワーユニットがカスタマーチームにも供給される見込みであり、マクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌはテスト時よりもパフォーマンス面で一段階上の状態でシーズンを迎えることになる。

    マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラは、このメルセデスの戦略を高く評価している。

    「今回のテストで我々が使用したパワーユニットは、極めて信頼性が高く、我々が計画していたすべてのテストを完遂することを可能にしてくれた。さらに、パワーユニット、シャシー、そしてドライバーの相互作用についても学ぶことができた」

    「パワーユニットメーカーにとっても、シャシー面だけでなく非常に集中的で厳しいプログラムだったと思う。しかし重要なのは、開幕戦に向けて正しい仕様が利用可能であることだ」

    メルセデスはホモロゲーション期限直前までパフォーマンスの最適化を進めつつ、カスタマーには確実な走行距離を優先させるという分業体制を敷いていた形だ。

    その“本命仕様”がメルボルンで初披露されることになる。

  • メルセデスF1圧縮比問題は公正か?政治投票の行方

    メルセデスF1圧縮比問題は公正か?政治投票の行方

    2026年F1シーズン開幕を目前に控え、パワーユニットの「圧縮比16:1」を巡る議論がパドック最大の政治問題へと発展している。メルセデスが採用した解釈はレギュレーションに適合しているのか、それとも“精神”に反するのか。オンライン投票という異例の形で決着が図られようとしている。

    トト・ヴォルフは「コップの中の嵐だ」と表現する一方で、政治的現実を受け入れる姿勢も見せている。では、この騒動の本質はどこにあるのか。

    圧縮比16:1を巡る“文言”と“精神”の衝突
    問題の出発点は、技術規則C5.4.3条の文言にある。そこでは圧縮比の測定はエンジン停止状態かつ常温で行われると規定されている。メルセデスはこの文言を基に2026年用パワーユニットを開発した。

    ヴォルフは以前から、開発過程でFIAを巻き込み、情報共有を行ってきたと説明している。

    「哲学的には異論があるかもしれない。だが規則は守られるべきものであり、我々はFIAと常に近い距離で進めてきた」

    しかし一方で、FIAシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは、規則策定時の“意図”にも言及している。2022年にパワーユニットメーカーと協議した際、16:1という数値を常に維持することが基本方針だったという。

    つまり、文言上は合法であっても、レギュレーションの精神に照らせば疑問が残る――これがアウディ、ホンダ、フェラーリ側の主張だ。

    彼らはより包括的な第1.5条を根拠に挙げる。「競技期間中は常に規則に完全適合していなければならない」という条文だ。圧縮比が明記されている以上、走行中も16:1を超えてはならないという解釈である。

    FIA提案の“妥協案”とは何か
    現在提示されている案は、8月1日以降に圧縮比を二重測定するというものだ。従来の冷間測定に加え、130度での高温測定を導入する。

    重要なのは、冷間測定を残す点にある。仮に高温のみを測定対象にすれば、冷間状態で16:1を超える設計も理論上は可能になる。これはメルセデスとは逆方向の抜け道だ。

    ヴォルフはこの点を歓迎している。

    「今の形は、冷間でも高温でも規則を満たさなければならない。誰にも優位性はない。もし高温のみの測定なら、冷間で規則を回避できたはずだ」

    4社の賛成に加え、FIAとF1の同意が必要となる今回のオンライン投票。表向きは多数決だが、背後には開幕戦メルボルンを政治的混乱で覆いたくないというF1側の意図も透ける。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    燃料問題は“第二の嵐”か
    圧縮比論争と並行し、メルセデスの燃料を巡る噂も浮上している。2026年から完全持続可能燃料が義務化され、各サプライヤーは温室効果ガス削減基準を満たす必要がある。

