タグ: マクラーレン

  • マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレンは、2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間レースに投入するFIAハイパーカー「MCL-HY」を発表した。2026年に本格的なテストプログラムを開始し、冬のホモロゲーション取得を経て、2027年のWECデビューを目指す。

    MCL-HYは、マクラーレンがF1、インディカーに続き、世界最高峰の耐久レースへ再び挑むためのマシンとなる。

    同時に、VIP顧客向けの超限定トラックカー「MCL-HY GTR」のベースにもなり、マクラーレンのレース活動と市販車部門を結ぶ象徴的なプロジェクトとして位置づけられている。

    ル・マン復帰を告げるMCL-HY
    マクラーレンが発表したMCL-HYは、ACO/IMSAのLMDhレギュレーションに基づいて開発されるFIAハイパーカーだ。軽量カーボンファイバー製モノコックを採用し、パワーユニットにはツインターボV6レーシングエンジンとハイブリッドMGUシステムを組み合わせる。

    最高出力は最大520kW(707PS)で、駆動はリアアクスルに伝えられる。最低重量は1,030kgとされ、FIA世界耐久選手権とル・マン24時間レースで求められる性能と効率の両立を狙って開発されている。

    2026年のテストプログラムでは、マクラーレン・ハイパーカー・チームのワークスドライバーであるミケル・イェンセンに加え、マクラーレン・ドライバー・デベロップメント・プログラムのグレゴワール・ソーシーとリチャード・フェルシュホーが参加する。さらに、ユナイテッド・オートスポーツのベン・ハンリーも開発経験をチームにもたらす。

    マクラーレン MCL-HY

    M6Aに着想を得たテストカラー
    発表されたMCL-HYは、2026年用のテストリバリーをまとって公開された。そのデザインは、ブルース・マクラーレンがかつてル・マン参戦を夢見たM6GTの源流にあたるマクラーレンM6Aから着想を得ている。

    マクラーレンにとってスポーツカーレースは、1960年代後半から1970年代前半のCan-Amでの支配的な活躍、そして1995年ル・マン24時間レースでのマクラーレンF1 GTRによる伝説的勝利に連なる重要な歴史だ。

    今回のMCL-HYは、その系譜を受け継ぐだけでなく、マクラーレンが再びモナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースから成るモータースポーツのトリプルクラウンに挑むための新たな一歩となる。

    ハイブリッドを外した顧客向けMCL-HY GTR
    MCL-HYをベースにしたトラックカー仕様のMCL-HY GTRも、レースカーと並行して開発されている。こちらはFIAハイパーカーで義務づけられるLMDhハイブリッドシステムを搭載せず、2.9リッターV6ツインターボ・レーシングエンジンのみで駆動する。

    これにより乾燥重量を抑えつつ、出力は約730PSに達する。マクラーレンはこの仕様について、顧客がより純粋なトラック走行体験を得られるよう、複雑さを減らし、所有しやすさを重視した選択だとしている。

    MCL-HY GTRのオーナーには、単なる車両所有を超えたプログラムも用意される。Project: Enduranceでは、WEC参戦チームのテストと開発、そして2027年ル・マン24時間レースへ向かう過程に参加できる。

    さらに、2年間で6イベントのトラック走行プログラムも組み込まれ、主要国際サーキットでの走行、PURE McLarenイベントでのドライブ、プロドライバーによるコーチング、専属ピットクルー、レースエンジニアリングサポートが提供される。MCL-HY GTRの納車は2027年末に開始される予定だ。

    マクラーレン ル・マン24時間レース

    ザク・ブラウン「3つの世界最高峰シリーズに挑む」
    マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、MCL-HYの発表について次のように語った。

    「何年も、何か月もかけて準備してきて、ついにMCL-HYを世界に披露するところまで来た。マクラーレン・レーシングには今、世界最大級のモータースポーツシリーズに挑む3台のレースカーがそろっている。F1、インディカー、そしてWECだ」

    「これは、マクラーレン、そのパートナー、そしてファンが、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースというトリプルクラウンにともに挑めることを意味している。我々を際立たせる、唯一無二のクロスシリーズの物語だ」

    マクラーレン・オートモーティブCEOのニック・コリンズは、顧客向けプログラムについて次のように述べた。

    「これはマクラーレンの歴史において非常にエキサイティングな瞬間であり、Project: Enduranceプログラムを通じてこの新たな旅を始められることをうれしく思っている。MCL-HY GTRは、トラック走行を愛する人々に、これまでにないほど身近なFIAハイパーカー体験を提供する」

    「この旅に参加する人々は、マクラーレンの最高の部分を見て、感じることになる。そして、我々のレーシングヘリテージがこれまで以上に未来を形づくっていることを知るはずだ」

    マクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブディレクターであり、マクラーレン・ハイパーカー・チーム代表を務めるジェームス・バークレーは、次のように語った。

    「MCL-HYの発表は、マクラーレンがスポーツカーレースの頂点へ戻る次章の幕開けを示すものだ。1960年代のCan-Amのルーツを反映し、敬意を払ったテストリバリーから、世界最高水準のチームによって設計・開発されている新しいハイブリッド搭載ハイパーカー、そして1995年のマクラーレンF1 GTRのように、我々の顧客をル・マン総合優勝を目指すマシンのドライビングシートへ戻すトラックカープログラムまで、すべてがつながっている」

