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  • なぜハミルトンのフェラーリF1初年度は苦戦したのか バスールが語る誤算

    なぜハミルトンのフェラーリF1初年度は苦戦したのか バスールが語る誤算

    ルイス・ハミルトンにとって、フェラーリでのデビューシーズンは決して満足のいくものではなかった。中国GPでのスプリント勝利は一時的な希望をもたらしたが、SF-25の開発が早期に打ち切られたこともあり、成績は次第に伸び悩んだ。結果として、7度のワールドチャンピオンはランキング6位でシーズンを終え、獲得ポイントは156点。チームメイトのシャルル・ルクレールに86点差をつけられる形となった。

    フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、F1公式サイトの取材に対し、「内部では多くの議論を行った」と明かしている。

    「ルイスとも話し合い、今季どこで正しい道から外れてしまったのかを理解しようとした。私自身、ルイスにとっての挑戦を過小評価していた。メルセデスからフェラーリへの移籍だ」

    ハミルトンは12年間在籍したメルセデスを離れ、フェラーリという新たな挑戦に踏み出した。それ以前も、彼は長年マクラーレン・メルセデスでキャリアを築いてきた。

    「彼は20年間、マクラーレン・メルセデス、あるいはメルセデスという環境にいた。その後にフェラーリへ移ったわけだが、ここでは本当にすべてが違う」とバスールは説明する。

    「天候や食事の話だけではない。周囲の人々、言語、ソフトウェアの名称、マシン部品の呼び方まで、すべてが異なる。だからこそ、何か一つでも取りこぼすと、完全に掌握できていない部分があれば、たとえばコンマ1秒を失うことになる。そして今のF1では、そのコンマ1秒がグリッドで5ポジションに相当する」

    その影響で、ハミルトンは予選で「頻繁に大きな問題を抱えているように見えた」とバスールは振り返る。

    「だが実際には、ほとんど差がなかっただけで、Q1敗退になってしまっていた。ブダペストのことは特によく覚えている。彼にとって非常に厳しい状況だったが、Q2に進めた途端、一気に上位に顔を出した。シャルルはコンマ1秒差でQ3に進み、その後ポールポジションを獲得した」

    ルイス・ハミルトン F1 スクーデリア・フェラーリ

    ルクレールがチームを前進させた
    一方で、ガレージの反対側では、より明るい光景も見られた。ルクレールはシーズン中に7回の表彰台を獲得している。

    「シャルルは本質的にチームと強く結びついていて、チームもまたシャルルと結びついている存在だ」とバスールは語る。

    「彼は今季、本当に素晴らしい仕事をした。困難な局面に直面したとき、チームを前に押し出したのは彼だった。なぜなら、彼は全員のことを完璧に理解していて、状況から最大限を引き出す方法を知っているからだ。正直に言って、彼は非常によくやってくれた」

    もっとも、ルクレールにとってもすべてが順調だったわけではない。

    「時には不運もあった。たとえばブラジルだ。あれは間違いなく厳しいレースだったし、その時点で我々はコンストラクターズランキング2位を失った可能性が高い」とバスールは述べている。

    「そういう場面では、ひとつの問題が18ポイントを失うだけでなく、同時にライバルにポイントを与えてしまう。それは我々にとって大きな打撃だった。とはいえ、全体として見れば、彼は非常に強いシーズンを戦った」

  • フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッド開発をAVLが支援

    フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッド開発をAVLが支援

    2026年F1レギュレーションに向け、フェラーリが進めている新型パワーユニット開発の一端が明らかになった。報道によれば、フェラーリは鋼製シリンダーヘッドという新たな技術的アプローチに取り組んでおり、その開発をオーストリアのエンジン技術専門企業であるAVLが支援しているという。

    電動比率の大幅な引き上げや持続可能燃料の全面導入など、2026年F1ではパワーユニット規則が根本から刷新される。フェラーリはこの転換期において、従来の常識にとらわれない技術選択を模索している。

    2026年から導入される新パワーユニットでは、1.6リッターV6ターボ・ハイブリッドが、電気エネルギーと内燃エンジン出力を50対50で分担する構成となる。電気エネルギーの比重は現在の約3倍に引き上げられ、シーズンを通じたエネルギーマネジメントがこれまで以上に重要な要素となる。

    また、内燃エンジンは100%持続可能燃料での運用が認められ、F1は2030年のカーボンニュートラル達成に向けて大きく舵を切る。こうした背景の中で、パワーユニットの効率、耐久性、そして重量配分は、各メーカーにとって極めて難しいバランスを求められることになる。

    新世代パワーユニットではドライバーの役割も拡大する。新たに導入されるオーバーテイクモードの使用判断に加え、1周を通じたバッテリー残量の管理がパフォーマンスに直結するため、マシン特性とドライビングの融合がより重要となる。

    こうした中でフェラーリが着目したのが、シリンダーヘッドの素材変更だとされている。Motorsport.Itによれば、フェラーリはアルミニウム製シリンダーヘッドと、新たに開発された鋼製シリンダーヘッドを並行してテストしてきたという。

    従来、シリンダーヘッドには軽量で加工性に優れるアルミニウムが最適と考えられてきた。しかし、2026年からパワーユニットの最低重量が150kgに引き上げられることで、素材選択における制約条件が変化した。

