ピエール・ガスリーは、2026年F1イタリアGPの予選で自身初となるポールポジションを獲得。アルピーヌとともに予想を大きく上回る速さを発揮し、「9年間待ち続けた瞬間」と喜びを爆発させた。
モンツァはガスリーにとって、2020年にF1初優勝を飾った特別な場所でもある。今回はQ1からトップタイムを記録する速さを見せ、Q3最後のアタックでジョージ・ラッセルを0.06秒差で逆転。「おそらく本当にポールを狙うチャンスを得たのは初めてだった」と振り返った。
「9年間待っていた感覚」 モンツァでF1初ポール
「本当にたくさんの感情がある。チーム全体のためにものすごくうれしいし、僕たちのパフォーマンスにも本当に満足している」
「F1に来て9年になる。毎週末、絶対にベストを尽くそうとしてきたけど、ポールポジションを争えるクルマを毎回手にできるわけじゃない。今日はそのチャンスがあった。本当に、本当にうれしいし、そのチャンスをつかんで結果につなげられたことを誇りに思う」
「ものすごいラップだった。Q1の最初のラップからずっと調子が良くて、クルマのフィーリングも良かった。9年間、この瞬間、この感覚を待っていた。モンツァで初優勝して、今度はここで初めてのポールポジションを獲得できた。間違いなく僕にとって特別な場所だ」
ガスリー自身、週末を迎える段階ではポールポジションを争えるとは考えていなかったという。
「まったく思っていなかった。モンツァは少し特殊なサーキットだということは分かっているけど、それでも間違いなく僕たちの予想をすべて上回った」
「今朝からペースが良くなったと思う。FP3から予選にかけていいステップを踏むことができて、周りのチームより少し大きな改善ができたと思う」
「Q1から上位にいるのを見て少し驚いた。頭の中ではQ3進出が目標だったからね。でもQ1では確かトップで、Q2では4番手だった。あまり興奮しすぎないようにしていたけど、Q3の最初のランでも3番手だったと思う。そのとき『よし、本当にチャンスがある』と感じた」
「言ったように、本当の意味でチャンスを得たのはおそらく初めてだった。だから持っているものを全部出そうとした。アスカリとパラボリカはかなり激しかったし、あれ以上はほとんど残っていなかったと思う」
「ラインを越えたとき、結果につながるラップのひとつになるとは分かっていた。でもポールポジションまで行けるとは思っていなかった。本当に、本当にうれしい」
自身のF1キャリアで最高のラップだったのかと問われると、ガスリーは笑みを交えながら答えた。
「F1で走るのは初めてじゃないからね。レース数も多すぎて全部は覚えていない。分からないけど、間違いなく上位に入るラップのひとつだよ」
「とにかくうれしいんだ。チームのためにも本当にうれしい。今週末はいろいろなことがあって、感情的にもいろいろあった。ただ自分の仕事をできる限りうまくやることに集中して、それを今日やることができた。本当に満足しているし、チームをとても誇りに思う」
完璧な予選運営「今年最高のバランスだった」
突然現れたようにも見えるアルピーヌの速さについて、ガスリーは単一の要因ではなく、セットアップ改善とスリップストリーム、そしてチームの予選運営がかみ合った結果だと説明した。
「FP1は走っていない。昨日のFP2では悪くなかったけど、トップ10を狙えるくらいという感触だった。FP3に向けていくつか調整して、それによってさらに少し自信を持てるようになった」
「それに、プラクティスではほとんどトウを使えていなかった。だからプラクティスの段階から、まだ少しタイムが残っていることは分かっていた」
「そして予選ではチームが本当に素晴らしい仕事をしたと思う。常にコース上でいいポジションに送り出してくれて、前とのギャップも可能な限りうまく管理してくれた」
「最後のラップでは、ルイス(ハミルトン)が速く走るタイミングで彼の2.5秒ちょっと後ろを狙うことができて、ある意味で引っ張ってもらうことができた。完璧なエグゼキューションだったと思う」
「クルマのバランスも、おそらく今年ここまでで最高の部類だった。それによってコーナーを攻めたり、クルマをスライドさせたり、自由に操ったりする自信を持つことができた。そして、すべてが重要になる最後のランでそれを結果につなげることができた」
「だから、ひとつの単純な要素によるものではない。みんなが本当にいい仕事をして、その結果として報われたんだと思う」
ザントフォールトのアップデートなしでは「絶対に不可能だった」
ガスリーは今回のポールポジションを可能にした重要な要素として、前戦オランダGPのザントフォールトでアルピーヌが投入したアップデートも挙げた。
「絶対に無理だったと思う。あのパッケージはザントフォールトの時点ですでにかなりのパフォーマンスをもたらしてくれた。僕たちがずっと競争力を増していたのも分かった」
「それに、クルマの中で僕が必要としているものを少し与えてくれていると思う。コーナー進入でプッシュできることだったり、ターンインしていくときにクルマからもう少し一貫したフィーリングを得られることだったりね」
