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  • F1スペインGPで酷評のマドリンク 設計者が反論「自由に設計できたわけではない」

    F1スペインGPで酷評のマドリンク 設計者が反論「自由に設計できたわけではない」

    F1スペインGPの新たな舞台として初開催を迎えたマドリンクについて、コース設計を手掛けた企業のCEO、ヤルノ・ザッフェリが、オーバーテイクの少なさをめぐる批判に反論した。今後レイアウトを変更することは可能だとしながらも、都市計画や環境上の制約から「最小限」にとどまると説明している。

    マドリンクでは先週末、初のF1スペインGPが開催された。

    しかし、決勝ではオーバーテイクがほとんど見られず、サポートカテゴリーでも同様の傾向が続いたことから、ファンを中心にレイアウト改善を求める声が上がっている。

    「変更は可能だが最小限」
    マドリンクの設計を担当した企業を率いるザッフェリは、motorsport.comに対し、コースを大幅に作り替えることは難しいと説明した。

    「いくつか変更できる部分はあるが、それは最小限だ」

    「公に語られている内容を見る限り、議論されている選択肢の一部は、もともと我々の当初案に盛り込まれていたものに近いように思う。当初のプロジェクトには、ターン5でオーバーテイクの機会を作ることも含まれていた」

    ザッフェリによれば、現在のターン5からターン6にかけての区間は、当初の設計とは異なる形になったという。

    「ターン5はもっとタイトで、コーナリング区間を短くする予定だった」

    「そして我々の設計では、ターン6の内側はアスファルトのランオフではなく、グラベルにする予定だった。ドライバーにより遅いラインを通らせ、直線的に走ることがラップタイム上の不利益になるようにするためだ」

    「この一連の区間の狙いは、バンクを利用してタイムを稼ぐことではなく、それぞれ異なるメリットを持つ2つのラインを作り出すことだった」

    マドリンク F1 スペイングランプリ

    「白紙から自由に設計できたわけではない」
    マドリードはF1と10年間の長期契約を結んでいるだけに、初開催後には将来に向けたコース変更の可能性も注目されている。

    一方、ザッフェリは、マドリンクが何もない土地にゼロから自由に設計されたサーキットだったとの見方を否定。実際には高度に都市化された地域であり、利用できる土地には数多くの制約が存在していたと説明した。

    「『白紙の状態から設計した』と表現されているが、実際にはF1に適したサーキットを設計するうえで明確な制約が存在する、高度に都市化された地域だ」

    「詳細な地図を見れば、レイアウトが多くの場所で非常に厳しい制約を受けていたことが分かる。新しい展示ホールはすでに設計され、都市計画当局から承認を受けていたし、道路網についても、あらかじめ定められたルートに沿って計画されていた」

    制約のなかで「独自性を持つサーキット」を追求
    ザッフェリは、こうした制約があったからこそ、マドリンクの設計には多くの創造性が必要だったと主張する。

    「だからこそ、多くの創造性が必要だった。制約によって設計の自由度は限られていたが、だからといって答えがひとつに決められていたわけではない」

    「構造上の制限とFIAの安全規則による制約のなかで、独自のアイデンティティを持つサーキットを生み出すため、ジオメトリーやコーナーの連続性、走行ラインを考え出さなければならなかった」

    初開催のF1スペインGPでは追い抜きの難しさが大きな課題として浮き彫りになったマドリンク。設計者側は当初案にオーバーテイクを促す仕掛けが存在していたことを明かした一方、都市部という立地上、大幅なレイアウト変更には限界があるとの認識を示している。

  • F1スペインGP初開催でオーバーテイク不足 マドリンクが2027年に3カ所改修へ

    F1スペインGP初開催でオーバーテイク不足 マドリンクが2027年に3カ所改修へ

    初開催となったF1スペインGPで追い抜きの難しさが浮き彫りとなったマドリンクは、2027年に向けてコースの3カ所を改修する方針を固めた。ターン5〜6、ターン13、ターン20が対象となり、より明確なオーバーテイクの機会を生み出すことを目指す。

    マドリンクは予選ではドライバーから高い評価を受けた一方、決勝ではポジション変動が極めて少ない展開となった。こうした問題は開幕前から懸念されており、今回検討されている改修案の一部は、実際には初開催のF1スペインGPを迎える前から浮上していたという。

