カテゴリー: レッドブル・レーシング

  • レッドブル、立場転換 メルセデスF1エンジン“抜け穴”問題で他OEM側に合流

    レッドブル、立場転換 メルセデスF1エンジン“抜け穴”問題で他OEM側に合流

    レッドブルが、2026年F1レギュレーションを巡るメルセデスのF1エンジン“抜け穴”問題で、これまでの立場を転じる可能性が浮上した。

    報道によれば、これまで静観、あるいは黙認と見られていたレッドブルが、アウディ、フェラーリ、ホンダといった他のF1エンジンメーカー側と足並みを揃える方向に傾いているという。

    圧縮比を巡る解釈の違いが発端となったこの問題は、FIAやパワーユニット諮問委員会(PUAC)を巻き込む議論へと発展し、2026年F1エンジン勢力図を左右しかねない局面を迎えている。

    この“抜け穴”を巡る騒動が表面化したのは先月のことだ。新しい50:50配分のV6ハイブリッドでは圧縮比が16:1と規定されているが、メルセデスとレッドブルのパワートレイン部門はいずれも、圧縮比は外気温条件で測定されるという前提でパワーユニットを開発してきたとされている。

    その解釈に基づけば、走行中に温度が上昇した状態では、実質的に18:1まで高められる余地が生まれる。これは、内燃機関80:ハイブリッド20だった前レギュレーション周期と同じ数値だ。

    レッドブル・パワートレインズの責任者ベン・ホジキンソンは、フォードと共同開発した自社エンジンは完全に合法であると断言していた。また今週には、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフも、自陣のパワーユニットについて「レギュレーションの書き方に合致している」と主張し、不満を示すライバル勢に対して強気の姿勢を崩していない。

    元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーも、他のOEMであるアウディ、フェラーリ、ホンダがFIAに説明を求めて会合を要請する中で、メルセデスとレッドブル双方の独創性を評価する発言をしていた。

    エンジン F1

    レッドブルの立場転換が示す“実利”の判断
    一方で、これら3メーカーは、圧縮比を高温状態で測定できるようにルールを変更することを求めているとみられている。この変更が実現すれば、メルセデスは不利な立場に置かれる可能性がある。

    イタリア紙の報道では、FIAがこの案に前向きな姿勢を示したとも伝えられているが、現時点で公式な確認はなされていない。

    そうした中、別の報道によれば、FIAおよびPUACとの追加会合を経て、レッドブルが現在、アウディ、フェラーリ、ホンダと同じ立場に立っていることが明らかになったという。

    これは、ホジキンソンが抜け穴の使用を公に認め、その合法性に強い自信を示していた経緯を考えれば、極めて意外な動きといえる。

    背景には、レッドブル自身の解釈による抜け穴の活用では、想定していたほどのパフォーマンス上の利点が得られない可能性が判明したことがあるとみられている。

    仮にレッドブルが他の3メーカーと足並みを揃えれば、規則変更にはいわゆる「特別多数決」が必要となり、メルセデスにとっては不利な展開に見える。

    ただし、PUACの規定では、即時のルール書き換えにはFIAとFOMの同意も必要とされている。かつてのFISAとFOCAによる対立の時代はすでに過去のものとなっており、両者が同じ方向で投票する可能性は高いと考えられている。

    現時点までの兆候を見る限り、統括団体はメルセデスの解釈とその活用を容認してきた。

    FIAのシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは以前、新レギュレーションの抜け穴を突く行為は「自殺行為」になり得ると述べていたが、ヴォルフはFIA、そして会長のモハメド・ビン・スライエムを含め、組織全体がメルセデスと同じ認識にあると語っている。

    「我々が世界をどう見ているかは、今日のFIAの見解そのものだ」とヴォルフは述べた。

    「それがFIAの言ったことであり、会長自身の言葉でもある。その意味では今後を見守るしかないが、我々は自分たちの立場に強い確信を持っている」

  • マクラーレンが警戒 テストで浮かび上がったレッドブルF1の「想定外の強さ」

    マクラーレンが警戒 テストで浮かび上がったレッドブルF1の「想定外の強さ」

    2026年F1新レギュレーション初年度を前に行われたバルセロナでのシェイクダウンテストで、マクラーレンが強く警戒する存在として浮かび上がったのが、レッドブルの競争力だった。走行距離と信頼性の両面で安定した姿を見せたレッドブルは、ライバル勢にとって想定外のインパクトを残した。

    マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンもテスト後、レッドブルの仕上がりを率直に評価し、その完成度の高さに驚きを示している。

    開幕まで残された準備期間が限られる中、レッドブル・レーシングの存在感は2026年シーズン序盤の勢力図を占う重要な要素となりつつある。

    新レギュレーション導入を目前に控え、全11チームは1月に行われたバルセロナでのシェイクダウンを経て、公式プレシーズンテスト初回へ向けた最終段階に入っている。今回のプライベートテストでは、ウィリアムズを除く全チームがカタルーニャ・サーキットに集まり、5日間の期間中に最大3日間の走行を実施した。

    信頼性の面では、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリが500周を走破したメルセデスが際立つ結果を残した。非公式タイムではルイス・ハミルトンがトップに立ったものの、週を通じて最大のサプライズと受け止められたのは、レッドブルの安定した走りだった。

    もっとも、レッドブルとマクラーレンのテストは順風満帆とは言えなかった。レッドブルでは、マックス・フェルスタッペンの新チームメイトであるアイザック・ハジャーが2日目終盤にクラッシュを喫し、交換部品の到着を待つため走行計画が中断される場面があった。

    一方のマクラーレンも、オスカー・ピアストリが2日目の大半をガレージで過ごすことになり、テストを早期に切り上げる判断を下している。ピアストリは後に燃料システムの問題が発生していたことを明かし、最終日に再び走行できた後も、パワーユニットに関する課題を示唆していた。

    マクラーレン F1 レッドブル・レーシング

    ザク・ブラウン、レッドブルについて「あれほど競争力がないほうがよかった」
    新レギュレーション初年度という事情もあり、プレシーズンテストでの技術的トラブルは想定内とされている。ただ、その中でレッドブルの初の自社製パワーユニットは、これまでのところ高い信頼性を示しており、ライバル陣営に強い印象を与えている。

    レッドブル・パワートレインズを搭載する新型マシンは、エナジードリンク大手がワークスチームとして機能していることを早くも証明する形となった。インディアナポリスで行われたマクラーレン・レーシング・センターのオープニングに出席したブラウンは、2026年シーズンでタイトル防衛を目指す自チームにとって、レッドブルが脅威になり得るとの認識を隠さなかった。

    「レッドブルのエンジンは非常に強力だった」とブラウンは認めている。

    「あれほど競争力がないほうがよかったが、彼らが成し遂げたことには感心している。多くの周回を重ね、とても競争力があるように見える」

    2026年F1シーズンは、3月8日に行われるオーストラリアGPで幕を開ける。それに先立ち、公式プレシーズンテスト第1回は2月11日から13日までバーレーンで実施され、第2回は2月18日から20日まで続く。限られた準備期間の中で、各チームがどこまで完成度を高められるかが、開幕戦の勢力図を左右することになりそうだ。

  • レッドブルF1の“歴史的巻き返し” メキースが明かす鍵は「見えない2000人」

    レッドブルF1の“歴史的巻き返し” メキースが明かす鍵は「見えない2000人」

    レッドブル・レーシングは、2025年F1シーズン終盤にかけて著しい復調を見せ、マックス・フェルスタッペンが5年連続タイトルにあと一歩まで迫る展開となった。シーズン中盤には勢いを失い、タイトル争いから脱落したと見なされていた中での劇的な巻き返しだった。

