カテゴリー: メルセデスF1

  • メルセデス “セットアップシート未提出”でF1ラスベガスGP予選失格の可能性

    メルセデス “セットアップシート未提出”でF1ラスベガスGP予選失格の可能性

    メルセデスがF1ラスベガスGPの予選前に、2台分のセットアップシートを提出しなかったとしてスチュワードに召喚される可能性がある。

    チームはジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリのマシンに関して、FIAテクニカルデリゲートのジョー・バウアーから「書類が提出されていない」と指摘されており、規定違反と判断されれば罰則、さらには予選失格の可能性もある。

    FIAが問題視した提出遅延
    FIAの文書によると、「20時12分の時点で、メルセデスは両マシンのセットアップシートを提出していなかった」と記されている。

    スポーティングレギュレーション40.1条では「各コンペティターは、スプリント予選および予選セッションでピットレーンを初めて離れる前に、両マシンのサスペンションセットアップシートをテクニカルデリゲートに提出しなければならない」と定められている。

    メルセデスの代表者は、現地時間21時45分(英国時間5時45分)にスチュワードへ出頭することが求められている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ F1 ラスベガスグランプリ

    ラッセルは4番手、アントネッリはQ1敗退
    ラッセルは日曜のラスベガスGP予選で4番手につけ、一方アントネッリはQ1でノックアウトされ、17番手に沈んだ。

    サインツとウィリアムズにも別件で審議
    カルロス・サインツは予選中のランス・ストロールとのインシデントによりスチュワードに召喚されている。

    さらにウィリアムズも、FP3終了後に必要なインターミディエイトタイヤの電子返却を行わなかったとしてスチュワードに付託されている。

  • トト・ヴォルフ メルセデスF1の持株一部をクラウドストライクCEOに売却

    トト・ヴォルフ メルセデスF1の持株一部をクラウドストライクCEOに売却

    メルセデスF1のCEO兼チーム代表であるトト・ヴォルフが、自身の持ち株会社の一部をサイバーセキュリティ大手クラウドストライクの創業者兼CEO、ジョージ・カーツに売却した。これにより、カーツはメルセデスF1チームの株式5%を保有することになる。

    カーツが取得したのは、ヴォルフが保有する持株会社の15%。メルセデスF1は現在、メルセデス・ベンツ、イネオス、そしてヴォルフの3者がそれぞれ3分の1ずつ出資する体制となっており、今回の取引はヴォルフの持分の一部がカーツに移動した形だ。

    さらにカーツは、メルセデスの戦略ステアリング委員会に加わり、チームの技術戦略に関するアドバイザーも務めることが発表された。委員会にはメルセデス会長のオラ・ケレニウス、イネオスCEOのジム・ラトクリフ、そしてトト・ヴォルフが名を連ねており、新体制は技術分野での意思決定を強化する狙いがあるという。

    ヴォルフはカーツの加入について次のように歓迎した。

    「ジョージの経歴は非常に幅広く、レーサーでもあり、メルセデス-AMGのスポーツアンバサダーであり、卓越した起業家でもある。レースの要求を理解すると同時に、テクノロジー企業を立ち上げ成長させる現実も理解している。その組み合わせは、F1の未来にますます関連性を持つ特別な洞察をもたらしてくれる」

    一方、スポーツカーの経験豊富なレーサーでもあるカーツは、新たな役割への意欲をこう語った。

    「レースでもサイバーセキュリティでも、勝利にはスピード、精度、そしてイノベーションが求められる。ミリ秒が重要で、実行力が勝敗を分け、データが勝つ。テクノロジーは競争優位と人間の能力をあらゆる分野で再定義している。チームが安全に前進できるよう貢献できることを楽しみにしている」

