カテゴリー: メルセデスF1

  • ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    ウィリアムズF1代表ジェームス・ボウルズ「2026年はメルセデスが本命」

    2025年シーズンをコンストラクターズランキング5位で終えたウィリアムズF1チームは、2026年F1レギュレーションという大きな転換期を前に、さらなる前進を目指している。グローブのファンが思い描く理想像は、メルセデス製パワーユニットの大きな後押しを受け、2014年にランキング3位を獲得し、その翌年も同順位を維持したあの成功体験だ。

    しかし、チーム代表のジェームス・ボウルズは、期待を過度に高めることには慎重だ。

    仮に新しいメルセデスのパワーユニットが非常に競争力のあるものになったとしても(最近取り沙汰されている規則上の論争は別として)、ウィリアムズが2014年や2015年の再現を果たせるとは考えていない。

    なぜウィリアムズF1はメルセデスに勝てないのか
    「もしメルセデスが際立って優れている点があるとすれば、それはレギュレーションが変わる時だ」と、かつてブラックリーで長年戦略部門を率い、トト・ヴォルフの右腕として働いてきたボウルズは語った。これは『Motorsport Week』の取材に対するものだ。

    「それは100%明らかだ。我々は将来ワールドチャンピオンを狙えるチームになるため、できる限りのことをしてきたが、現時点ではまだメルセデスほどの施設も能力も持っていない。事実はそうで、話は単純だ」

    まだサーキットでの実測データはなく、各チームはシミュレーターを用いて勢力図を推測している段階に過ぎない。それでもボウルズは、2026年に向けて倒すべき相手はメルセデスになる可能性が高いと見ている。

    「彼らはほぼ規則の理解と最適化に集中して準備を進めてきた。一方で、私がやってきたことは、将来に向けた基盤作りが中心で、同時に2026年マシンにも少しずつ焦点を当ててきたというものだ」

    「つまり、来年メルセデスがどの位置にいるのかは分かっているし、彼らが非常に強くなることは確信している。我々はウィリアムズF1チームを、一歩ずつ、毎年成長させていかなければならない。そして、それができる力はあると思っている」

  • セルジオ・ペレスが振り返るF1初期の選択肢「メルセデスの話もあった」

    セルジオ・ペレスが振り返るF1初期の選択肢「メルセデスの話もあった」

    セルジオ・ペレスは、F1初期のキャリアにおいてマクラーレンに加入する前、メルセデスへ移籍する選択肢もあったことを明かした。

    ペレスは2011年にザウバーからF1デビューを果たし、2012年シーズンには3度の表彰台を獲得するなど、初期から印象的な結果を残した。

    その翌年、ペレスはジェンソン・バトンのチームメイトとしてマクラーレンに加入し、メルセデスへ移籍したルイス・ハミルトンの後任を務めることになった。

    しかしペレスによれば、その時点では複数の選択肢が存在しており、フェラーリもそのひとつだったという。ペレスはF1参戦初期にフェラーリのジュニアプログラムと関係を持っていた。

    「すべては本当に早かった」とペレスは『Cracks』ポッドキャストで語った。

    「僕はグリッドで最も欲しがられているドライバーだった。普通、若いドライバーがF1に来てすぐ結果を出すと、どのチームも欲しがるものだ。どこまで行けるか分からないからね」

    「だから、トップチーム3つから3つの異なる選択肢があった。ひとつは明らかにフェラーリだった。僕はフェラーリのアカデミーの一員としてF1に来たわけだし、論理的にはその道を進むのが自然だった」

    「でもフェラーリは2014年までシートを用意できなかった。僕はすでに焦っていたし、若かったし、今すぐ欲しかった。タイトル争いを始めるには最高のチームだったし、とにかく必死だった」

    セルジオ・ペレス F1

    さらにペレスは、もしハミルトンがマクラーレンに残留していた場合、ブランクリー拠点のチームへ移籍していた可能性があったことも明かしている。

    「突然その選択肢が出てきた。僕はずっと、絶対に乗ることはないと思っていたチームが2つあった。マクラーレンとレッドブルだ。どちらも自前のアカデミーでドライバーを育てるからね」

    「ところがマクラーレンから話が来た。彼らはハミルトンが去ることで不安になっていたし、もしハミルトンがメルセデスに行かなければ、僕にはメルセデスという選択肢もあった」

    「マクラーレンは非常に強い意志を持って契約を提示してきて、僕はそれを受け入れた」

    ペレスは最終的にマクラーレンに在籍したのは1シーズンのみとなり、不本意な結果に終わった2013年シーズンの終了とともに、ウォーキングを本拠地とするチームを去ることになった。

