タグ: アンドレア・キミ・アントネッリ

  • アントネッリはカート史上トップ3の才能とロズベルグ「世代を代表する逸材」

    アントネッリはカート史上トップ3の才能とロズベルグ「世代を代表する逸材」

    ニコ・ロズベルグは、アンドレア・キミ・アントネッリについて、カート史上でもトップ3に入るドライバーだったと評価し、将来的には世代を代表するF1ドライバーになる可能性があると語った。

    2016年のF1ワールドチャンピオンであるロズベルグは、メルセデスで2年目のシーズンを戦うアントネッリのパフォーマンスに強い印象を受けている。

    20歳のアントネッリは現在、ジョージ・ラッセルに81ポイント、ルイス・ハミルトンに101ポイントのリードを築いており、史上最年少F1ワールドチャンピオンとなる可能性を残している。

    ロズベルグ「カート史上トップ3のひとり」
    アントネッリはフォーミュラカーへ進む前、長年にわたってカートでレースを続け、2019年にはロズベルグのチームでも走っていた。

    2021年にフォーミュラカーへ転向したアントネッリだが、ロズベルグによれば、カート時代に残した実績と才能は歴代でも最高レベルに位置するという。

    「当時、彼は私のカートチームに所属していた。そして、カート界でこれまで見てきたなかでも最高のドライバーのひとりだった」とロズベルグはSky F1に語った。

    「歴代の偉大なドライバーはみんなカートをやってきた。セナ、ハミルトン、フェルスタッペンもそうだ」

    「キミはカート史上トップ3に入るドライバーのひとりだった。だから、彼の才能は世代を代表するレベルなんだ。今年、それを目の当たりにしている」

    「彼のドライビング、そして毎日のように見せるスピードは本当に信じられない。とにかく、いつでも速いんだ」

    2026年F1マシンもアントネッリを後押し
    一方でロズベルグは、アントネッリが今季これほど圧倒的な速さを発揮できている背景には、2026年の新世代F1マシンも多少影響していると分析する。

    アントネッリはルーキーイヤーだった2025年、グラウンドエフェクト世代のマシンへの対応に苦戦する場面もあった。

    「今年はマシンが少しドライブしやすくなったとも思う。それによって、彼は世代を代表する才能をより早く発揮できるようになった」

    「もしマシンが昨年と同じままだったら、おそらくもう少し難しかっただろう。昨年のマシンはより極端で、少しドライブするのが難しかったからね」

    それでもロズベルグは、現在の成功の中心にあるのはマシンではなく、アントネッリ自身の能力だと強調した。

    「いずれにしても、遅かれ早かれ彼はそこに到達していただろう。基本的には彼自身の世代を代表する才能によるものだと思う」

    「ただ、レギュレーションが少し助けになって、これほど圧倒的な強さを見せるチャンスを与えた面はあると思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    初タイトルへのプレッシャーをロズベルグが警戒
    ただし、アントネッリのタイトル獲得に向けて状況を大きく変える可能性がある要素も残っている。それが、初めてF1ワールドチャンピオンを争うなかで受けるプレッシャーだ。

    ロズベルグは、マクラーレンやフェラーリのアップデートによってアントネッリが集団のなかで戦う機会が増えれば、「徐々にパニックが大きくなる」可能性があると指摘した。

    マクラーレンはランド・ノリスによって直近3戦のうち2戦で勝利。F1スペインGPでも、バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングが悪くなければ勝利する可能性があった。

    「マクラーレンは調子がいい。最悪のシナリオは、マクラーレンが突然さらに抜け出し始め、そこにフェラーリの改善も加わって、キミが少しずつ集団のなかへ戻ってしまうことだ」

    ロズベルグは、自身が2016年にF1ワールドチャンピオンを獲得した際にも似た経験をしたと振り返った。

    「これは私がタイトルを獲得した年に経験した状況と似ている。私は少しずつ勢いを失い始め、ドライビングも以前ほどうまくいかなくなった。最後の4レースでは、徐々に集団のなかへ戻っていった」

    「メキシコでもそうだった。予選では最後の瞬間まで苦しんでいた。Q3では最後の最後まで6番手だった」

    「それらのレースでは、どこかの時点で毎回2番手ではなく3番手になっていたし、そこにはマックス・フェルスタッペンがいて、毎レースのように私に襲いかかってきた」

    「だから、もし彼がほんの少しでも集団のなかへ戻るようになれば、リスクは高まる。そうなると、その状況に対して徐々にパニックが大きくなっていくんだ」

    アントネッリは2026年シーズン、圧倒的なスピードを武器にF1タイトル争いをリードしている。ロズベルグはその才能をカート時代から高く評価する一方、初のワールドチャンピオン獲得に向けた終盤戦では、ライバルの追い上げとプレッシャーへの対応が重要になるとみている。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP勝利を呼んだメルセデスの「秘密の暗号」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP勝利を呼んだメルセデスの「秘密の暗号」

    F1スペインGPでアンドレア・キミ・アントネッリが挙げた勝利の裏には、メルセデスがVirtual Safety Car(VSC)の発動を見越して使った「秘密の暗号」があった。わずか1秒ほどの時間を稼ぐための事前準備とドライバーの対応が、マドリンクでの勝敗を左右した。

    アントネッリの勝利にはVSCという幸運が味方したことは間違いない。しかし、単純にタイミングに恵まれただけではなかった。

    メルセデスはランス・ストロールのマシンがストップした直後からVSCの可能性を予測し、アントネッリに通常以上にペースを落とさせていた。

    VSC発動前にアントネッリが稼いだ「1秒」
    決定的な場面は14周目だった。レースエンジニアから黄旗について知らされたアントネッリは、ターン18からターン20にかけて意図的にペースを落とし、VSCが発動された場合に備えた。

    13周目と比較すると、アントネッリはターン19を29km/h低い速度で通過。ストロールのマシンが止まっていたターン20のブレーキングポイントにも24km/h低い速度で到達しており、かなり早い段階でアクセルを戻していた。