    レッドブルF1代表に就任したローラン・メキースは、昨季終盤を成功と呼べる形で締めくくれた理由について、チーム内部の“見えない存在”に最大限の賛辞を送った。

    「この巻き返し、あの驚くべきパフォーマンス回復の功績は、とてもシンプルだ」とメキースは語った。

    「ミルトンキーンズにいる、我々が普段目にすることのない2000人の人々だ。彼らは決して諦めなかった」

    「シーズン前半がどれほど厳しかったか、シーズン途中に行われた変化がどれほど消化の難しいものだったか、それは関係なかった」

    「彼らはただ、諦めたくなかった。それこそが、彼らが成し遂げた“歴史的な巻き返し”の正体だ」

    シーズン中盤、レッドブルの失速によってマクラーレンが勢いを増し、フェルスタッペンはタイトル争いの圏外と見られるようになった。8月末のオランダGP終了時点で、フェルスタッペンはドライバーズランキング首位から104ポイント差をつけられていた。

    しかしその後、フェルスタッペンは10戦連続表彰台という快進撃を見せ、そのうち6勝を挙げるなど猛追。最終的には、5年連続王座までわずか2ポイント差に迫るところまで巻き返した。

    レッドブル・レーシング

    メキースは、こうした復活劇の裏にあったのは、現場に姿を見せないスタッフたちの結束力だと強調する。

    「すべてが噛み合い始めた背景には、彼らがいる。表に出ない“彼らこそ”が、この流れを作った」

    レッドブルはシーズン終盤にかけてもマシン開発を継続し、フェルスタッペンに最大限の武器を与えるため、セットアップ面でも果敢なトライを続けた。

    その判断は常に成功したわけではなかったが、メキースはそのリスクを取る姿勢こそが、チームの本質だと語る。

    「少しのパフォーマンスを引き出し、そこからさらにリスクを取る。そうすると、転ぶこともある」とメキースは述べた。

    「ブダペストを覚えているだろうし、ブラジルの予選も覚えているはずだ」

    「リスクはタダではない。何事もタダではない。リスクを取れば転ぶこともある。でも、立ち上がって、またレースを愛する。それが我々だ」

    「マックスも同じ船に乗っているし、2000人のスタッフも同じ船に乗っている。株主も同じだ」

    「そこにこそ秘密がある。諦めない、ひとつにまとまった集団。それがすべてだ」

  • クリスチャン・ホーナー「不正ではない」F1エンジン圧縮比論争に反論

    クリスチャン・ホーナー「不正ではない」F1エンジン圧縮比論争に反論

    クリスチャン・ホーナーは、現在F1界で議論を呼んでいるエンジンの圧縮比を巡る論争について、初めて自身の見解を示し、レッドブルとメルセデスの両陣営を擁護した。

    この論争は、レッドブル・パワートレインズとメルセデスHPPが、2026年F1レギュレーション下で圧縮比18:1を実現できるパワーユニットを開発しているのではないか、という報道をきっかけに広がった。規則上、圧縮比の上限は16:1と定められている。

    現在、圧縮比はピットレーンで周囲温度の状態で測定されており、走行中のマシンで圧縮比を測定する技術は存在しない。そのため理論上は、熱で膨張する金属をパワーユニットの設計に用いることで、シリンダー容積を増加させ、より大きな出力を生み出すことが可能になるとされている。

    仮に18:1の圧縮比を実現できるエンジンを使用した場合、オーストラリアGPのアルバート・パークでは1周あたり約0.3秒、58周の決勝レース全体では17.4秒ものアドバンテージを得られる可能性があると考えられている。

    この問題を受け、FIAとパワーユニットメーカーの間で協議が行われており、FIAのシングルシーター部門責任者であるニコラス・トンバジスは、測定方法に関する解決策が見つかるとの見通しを示している。また、アウディ、フェラーリ、ホンダ系のチームが抗議を起こすことはないとも語っている。

    2025年7月にレッドブルを去る前にレッドブル・パワートレインズを立ち上げたホーナーは、オーストラリアでの講演ツアーを前に出演した現地テレビ番組で、この問題について初めて口を開いた。

    「それはかなり強い表現だ」とホーナーは、「メルセデスHPPとレッドブル・パワートレインズが“野生のヤマネコのように不正をしている”」という指摘を突きつけられた際に語った。

