カテゴリー: ピレリ

  • ピレリF1新責任者マラフスキに難題 カナダGPで噴出した“雨タイヤ不安”

    ピレリF1新責任者マラフスキに難題 カナダGPで噴出した“雨タイヤ不安”

    ピレリF1部門が、2026年F1カナダGPで大きなプレッシャーにさらされていた。

    決勝では懸念されていた本格的な雨には見舞われなかったが、週末を通してドライバーたちは2026年型ウェットタイヤの性能に強い不安を示していた。そんな中、長年F1部門を率いてきたマリオ・イゾラに代わり、ダリオ・マラフスキがF1オペレーション責任者に就任。新体制は厳しい船出となった。

    2026年F1ウェットタイヤにドライバーから懸念
    フランス紙『レキップ』によると、ピレリでは長年F1部門の顔だったマリオ・イゾラが前線業務から退き、新たにエンジニアのダリオ・マラフスキがF1オペレーションを統括する体制へ移行した。

    しかし、その新体制はモントリオールでいきなり難題に直面していた。

    2026年F1レギュレーション下でのウェットタイヤ性能について、パドックではドライバーたちから不安の声が相次いでいたからだ。

    ジョージ・ラッセルはタイヤ性能への懸念を率直に語っていた。

    「ドライバーたちはタイヤが十分ではないと感じている」とジョージ・ラッセルはコメント。

    「このタイヤは温度が入っている時しか機能していないように感じる」

    「明日は気温が12〜13度程度しかないので、本当に厳しい状況になると思う」

    フェルナンド・アロンソも、レースそのものが“完走サバイバル”になる可能性を示唆していた。

    「ただでさえドライでもグリップが低いサーキットだ。だから全員にとって完走するだけでも難しいレースになると思う」とアロンソは語った。

    さらに、今年ピレリのウェットテストを担当したアイザック・ハジャーは、より踏み込んだ見解を示していた。

    「このタイヤは22台でレースをするために作られていないと思う」とアイザック・ハジャーはコメント。

    「グリップがなく、適正温度に持っていくのが本当に難しい」

    結果的に決勝は大雨にはならなかったものの、2026年型マシンとタイヤの組み合わせに対する不安は、週末を通してパドック全体に広がっていた。

    ピレリは2026年型マシンの急速進化にも警戒
    一方でピレリは、2026年型マシンの急激な進化にも神経を尖らせていた。

    ピレリのシモーネ・ベラは、各チームのアップグレードによってタイヤへの荷重が急速に増加している状況を注視していると説明した。

    「我々は次のイベントに非常に集中している。状況を監視している」とシモーネ・ベラは語った。

    ベラによれば、モナコGP後のスペインGPが、新世代マシンの進化速度を測る最初の重要な基準になるという。

    「現時点では、まだ我々にも見えていない部分が多い」

    「ここでも大きなステップがあると思うし、バルセロナでもさらに進化があると思う」

    また、ピレリ側が2027年F1レギュレーションに向けてダウンフォース削減を求めているとの見方については否定した。

    「正直に言って、我々も私自身もダウンフォース削減を求めたことはない」とベラは強調した。

    それでも、F1ではすでに2027年に向けたPU、シャシー、空力規則の議論が始まっており、ピレリには迅速な対応が求められている。

    「我々は非常に早くターゲットを定義し、最初の数戦に素早く対応する必要がある」とベラは説明。

    「もし変更が必要なら、次回のテストでその変更を実施しなければならない」

  • 2026年F1カナダGP 決勝:全22名の持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    2026年F1カナダGP 決勝:全22名の持ちタイヤ数&タイヤ戦略予想

    ジョージ・ラッセルがスプリント勝利とポールポジション獲得で主導権を握った2026年F1カナダGP。メルセデスはアップグレードの効果を示した一方で、マクラーレン勢とフェラーリ勢も決勝ロングランでは十分に脅威となる位置につけている。