    フェラーリは、やや重量のある鋼製合金を採用することで、燃焼室内の圧力と温度をより高いレベルまで引き上げることが可能になると見ているとされる。これにより、点火過程における燃焼効率の向上が期待されている。

    一方で、2026年シーズンに使用できる内燃エンジンは最大4基までに制限されるため、耐久性は極めて重要な課題となる。鋼製シリンダーヘッドは高負荷条件に耐えやすい反面、長期使用における信頼性や重量配分への影響が懸念点として挙げられてきた。

    この課題に対応するため、フェラーリはハイブリッドエンジン分野で豊富な実績を持つAVLの知見を導入したと報じられている。AVLは量産車からモータースポーツまで幅広いエンジン開発に関わっており、特に熱管理や燃焼解析の分野で高い評価を受けている企業だ。

    Motorsport.Itは、ここ数カ月で技術的な進展があり、フェラーリが最終的に鋼製シリンダーヘッドに全面的に注力する決断を下したとも伝えている。これは、アルミニウム製ヘッドとの比較検証を経たうえで、性能面で明確な利点が見出されたことを示唆している。

    スクーデリア・フェラーリ

    2026年の勢力図を左右する技術的賭け
    フェラーリは2025年シーズンを1勝も挙げられないまま終え、過去7年間で3度目となる無勝利の年を経験した。この結果は、タイトル奪還を目指していたチームにとって大きな痛手となった。

    2025年から加入したルイス・ハミルトンにとっても厳しいシーズンとなり、グランプリで一度も表彰台に立てなかった。一方で、シャルル・ルクレールもSF-25の不安定さに苦しみ、安定したパフォーマンスを引き出すことができなかった。

    2026年の新レギュレーションは、こうした状況を一変させる可能性を秘めている。現在はメルセデスが最も有利な立場にあるとの見方もあるが、パワーユニット開発の成否次第で勢力図が大きく塗り替えられる可能性は否定できない。

    鋼製シリンダーヘッドという選択は、フェラーリにとって小さな改良ではなく、パワーユニット全体の思想に関わる大きな賭けと言える。AVLの支援を受けながら進められるこの開発が実を結ぶかどうかは、2026年シーズン序盤で明らかになることになりそうだ。

  • フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッドの真相と重心の問題

    フェラーリ 2026年F1エンジンの鋼製シリンダーヘッドの真相と重心の問題

    2026年F1に向けて、フェラーリのパワーユニットに「鋼(スチール)製シリンダーヘッド」を採用しているのではないか、という話題が広く取り沙汰されている。パフォーマンス最適化を狙った特異なソリューションとして注目されているが、FIAレギュレーションを読み解くと、確かに理論上は許容される。一方で、潜在的なメリットの裏には、車両力学の観点から無視できない重要な論点が存在する。それがパワーユニット全体の重心位置だ。

    2026年F1におけるV6ターボICEとシリンダーヘッドの役割
    まず前提として、近年出回っている噂を整理する必要がある。対象となっているのは、マラネロの技術陣が開発しているとされるフェラーリ製V6ターボICE(内燃エンジン)のシリンダーヘッド部分だ。シリンダーヘッドとは、シリンダーブロック上部を覆う構造部材であり、バルブ、スパークプラグ、インジェクターを収め、燃焼室そのものを形成する。

    燃焼と点火が行われる中枢であるため、シリンダーヘッドは熱的・機械的負荷が最も厳しい部位のひとつとなる。したがって、材質の選択はエンジン性能や信頼性に直結する極めて重要なテーマだ。

    FIAレギュレーションが認める素材の範囲
    2026年F1パワーユニット規則の「materials and construction – internal combustion engine」の項目では、ICEの素材について明確な規定が存在する。そこでは、シリンダーブロックおよびシリンダーヘッドについて、「アルミニウム合金または鉄合金で製造してよい」と定められている。

    つまり、鋼(鉄系合金)を用いたシリンダーヘッドは、少なくともレギュレーション上は禁止されていない。この点から見ても、フェラーリが鋼製ヘッドを検討、あるいは実際に採用していたとしても、規則違反にはならない。

    鋼製シリンダーヘッドがもたらす可能性のある利点
    2026年世代のF1パワーユニットでは、燃焼室内の最高圧力が従来よりも大きく高まると考えられている。この点は、フェラーリのエンジニアが鋼を選択する動機として十分に合理的だ。鋼はアルミニウム合金と比べて機械的強度が高く、高圧燃焼への耐性という観点では有利になる。

    もうひとつの理由として考えられるのが熱特性だ。鋼はアルミニウムよりも熱伝導率が低く、燃焼時の熱エネルギーが外部へ逃げにくい。その結果、燃焼効率の向上につながる可能性がある。これはICEの熱効率が重視される2026年レギュレーション下において、見逃せない要素だ。

    このような背景から、鋼製ヘッドは内燃機関全体の効率を高めるポテンシャルを持つ。ただし、F1では常にトレードオフが存在し、ひとつの利点は別の不利を生み出す可能性も併せ持つ。

    スクーデリア・フェラーリ フォーミュラ1エンジン 2026年のF1世界選手権

    避けて通れない重心上昇という代償
    最大の懸念点は、設計上の純粋な物理問題だ。鋼はアルミニウムよりも比重が大きく、たとえ重量増がわずかであっても、エンジン上部に質量が集中することになる。

