2026年F1第12戦オランダGPのフリー走行1回目がザントフォールト・サーキットで行われ、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリが1分12秒949でトップタイムを記録した。ランド・ノリス(マクラーレン)が0.121秒差の2番手、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が0.125秒差の3番手に続いた。
今週末は負傷したアイザック・ハジャーが欠場し、リアム・ローソンがレーシングブルズからレッドブル・レーシングに昇格。そのローソンに代わって角田裕毅がレーシングブルズからF1復帰を果たした。
角田裕毅は35周を走行し、1分15秒110で17番手。ローソンは14番手だった。
■ 雨上がりのザントフォールト インターからスリックへ
スプリントフォーマットで開催されるオランダGPでは、60分間のFP1が週末唯一のフリー走行となる。セッション前には雨が降り、路面には水分が残った状態でスタートした。
気温は18度、路面温度は24度。風も強く、海岸に近いザントフォールトでは風によって砂がコース上に運ばれる可能性もあり、グリップレベルを読みづらいコンディションとなった。レーシングラインは急速に乾いていき、ニコ・ヒュルケンベルグも無線で「かなりドライだ」と報告。序盤からスリックタイヤへの切り替えが始まった。
角田裕毅はまずハードタイヤでコースイン。一方、オスカー・ピアストリはインターミディエイトから早々にミディアムへ交換し、カルロス・サインツJr.はソフト、アービッド・リンドブラッドはハードを選択するなど、各チームで異なるタイヤプログラムが展開された。
ウィリアムズのサインツJr.はターン13でコースアウトしてグラベルに飛び出した後、ターン11でも再びコースを外れるなど苦戦。最初のコースアウトでフロアにダメージを負い、最終的に1分16秒345で22番手に終わった。
■ アントネッリが序盤から速さ スピンを喫する場面も
ドライタイヤでの走行が本格化すると、アントネッリがミディアムで1分18秒264をマークしてトップへ。その後も路面コンディションの改善に伴ってタイムは急速に縮まった。
アントネッリはセッション中盤にもミディアムでラッセルを0.094秒上回るなど速さを示したが、折り返しを前にターン10出口でスピンを喫する場面もあった。「何が起きたのか分からない」と無線で伝えたものの、マシンにダメージはなく走行を続けた。
終盤にはソフトタイヤでクリーンなアタックをまとめ、1分12秒949までタイムを短縮してトップに浮上。最終的にノリスを0.121秒、ラッセルを0.125秒上回り、メルセデスが1番手と3番手を占めた。
■ フェラーリも好ペース ハミルトンとルクレールが一時トップ
中盤にはルイス・ハミルトンがミディアムで1分14秒742を記録し、アントネッリを抑えて首位に浮上。フェラーリは低速コーナーを特徴とするザントフォールトとの相性が良いと予想されており、序盤からその期待を裏付けるペースを見せた。
終盤のソフトタイヤでのアタックではシャルル・ルクレールが1分13秒347をマークして一時トップ。ヒュルケンベルグのトウを利用してタイムを伸ばした。その直後にはハミルトンもピアストリのトウを得てルクレールを上回った。
最終結果はハミルトンが1分13秒139で4番手、ルクレールが1分13秒238で5番手。トップのアントネッリからハミルトンまでわずか0.190秒に3チーム4台が入った。
■ ノリス2番手 トウも重要な要素に
マクラーレンではノリスが1分13秒070で2番手。終盤には元チームメイトのサインツJr.からトウを得て一時トップに立つなど、ストレートでのトウがラップタイムを左右する場面も目立った。
ピアストリは1分13秒608で6番手。ソフトタイヤを履いた直後には最初の2セクターで全体ベストを刻み、一時は後続に約0.5秒差をつけてトップに立つ速さを見せた。
タイヤ使用を見ると、ノリスとピアストリはインターミディエイトを短く使用した後、ミディアムを中心に走行し、最後にソフトでアタック。ノリスは30周、ピアストリは35周を走った。
■ アウディが7、9番手 ハードとミディアムでも競争力