  • キミ・アントネッリ、メルセデスの2026年F1マシン「W17」でシート合わせ

    キミ・アントネッリ、メルセデスの2026年F1マシン「W17」でシート合わせ

    アンドレア・キミ・アントネッリの2026年F1シーズンが動き出した。イタリア人ドライバーは、メルセデスの新車W17を想定したモックアップで、恒例のシートフィッティングを実施している。

    F1参戦2年目を迎えるアントネッリにとって、この作業は新シーズンの第一歩となる。期待のルーキーという立場から一歩進み、グランプリの舞台で確固たる存在感を築くことが、今季の目標だ。

    シートポジションの最適化が主目的
    今回のシートフィッティングは、1月26日から30日にかけてCircuit de Barcelona-Catalunyaで行われるシェイクダウンに登場する実車ではなく、W17のモックアップを用いて行われた。

    作業の中心となったのは、ドライビングポジション、着座高さ、そしてステアリングとの距離といった基本要素の調整で、マシンとの一体感を高めるための重要な工程となる。

    W17は1月下旬から本格公開へ
    メルセデスは2026年F1パワーユニットを巡る議論でライバルの注目を集めているが、新車W17については、1月22日に最初のレンダー画像を公開する予定だ。

    さらに2月2日には、恒例の正式発表イベントが控えており、アントネッリにとっても本格的な新シーズンへの準備が段階的に進んでいくことになる。

  • ジョージ・ラッセル メルセデスF1で転機「限界を超えようとして痛い目を見た」

    ジョージ・ラッセル メルセデスF1で転機「限界を超えようとして痛い目を見た」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、F1でのある時期のアプローチが自分自身にとって大きな転機となり、結果的にメルセデスで「より大きな成果」を手にすることにつながったと明かした。

    ウィリアムズからメルセデスに移籍して2年目、7度の世界王者であるルイス・ハミルトンとチームメイトとして戦う中で、ラッセルは自分の限界を確かめるため、サーキット上でさらに踏み込む必要があると感じていたという。

    しかし、当時のメルセデスは競争力に欠けており、その姿勢はある意味で裏目に出た。ラッセルはドライバーズランキング8位に終わり、表彰台は2回にとどまった。一方でハミルトンは6回の表彰台を獲得し、ランキングでもラッセルを5つ上回り、ポイントでも59点差をつけていた。

    この経験から教訓を得たラッセルは、ハミルトンの影から解放された昨季、チーム内で存在感を高め、メルセデスでのベストシーズンを送った。ランキング4位でシーズンを終え、カナダとシンガポールで勝利を挙げている。

    「ルイスと一緒に走っていた時期は、自分を試したくて、まだ余力があるのかを知るために、限界を超えてみたいと思っていた」とラッセルは、シーズン終了後にRacingNews365など一部メディアに語った。

    「主に2023年のことだけど、表彰台争いをしているだけでは満足できなかった。表彰台や4位で終わるよりも、境界線を押し広げて、ハイライトになる結果を狙いたかった」

    「それが少し痛い目にあった部分でもある。だから昨年は少し抑えるようにして、その結果、より大きな成果につながったと思う」

    ジョージ・ラッセル メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ラッセルが担ったリーダーシップ
    2025年シーズン、ルーキーのキミ・アントネッリをチームメイトに迎えたことで、ラッセルはチーム内でよりリーダー的な役割も担うようになった。

    27歳のラッセルは、自身の性格について「かなり合理的で客観的な人間だ」と表現し、その強みを舞台裏で発揮できたと感じているという。

    「このスポーツでは感情が高ぶる場面が本当に多い。特にその瞬間では、それも悪いことではない」とラッセルは語った。

    「でも、エンジニアのオフィスやデザインオフィスで、アップデートや進むべき方向性について話すときには、冷静で明確な頭を持つことがとても重要だ。特定の瞬間に過剰反応しないことが大切になる」

    「ある週末が失敗だったのか、そうでなかったのかを、なぜそうなったのかという客観的な理由で考える必要がある。週末が良くなる、あるいは悪くなる理由は決して一つではないからだ」