    「フォーミュラ1とは、限界を押し広げるものだ。レギュレーションをどう解釈するかがすべてで、昔からそうだったし、これからも変わらない」

    「最も保守的なチームは、決してグリッドの先頭に立てない。常に限界を攻め続けなければならない」

    「もちろん重要なのは、レギュレーションをどう解釈するかという点だ。そして、地球上でも最も優秀なエンジニアたちが、その規則を見て『どうすればパフォーマンスを最大化できるか』と考えている」

  • ウィリアムズF1代表、レッドブルPUの信頼性を絶賛「本当に圧倒的だ」

    ウィリアムズF1代表、レッドブルPUの信頼性を絶賛「本当に圧倒的だ」

    ウィリアムズは2026年F1レギュレーション初年度に向けた最初のバルセロナ・テストウィークに参加できなかった唯一のチームとなった。だが、チーム代表のジェームス・ボウルズは、サイドラインから他チームの動向を注意深く見ており、ライバル勢の仕上がりには強い印象を受けたという。

    2025年シーズンを早い段階で切り上げ、2026年F1新レギュレーションに全振りする判断を下したウィリアムズだったが、準備は決して順風満帆とは言えない状況にある。

    テスト不参加は計画的な判断だったものの、理想的とは言えず、他チームの走りを外から眺める形となった。

    そうした中でボウルズが最も強い賛辞を送ったのがレッドブルだった。

    「まず言いたいのは、レッドブルには本当に感銘を受けている。特にパワーユニットだ。ゼロから作り上げて、あの段階ですでにこれほどの信頼性を見せているのは本当に圧倒的だ。本当によくやっている」

    フェラーリについても、安定感という点で高く評価している。

    「フェラーリは非常に安定しているように見える。究極のペースについてはまだ疑問が残るかもしれないが、コンスタントさという意味では、今回もとても印象的だ」

    メルセデスに関しては、驚きはなかったとしつつ、その完成度の高さを強調した。

    「メルセデスについては正直、驚きはない。私自身、長くあのチームにいたから分かる。彼らはレギュレーション変更を正しく解釈し、最初から信頼性の高いパッケージを作るのが本当にうまい。テスト初日からいきなりレースシミュレーションを走らせたのは、非常に印象的だった」

    ウィリアムズ・レーシング F1 レッドブル・レーシング

    さらに、バルセロナで多くの視線を集めたアストンマーティンにも言及した。

    「アストンマーティンもただただ印象的だ。エイドリアン・ニューウェイは本当に創造的なデザイナーだし、彼がやったことを見るのは純粋に楽しい。ウィッシュボーンが『本当にそこにあっていいのか?』と思うような位置に付いていたりする。でも、結局のところ、彼はまたやってのけた」

    もっとも、ボウルズは現時点での評価には慎重な姿勢も崩していない。

    「今の段階で勢力図を判断するのは、誰にとっても難しい。なぜなら、我々が今見ているマシンは、メルボルンで走るマシンそのものではないからだ。だからこそ、シーズン序盤は面白い。どのチームも印象的ではあるが、現時点で正確な立ち位置を見極めるのは難しい」

    テストに参加できなかったウィリアムズにとっては歯がゆい立場ではあるが、ボウルズの言葉からは、2026年F1新時代の序盤戦がいかに予測不能で、刺激的なものになるかが強く伝わってくる。

  • フェルスタッペン、引退後のF1復帰を否定「マネジメント職は考えていない」

    フェルスタッペン、引退後のF1復帰を否定「マネジメント職は考えていない」

    マックス・フェルスタッペンは、F1ドライバーとして引退した後、マネジメント職としてF1に戻る考えがないことを明らかにした。

    4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、現在レッドブルと2028年末まで契約を結んでおり、全盛期を過ぎる前にスポーツカーでのレースに挑戦したいという意向をこれまで何度も示している。