    今回の株式移動はメルセデスF1の経営体制に大きな変更をもたらすものではなく、ヴォルフはこれまで通りチーム代表兼CEOとしての地位を維持する。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    60億ドルの高評価が示すF1チーム価値の急騰とメルセデスF1の強固な経営基盤
    今回の取引は、メルセデスF1チームの企業価値を60億ドル(約9300億円)と評価した上で成立したもので、これはF1チームとして歴史的に最高クラスの評価額となっている。この評価額に基づけば、ヴォルフが売却した持株の対価はおよそ3億ドル(約460億円)に相当する。

    F1では近年、チーム価値の高騰が続いており、今年9月にはマクラーレンの企業価値が35億ポンド(約6500億円)と算出されるなど、F1チームが世界的スポーツフランチャイズに近い水準まで上昇している。メルセデスF1は、フェラーリに次ぐ“F1で最も価値の高いチーム”として位置づけられており、今回の取引がその評価をさらに裏付ける形となった。

    メルセデスF1の収益源は、スポンサーシップ、F1の分配金、ライセンス収入、さらにはウィリアムズやアストンマーティンへのギアボックス供給といった技術支援による収益に支えられている。2023年にはチーム収益が6億3600万ポンドに達しており、この高い収益性が企業価値の上昇を後押ししている。

    また、今回のカーツの参画は、単なる投資にとどまらず、F1がアメリカ市場で急速に拡大している現状とも関係している。
    Netflix『Drive to Survive』のヒットや、アメリカ国内でのレース増加(オースティン、マイアミ、ラスベガス)の追い風を受け、F1は米国で最も成長しているスポーツコンテンツのひとつとみなされており、カーツ自身も「F1のバリュエーションはNBAやNFLに近づく可能性がある」と語っている。

    なお、メルセデスF1の株主構成そのものは変わらず、メルセデス、イネオス、ヴォルフ(とその持株会社)が引き続き“3つの柱”としてチームの大枠を支える体制に変更はない。カーツの参画はあくまでヴォルフの個人持分の一部取得であり、チーム全体の意思決定構造に直接的な変化はないものの、技術戦略に関する議論への新たな視点をもたらすと期待されている。

  • F1公式ショーで“ラッセルいじり”台本が一度却下 ホワイトホールが裏側告白

    F1公式ショーで“ラッセルいじり”台本が一度却下 ホワイトホールが裏側告白

    ジャック・ホワイトホールが、F1公式イベント「F1 75」ショーで使用したジョークの裏側を明かした。彼はジョージ・ラッセル本人に“許可取り”をするという異例のプロセスを経て、ようやく脚本に残せたという。

    ホワイトホールは今年2月、ロンドンのO2アリーナで開催された記念イベントを司会として仕切り、10チーム20名のドライバーが一堂に会した初の“合同シーズンローンチ”で、多くの笑いをさらった。

    しかし、台本はF1側により厳しく精査され、彼のネタのいくつかは“検閲対象”となったという。

    「バーンリー・エクレストンはNG、フラビオ・ブリアトーレもNG」脚本は“重警備”状態
    ホワイトホールは Radio X の『The Chris Moyles Show』で当時を振り返り、脚本のチェックがいかに厳しかったかを語った。

    「脚本にはジョージ・ラッセルを“TikTokの鉄道マニアっぽい”とイジる一行があったんだけど、まず審査で止められた。ほかにもバーンリー・エクレストンのジョーク、フラビオ・ブリアトーレのジョークも全部カットされたんだ」

    F1側は“扱ってはいけない人物”について明確に線引きしていたようで、ホワイトホールは思わず笑ったという。

    声メッセージでジョークを本人に送信「こんなの初めて」
    ラッセルをネタにした一文も却下されそうになったが、ホワイトホールは「いや、彼なら絶対笑うはずだ」と抵抗。するとF1側からは驚きの条件が提示された。

    「『本人が許可すればOK』と言われたから、彼のチームに確認してもらった。そしたら“本人にジョークを声メッセージで読み上げて送れ”と言われたんだ。こんなの初めてだったよ」