中団ではアウディの速さが目を引いた。ヒュルケンベルグはソフトを使用せず、ハードからミディアムへとつなぐプログラムながら1分13秒784を記録して7番手。ガブリエル・ボルトレトも1分13秒992で9番手に入った。
アウディは夏休み前に投入したアップグレード以降、3戦連続でポイントを獲得しており、ザントフォールトでもその上昇傾向を示した。特にヒュルケンベルグがミディアムで上位に食い込んだ点は注目される。
アルピーヌのピエール・ガスリーも1分13秒911で8番手。今回アルピーヌが持ち込んだアップグレードはガスリー車だけに装着されており、チーム側も空力パッケージについて好感触を示した。
■ フェルスタッペン11番手 レッドブルはハード中心
ホームレースを迎えたマックス・フェルスタッペンは1分14秒325で11番手。レッドブルは他の上位勢とは異なり、フェルスタッペンにハードタイヤを中心としたプログラムを組ませた。
マシンにはフロントウイング後方付近にフロービズが塗られ、アップグレードの空力データを収集。フェルスタッペンはロックアップを喫したほか、オーバーステアからグラベルに飛び出す場面もあり、アンダーステアやオーバーステア、ダウンシフトについても不満を訴えた。
フェルスタッペンは25周を走行。タイヤデータを見るとハードを中心に使用しており、ソフトでタイムを出した上位勢とはプログラムが異なるため、11番手という順位をそのままレッドブルの競争力と捉えることはできない。
■ ローソンは14番手 フェルスタッペンから0.536秒差
ハジャーの代役としてレッドブルに戻ったローソンは30周を走行し、1分14秒861で14番手。チームメイトのフェルスタッペンが記録した1分14秒325からは0.536秒差だった。
序盤はハードを中心に走り、RB22への習熟を進めた。セッション中盤にはトップ10圏内を走行し、F1公式でも順調なスタートとして評価されていた。
しかし、終盤にソフトタイヤを装着してタイムアタックに入った際、レーシングライン上を低速走行していたキャデラックに追いついてアタックを阻まれた。ローソンは無線で「彼らが何をしていたのか全く分からない」と不満を示しており、F1公式も14番手という結果についてソフトで代表的なタイムを残せなかったとしている。
そのため、フェルスタッペンから0.536秒という数字についても注意が必要だ。フェルスタッペン自身がハード中心の異なるプログラムだったことに加え、ローソンはソフトでクリーンなアタックを完了できておらず、両者の純粋なパフォーマンス差を示すものではない。
■ 角田裕毅は35周を走破 リンドブラッドから0.825秒差
ローソンのレッドブル昇格に伴ってレーシングブルズからF1復帰した角田裕毅は、1分15秒110で17番手。チームメイトのリンドブラッドは1分14秒285で10番手となり、その差は0.825秒だった。
角田裕毅にとっては、2026年型マシンをレースウイークで本格的に走らせる最初の機会となった。序盤はハードタイヤでコースインし、その後もハードを中心に周回。タイヤデータではインターミディエイトも短時間使用し、最後はミディアムで11周のスティントを走っている。
ソフトタイヤでタイムを出した多くのドライバーとは異なり、角田裕毅の最終タイムはミディアムで記録したもの。リンドブラッドも最終的にはミディアムを使用しているため完全な異条件ではないが、角田裕毅にとってはまずマシンへの適応とデータ収集を優先したセッションだったとみられる。
F1公式もセッション中盤の角田裕毅について、14番手ながら堅実なセッションを送っていると評価。終了後にも、2026年型マシンを本格的に経験したことで、ここからさらに改善していくだろうとの見方を示した。
■ ホンダ新型PUのアストンマーティン アロンソはトップから1.562秒差
今回のオランダGPでは、ホンダが新型パワーユニットをアストンマーティンに投入。その初実戦セッションとなったFP1で、フェルナンド・アロンソは1分14秒511を記録して12番手となった。トップのアントネッリからは1.562秒差だった。
アロンソは25周を走行し、タイヤはインターミディエイトからミディアム、最後にソフトを使用。チームメイトのランス・ストロールは1分15秒199で18番手となり、アロンソが0.688秒上回った。