    同じ黄旗区間でマックス・フェルスタッペンは、ターン19をアントネッリより15km/h速く通過。ターン20のブレーキングポイントでも18km/h速く、アクセルを戻したタイミングもアントネッリより遅かった。

    さらにアントネッリは、黄旗区間を抜けてグリーンフラッグが提示された後も、すぐには加速しなかった。

    メルセデスのピットウォールでは、正式なVSC発動前からレースがニュートラル化される可能性が高いと判断していた。その情報をレースエンジニアのピーター・ボニントン、通称“ボノ”がアントネッリへ伝えていた。

    メルセデスが使った「秘密の暗号」
    メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、チームがこうした状況に備えてドライバーとの間にコードを設定していることを明かした。

    「レース中にセーフティカーが出た場合、ピットに入る可能性があることをドライバーに知らせるため、我々は秘密のコードを使っている」

    「ただ、他のチームにそのコードが何を意味するのか知られないようにしている。そのため、毎週変更している」

    今回も、そのコードが重要な役割を果たした。

    「黄旗が出て、ボノがそれを確認した。キミは実際に少しペースを落とし、さらに1秒ほど稼いだ。おそらく……それがなくてもピットには入れたと思う。ただ、その1秒によって可能になった」

    「彼のオンボードを見れば分かるが、キミにとってピットに入るのは決して簡単ではなかった。そして彼が自分のピットボックスに止まろうとしているまさにその瞬間、タイヤが運ばれてきていた。あの短い時間の中で実行するのは難しいピットストップだった」

    アントネッリはVSCが発動された時点ですでにピット入口のすぐ近くまで来ていた。

    仮に事前に稼いだ約1秒がなかったとしても、白線を越える直前でピットへ飛び込めた可能性はある。しかし、そのわずかな余裕によってアントネッリには判断する時間が生まれ、同時にメルセデス側もピットストップの準備を整えることができた。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    わずか50秒でドライバーとピットが連動
    黄旗が提示されてからVSCが正式に発動されるまでは35秒。そしてVSC発動からアントネッリがメルセデスのピットボックスに到着するまでは、さらに15秒しかなかった。

    しかも、チームがしなければならなかったのはアントネッリをピットへ呼び込むことだけではない。

    交換用タイヤを用意し、メカニックを配置する必要があり、さらにメルセデスはアントネッリだけでなくジョージ・ラッセルもピットインさせることを決断していた。メカニックにも早い段階で準備の指示が出されていたことになる。

    ショブリンは、こうした状況を想定した準備は決勝日の朝から行われていたと説明する。

    「日曜の朝は、どんなインシデントが起きても対応できるようにすることに集中していた。レースの各段階でVSCやセーフティカーが出た場合に何をするのか、それを確実に把握しておく。これは普通のことで、すべてのチームが同じようにやっている」

    ただし、事前に戦略を決めていても、実際にその状況が訪れた際に迷いが生じることはあるという。

    「計画があったとしても、『本当にこれをやるのか?』というような議論が生じる状況はある」

    「今回良かったのは、きちんと計画があったことだ。キミは自分がVSCのウインドウに入っていることを分かっていた。そしてインシデントが起きると、ボノがすぐにそれを確認した」

    追い抜きが極めて難しいマドリンクでは、このVSCを利用したピットストップがレースの流れを大きく変えた。アントネッリはミディアムからハードへ交換して実質的な首位に浮上し、そのままF1スペインGP優勝につなげた。

    VSCという偶然の要素だけでなく、その発動を予測したピットウォール、暗号を理解して即座にペースを調整したアントネッリ、そして短時間でタイヤを準備したメカニックまで、メルセデスの一連の連携が勝利を引き寄せる重要な要素となった。

  • メルセデスF1代表 アントネッリの攻撃性に苦笑「この白髪は彼のせい」

    メルセデスF1代表 アントネッリの攻撃性に苦笑「この白髪は彼のせい」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、2026年F1タイトル争いで大きなリードを築くアンドレア・キミ・アントネッリについて、その速さを生み出している攻撃性に苦笑しつつ、シーズン終盤には予想外の出来事によって状況が一変する可能性があると警戒している。

    F1スペインGPで今季8勝目を挙げたアントネッリは、ランキング2位のチームメイト、ジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけて首位に立っている。

    それでもヴォルフは、タイトルが決まったかのように考えることを避け、「ブラックスワン」のような予測困難な事態を念頭に置く必要があると語った。

    「白線を越えるな」と何度も念押し
    アントネッリはF1スペインGP終盤、十分なリードを築いていたにもかかわらずプッシュを続け、エンジニアのピーター・ボニントンに無線でウォールに接触した可能性を伝え、マシンにダメージがないか確認を求めた。

    ヴォルフによれば、こうした限界まで攻め続ける姿勢はアントネッリにとって珍しいものではないという。

    「ちょうど彼の父親とその話をしていたんだが、それがキミなんだ」

    「我々は彼に、白線を越えてはいけないと何度も頭に叩き込まなければならなかった。2024年のモンツァのFP1でも、白線を越えてクラッシュしたからね」

    「私は彼に『マシンから外が見えていないのか? トラックリミットが分かるように、もっと高い位置から見えるようにする必要があるのか?』と言ったんだ」

    「それについては一緒に笑った。そして今回のスペインGPでも、残り6周かそのくらいのところで『マシンをチェックしてくれ。ウォールに擦った』と言ってきた」

    アントネッリの大胆なドライビングは、チーム代表にとって気が気ではない部分もある。

    「この白髪は彼のせいだよ。でも、おそらく彼はそういうドライバーなんだろうし、それが彼をあれほど速くしている理由なのかもしれない」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差でもタイトルを意識せず
    アントネッリはF1スペインGP終了時点で267ポイントを獲得し、201ポイントのラッセルに81ポイント差をつけている。

    20歳のアントネッリが2026年のF1ワールドチャンピオンに輝けば、セバスチャン・ベッテルが2010年に記録した史上最年少F1王者の記録を3年以上更新することになる。