    ホワイトホールは実際にラッセルへ向けて音声メッセージを録音。

    「『ジョージ、O2アリーナのショーでこのジョークを言いたいんだけど、許可をもらえますか?』とね」

    その結果、ラッセルは難なくOKを出し、ジョークは台本に残ることになった。

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    「ドライバー本人はユーモアがある。怖がってるのは周囲の人たち」
    ホワイトホールは、ラッセルが快く承諾してくれたことに感謝しつつ、改めて“F1界のリアル”に触れた。

    「彼はすごくフレンドリーに『もちろん大丈夫だよ』って返してきた。ドライバー自身はみんなユーモアがある。でも、周囲の人たちがとにかく怖がっているんだよね」

    F1という巨大ブランドが主催するイベントだけに、脚本審査は徹底され、時に“ジョーク1行”を巡って本人確認まで必要になる——ホワイトホールが語ったエピソードは、F1の水面下の厳格さを象徴する出来事だった。

  • キミ・アントネッリ メルセデスF1で今季初優勝は「十分に達成可能」

    キミ・アントネッリ メルセデスF1で今季初優勝は「十分に達成可能」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、F1ルーキーイヤー終盤でのグランプリ初勝利が「十分に達成可能だ」と自信を示した。鍵となるのは、サンパウロGPで示したような理想的なパフォーマンスウインドウに再びマシンを入れ込めるかどうかだという。

    アントネッリはサンパウロGP決勝で自身初の2位フィニッシュを記録。終盤にはマックス・フェルスタッペンの猛追を振り切り、ルーキーとしてキャリア最高の結果を手にした。

    今季のメルセデスはここまで2勝しているが、いずれもジョージ・ラッセルが挙げたものだ。

    「シーズン中に初優勝、十分可能」
    シーズン終盤に勝利を狙えるかと問われたアントネッリは、Sky F1に次のように語った。

    「もちろん、最後のもう一歩を踏み出す必要がある。シーズンが終わるまでに初勝利を挙げられたら本当に素晴らしいと思う」

    「簡単ではないことは分かっているけど、今の流れを維持して、マシンから最大限を引き出すことができれば、十分に達成可能だと感じている」

    メルセデスは次戦ラスベガスで“要注意チーム”として名前が挙がっており、低温コンディションが同チームに有利に働くとの見方が強い。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    「コンストラクターズ2位死守へ」
    サンパウロGP後、メルセデスはコンストラクターズ選手権2位に浮上。アントネッリはチームに向けて、気を緩めず戦い続けることの重要性を語った。

    「ブラジルではパフォーマンスを最大化できた。あれ以上のことは望めなかった」

    「コンストラクターズでは多くのポイントを稼げた。だから、僕たちはこのレベルを維持して戦う必要がある」

    アントネッリはルーキーながら既に2度の表彰台を獲得しており、メルセデスのマシン特性とコース相性次第では、シーズン終了までに初優勝を掴む可能性も十分に見えてきている。

  • 2026年F1でポーパシングは消える?メルセデスが警告する“新たな落とし穴”

    2026年F1でポーパシングは消える?メルセデスが警告する“新たな落とし穴”

    2026年シーズンのF1は、空力レギュレーションが大幅に刷新され、現在の世代を悩ませてきたポーパシング問題が「ほぼ解消される」と期待されている。しかしメルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンは“安心は禁物”だと警告する。

    フロア形状の変更によって車体下の気流構造が大きく見直される一方で、新しい空力規則には別の“落とし穴”が潜んでいる可能性があるという。

    シミュレーションでは見えない挙動が実走行で露わになる可能性を指摘し、ショブリンは「誰かは必ずつまずく」と強い言葉で新時代のリスクを示唆した。

    ショブリン「ポーパシング再発の可能性は低いが、罠は必ずある」
    ショブリンは、2026年マシンが現在のようなポーパシングやバウンシングに苦しむ可能性は低いとしながらも、新規則に完全な安全地帯は存在しないと語る。