    さらに、6番グリッドのマックス・フェルスタッペン、そして日曜決勝で予報されている雨が戦略図を大きく揺さぶる可能性がある。モントリオールでは今季初のウエットレースとなる可能性が高く、タイヤマネジメントとピットタイミングが勝敗を左右しそうだ。

    昨年はメルセデス優勢 2ストップが主流だった
    2025年のカナダGPは、メルセデスにとって数少ないハイライトのひとつだった。ジョージ・ラッセルがポールポジションを獲得し、決勝でも勝利。ラッセル、マックス・フェルスタッペン、キミ・アントネッリ、オスカー・ピアストリの上位4台は、いずれもミディアム→ハード→ハードの2ストップ戦略を採用した。

    ラッセルは13周目と42周目にピットインし、レースをコントロールした。一方で、異なる戦略を選んだのがシャルル・ルクレールだった。8番グリッドからハード→ハード→ミディアムを選択し、28周目まで引っ張るロングスティントで順位を上げた。

    ランド・ノリスも別戦略組だった。7番手スタートからハード→ミディアム→ハードを選択し、終盤にフレッシュタイヤを活かして先頭争いへ接近していった。

    さらに、ニコ・ヒュルケンベルグはミディアム→ハードの1ストップで8位。エステバン・オコンとカルロス・サインツはハード→ミディアムを採用し、57周目まで引っ張る戦略でポイント圏内へ浮上した。

    カナダグランプリ タイヤ戦略

    今年の本命はミディアム→ハードの1ストップ
    2026年シーズン序盤4戦はすべてミディアム→ハードの1ストップ戦略が勝利している。シミュレーションでも、今回のカナダGPは同戦略が最速と予測されている。

    理想的なピットウインドウは21〜27周目付近。摩耗が低いジル・ビルヌーブ・サーキットでは、2ストップを強いられる可能性は低く、各チームはできる限りワンストップ維持を狙う見込みだ。

    ただし、各車が“先に止まりたくない”心理戦に入れば、戦略は変わる可能性もある。もしミディアムを40周近くまで引っ張れれば、ハードではなくソフトを最後に履くミディアム→ソフト戦略が視野に入る。

    セルジオ・ペレスが示した“ソフトスタート”の可能性
    スプリントで注目されたのは、キャデラックのセルジオ・ペレスだった。

    16番手スタートからソフトタイヤを選択し、スタート直後の高いグリップとウォームアップ性能を活かして一気に3ポジションアップ。23周を通してペースも悪くなく、ソフト→ハード戦略の有効性を示した。

    この戦略の理想ピットウインドウは17〜23周目付近。ただし柔軟性には欠けるため、通常コンディションではややギャンブル性が高い。

    一方で、決勝が“完全ウエットではない濡れた路面”でスタートする場合や、序盤ドライで途中から雨予報という状況なら、この戦略は一気に魅力を増す可能性がある。

    カナダグランプリ 持ちタイヤ数

    後方勢はハード→ミディアムが現実的
    後方グリッド勢にとっては、伝統的なハード→ミディアム戦略が依然として有力候補となる。

    この場合の最適ピットウインドウは38〜44周目。セーフティカー発生率が高いカナダでは、“安いピットストップ”を狙える可能性もあり、後方勢には大きなチャンスとなる。

    ドライコンディションなら2ストップの可能性はかなり低いが、もし誰かが試すなら、ミディアム→ハード→ソフトの構成が有力。1回目のストップは19〜25周目、2回目は43〜49周目が理想とされている。

    カナダグランプリ 2026年のF1世界選手権

    雨が来れば状況は一変 “完璧な嵐”になる可能性
    しかし、すべての戦略計算を崩す可能性があるのが雨だ。

    FIAはすでに「レインハザード」を宣言しており、決勝日は強風、低温、断続的な雨という難コンディションが予想されている。気温は11〜12℃程度までしか上がらない見込みだ。