    これはICE全体、ひいては車両全体の重心を引き上げる要因となる。F1マシンの設計において、重心高の上昇はハンドリングや車両挙動に直接悪影響を及ぼすため、各コンストラクターが最も避けたい要素のひとつだ。

    そのため、仮にフェラーリが鋼製シリンダーヘッドを実際に採用しているのであれば、重心上昇を相殺するために、他の部分で相当な工夫と最適化が施されているはずだ。

    真偽とエンジニアリングの核心
    現時点では、この鋼製シリンダーヘッドが事実であるかどうかを外部から断定するのは難しい。仮に事実であったとしても、その背後には、メリットを最大化しつつ、重心上昇というデメリットを最小限に抑える高度なエンジニアリングが存在するはずだ。

    フェラーリは2026年F1パワーユニットに強い自信を持っているとされており、内燃機関と電動システムの両面で、期待に応える性能を実現できると考えている。鋼製シリンダーヘッドの噂は、その自信の一端を示す象徴的なテーマと言えるかもしれない。

    なお、この技術的選択の最終的な評価は、実際に2026年F1シーズンが始まり、各メーカーの競争力が明らかになったときに初めて見えてくることになるだろう。

  • フェラーリ、2026年F1テストで“プロジェクト678”二段構えを準備

    フェラーリ、2026年F1テストで“プロジェクト678”二段構えを準備

    フェラーリは、2026年F1プレシーズンテストの進行に合わせ、新車「プロジェクト678」にBスペック仕様を導入する計画であることが明らかになった。

    フェラーリは2025年シーズンを未勝利で終えた。シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンの両ドライバーは、SF-25におけるライドハイトに関する根本的な欠陥に足を引っ張られた。

    2026年F1テストでBスペック投入を計画
    状況が決定的となったのは中国GP第2戦だった。ハミルトンはスプリントレース優勝から24時間後、スキッドブロックの過度な摩耗により失格処分を受けた。さらに上海では、ルクレールのマシンが最低重量を下回っていたことが判明し、こちらも失格となった。

    フェラーリは再発防止のため、より保守的なセットアップを採用し、プランク保護のためストレートでリフト&コーストを指示するなどの対策を講じた。しかし、その結果として2025年シーズンを通じてマシン本来のポテンシャルを引き出すことができなかった。

    2024年のタイトル争いではマクラーレンにわずか14ポイント差まで迫ったが、2025年はチャンピオンから435ポイント遅れのランキング4位に終わった。

    ルクレールはシーズンを通じて7度の表彰台獲得にとどまり、ハミルトンはキャリアで初めて1度もトップ3に入れないシーズンとなった。

    2026年F1レギュレーションとプロジェクト678
    2026年からF1はレギュレーションを大幅刷新し、電動化比率50%、完全持続可能燃料、アクティブエアロダイナミクスを導入する。

    2025年11月にPlanetF1.comが報じたように、フェラーリの2026年F1マシン「プロジェクト678」は、フロントおよびリアにプッシュロッド式サスペンションを採用すると見られている。

    このマシンは、2010年以来初めてリアにプッシュロッド式サスペンションを搭載するフェラーリF1シャシーとなる見込みで、レッドブルのRB22も前後ダブル・プッシュロッド構成になると予想されている。

    イタリアの報道によれば、プロジェクト678には「革命的」と評されるエンジンが搭載され、アルミニウム合金製シリンダーヘッドと「極秘の吸気システム」を備えるという。

    シャシーとパワーユニットの両方が同時に刷新される2026年F1規則は、各チームにとって極めて大きな技術的挑戦となる。このため、冬季テスト日程も拡大され、新時代への準備が後押しされる。

    フェラーリは2仕様体制でテストに臨む
    そして、フェラーリはテストにおいて、実質的に2種類のマシンを用意する戦略を採ることが判明した。

    まず初期仕様のプロジェクト678が、1月下旬にバルセロナで非公開開催されるF1テストに投入される。ここでは信頼性の確認を最優先とし、複雑化した新パワーユニットのパッケージングや電子系の機能検証に重点が置かれる。

    その後、2月11〜13日および2月18〜20日に行われるバーレーンでのテストでは、より完成度の高い仕様が登場する。新しいノーズコーンなどのアップグレードが導入され、焦点はパフォーマンスへと移る。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    フレデリック・バスールが語るテスト戦略
    フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは、このテスト計画を最近認め、他チームも同様の戦略を取ると予想した。

    「そうだと思う。皆がそうするだろう。

    この状況で最も重要なのは走行距離を稼ぐことだ。パフォーマンスを追い求めることではなく、マシンの技術的選択を検証するために走行距離を重ね、その後で性能を引き出すことだ。