    将来的にフェルスタッペンが新たなF1契約を結ぶ可能性は否定できないものの、30代半ばを迎える頃にはF1から離れている可能性が極めて高いと見られている。

    28歳のフェルスタッペンは、世界耐久選手権への参戦意欲を隠しておらず、その姿勢からもF1以外の舞台へ軸足を移す考えがうかがえる。

    F1を離れた後、マネジメント職としてF1に戻ることは、彼のキャリアプランには含まれていない。

    TAGホイヤーの番組「オン・ザ・レーストラック」で、レース以外に情熱を注いでいることがあるかと問われたフェルスタッペンは、冗談交じりに次のように答えた。

    「レースだね。でも、レースといっても、必ずしも自分が走ることじゃない。例えば、僕の目標のひとつは、シミュレーターのドライバーをリアルな世界に連れてくることなんだ。」

    「それは今年すでに実現していて、彼はとてもうまくやっている。僕はそのプロジェクトを自然な形で成長させていきたいと思っているし、それは本当に楽しいことなんだ。」

    「そして将来的には、F1の外でも続けていきたい。ドライバーとしてF1にいるのは好きだけど、マネジメントの立場でF1に戻ることはないと思う。そういう意味では、耐久レースのような別のカテゴリーになるだろうね。」

    「若いドライバーたちにチャンスを作りたいとも思っている。資金や手段がなくて実車レースに進めないドライバーが、シミュレーターの世界から一歩踏み出せるような機会を作れたらいいと思っている。」

  • ギュンター・シュタイナー 「レッドブルF1を離れたことが最大の幸運だった」

    ギュンター・シュタイナー 「レッドブルF1を離れたことが最大の幸運だった」

    ギュンター・シュタイナーは、レッドブル・レーシングを離れてアメリカに渡ったことを「人生で最も良い決断だった」と振り返っている。のちにハースF1チームを率いることになるこの選択は、当時の彼にとって必ずしも計画された成功ルートではなかったが、結果的にキャリアと人生を大きく切り開く転機となった。

    ジャガー在籍時代からフォード撤退後のレッドブル初期まで、シュタイナーはチームの中枢に関わっていた。

    しかし組織が拡大する中で居場所を失い、レッドブルのNASCARプロジェクトに参加するためF1を離れる決断を下す。後年、その判断を彼自身は「幸運だった」と語っている。

    「私にとっては、すべてがうまく噛み合ったんだ」とシュタイナーはFanAmpに語った。

    「チームには人が多すぎたし、今振り返ると、あの時に去ったのは幸運だったと思っている。アメリカへの扉が開かれたからだ。若い頃からアメリカに住みたいと思っていたけど、就労ビザの問題があって実現できなかった。それが一気に解決した」

    「一度ここに来たら、もう追い出せなかったけどね。自分の会社を立ち上げて、複合素材の企業を作った。今では300人を雇用する規模に成長している。かなり成功している会社だと思う。それが最終的に、F1チームを作るチャンスにつながった」

    シュタイナーは、もし同じことをヨーロッパでやろうとしていたら成功しなかったと断言する。

    「ヨーロッパでは投資家を見つけられなかっただろうし、仮にアメリカの投資家を探そうとしても、距離が遠すぎて現実的ではなかったと思う」

    「それに、アメリカの文化を理解する必要があった。アメリカ人のビジネスマンと同じ言語で話せるようにならないといけない。ヨーロッパ的な考え方をそのまま持ち込んでも、彼らはビジネスをしてくれない。そういう意味でも、レッドブルを離れたことは、私の人生で起きた最高の出来事だった」

    ギュンター・シュタイナー レッドブル・レーシング

    その後、2011年からアメリカF1チーム構想を共に進めるジーン・ハースと出会い、シュタイナーはF1参戦を本格化させる。しかし最大の壁となったのは、当時F1の実権を握っていたバーニー・エクレストンを説得することだった。

    「一番難しかったのは、バーニーに信じてもらうことだった」とシュタイナーは振り返る。

    「多くの人がチームを作ろうとして失敗していた時代で、彼は『またか』という反応だった。実際、いくつものチームが消え、他も苦しんでいたから、彼はそういう人たちを周囲に置きたくなかった」

