F1イタリアGP決勝 詳報:アントネッリ19番手から大逆転で母国優勝 角田裕毅10位

F1イタリアGP決勝 詳報:アントネッリ19番手から大逆転で母国優勝 角田裕毅10位

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2026年F1第13戦イタリアGPの決勝が9月6日(日)、モンツァ・サーキットで行われ、メルセデスのキミ・アントネッリが19番グリッドから大逆転で優勝。ジョージ・ラッセルとの激しいチームメイト対決を制し、母国イタリアで歴史的な勝利を飾った。

2位にはラッセル、3位にはマックス・フェルスタッペンが入り、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが4、5位。ルイス・ハミルトンは6位まで挽回した。角田裕毅は10位でフィニッシュし、F1復帰後初ポイントを獲得した。

スタート直後から波乱 ラッセルがガスリーを攻略
ポールポジションからスタートしたピエール・ガスリーに対し、フロントローのラッセルが序盤からプレッシャーをかけた。2周目の第1シケインでラッセルがガスリーを抜き、トップへ浮上した。

その後方ではフェラーリ勢が早くも波乱に巻き込まれた。1周目、第1シケインを並んで立ち上がったシャルル・ルクレールとハミルトンが接近。ハミルトンはアウト側へ押し出されるような形でグラベルにタイヤを落とし、大きく順位を下げた。ハミルトンは無線でルクレールに「押し出された」と訴えたが、この一件はレーシングインシデントとしてそれ以上の調査は行われなかった。

ハミルトンは一時10番手付近まで後退。ホームレースで上位進出を狙っていたフェラーリにとって、厳しい立ち上がりとなった。

ルクレールがパラボリカで大クラッシュ 赤旗中断
フェラーリの悪夢はさらに続いた。2周目終盤、ルクレールが高速右コーナーのパラボリカで突然リアを失い、単独でタイヤバリアへ激しくクラッシュした。

ルクレールにけがはなかったものの、SF-26は大破し、バリアにも大きな損傷が発生。レースは赤旗中断となり、修復作業のため約30分にわたって止められた。

赤旗時点でラッセルがトップ、ガスリーが2番手。序盤からポジションを上げていたアントネッリは、19番グリッドからすでに12番手まで浮上していた。

赤旗中はタイヤ交換が認められるため、各チームの戦略も大きくリセットされた。


再スタート前に角田裕毅のスタート手順で仕切り直し
レースはスタンディングスタートで再開されることになったが、グリッド整列時に角田裕毅のスタート手順を巡る問題が発生。スタートは一度中止され、エクストラフォーメーションラップが行われた。

角田裕毅についてはスタート手順違反の疑いでレース後の審議対象となった。

再スタート後はラッセル、ガスリー、フェルスタッペンを中心に激しい上位争いが展開され、その後方からアントネッリが猛烈な勢いで順位を上げていった。

ハミルトンが挽回 ガスリーは徐々に後退
1周目のアクシデントで順位を落としたハミルトンは、再スタート後に反撃を開始。10周目にはガスリーを抜き、再び上位争いへ戻った。

ピアストリ、アントネッリも相次いでガスリーを攻略。予選で衝撃的なポールポジションを獲得したアルピーヌは、決勝ではトップ勢のレースペースについていくことができず、徐々に順位を落としていった。

フェルスタッペンが首位浮上 アントネッリは13周で3番手
12周目、フェルスタッペンがメインストレートでラッセルに接近し、第1シケインでオーバーテイク。レッドブルをトップへ押し上げた。

しかし、レースの主役になりつつあったのはアントネッリだった。19番手スタートから次々と前車を攻略し、13周目には早くも3番手まで浮上。わずか13周で16台を抜き、チームメイトのラッセルの背後まで迫った。

ラッセルはハード、アントネッリはミディアムと異なるタイヤを履いており、このタイヤ差が後半の戦略にも大きく影響することになった。

ラッセルが首位奪還 アントネッリもフェルスタッペンを攻略
15周目、ラッセルがクルバ・グランデでフェルスタッペンに接近し、第2シケインでオーバーテイク。再びトップに立った。