    皆、バルセロナには“本命仕様”ではなく、Aスペックで来ると思う。

    ここ最近4〜5シーズンはテストが3日間しかなかったが、今回は9日間ある。これは利点である一方、プログラムはまったく異なる。

    この種のシーズンで最初に重視すべきなのは信頼性だ。

    10年、15年前を思い出してほしい。シーズン序盤はリタイアが非常に多かった。

    まずは走行距離を稼ぐ必要がある。

    また、2025年のように中国での失格処分によってシーズン序盤に迷走することは避けたい。

    あの時は走行距離も基準も失い、そこから追いかける展開になった。それは長いプロセスになる。

    バルセロナでの最初の焦点は、パフォーマンス以上に走行距離を稼ぎ、マシンの実態を理解し、どこを改善すべきか、どこに対応すべきかを把握することだ。

    なぜなら、バーレーンのテスト2回目までに何かを持ち込もうとすると、オーストラリアに向けて反応する時間がなくなるからだ。

    最初のターゲットは、プロモーションデーではなく、間違いなくバルセロナでの走行距離だ」

    1月23日に正式発表、フィオラノでシェイクダウンへ
    フェラーリは今月初め、プロジェクト678を1月23日(金)に正式発表すると発表した。これはバルセロナでの非公開テスト開始の3日前にあたる。

    フェラーリの新車発表は、同日にフィオラノ・サーキットでのシェイクダウン走行が行われるのが通例となっている。

  • フェラーリF1技術陣の思考を変えたロイック・セラの発想と2026年設計哲学

    フェラーリF1技術陣の思考を変えたロイック・セラの発想と2026年設計哲学

    フェラーリの2026年F1プロジェクトに関して、前向きな兆しが伝えられている。ロイック・セラは、プロジェクトにおいて「純粋なパワー」中心の発想から、「システム全体の効率」を重視する思考様式への転換を提案した。

    この方針は承認され、実際に技術陣によって新車の設計思想として実装されている。新たな規則体系に挑むうえで、あえて踏み込んだ決断だ。

    フェラーリがロイック・セラを信頼する理由
    ロイック・セラはスクーデリア・フェラーリのテクニカルディレクターだ。マラネロ加入当初、彼に想定されていた役割は現在とは異なっていた。実際、当時そのポストはフレデリック・バスールが暫定的に兼任していた。その後、他チームからトップクラスの技術者を引き抜く試みが実らず、フェラーリは方針転換を決断する。

    これが、加入から約1年2か月が経過した現在に至るロイック・セラの立ち位置だ。期待値と比べると、これまでの成果は必ずしも際立っていたとは言い切れない。ただし、問題の多かったSF-25は彼の統括下で生まれたマシンではなく、その点を踏まえれば、ナンシー出身のフランス人技術者に対する信頼が揺らいでいないのも当然だ。2025年シーズンにおいて、タイヤ関連の貢献が十分でなかったという評価があるにせよ、だ。

    タイヤ問題とセラの経歴が示すもの
    セラはミシュランで15年間勤務したのち、メルセデスに移籍し、ブラックリー拠点で車両ダイナミクス部門の中核を担った。そこでの評価は高く、専門性は疑いようがない。一方で、2025年型フェラーリはシーズンを通してタイヤマネジメントに苦しみ続けた。これは否定しようのない事実だ。

    そもそもフェラーリは、タイヤを適正な作動領域に入れ、それを維持する能力を欠いていた。状況を好転させるのは容易ではなく、しかも作業の大半は2026年型マシンに割かれていた。この点を踏まえると、新レギュレーションに向けてセラに託す判断は、理にかなっている。

    創造性を重視する2026年型フェラーリの技術姿勢
    近年の議論で明らかになっているように、フェラーリは2026年型マシンを設計するにあたり、いくつかの明確な軸を据えている。そのひとつが、タイヤコンパウンドを最大限に活用できる能力の確立だ。マシンが路面と接する唯一の要素であるタイヤを使い切ることは、不可欠な課題となる。

    この文脈で注目されるのが、フロントサスペンションの柔軟性に関する取り組みだ。動的キャンバーを積極的に扱うため、前輪サスペンションの特性に手が加えられている。キャンバー制御は、タイヤの挙動に応じてサスペンション全体を最適化し、グリップと安定性を高める鍵となる。

    セラは最近、レギュレーションの「グレーゾーン」を抜け道ではなく、創造性を発揮する機会だと語っている。ここで言う柔軟性は、カーボンファイバーの積層構造により、異方性を持たせることで実現される。

    この手法により、サスペンションアームはFIAの静的検査には適合しつつ、荷重方向が変わった際には制御された変形を示す。結果として、規則の枠内で性能を引き出す余地が生まれる。この発想こそが、2025年に欠けていた先見性だ。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    過去を断ち切り、2026年に備える論理
    失敗した技術的選択を忘れることは前進の条件だが、その経験は将来の修正点を教えてくれる。2025年に導入されたフロントのプルロッド化は、新たな設計思想への扉を開く試みだったが、結果的には機能しなかった。

    SF-25には他にも構造的欠陥があり、それが開発計画を破綻させた。だが2026年の規則はまったく異なる領域を提示している。重要なのは、初年度から大きな成長余地を持つ技術的ダイナミクスを正確に捉えることだ。

    2022年のF1-75は序盤戦で高い競争力を示したが、開発余地は限られていた。その反省を踏まえ、現在セラが率いる技術陣は、2026年規則初年度に向けた進化志向の設計論理を選択している。バスールも、新世代マシンの性能曲線は急峻になると繰り返し強調してきた。