    ヴォルフは強く否定する。

    「圧縮比が違法だと言われたが、それは完全なナンセンスだった。今度は燃料が違法だという話だ。どこから出てくるのか分からない」

    FIAは個別案件への言及を避けつつも、新燃料認証プロセスの複雑さを認めている。化学組成のみならず、生産工程まで第三者機関Zemoが監査する体制だ。

    コスト上限導入時と同様、制度移行期特有の混乱が背景にあると見る向きもある。

    公正な解決なのか
    今回の投票は、法的解釈の勝敗というよりも、政治的均衡を探る妥協の産物に近い。

    メルセデスは文言上の正当性を主張し、他メーカーはレギュレーションの精神を訴える。双方に一定の論拠がある以上、FIAの目的は「曖昧さを排除すること」にある。

    最終的な焦点は、開幕戦が抗議合戦に終始するか、それとも純粋なレース内容で注目を集められるかだ。

    政治的嵐を鎮めることはできても、2026年F1マシンが本当に魅力的なレースを生み出せるかどうかは、まだ誰にも分からない。

  • メルセデスF1が最終日に隠し玉 サドル型リアウイング投入

    メルセデスF1が最終日に隠し玉 サドル型リアウイング投入

    メルセデスは2026年F1プレシーズンテスト最終日、W17に革新的なリアウイング仕様を投入した。キミ・アントネッリが走行を担当したこの新仕様は、レギュレーションで定められた外形許容範囲ギリギリまで攻めた設計思想が色濃く表れた構成となっている。

    今回のアップデートは、テスト最終日に持ち込まれた点も含めて注目を集めた。ライバル勢に研究・解析の時間を与えないため、あえて公開を遅らせた可能性が高いとみられる。

    “サドル型”ミニフラップで実質4エレメント化
    最も目を引くのは、リアウイング外側コーナー部に“サドル”のように配置されたミニフラップだ。この小型フラップは2分割構造となっており、内側の狭い部分は固定セクションに取り付けられ、外側の広い部分はアクティブエアロ作動時に回転する可動セクションと連動する。

    両セクションの後縁にはそれぞれ小型のガーニーフラップが備えられている。特にインボード側は、メイン上段エレメント後縁との近接によって生じる空力的影響に対応するため、湾曲したコーナー形状を採用している。

    このミニフラップは、メイン上段エレメントとの間にスロットギャップを形成しており、さらに内側セクションは独自のミニ・スロットギャップセパレーターで下段要素と接続されている。結果として、この外側領域では従来の3エレメント構成を実質的に4エレメント化するレイアウトとなっている。

    外側セクションはエンドプレートに接続され、独自の“ミニエンドプレート”を形成。その結果、エンドプレート後方にはより大きなノッチ形状が生まれ、チームはここでチップボルテックスの制御を狙っている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    大きく湾曲した新エンドプレート形状
    もう一つの大きな変更点はエンドプレートだ。従来仕様と比較すると、前縁から上端にかけて大きく湾曲したシニュアス形状が採用されている。

    このカーブは上部だけにとどまらず、全体的にスウィープしたプロファイルとなっており、旧世代車両で見られたロールオーバー状の接合部とは異なる設計思想が見て取れる。現行レギュレーションではその意匠は必須ではなくなっている。

    この新しいエンドプレート形状は、内側面の気流と圧力分布に影響を与えるだけでなく、外側から見た前後方向の露出面積にも違いを生み出している。さらに、ウイング要素の許容ボックス領域下部にも形状変更が加えられており、旧設計で見慣れた処理とは異なるアプローチが採用されている。

    アクティブエアロ移行を滑らかにする狙い
    今回の変更は単なるリア荷重増加を目的としたものではない。特に、固定フラップ外側セクションと可動フラップのピボット周辺における気流管理の改善が主眼にある。

    固定部と可動部の境界付近には約2センチの小型エアロタブが追加され、そこにもガーニータブが設けられている。この領域は気流密度が高く、アクティブ機構の作動によって挙動が敏感に変化するゾーンだ。

    狙いは二つある。第一に、ストレート走行時のドラッグ低減性能を、気流密度変化によって損なわせないこと。第二に、フラップが閉じた際のリア荷重の立ち上がりをより緩やかにし、ローダウンフォース状態からハイダウンフォース状態への移行をスムーズにすることだ。

    2026年レギュレーションではストレートラインモードとコーナーモードの切り替えがより積極的に用いられるとみられている。その中でメルセデスは、リアウイング単体の絶対性能だけでなく、“切り替え時の挙動”という動的領域にまで踏み込んだ解決策を提示した形だ。

    テスト最終日に投入されたこの“サドル型”リアウイングは、開幕戦オーストラリアGPに向けたメルセデスの本気度と、空力面での攻勢を象徴するパッケージと言える。

  • メルセデスF1代表 圧縮比論争と燃料問題を一蹴「完全なでたらめ」

    メルセデスF1代表 圧縮比論争と燃料問題を一蹴「完全なでたらめ」

    2026年F1プレシーズンを揺るがしているメルセデスのパワーユニット問題と燃料認証を巡る議論について、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフが強く反論した。