    追い抜きの少なさが初開催で露呈
    マドリンクで行われた初のF1スペインGPでは、スタート直後を除いてコース上での追い抜きがほとんど見られなかった。

    F1は各グランプリの追い抜き回数について統一された公式集計を公表していないものの、マドリードでは今季でも特に少ないレベルだったとみられている。一部の推計では、1周目以降の追い抜きはわずか4回で、モナコGPを下回った可能性さえある。

    数少ない動きとしては、リアム・ローソンがフランコ・コラピントをオーバーテイクし、その後ジョージ・ラッセルがローソンを攻略した場面などがあった。

    ハードタイヤのデグラデーションが小さかったことも、レースを膠着させた要因のひとつだった。タイヤ性能に大きな差が生まれず、異なる戦略を採用したマシン同士でも十分なペース差が発生しなかった。

    ただし、それ以上に大きな問題とされたのが、現在のマドリンクには明確なオーバーテイクポイントが存在しないことだった。

    コースそのものについては、高速区間や壁に囲まれたセクション、そして大きなバンク角を持つラ・モニュメンタル(La Monumental)などがドライバーに高い難易度を要求し、特に予選では高く評価された。

    一方、決勝で前車を抜くとなると話は別だった。

    ターン5〜6のシケインを拡幅へ
    最大の問題として指摘されているのが、ターン5〜6のシケインだ。

    序盤のコーナー群を抜けた後の長い加速区間の先に位置するため、本来であれば有力なオーバーテイクポイントになり得る。しかし、現在のレイアウトではシケインへの進入が非常にタイトで、2台が並んでブレーキングできるだけの自由度がない。

    オリバー・ベアマンも週末前から、このレイアウトについて懸念を示していた。

    「こういうコーナリングしながらのブレーキングでは、違うラインを取ってイン側から仕掛ける可能性がなくなってしまう。残念だし、設計上で少し見落とされた部分なのかもしれない」

    もっとも、現在の形状になった背景には安全上の理由もある。

    ターン5〜6の出口にはトンネル区間があり、マシンがそこへ進入する速度や角度を考慮する必要がある。ランオフエリアにも制約があり、単純にストレートを延長して強いブレーキングゾーンを設けることは難しかった。

    それでも初開催の決勝で問題が明確になったことで、2027年に向けてターン5〜6のアプローチとシケインそのものを広げる方向で検討が進められる。

    今回のレースではコーナーへの進入形状と縁石の配置によって、2台がクリーンに並走するスペースが十分ではなかった。そのため、前車を抜くには非常にアグレッシブな仕掛けが必要となり、相手をコース外へ押し出すリスクも高かった。

    ターン13を強いブレーキングゾーンに変更か
    2カ所目の改修候補はターン13だ。

    ラ・モニュメンタルの直後に位置する左コーナーで、現在は中速で通過するレイアウトとなっている。

    ラ・モニュメンタルで前車のスリップストリームを利用できても、ターン13で十分に大きな減速が必要ないため、そのままブレーキング勝負へ持ち込むことが難しい。

    そこでターン13を現在よりタイトな形状に変更し、より明確なブレーキングゾーンを作る案が検討されている。

    これが実現すれば、ラ・モニュメンタルからターン13までの区間で前車に接近し、ブレーキングでイン側へ飛び込むという新たな攻防が期待できる。

    ターン20の“ボトルネック”も解消へ
    3カ所目はターン20だ。

    マドリンクでも特にタイトなコーナーのひとつだが、現在はバリアの配置によって進入部分がボトルネックのように狭くなっている。

    そのため、前車のイン側に飛び込むスペースが限られており、仮に並びかけても出口まで安全に2台が走れる余裕が少ない。

    2027年に向けてはコーナー進入部の形状とバリアの配置を変更し、ドライバーがより安心してオーバーテイクを仕掛けられるスペースを確保することが検討される。

    今後数週間でマドリンク側、FIA、F1チーム、ドライバーの間で協議が行われ、具体的な変更内容が詰められる予定だ。

    実は初開催前から3カ所の改修を検討
    興味深いのは、今回対象となった3カ所の変更が、F1スペインGPの決勝を受けて初めて考えられたものではないという点だ。

    ターン5〜6、ターン13、ターン20の変更案は、追い抜きが難しくなる可能性への懸念から、初開催前の段階ですでにFIAへ提案されていた。

    しかし、マドリンクの建設スケジュールには余裕がなかった。

    コース建設は2025年4月に始まり、さらにマドリードを襲った非常に雨の多い冬によって工事が遅延。レイアウトを変更する場合には新たなシミュレーションや安全性の検証、FIAによる承認手続きを行う必要があり、初開催に間に合わせるにはリスクが大きすぎると判断された。