    避けるべき失敗と他チームの成功例
    最後に重要なのは、創造性と現実の裏付けをどう両立させるかだ。大胆な発想は必要だが、事実に支えられていなければ逆効果になる。

    その好例がマクラーレンだ。ロブ・マーシャルは2024年からマクラーレンF1のテクニカルディレクターを務め、アンドレア・ステラ自身が認めるほど、チームの思考様式を一変させた。元レッドブル・レーシングのDNAを、リスク管理と開発手法の両面で持ち込んだ形だ。

    このアプローチは、2026年以降のフェラーリにも導入されると見られている。戦略的・運用的にリスクを特定し、評価し、管理・軽減する体制だ。マクラーレンやレッドブルと同じ水準でそれを実行できるかどうかが、ロイック・セラ率いるフェラーリの真価を決めることになる。

  • フェラーリは2026年F1マシンで変われるのか?プロジェクト678の核心

    フェラーリは2026年F1マシンで変われるのか?プロジェクト678の核心

    フェラーリは、失望に終わった2025年シーズンに別れを告ぎ、すでに2026年F1という次の戦いを見据えている。レギュレーション刷新という大きな転換点を前に、マラネロは新型マシン「プロジェクト678」に再起のすべてを託した。果たしてフェラーリは、この一台で本当に変わることができるのか。

    フェラーリが選んだ道は、無難さを排した攻撃的な設計思想だった。空力、サスペンション、タイヤマネジメント、そしてパワーユニットに至るまで、各分野で積み重ねられた技術的判断には明確な意図がある。

    失敗に終わった2025年と、避けられない再起への挑戦
    将来を見据えたとき、ひとつの問いが浮かぶ。跳ね馬は、長年自らを縛ってきた悪循環を断ち切ることができるのか。迫り来るレギュレーション変更は、確かに再起の好機だが、同時に容赦ない試金石でもある。新プロジェクトが誤った方向に進めば、再び不安定さに引き戻される危険性は現実的だ。

    チーム代表フレデリック・バスールの手腕は、いまだ完全な信頼を勝ち取れていない。ファンが待ち望んできた約束を、少なくとも現時点では十分に果たせていないからだ。勝利のサイクルを動かすには、経営面での安定が不可欠である。他チームが勝利を重ねる姿を眺め続けることは、1929年11月16日、エンツォ・フェラーリ率いるアルファロメオのレーシング部門として誕生したこのチームの本来の姿ではない。

    2025年の世界選手権は、チームの脆さを改めて露呈させた。問題を抱えたマシン、不適切なコミュニケーション、そしてサーキットに広がる失望。技術以前に、感情面での亀裂が大きかった。ルイス・ハミルトンは環境に適応できず、心理的にも肉体的にも深い落ち込みに陥った。一方、シャルル・ルクレールは懸命にチームを支えたが、理想と現実の乖離に対する失望がなかったわけではない。

    白紙から始まる2026年と、マラネロから聞こえる声
    新レギュレーションはゼロからの再出発を可能にする。白紙の状態で正しい設計を描ければ、期待に応えるプロジェクトを生み出すことは十分に可能だ。間もなく、フェラーリは最初のシェイクダウンを迎えるが、バルセロナでのテストは非公開となるため、実像が見えるのはバーレーンを待つ必要がある。では、その間にマラネロから何が伝わってきているのか。

    アウトウォッシュと動的キャンバー 回復を狙う空力と車体設計
    複数のF1技術者との意見交換から、車体形状が空力マネジメントにおいて極めて重要になるという認識が確認された。フロントウイングは空力作業の出発点として重要だが、実際に大きな仕事が集中するのはサイドポッド周辺だ。ここで将来のマシンに必要な渦構造を最適化することが鍵となる。

    フェラーリはこの領域に集中的に取り組み、車両全体の効率を最大化するための狙いを持ったコンセプトを練り上げてきた。このエリアは、FIA規則による空力的な制約を部分的に補うアウトウォッシュ効果を生み出す上で決定的だと見なされている。アンダーカット周辺も同様で、局所的な高圧を生み、流れを外側へと押し出す役割を担う。

    フロントサスペンションについても注目点がある。車両ダイナミクス部門は、上側ウィッシュボーンの最初のリンクに制御されたフレックスを持たせるコンセプトを綿密に研究してきた。これにより、サスペンション全体の剛性が状況に応じて変化し、特定の速度域でキャンバー回復量を動的に変化させることが狙いだ。

    こうしたパラメータ管理により、タイヤ挙動に応じたサスペンション制御が可能となり、特定条件下でのグリップと安定性を最適化できる。キャンバー角の設定は常に相反する要素の妥協点であり、剛性、異方性フレックス、変動荷重の管理が複雑に絡み合う。フェラーリは、この作業が実効性を示すことを期待している。

    スクーデリア・フェラーリロイック・セラ

    タイヤとパワーユニット 678の中核を成す二本柱
    マラネロが特に力を注いできた残るテーマは、タイヤとエンジンだ。近年のフェラーリは、コンパウンドを最大限に活かし切れない傾向が続いており、2026年に仕様が変わるタイヤをどう使いこなすかが、マシンの競争力を大きく左右する。