    「バーニーはとても率直だった。だからこそ、これは本当に堅実なプロジェクトなんだと納得させなければならなかった」

    結果的に、ハースはその時代に新規参入したチームの中で唯一生き残る存在となった。

    「最終的には、あの世代の中で最も安定したチームになった。だからこそ、最初の説得が一番大変だった」

    この説得には、F1界の重鎮たちの後押しが欠かせなかったという。

    「ニキ・ラウダが『ギュンターがやるなら問題ない』と言ってくれた。彼がステファノ・ドメニカリに話し、ステファノも大丈夫だと言ってくれた」

    当時FIA会長だったジャン・トッドも、レッドブル時代からの信頼関係があった。

    「彼は私のことを知っていたし、これは能力以上に“信頼”の問題だった。ジーン・ハースが十分な資金を投じていること、そして私がそれを実行できる人間だと分かったことで、状況が一気に動いた」

    「ニキ、ステファノ、ジャン・トッドの支えがなければ、バーニーは首を縦に振らなかったと思う。さらに、当時FIAのテクニカルディレクターだったチャーリー・ホワイティングも、私を強く支えてくれた。彼は数年前に亡くなってしまったけれど」

    また、ハースの株式を取得しなかったことに後悔はないのかと問われると、シュタイナーは当時そこまでの資金を持っていなかったと説明する。ただし、チーム価値が急上昇した現在の状況を踏まえると、評価は十分ではなかったと感じている。

    「もし、5年のうちにチームの価値が数十億ドルにまで跳ね上がると分かっていたら、当然もっと自分の価値を主張していただろうね」

    レッドブル離脱は、表面的には後退にも見えた。しかしシュタイナーにとってそれは、アメリカでの成功とハースF1誕生へと続く、決定的な一歩だった。

  • キミ・アントネッリ「レッドブルF1のPUにもっと問題が出ると思っていた」

    キミ・アントネッリ「レッドブルF1のPUにもっと問題が出ると思っていた」

    アンドレア・キミ・アントネッリは、バルセロナで行われた冬季テストを終え、ライバル勢に対してオープンでありながらも現実的な視点を示した。結論を出すにはまだ時期尚早だと強調しつつ、最も印象に残ったチームとしてレッドブルの名前を挙げている。

    イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』の取材で、メルセデス以外に印象的だったチームを問われたアントネッリは、即座にこう答えた。

    「これまでに見てきたすべてを踏まえると、まだシーズン序盤だということは分かっているけど、レッドブルだと思う」とアントネッリはコメント。

    特に目を引いたのは、新しいパワーユニットへの対応だったという。

    「彼らが新しいパワーユニットでどう仕事をしているか、そこが一番だ。彼らにとっては初めてのエンジンだし、今年が初めてコンストラクターになった年だからだ」

    多くのチームが新しいエンジンプロジェクトで問題を抱える中、レッドブルはバルセロナで大きなトラブルを見せなかった。

    「最初のテストで、彼らはかなり多くの周回をこなしていたし、レーシングブルズも安定して走っていた。我々は正直、もっと問題が出ると思っていた」

    「でも、彼らは本当に素晴らしい仕事をしたと思う」

    フェラーリについても、アントネッリは信頼性の高さを評価している。

    「フェラーリもテストでは良かった。特に信頼性の面だ。多くの周回を重ねていた」

    一方で、マクラーレンについては課題を指摘しつつも、ポテンシャルを感じている。

    「マクラーレンはいくつか問題を抱えていたが、空力的にはマシンは本当に良さそうに見える」

  • マックス・フェルスタッペン 「F1で僕のファンじゃなかった人たちが変わった」

    マックス・フェルスタッペン 「F1で僕のファンじゃなかった人たちが変わった」

    4度のワールドチャンピオンに輝き、28歳にしてGT3でも圧倒的なパフォーマンスを見せてきた一方で、その率直すぎる物言いや感情的な無線で、必ずしも万人に好かれてきた存在ではなかった。

    特に、2021年F1アブダビGPでルイス・ハミルトンがタイトルを失った経緯をめぐっては、ハミルトンのファンを中心に反感を買い、その後2024年シーズン中盤まで続いたフェルスタッペンの支配的な時代も、反発を強める要因となっていた。