    変更を急いだ結果、ホモロゲーションや建設そのものが遅れれば、F1スペインGPの開催に影響する可能性もあった。

    特にマドリンクは一般的な常設サーキットとは異なり、道路の変更だけでなく、鉄道や航空関連の事業者、緊急サービス、水道・排水、環境関連の当局など、多数の関係機関との調整を必要とする。

    ターン5〜6についても、出口に位置するトンネルの存在によって設計の自由度が制限された。トンネルへ向かうマシンの進入角度や速度、限られたランオフエリアなどを考慮する必要があったためだ。

    こうした事情から、まず2026年の初開催を現在のレイアウトで実施し、その結果を踏まえて2027年に変更する方が現実的だと判断された。

    マドリンク F1 スペイングランプリ

    ルクレール「小さな変更で大きく変わる」
    ドライバー側も、マドリンクそのものを否定的に評価しているわけではない。

    シャルル・ルクレールは、予選でのドライビングという点では非常に魅力的なサーキットだと評価したうえで、決勝についてはわずかな変更だけでも大きな改善につながると考えている。

    「素晴らしいサーキットだし、特に予選については、今のレイアウトを作った全員が本当に素晴らしい仕事をしたと思う」

    「でもレースになると、いくつかのコーナーが……大きな変更が必要だとは思わない。小さな変更、あるいは2つくらいの小さな変更だけでも、僕たちがここでやるレースは大きく変わると思う」

    重要なのは、サーキット全体で数多くのオーバーテイクポイントを作ることではなく、確実に勝負できる場所を少なくともひとつ設けることだ。

    その代表例として挙げられるのがマカオだ。市街地コースの大部分は狭く曲がりくねっているため追い抜きは難しいが、長いストレートの先にあるリスボアでは、タイトなコーナーでありながら進入部分に十分な幅があり、ブレーキング勝負が可能になっている。

    サインツJr.「バクーやマカオを参考に」
    マドリンクのアンバサダーでもあるカルロス・サインツJr.も、今後FIAとコース変更について話し合う意向を示している。

    サインツJr.は、成功している市街地サーキットの特徴としてバクーとマカオを挙げた。

    「バクーやマカオのような良い市街地サーキットには、非常に長いストレートの先に、本当に追い抜ける場所がひとつあることが多い」

    そのうえで、マドリンクでも同様の場所を作れるかを検討すべきだと語った。

    「そうだね。どこにそういうオーバーテイクゾーンを追加できるのかを見て、それが実現可能かどうかを確認するだけだと思う」

    マドリンクは初開催で、予選ではドライバーの技量を試すチャレンジングなコースとして一定の評価を得た一方、決勝では追い抜きの少なさという明確な課題を残した。

    ターン5〜6、ターン13、ターン20という3カ所の改修案は、その弱点を解消しながら現在のコースが持つ個性を残すことを狙ったものとなる。初開催では安全性や建設スケジュール、ホモロゲーションを優先したマドリンクだが、2027年にはよりバトルを生み出せるF1サーキットへと進化することになりそうだ。

  • F1スペインGP初開催マドリンクに酷評「寝そうだった」ドライバーが改修要求

    F1スペインGP初開催マドリンクに酷評「寝そうだった」ドライバーが改修要求

    2026年F1スペインGPで初めて決勝レースを開催したマドリンクに対し、ドライバーから厳しい評価が相次いだ。ガブリエル・ボルトレトは「僕も寝そうだった」と語り、ランド・ノリスやジョージ・ラッセルらはオーバーテイクを増やすための具体的なレイアウト変更を要求した。

    マドリード北東部のIFEMA周辺に建設されたマドリンクは、公道と新設された常設区間を組み合わせた全長5.4kmのサーキット。

    会場の雰囲気や施設については高く評価された一方、初開催となったF1スペインGP決勝ではオーバーテイクが極めて難しく、レース展開そのものについては多くのドライバーが不満を口にした。

    「僕も寝そうだった」ボルトレトが率直な感想
    決勝後、アウディのガブリエル・ボルトレトは、観戦していた側にとって退屈なレースだったのではないかと問われ、率直に答えた。

    「うん。僕も寝そうだったよ」

    金曜の走行ではタイヤのグレイニングが大きな問題となり、それが決勝で戦略や順位変動を生み出す可能性も予想されていた。しかし、日曜日にはその傾向が大幅に弱まり、ドライバーがタイヤを大きく労わる必要性も減少した。