    しかも、ジル・ビルヌーブ・サーキットは高速コーナーが少なく、タイヤに熱を入れにくい。つまり、ウエットタイヤを適正温度に持っていくのが極めて難しい。

    ピレリのシモーネ・ベラは、この状況を「完璧な嵐」と表現した。

    「ウエットタイヤの方がインターミディエイトより速くなる可能性もある。低温条件ではインターのウォームアップが非常に難しいからだ」

    ランド・ノリスも予選後に次のように語っている。

    「かなりクレイジーに難しいレースになると思う。ドライですらソフトタイヤに熱を入れるのが難しいのに、さらに10℃低くなって、インターやウエットを使うことになる」

    「明日どうなるのか、本当に楽しみだ」

  • 2026年F1カナダGP:ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット&タイヤ戦略解説

    2026年F1カナダGP:ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット&タイヤ戦略解説

    2026年F1カナダGPは、モントリオールで初めてスプリントが実施される週末となる。舞台はセントローレンス川沿いのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで、例年より数週間早い時期に開催されることもあり、各チームは気温、路面変化、タイヤの温まりにこれまで以上に注意を払う必要がある。

    ピレリは今回、レンジの中で最も柔らかい3種類を持ち込む。C3がハード、C4がミディアム、C5がソフトに指定され、スプリントと決勝で異なる戦略判断が求められる週末になりそうだ。

    再舗装後の低摩耗路面と急速なトラックエボリューション
    ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは2024年に再舗装されており、路面は滑らかで摩耗性が低い。普段はF1開催週末以外にモーターレーシングで使用されないため、3日間を通じて路面状態は大きく変化し、各セッション内でもグリップが急速に向上していく。

    昨年は決勝日までグレイニングがタイヤに影響を与えたが、今年の新しいタイヤではその現象はより限定的になると見られている。路面コンディションの改善が進めば、金曜日の段階でグレイニングが解消される可能性もある。

    カナダグランプリ

    ストップ&ゴー特性がブレーキングとトラクションを左右
    全長4.361kmのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは、14のコーナーと複数のストレートで構成される。最大の特徴はストップ&ゴー型のレイアウトであり、強いブレーキング時の安定性と、コーナー出口での最大限のトラクション性能が重要になる。

    実質的には市街地サーキットに近い性格を持つ一方で、オーバーテイクの機会もある。特に最終シケインへ向かうストレートエンドは勝負どころであり、その直前には1999年にデイモン・ヒル、ミハエル・シューマッハ、ジャック・ヴィルヌーヴが相次いでクラッシュしたことで知られる「ウォール・オブ・チャンピオンズ」が待ち構える。

    ソフトはスプリント向き 決勝は保守的な選択か
    モントリオールでは例年通り、天候も重要な要素となる。雨の可能性だけでなく、開催時期の変更により気温が通常より低くなる可能性があり、特に予選ではタイヤを適正作動温度まで引き上げる方法が大きな課題となる。

    3種類の中で最もウォームアップ性能に優れるのはソフトであり、1周のグリップでは最適な選択肢となる。そのため土曜日のスプリントでは有力な候補になり得るが、日曜日のグランプリではチームがより保守的なアプローチを取り、ハードとミディアムを中心に組み立てる可能性がある。

    マイアミで見られたように、決勝ではチームが慎重な選択を好む傾向がある。カナダGPでも今年は1ストップ戦略が再び優先される可能性がある。

    カナダグランプリ 2026年のF1世界選手権

    2025年は2ストップが最速 ハードが最も競争力を発揮
    2025年のカナダGPでは、1ストップを選んだのは主にグリッド後方からスタートしたドライバーに限られ、2ストップ戦略の方が速い結果となった。

    スタート時点ではミディアムとハードの選択がほぼ半々に分かれたが、最も競争力を発揮したのはハードだった。一方、ミディアムは初日より気温が高かった影響をやや受けた。終盤のニュートラライゼーション時には、4人のドライバーが最後のスプリントに向けてソフトを装着している。

    カナダGPは通算55回目 モントリオール開催は45回目
    今年のカナダGPは通算55回目の開催となる。現在のジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでの開催は45回目であり、初期の大会はトロント近郊のモントランブランとモスポートパークで行われていた。