その直後、アントネッリもフェルスタッペンを攻略して2番手へ浮上。16周目の時点でメルセデス勢が1-2体制を築いた。フェルスタッペンは無線でリアアクスルに問題があると訴えていた。

19番手からスタートしたアントネッリは、レース序盤だけで一気に優勝争いへ加わることになった。

メルセデス同士が激突 ラッセルとアントネッリが首位を奪い合う
レース中盤は、タイトルを争うラッセルとアントネッリによるメルセデス同士の直接対決となった。

22周目、ラッセルが第1シケインでアントネッリを抜いてトップへ浮上。しかしラッセルがワイドになると、アントネッリが切り返し、第2シケインで首位を奪い返した。

23周目にはラッセルが再び第1シケインで前へ。2人は何度もポジションを入れ替えながら激しく争った。

メルセデスは24周目、2台にバトルを止めて後続との差を広げるよう指示。翌周にはアントネッリにラッセルの後方を維持し、フェルスタッペンとの差を築いた後に順位を入れ替える方針を伝えた。

アントネッリは指示に従って一旦ラッセルの後方に収まったものの、タイトルを争う2人だけに緊張感の高い展開が続いた。


アストンマーティン・ホンダは2台リタイア
27周目までにフェルナンド・アロンソがマシンダメージの疑いによってリタイア。ピットへ戻ってレースを終えた。

さらに28周目、ランス・ストロールも油圧系トラブルの疑いでマシンを停止。アストンマーティン・ホンダは2台ともチェッカーを受けることができなかった。

ストロールがコース脇にマシンを止めたことでVSC(バーチャル・セーフティカー)が導入され、このタイミングが優勝争いを大きく動かすことになる。

VSCでアントネッリが新品ミディアム ラッセルはステイアウト
VSC導入を見たメルセデスは、アントネッリをすぐにピットへ呼び込んだ。アントネッリは新品のミディアムタイヤへ交換。フェルスタッペンも同時にピットインした。

一方、トップのラッセルはステイアウトを選択。長く使ったハードタイヤでトラックポジションを守る戦略を採った。

アントネッリは6番手でコースへ復帰。ラッセルには大きな位置的アドバンテージがあったが、アントネッリには圧倒的に新しいタイヤという武器が残された。

ここから、レースは「トラックポジションのラッセル対フレッシュタイヤのアントネッリ」という構図へ変化した。

アントネッリが猛烈な追撃 次々と前車を攻略
VSC解除後、アントネッリは新品ミディアムの性能を生かして猛追を開始した。

ガスリーを抜いて5番手に上がると、続いてノリスも攻略。ファステストラップを記録しながら前との差を削り、さらにハミルトン、ピアストリも突破した。

37周目にはピアストリを抜いて2番手へ浮上。この時点でトップのラッセルとの差は8.9秒だったが、アントネッリは1周ごとに大幅に差を縮めていった。

一方、フェルスタッペンも後半にペースを取り戻し、ハミルトン、ピアストリを攻略。43周目には3番手へ浮上した。

ラッセルのハードが限界 アントネッリが急接近
40周を超えると、ラッセルのハードタイヤは明らかに厳しくなり始めた。

45周目にはアントネッリとの差が3.9秒まで縮まり、46周目には2.8秒。47周目には2秒を切った。

ラッセルはチームから「リスクを取らずに持ち帰れ」と指示される一方、アントネッリは毎周数コンマずつ差を詰め続けた。

48周目には1秒以内に入り、オーバーテイクモードも使用可能な状態に。勝負は完全に射程圏内へ入った。

アントネッリがグラベルへ飛び出すも再び追撃
49周目、アントネッリはラッセルを抜こうとメインストレートで仕掛けた。

しかし、アタックの途中でラインを外し、グラベルへ飛び出す痛恨のミス。それでもマシンを止めることなく脱出し、2番手を維持した。

一度は勝機を失ったかに見えたが、アントネッリはタイヤについた汚れをすぐに落とし、再びラッセルの背後へ接近した。

残り3周で逆転 26回目のオーバーテイクで首位へ
50周目、アントネッリは再びラッセルを攻め、アスカリでついにオーバーテイク。レース26回目の追い抜きで首位に立った。