    「これは、我々の旅の始まりを意味している」

  • オスカー・ピアストリ ハミルトンがF1王座を獲得したマクラーレンMP4/23で走行

    オスカー・ピアストリ ハミルトンがF1王座を獲得したマクラーレンMP4/23で走行

    2026年F1マイアミGPを前に、マクラーレンはファンイベントで歴史的マシンのデモ走行を実施し、オスカー・ピアストリがルイス・ハミルトンの2008年タイトル獲得マシン「MP4/23」をドライブした。中東での開催中止の影響で延期された“通算1000戦目”の節目を祝う形で行われた特別イベントだった。

    この体験は単なるデモ走行にとどまらず、現代F1との対比を浮き彫りにする機会ともなった。

    ピアストリはV8自然吸気時代のシンプルさと現在の複雑なハイブリッド時代の違いを実感し、現行レギュレーションや将来像についても率直な見解を示している。

    V8時代のマシンに「特別な感覚」
    ピアストリはマクラーレンのファンイベントで、ランド・ノリス、ミカ・ハッキネン、エマーソン・フィッティパルディとともに歴代マシンのデモ走行に参加した。

    「それはクールだった」とピアストリは語った。

    「昔のマシンを運転するのはいつだって楽しい。音はかなり特別だったし、もう少しシンプルで、その感覚自体がすごくいいものだった」

    「チームにとっても特別な日だったけど、自然吸気のV8をドライブできたのは良かった」

    現代F1との対比と“シンプルさ”への回帰
    この体験は、現在のF1に対する考えにも影響を与えている。木曜のFIA記者会見で現行レギュレーションについて問われたピアストリは、過去のマシンとの違いに言及した。

    「今でも自分はF1ドライバーだと言える。それはいつでもクールなことだ」

    「嫌いな点? ネガティブな部分はあまり思いつかない」

    「正直に言えば、昨日2008年のマシンに乗って、過去のクールなマシンを見たことで、そういう要素を将来に取り戻せたらすごくいいと思う」

    「プロダクトとしては、明らかに改善のための変更が行われていると思う」

    重量問題「本当の解決には50〜100kg必要」
    ピアストリは現代F1の大きな課題として車重の重さを改めて指摘した。2026年レギュレーションで約30kgの軽量化が予定されているが、それでは不十分だと語る。

    「昨日乗ったマシンの重量は分からないけど、大きな違いを出すには50kg以上、正直言えば100kgに近いくらいは必要だと思う」

    「マシンはまだとても重い」

    「600kg台に戻せれば良いと思う」

    「500kg台やそれに近いところに戻ることはないだろう」

    「そこに到達する唯一の方法はバッテリーを外してエンジンをシンプルにすることだと思うけど、必ずしもそこまでやる必要はないと思う」


    レギュレーション変更は「正しい方向だが表面的」
    FIAがマイアミに向けて導入した調整については前向きに評価しつつも、根本的な解決には至らないとの見方を示した。

    「協力体制は良いし、変更を試みているのは正しい方向への一歩だと思う」

    「パワーユニットのハードウェアを変えない限り問題は解決しない」

    「どれだけ効果があるかは見てみないと分からない」

    マクラーレンの現状とマイアミの見通し
    2026年シーズン序盤で苦戦が続くマクラーレンは、マイアミにアップデートを投入するが、ピアストリは慎重な見方を崩していない。

    「速くなっていることを期待している。それが計画だ」

    「でも今週末にメルセデスと戦えるほどではないと思う。ただ、正しい方向には進んでいる」

    スプリントフォーマットと天候の不確実性が重なる週末については、対応力が鍵になると強調した。

    「変化の多い週末になるだろうし、他よりもうまく適応することが重要になる」

    「それができれば、本来の位置より上でフィニッシュできるチャンスはあると思う」

  • マクラーレンF1が警鐘 2026年PUは限界 ハード変更議論が継続

    マクラーレンF1が警鐘 2026年PUは限界 ハード変更議論が継続

    2026年F1レギュレーションを巡る調整は、マイアミGPに向けた暫定的な修正にとどまらない可能性がある。FIAと各チームが合意したエネルギー管理の変更は一定の改善をもたらす見込みだが、より根本的な問題は依然として残されている。

    その中でマクラーレンは、現在の問題を完全に解決するにはパワーユニットそのもの、すなわちハードウェアに踏み込んだ変更が必要になるとの見解を示した。単なる運用調整では限界があるという認識が、すでにパドック内で共有されつつある。

    マイアミ向け修正は「対症療法」に近い
    今回の調整では、エネルギー回生量の削減やスーパークリッピングの350kWへの拡張によって、2026年型マシン特有の挙動が緩和される見込みだ。リフト・アンド・コーストは減少し、ストレート終盤での急激な失速も抑えられるとされている。

    実際のデータでも、短〜中距離の加速区間後のブレーキングでは、従来に近い速度推移へ戻る傾向が確認されている。ただし、長いストレートでは依然として最高速の落ち込みが残る可能性がある。