    最多勝はルイス・ハミルトンとミハエル・シューマッハの7勝で、ポールポジション記録も両者が6回で並んでいる。コンストラクターではマクラーレンが13勝で最多、フェラーリが12勝で続く。

    また、カナダGPはF1史上最長レースの記録も保持している。豪雨で中断された2011年のレースはジェンソン・バトンが制し、レース時間は4時間4分39秒に及んだ。この記録は、レギュレーションが変更されない限り破られることはない。

  • フレデリック・ベスティ 中東危機でF1テスト中止「橋がドローン攻撃を受けた」

    フレデリック・ベスティ 中東危機でF1テスト中止「橋がドローン攻撃を受けた」

    メルセデスのリザーブドライバーを務めるフレデリック・ベスティが、2026年シーズン開幕前に予定されていたバーレーンでのピレリF1テスト中止の舞台裏を明かした。

    ベスティは、メルセデスの2026年型マシン「W17」を初めて本格的に走らせる予定だったが、中東情勢の急激な悪化によってF1は地域内での活動停止を余儀なくされ、テストは中止となった。

    「誰もここまで深刻になるとは思っていなかった」
    フレデリック・ベスティは、デンマーク紙『Ekstra Bladet』に対し、情勢悪化の瞬間を振り返った。

    「朝8時にホテルのジムでテレビを見ていたら、アメリカとイスラエルによる攻撃のニュースが流れていた」

    「かなり激しい状況だと思った。でも、僕たちはそのすぐ隣にいた」

    「ただ、周辺国に突然ドローンやミサイルが降り注ぐような事態になるとは、誰も予想していなかった」

    現地サーキットに到着した直後、状況は一気に緊迫したという。

    「サーキットに着いた直後にサイレンが鳴り始めた」

    「ガレージではチームが作業を止めていた。携帯電話を開くと、バーレーン国内の最初の標的が攻撃されたことが分かった」

    「誰も想像していた以上に深刻な状況だと分かった。その後、ホテルへ戻り、5日間そこに滞在した」

    脱出劇の最中にもドローン攻撃
    地域からの脱出も危険と隣り合わせだった。

    「橋の上で3時間待機していたんだけど、その橋は2時間後にドローン攻撃を受けた」

    「そのドローンの影響で空域が閉鎖されてしまった。僕たちは空港の床で10時間眠り、翌朝の便でようやく出発できた」

    ベスティは最終的にサウジアラビアとカイロを経由してヨーロッパへ帰還した。

    今回のテスト中止によって、ベスティはシミュレーター以外でメルセデスW17を初走行する重要な機会を失うことになった。

    「新しいマシンを数日間ドライブできていたら素晴らしかったと思う。でも今回は実現しなかった」

    メルセデスF1でFP1起用の可能性も
    それでもベスティは、今季中に再び実車走行のチャンスが訪れることを期待している。

    「近いうちにFP1走行の機会があるはずだ」

    「まだ正式な確認は受けていないけど、おそらく数か月以内になると思う」

  • アルピーヌF1 ピエール・ガスリーがマニクールでウエットタイヤテストを完了

    アルピーヌF1 ピエール・ガスリーがマニクールでウエットタイヤテストを完了

    アルピーヌF1は、フランスのマニクール・サーキットで実施されたピレリの2026年F1シーズン向けウエットタイヤ開発テストに協力した。走行は2日間にわたって行われ、ピエール・ガスリーがテストドライバーを務めた。

    今回のプログラムでは、チントゥラート フルウエットタイヤとチントゥラート インターミディエイトタイヤの各種プロトタイプを評価。コースには人工的に散水が施され、均一なウエットコンディションが再現された。

    初日はフルウエットタイヤを中心に走行
    初日のテストでは、まずドライタイヤでセットアップ作業を実施。その後、散水された路面でフルウエットタイヤの評価が行われた。