    「常に罠はあるし、必ずどこかのチームは“思っていたのと違う”という状況になる。新レギュレーションに入るときに『今回こそ楽だろう』と思うようなことは絶対にない」

    2026年のフロアは2022年以前の構造に近づき、フロア前方からディフューザーまでの大半がフラット化される。これにより、現在の世代で問題視された“渦の破綻”をきっかけとするポーパシングは起きにくいという。

    「規則が以前の世代のマシンに近い方向へ戻っている以上、今のようなポーパシングが発生するとは考えにくい」

    さらにショブリンは、仮に似たような現象が現れたとしても、チームはすでに対処するための知見やツールを備えていると説明する。

    「問題が起きたとしても、この期間で学んだことや、空力理解のために開発してきたツールがあるおかげで、はるかに正しく対処できるだろう」

    ただし、新レギュレーションで最も難しいのは「実走行まで真の挙動が分からない」点だと強調する。

    「シミュレーションでどれだけ作業をしても、実際にサーキットで走らせてみるまではどう振る舞うか分からない。そこが新フォーミュラのバランス取りの難しさだ」

    フォーミュラ1カー F1 自動車競技

    エネルギー不足が“オーバーテイクの新時代”を生む?
    ショブリンは、ジョージ・ラッセルが語った「2026年は奇妙な場所でオーバーテイクが発生するかもしれない」という見解にも触れた。

    2026年はバッテリーエネルギー管理が今よりもシビアになり、周回中のエネルギー残量の差がドライバー同士の駆け引きを大きく左右する可能性がある。

    「確かに、エネルギー不足はかなり重要な要素になる。最大限回生しなければならないが、この状況はグリッド全体で同じだ」

    エネルギー不足が生む新たなレース展開の一例として、ショブリンは“序盤に抜いても後半で抜き返される”状況を挙げる。

    「序盤の区間では簡単に追い抜ける場面があっても、そこで使い切ってしまえば後で抜き返される。それは十分に起こり得る」

    ショブリンは、エネルギーの使いどころが2026年のレース戦略の中心になると予測する。

    「大きな純粋性能差を生むわけではないが、レースの戦略面では非常に大きな要素になると思う」

  • 1ストップだらけのF1を変える?ジョージ・ラッセルが語る“魔法のタイヤ”とは

    1ストップだらけのF1を変える?ジョージ・ラッセルが語る“魔法のタイヤ”とは

    F1では近年、戦略が硬直化し、1ストップのレースが急増している。タイヤのデグラデーションが小さく、各チームが同じ最適解に収束してしまうことが、レースの動きを奪っているためだ。

    こうした状況の中、F1コミッションは2026年の「2ストップ義務化」を議題に取り上げたものの、明確な結論には至らず、議論は来年に持ち越された。その一方で、メルセデスのジョージ・ラッセルが示した“ある提案”が注目を集めている。

    ラッセルが語る“完璧なタイヤ”とは
    ラッセルは、F1のレースを面白くするためにはタイヤ特性そのものを変える必要があると主張する。ドライバーとして「最速で楽しいクルマ」を望む一方、世界中のファンにとって魅力的なレースを作らなければならないと前置きしたうえで、理想のタイヤ像を語った。

    ラッセルが描く“魔法のタイヤ”とは、60周レースを例にしたとき、各コンパウンドの寿命が明確に設定されているものだ。

    ■ ハード:30周で急激に性能が落ちる
    ■ ミディアム:20周で性能低下
    ■ ソフト:10周で性能低下

    性能が“崖”のように落ちることで、チームは戦略選択を迫られ、レースに幅が生まれる。ラッセルは「これが実現すれば完璧なシナリオになる」と述べている。

    ただし、ピレリにとって路面温度も舗装も異なる全サーキットに対応したタイヤを作るのは容易ではないと理解も示し、この案が“魔法のような理想論”であることも認めている。

    2ストップ義務化だけではレースは変わらない
    F1コミッションで議論された「2ストップ義務化」についても、ラッセルは慎重な立場を示す。
    もしタイヤが今と同じように摩耗しなければ、2ストップを義務化してもオーバーテイクは増えないというのが彼の見解だ。