    技術責任者ロイック・セラは、この特性を新型マシンに必須の要件として強く押し出してきた。もうひとつの大きな柱がパワーユニットである。メルセデスが圧縮比で優位に立つ可能性は語られているものの、マラネロでは内燃機関とエネルギー回生を担うハイブリッドシステムの双方において、イタリア製ユニットへの強い自信があると伝えられている。

    最終的に、セラはプロジェクト678に対して極めて攻撃的なアプローチを選択した。無難な選択が良いマシンを生むことはあっても、勝てるマシンにはならない。勝利という言葉が深く刻まれたフェラーリにとって、進むべき道はこれしかなかったという判断だ。

    明確な構想と、残された最大の課題
    本稿は、フェラーリがすでに世界選手権を制した、あるいは当然の優勝候補だと主張するものではない。ここで整理した情報は、新型イタリアンマシンについて理解を深めるための材料に過ぎない。バルセロナ、そしてバーレーンでのプレシーズンテストで実際に走るまでは、技術者やエンジニアが抱く好感触が現実の結果として裏付けられることはない。

    誤差の余地が小さければ小さいほど、パフォーマンスは高まる。人は変わっていないのだから結果も変わらない、という声は根強い。フェラーリは、その論理を否定し、新たな規則の時代に主役となることを目指している。2025年に別れを告げ、2026年へ。答えは、まもなくサーキットで示される。

  • フェラーリF1 2026年にハミルトンとルクレールの要求でステアリング刷新

    フェラーリF1 2026年にハミルトンとルクレールの要求でステアリング刷新

    2026年F1レギュレーションの導入は、空力やパワーユニットといった大枠だけでなく、これまで大きな変化は不要と思われていた領域にも影響を及ぼしている。その象徴が、フェラーリF1が進めているステアリングホイールの抜本的な再設計だ。

    ドライバーの“オフィス”とも呼ばれるステアリングは、アクティブエアロと複雑化するエネルギーマネジメントに対応するため、根本から見直された。

    基本的な形状コンセプトこそ維持されているものの、ドライバーとマシンの関係性そのものが大きく変わろうとしている。

    2026年レギュレーション下では、エネルギー配分の管理が1周の中で極めて重要な要素となる。ストレート区間に十分な電力を確保するため、ドライバーはセクター単位に近い感覚でパワーユニットの使用状況を制御しなければならない。

    それに加えて、アクティブエアロの導入により、各ストレートの入り口で低ドラッグの「直線モード」を手動で作動させる必要がある。これらの操作は1周の中で何度も繰り返されるため、従来の操作体系ではドライバーの負担が過大になる。

    フェラーリF1はこの問題に対応するため、ステアリング上の情報と操作系の配置を大幅に整理した。これまで分散して配置されていた機能の多くは集約され、エネルギー回生、エネルギー展開、電子制御戦略に関連する操作は、中央ディスプレイ下に配置された3つのロータリースイッチにまとめられている。

    中央ディスプレイ自体は引き続き重要な情報表示を担い、選択中のギアや、センサーから取得されるタイヤ温度などのリアルタイムデータが表示される。全体としては、よりクリーンで視認性の高いインターフェースとなり、高速走行中の認知負荷を抑える設計が狙われている。

    物理的な形状にも大きな変化が加えられた。新しいステアリングは全体的に小型化され、特に下部が大きく切り詰められている。従来の6つのロータリースイッチを備えた厚みのあるレイアウトとは明確に異なる思想だ。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    ドライバー主導で進められた再設計
    このステアリング刷新の最大の特徴は、開発プロセスそのものにある。設計はエンジニア主導ではなく、ドライバーのフィードバックを軸に進められてきた。

    フェラーリF1のシミュレーターでは、すでにルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールが新レイアウトをテストしており、その過程で継続的な意見交換が行われている。両者は特にエルゴノミクスの改善を重視し、頻繁に使用する操作系が直感的かつ確実に扱えることを強く求めてきた。

    フェラーリF1は現時点で、このステアリング設計を最終形とは考えていない。プレシーズンテストを通じてさらなる調整が行われ、シーズン開幕戦となるオーストラリアGPまでに最終仕様が確定される見通しだ。

    2026年F1では、ドライバーが担う役割はこれまで以上に複雑になる。その変化に真正面から向き合い、操作体系そのものを再定義しようとするフェラーリF1の取り組みは、新時代のF1マシン設計を象徴する一例と言える。

  • ルイス・ハミルトン フェラーリF1再起計画「2026年までに修正すべき点は明確」

    ルイス・ハミルトン フェラーリF1再起計画「2026年までに修正すべき点は明確」

    ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、2025年シーズンに直面した課題を受け、冬のオフ期間を通じてチームと密に作業し、2026年に向けた立て直しを図る考えを明かした。

    2025年は、ハミルトンにとってフェラーリ移籍初年度という節目の年だったが、同時に望ましくない「初めて」も経験するシーズンとなった。上海でフェラーリF1として初のスプリントレース勝利を挙げた一方で、F1キャリアで初めてグランプリ表彰台なしでシーズンを終える結果となった。

    また、予選での一発の速さにも苦しみ、SF-25への適応に手こずったことは公然の事実だった。シーズン終盤の3戦では連続してQ1敗退を喫しており、これはマクラーレン時代の2009年以来の出来事だった。