    「失敗の理由として、特定の要素を指摘する理論はいくらでも出てくる。でも、その理論だけを基に行動計画を立ててしまうと、間違った方向に進んでしまう可能性がある」

    ラッセルは、感情と冷静さのバランスを取ることこそが、メルセデスで結果を積み重ねる上で重要だったと振り返っている。

  • メルセデスF1 2026年F1エンジン勢力図は「神のみぞ知る」

    メルセデスF1 2026年F1エンジン勢力図は「神のみぞ知る」

    2026年F1シーズン開幕を前に、パドックでは再びメルセデスのパワーユニットが優位に立つのではないかという噂が広がっている。2014年の大規模なパワーユニット規則変更で主導権を握った過去を踏まえ、同様の構図が繰り返される可能性を指摘する声も少なくない。しかし、その見方に対してメルセデス陣営は慎重だ。トト・ヴォルフとともに、パワーユニット開発を統括するハイウェル・トーマスは、開幕時点での勢力図について「我々自身も分からない」と率直に語り、パドックに広がる確信めいた評価に疑問を投げかけている。

    ヴォルフは、2026年に向けたメルセデスの立ち位置について「我々は決して楽観的ではない」と強調する。2014年の成功体験があるからといって、同じ結果が再現される保証はどこにもないというのが基本姿勢だ。

    エンジン規則が、電動化と持続可能燃料に重点を置いた1.6リッターV6ハイブリッドの新たな進化形へと変更される中で、2026年F1は、グリッド上に存在する5社のエンジンマニュファクチャラーのパフォーマンス差が、長年で最も大きく影響する年になる可能性が高い。

    4年間のエンジン凍結期間を経て、各マニュファクチャラーは新世代エンジンの開発に全力を注いできた。この新エンジンは、1月下旬に11チームがカタルーニャ・サーキットに集結して実施される、5日間の非公開合同テストで初めて走行する。

    内燃機関と電動補機の出力比が50対50となったことで、新しいパワーユニットは極めて大きなエンジニアリング上の挑戦となっている。その狙いは、旧規則と比較してラップタイムが大きく低下しないようにすることにある。

    これを実現するため、シャシー規則ではアクティブエアロダイナミクスが導入され、コーナーではダウンフォースを増加させ、ストレートではドラッグを低減することが目的とされている。

    新規則のどの側面も短期間で仕上がるものではないが、2026年F1シーズンを前にした最大の疑問のひとつは、どのパワーユニットマニュファクチャラーが最初から正解を掴むのか、という点だ。

    FIAは、新サイクルの序盤で苦戦するパワーユニットマニュファクチャラーに対して、追加開発およびアップグレードの機会(ADUO)の詳細を示しているものの、通常の自然な収束が始まる前に、1社または2社が明確な優位性を持つ可能性は十分にある。

    その有力候補が誰かという点については、噂話は常に慎重に受け止める必要があるが、パドックで一貫して囁かれている名前のひとつが、ブラックリーを拠点とするメルセデスのパワーユニット開発部門、メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズだ。

    メルセデスHPPは、ワークスチームであるメルセデスF1に加え、2026年にはコンストラクターズチャンピオンのマクラーレン、ウィリアムズ、そして新たに加わるアルピーヌにもパワーユニットを供給する。

    トト・ヴォルフ「メルセデスは“グラス・ハーフ・エンプティ”の人間だ」
    F1公式ポッドキャスト『ビヨンド・ザ・グリッド』に出演したメルセデスのCEO兼チーム代表トト・ヴォルフは、パワーユニット部門に向けられている本命視を踏まえ、新年に向けた自信の度合いについて問われた。

    「まったく自信はない。我々はグラス・ハーフ・エンプティの人間だ。決してハーフ・フルではない」

    「まず最初に、家の中の敵がいる。マクラーレンは今年、メルセデスのパワーユニットを搭載して、我々よりも優れたチームだった」

    「だから、もしパワーユニットが優れていたとしても――我々は決してそう言わないし、そう言う資格があるとも思っていないが――ウィリアムズに勝たなければならないし、マクラーレンに勝たなければならないし、アルピーヌにも勝たなければならない」

    「彼らの中には、コンストラクターズ選手権での順位が良くなかったため、風洞でより多くの開発時間を持っているチームもある」

    「また、我々が見落としているような革新を持ち込んでくるチームもあるかもしれない。だから、仮に我々のパワーユニット、メルセデスのパワーユニットが最も強かったとしても、何ひとつ当たり前だと思うことはできない」

    「加えて、こうした噂話というものは常に危険だ。なぜなら、どこかの別のチーム、あるいは別のパワーユニットマニュファクチャラーや燃料サプライヤーが、『彼らを本命に据えておこう。しかし我々は来る』と考えるからだ」