ホンダの新型PUは数週間前にハンガリーで行われたフィルミングデーで初走行しており、ザントフォールトが公の場での実戦デビューとなった。事前のシェイクダウンでは大きな問題は報告されず、ホンダは開発目標を達成したとしている一方、実際の性能向上幅については慎重な姿勢を示している。
FP1のアロンソはトップから1.562秒差となったが、ウェットからドライへ変化する路面状況に加え、各車でタイヤプログラムも異なっており、このタイム差だけで新型PUの効果を判断することはできない。スプリント予選以降、より同条件に近い状況でアストンマーティンがどこまでタイムを縮められるかが注目される。
■ タイヤ選択の違いで順位以上に読みにくい勢力図
今回のFP1では路面がウェットからドライへ変化したことに加え、各チームのタイヤプログラムにも大きな違いがあった。
アントネッリ、ノリス、ラッセル、ハミルトン、ルクレール、ピアストリら上位勢は最終的にソフトを使用。一方、7番手ヒュルケンベルグはミディアム、8番手ガスリーはハード、9番手ボルトレトと10番手リンドブラッドはミディアム、11番手フェルスタッペンはハード、17番手の角田裕毅はミディアムでセッションを終えた。
そのため、FP1の順位表だけで各チームの純粋なパフォーマンスを判断するのは難しい。特にヒュルケンベルグの7番手はソフトを使わずに記録したもので、アウディの競争力を示す結果となった。一方、レッドブルもフェルスタッペンがハード中心、ローソンはソフトでのアタックをトラフィックに阻まれており、11番手と14番手という順位だけでは実力を測れない。
トップ4は0.190秒以内に収まり、メルセデス、マクラーレン、フェラーリの3チームが接近。F1公式もトップチーム間にはほとんど差がないと分析しており、風とトラフィック、さらにトウの影響が加わるスプリント予選では、FP1以上に僅差の争いとなる可能性がある。
角田裕毅にとっては復帰直後に迎えるスプリント予選となる。わずか1時間のFP1で35周を重ねた経験をどこまで生かし、レーシングブルズで一発のタイムを引き出せるかが次の焦点となる。

■ F1オランダGP フリー走行1回目 結果
1.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) 1分12秒949
2.ランド・ノリス(マクラーレン) 1分13秒070
3.ジョージ・ラッセル(メルセデス) 1分13秒074
4.ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 1分13秒139
5.シャルル・ルクレール(フェラーリ) 1分13秒238
6.オスカー・ピアストリ(マクラーレン) 1分13秒608
7.ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ) 1分13秒784
8.ピエール・ガスリー(アルピーヌ) 1分13秒911
9.ガブリエル・ボルトレト(アウディ) 1分13秒992
10.アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ) 1分14秒285
11.マックス・フェルスタッペン(レッドブル) 1分14秒325
12.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) 1分14秒511
13.フランコ・コラピント(アルピーヌ) 1分14秒826
14.リアム・ローソン(レッドブル) 1分14秒861
15.オリバー・ベアマン(ハース) 1分14秒874
16.エステバン・オコン(ハース) 1分14秒897
17.角田裕毅(レーシングブルズ) 1分15秒110
18.ランス・ストロール(アストンマーティン) 1分15秒199
19.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ) 1分15秒357
20.バルテリ・ボッタス(キャデラック) 1分15秒580
21.セルジオ・ペレス(キャデラック) 1分15秒700
22.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) 1分16秒345