    オフシーズンでの徹底的な見直し
    2026年に向けた2年目のシーズンを見据え、ハミルトンはオフシーズンに包括的な改善プログラムを実施する意向を示している。

    「これまでの歩みを分析して、何が良かったのか、どこを改善できるのかを見極める必要がある」とハミルトンは、メディアに語った。

    ハミルトンはすでに、改善点を詳細にまとめた資料をチームに提出するなど、フェラーリF1の作業に深く関与してきたことでも知られている。

    「どこに問題があるのかは分かっている。それをシーズン終了後にチームと一緒に腰を据えて話し合うことが大切だ」

    と述べ、具体的な修正点についてはすでに共有済みであることを示唆した。

    さらに、自身の体制についても見直す考えを明かしている。

    「サーキット外で支えてくれている自分のチームについても、タイミングや移動を含めて、もっと効率化できる点がないかを見直す。同じことをチームともやっていく」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

    2025年の苦戦は想定内だった
    ハミルトンのフェラーリ移籍発表は、2025年シーズン開幕前からティフォシの期待を大きく高めていた。2024年終盤にマクラーレンF1とコンストラクターズタイトルを争ったフェラーリF1の勢いもあり、期待値はさらに膨らんでいた。

    しかしハミルトンは、内部的には2025年に苦戦する可能性をすでに「想定していた」と認めている。

    「シーズン終盤に、ここまでの状況になるとは分からなかった。ただ、そうなる可能性は想定していたし、実際にはそれ以上に厳しく感じられた」と振り返った。

    フェラーリF1は4月の段階でSF-25の開発を打ち切り、2026年F1レギュレーションに集中する決断を下した。この判断について、ハミルトンはシャルル・ルクレールとともに、短期的にはパフォーマンス維持を難しくしたと認めている。

    「僕はその決断を強く後押しした一人だ。フレデリック・バスールに、2026年に向けた新車開発で他に後れを取るわけにはいかない、と伝えた。学習曲線はとても急だからだ」

    「タイトル争いをしていなかった状況を考えれば、あれは正しい判断だったと思っている。ただ、その結果として、シーズン序盤にあったパフォーマンスを維持するのが、より難しくなったのも事実だ」

    ハミルトンは、こうした経験を踏まえたうえで、2026年に向けたフェラーリF1の立て直しに全力を注ぐ構えだ。新時代のF1に向け、チーム全体の行動や体制そのものを変えていくことが、再起への鍵になると考えている。

  • フェラーリが明かす2026年F1パワーユニット革命 電動50%時代の実像

    フェラーリが明かす2026年F1パワーユニット革命 電動50%時代の実像

    2026年から施行されるF1レギュレーション大改定を前に、フェラーリのパワーユニット技術責任者エンリコ・グアルティエリが、RacingNews365のテクニカルエキスパートであるパオロ・フィリセッティらの取材に応じ、エンジン面で何が起きるのかを語った。

    2026年シーズンに向けたF1レギュレーションの刷新は、空力だけにとどまらない。パワーユニットもまた、この変革の中心的存在となり、新エンジンこそが来季に目にする変化の真の要になると言っていい。

    1月26日から30日にかけて行われるバルセロナ=カタルーニャ・サーキットでの最初の非公開テストまで、残りは1か月あまり。パドックでは、いまだ不確実性が支配している。

    すべてのチームにとって、確かな事実はほとんど存在しない。だからこそ、イタリアチームのシーズン終了後プレスデブリーフの場で、RacingNews365はフェラーリのパワーユニット技術責任者であるエンリコ・グアルティエリに話を聞き、今後の見通しに少しでも光を当てようとした。

    フェラーリは1月23日に新車を発表予定であり、マシン発表と初走行に向けたカウントダウンが進む中での取材だった。

    2026年パワーユニットの大きな変更点
    2026年仕様のパワーユニットは、2025年まで使用されてきたものと比べて、2つの根本的な違いがある。

    最も際立つのは、内燃エンジンと電動コンポーネントの最大出力が等分される点だ。おおよそ内燃エンジンが500馬力、電動側も500馬力という構成になる。

    具体的には、電動側は350kWを発生し、これまでの120kWからほぼ3倍に増加する。従来の80/20という内燃優位の配分から、50/50へと完全に変わる。

    もう一つの大きな変更はエネルギー回生だ。2026年からは、減速時やアクセルオフ時にMGU-Kのみでエネルギーを回収することになる。

    ターボシャフトに接続されたモータージェネレーターであるMGU-Hは、完全に廃止される。

    グアルティエリによれば、これら2つのレギュレーション変更によって、新パワーユニットの設計思想そのものが根本から作り替えられたという。

    最大の課題
    エンジニアたちが直面してきた最も明白な課題は、電動出力が3倍に増えたことだ。

    これにより、2つの重要な結果が生じている。第一に、バッテリーはもはや1周を通して電動パワーを供給し続けることができなくなった。

    サーキットによっては、最も長いストレートの終わりを迎える前に、電動ブーストが尽きてしまうケースもある。

    第二に、バッテリーの再充電がはるかに複雑になった。MGU-Hが廃止されたことで、MGU-Kが唯一の回生源となり、ブレーキング効率と全体的なエネルギーマネジメントの重要性が飛躍的に高まっている。

