角田裕毅が2027年のインディカー・シリーズ参戦に向け、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)と交渉を進めていることが明らかになった。レッドブル・レーシングのテスト兼リザーブドライバーを務める角田にとって、F1からアメリカ最高峰のフォーミュラカテゴリーへとキャリアの舞台を移す可能性が浮上している。
Motorsport.comによると、角田裕毅はMSRがホンダエンジンで走らせる66号車の2027年ドライバー候補となっている。
現在66号車をドライブするマーカス・アームストロングは、今季限りでチームを離れるフェリックス・ローゼンクヴィストに代わり、2027年から姉妹車の60号車へ移る予定で、その空席を巡る候補のひとりとして角田の名前が挙がっている。
F1で111戦を経験した角田裕毅に新たな選択肢
角田裕毅は2021年にF1デビューを果たし、これまで111戦に出走。2021年アブダビGPで記録した4位が自己最高位となっている。
2026年はF1のレギュラーシートを失い、レッドブル・レーシングのテスト兼リザーブドライバーとして活動している。F1のシート争いが依然として厳しいなか、26歳の角田にとってインディカーは今後のキャリアを考えるうえで現実的な選択肢のひとつになりつつある。
日本人F1ドライバーからインディカーへ転向した代表的な存在が佐藤琢磨だ。F1参戦後にアメリカへ活動の場を移し、インディ500を2017年と2020年に制覇。日本人として初めて世界三大レースのひとつを勝利し、インディカーで長いキャリアを築いた。
角田裕毅がMSR入りを決断すれば、佐藤と同じホンダとの関係を維持しながらアメリカで新たなキャリアをスタートさせることになる。
2024年にはインディカーを初ドライブ
角田裕毅にとってインディカーはまったく未知のマシンではない。
2024年のF1ラスベガスGPを前に行われたホンダのプロモーションイベントで、チップ・ガナッシ・レーシングが用意したホンダエンジン搭載の93号車をドライブしている。
この際にはインディカーで6度のシリーズチャンピオンに輝いたスコット・ディクソンから直接指導を受け、ラスベガス・モーター・スピードウェイ近郊に設けられた約1.3マイルのコースで2回の走行を実施。合計約30分にわたってインディカーを体験した。
当時、角田裕毅は将来的なインディカー参戦に興味を示す一方、オーバル、とりわけインディアナポリス・モーター・スピードウェイでのレースについては率直に恐怖心も口にしていた。
「もし機会があって、それが適切なタイミングだと感じたら、もちろんやってみたいです」
「アメリカ自体が好きなので、ここに住むことにも抵抗はありません。でも、今はまだそのタイミングではないと思っています。インディアナポリス・モーター・スピードウェイで2時間以上レースをして、毎周200マイル以上で走るなんて想像できません」
「僕にとっては怖いです。2時間以上あのマシンに乗って走り続ける自分を想像できません。今のところインディカーを目指しているわけでも、具体的に考えているわけでもありません。でも、将来的にはあり得ると思います」
2024年当時は「将来的には」と語っていた角田裕毅だが、その将来が2027年に現実となる可能性が出てきた。

MSR代表も交渉を否定せず「まだ何も決めていない」
一方、MSRの共同オーナーであるマイク・シャンクは、2027年のドライバー選定がまだ進行中であることを強調している。
「まだ何も決めていない。インディカーに適合する、あるいは関連性のあるあらゆるモータースポーツのドライバーと話をしている」
「候補に挙がっている人たちを引き続き評価しているところで、あらゆる選択肢を検討している」
シャンクは角田裕毅との交渉を明確に認める発言こそしていないものの、否定もしていない。現段階では66号車のドライバーが正式決定したわけではなく、複数の候補を比較している段階とみられる。
ホンダとの関係を維持できるMSRという選択肢
角田裕毅にとってMSRは、単なるインディカーの空席以上の意味を持つ。
MSRはホンダのパワーユニットを使用しており、長年ホンダの支援を受けてキャリアを築いてきた角田にとって、これまでの関係を生かしやすい環境だ。さらに、F1で111戦を経験した角田のロードコースでの経験値は、チーム側にとっても魅力的な材料となる。
一方で、インディカーではロードコースやストリートコースだけでなく、高速オーバルへの適応が必要になる。角田自身がかつて「怖い」と語ったインディ500への挑戦も、フル参戦となれば避けて通れない大きなテーマとなる。
F1で6シーズンにわたって戦い、現在はレッドブルのリザーブを務める角田裕毅。2027年にF1復帰の道を探るのか、それともホンダとの関係を維持しながらインディカーという新天地へ向かうのか。MSRとの交渉は、角田のキャリアが大きな転換点を迎えつつあることを示している。


