19番グリッドからスタートし、一度は終盤にグラベルへ飛び出しながらも、アントネッリは遂にトップへ到達した。

ラッセルは44周以上を走ったハードタイヤで反撃を試みたものの、フレッシュタイヤを履くアントネッリとの差を埋めることはできなかった。

アントネッリは残り周回をコントロールし、そのままトップでチェッカーを受けた。

アントネッリが今季7勝目 1966年以来のイタリア人勝者
アントネッリは19番グリッドから大逆転を成し遂げ、2026年シーズン7勝目を獲得。母国イタリアGPで劇的な勝利を飾った。

イタリア人ドライバーがイタリアGPを制するのは、1966年のルドビコ・スカルフィオッティ以来60年ぶり。モンツァの大観衆の前で、アントネッリは歴史に残るP19からP1へのカムバックを完成させた。

タイトル争いでも大きな意味を持つ勝利となった。今回、アントネッリはPU交換ペナルティで19番手スタートとなり、ラッセルにとっては選手権ポイント差を縮める絶好の機会だった。

しかし結果は正反対となり、アントネッリが優勝、ラッセルが2位。両者のポイント差は59点から66点へと拡大した。

フェルスタッペン3位 ノリスがマクラーレン対決制す
フェルスタッペンは序盤に一時トップへ立ち、リア周辺の問題を訴えながらも最後まで粘って3位表彰台を獲得した。

その後方ではマクラーレンのノリスとピアストリが終盤まで接戦を展開。最終的にはノリスが4位、ピアストリが5位となった。

ハミルトンは1周目の後退から6位まで挽回。フェラーリはルクレールが序盤にクラッシュしたため、ホームレースで表彰台を逃す厳しい結果となった。

ポールポジションからスタートしたガスリーは7位。レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドが8位、アルピーヌのフランコ・コラピントが9位に入った。

角田裕毅が10位 F1復帰後初ポイント
角田裕毅は10位でフィニッシュし、最後の1ポイントを獲得した。

レーシングブルズから代役としてF1復帰して以降では初のポイント獲得となり、モンツァで貴重なトップ10フィニッシュを記録した。

一方、アストンマーティン・ホンダはアロンソとストロールがともにリタイア。ルクレールを含め3台がチェッカーを受けることができなかった。

波乱の赤旗、メルセデス同士の首位争い、VSCによる戦略分岐、そして終盤の逆転。2026年F1イタリアGPは、19番手から26回ものオーバーテイクを重ねたアントネッリが母国で歴史的な勝利をつかむ劇的な一戦となった。

イタリアグランプリ

66点差に拡大 ラッセルには痛恨の敗戦
今回の結果は、ドライバーズ選手権にも大きな意味を持つものとなった。アントネッリはイタリアGP前までラッセルに59点差をつけていたが、19番手スタートという不利な状況にもかかわらず優勝。2位に終わったラッセルとの差を66点へと広げた。

ラッセルにとっては、アントネッリがPU交換ペナルティを受けたモンツァは大量にポイント差を縮める絶好の機会だった。それだけに、逆に後方から追い上げてきたタイトル争いのライバルに敗れたダメージは大きい。

現在ラッセルはランキング2位を維持しているものの、3位ハミルトンとの差は10点。一方でアントネッリの66点リードは、仮に2戦連続でノーポイントに終わったとしても、ラッセルが2連勝した場合になお16点の余裕が残る計算となる。

「Kimi」の大合唱 モンツァが歓喜に包まれる
チェッカー後のモンツァは、地元イタリア人ドライバーの歴史的勝利に沸いた。

表彰台の下には大勢のファンが集まり、イタリア国旗が振られる中、トリコローレのスモーク、紙吹雪、花火がサーキットを彩った。アントネッリがイタリア国旗を掲げると、スタンドとコース上からは「Kimi」の大合唱が起こった。

表彰台に姿を見せた20歳のアントネッリは感極まった表情を浮かべ、イタリア国歌では胸に手を当てて歌った。1966年以来60年ぶりとなるイタリア人によるイタリアGP制覇。19番手からの大逆転という内容も含め、モンツァの歴史に残る一日となった。