    ハースのエステバン・オコンは、それが単調なレースにつながったと分析した。

    「ピットに入ってから最後まで、ほぼ120%で走るような感じだった。グレイニングが起きなかったから、こういうレースになった。金曜日にレースをやっていたら、ずっと良かったと思う」

    実際、初日のフリー走行ではグレイニングが大きなテーマとなり、各チームが決勝でのタイヤマネジメントを警戒していた。

    ノリス「ターン18と19はなくすべき」
    より厳しい批判が集中したのはマドリンクのレイアウトそのものだった。

    マクラーレンのランド・ノリスは、現在のコース設計について疑問を呈し、特に終盤区間を大幅に変更するべきだと主張した。

    「ターン18と19はなくすべきだ。必要ない」

    ノリスが提案したのは、ターン17からターン20までを直線的につなぎ、その先に幅の広い低速コーナーを設置するレイアウトだ。

    「ターン17から20まで真っすぐにして、オースティンのターン1やターン10みたいに、もっと入口を広くすればいい」

    「大きなヘアピンにすれば、みんなにとってずっと良いチャンスが生まれるし、レースを楽しめるようになる。簡単にできる変更もあるし、ターン5、6、7みたいに少し難しいところもある」

    ノリスは記者会見でも、現在のレイアウトを見て「これで完璧だとどうして思えるのか分からない」という趣旨の厳しい評価を示した。

    ラッセル「長いストレートの先には追い抜き場所が必要」
    メルセデスのジョージ・ラッセルも、マドリンクには明確なオーバーテイクポイントが不足していると指摘した。

    「設計についてひとつだけ小さな不満があるとすれば、明確なオーバーテイクの機会がないことだと思う」

    「どんなサーキットでも、長いストレートの最後には明確なオーバーテイクのチャンスが必要だ。でも、ここで一番長いストレートの先には、あのタイトなラウンドアバウトのセクションがある。そこは変わってほしいところだ」

    キャデラックのバルテリ・ボッタスも、最長ストレートの後でさえ前を走るドライバーがポジションを守るのは「かなり簡単」だったと説明した。

    さらにボッタスは、セクター2からセクター3にかけてブラインドコーナーが多すぎることも問題視。低速走行中のマシンが見えにくい状況について、安全面から改善の余地があると語った。

    ターン5~6にも集中する批判
    特に多くのドライバーが問題視したのがターン5~6のシケインだった。

    ターン5は強いブレーキングを必要とするため、一見するとオーバーテイクポイントになり得る。しかし、進入部分にはバンプがあり、高い縁石に加えてコース幅も狭い。そのため、現代の大型化したF1マシンが2台並んで進入するのは難しい。

    ウィリアムズのアレックス・アルボンは、F2やF3でも同じ問題が表面化していたとして改修を求めた。

    「このコースは少し見直す必要があると思う。F3やF2のレースを見ていたか分からないけど、みんなシケインでサイド・バイ・サイドになって、その後はどちらがポジションを返すべきだったのかという話になっていた」

    「だから、特にあのコーナーは一番手を入れる必要があると思う」

    ボルトレトもターン5~6の存在そのものに疑問を示した。

    「どうすればいいのか僕には分からない。コーナーをもっと遅くしたとしても、何ができるんだろう。今の僕たちが乗っている大きなマシンでは難しい。1990年代のマシンだったら何かできたかもしれないけど、今はそうじゃない」

    サインツJr.はブラインド区間の安全性を懸念
    カルロス・サインツJr.は、オーバーテイクだけでなく安全面にも問題があると指摘した。

    特に高速で通過するブラインドのS字区間について、ジェッダやバクーと同様の問題が存在すると説明した。

    「ジェッダやバクーと同じで良くない。でもFIAは、新しいサーキットについて今後もこういう方向で進むことに満足しているように見える」

    「僕たちドライバーは、安全性をもっと改善していきたいという意見を伝えている。260km/h、270km/hで、先が見えないS字を走るのは間違いなく目を覚まされるような経験だし、本当にすべてが安全なのか考えさせられる」

    マドリンク スペイングランプリ

    アロンソ「広報担当でも走れる」ラ・モニュメンタルを酷評
    マドリンク最大の象徴として設計されたバンクコーナー、ターン12のラ・モニュメンタル(La Monumental)についても、期待されたほどドライバーの技量を試すコーナーにはならなかった。

    フェルナンド・アロンソは、現在のF1マシンでは簡単に全開で通過できるとして皮肉った。

    「ある意味では残念だ。この世代のマシンで、こういう素晴らしいサーキットに来て、ラ・モニュメンタルのターン12みたいなチャレンジがあるのに、ドライバーができることはほとんどない」