    しかし、ヴォルフによれば、本人はタイトル争いをほとんど意識していない。

    「もちろん、彼はそれについて考えていない。この子には物事を切り分ける能力がある。普段は若者として過ごし、マシンに乗れば成熟したレーシングドライバーになる」

    「だからキミが『チャンピオンシップのことは考えていない』と言うなら、本当に考えていないんだ」

    ヴォルフが警戒する「ブラックスワン」
    一方でヴォルフは、現在のポイント差だけを見てタイトル獲得を当然視することには慎重な姿勢を示した。

    そこで持ち出したのが「ブラックスワン」という言葉だ。一般的には、事前にはほとんど予測できず、発生すると大きな影響を及ぼす出来事を意味する。

    「ブラックスワンのような出来事はある。それは起こり得る。そして最後になって、失う可能性などないと思っていたものを失うことだってある」

    アントネッリは今季、速さだけでなく安定した結果を積み重ねてポイントリードを拡大してきた。一方で、限界まで攻め続ける姿勢はヴォルフを悩ませる要素でもあり、その攻撃性こそが20歳の速さを支えている可能性もある。

    残る2026年F1シーズンでメルセデスに求められるのは、アントネッリの持ち味を損なうことなく、不測の事態による大量失点を避けることになる。

  • キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

    キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

    メルセデスF1のアンドレア・キミ・アントネッリが2026年のF1タイトル争いをリードするなか、2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグは、シーズン終盤に向けてこれまでとは異なる心理的なプレッシャーに直面すると予想した。

    第14戦F1スペインGP終了時点で、アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけてドライバーズランキング首位に立っている。

    ロズベルグは20歳のアントネッリが見せる安定感と成熟ぶりを高く評価する一方、自身が初タイトルを獲得した2016年の経験を振り返り、タイトルが現実味を帯びるほど「失うことへの恐怖」が大きくなると語った。

    ロズベルグが経験したタイトル争い終盤の「恐怖」
    マドリンクで行われたF1スペインGP後、Sky Sports F1でアントネッリについて語ったロズベルグは、現在の落ち着いた走りがシーズン最後まで簡単に続くとは考えていない。

    「僕たちはみんな人間だ。彼だって超人じゃない」

    「僕は本当に恐怖を感じていて、まともにドライブすることさえ難しくなっていた。シーズンの終わりに近づけば近づくほど、レースに勝ったり、ポールポジションを獲ったりすることができなくなっていった」

    ロズベルグは2016年、メルセデスでルイス・ハミルトンとの激しいタイトル争いを制し、最終戦アブダビGPで自身唯一となるF1ワールドチャンピオンを獲得した。その経験から、タイトルが手の届くところまで近づいたときに生じる心理状態を説明した。

    「くだらないミスだったり、簡単に起こり得る何かだったりで、自分の夢を失ってしまうんじゃないかという恐怖で頭がいっぱいになった」

    「どこかの時点で、彼も少しはそれを感じることになると思う。でも、ここまでの彼がどれほど安定していて、成熟しているかは信じられないほどだ。トトでさえ驚いている」

    アントネッリは前年のルーキーシーズンに見せていた速さに、2026年は安定感を加えている。特に直近ではF1イタリアGPとスペインGPで勝利し、タイトル争いで大きなリードを築いている。

    シュタイナー「アントネッリはフェラーリにいるべき」
    一方、元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーは、イタリア人であるアントネッリが母国でさらに大きな支持を得るには、フェラーリで走ることが理想的だとの持論を展開した。

    「フェラーリは国民的なチームで、みんなが応援している。そして、イタリア人ドライバーがいなくなっていたところに、この若者が現れた」

    「イタリア人がモンツァで勝つのは60年ぶりだった。それだけ長い時間が経てば、勝つという感覚さえ忘れてしまう」

    アントネッリはメルセデスのドライバーであり、フェラーリにとっては直接的なライバルでもある。その状況がイタリア国内での人気という面では複雑に作用しているとシュタイナーは考えている。

    「もちろん自分たちのチームに勝ってほしい。でも、別のチームにいるこの若者もイタリア人で、しかもかなり速い」

    「彼はもっと多くのファンに支持されるに値すると思う。やっていることは並外れているし、フェラーリにいるべきだ。そうなれば理想的な世界だね」

    ロズベルグはマドリンクにも注文「サインツJr.も批判されるべき」
    ロズベルグはF1スペインGPの舞台となった新設マドリンクについても言及した。決勝でオーバーテイクが極めて難しかったことを問題視し、コース設計のアンバサダーを務めたカルロス・サインツJr.にも一定の責任があるとの見方を示した。

    「カルロス・サインツはアンバサダーだった。だから、カルロス・サインツも批判しなければならない」

    「来年に向けてコースレイアウトを見直して、少なくともひとつはきちんとしたオーバーテイクのチャンスを作る必要がある。このサーキットではそれが必要だ。とにかく追い抜くのが難しすぎる」

    具体例として挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとアルピーヌのフランコ・コラピントの攻防だった。

    「かなり衝撃的だった。例えばピアストリとコラピントだ。ピアストリは新品タイヤだったのに抜けなかった。あれだけペースが速かったのにだ。それくらい追い抜きが難しい」

    ドライバーの意見をコース設計に反映すべき
    ロズベルグは、新しいF1サーキットを設計する際には、完成後にドライバーから意見を聞くプロセスが重要だと主張した。

    「サーキット全体の設計ができた段階で、ドライバーのところへ行って意見を聞くべきだと思う」

    「ただ、今回については、その段階でドライバーに言われなければ分からないようなことだったとも思わない。僕たちはここへ来て、コースを見た瞬間に『これは追い抜くのがかなり難しくなる』と言っていた。だから、その点について何か対策をしておくべきだったと思う」

    マドリンク側が今後のレイアウト変更に前向きな姿勢を示している点については評価した。

    「彼らは今後変更を加えることについて非常にオープンだ。変更する準備ができている。ここは常設サーキットではないからね」

    「だから、その変更のひとつによって、可能であればオーバーテイクのチャンスが改善されることを願っている」

    アントネッリはF1参戦2年目にしてタイトル争いの先頭に立ち、イタリアGPとスペインGPでの勝利によってその存在感をさらに高めた。ただし、ロズベルグが自身のタイトル獲得経験から指摘するように、残りのシーズンでは速さだけでなく、初のF1ワールドチャンピオンが現実味を帯びるなかで生じるプレッシャーへの対応も大きなテーマとなっていく。