    シミュレーション上では一定の改善が見込まれているものの、その効果が明確になるのはマイアミおよびモントリオール以降とされている。

    ステラ「根本解決にはハードウェア変更が必要」
    アンドレア・ステラは、より大きな改善にはハード面の変更が不可欠だと指摘した。

    「もしFIAが完全に自由にパワーユニットを使うことを許した場合、現実的にはチームはラップタイムを最大化する方向で使うことになる」

    「しかしラップタイムの最適化は、自然なドライビングや予選でのフルプッシュ、あるいはレース中の速度差といった要素を必ずしも考慮しない」

    「今回のような調整は、ドライバーがフルプッシュできる状態を作り、レース中の速度差を減らすために必要だ」

    「より本質的な改善、たとえばエネルギー不足の解消や、高速コーナーで減速が不足するような状況を改善するには、ハードウェアに手を入れる必要があるかもしれない」

    「例えばバッテリー容量の増加や、内燃エンジンの燃料流量を増やすことが考えられる」

    「ただし、こうした変更は1戦ごとに導入できるものではなく、シーズン単位でも難しい可能性がある」

    「それでも、より根本的に改善するための議論はすでに始まっている。規則として十分な余裕を持たせることで、ショーとしての魅力と、ドライバーが限界まで攻められる環境の両立を図る必要がある」

    マクラーレン

    残る“エネルギー制約”とF1の本質
    パフォーマンスディレクターのマーク・テンプルも、新世代PUにおける「エネルギー制約」は完全には消えないとの見方を示した。

    「新しいパワーユニットでは、エネルギーをどこで使うかを考える必要がある状況は残る。『エネルギー不足』という言い方は強すぎるかもしれないが、効率的に使う必要があるフォーミュラであることは確かだ」

    「以前のようにパワーユニットを気にせず走ることはできないが、それは過去に燃料管理が重要だった時代と大きくは変わらない」

    「ここ数年は燃料管理の影響が小さかっただけで、レースにおいて完全に無関係だったわけではない」

    「今回の変更によって、リフトして効率を落とし、再び加速するような直感に反する挙動は排除されるはずだ」

    「ただし、想定していなかった問題が出てくる可能性もあり、その場合は再評価が必要になる」

    今回の議論が示しているのは、2026年F1が単なる調整段階を超え、「設計思想そのもの」の見直しに入りつつあるという点だ。エネルギー配分というコンセプトは維持される一方で、そのバランスをどこに置くべきか──その答えは、すでに次の規則サイクルに向けて模索が始まっている。

  • マクラーレンF1 ランビアーゼの新役職を説明「長期起用を想定」

    マクラーレンF1 ランビアーゼの新役職を説明「長期起用を想定」

    マクラーレンは、2028年までに加入することが決まっているジャンピエロ・ランビアーゼについて、チーム内で長期的に重要な役割を担う存在になるとの見通しを示した。ザク・ブラウンは、ランビアーゼがレース運営部門で大きな役割を果たすとともに、将来にわたってチームに貢献できる人物だと評価している。

    マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアとして知られるランビアーゼは、将来的にマクラーレンの「ヘッド・オブ・レーシング」に就任する予定だ。

    ブラウンはその起用について、現在アンドレア・ステラが担っている広範な業務の一部を引き継ぐ狙いがあると説明し、同時にレッドブルの再建にも時間がかかるとの見方を示した。

    ランビアーゼの役割はステラの負担軽減
    マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、ジャンピエロ・ランビアーゼの加入について強い期待を口にした。

    「GPが我々に加わることを非常に楽しみにしている」とブラウンは語った。

    「CEOとしての私の仕事は、将来に向けて安定性と見通しを確保することだ。我々には成長の余地を持った非常に才能ある人材がたくさんいると思っている」

    ブラウンは、アンドレア・ステラが現在チーム内で極めて多くの役割を担っていることを強調した。

    「レース運営の面では、実際のところアンドレアは3つの仕事をしている。我々は時々、彼が2つの仕事をしていると話すが、実際には3つだ。彼はチーム代表であり、レースチームを率いていて、さらにテクニカルディレクター的な立場でも大きな役割を果たしている」

    「アンドレアはそれらをまとめる接着剤のような存在だ。今では多くのチームでCEOとチーム代表がいて、チーム代表の役割自体も進化している」

    「これらのチームは非常に大きい。そうした役割すべてで優れた存在になろうとするなら、アンドレアは2つの仕事をこなす能力は十分にあると思うが、3つを担わせるのは負担が大きい」

    そのうえでブラウンは、ランビアーゼがその部分で大きな役割を果たすと説明した。

    「だからこそ、GPはそこに入ってきて大きな役割を果たすことになると思う。そして私の仕事は、常にその先を見据え、このスポーツの中で誰が役割を担い、成長していけるかを見極めることだ」

    「GPの経験と年齢を考えれば、彼はマクラーレンで長くやっていける人材であり、成長していける人物だと思っている」

    ブラウンはレッドブル軽視を否定
    ブラウンは一方で、ランビアーゼの離脱がレッドブルの衰退を示すものだと単純に見るべきではないとも語った。ここ数年でレッドブルからはクリスチャン・ホーナー、エイドリアン・ニューウェイ、ロブ・マーシャル、ジョナサン・ウィートリーらが去っているが、それでも簡単に見限るべきではないという立場だ。