    この日の気温は最高20℃、路面温度は29℃以下にとどまり、ガスリーは101周・446kmを走行。ベストタイムは1分37秒816だった。

    2日目はインターミディエイトタイヤも評価
    2日目も引き続きガスリーがステアリングを握り、103周・454kmを走行した。

    午前中は複数のフルウエット仕様をテストし、午後にはインターミディエイトタイヤの開発プログラムを実施。路面には再び人工的に散水が行われ、ピレリのウエットタイヤ2種類に適した均一なコンディションが維持された。

    この日のベストタイムは、チントゥラート インターミディエイトタイヤで記録した1分31秒457。路面温度は最高27℃、気温は19℃だった。

    2日間で900kmを走破
    2日間の総走行距離は900kmに達し、ピレリは2026年用ウエットタイヤ開発に向けた重要なデータを収集した。

    次回のピレリ公式タイヤテストは、2026年F1スペインGP終了後の6月16日と17日にバルセロナ-カタルーニャ・サーキットで実施される予定で、こちらはスリックタイヤ開発を目的としたプログラムとなる。

    Photo:Alpine

  • ピレリ F1タイヤ供給契約を2028年まで延長へ「市販タイヤ開発にも活用」

    ピレリ F1タイヤ供給契約を2028年まで延長へ「市販タイヤ開発にも活用」

    ピレリは、F1の公式タイヤサプライヤー契約を2028年まで延長するオプションを行使したと報じられている。

    現在の契約は2025年から2027年までを正式期間とし、F1とFIAの合意を条件に2028年まで延長できる条項が含まれていた。Speed Weekによると、このオプションはすでに発動され、ピレリはさらに2029年以降の次期供給サイクルにも入札する意向だという。

    2028年オプションを行使 次期契約にも意欲
    ピレリは2011年からF1の単独タイヤサプライヤーを務めており、今回の延長により、その関係は少なくとも2028年まで続く見通しとなった。

    同社は単なる契約延長にとどまらず、2029年以降もF1に残ることを視野に入れている。タイヤサプライヤーとしての役割は、レース結果に直結する一方で、常に批判の対象にもなりやすい立場だ。

    退任するレーシング責任者のマリオ・イゾラは、F1タイヤをめぐる情報発信の難しさを認めている。

    「タイヤについてポジティブな情報を広めるのは、確かに難しい」

    「だが、舞台裏で行われている仕事について情報を共有することで、それは可能になる」

    F1で得た技術を市販タイヤ開発へ
    イゾラは、F1での活動がピレリの市販タイヤ開発にも影響を与えていると説明した。

    「我々はデジタルツインを活用している。つまり、仮想プロトタイプと物理プロトタイプを並行して開発しているということだ」

    「これはF1で学んだことだ」

    「こうした研究成果は、市販タイヤの開発にも活用できる」

    F1タイヤは、レース週末ごとに戦略、デグラデーション、作動温度域、耐久性が注目されるため、サプライヤーには極めて高い説明責任が求められる。一方で、そこで蓄積される開発手法やシミュレーション技術は、ピレリにとって市販製品へ還元できる重要な資産でもある。

    2028年までの契約延長は、F1とピレリの関係が継続するだけでなく、2029年以降のタイヤ供給体制をめぐる競争の出発点にもなる。ピレリは単独サプライヤーとしての実績を武器に、次の契約サイクルでもF1に残る構えを見せている。

  • 「人生には決断が必要だ」マリオ・イゾラ 330戦支えたF1に涙の別れ

    「人生には決断が必要だ」マリオ・イゾラ 330戦支えたF1に涙の別れ

    マリオ・イゾラは、2026年F1マイアミGPを最後にF1パドックへ別れを告げた。ピレリで長年F1活動を率いてきたイゾラは、今後ACIスポーツの上級職に就く。

    2011年からF1の単独タイヤサプライヤーを務めてきたピレリ。その顔としてパドックで存在感を放ってきたイゾラにとって、マイアミでの最終戦は感情的な週末となった。

    イゾラ「第二の家族を残していくのはつらい」
    「とてもうれしい。パドックの多くの人が私のところに来て、私がF1のために多くの良いことをしてきた、そして寂しくなると言ってくれた」とイゾラはスカイ・ドイツに語った。