    「だから我々は、美容室で語られているようなゴシップに一切浮かれることはない」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ フォーミュラ1エンジン 2026年のF1世界選手権

    ハイウェル・トーマス「我々のパワーレベルは神のみぞ知る」
    ヴォルフと並んで出演していたのは、メルセデスHPPのマネージングディレクターであり、エンジンプログラム全体を統括するハイウェル・トーマスだった。

    彼は、F1がV8からV6ハイブリッドへと移行した前回の大規模な規則変更の際、2014年シーズンを前にメルセデスは危機的な状況にあると感じていたと明かした。しかしその不安は完全に的外れであり、エンジンはフィールド随一の性能を発揮した。

    2026年に向けた自身のエンジンの見通しについても「当時と本当に似た感覚だ」と冗談めかして語り、どのオフシーズンにおいても、十分なパワーと信頼性を見つけられたと感じることはほとんどなく、「すべてが十分ではない」と感じていると認めた。

    一方で、バルセロナでの1回とバーレーンでの2回、計3回のプレシーズンテストがあれば、シーズン開幕までに問題を解消するには十分だとも述べている。

    「我々の準備としては十分だと思う」

    「長年にわたって、ダイノ設備、ファクトリーでの運用方法、さらにはバーチャルランなど、多くの投資をしてきた。それによって自分たちを準備させてきた」

    「最初のテストはすべてを一度動かして確認するために重要になる。なぜなら、クルマ、タイヤ、すべてが新しく、相互作用が非常に多いからだ。だから、それで十分だと思う」

    「勢力図について言えば、我々は決して十分なパワーがあるとは思わないし、十分な信頼性があるとも思わないし、それをトラックに落とし込む点で自分たちが最良だとも思わない」

    「常に少し遅れていると思い、もう少しを求め続けるのであれば、それは悪いことではないと思う」

    メルセデスが一歩先を行っているという噂について、トーマスは次のように語った。

    「正直に言って、開幕戦でどれだけのパワーを持っているのか、私は分からない。だから、なぜパドックの他の人たちがそれを知っているのか、神のみぞ知る、だ」

    ただし、今回の規則変更の性質上、誰かが他を出し抜く可能性はあるとも認めている。

    「常に可能性はある。間違いなく常に可能性はある」

    「ただし、この規則はそれを避けるような形で作られている」

    「やり方をある程度制限する制約がある。もしそれがうまく機能していれば、誰かが大きく先行する可能性は低くなる」

    「だが、誰かが抜け穴を見つけ、他の誰も見つけていない驚くべき解決策を見つけていないと、誰が言えるだろうか」

    今年、5社のパワーユニットマニュファクチャラーを分ける要因について問われ、それが信頼性を保ちつつ、どれだけ攻めたかという点に尽きるのかと聞かれると、トーマスはそれも一因だと答えた。

    「このプロジェクトは、非常に我々自身で作り上げるものだった」

    「すべての要素は存在していたが、信じられないほど高い目標を自分たちに課し、いくつかの飛躍を行う必要があった」

    「ただし、それはすべて我々自身が作り出したものだ。燃料のように、スポーツ側から『これをやらなければならない』と言われたものではない」

    「我々にとっては、『どうやってこれをまとめるのか』『どこに目標を置くのか』『どこに資金を投資すべきか』という問題だった」

    「同時に、パワーユニットのコストキャップも導入された。これは新たに現れた競争要素だ」

    「優位性が生まれる要素としては、三つあると思う」

    「ひとつはクランク出力だ。クランク出力は常に重要だ」

    「二つ目は電動システムの効率だ。電動システムの効率が高ければ高いほど、長く使うことができ、それは速さにつながる」

    「三つ目は、それらすべてをどう連携させるかだ。どうやって一体として機能させるのか。エネルギーをどう使うのか。完全に新しいクルマとどう相互作用させるのか」

    「ドライバーとどう関わるのか。ドライバーは、望めばストレート一本を信じられないほど速く走ることができるが、そうすれば残りのラップで使い果たしてしまう。だから、それはできない」

    「この戦略的な要素、どこでどう使うかという点も、非常に大きな要素になる」

    ただし、レース運びには大きな思考の変化が求められる一方で、規則変更そのものは2014年ほど革命的ではないとも述べている。

    「2012年や2013年にその規則について最初に話していた頃を思い出すと、それを見て『なんてこった、ここには本当に発明しているものがある』と思った」

    「電動ターボ、10万回転を超える電動モーター。そんなものは存在していなかったし、それを発明しなければならなかった。本当に大変で、信じられないプロジェクトだった。ハードウェアの観点では、非常に困難だった」

