2026年F1第14戦スペインGPが、マドリードに新設されたマドリンクで開催される。F1初開催となる全長5.414kmのコースは22のコーナーを備え、市街地区間と常設区間を組み合わせたハイブリッド型サーキットだ。
予想最高速度は340km/h。最大24%のバンク角を持つ「モニュメンタル(La Monumental)」をはじめ、長いストレート、ブラインドコーナー、壁が迫るテクニカルセクションなど、性格の異なる区間が1周に凝縮されている。
マドリンクの基本データ
マドリンクは1周5.414kmで、コーナー数は22。決勝は57周で争われ、レース距離は308.399kmとなる。
F1がマドリンクを走るのは今回が初めてとなるため、ラップレコードはまだ存在しない。コースはIFEMA Madridとバルデベバス周辺の公道と、新たに建設された常設区間を組み合わせて構成されている。
・コース全長:5.414km
・コーナー数:22
・決勝周回数:57周
・決勝距離:308.399km
・ラップレコード:なし
・予想最高速度:340km/h
ターン1まではわずか200m 最長ストレートへ続く高速区間
スタート/フィニッシュラインからターン1までは約200mしかない。スタート直後に右コーナーへ飛び込み、その後ターン3を通過すると、マドリンクで最も長いストレートへと入る。
ここからマシンは一気に加速し、最高速域から強いブレーキングが要求される区間へと突入する。その先では高低差も加わり、ターン8には先が見えにくいブラインドのエイペックスが待ち受ける。
ブレーキングポイントや路面のグリップ、実際の高低差など、シミュレーターだけでは完全に把握できない要素も多い。ドライバーにとって金曜日のFP1では、できるだけ早くコースの特徴をつかむことが重要になる。
最大24%のバンク「モニュメンタル(La Monumental)」
市街地区間を終えると、マドリンクは常設コース部分へと移行する。シケインを抜けた先に待っているのが、このサーキットを象徴するモニュメンタル(La Monumental)だ。
全長約550mに及ぶこのバンクコーナーは最大24%の勾配を持つ。複数のレーシングラインを選択できるよう設計されており、異なるラインを使ったサイド・バイ・サイドのバトルも期待されている。
周辺には約4万5000人の観客が入る予定で、マドリンク最大の観戦ポイントのひとつとなる。
モニュメンタルを抜けると、再び全開で駆け抜ける高速コーナーが続く。しかし、その先ではコースの性格が大きく変化する。
ラップ終盤は壁が迫るテクニカルセクション
高速区間を抜けた後は壁が次第に近づき、ツイスティでテクニカルなセクションへと入っていく。
ここでは高速区間とは異なり、正確なマシンコントロールが重要になる。壁との距離が近いため、わずかなミスが接触につながる可能性もある。
そして最後に待っているのがタイトなターン22だ。この最終コーナーを立ち上がるとスタート/フィニッシュストレートへ戻るため、単独走行でのラップタイムだけでなく、レースでの追い抜きにも重要なポイントとなる。

ストレートモードは2区間
マドリンクには、2026年F1マシンの可動式エアロダイナミクスを使用するストレートモード区間が2カ所設定されている。
ストレートモードではリアウイング上部のエレメントが開くと同時に、フロントウイング上部のエレメントも動く。これによって空気抵抗を減らし、ストレートで効率よく最高速度まで加速できるようになる。
従来のDRSとは異なり、前走車とのタイム差によって使用できるかどうかが決まるシステムではない。ドライコンディションでは、指定された区間で毎周使用される。
マドリンクで指定されているのは、スタート/フィニッシュストレートとターン3からターン4までの2区間だ。
特にターン3から先はマドリンク最長のストレートとなるため、ストレートスピードやエネルギーマネジメントが重要になる。
オーバーテイクモードの検知ポイントはターン22手前
追い抜きを支援するオーバーテイクモードについては、1周につき1カ所の検知ポイントが設けられている。
オーバーテイクモードは従来のDRSに代わる追い抜き支援システムで、追加の電気エネルギーを活用することで、ドライバーがより高い速度を長く維持できるようにする。
指定された検知ポイントで前走車との差が1秒以内であれば、次のラップでオーバーテイクモードを使用することができる。
マドリンクのオーバーテイク検知ポイントは、最終コーナーであるターン22への進入直前に設定されている。作動ラインはターン22出口にあり、そこからスタート/フィニッシュストレートへ向けてオーバーテイクモードを利用できる。
そのため、ターン22までに前走車との差を1秒以内に保つだけでなく、最終コーナーをできるだけ接近した状態で立ち上がることが、ホームストレートでの追い抜きにつながる重要なポイントとなりそうだ。
マドリードでのF1開催は初めてではない
マドリンクでF1が開催されるのは今回が初めてだが、マドリードでスペインGPが行われるのは初めてではない。
マドリード中心部から北へ約30km離れたハラマ・サーキットでは、1968年にF1スペインGPが開催された。
当時はバルセロナのモンジュイック・サーキットと交互に開催され、スペインが国際的なモータースポーツの舞台として存在感を高める役割を担った。
その後、モンジュイックで発生した死亡事故を受け、1976年から1979年まではハラマがスペインGPの開催地となり、1981年にもレースが行われた。ジェームス・ハントやマリオ・アンドレッティらがハラマで勝利を挙げている。
その後、スペインGPはしばらくF1カレンダーから姿を消し、復活後はヘレス、そしてバルセロナが開催地として選ばれた。
そして2026年、マドリンクの登場によってマドリードは再びF1世界選手権の舞台となる。

最高速340km/h マドリンクを知る5つのポイント
F1公式サイトは、初開催となるマドリンクに関する5つのポイントを紹介している。
まず、マドリンクはIFEMA Madridとバルデベバス周辺の公道と専用に建設された区間を組み合わせたハイブリッド型サーキットであること。
マドリード出身のカルロス・サインツJr.にとっては、初めて本当の意味でのホームレースとなる。サインツJr.はマドリンクのサーキットアンバサダーも務めている。
F1マシンの最高速度は約340km/hに達すると予想されている。
最大のランドマークであるモニュメンタル(La Monumental)は全長約550mで、最大24%のバンクを備える。周辺では約4万5000人の観客がF1マシンの走りを見守ることになる。
そしてマドリンクは、2023年にF1カレンダーへ加わったラスベガス以来となる新規デビューサーキットとなる。
FP1で初めて明らかになるマドリンクの実像
F3による走行やシミュレーターでの準備は行われているものの、F1ドライバーが実際にマドリンクを走るのは9月11日(金)のFP1が初めてとなる。
最長ストレートで予想される340km/hの最高速、ブラインドとなるターン8、最大24%のバンクを持つモニュメンタル(La Monumental)、そして壁が迫る終盤のテクニカルセクション。さらにストレートモードとオーバーテイクモードをどこまで効果的に生かせるかも、レースを左右する要素になる。
高速と低速、市街地と常設区間という異なる要素を全22コーナーに詰め込んだマドリンク。その本当の難しさとF1マシンでの攻略法が、初開催のF1スペインGPでいよいよ明らかになる。