    「私には新しい挑戦があり、それを楽しみにしている」

    「だが、ここに第二の家族を残していく。それは私にとって難しいことだ。人生では時に決断を下さなければならない」

    イゾラは2011年以降、ピレリがF1の単独タイヤサプライヤーとして歩んできた時代を見届けてきた。その間には大きなレギュレーション変更、タイヤをめぐる議論、そして数々の記憶に残るレースがあった。

    330戦以上の記憶と、忘れられない瞬間
    「330戦、あるいはそれ以上あった。その中からひとつを選ぶのは本当に難しい」

    「2011年のメルボルンでの最初のレース。レース後、我々は全員が感情で泣いていた」

    「それからジュール・ビアンキの事故があったレース。あれはとても悲劇的だった」

    「そして最近の数戦、イタリア人ドライバーが表彰台に上がり、国歌が流れたことも、とても特別だった」

    イゾラは、F1で過ごした時間の中で叶わなかった思いにも触れた。

    「フェラーリのワールドチャンピオン獲得を経験できなかったのは残念だ」とイゾラは語った。

    「私の在任中にそれが起こることを願っていた」

    「願わくば、それが将来実現してほしい」

  • F1マイアミGP土曜総括:ノリスがスプリント制覇 アントネッリがポール獲得

    F1マイアミGP土曜総括:ノリスがスプリント制覇 アントネッリがポール獲得

    土曜のマイアミGPは、スプリントと予選で勢力図の変化を印象づける一日となった。スプリントではランド・ノリスが勝利を挙げ、予選ではキミ・アントネッリがポールポジションを獲得した。

    極めて高温のコンディションの中で行われた各セッションでは、タイヤのデグラデーションが限定的であることも明らかになり、決勝に向けた戦略の方向性もはっきりと見えてきている。

    アントネッリが3戦連続ポールに迫る速さを披露
    予選ではキミ・アントネッリがQ3最初のアタックで記録した1分27秒798を守り切り、ポールポジションを獲得した。多くのドライバーが2回目のアタックでタイム更新できなかった中、マックス・フェルスタッペンは改善に成功し、1分27秒964で2番手に入りフロントロウを確保した。

    両者のみが1分28秒を切るタイムを記録し、3番手のシャルル・ルクレールはフェルスタッペンからコンマ2秒弱遅れた位置につけた。

    この日の予選は気温約35度、路面温度約52度という過酷な環境で行われ、ニコ・ヒュルケンベルグを除く全ドライバーがソフトタイヤを選択した。

    ノリスがスプリント制覇 マクラーレンが1-2
    スプリントではランド・ノリスが安定した走りで優勝を飾り、マクラーレンがオスカー・ピアストリとの1-2フィニッシュを達成した。

    ルクレールは3位でフィニッシュし、ピアストリにプレッシャーをかけ続けたが、ポジションを奪うには至らなかった。

    このセッションでも気温は約33度に達し、全コンパウンドが使用される中、各チームの戦略が分かれた。アストンマーティン勢はソフト、キャデラック勢はハード、それ以外の多くはミディアムを選択した。

    マイアミグランプリ

    決勝は1ストップが最速 想定戦略が明確に
    ピレリの見解では、決勝は1ストップ戦略が最速となる見込みだ。タイヤのデグラデーションが小さいことから、スティントを延ばすことに大きな問題はないとされている。

    ダリオ・マラフスキ(ピレリ・モータースポーツディレクター)は次のように述べた。

    「我々は週末前から予想していた通り、1ストップが最速の戦略だ。今回のコンパウンドは安定しており、デグラデーションも低い」

    「ミディアムからハードへの戦略が最も速く、ピットウィンドウは22周から28周付近になる。この構成はセーフティカーなどの中断が起きやすいマイアミでは柔軟性もある」

    「ソフトを使う場合はグリップの高さを活かしてハードと組み合わせる形になる。その場合、ピットは16周から22周になるだろう」

    「ミディアムからソフトの組み合わせはラップタイムの面では劣り、ピットは32周から38周になる」

    「ただし、天候の影響は大きく、雨になればすべてが変わる可能性がある」

    高温と低デグラデーションという条件、そして不安定な天候予報という要素が重なり、決勝は戦略の自由度が高い一戦となる。フロントロウのアントネッリとフェルスタッペンに加え、スプリントで勢いを示したマクラーレン勢がどのように絡むかが大きな焦点となる。