    「レッドブルを見限るのは非常に愚かなことだと思う」とブラウンは述べた。

    「同時に、アウディも非常にいい仕事をしていると思う。だから他のチームがすぐにグリッドを上がってくると考えないのも愚かなことだと思う」

    「状況は時間とともに広がるのではなく、むしろ収束していくはずだ。そしてこのスポーツがどれほど早く変化するか、また人やチームがどれほど早く競争力を持ち、時には失うかも我々は見てきた」

    ブラウンは、現在のレッドブルには立て直しの局面があるとの認識も示した。

    「彼らは少しリセットをしなければならない状況だと思う。多くの人材を失った。クリスチャン、ウィートリー、いずれはGP、ニューウェイ、ダン・ファローズもそうだ」

    「彼らのピットウォールの大半は変わった。私はローレン・メキースを高く評価しているし、とてもいい仕事をしていると思う。彼は技術的な理解があり、若く、失った人材を補い、チームを再構築していかなければならない立場にある。そして彼ならそれができると私は確信している」

    「マクラーレンも同じように、非常に大きな才能を持ちながら、それを解き放つ必要があった。おそらくレッドブルも同じだ。彼らはそれほど昔ではない時期まで圧倒的だった。だから内部には多くの才能がある。ただ、それをもう一度正しい方向に向け直す必要があるのだと思う」

    マクラーレンが見据える長期体制
    今回の発言から見えてくるのは、マクラーレンがランビアーゼを単なる補強ではなく、将来の体制づくりを支える中核人材として迎え入れようとしていることだ。ブラウンは、ステラに集中している役割を整理しながら、長期的な安定性を確保する狙いを明確に打ち出した。

    一方で、ブラウンはレッドブルについても依然として高く評価しており、人材流出だけで直ちに競争力低下と結びつける見方には慎重だった。ランビアーゼの移籍はマクラーレンにとって将来への布石であると同時に、レッドブルにとっては再編の過程を象徴する動きとして受け止められそうだ。

  • マクラーレンF1 マイアミGPで“完全新車”投入 カナダでも「MCL40は別物に」

    マクラーレンF1 マイアミGPで“完全新車”投入 カナダでも「MCL40は別物に」

    マクラーレンは、2026年F1シーズンの流れを変えるため、マイアミGPとカナダGPにかけてMCL40に大規模アップグレードを投入する。チーム代表のアンドレア・ステラは、北米2戦で「完全に新しいマシン」と呼べる仕様になると説明した。

    開幕からメルセデスに先行を許しているマクラーレンだが、日本GPではオスカー・ピアストリが優勝争いに加わり、キミ・アントネッリに次ぐ2位を獲得した。

    バーレーンGPとサウジアラビアGPが開催されなかったことで生じた5週間の中断期間を使い、チームは2026年F1レギュレーション下で大きな開発余地を持つ空力パッケージの改良に集中してきた。

    北米2戦で投入される「完全に新しいMCL40」
    ディフェンディングチャンピオンであるマクラーレンは、2025年シーズン終盤までドライバーズ選手権争いに巻き込まれた影響もあり、2026年型マシンの開発初期段階では出遅れた。さらに、長年のサプライヤーであるメルセデスの新型パワーユニットを理解する必要もあり、シーズン序盤は苦しい立ち上がりとなった。

    中国GPではランド・ノリスとオスカー・ピアストリのいずれも決勝をスタートできず、チームにとっては厳しい現実を突きつけられた。しかし、日本GPでは全体パッケージへの理解が進み、ピアストリが優勝争いに絡むまで競争力を引き上げた。

    「我々の意図としては、北米のレースに向けて、特に空力アップグレードの観点から、完全に新しいマシンを投入するという考えは常にあった。だから、この計画を維持することができた」と、ステラはウォーキングにあるチーム本拠地でのメディアデーで語った。

    「もちろん、カレンダーが変更されたことは少し助けになった。他のすべてのチームにとっても同じだと思うが、レースで忙しくするよりも、より流れを整えてマシンのアップグレードに取り組むことができた」

    「ただ、全体として言えば、マイアミとカナダを通じて、完全に新しいMCL40を見ることになる。改めて強調したいのは、これは我々の競争相手の多くにも期待されることだという点だ。だから、必ずしも勢力図が変わるということではなく、同じ時間枠の中で誰がより多くのパフォーマンスを加えられたかを確認することになる」

    マクラーレン F1 マイアミグランプリで大幅アップグレード

    メルセデスとの差を縮めるための開発競争
    マクラーレンは現在、チームズ選手権で首位メルセデスから89ポイント差の3位につけている。ステラは、メルセデスとの差を認めつつ、フェラーリに対してもまだ回復すべき部分があると語った。

    「メルセデスを見ると、我々には取り戻すべきパフォーマンスがある。ある程度はフェラーリに対してもそうだ。ただ、裏側で進めてこられた開発についてはかなり満足している」

    「日本での最後のレースはすでにまずまず競争力のあるパフォーマンスだったことを考えると、マイアミ、そしてカナダでは、もう少し競争力のあるMCL40を見ることができるはずだ。だから、次のレースを間違いなく楽しみにしている」