  • アントネッリのF1スペインGP優勝にモウリーニョ驚嘆「こんな若者見たことがない」

    アントネッリのF1スペインGP優勝にモウリーニョ驚嘆「こんな若者見たことがない」

    ジョゼ・モウリーニョが、F1スペインGPで優勝したメルセデスのキミ・アントネッリを絶賛した。マドリンクで一緒にレースを観戦した元F1ドライバーのジャン・アレジによれば、モウリーニョは20歳のアントネッリの走りに強い衝撃を受けていたという。

    レアル・マドリードの監督を務めるモウリーニョは、初開催となったマドリンクでのF1スペインGPを現地観戦。以前からF1への関心を公言しており、2025年のF1イギリスGPではマックス・フェルスタッペンにポールポジション賞を手渡していた。

    モウリーニョ「こんな若者は見たことがない」
    元フェラーリF1ドライバーのジャン・アレジは、スペインGP後に『Corriere della Sera』へ寄稿したコラムで、モウリーニョとともにレースを観戦したことを明かした。

    「私はジョゼ・モウリーニョと一緒にレースを見ていた。彼は何度も『こんな若者は今まで見たことがない』と言っていた」

    アレジは、数多くのトップレベルの選手を率いてきたモウリーニョから出た言葉であることに大きな意味があると感じている。

    「数多くの並外れた才能を扱ってきた監督から出た言葉なのだから、非常に重みのある評価だと思う」

    アントネッリはF1スペインGPで優勝し、ドライバーズランキング首位の座をさらに強固なものとした。そのパフォーマンスは、異なるスポーツの世界で数々のスター選手を見てきたモウリーニョにも強烈な印象を残したようだ。

    スペインGP前からアントネッリを高く評価
    実際、モウリーニョがアントネッリを称賛したのは決勝後が初めてではない。

    スペインGPを前に行われたラ・リーガのラージョ・バジェカーノ戦に向けた記者会見で、モウリーニョはF1について質問され、週末を前にすでにアントネッリの活躍に言及していた。

    「みんな私にとても親切にしてくれて、あちこちに招待してくれるから、発言には気をつけないといけないね」

    フェラーリについては「赤はいつだって赤だ」と語った一方、メルセデスでタイトル争いをリードするアントネッリについても高く評価した。

    「この若者がメルセデスでやっていることは、本当に信じられない」

    そのアントネッリがスペインGPで実際に勝利を飾り、モウリーニョは現地でその走りを目撃することになった。

    ジョゼ・モウリーニョ

    フェルナンド・アロンソとも親交
    モウリーニョは、アストンマーティン・ホンダのフェルナンド・アロンソとも親交があることを明かしている。

    「フェルナンドとも友人なんだ。彼の人柄が本当に好きだ。彼は最高のドライバーのひとりだ」

    一方で、現在のアロンソが置かれている状況についてはマシン側の競争力を問題視した。

    「でも、勝てるマシンもポイントを獲れるマシンもない。彼にはいつも良くないマシンが与えられている」

    初開催のF1スペインGPにはモウリーニョだけでなく、レアル・マドリードの関係者も多数訪れた。サーキットの入口からほど近い場所にクラブのトレーニング施設があることもあり、週末のパドックではサッカー界との交流が目立った。

    レッドブル・レーシングが公開した映像では、マックス・フェルスタッペンがヤン・ディオマンデ、ブラヒム・ディアス、セルヒオ・ラモスらと会話し、記念撮影に応じる様子も紹介された。

    サッカー界で数多くのトップ選手を指導してきたモウリーニョに「こんな若者は見たことがない」と言わせたアントネッリ。F1スペインGPでの勝利は、モータースポーツの枠を超えて強烈な印象を与えるものとなった。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP優勝も「僕たちは勝利に値しなかった」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP優勝も「僕たちは勝利に値しなかった」

    メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1スペインGPで今季8勝目を挙げたものの、「今日は僕たちは勝利に値しなかった」と振り返り、本来ならランド・ノリスが勝つべきレースだったとの考えを示した。

    マドリンクで初開催されたF1スペインGPで2番グリッドからスタートしたアントネッリは、序盤にノリスと首位を争った後、バーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングを生かして首位に浮上。最終的にマックス・フェルスタッペンを抑え、2戦連続となる勝利を手にした。

    「ランドが勝利に値した」
    しかし、チェッカー後のアントネッリは、勝利を手放しでは喜ばなかった。

    「勝てたのはもちろんうれしい。でも、今日はそれほど気分がいい勝利ではない。ランドが勝利に値したと思うからだ」

    ノリスはポールポジションからレースをリードし、アントネッリとのギャップを築いていた。しかし、VSCが導入された時点ですでにピット入口を通過しており、その恩恵を受けることができなかった。

    一方、アントネッリはVSC導入直後にピットへ入り、ハードタイヤへ交換。通常より大幅に少ないタイムロスでタイヤ交換を済ませ、実質的な首位に立った。

    「VSCが出た瞬間にピットへ飛び込んで、少ないロスでハードに交換し、実質的な首位に立つことができた。だから、おそらく僕たちは勝利に値しなかったと思う。でも、もちろんこの結果は受け取る」

    それでも、純粋なレースペースについては手応えを感じている。

    「それ以外では、とても強いレースだった。特に最後のハードでは本当にいいペースがあった。これからもプッシュし続けないといけない」

    「本来なら2位か3位」スタートの攻防を反省
    FIAのレース後記者会見でも、アントネッリは自身の勝利を冷静に評価した。

    「現実的に、正直に言えば、今日は僕たちは勝利に値しなかった。ランドが勝つべきレースだったと思う」

    「僕たちの結果は、おそらく2位、あるいは3位だったと思う。スタートで僕が十分にいい仕事をできなかった。少しアグレッシブになりすぎて、自分を悪いポジションに追い込んでしまった。間違いなく改善しなければならない部分がある」