    FIAは水曜日、メルセデスのエンジンの合法性を巡り、8月以降にレギュレーション変更を実施するかどうかを問う投票を行うと発表。メルセデスはエンジンが作動温度に達した際の圧縮比制限に関して抜け穴を見つけ、より高い上限を実現したと判断されたことが発端となっている。

    この問題はプレシーズンの主要議題となっており、フェラーリ、レッドブル、ホンダ、アウディが不満を抱いていると報じられている。なお、メルセデスのパワーユニットはマクラーレンなど他チームにも供給されている。

    さらに直近24時間では、2026年開幕戦メルボルンを前に、メルセデス陣営の燃料に関する新たな疑惑も浮上している。持続可能燃料メーカーのペトロナスが、メルセデス搭載チームが使用する燃料の認証およびホモロゲーションをまだ取得していないと広く報じられた。

    こうした報道について、ヴォルフは記者会見で強く否定した。

    「これはまた同じような話だ。圧縮比が違法だと言われたが、完全なでたらめだ。まったくのでたらめだ。そして今度は燃料が違法だという話が出てきたのか?」

    「どこからそんな話が出てくるのか分からないし、また独り歩きしている。明日になればまた別の話をでっちあげるのかもしれないな」

    燃料問題についても、ヴォルフは次のように述べた。

    「またナンセンスだ。これは複雑なテーマでプロセスもあるが……コメントすることすらない」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    一方で、金曜日に予定されている投票で自陣に不利な判断が下される可能性については、比較的冷静な姿勢を示した。

    「私にとってはどちらでも構わない。現行レギュレーションのままでもいいし、FIAから提案された変更案に金曜日の投票で進んでもいい。どちらでも我々にとっては問題ない」

    「最初から言っているが、これはコップの中の嵐のようなものだ」

    「いくつかの数字が出てきたが、それが天井を突き抜けるようなものであれば、誰かが戦う理由も理解できる。しかし最終的には、戦うほどのことではない」

    「このままでも、新しいレギュレーションに変更されても、我々にとって何も変わらない。それはプロセスの一部だ」

    フェラーリのチーム代表フレデリック・バスールも言及した。

    「まず、現時点で明確な決定はない。2日後にはエンジンをメルボルンへ送らなければならない状況で、これは確かに難しい。しかし全体としてはシステムを信頼するしかない」

    また、マクラーレンのザク・ブラウンは次のように語った。

    「最終的に、スポーツのガバナンスは非常に強固だ。すべてのテストを通過しているので心配はしていない。メルセデスがどんな素晴らしいエンジンを作ろうとも、それを我々のマシンの後方に積み、レースをするだけだ」

  • メルセデスF1燃料に懸念 ペトロナス承認はオーストラリアGPに間に合うか

    メルセデスF1燃料に懸念 ペトロナス承認はオーストラリアGPに間に合うか

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPを前に、メルセデス陣営に新たな懸念材料が浮上している。燃料サプライヤーであるペトロナスの2026年仕様燃料が、FIAの最終承認に間に合わない可能性があると報じられた。

    開幕まで3週間を切るなか、持続可能燃料への完全移行という大改革の影響が、早くもパワーユニット戦線に影を落としている。

    承認プロセス長期化で“暫定燃料”の可能性
    イタリアメディアは、バーレーンテストのパドック内で「ペトロナスは認証取得へ時間との戦いに直面している」との噂が広がっていると伝えた。

    仮にメルボルンまでに正式承認が完了しなかった場合でも、メルセデス勢8台の出走自体が脅かされることはないとみられる。ただし“暫定燃料”の使用を余儀なくされる可能性があり、その場合パフォーマンスへの影響は避けられない。

    2026年からF1は持続可能燃料を導入するが、プレシーズンテストでは最終仕様を使用していない。FIAは外部検査官を起用し、製造工程のすべてを監視しているため、今年は承認プロセスが大幅に長期化しているという。

    勢力図にも影響か 圧縮比問題も浮上
    メルセデスはバルセロナのシェイクダウン終了時点では2026年タイトルの最有力候補と目されていた。しかしその優位性は、急速に揺らぎつつある。