    「2026年の規則について言えば、バッテリーも、350キロワットの電動モーターも存在している」

    「もちろん、それらはF1の枠組みでは存在していないし、サイズも形も違うが、存在はしている。そういう意味では、この規則はそれほど大きなものには感じない」

    「しかし、この規則で確実に変わるのは、ドライバーとのインタラクションだ」

    「電動要素の影響で、我々は基本的にエネルギー制限を受けることになる」

    「だから、守るため、攻めるため、そして最大限速く走るために、適切なタイミングで適切なエネルギーを持っているように、ドライバーと協力する必要がある」

    「どうレースをするのか、どうやって正しく戦うのかを理解するために、ドライバーとその周囲のエンジニアには、本当に深い思考が求められることになる。これは2013年から2014年頃に直面したものよりも、さらに大きな挑戦だと思う」

  • メルセデスF1 「2026年はエンジンの信頼性が再び勝負を左右する可能性」

    メルセデスF1 「2026年はエンジンの信頼性が再び勝負を左右する可能性」

    F1では近年、信頼性が極限まで高まり、それが当たり前の存在になったことで、かつてレースの重要な要素だったメカニカルトラブルによるリタイアはほとんど見られなくなった。しかし、2026年F1レギュレーションの導入によって、この「超高信頼性の時代」は一時的に終わりを迎える可能性がある。

    メルセデスF1のトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、新世代マシンの登場により、少なくともシーズン序盤はグリッド全体で信頼性リスクが高まると見ている。

    近年の数字は、現代F1がいかに堅牢なカテゴリーになったかを如実に示している。2024年と2025年シーズンは、F1史上もっとも信頼性が高いシーズンとなり、リタイア率はわずか10.5%にとどまった。これはスタート台数と完走・完走扱いとなったドライバー数を比較して算出されたもので、多くのリタイアはメカニカルトラブルではなく、ドライバーエラーによるものだった。

    もちろん、グリッドの半数以上が完走できなかった時代が戻るわけではない。直近の例は1994年で、この年のリタイア率は51.8%に達していた。それでも、2026年シーズン序盤には、いくらかの予測不能性が戻ってくる可能性がある。

    「最初の数か月、あるいは最初の数年は、これらのマシンを信頼性のある状態に仕上げるのが極めて難しくなる。その結果、リタイアのリスクは確実に高まるだろう」とショブリンは語る。

    「過去2回の冬季テストを振り返っても、初日に赤旗が出た記憶はほとんどない」

    「テストベンチでの作業やチェックは膨大だが、10チームが8,000〜9,000点もの部品でマシンを組み上げ、それらがすべて正常に機能し、2日間のテストをノートラブルで走り切る。これは本当に驚異的なことで、今のF1が到達したレベルを示している」

    しかしショブリンは、2026年に向けた技術的断絶が、この状態を維持することを極めて困難にすると見ている。

    「だが、来年導入される変更の規模と新技術の多さを考えると、これは一気に難しくなる。そして、ここ2シーズンではほとんど差別化要因になっていなかった信頼性が、再び重要な要素になると思う」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    これらの発言は、メルセデス製パワーユニット固有の懸念を示すものではなく、2026年にF1がどのようなレースを見せるかという全体的な見通しに基づくものだ。完全に新しいパワーユニットを導入することは、すべてのエンジンメーカーにとって極めて大きな挑戦となる。

    特に、これらのエンジンが実際の走行条件で回されるのは1月以降で、それまではシミュレーションやベンチテストに限られている。この状況は、2014年を想起させる。当時はルノーが深刻な問題に直面し、フェラーリも独自の苦戦を強いられた。さらに、ホンダは2015年に極めて厳しい初年度を迎えている。

    過去を振り返れば、大規模な技術レギュレーション変更は、ほぼ例外なくリタイア率の上昇を伴ってきた。2014年に1.6リッターV6ターボハイブリッドが導入された際、リタイア率は21%に達した。これは、ヘレスでの冬季テストで走行距離が極端に限られていた状況を考えれば、最終的には比較的良好な数字だったとも言える。

    2022年、グラウンドエフェクトカーが導入された際にはリタイア率が17%に上昇し、前年の13%を上回った。また2017年には、ワイドボディかつハイダウンフォース化されたマシンの登場により、この数字は17%から23%へと跳ね上がっている。