    スタート直後、アントネッリはノリスに対して積極的に仕掛けた。しかし、シケインをカットする形となり、その後の攻防でも再びコースをショートカットすることになった。

    「仕掛けてみたけど、当然ランドだって簡単に抜かせてくれるわけではない。彼はやるべきことをやった」

    「2つ目のシケインでは行けるかもしれないと思ったけど、接触するにはリスクが高すぎると感じた。それで諦めることにした」

    無理にターンインしていれば、レースそのものを失う可能性もあったという。

    「もし僕がターンインしていたら、ランドと接触して、おそらくウォールに行って道路を塞いでいたと思う。間違いなくいい結果にはならなかった」

    この一連の攻防によってアントネッリは難しい位置に置かれ、フェルスタッペンにも先行を許した。

    「その後は少し厄介なポジションになって、マックスにターン7のアウト側から抜かれた。見直すべきところは間違いなくあるけど、それでもチームとしては素晴らしい仕事だった」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(スペイングランプリ)

    フェルスタッペンの順位返上にも「少し混乱した」
    アントネッリは、序盤にフェルスタッペンからポジションを返された場面についても説明した。

    フェルスタッペンはルイス・ハミルトンとの攻防でコース外へ出たことを受け、レッドブルからポジションを戻すよう指示された。その過程でアントネッリも再びフェルスタッペンの前に出ることになった。

    「少し混乱した。マックスが僕をコース外から抜いたとは思っていなかったからだ。普通に抜かれたと思っていた」

    「その後、彼がルイスにポジションを返さなければならないと聞いた。ルイスにはブレーキの問題も出ていたから、特にマックスにとっては少し変な状況だったと思う」

    ハミルトンはその後、ブレーキシステムのトラブルによってリタイア。アントネッリにとっては、序盤の順位変動からVSCまで、複数の展開が自身に有利に働いたレースでもあった。

    「だから今日の勝利は、さっき言ったように素晴らしいものだけど、僕が望んでいた勝ち方ではない」

    予想を下回ったタイヤデグラデーション
    レース前にはマドリンクで高いタイヤデグラデーションが予想されていたが、実際には想定ほど激しくなかった。

    アントネッリは、路面にラバーが乗っていったことに加え、ハードタイヤが特にグレイニングに対して強かったことを理由に挙げた。

    「デグラデーションはかなり低かった。もちろん多少はあったけど、予想よりずっと低かった。路面にラバーが乗っていったこともあって、1ストップが可能になった」

    「最後にはタイヤはかなり終わっていたけど、このコースはオーバーテイクが難しい。だからタイヤを持たせながら、そのまま最後まで走ることができる」

    シャルル・ルクレールがハードタイヤで約50周に及ぶロングスティントを敢行しながら、一定のペースを維持したことも、その耐久性を示していた。

    「シャルルもハードでほぼ50周走って、それでもまずまずのペースを維持していた。予想外だったけど、一番大きかったのはハードタイヤが特にグレイニングに対して強かったことだと思う」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    81ポイント差にも「タイトルを考えながら走りたくない」
    アントネッリは今回の勝利で今季8勝目を記録。13戦連続で少なくとも1周をリードし、ドライバーズランキングでは2位に対するリードを81ポイントまで広げた。

    それでも、20歳のアントネッリはタイトルを意識して守りに入る考えを否定した。

    「それこそ僕がやりたくないことだ。1レースずつプッシュして、結果を出し続けて、最後まで楽しみたい。そして毎レース、自分のベストを尽くす。そのうえで年末にどこにいるかを見るだけだ」

    「もちろん大きなリードはある。でも何が起こるかは分からない。だから何にでも対応できるようにして、得られるすべてのチャンスを最大限に生かしていかないといけない」

    記者会見では、すでにF1ワールドチャンピオン経験者であるフェルスタッペンとノリスにも、若きランキングリーダーへのアドバイスを求める質問が飛んだ。

    アントネッリはすかさず「彼らは逆転を願っていると思うけどね」と冗談を飛ばしたが、フェルスタッペンは「キミは今やっていることを続ければいい」と高く評価した。

    ノリスも「80ポイント以上リードしているのは、彼が信じられないほどいい仕事をしているからだ」と称え、「20歳になったばかりで、恐ろしいほどいい仕事をしている」とそのパフォーマンスを評価した。

    好調でも父親が「地に足をつけてくれる」
    圧倒的なリードを築く中で、どう冷静さを保っているのか。アントネッリは家族とチームの存在が大きいと語った。

    「本当にいい人たちが周りにいるのは幸運だと思う。素晴らしいチームが支えてくれているし、家族もいる。特に父は僕を地に足をつけさせてくれる存在だ」

    「僕が少し道を外れそうになっていると感じたら、遠慮なく叱ってくれるし、ちゃんと地に足をつけるように言ってくれる。いい人たちが周りにいることは間違いなく大きな助けになっている」

    自身としては、タイトル争いを必要以上に意識することなく、これまでと同じ姿勢を貫くつもりだ。

    「僕は毎レース、自分のベストを尽くそうとしているだけだ。マシンに乗ったらできるだけ速く走る。そして年末にどこにいるかを見る」

    「物事を複雑に考えすぎたり、チャンピオンシップや結果を心配しながら走ったりしたくない。ただ走って、自分のベストを尽くすだけだ」

    VSCという幸運を最大限に生かしてマドリンク初代ウイナーとなったアントネッリ。それでも本人は勝利そのものより、自身のスタートでの判断や改善点に目を向けている。81ポイントという大きなリードを築いたタイトル争いでも姿勢を変えず、次戦アゼルバイジャンGPに向けて「バクーではもっと良くなりたい」とさらなる改善を誓った。

  • キミ・アントネッリ F1スペインGP決勝を警戒「最初の10周はおばあちゃん運転」

    キミ・アントネッリ F1スペインGP決勝を警戒「最初の10周はおばあちゃん運転」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1スペインGPの決勝でタイヤデグラデーションが大きな鍵になると警戒している。フリー走行のロングランでは早い段階でプッシュすると急激にタイヤが落ちる傾向が確認されており、「最初の10周はおばあちゃん運転になる」と冗談を交えてタイヤ管理の重要性を語った。