    HPPとの連携改善でパワーユニット理解も前進
    マクラーレンは、新しい2026年型パワーユニットへの理解でも前進している。ステラは、メルセデスのハイパフォーマンス・パワートレインズ(HPP)との連携、そしてシミュレーションツールの共同開発が、開幕戦オーストラリア時点から大きく改善したと説明した。

    「HPPとの協力という意味でも、HPPと一緒にシミュレーションツールを開発するという意味でも、オーストラリアでの状況と比べて大きな前進を遂げた。だから、チームとして我々は今、はるかに準備が整っていると思う」

    「シーズン序盤には、カスタマーチームであることの自然な結果として、赤字が存在していた可能性がある。プログラミングが非常に押し込まれていたからで、パワーユニットの観点からもそうだった。それは問題なかったし、我々としても受け入れる準備ができていた。そしてHPPとともに非常に建設的に処理した」

    「だが、シーズンが進んだ今、このギャップは埋められたと思う。我々は、パワーユニットから最大限を引き出すために必要なすべてのツールを持っているはずだ」

    マクラーレンにとって、マイアミGPとカナダGPは単なるアップデート投入の場ではなく、MCL40が2026年F1の開発競争に本格的に加わる転機となる。メルセデスとの差をどこまで縮められるかは、北米2戦で投入される新仕様の完成度にかかっている。

  • マクラーレン WEC復帰ハイパーカー「MCL-HY」と命名 2027年ル・マン挑戦へ

    マクラーレン WEC復帰ハイパーカー「MCL-HY」と命名 2027年ル・マン挑戦へ

    マクラーレン・レーシングは、2027年からFIA世界耐久選手権(WEC)とル・マン24時間レースの総合優勝争いに復帰するハイパーカーの名称を「MCL-HY」と発表した。

    同時に、サーキット専用車「MCL-HY GTR」と、マクラーレンのスポーツカーレース最高峰復帰に特別アクセスできるトラックデイプログラム「Project: Endurance」も明らかにされた。

    F1由来の命名規則をハイパーカーにも採用
    MCL-HYは、マクラーレン・レーシングがF1で使用してきた「MCL」の接頭辞に、ハイパーカーを示す「HY」を組み合わせた名称となる。

    これは、マクラーレンがモータースポーツ最高峰カテゴリーで統一されたブランドアイデンティティを打ち出す狙いを持つものだ。

    MCL-HY GTRはル・マン制覇の系譜を継承
    サーキット専用仕様となるMCL-HY GTRについて、マクラーレン・オートモーティブは歴史ある名称を採用した。

    「MCL-HY GTRは、1995年にル・マンで総合優勝を果たしたマクラーレンF1 GTRから始まり、その後のマクラーレンP1 GTR、マクラーレン・セナGTRへと続いた系譜を誇りを持って受け継ぐものだ」とマクラーレン・オートモーティブのチーフ・コマーシャル・オフィサー、ヘンリック・ウィルヘルムスマイヤーは述べた。

    「このバッジは、マクラーレンを定義する瞬間を意味している。MCL-HY GTRによって、我々は最も焦点を絞り、本物で、妥協のないトラックカーの次章を書いている」

    5月4日に2027年型レースカーを正式公開
    今回の発表は、2027年型レースカーとそのサーキット専用仕様の正式公開に先立つものだ。両車はマクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブの緊密な協力によって開発されている。

    「マクラーレンの名をスポーツカーレースの頂点へ戻すことは大きな節目であり、マクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブの全員にとって、素晴らしい系譜を持つマクラーレンのレーシングカーに続く新しいハイパーカーの名称を共有できるのは誇らしい時だ」とマクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブディレクター、ジェームス・バークレーは語った。

    「我々はスポーツカーレースの黄金時代にあり、ハイパーカーカテゴリーは引き続き非常に成功している。そして、我々の新しい車名はそれに敬意を示すものだ。我々の開発車両MCL-HYは、最初のロールアウトに先立ち、非常にクールなテストカラーリングで公開される」

    マクラーレンは、1995年にF1 GTRでル・マン24時間レースを制した歴史を持つ。MCL-HYという名称は、その伝統を継承しながら、F1、WEC、ル・マンを横断する現代のマクラーレン・モータースポーツ戦略を象徴するものとなる。

  • マクラーレンF1 11歳ハリー・ウィリアムズと育成契約 ハミルトン超え最年少

    マクラーレンF1 11歳ハリー・ウィリアムズと育成契約 ハミルトン超え最年少

    マクラーレンは、英国のカート有望株ハリー・ウィリアムズをドライバー育成プログラムに加えた。11歳のウィリアムズは、1998年に13歳でマクラーレンのジュニア部門に加入したルイス・ハミルトンよりも2歳若く、同チーム史上最年少の育成ドライバーとなった。

    ルイス・ハミルトンは2007年に22歳でF1デビューし、翌2008年にマクラーレンで自身初のワールドチャンピオンを獲得した。マクラーレンの若手育成プログラムから生まれた最も成功したドライバーであり、ウィリアムズはその系譜に続く存在として注目される。

    11歳のハリー・ウィリアムズがマクラーレン育成入り
    チェシャー出身のハリー・ウィリアムズは、今回の加入について次のようにコメントした。

    「マクラーレン・ドライバー育成プログラムに参加できることに本当に興奮しています」とウィリアムズは語った。

    「彼らは才能を育てることで知られているので、カートで成長を続け、将来的にシングルシーター・レーシングへ進んでいく中で、このチームに加われるのは素晴らしいことだと思います」