    そしてアストンマーティンの広報担当マイケル・クレイトンを引き合いに出した。

    「マイケルでもターン12を走れるよ。デプロイメントなしで全開だからね」

    アロンソはストリートサーキットそのものについても、常設サーキットほどマシンを限界まで攻めることができないとして、「僕は今でも普通のサーキットの方が好きだ」と語った。

    フェルスタッペンもラ・モニュメンタルの設計変更を提案
    マックス・フェルスタッペンもラ・モニュメンタルについて、バンクそのものは評価しながら、形状を逆にするべきだったとの考えを示した。

    「バンクがあるのはクールだけど、逆にするべきだったと思う。最初にもっとバンクをつけて、そこから徐々にフラットにしていく方が良かった」

    一方、フェルスタッペンは根本的にストリートサーキットを好んでいないことも強調した。

    「僕はストリートサーキットのファンじゃない。それはこれからも変わらない。スパみたいなサーキットを走る方がいつだって好きだ」

    「ここで彼らがやったこと、施設を作り上げた方法については、本当にいい仕事をしたと思う。でも、僕はストリートサーキットのファンじゃない」

    フェルスタッペンは決勝前からマドリンクではオーバーテイクポイントが見当たらないと指摘しており、その懸念は実際のレースでも現実のものとなった。

    初開催で浮き彫りになったマドリンクの課題
    マドリンクに対する評価は一面的ではない。ドライバーからはマドリードという開催地、会場の雰囲気、施設、予選で1周を攻める際のチャレンジについて好意的な声も多かった。金曜日の初走行でも、ドライバーは高速コーナーや壁との距離の近さによる難しさを評価していた。

    しかし、決勝レースとなれば話は別だった。

    長いストレートの先に明確な低速コーナーがないこと、ターン5~6の狭いシケイン、ブラインド区間の多さ、そして現代の大型F1マシンでは2台が並ぶスペースが不足していることなど、複数の問題が初開催で浮き彫りになった。

    実際、初開催のF1スペインGPはオーバーテイクの機会が限られ、レースの大部分が隊列状態となった。レース後にはマドリンクの改修を求める声が相次ぎ、すでに次回開催に向けた変更が議論されている。

    初開催を終えたマドリンクにとって、課題は明確になった。予選でドライバーを試すだけでなく、F1決勝で実際にバトルとオーバーテイクを生み出せるサーキットへ変えられるか。ノリスらが示した具体的な改修案が、2027年のF1スペインGPに向けてどこまで反映されるかが注目される。

  • F1初開催マドリンクは「モナコ以上に余裕なし」 初走行で見えた難所と追い抜き問題

    F1初開催マドリンクは「モナコ以上に余裕なし」 初走行で見えた難所と追い抜き問題

    F1スペインGPの舞台として初開催を迎えたマドリンクで、金曜日にFP1とFP2が行われた。シミュレーターだけでは把握できなかった新コースの特徴が明らかになり、ドライバーからは高速域で壁に迫るスリルと難しさを評価する声が相次いだ。

    一方で、タイヤのグレイニング、異なる性格のセクションを両立させるセットアップ、エネルギーデプロイ、そして追い抜きの難しさなど、決勝に向けた課題も浮き彫りになった。ジョージ・ラッセルは、その危険度について「スピードを考えればモナコよりマージンが少ない」と表現している。

    ジョージ・ラッセル「モナコよりマージンが少ない」
    FP1でトップタイムを記録したジョージ・ラッセルが強調したのは、マドリンクではミスをした際の逃げ場がほとんどないことだった。

    「純粋にスピードを考えれば、モナコよりもマージンが少ないサーキットだと思う」

    「モナコは壁がもっと近いけど、スピードが低い。ミスをしてもすぐ壁に突っ込むわけではないし、場合によっては立て直すこともできる。ロックアップで済むこともある。でも、ここはもっとマージンが少ない」

    特に問題になるのが、高速コーナー外側のバリアの形状だという。

    「すごく速いコーナーがたくさんあるけど、バリアがコース側に戻ってくるような場所がある。ワイドになって壁に当たると、マシンと同じ方向に壁が伸びているわけじゃない。壁のほうから自分に向かってくるような感じなんだ」

    マドリンクは市街地コースでありながら高速区間が多い。ピエール・ガスリーも「ジェッダとモナコを組み合わせたような感じ」と表現し、壁が急速に迫ってくる独特の緊張感を評価した。