    メルセデスのアントネッリはマドリンクで行われた予選で1分31秒835を記録。Q3最後のアタックで一時トップに立ったものの、ランド・ノリスにわずか0.011秒上回られ、2番グリッドから初開催のF1スペインGP決勝を迎える。

    「最初の10周はおばあちゃん運転」
    アントネッリが決勝に向けて最大の課題に挙げたのがタイヤデグラデーションだ。

    「最大のチャレンジは明日だと思う。デグラデーションがかなり大きそうだからね」

    決勝でタイヤをどのように持たせる必要があるかと聞かれると、アントネッリは笑いを誘う表現で答えた。

    「たぶん最初の10周は“おばあちゃん運転”になると思う。でも、どうなるか見てみよう」

    「ロングランでは、早くプッシュしすぎるとデグラデーションがどれだけ急激になるか分かった。もちろん、明日レースを始めてみたらデグラデーションがずっと小さい可能性もある。だから、その場で判断する必要がある」

    メルセデスの公式コメントでも、アントネッリは決勝について「全員にとって大きなチャレンジになる」と予想している。

    「明日は未知の部分がたくさんあって、全員にとって大きなチャレンジになる。タイヤのマネジメントが鍵になると思う」

    2ストップか3ストップか ハードも未知数
    タイヤ戦略についても不確定要素は多い。特にハードタイヤについては十分なデータがなく、どれだけ長いスティントを走れるかはまだ明確になっていない。

    「ハードがどういうタイヤなのか、どれくらい耐えられるのかはまだよく分かっていない。明日は2ストップになるかもしれないし、3ストップになるかもしれない」

    重要になるのは、特にレース序盤の第1スティントだという。

    「できるだけタイムを失わないようにしながら、特に第1スティントではタイヤをできる限りマネジメントすることが重要になる」

    マドリンクでは高い路面温度もタイヤを扱う難しさを増している。予選でもアントネッリは、アウトラップからプッシュラップ終了までタイヤを適切なウインドウに維持することに苦労した。

    「とても激しい予選だった。路面がかなり熱かったから、タイヤとのバランスを正しく合わせるのが難しかった」

    「アウトラップでの準備を正しく行うのも難しかったし、そのうえでプッシュラップ全体を通してタイヤを正しいウインドウに保たなければならなかった」

    オーバーテイクも難しいマドリンク
    タイヤを温存する必要がある一方で、マドリンクではオーバーテイクが難しいという別の問題もある。

    アントネッリはフリー走行でウィリアムズの後方を走った際、追い抜くまでに2周を要した経験を明かした。

    「プラクティスではウィリアムズの後ろで2周もかかって、かなり苦労してようやく抜けた。本当に難しい」

    「もともとデグラデーションが大きいのに、後ろを走るとさらにスライドが増えて、もっと難しくなる」

    ペースが近いマシンをコース上で抜くのは簡単ではなく、タイヤの使い方や戦略によってチャンスを作る必要があると考えている。

    「前のマシンにプレッシャーをかけて、ミスをさせるか、よりタイヤを消耗させる。そして戦略を使うしかない。同じくらいのペースなら、オーバーテイクするのは難しい」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    2番グリッドからノリスを狙う
    それだけに、2番グリッドから迎えるスタートは重要になる。

    「スタートは間違いなくすごく重要だし、ターン1までの走りも重要になる」

    予選直後のインタビューでは、ポールシッターのノリスをスタートでかわすことへの期待も口にした。

    「いいスタートができればいいね。そこで前に出られればと思っている」

    「勝つチャンスが来れば、それを取りにいく。それがなければ、自分たちにできる最高のレースをして、どうなるか見てみよう」

    メルセデスの公式コメントでも「オーバーテイクは難しくなると思うけど、ランドにプレッシャーをかけて、勝利を争うために何ができるか見てみたい」と語った。

    アントネッリは予選Q3最後のアタックでポールを取ったと思ったというほどの手応えを得ていたが、最後にノリスが0.011秒上回った。

    「こういう形で終わったのは少しほろ苦い。ポールを取ったと思ったからね。でもランドが奪っていった」

    それでも2番グリッドは、オーバーテイクが難しいと予想されるマドリンクでは絶好の位置だ。スタートでノリスに仕掛けつつ、序盤は“おばあちゃん運転”でタイヤを守るという相反する要求をどう両立するか。高いデグラデーションと未知のハードタイヤを巡る戦略が、アントネッリの勝利争いを左右することになりそうだ。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGP母国初優勝をトロフィーいっぱいのパスタで祝福

    キミ・アントネッリ F1イタリアGP母国初優勝をトロフィーいっぱいのパスタで祝福

    キミ・アントネッリは、2026年F1第13戦イタリアGPで母国初優勝を飾った後、いかにもイタリアらしい方法で勝利を祝った。表彰台に戻り、優勝トロフィーいっぱいに盛られたパスタを味わう姿を披露した。

    メルセデスのアントネッリは、19番グリッドから驚異的な追い上げを見せ、終盤にはチームメイトでタイトル争いのライバルでもあるジョージ・ラッセルを逆転。モンツァのティフォシの前でトップチェッカーを受けた。

    モンツァの表彰台でトロフィーいっぱいのパスタ
    レース後、アントネッリは大勢のファンと喜びを分かち合い、クラウドサーフィンも披露。表彰式が終わり、ホームストレートを埋め尽くしていた数千人のティフォシが去った後も、その祝福は続いた。

    F1の機材を運ぶトラックが走り始めた頃、アントネッリは優勝トロフィーを手に再び表彰台へ戻った。

    そのトロフィーにはパスタがたっぷりと盛られていた。シンクに積み重ねられた食器から着想を得たデザインのトロフィーを巨大な皿のように使い、アントネッリはパスタを食べながら母国での勝利を祝った。