「あのパッケージがいいパフォーマンスをもたらしてくれたのは間違いない。でもザントフォールトのあとに、僕たちがこんなポジションに来るなんて想像もしていなかった」
チェスでもラッセルに勝利「コースの内外で戦いを見つける」
ガスリーと予選2番手のラッセルは、予選開始のおよそ15分前までChess.comで対局していたという。チェス好きという共通点から始まった勝負でガスリーが勝ち、その直後の予選でもラッセルを上回った。
「昨夜のブリーフィングのときに、ジョージがチェスに夢中だと分かった。僕もチェスに夢中だし、パドックには何人かチェス好きのドライバーがいる。それでChess.comのIDを交換して、ちょっと対局していたんだ。昨日1局やって、もう1局は今日まで続いていた」
「予選前はかなり自信があった。駒を次々に取っていたからね。それで面白い話なんだけど、ベンから『ここではジョージに勝っているけど、数分後には彼がお前に勝つぞ』と言われたんだ。僕は『ふざけるなよ』って返した。結果的にはうまくいったね」
「楽しかったよ。僕たちはものすごく競争心が強いし、コース上だろうとコース外だろうと、できるところではどこでも小さな戦いを見つける必要があるんだ」

ICA裁定は「いい状況ではない」 悔しさもモチベーションに
今週末のガスリーを巡っては、国際控訴裁判所(ICA)の裁定によってモナコGPで獲得していた表彰台が取り消されるという出来事もあった。
それがイタリアGPへのさらなるモチベーションになったのかと質問されると、ガスリーは詳細への言及を避けながらも複雑な心境を明かした。
「これについてはあまり話せないと思う。言えるのは、いい状況ではないし、理想的でもないということだけだ」
「もちろん、僕は利用できるものは何でもポジティブなものに変えようとするし、さらなるモチベーションにもする。でも、今週末にこれがなくてもよかったとは思っている。それ以上は言わないよ」
「初めて本当にチャンスを与えてくれるクルマがあった」
チェッカーフラッグを受けた瞬間について、ガスリーはF1で長く待ち続けてきたポールポジションだからこそ感情が爆発したと語った。
「長かった。本当に長い間、ポールポジションを獲っていなかった。たぶんF2以来かな」
「F1はかなり厳しい。できる限り努力して、自分の最高のパフォーマンスを出そうとしているけど、言ったように、この9年間、本当の意味でポールを狙えるポジションには一度もいなかった」
「何年か前のカタールが一番近かったと思うけど、本当に上位を争えるクルマを持ったことはなかった。そして今日は、おそらく初めてそれができた」
「自分が争いの中にいると分かっているのは、本当に素晴らしい感覚だ。最後のラップで絞り出す数百分の数秒が結果として報われる可能性がある。普段なら、そういうラップをしてもギリギリQ3に入れるだけということもある。でも今日は本当に幸運だったし、あのクルマを与えてもらって、チャンスを得られたことにものすごく感謝している」
「ラインを越えたときは、正直、前回と同じだった。ただ叫んだ。何を言ったのかまったく分からないし、たぶん何の意味もないことを言っていたと思う。ただ無線で叫んだだけ。純粋な喜びだった。いろいろな感情があったし、チームのために本当に、本当にうれしかった」
決勝は「できる限り長くトップにいたい」
一方、日曜日の決勝でアルピーヌに優勝を争えるだけのロングランペースがあるのかと聞かれると、ガスリーは「それは明日の問題だね」と笑った。
それでも、ポールスタートというアドバンテージを最大限に生かすつもりだ。
「もちろん素晴らしいことだよ。僕は一番いいポジションにいるんだからね。1番手スタートで、前には誰もいない。自分のドライビングに集中すればいい」
「このコースで前に誰もいない状態がどういうものかは分かっている。それはいいアドバンテージだし、おそらくそれを生かすには最高の場所だ」
「でも長いレースになる。僕たちのペースは、周りにいる彼らと同じというわけではないけど、昨日から今日にかけてさらにペースを上げられたように感じている。もちろん全力で挑んで、何を引き出せるか見てみるよ。楽しみにしている」
「僕のプランは、できる限り長く1番手にいることだ。それがどれくらいになるかは分からない」
「自分のドライビングに集中して、ミスをせず、自分たちが持っているものを最大限に生かす。もちろん、このポジションを守り続けられることを心から願っている。でも、これはレースだからね。どうなるかは時間が教えてくれる」
「僕はいつも通り自分の仕事をしっかりやるだけだ。土曜の夜にできる限り準備を整えて、明日は自分たちにあるチャンスを最大限に生かすよ」
9年間のF1キャリアで初めて手にしたポールポジション。それが初優勝の地モンツァだったこともガスリーにとって大きな意味を持つ。アルピーヌの決勝ペースには未知数な部分が残るものの、日曜日は何も遮るもののない先頭グリッドから、再びモンツァで特別な結果を狙う。