    「本当に気に入った。すごくエキサイティングだったよ。アドレナリンが出るコースだ。どのコーナーでも壁がものすごい速さで迫ってくるから、ラインとコーナーへのコミットメントをものすごく正確にしないといけない」

    ラ・モニュメンタル(La Monumental)が最初の難所に
    マドリンクを象徴するのが、ターン12のラ・モニュメンタルだ。約500mにわたって最大24度のバンクが設けられ、ドライバーは約6秒間にわたってこの区間を走行する。

    初日の走行では、単純なコーナリング以上にトラフィックが問題になった。ブラインド区間で低速走行するマシンに追いつく場面が相次ぎ、FP1ではカルロス・サインツJr.とルイス・ハミルトンが危うく接触しかけた。FP2ではフェルナンド・アロンソもアタック中に低速のキャデラックに追いつき、不満を示した。

    ターン5、ターン7、ターン17も難所として挙げられている。特にターン17ではフェラーリ勢が苦戦し、ハミルトンとシャルル・ルクレールが何度もワイドになりながらバリアとの接触を回避した。

    「ものすごく難しいサーキットだ」とハミルトンは語った。

    「これまで経験した新しいコースの中では、ここかサウジアラビアが、マシンを理解して正しいラインを見つけるという意味で最も難しかったと思う」

    セットアップは「何を犠牲にするか」の戦い
    マドリンクは公道区間と専用に建設された区間を組み合わせたハイブリッド型サーキットであり、その性格の違いがセットアップを難しくしている。

    アストンマーティンのマイク・クラックは、高速区間、バンク、縁石への対応を1台のマシンで両立させる必要があると説明した。

    「非常に大きな妥協が必要だ。高速区間に対して必要なもの、バンクに必要な硬さ、縁石に対して必要な柔らかさがある」

    「どこを犠牲にして、別の場所で何を得るのかを最適化する作業になる。これで実走データが得られたので、さらに最適化できる部分がある」

    アウディのスポーティングディレクター、イニャキ・ルエダも同様の問題を指摘する。高速コーナーでは空力性能を引き出すために車高を低くして硬いマシンにしたい一方、ターン2などでは縁石を積極的に使う必要がある。

    「主なトレードオフは、空力のために低く硬く走らせることと、縁石を越えることの間にある」

    「ターン2では縁石を使うことがかなりのラップタイムにつながる。使わないという選択肢はない。でも、そのためには車高を上げて、もっと動くマシンにしたい。そこがトレードオフで、答えを見つけるのは難しい」

    マドリンク F1

    予想以上のグレイニング タイヤが最大の不確定要素
    初日にチームを驚かせたもうひとつの要素がタイヤだった。新しい舗装でグレイニングが発生する可能性は予想されていたものの、FP1では想定以上に激しく、各チームはFP2に向けてセットアップ変更を迫られた。

    ラッセルは、その状況を冗談交じりに表現した。

    「可能性はあると思っていた。新しい舗装ではよくあることだからね。グリップはすごく高いけど、かなり激しくスライドする。FP1のデグラデーションだったら、6ストップが一番速いレースになるんじゃないかと思ったくらいだよ!」

    「FP2では少し良くなったし、日曜日のレースではさらに改善すると思う。でも、ここが最大の疑問点だ」

    オスカー・ピアストリもロングランについて「タイヤのグレイニングを管理するのは悪夢だった」と振り返っている。

    金曜日にC2ハードを使用したのはアウディだけで、多くのチームが2セットを温存した。決勝ではハードタイヤが重要な役割を担う可能性が高い。

    「マシンキラー」の片鱗を見せたリンドブラッドのクラッシュ
    週末を前にウィリアムズ代表のジェームス・ボウルズはマドリンクを「マシンキラー」と表現し、赤旗が頻発する可能性を警戒していた。

    しかし、金曜日のF1走行は予想以上に落ち着いた展開となった。FP1では赤旗が一度も出ず、FP2で初めてセッションを止めたのがレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドだった。

    リンドブラッドはターン13でリアを失い、横向きになってバリアに衝突。フロントとリアのサスペンション、さらにフロントウイングにも大きなダメージを負った。

    高速域が多いマドリンクでは、小さなミスが軽微な接触では終わらない可能性がある。その意味では、リンドブラッドのクラッシュはボウルズが指摘していた「マシンキラー」としての一面を初めて示す出来事となった。