    「チームから学べることを楽しみにしていますし、このエキサイティングな機会を与えていただいたことに感謝しています」

    ウィリアムズは2021年にスーパー・ワン・シリーズでカートを始め、2022年にカデットカテゴリーへ昇格した。その後フュージョン・モータースポーツと契約し、2023年には国内外の選手権に参戦した。

    2024年には英国IAMEインター・ウォータースウィフト部門で選手権トップ10に入り、国際カートシーンでの活動も継続。2025年にはブリティッシュ・オープン王者となり、イタリア・ウォータースウィフト・シリーズでOプレートを獲得し、ヨーロッパ・ウォータースウィフト選手権では5位に入った。

    マクラーレン F1

    ハミルトンとノリスに続く存在へ
    ジュニアクラスへ転向したウィリアムズは、OKN-JのSKファイナルカップでいきなり3位に入り、早くも存在感を示した。2026年はここまでOKジュニアカテゴリーのWSKスーパー・マスター・シリーズに参戦している。

    今後は同じカテゴリーで、WSKユーロ・シリーズ、チャンピオンズ・オブ・ザ・フューチャー・シリーズ、FIAカート選手権にも出場する予定だ。

    マクラーレンのチーフ・ビジネス・アフェアーズ・オフィサーであるアレッサンドロ・アルンニ・ブラービは、ウィリアムズの加入について次のように述べた。

    「ハリーをマクラーレン・ドライバー育成プログラムに迎え入れることができ、とても嬉しく思っている」

    「ハリーは素晴らしいカート選手であり、これまで国内外の舞台で印象的な走りを見せてきた。今後、マクラーレンのドライバーとしてどのように成長していくのかを見るのを楽しみにしている」

    「我々の目標は、F1、インディカー、世界耐久選手権のレースプログラムへと長年にわたってつながる一貫したパイプラインを構築することだ。才能ある若いカート選手であるハリーを加えることは、その姿勢を示している」

  • マクラーレンF1 低迷の理由は2つ ステラが明かす「ダークサイド」の正体

    マクラーレンF1 低迷の理由は2つ ステラが明かす「ダークサイド」の正体

    マクラーレンF1のアンドレア・ステラは、2026年シーズン序盤の苦戦について、その背景にある「2つの要因」を明かした。コンストラクターズランキングでは開幕3戦を終えて3位(46ポイント)につけるが、オスカー・ピアストリが日本GPで2位表彰台を獲得するまで、厳しいスタートを強いられていた。

    特に序盤は信頼性トラブルが響き、開幕2戦で3度のDNS(スタート不能)を記録。ランド・ノリスとピアストリの両車がパワーユニットの電気系トラブルによりスタートすら切れない状況が続いた。

    マシンパフォーマンスでもメルセデスやフェラーリに後れを取っていたが、鈴鹿でのピアストリの走りはその流れを変える兆しとなった。

    ステラが明かした“2つの遅れ”の正体
    ステラは開幕の遅れについて、まずパワーユニット運用の難しさを挙げた。

    「シーズン序盤は主に2つの理由で課題に直面した。ひとつ目は、パワーユニットが持つポテンシャルを最大限に引き出す方法を理解するのに、想定より時間がかかったことだ」

    「さらにこの領域でいくつかの信頼性問題にも直面し、それが結果だけでなく、学習プロセスのスピードにも大きな影響を与えた」

    もうひとつの要因は、2025年タイトル争いの“余波”とマシン設計方針だった。

    「2つ目は、MCL40の設計フェーズが2025年シーズン最終戦までタイトル争いを続けた影響を受けたこと、そして設計アプローチの違いだ」

    「我々は、シーズン序盤の仕様を将来的な開発にとって健全なプラットフォームにすることを重視した。2026年の新レギュレーションでは、まだ長い開発余地が残されているからだ」

    アンドレア・ステラ(マクラーレン)

    “ダークサイド”の中に見えた光
    ステラは現在の状況を「ダークサイド」と表現しつつも、チームの内部にはポジティブな要素が多く存在すると強調した。

    「もしこれが“ダーク”な側面だとすれば、“明るい”要素も多くある。まず、チームとドライバーが示している姿勢だ。2025年に両タイトルを獲得したときと同様の結束力がある」

    「我々は困難に対して、チーム内だけでなくメルセデスHPPとのパートナーシップにおいても、団結して対応してきた」

    さらに、鈴鹿での結果と開発の進展にも手応えを感じている。

    「鈴鹿では進歩の最初の兆しが見えた。オスカーの2位によって今季初表彰台を獲得した」

    「その裏で、マシンの開発スピードも非常に有望に見えている」

    巻き返しの鍵は“信頼性と最適化”
    現時点でマクラーレンは、依然としてメルセデスやフェラーリに対して後手に回っているが、ステラは悲観的ではない。

    「まだ信頼性の改善とパフォーマンスの最適化に取り組む必要はあるが、正しい方向に一歩踏み出したと考えている」

    序盤の停滞は、パワーユニット運用の習熟遅れと、前年タイトル争いの影響を受けた開発戦略という“構造的な理由”によるものだった。

    その一方で、鈴鹿で見えた競争力と開発の伸びしろは、マクラーレンがシーズン後半に巻き返す可能性を十分に示している。

  • マクラーレンF1 ランビアーゼ招聘で自信「最良の素材が揃ったケーキの仕上げ」

    マクラーレンF1 ランビアーゼ招聘で自信「最良の素材が揃ったケーキの仕上げ」

    マクラーレンF1代表のアンドレア・ステラは、レッドブルからジャンピエロ・ランビアーゼを引き抜いたことについて、チームがいまF1で「トップ人材が集まる場所」になっている証だとの認識を示した。