    「タイヤが減らないままでは、2ストップでも3ストップでもレースは動かない。マシンの速さの差とタイヤ性能の差が組み合わさって初めてオーバーテイクが生まれる」

    つまり、レース戦略の多様化を実現するには、“タイヤがしっかり性能を失う設計であること” が前提条件となる。

    2026年レギュレーションでもタイヤは焦点に
    2026年からはパワーユニットが大幅刷新され、アクティブエアロの導入によってマシン挙動も大きく変化する。

    そのため、現在のタイヤ問題がどの程度維持されるのか、あるいは新たな課題が生まれるのかは未知数だ。

    F1コミッションでの議論も当面は続くため、2ストップ義務化が実際に導入されるとしても早くて2027年以降となる。

    今回のラッセルの提案が示すのは、単なるルール変更ではなく、“レースを動かす仕組みそのものを再設計する必要性” だ。

    2026年の大変革期を前に、F1は再び「面白いレースとは何か」という根本的な問いに向き合っている。

  • ジョージ・ラッセルが断言「2026年はF1が変わる。抜けない場所で抜ける」

    ジョージ・ラッセルが断言「2026年はF1が変わる。抜けない場所で抜ける」

    メルセデスのジョージ・ラッセルは、2026年に導入される新レギュレーションによってF1のレースがより改善されると自信を示した。来年はパワーユニットが内燃と電力がほぼ50:50となり、マシンはアクティブ・エアロダイナミクスを装備することで、ストレートではすべての車両が低ドラッグ状態に移行できる。これに伴ってDRSは廃止され、インディカーのプッシュ・トゥ・パスに似た「マニュアル・オーバーライド・モード」が新たなオーバーテイク手段として導入される。

    ラッセルはオーバーライド・モードそのものの効果については判断を保留しつつも、2026年マシンが生む走りの軽快さこそがレースを変えると強調した。彼は「来年はオーバーテイクが増えると思う。そして、これまで見たことがないような“意外な場所”でのオーバーテイクが起きると思う」と述べ、前を走るドライバーのバッテリーが尽きたタイミングと、後ろのドライバーが電力を残している状況が重なれば、従来では不可能だったコーナーで追い抜きが起き得ると説明した。また「ただのDRSの直線オーバーテイクは好きじゃなかった。2026年のレギュレーションはより良いレースにつながる」と語った。

    一方、ピレリは2026年仕様のタイヤ開発を進めているものの、より細くなるタイヤに対して耐久性と戦略性の両立という難しさが依然として存在するとされた。ラッセルは「僕たちはドライバーだから、最高で最速で楽しいクルマを求めてしまう。でも僕たちは20人のうちの1人にすぎない。毎週このスポーツを追っている1億人以上のファンがいることを理解しなくてはならない」と語ったうえで、60周レースならハードが30周、ミディアムが20周、ソフトが10周で性能が急激に落ちるような“理想的な落ち幅”を持つタイヤが作れれば戦略の幅が広がると理想像を示した。ただし「ピレリにとって簡単ではない。路面はサーキットごとに異なるし、開発は本当に難しい。もし全サーキットで路面が同じならもっとやりやすいのに」と述べ、タイヤメーカーの難しさも理解を示した。

    メルセデスは現在、コンストラクターズ選手権でフェラーリ(356点)、メルセデス(355点)、レッドブル(346点)が激しい2位争いを展開している。しかしラッセルは、チームの焦点はすでに2026年に完全移行していると明言した。「チームの95%は2026年に向けて動いている。レースに来ているメンバーは今年のマシンに集中している“最後の戦士”だけど、開発に関しては全員が来年のマシンに向かっている」と語り、自身のシミュレーター走行もすでに2026年マシンのみになっていると付け加えた。