    追い抜きは「非常に難しい」 予選が週末の鍵
    初日の走行でもうひとつ明確になったのが、追い抜きの難しさだ。

    アレクサンダー・アルボンは、ブレーキングゾーンの多くが直線的ではなく、コーナーへの進入と組み合わされていることを問題視した。

    「ブレーキングゾーンをもう少し違った形にして、あまり角度をつけなければよかったと思う」

    「複合的なコーナーが多いから、日曜日の追い抜きを考えると守るのはかなり簡単そうだ。コースの真ん中にマシンを置けば、相手はなかなか横に並べない」

    「だからブレーキングで抜くというより、バッテリーのデプロイを使って抜く形になると思う」

    ラッセルも初日の終了後、追い抜きについて「非常に難しい」と予想した。

    ルクレールはFP2で実際に前車を抜こうとしたものの、大きなペース差があっても困難だったと明かしている。

    「予選が間違いなく週末の鍵になる。特にFP2では追い抜きを試してみたけど、かなり大きなペース差があっても、抜くのはものすごく難しいか、不可能だった」

    初走行を終えたマドリンクは、ドライバーから走る楽しさを評価される一方、高速域での壁との距離、タイヤのグレイニング、セットアップの妥協、そして追い抜きという複数の難題を突きつけた。決勝で順位を上げることが難しいのであれば、土曜日の予選でどこまで前のグリッドを確保できるかが、初開催のF1スペインGPを左右する最大のポイントになりそうだ。

  • F1スペインGP マドリンク解説:最高速340km/h モニュメンタルなど全22コーナー

    F1スペインGP マドリンク解説:最高速340km/h モニュメンタルなど全22コーナー

    2026年F1第14戦スペインGPが、マドリードに新設されたマドリンクで開催される。F1初開催となる全長5.414kmのコースは22のコーナーを備え、市街地区間と常設区間を組み合わせたハイブリッド型サーキットだ。

    予想最高速度は340km/h。最大24%のバンク角を持つ「モニュメンタル(La Monumental)」をはじめ、長いストレート、ブラインドコーナー、壁が迫るテクニカルセクションなど、性格の異なる区間が1周に凝縮されている。

    マドリンクの基本データ
    マドリンクは1周5.414kmで、コーナー数は22。決勝は57周で争われ、レース距離は308.399kmとなる。

    F1がマドリンクを走るのは今回が初めてとなるため、ラップレコードはまだ存在しない。コースはIFEMA Madridとバルデベバス周辺の公道と、新たに建設された常設区間を組み合わせて構成されている。

    ・コース全長:5.414km
    ・コーナー数:22
    ・決勝周回数:57周
    ・決勝距離:308.399km
    ・ラップレコード:なし
    ・予想最高速度:340km/h

    ターン1まではわずか200m 最長ストレートへ続く高速区間
    スタート/フィニッシュラインからターン1までは約200mしかない。スタート直後に右コーナーへ飛び込み、その後ターン3を通過すると、マドリンクで最も長いストレートへと入る。

    ここからマシンは一気に加速し、最高速域から強いブレーキングが要求される区間へと突入する。その先では高低差も加わり、ターン8には先が見えにくいブラインドのエイペックスが待ち受ける。

    ブレーキングポイントや路面のグリップ、実際の高低差など、シミュレーターだけでは完全に把握できない要素も多い。ドライバーにとって金曜日のFP1では、できるだけ早くコースの特徴をつかむことが重要になる。

    最大24%のバンク「モニュメンタル(La Monumental)」
    市街地区間を終えると、マドリンクは常設コース部分へと移行する。シケインを抜けた先に待っているのが、このサーキットを象徴するモニュメンタル(La Monumental)だ。

    全長約550mに及ぶこのバンクコーナーは最大24%の勾配を持つ。複数のレーシングラインを選択できるよう設計されており、異なるラインを使ったサイド・バイ・サイドのバトルも期待されている。

    周辺には約4万5000人の観客が入る予定で、マドリンク最大の観戦ポイントのひとつとなる。

    モニュメンタルを抜けると、再び全開で駆け抜ける高速コーナーが続く。しかし、その先ではコースの性格が大きく変化する。

    ラップ終盤は壁が迫るテクニカルセクション
    高速区間を抜けた後は壁が次第に近づき、ツイスティでテクニカルなセクションへと入っていく。

    ここでは高速区間とは異なり、正確なマシンコントロールが重要になる。壁との距離が近いため、わずかなミスが接触につながる可能性もある。

    そして最後に待っているのがタイトなターン22だ。この最終コーナーを立ち上がるとスタート/フィニッシュストレートへ戻るため、単独走行でのラップタイムだけでなく、レースでの追い抜きにも重要なポイントとなる。