  • 2026年F1マイアミGP サーキット&タイヤ戦略解説

    2026年F1マイアミGP サーキット&タイヤ戦略解説

    F1は、バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止による長いブレイクを経て、今週末のマイアミGPで2026年シーズンを再開する。舞台はマイアミ・ドルフィンズの本拠地ハードロック・スタジアム周辺に特設されたマイアミ・インターナショナル・オートドローム。全長5.412km、57周で争われる。

    今季最初のアメリカ開催となる一戦では、ピレリがC3、C4、C5というレンジ内で最も柔らかい3種類のコンパウンドを持ち込む。路面は2023年に再舗装されており、粗さは低く、週末を通じて走行が進むにつれてグリップが向上していく特性を持つ。

    低デグラデーションが生む1ストップ基調
    マイアミ・インターナショナル・オートドロームは19のコーナーと3本の長いストレートで構成される。タイヤへの負荷は限定的で、過去のレースでもデグラデーションは小さく、ドライバーがスティントを長く引っ張り、決勝では1ストップ戦略を採りやすい傾向が続いている。

    そのため、日曜日の決勝ではタイヤ摩耗そのものよりも、セーフティカーやバーチャルセーフティカーといったニュートラル化のタイミングが戦略上の大きな変数になりそうだ。市街地コースではバリアとの接触を避ける精度が求められ、ひとつのミスがレース全体の流れを変える可能性がある。

    マイアミグランプリ

    スプリントで再び天候が波乱要素に
    昨年のマイアミで印象的だったのは、路面が急速に乾いていく特性だった。スプリントではスタート前に強い雨が降ったにもかかわらず、19周の短いレース中にドライバーたちがインターミディエイトからスリックへ交換する展開となった。

    今季もマイアミではスプリントが実施される。週末を通じて天候が変わりやすい状況になれば、低摩耗で読みやすいはずの戦略に、再び大きな揺らぎが生まれる可能性がある。

    F1 タイヤ マイアミグランプリ

    2025年はピアストリが勝利
    2025年のマイアミGPは、戦略面では比較的シンプルなレースだった。スタート時にはミディアムを選ぶドライバーとハードを選ぶドライバーに分かれ、ニュートラル化や天候変化に備える形となった。

    ピットストップのウインドウはおおむねレース中盤に集中し、選択された全コンパウンドのデグラデーションが非常に低かったことで、長いスティントが可能になった。レースはオスカー・ピアストリが制し、マクラーレンにとって2年連続のマイアミ勝利となった。

    マクラーレン勢は勝利もポールなし
    ドルフィンズのスタジアム周辺で開催された過去4回のマイアミGPでは、その半分をマックス・フェルスタッペンが制している。一方で、直近2年の勝者はマクラーレン勢だ。2024年にはランド・ノリスがF1初優勝を飾り、2025年にはチームメイトのピアストリがトップチェッカーを受けた。

    ただし、マクラーレンの2人はいずれもこのイベントでポールポジションを獲得していない。ポールはフェルスタッペンが2回、シャルル・ルクレールとセルジオ・ペレスがそれぞれ1回ずつ記録している。

    サポートレースもピレリ一色
    マイアミの週末は、サポートカテゴリーを含めてピレリ色の強いイベントとなる。F1のサポートレースとして行われる各シリーズはいずれもピレリのタイヤ供給を受けている。

    FIA F2は、本来予定されていた過去2戦が中止されたため、第2戦がフロリダへ移された。さらに、アルトゥーラ・トロフィーEvoを使用するマクラーレン・トロフィー・ノースアメリカ、そして新型ポルシェ911カップを投入するポルシェ・カレラカップ・ノースアメリカも開催される。