    フォーミュラ1カー F1 自動車競技

    2026年レギュレーションがもたらす“レースの質の変化”
    ラッセルの発言は、2026年が単なる規則変更ではなく、レース展開そのものの質が変わる転換点になるという見方を示している。ストレートで全車が低ドラッグ状態になるため、従来のようなDRS依存のオーバーテイクは姿を消し、エネルギーマネジメントの差が新しいレースの主役になる可能性が高い。

    バッテリー残量の違いによる“局所的な性能差”は、従来ではオーバーテイクの対象にならなかった中速コーナーなどでも追い抜きが発生する状況を生む。ラッセルの言う“意外な場所”とは、まさにそうしたコーナーでの一撃を指すものだ。

    タイヤに関しては、戦略の幅を広げるための急激な性能落ち込みという理想と、各サーキットで大きく異なる路面条件という現実が対立する。ピレリがどこまで2026年タイヤで統一性を持たせられるかが、レース戦略の自由度を左右する大きな要素になる。

    メルセデスの“2026年全集中”が示すもの
    ラッセルが「95%が来年に向いている」と語ったことは、メルセデスが2026年を新たなスタート地点と捉えている強い証拠だ。レギュレーション初年度は勢力図が大きく変わる可能性が高く、過去には2014年にメルセデスがハイブリッド元年で圧倒的優位を築いた例もある。現状の競争ではタイトル争いに絡むのが難しい中、2026年に勝機を見出す姿勢は極めて明確だ。

  • メルセデスF1代表 アントネッリを称賛「これから先の可能性を示した」

    メルセデスF1代表 アントネッリを称賛「これから先の可能性を示した」

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフは、F1サンパウロGP決勝で2位に入ったアンドレア・キミ・アントネッリの走りを称賛した。ルーキーのアントネッリは、終盤にタイトル争い中のマックス・フェルスタッペンを抑えきり、自身最高位となる2位でフィニッシュした。

    この結果により、アントネッリはヨーロッパラウンドの不調から完全に立ち直り、シーズン終盤に向けて確かな成長を示した。

    「プレッシャーの少ない環境で完璧に遂行」
    ヴォルフはレース後の取材で、今回のパフォーマンスがアントネッリにとって最も完成度の高い週末だったかと問われると、次のように答えた。

    「週末を通して本当に強かった。最初からすべてがうまく噛み合っていた。初めて訪れたサーキットということもあり、良い意味で期待値が下がり、プレッシャーも少なかったのかもしれない」

    「フェルスタッペンのような速いドライバーを、新しいタイヤで追ってくる状況の中で抑えきったのは見事だった。完璧な遂行であり、これから先の可能性を示す素晴らしい走りだった」

    「若者が大人へと成長している」
    さらにヴォルフは、アントネッリがヨーロッパ以外のサーキットで調子を取り戻している理由についても言及した。

    「それは成長の過程だと思う。来年はすでに経験のあるサーキットに戻ってくるわけだが、過度な期待を背負わずに臨めるだろう。まさに“学びの年”であり、我々が想定していたアップダウンのあるシーズンそのものだ。今日は間違いなく“アップ”の日だね」

    「この先の3戦で、若い少年が若い大人になり、真のレーシングドライバーとして成熟していく姿を見られると思う」

    メルセデス、コンストラクターズ2位へ前進
    ブラジルGPでは、アントネッリが2位、ジョージ・ラッセルが4位とダブル入賞を果たし、メルセデスはコンストラクターズ選手権で2位浮上への一歩を踏み出した。レッドブルとの差は32ポイント、フェラーリとの差は36ポイントに広がった。

    しかしヴォルフは依然として慎重な姿勢を崩さない。

    「1レースで30ポイントのスウィングは起こり得る。フェラーリのようにダブルDNFになれば、すぐに立場が入れ替わる。だからこそ地に足をつけて、一戦一戦を確実に戦うことが大切なんだ」

    アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    「これがF1のあるべき姿」
    アントネッリがフェルスタッペンを抑え込んだ一方で、ラッセルもオスカー・ピアストリの追撃を見事に防ぎ、4位を守り切った。