    マドリンク F1 スペイングランプリ

    ストレートモードは2区間
    マドリンクには、2026年F1マシンの可動式エアロダイナミクスを使用するストレートモード区間が2カ所設定されている。

    ストレートモードではリアウイング上部のエレメントが開くと同時に、フロントウイング上部のエレメントも動く。これによって空気抵抗を減らし、ストレートで効率よく最高速度まで加速できるようになる。

    従来のDRSとは異なり、前走車とのタイム差によって使用できるかどうかが決まるシステムではない。ドライコンディションでは、指定された区間で毎周使用される。

    マドリンクで指定されているのは、スタート/フィニッシュストレートとターン3からターン4までの2区間だ。

    特にターン3から先はマドリンク最長のストレートとなるため、ストレートスピードやエネルギーマネジメントが重要になる。

    オーバーテイクモードの検知ポイントはターン22手前
    追い抜きを支援するオーバーテイクモードについては、1周につき1カ所の検知ポイントが設けられている。

    オーバーテイクモードは従来のDRSに代わる追い抜き支援システムで、追加の電気エネルギーを活用することで、ドライバーがより高い速度を長く維持できるようにする。

    指定された検知ポイントで前走車との差が1秒以内であれば、次のラップでオーバーテイクモードを使用することができる。

    マドリンクのオーバーテイク検知ポイントは、最終コーナーであるターン22への進入直前に設定されている。作動ラインはターン22出口にあり、そこからスタート/フィニッシュストレートへ向けてオーバーテイクモードを利用できる。

    そのため、ターン22までに前走車との差を1秒以内に保つだけでなく、最終コーナーをできるだけ接近した状態で立ち上がることが、ホームストレートでの追い抜きにつながる重要なポイントとなりそうだ。

    マドリードでのF1開催は初めてではない
    マドリンクでF1が開催されるのは今回が初めてだが、マドリードでスペインGPが行われるのは初めてではない。

    マドリード中心部から北へ約30km離れたハラマ・サーキットでは、1968年にF1スペインGPが開催された。

    当時はバルセロナのモンジュイック・サーキットと交互に開催され、スペインが国際的なモータースポーツの舞台として存在感を高める役割を担った。

    その後、モンジュイックで発生した死亡事故を受け、1976年から1979年まではハラマがスペインGPの開催地となり、1981年にもレースが行われた。ジェームス・ハントやマリオ・アンドレッティらがハラマで勝利を挙げている。

    その後、スペインGPはしばらくF1カレンダーから姿を消し、復活後はヘレス、そしてバルセロナが開催地として選ばれた。

    そして2026年、マドリンクの登場によってマドリードは再びF1世界選手権の舞台となる。

    F1 スペインGP マドリンク

    最高速340km/h マドリンクを知る5つのポイント
    F1公式サイトは、初開催となるマドリンクに関する5つのポイントを紹介している。

    まず、マドリンクはIFEMA Madridとバルデベバス周辺の公道と専用に建設された区間を組み合わせたハイブリッド型サーキットであること。

    マドリード出身のカルロス・サインツJr.にとっては、初めて本当の意味でのホームレースとなる。サインツJr.はマドリンクのサーキットアンバサダーも務めている。

    F1マシンの最高速度は約340km/hに達すると予想されている。

    最大のランドマークであるモニュメンタル(La Monumental)は全長約550mで、最大24%のバンクを備える。周辺では約4万5000人の観客がF1マシンの走りを見守ることになる。

    そしてマドリンクは、2023年にF1カレンダーへ加わったラスベガス以来となる新規デビューサーキットとなる。

    FP1で初めて明らかになるマドリンクの実像
    F3による走行やシミュレーターでの準備は行われているものの、F1ドライバーが実際にマドリンクを走るのは9月11日(金)のFP1が初めてとなる。

    最長ストレートで予想される340km/hの最高速、ブラインドとなるターン8、最大24%のバンクを持つモニュメンタル(La Monumental)、そして壁が迫る終盤のテクニカルセクション。さらにストレートモードとオーバーテイクモードをどこまで効果的に生かせるかも、レースを左右する要素になる。

    高速と低速、市街地と常設区間という異なる要素を全22コーナーに詰め込んだマドリンク。その本当の難しさとF1マシンでの攻略法が、初開催のF1スペインGPでいよいよ明らかになる。