    サーキットで何が見られるのか
    こうした大きな変更がある一方で、グアルティエリは、ドライバーが電力を温存するためにアクセルオフを多用する「リフト&コースト」がレースを支配するような展開にはならないと見ている。

    代わりに決定的な要素となるのはソフトウェアだ。エネルギーの放出と回収を司るマネジメントシステムが性能の中核となり、重要な競争上の差別化要因になり得る。

    純粋な速さとバッテリー管理の最適なバランスを見つけたチームが、大きなアドバンテージを得ることになる。

    FIAが導入したアクティブエアロダイナミクスは、直接的な性能向上ではなく、エネルギー制約を補うための手段として位置づけられており、マシン間に大きな性能差を生むことはないとグアルティエリは説明する。

    その効果は、電子制御戦略とどれだけ巧みに統合されているかに、ほぼ完全に依存するという。

    またグアルティエリは、ドライバーの役割がこれまで以上に重要になると認めている。

    ピットウォールからの直接的な指示はレギュレーションで制限され続けるが、ドライバー自身がステアリング上のコントロールを使い、レース状況やバッテリー残量に応じてエネルギー展開モードを、より頻繁かつ体系的に調整する必要がある。

    スクーデリア・フェラーリ F1

    すでに先行するチームはいるのか
    パワーユニットのレギュレーションは、2026年シーズンの2年半以上前に最終確定された。これは、安定した強固な枠組みを作るための措置だった。

    グアルティエリによれば、このアプローチにより、2014年から2020年にかけてメルセデスが築いたような、ハイブリッド時代初期の一方的な支配が再現される可能性は低いという。

    現時点では、どのチームもライバルに対する自分たちの立ち位置を明確には把握していない。ただし、信頼できる情報筋によると、ダイノテストでは各陣営で信頼性の問題が発生しているという。

    その多くは、100%持続可能燃料に関連している。ただし燃料そのものの品質ではなく、燃焼効率を極限まで高めつつ、同時に軽量化を進めていることが原因だとされる。

    これは、2026年に最低重量が798kgから768kgへと引き下げられることを考えれば、極めて重要な要素となる。

    フェラーリの進捗と全体像
    夏の終わりにヴォルフ・ツィンマーマンとラース・シュミットがフェラーリを離脱したことで、2026年パワーユニット計画に遅れが生じているのではないかという憶測が広がったが、グアルティエリはそれを確認しなかった。

    また、シリンダーヘッド素材を巡る噂についても、彼は明言を避けている。当初は熱伝導性に優れ、ラジエーターを小型化できる鋼材が有力とされていたが、信頼性の懸念や全開時テストでの最高出力低下を理由に、アルミニウムへ回帰する可能性が取り沙汰されていた。

    グアルティエリが指摘するように、すべてのメーカーが、極めて複雑な初期認証フェーズを経験してきた。

    電動と内燃の出力が前例のない形で均衡することで、全チームが未踏の領域に足を踏み入れている。

    明らかなのは、F1が完全に新しい技術領域へ突入しているということだ。シーズンが始まり、実走行での効率や性能データが明らかになれば、開発曲線は極めて急峻なものになるだろう。

    マシンの進化は止まることなく続き、単にラップタイムを追い求めるだけでなく、場合によってはパワーユニット自体の弱点を補うための開発も求められていくことになる。

  • シャルル・ルクレール フェラーリF1でハミルトン苦戦も「助言することはない」

    シャルル・ルクレール フェラーリF1でハミルトン苦戦も「助言することはない」

    シャルル・ルクレールは、ルイス・ハミルトンがフェラーリ移籍初年度に苦戦したことについて理解を示しつつも、自身から特別な助言を与えることはほとんどできなかったと語った。

    12年間をメルセデスで過ごし、6度のワールドチャンピオンに輝いたハミルトンは、昨冬にフェラーリへ移籍した。しかしスクーデリアでの初年度は厳しく、シーズン序盤に中国GPのスプリントで勝利を挙げたものの、決勝レースでは一度も表彰台に立てなかった。

    シーズン終盤には3戦連続でQ1敗退を喫し、ランキング6位でシーズンを終えている。

    ルクレールは、チームメイトを手助けする余裕がほとんどなかったと説明する。

    「僕の仕事は、自分がコントロールできる範囲のすべてを最大化することだ」とルクレールは語る。

    「自分自身のこと、そしてチームのために集中すべきことがすでにたくさんある。自分のドライビングスタイルをできる限りマシンに合わせる必要もある。そうなると、ルイスを助けるために時間を割くのは簡単ではない。」

    シャルル・ルクレール スクーデリア・フェラーリ F1

    さらにルクレールは、自身の助言が本当に役に立ったかどうかにも懐疑的だ。

    「それに、ルイスはキャリアの中で僕よりはるかに多くのことを成し遂げている。正直なところ、彼に与えられるアドバイスはない」

    「新しいチームに加わるというのは、どのみち長いプロセスだ。僕自身、フェラーリに来てもう7年になるから、最初がどんな感じだったか正直覚えていない。今はすべての仕組みを理解していて、とても自然に感じている」

    「でもルイスにとっては、1年経った今でもまだ比較的新しい状況だ。プロセスも考え方も、チームも仕事の進め方もすべて違う。そういったことには、ただ慣れるための時間が必要なんだ。」