    マックス・フェルスタッペンの長年のレースエンジニアとして知られるランビアーゼは、2028年までにマクラーレンへ加入し、チーフ・レーシング・オフィサーに就任する予定だ。ステラはこの補強を、すでに強固な組織基盤を築いたマクラーレンにとって、さらなる上積みになると位置づけている。

    ランビアーゼ招聘はマクラーレンの求心力の証明
    マクラーレンは先週、ジャンピエロ・ランビアーゼがレッドブルを離れ、チーフ・レーシング・オフィサーとして加入すると発表した。開始時期は遅くとも2028年までとされている。

    ランビアーゼにはアストンマーティンからの関心も報じられており、獲得競争は容易ではなかった。それでもマクラーレンがこの人事を実現できた背景について、ステラは近年のチームの上昇基調が大きいと説明した。

    マクラーレンは2024年と2025年にコンストラクターズタイトルを連覇し、さらにランド・ノリスが2025年にドライバーズタイトルを獲得した。ステラは、こうした結果に加え、組織文化そのものが外部から高く評価されていることが、ランビアーゼの決断につながったとみている。

    ステラ「最良の素材が揃ったケーキの仕上げだ」
    ステラはマクラーレンの公式サイトで、ランビアーゼ加入の意義について次のように語った。

    「ジャンピエロの加入は、長期的に見てチームに非常に大きな専門性とポテンシャルをもたらしてくれる」

    「同時にこれは、マクラーレンがF1で最高の人材にとって、いかに魅力的な存在になったかをさらに裏づけるものでもある」

    「我々が得たこの信頼は、ここ数年にわたってマクラーレンで働いてきたすべての人々の努力の結果だ。人が成長し、健全で前向きな環境のなかで共通の目標に貢献できる文化を築いてきた」

    「コース上での結果、そして外部から正しく認識されているチームの ethos に加えて、そうした要素がジャンピエロの加入決断につながったのだと確信している」

    「ジャンピエロの加入は、すでに必要な材料がすべて揃っているケーキの上に載る、まさに仕上げのアイシングのようなものだ」

    ステラの兼務負担を軽減する狙いも
    ランビアーゼの加入は、ステラ自身の業務負担を軽くする意味合いも持つ。現在のステラはチーム代表を務める一方で、レースオペレーションの監督も兼ねている。

    ステラは、ランビアーゼがその一部を担うことで、長期的な組織運営の安定につながると説明した。

    「私にとって彼は重要な支えになる。彼はチーフ・レーシング・オフィサーの役割を担うことになるが、そのポジションは現在、チーム代表としての役割と並行して私が担っている」

    「ザクと私はこの3年間、リーダーシップと専門性の継続性を長期的に確保するために常に取り組んできた」

    「それは特に、レースチーム内のいくつかの重要な役職について当てはまる」

    「とりわけこの領域では、カレンダー拡大によって個人の負担や生活の質の面で大きな影響が出ている」

    ジャンピエロ・ランビアーゼ マクラーレン F1

    拡大するF1で求められる組織の再設計
    ステラは、現在のF1が20年以上前とはまったく異なる競技になっているとも強調した。トップチームの規模は倍以上に膨らみ、マクラーレン自身もこの3年間で従業員数が20%超増加したという。

    その上で、予算上限の制約に適合しながら勝利に必要なパフォーマンスを生み出すには、組織全体の構造をより持続可能なものにする必要があると述べた。

    「いまのF1は、私が20年以上前にこの仕事を始めた頃とはまったく違う」

    「トップチームの規模は2倍以上になった。我々の従業員数も、この3年間で20%以上増えている」

    「現在の我々は、予算上限の制約に適合し、成功に必要なレベルのパフォーマンスを発揮するという目標にかなう規模に達した」

    「チーム代表の役割も、より複雑になっている」

    さらにステラは、マクラーレンがフラットな組織構造を築いてきたことに触れ、各部門のリーダーに権限を持たせつつ、長期的な支援体制を整える重要性を説いた。

    「ザクと私は、すべてのリーダーが適切に権限を与えられることを重視したフラットなチーム構造を築いてきた。同時に、必要な長期的支援が常に保証されることも欠かせない」

    「言うまでもなく、この考え方のもとでは、私がいま担っている二つの役割を長期的に続けることは持続可能ではない」

    フェラーリ復帰説には笑顔で否定
    一方でステラは、自身のフェラーリ復帰説や、将来的にランビアーゼが後任になるのではないかという憶測についても否定した。

    最近は巨額年俸や“事前契約”をめぐる報道も取り沙汰されていたが、ステラはそうした話を冷静に受け止めている。

    「正直に言って、巨額の年俸や神話のような事前契約の話を含め、最近の噂のいくつかには笑ってしまった」

    「いつもは夏前に始まる“シリーシーズン”が、今年は少し早く来たようにも見える」

    「私はこうした類いの話にはもうかなり慣れているし、笑って受け止めている」

    マクラーレンは、ロブ・マーシャルやウィル・コートニーに続いて、またひとりレッドブルの重要人物を引き入れることになった。今回のランビアーゼ招聘は、単なる補強ではなく、マクラーレンがF1の人材市場においても主導権を握りつつあることを印象づける動きと言えそうだ。