    それでも近年、その潮目は変わりつつある。圧倒的に優れたマシンで勝ち続ける立場から一転し、フェルスタッペンは純粋な実力で勝利を掴み取れるドライバーであることを証明する状況に置かれたことが、世間の見方に影響を与えている可能性がある。

    2025年シーズン、フェルスタッペンは久々に“挑戦者”の立場となり、シーズンを通して選手権争いに食らいつき、最終戦アブダビまでマクラーレンとタイトルを争った。

    イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』の取材で、昨季を経て世間の評価が変わったと思うかと問われたフェルスタッペンは、次のように語っている。

    「以前は僕のファンじゃなかった多くの人たちが、考えを変えてくれたのかもしれない。そして、それは嬉しいことだと思っている」

    フェルスタッペン自身もまた、勝ち方だけでなく、置かれた立場の変化によって築かれる評価の変化を、静かに受け止めているようだ。

    マックス・フェルスタッペン レッドブル・レーシング

  • クリスチャン・ホーナー、沈黙破り復帰条件を明言「F1には未完の仕事がある」

    クリスチャン・ホーナー、沈黙破り復帰条件を明言「F1には未完の仕事がある」

    クリスチャン・ホーナーが、沈黙を破ってF1の表舞台に戻ってきた。しかも控えめではない。レッドブル離脱後、数カ月にわたって発言を避けてきた元チーム代表は、「まだ終わっていない」という明確なメッセージとともに姿を現した。

    20年以上にわたりレッドブルをタイトル量産チームへと築き上げたホーナーは、昨年夏、イギリスGP直後にミルトンキーンズでの任期が突然終わって以降、傍観者の立場にあった。

    その解任は、フェラーリ、キャデラック、ハース、アルピーヌといった名前が飛び交う憶測を呼び、パドックの空席には常にホーナーの名が結び付けられてきた。しかし本人はこれまで、一切語らなかった。

    その沈黙が破られたのが、ダブリンで開催されたヨーロピアン・モーターショーだった。そこで放たれた言葉が、再び噂に火を付けた。

    「F1には、まだ未完の仕事があると感じている。自分が望んだ形では終わらなかった」

    「ただし、何でもいいから戻るつもりはない。勝てるもののためにしか戻らない」

    クリスチャン・ホーナー F1 アルピーヌ?

    目的と勝利を求めて
    この発言のタイミングは偶然ではない。ホーナーは最近、FIA会長モハメド・ビン・スライエムとのパリでの会合を含め、要職との接触が目撃されている。

    一方でアルピーヌは、ホーナーが投資家コンソーシアムの一員であることを認めており、長年の友人関係にあるフラビオ・ブリアトーレ(アルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザー)との関係も、エンストンのチームに少数株式を取得する可能性を巡る報道に拍車をかけている。

    レッドブルと切り離せない存在だった男が、新たな提携に前向きな姿勢を見せていることは、パドックを大いにざわつかせた。ただしホーナーは、単なる存在感の回復を求めているわけではないと強調する。

    「やるべきことがなければ、パドックに戻りたくはない。僕はこのスポーツが恋しいし、人々も、築き上げたチームも恋しい。F1で21年という信じられない時間を過ごした」

    「多くのレースとチャンピオンシップを勝ち、素晴らしいドライバー、エンジニア、パートナーたちと仕事をしてきた。もう戻らなくてもいい立場だ。今すぐキャリアを終えても構わない」

    「だからこそ、戻るとすれば正しい機会だけだ。勝利を望む人たちと、同じ欲求を共有できる環境で、素晴らしい人々と仕事をしたい」

    「雇われる立場ではなく、パートナーでありたい。どう転ぶかは分からないが、急いではいない。何かをする必要に迫られているわけでもない」

    メッセージは明白だ。クリスチャン・ホーナーは復帰に前向きだが、その条件はただ一つ。再び頂点に立てるマシンと、勝利を本気で目指す環境である。