    「これこそF1本来の姿だ。攻める側も守る側も全力で戦っていた。2人とも素晴らしい仕事をしてくれた。アントネッリの2位はもちろん輝かしい成果だが、ラッセルの防御も同じように誇らしい」

    「エネルギーマネジメントも完璧だった。エンジン担当、レースエンジニア、ドライバーが一体となってエネルギー回収と使用を最適化し、ストレートで最大限の力を発揮できた。あれが勝負を分けた要因のひとつだった」

    成長を続ける18歳、次戦以降への期待
    アントネッリのインテルラゴスでの2位は、彼がメルセデスの将来を担う存在であることを改めて印象づけた。ヴォルフの言葉どおり、残り3戦で18歳のルーキーがどこまで進化を遂げるのか、注目が集まる。

  • トト・ヴォルフ、メルセデスF1株式を一部売却へ チーム評価額は約9200億円

    トト・ヴォルフ、メルセデスF1株式を一部売却へ チーム評価額は約9200億円

    メルセデスF1のボス、トト・ヴォルフは、関係筋によると、チームの評価額を60億ドル(約9200億円)とする条件で、自身が保有する33%の持分の一部を売却するための交渉を進めている。

    取引が完了すれば、それはF1チームとして過去最高の評価額となり、先月マクラーレンLPの株式売却でつけられた47億ドル(約7200億円)を上回ることになる。

    ヴォルフは現在の役職を維持し、メルセデス・チームのCEOおよびチーム代表として引き続き務める予定だ。この取引は、ヴォルフが株式を保有する持株会社を通じて行われるチームの中位の一桁台(mid-single-digit)の持分の売却である。スポルティコは買い手を特定することができなかった。

    メルセデスAMGペトロナスF1チームの広報担当者は電子メールで次のように述べた。
    「この件についてコメントする予定はありません。チームのガバナンスは変更されず、3人のパートナー(メルセデス・ベンツ、トト、イネオス)は、フォーミュラ1におけるメルセデス・ベンツの継続的な成功に引き続き全面的にコミットしています」

    メルセデスF1チームの現在の資本構成は、ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ、ヴォルフ、そして英国の化学大手イネオスの3社がそれぞれ33%ずつ保有している。イネオスは英国の億万長者であり会長兼筆頭株主であるジム・ラトクリフのもと、2022年1月にメルセデスチームの持分を取得した。

    メルセデスAMGペトロナスは2024年に8億1200万ドル(約1250億円)の収益を計上しており、これはF1チームの中でトップの数字である。ヴォルフは、給与と配当を合わせて5000万ドル(約77億円)を超える報酬を自身の持分から得ている。

    ヴォルフは、メルセデスに参加する前、ウィリアムズF1チームの投資家でもあった。その後、メルセデスが2010年にF1に復帰したのを受け、2013年に投資家兼チームCEOとしてメルセデスに加わった。彼の投資は、当時チームの評価を約1億6500万ドル(約250億円)と見積もって行われたものだった。2014年、メルセデスはコンストラクターズタイトル8連覇のスタートを切り、その間にルイス・ハミルトンの7度のドライバーズタイトルを含む黄金期を築いた。

    メルセデスの支配的な時代は、リバティ・メディアによるF1の所有と、人気ドキュメンタリーシリーズ『Formula 1: Drive to Survive』によって後押しされたF1人気の拡大と重なった。新たに導入されたコストキャップも、スポーツの経済構造を劇的に変化させ、チームの評価額を急上昇させた。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    かつてF1チームの所有は「金を燃やすライセンス」と言われ、チームは赤字に耐えられなくなると撤退していた。2010年代にはケータハム、HRT、マノー・レーシングがいずれも活動を停止している。2015年には、ルノーがロータスを象徴的な1ポンド(約190円)で買収した。

    9月には、マクラーレン・レーシングのオーナーが、F1チームの残りの30%を取得した。MSPスポーツ・キャピタルは、2020年12月に1億8500万ポンド(約350億円)でマクラーレン株を購入しており、今回の売却で10倍のリターンを得たことになる。これは、機関投資ファンドによるスポーツチーム投資として史上最大の利益確定事例となった。