    今週のF1委員会では、メルセデスが用いているとされる燃料圧縮比の“トリック”が議題に上がる見通しだ。この手法は1周あたり複数コンマ秒の利益を生むと考えられており、禁止となればエンジン側の変更を迫られる可能性がある。

    燃料承認問題とレギュレーション解釈の不透明さが重なれば、メルセデスおよびカスタマーチーム(マクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌ)にとって、開幕戦は決して安泰とは言えない状況になる。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ 燃料

    各陣営も苦戦 燃料戦争は水面下で激化
    問題を抱えているのはペトロナスだけではない。昨年末には、フェラーリ陣営のシェルが2026年仕様燃料で誤りを犯したとの報道もあった。また、アストンマーティンと組むアラムコについても、経験不足を懸念する声がある。

    レッドブル・パワートレインズはエクソンモービルと提携し、アウディはカストロールと協業。巨大石油化学企業同士の競争も、2026年F1の新たな戦場となっている。

    タイトルパートナーでもある燃料企業への公的批判は、チーム代表にとって容易ではない。だが、持続可能燃料という新時代の中で、エンジン開発と並ぶ“見えない勝負”がすでに始まっているのは間違いない。

    オーストラリアGPのグリッドに並ぶその瞬間まで、燃料を巡る時間との戦いは続く。

  • メルセデスF1 バーレーンテストで信頼性課題 それでもW17に光明

    メルセデスF1 バーレーンテストで信頼性課題 それでもW17に光明

    メルセデスは2026年F1プレシーズンテスト最初の3日間を終え、最終日は改善の兆しを見せたものの、全体としてはフラストレーションの残る一週間となった。信頼性トラブルにより走行時間を失い、十分なプログラム消化には至らなかったが、パフォーマンス面では一定の手応えも得ている。

    アンドレア・キミ・アントネッリは走行が制限される中で週最速タイムを記録し、ジョージ・ラッセルも安定したロングランを実施。

    W17の基本的なポテンシャルは示された一方で、運用ウインドウの狭さと信頼性の改善が急務であることも明確となった。

    「チームとして厳しいテストだった。特に僕にとってはそうだった」とアンドレア・キミ・アントネッリは語った。

    「信頼性の問題がいくつか発生し、最初の2日間で30周強しか走れなかった」

    「今日はようやくバーレーンで本当にマシンを理解することができた初めての午後だった。タイムアタックの作業を進め、ほぼレースシミュレーションも完了できた」

    「フラストレーションの残る一週間だったが、レースウイークに問題が出るよりは今出た方がいい。チームはすでに解決策に取り組んでおり、来週はより強い状態で戻ってきたい」

    ラッセルはトラブルなく午前を走り切り、半日で約80周を重ねた。とはいえ、3日間合計ではメルセデスは下位グループの走行距離にとどまっている。

    「これまでの2日間よりはるかに生産的な一日だった」とジョージ・ラッセルは述べた。

    「失った走行時間を取り戻すことが重要だった。ショートランとハイフューエルランの両方に取り組み、午前の最後にはレース距離シミュレーションも実施できた」

    「信頼性の問題に苦しんだ一週間だったし、パフォーマンスもまだ理想には達していない。ただ今日はマシンバランスが改善し、ペースも妥当なレベルだった」

    「バルセロナよりもライバル勢が強く見えるのは明らかだ。我々にはやるべきことがある」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    トラックサイド・エンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンも、ガレージ滞在時間の長さを認めた。

    「今日がこのテストで最も良い一日だったが、それでも望んでいた以上にガレージで過ごす時間が長かった」

    「初回テストで目標は達成できず、多くの作業を来週に持ち越すことになった。フラストレーションはあるが、シーズン開幕前に課題へ正面から向き合うことが重要だ」

    パフォーマンス面については一定の前進を認めている。

    「ペースに関しては確かな進歩があった。ただしバーレーンではバルセロナに比べ、W17を最適な作動ウインドウに保つのが難しかった」

    「来週に向けたベースは整っているが、よりスムーズなテストをこなしたライバル勢の方が現時点では有利な立場にある。我々はその差を縮めなければならない」

    信頼性という明確な課題を抱えながらも、純粋な速さそのものは悲観的な状況ではない。バーレーンで露呈した弱点をどこまで修正できるかが、メルボルンでの勢力図を左右することになりそうだ。