    アントネッリは、その様子とともにSNSでモンツァでの特別な一日を振り返った。

    「昨日のことを言葉で表すのは難しい。夢がかなったんだ」

    「僕が経験したことは絶対に忘れない。モンツァの表彰台は言葉では表せないよ。すべてのファンの温かさ、そしてどこまでも続く人の海だった」

    「これを可能にしてくれたすべての人、そして今年を特別なものにしてくれているすべての人に心から感謝したい」


    F1では過去にもユニークな飲食系セレブレーション
    F1では、食べ物や飲み物を使ったユニークな勝利の祝福は珍しくない。近年を代表するものが、ダニエル・リカルドが広めた「シューイ」だ。レース用シューズにシャンパンを注いで飲むこのセレブレーションには、俳優のサー・パトリック・スチュワートも参加したことがある。

    また、トロフィーを器として使う光景は、NHLのスタンレー・カップにも通じる。優勝チームの選手たちは長年にわたり、スタンレー・カップにシリアルやアイスクリーム、チキンウイング、ホットドッグなどを入れて楽しんできた。

    19番グリッドから母国モンツァで頂点まで駆け上がったアントネッリ。パスタを盛った優勝トロフィーは、初の母国F1勝利を象徴するユニークな思い出となった。

    イタリアGPを終え、アントネッリはドライバーズ選手権でラッセルに66ポイント差をつけて首位。3位のルイス・ハミルトンはさらに10ポイント後方につけており、次戦スペインGPへ向かう。

  • キミ・アントネッリ F1イタリアGPで母国初優勝に涙「絶対に忘れない一日」

    キミ・アントネッリ F1イタリアGPで母国初優勝に涙「絶対に忘れない一日」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1第13戦イタリアGP決勝で19番グリッドから大逆転を果たし、母国モンツァで今季7勝目を挙げた。イタリア人ドライバーによるイタリアGP制覇は1966年以来となる。

    スタート直後から猛烈な追い上げを見せたアントネッリは、赤旗中断と再スタートを経て一気に上位へ進出。チームメイトのジョージ・ラッセル、マックス・フェルスタッペンとの激しいトップ争いを展開し、終盤のバーチャルセーフティカー(VSC)でフレッシュタイヤに交換すると、ラッセルを攻略して劇的な母国優勝を飾った。

    19番グリッドから大逆転「可能だと信じていた」
    アントネッリは19番グリッドという厳しい位置からスタートしたが、序盤から驚異的な追い上げを披露した。

    最初のスタートで次々とポジションを上げ、赤旗が提示された時点ですでに12番手まで浮上。再スタートでも勢いを維持し、そこからさらに順位を上げてトップ争いへ加わった。

    「可能だと信じていた。特に最初のスタートの後には12番手まで上がっていて、赤旗が出たときに『もう一度チャンスがある』と思った」

    「そこから気づいたらトップ争いの中にいて、自分にもチャンスがあると分かった。2番手まで上がって、ジョージとトップを争うようになったときには、強度を保ってプレッシャーをかけ続けなければならないと思った。その時点で僕が望んでいたのは、ただ勝つことだけだった」

    レース前には表彰台の可能性を考えていたものの、実際に勝利まで届くとは想像していなかったという。

    「表彰台は可能だと思っていた。でも、ここで勝てるとは思っていなかった。本当に信じられない。今日ここにいられるなんて想像もできなかったけど、僕たちはやり遂げた。本当に、本当にうれしい」

    ラッセルとの首位争い「勝てるチャンスがあると思った」
    再スタート後も順位を上げたアントネッリは、やがてチームメイトのラッセルに追いつき、メルセデス同士によるトップ争いに持ち込んだ。

    両者は何度も順位を入れ替え、その背後にはフェルスタッペンも迫っていた。

    「2回目のスタートの後には上位まで来ていたし、勝てるチャンスがあると分かっていた。特にジョージの後ろにいたときは、本当にそう思った」

    「でも、抜け出すのはすごく難しかった。後ろの2台もすごく強かったからね。それでもチャンスがあると思って、プッシュし続けた」

    アントネッリはタイトル争いへの影響よりも、目の前に現れた母国優勝のチャンスをつかむことだけを考えていた。

    「今日は勝つこと以外、何も考えていなかった。特にチャンスが見えたときはそうだった。かなりハードにプッシュしたし、賢くオーバーテイクして、バッテリーもうまく使おうとしていた。それがうまくいった」

    VSCで勝負のタイヤ交換
    レース終盤、VSCが導入されると勝負が大きく動いた。

    ハードタイヤのラッセルがステイアウトした一方、摩耗したミディアムを履いていたアントネッリはピットイン。フレッシュタイヤを装着してコースへ戻り、前を走るマシンを次々と攻略した。

    「VSCではポジションをいくつか失ったけど、ミディアムで追い上げて勝つだけのペースが僕たちにはあった」

    「僕たちはピットに入って、ジョージはステイアウトした。終盤には彼のタイヤが少し厳しくなっていた一方で、僕はフレッシュタイヤだったからペースを上げることができた。それで勝つことができた」

    19番手から追い上げながら、最後まで勝利を狙えるだけの速さがあったことについて、アントネッリはメルセデスの競争力も大きかったと認める。

    「今週末、僕たちが明らかに一番いいチームだったことも、追い上げるうえでは助けになった」

    グラベルに飛び出す危機「チャンスを失ったと思った」
    勝利への追撃中には、すべてを失いかねない瞬間もあった。

    ターン2付近では路面が崩れ、アントネッリはグラベルへ飛び出した。それでもコースへ復帰し、再びペースを取り戻した。

    「その瞬間はかなり怖かった。舗装が崩れていたけど、それでもコーナーを曲がれると思っていた。でも少しグラベルにも乗って、そのまま真っすぐ行ってしまった。そのときは『チャンスを失ったかもしれない』と思った」

    「でも幸い、まだペースがあった。それで最後まで持っていくことができた」

    母国での勝利を目前にしながらも、アントネッリはリスクを避けるのではなく、勝利をつかむために攻め続けた。

    「かなりハードにプッシュしていた。コースを外れる場面もあって、それは理想的ではなかったけど、今日はプッシュして、賢くオーバーテイクすることを心掛けた」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    モンツァの表彰台「想像していた以上だった」
    チェッカーを受けたアントネッリを待っていたのは、ホームストレートを埋め尽くしたイタリアのファンだった。