    メルセデスのドライバーたちは、日曜日のブラジルGPで2位と4位に入り、チームは残り3戦の時点でランキング2位に位置している。マクラーレンはすでに2年連続のタイトルを確定させている。

  • アントネッリ F1サンパウロGPで2位表彰台「最後はマックスを必死で抑えた」

    アントネッリ F1サンパウロGPで2位表彰台「最後はマックスを必死で抑えた」

    メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは、F1サンパウロGPで自身最高位となる2位を獲得した。19歳のルーキーはレース中盤に起きたオスカー・ピアストリとシャルル・ルクレールの接触に巻き込まれながらも、幸運にもダメージを最小限に抑え、今季2度目の表彰台を手にした。

    週末を通じて好調を維持したアントネッリは、スプリントと決勝の両方でランド・ノリスと最前列を分け合ったが、レースでは序盤のセーフティカーリスタート直後に危うい場面を迎えた。

    ピアストリがターン1のイン側から仕掛け、ルクレールがアウト側に並ぶ3ワイドの展開となった瞬間、マクラーレン勢がブレーキングでロックアップ。ピアストリがメルセデスに接触し、跳ね飛ばされたアントネッリのマシンがルクレールに当たり、フェラーリはタイヤを失って即リタイアとなった。

    ピアストリには10秒ペナルティが科せられたが、アントネッリは幸運にも走行を続けることができた。

    「リスタートは良くなかった。少しアクセルを踏みすぎてホイールスピンしてしまい、1コーナーに向かうまでに勢いを失った」とアントネッリは説明した。「3ワイドになって、正直オスカーは完全には並んでいなかった。彼がイン側、シャルルがアウト側にいて、僕は両方にスペースを与えようとしたけど、オスカーがロックアップして僕にぶつかってきた。そこからシャルルに当たってしまったんだ」

    「彼がリタイアしてしまったのは残念だったけど、僕としてはとても運が良かった。車が大きく壊れなかったのは幸運だった。挙動は少しおかしかったけど、集中を切らさずに走り続けて2位でフィニッシュできた」

    フェルスタッペンとの激しい終盤バトル
    クラッシュを免れたアントネッリはその後も安定した走りを見せたが、終盤にはピットレーンスタートから驚異の追い上げを見せたマックス・フェルスタッペンに猛追され、最後の数周は激しい防衛戦を強いられた。フィニッシュラインではわずか0.362秒差で逃げ切り、2位を守りきった。

    「正直、どこから彼が現れたのか分からなかった!」とアントネッリは笑った。「最後のラップは本当にストレスだった。マックスは新しいタイヤで来ていたからね。僕たちはクリーンエアの状態でまずまずのペースを維持できていたけど、彼が近づいてきたときにはペースを上げてプッシュした」

    「このマシンでは汚れた空気の中で追うのが難しいから、その特性をうまく使って防いだ。結果的にうまくいったと思う」

    「これまでのなかで最も完成度の高い週末だったと思う。ようやくすべてが噛み合ってきた。チームとしても結果を最大化できたし、コンストラクターズでも良いポイントを稼げた。これを続けていきたい」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) ブラジルグランプリ

    ルーキーの成熟と冷静さ
    インテルラゴスでのアントネッリは、予選・決勝を通じて終始冷静で、自身初の2位表彰台にふさわしい走りを披露した。ピアストリとの接触では不運にも巻き込まれたが、トラブル後も落ち着いてレースを立て直し、終盤のフェルスタッペンとの攻防ではルーキーらしからぬ成熟した判断を見せた。

    また、今季2度目の表彰台はメルセデスにとっても大きな前進を意味し、チームの開発方向性と若手育成の成果を裏付ける結果となった。今後のレースでも、アントネッリがこの安定感と冷静さを維持できるかが注目される。