  • アンドレア・ステラ フェラーリF1復帰説を一笑「毒入りビスケットは見分けられる」

    アンドレア・ステラ フェラーリF1復帰説を一笑「毒入りビスケットは見分けられる」

    マクラーレンF1のチーム代表アンドレア・ステラは、レッドブルからジャンピエロ・ランビアーゼを獲得した直後に浮上したフェラーリ復帰説を笑い飛ばした。

    マクラーレンは先週、マックス・フェルスタッペンの長年のレースエンジニアを務めてきたランビアーゼが、遅くとも2028年までにチーフ・レーシング・オフィサーとして加入すると発表している。

    この人事をきっかけに、ランビアーゼが将来的なチーム代表候補として迎えられ、ステラがフェラーリへ戻るのではないかとの憶測も広がった。だが、ステラ本人はそうした見方を否定し、マクラーレンの体制と文化への信頼を強調した。

    ランビアーゼ加入で広がったフェラーリ復帰説
    ジャンピエロ・ランビアーゼは、マクラーレンでチーフ・レーシング・オフィサーを務め、アンドレア・ステラに直接レポートする体制となる。報道の一部では、この人事が将来的なチーム代表交代を見据えた布石であり、ステラはフェラーリ復帰に向かうのではないかとの見方が出ていた。

    ステラは2000年から10年以上フェラーリに在籍し、ミハエル・シューマッハやキミ・ライコネンのタイトル獲得に関わったほか、後にはフェルナンド・アロンソのレースエンジニアも務めた。その後2015年にマクラーレンへ移籍した経歴を持つことから、今回の憶測には過去のキャリアも重ね合わされていた。

    一方で、マクラーレン側はランビアーゼ加入発表の当日に、ステラの役割に変更はなく、フェラーリ復帰の予定もないとしていた。また、ランビアーゼには将来的にチーム代表職が空いた際の後継候補という展望が示された可能性もあるとされたが、現時点でステラの立場が揺らいでいるわけではない。

    ステラ「神話的な事前契約は笑ってしまった」
    マクラーレン公式サイトのインタビューで、アンドレア・ステラは今回の報道について次のように語った。

    「正直に言って、天文学的な給与や神話的な事前契約に関するものを含め、ここ最近の噂のいくつかは笑ってしまった」

    「普通は夏前に始まる“シリーシーズン”が、今年は早く来たかのようにも見える」

    「こういう類いのことにはもうかなり慣れているし、笑顔で受け止めている」

    「まるで嫉妬した菓子職人が、マクラーレンのパティスリーで素晴らしいデザートを作る準備を台無しにしようとしたようにも見える」

    「ただ、我々は良い材料と毒入りビスケットを見分ける術をよく知っている」

    これは、ステラが2022年末にチーム代表へ就任して以降、マクラーレン内の健全な文化を語る際にたびたび用いてきた「毒入りビスケット」という比喩を踏まえたものだった。

    マクラーレンが示した現体制への信頼
    マクラーレンはランビアーゼ加入を発表した声明の中で、チーフ・レーシング・オフィサーという役職はすでにチーム構造の中に存在しており、レースチーム全体の統括を担うものだと説明した。

    そして、その職務は現在、チーム代表としての役割に加えてアンドレア・ステラが兼務していると明かしたうえで、ランビアーゼの加入はチームの人材層をさらに強化し、長期的に選手権を争う体制を支えるためのものだと位置づけた。

    さらにマクラーレンは、外部からトップ人材を引きつけて確保できること、そしてチーム内部の有能な人材を維持し昇格させられていることは、ザク・ブラウンとアンドレア・ステラのリーダーシップのもとで築かれた戦略的ビジョンと文化の表れだと強調した。あわせて、ザク・ブラウンとアンドレア・ステラの双方が長期契約下にあることも明示している。

    フェラーリ側はバスール続投を選択
    フェラーリでは、フレデリック・バスールが2025年にチームとして2021年以来の未勝利シーズンを経験したことでプレッシャーにさらされたとされる。

    それでもフェラーリは、昨年のハンガリーGP開幕直前にバスールとの新たな複数年契約を発表しており、現在のチーム代表体制を維持する判断を下している。

    今回の一連の憶測に対し、ステラは冗談を交えながら受け流したが、マクラーレンの公式説明も含めて見ると、現時点でフェラーリ復帰説を裏づける材料は乏しい。むしろ今回の発言は、ランビアーゼ加入後もチーム内の役割分担を整理しながら、ステラ体制を継続していくというマクラーレンの姿勢を示したものといえる。

    Source: PlanetF1 / McLaren