キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

キミ・アントネッリ F1初タイトルへ81点リード ロズベルグ「いずれ恐怖を感じる」

メルセデスF1のアンドレア・キミ・アントネッリが2026年のF1タイトル争いをリードするなか、2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグは、シーズン終盤に向けてこれまでとは異なる心理的なプレッシャーに直面すると予想した。

第14戦F1スペインGP終了時点で、アントネッリはチームメイトのジョージ・ラッセルに81ポイント差をつけてドライバーズランキング首位に立っている。

ロズベルグは20歳のアントネッリが見せる安定感と成熟ぶりを高く評価する一方、自身が初タイトルを獲得した2016年の経験を振り返り、タイトルが現実味を帯びるほど「失うことへの恐怖」が大きくなると語った。

ロズベルグが経験したタイトル争い終盤の「恐怖」
マドリンクで行われたF1スペインGP後、Sky Sports F1でアントネッリについて語ったロズベルグは、現在の落ち着いた走りがシーズン最後まで簡単に続くとは考えていない。

「僕たちはみんな人間だ。彼だって超人じゃない」

「僕は本当に恐怖を感じていて、まともにドライブすることさえ難しくなっていた。シーズンの終わりに近づけば近づくほど、レースに勝ったり、ポールポジションを獲ったりすることができなくなっていった」

ロズベルグは2016年、メルセデスでルイス・ハミルトンとの激しいタイトル争いを制し、最終戦アブダビGPで自身唯一となるF1ワールドチャンピオンを獲得した。その経験から、タイトルが手の届くところまで近づいたときに生じる心理状態を説明した。

「くだらないミスだったり、簡単に起こり得る何かだったりで、自分の夢を失ってしまうんじゃないかという恐怖で頭がいっぱいになった」

「どこかの時点で、彼も少しはそれを感じることになると思う。でも、ここまでの彼がどれほど安定していて、成熟しているかは信じられないほどだ。トトでさえ驚いている」

アントネッリは前年のルーキーシーズンに見せていた速さに、2026年は安定感を加えている。特に直近ではF1イタリアGPとスペインGPで勝利し、タイトル争いで大きなリードを築いている。

シュタイナー「アントネッリはフェラーリにいるべき」
一方、元ハースF1代表のギュンター・シュタイナーは、イタリア人であるアントネッリが母国でさらに大きな支持を得るには、フェラーリで走ることが理想的だとの持論を展開した。

「フェラーリは国民的なチームで、みんなが応援している。そして、イタリア人ドライバーがいなくなっていたところに、この若者が現れた」

「イタリア人がモンツァで勝つのは60年ぶりだった。それだけ長い時間が経てば、勝つという感覚さえ忘れてしまう」

アントネッリはメルセデスのドライバーであり、フェラーリにとっては直接的なライバルでもある。その状況がイタリア国内での人気という面では複雑に作用しているとシュタイナーは考えている。

「もちろん自分たちのチームに勝ってほしい。でも、別のチームにいるこの若者もイタリア人で、しかもかなり速い」

「彼はもっと多くのファンに支持されるに値すると思う。やっていることは並外れているし、フェラーリにいるべきだ。そうなれば理想的な世界だね」

ロズベルグはマドリンクにも注文「サインツJr.も批判されるべき」
ロズベルグはF1スペインGPの舞台となった新設マドリンクについても言及した。決勝でオーバーテイクが極めて難しかったことを問題視し、コース設計のアンバサダーを務めたカルロス・サインツJr.にも一定の責任があるとの見方を示した。

「カルロス・サインツはアンバサダーだった。だから、カルロス・サインツも批判しなければならない」

「来年に向けてコースレイアウトを見直して、少なくともひとつはきちんとしたオーバーテイクのチャンスを作る必要がある。このサーキットではそれが必要だ。とにかく追い抜くのが難しすぎる」

具体例として挙げたのが、マクラーレンのオスカー・ピアストリとアルピーヌのフランコ・コラピントの攻防だった。

「かなり衝撃的だった。例えばピアストリとコラピントだ。ピアストリは新品タイヤだったのに抜けなかった。あれだけペースが速かったのにだ。それくらい追い抜きが難しい」

ドライバーの意見をコース設計に反映すべき
ロズベルグは、新しいF1サーキットを設計する際には、完成後にドライバーから意見を聞くプロセスが重要だと主張した。

「サーキット全体の設計ができた段階で、ドライバーのところへ行って意見を聞くべきだと思う」

「ただ、今回については、その段階でドライバーに言われなければ分からないようなことだったとも思わない。僕たちはここへ来て、コースを見た瞬間に『これは追い抜くのがかなり難しくなる』と言っていた。だから、その点について何か対策をしておくべきだったと思う」

マドリンク側が今後のレイアウト変更に前向きな姿勢を示している点については評価した。

「彼らは今後変更を加えることについて非常にオープンだ。変更する準備ができている。ここは常設サーキットではないからね」

「だから、その変更のひとつによって、可能であればオーバーテイクのチャンスが改善されることを願っている」

アントネッリはF1参戦2年目にしてタイトル争いの先頭に立ち、イタリアGPとスペインGPでの勝利によってその存在感をさらに高めた。ただし、ロズベルグが自身のタイトル獲得経験から指摘するように、残りのシーズンでは速さだけでなく、初のF1ワールドチャンピオンが現実味を帯びるなかで生じるプレッシャーへの対応も大きなテーマとなっていく。