    「正直、想像していた以上だった。絶対に忘れない一日になると思う。これまでで一番特別な勝利だと思うし、今季最高の表彰台だ」

    「ストレート全体が信じられないくらいたくさんの人で埋め尽くされていて、その応援を感じられたのは夢のようだった」

    走行中に歓声を聞くことはできなかったものの、グランドスタンドの光景は目に入っていたという。

    「音はまったく聞こえなかった。でも、最初のシケインを出るところでは視界の端にファンが見えた。走っている最中に歓声が聞こえたら、それは大問題だからね。幸い、今のF1マシンもまだそれなりにいい音がする」

    その光景は、19番手から追い上げるアントネッリの力にもなった。

    「ファンがもう少しプッシュするための力をくれたと思う。今週末のサポートは本当に素晴らしかった。毎周グランドスタンドで応援してくれているのが見えて、それがもう少しプッシュして、もっといい走りをして勝とうという力になった」

    「絶対に忘れないレース」
    19番グリッドからの勝利は、アントネッリ自身にとっても特別なものとなった。

    「最高のレースはまだこれからだと思っている。でも、これまで走った中では間違いなく最高のレースのひとつだった。絶対に忘れないレースになる」

    アントネッリは勝利を支えたメルセデス、家族、そしてファンへの感謝も口にした。

    「チームは今日、信じられない仕事をしてくれた。素晴らしいマシンを用意してくれたし、ここまで僕を支えて助けてくれたすべての人に、いくら感謝してもしきれない」

    「夢がかなった。本当に信じられない一日だ。チーム、家族、そして僕を応援してくれるみんながいなければできなかった」

    ランキング首位でラッセルに66ポイント差
    今季7勝目を挙げたアントネッリは、ドライバーズランキングでラッセルとの差を66ポイントに広げた。それでもタイトルを意識しすぎるつもりはないという。

    「チャンピオンシップはあまり見たくない。今季は状況がものすごく早く変わることを見てきたからね。僕としては1レースずつ戦って、すべての結果、すべてのチャンスを最大限に生かすだけだ」

    「チャンピオンシップについて考えても意味はない。今この瞬間に集中して、1レースずつ戦っていかなければならない。そしてシーズンの最後にどこにいるのかを見ればいい」

    モナコGPに続いて大舞台で勝利し、今度は19番手から母国イタリアGPを制したアントネッリ。それでも残るシーズンへの姿勢は変わらない。

    「ここまでは間違いなくすごく強いシーズンだけど、まだたくさんのレースが残っているし、何が起こるか分からない。状況が一気に変わることもある」

    「だから自分にできることに集中して、1レースずつ、得られるすべてのチャンスを最大限に生かしていくことが本当に重要だ」

  • キミ・アントネッリ フェラーリF1新PUを警戒「メルセデスと同じ速さになった」

    キミ・アントネッリ フェラーリF1新PUを警戒「メルセデスと同じ速さになった」

    メルセデスのキミ・アントネッリは、F1イタリアGPで投入されたフェラーリのアップグレード版パワーユニットについて、大きな進歩を遂げたとの見方を示した。金曜日の走行データから、ストレートスピードでは「今は同じ速さ」になったと分析している。

    モンツァで行われたFP2では、ジョージ・ラッセルがトップタイムを記録し、フェラーリのシャルル・ルクレールが0.120秒差の2番手、アントネッリが3番手につけた。

    これまでエンジン性能とストレートスピードでメルセデスに後れを取っていたフェラーリだが、アントネッリは新PUによってその差が縮まったと警戒している。

    フェラーリ新PUの進歩を実感
    フェラーリはホームレースとなるモンツァにアップグレード版のパワーユニットを投入した。その真の実力が明らかになるのは予選と決勝だが、アントネッリは金曜日に得られたデータから、すでに明確な変化が見えていると語った。

    「フェラーリは新しいエンジンで間違いなく一歩前進した」

    「今ではスピードは同じだ。彼らのマシンがコーナーでどれだけ優れているかは分かっているから、明日のポール争いは間違いなく接戦になると思う」

    フェラーリは今季、ストレートスピードとエンジン性能でメルセデスに対して劣勢を強いられてきた。しかし、パワーが重要となるモンツァでその差が縮まったとなれば、予選での勢力図にも大きな影響を与える可能性がある。

    実際、FP2ではラッセルとルクレールの差はわずか0.120秒。アントネッリ自身も3番手につけており、メルセデスとフェラーリが予選で激しい争いを繰り広げる展開を予想している。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    最後尾スタートを見据えてロングランを重視
    一方、アントネッリ自身は今季の信頼性問題によって規定数を超えるパワーユニットコンポーネントを使用するため、母国F1イタリアGPを最後尾からスタートすることが決まっている。

    そのため金曜日は通常とは異なり、予選に向けた1周の速さよりも決勝を想定したロングランに重点を置いた。

    「今日は普段とは少し違う一日だった。ロングランにかなり重点を置いていたから、正直に言うとちょっと変な感じだった。でも全体的にはいい一日だった。たくさんのデータを集められたし、これからの2日間が楽しみだ」

    さらにアントネッリは、他車の後方を走ることで、ライバル勢のエネルギー配分についても確認していたことを明かした。

    「今日のロングランでは、他のマシンの後ろを走って、彼らが何を違うようにやっているのか、僕たちと比べてどこでエネルギーを使っているのかを見ることができて興味深かった」

    「だから、とても面白かった。たくさんのデータを集められたと思うし、それを確認して明日に向かいたい」

    アントネッリは最後尾スタートが確定していることから、予選ではチームメイトでありタイトル争いの直接のライバルでもあるラッセルにスリップストリームを提供し、ポールポジション獲得を援護する意向をすでに明らかにしている。

    フェラーリの新PUによってストレートでの差が縮まったとすれば、メルセデスにとって予選はこれまで以上に厳しい戦いとなる。アントネッリが指摘した通り、コーナリング性能を武器とするフェラーリとメルセデスによるポール争いが、土曜日の大きな焦点となりそうだ。