    ポルシェ・カレラカップ・ノースアメリカは今年からピレリの供給を受けており、他のGT選手権と同様に、昨季導入されたPゼロDHGが使用される。

    特別仕様のポディウムキャップも登場
    マイアミGPでは、ピレリデザインのためにデニス・デコビッチが手がけた特別仕様のポディウムキャップも用意される。デザインの着想源は海の捕食者で、サメの肌を思わせるグレーの濃淡が採用されている。

    バイザー部分には、その動物を連想させるステッカーが貼られ、顎や体を描いたデザインが用いられる。このピレリのキャップは、すでに公式オンラインストアで購入可能となっている。

    マイアミグランプリ 2026年のF1世界選手権

    2026年ホットラップはマイアミで開幕
    マイアミは、2026年のピレリ・ホットラップ・プログラムの開幕戦にもなる。このプログラムは8年間にわたり、F1の象徴的なサーキットで、ファンに高速ラップの体験を提供してきた。

    ゲストやVIPは、ピレリタイヤを装着した市販スーパーカーの助手席に座り、プロドライバーの運転でコースを1周することができる。マイアミ後は、モナコ、シルバーストン、モンツァ、オースティン、ラスベガス、アブダビへと続く。

    今年はアルピーヌ、アストンマーティン、アウディ、フェラーリ、フォード、マクラーレン、メルセデスAMGの7メーカーが最新モデルを提供する。2025年には、32回のオン・トラックセッションで2,500周以上が実施され、現役F1ドライバーを含む69人のドライバーがステアリングを握った。

    Source: Pirelli

  • ピレリF1 ニュルブルクリンクでタイヤテスト開始 ラッセル最多127周

    ピレリF1 ニュルブルクリンクでタイヤテスト開始 ラッセル最多127周

    ピレリが主催するタイヤ開発テストが4月14日、ニュルブルクリンクで始まった。初日はオスカー・ピアストリがマクラーレン、ジョージ・ラッセルがメルセデスから参加し、ウエットコンディションで始まった1日を通じてプログラムを消化した。

    夜通し降った雨の影響でコースは朝の時点で濡れており、当初予定されていたスリックタイヤでの走行開始は見送られた。その後、路面状況の改善を待って走行が本格化し、C3コンパウンドを使った複数の構造バリエーションの比較評価が進められた。

    雨で始まった初日 スリックでのプログラムは遅れて開始
    ピレリがニュルブルクリンクで実施している開発テスト初日は、インターミディエイトタイヤでの数周のインスタレーションラップからスタートした。

    夜のあいだ降り続いた雨によってコースは濡れた状態のままで、午前の後半には薄日が差したものの、ドライバーたちは路面状況が改善するまで待機することになった。そのため、当初予定されていたスリックタイヤでのプログラムは、予定より遅れて始まった。

    C3の構造違いを比較 有望案はロングランで確認
    プログラム前半では、マクラーレンのオスカー・ピアストリとメルセデスのジョージ・ラッセルが、それぞれ8周のランを複数回行い、C3コンパウンドで複数の構造バリエーションをテストした。

    その後、より有望と判断された仕様については、午後遅くにラッセルがより長い距離で評価を担当し、実戦に近い走行距離のなかで挙動の確認が行われた。

    一方で、ピアストリの車両には技術的な問題が発生し、昼休み以降からセッション終盤近くまでガレージにとどまる時間が続いた。

    タイヤ F1

    ラッセルは127周を走破 2日目はノリスとアントネッリが担当
    路面温度は日が当たる区間で37度まで上がったが、気温は終日15度を超えなかった。

    ベストタイムはピアストリが1分35秒096、ラッセルが1分33秒899を記録した。走行距離はピアストリが65周で合計335キロ、ラッセルが127周で654キロだった。

    テストは15日に2日目を迎え、最終日はマクラーレンからランド・ノリス、メルセデスからアンドレア・キミ・アントネッリがステアリングを握る予定となっている。