    それでも、現代のF1が素早く学習し、適応する能力を持っていることも事実だ。2014年には、開幕戦オーストラリアGPでポイントを与えるのに十分な台数が完走できるのかすら疑問視されていたが、結果的には14台がチェッカーを受け、そのうち1台が未分類に終わっただけだった。

    こうした適応力があるとはいえ、2026年は少なくとも一時的に、信頼性が生むドラマをF1に呼び戻す可能性がある。それは、ときに単調なグランプリを、一気にエキサイティングなレースへと変える要素になり得る。

  • アルピーヌF1 2026年F1マシン『A526』搭載のメルセデスPUを初始動

    アルピーヌF1 2026年F1マシン『A526』搭載のメルセデスPUを初始動

    アルピーヌF1チームは、2026年F1シーズンに向けた新型マシン「A526」の初始動を完了したことを明らかにした。エンストンのファクトリー内部で行われたメルセデス製パワーユニットのファイアアップ作業の様子を収めた映像とともに、チームは新時代の幕開けを公にしている。

    今回のファイアアップは、2026年F1レギュレーション導入を前にした重要な節目となる。

    シャシーとパワーユニットを初めて組み合わせ、両者が正しく連携して作動するかを確認する工程であり、新車開発における基礎段階の完成を意味する。

    アルピーヌにとって、このファイアアップは単なる新車立ち上げ以上の意味を持つ。2025年シーズン限りでルノーによる自社パワーユニット開発を終了する決断を下し、2026年からはメルセデス製パワーユニットを初めて使用する体制へと移行するからだ。今回のA526は、その最初の実走行世代となる。

    メルセデスは今後もワークスチームを含め4チームにパワーユニットを供給するが、アルピーヌはそのカスタマーチームの一角として新たなスタートを切る。チームはすでにクリスマス前に2026年仕様パワーユニットのエンジン音を公開しており、次世代F1マシンのサウンドの一端も示していた。

    アルピーヌF1チーム フォーミュラ1カー

    2025年シーズン、アルピーヌはコンストラクターズ選手権最下位に沈む厳しい結果に終わった。こうした状況を受け、エンストンのチームは早い段階から2026年マシンの開発に注力する判断を下している。新レギュレーション初年度での巻き返しを見据えた、明確な戦略転換だった。

    アルピーヌは1月15日に2026年シーズンローンチを予定しており、その際には新リバリーも公開される見通しだ。マシンは月末に初走行を迎える予定で、今回のファイアアップ完了によって、実戦に向けた準備は着実に次の段階へ進んだ。

    すでにアストンマーティンが冬季シャットダウン前に初ファイアアップを終えている中、アルピーヌは新時代を前にファイアアップを公表した2番目のチームとなった。A526の始動は、2026年F1シーズンに向けた開発競争が本格化しつつあることを示す象徴的な出来事と言える。

  • メルセデスF1 2026年F1マシン『W17』を1月22日に発表

    メルセデスF1 2026年F1マシン『W17』を1月22日に発表

    メルセデスは、2026年F1マシン『W17』の発表日を正式に明らかにした。F1史上でも屈指の大変革となる2026年レギュレーションを前に、その動向に注目が集まっている。

    ブラックリーを拠点とするメルセデスは、2026年1月22日にW17を公開する。ファンにとっては、新時代に向けてメルセデスが送り出すマシンの姿を初めて目にする機会となる。

    その直後には、2026年最初の非公開テストがスペイン・バルセロナで実施される。テストは1月26日から30日まで行われ、エンジニアとドライバーにとって、革新的なパッケージを実走で評価する初の機会となる。

    新時代に向けた新車
    W17は1月に姿を現すが、メルセデスは2月2日にフルスケールのシーズンローンチイベントも予定している。このイベントはオンラインでライブ配信される。

    イベントには、チーム代表のトト・ヴォルフをはじめ、ドライバーのジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリが出席し、大きな期待を背負ったシーズンの正式なスタートを切る。

    2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットの思想が大きく転換され、内燃エンジンと電動パワーの比率は50/50となる。持続可能性を高めつつ、パフォーマンスを維持することが狙いだ。

    2014年から2021年にかけてハイブリッド時代を支配したメルセデスは、この新レギュレーションを最大限に生かせるチームのひとつと広く見られている。

    2025年コンストラクターズランキング2位という結果を受け、ファンの間では楽観論も広がっているが、ヴォルフ自身は慎重な姿勢を崩していない。

    「私は有名な悲観主義者で、コップはいつも半分しか満たされていないように見える」と、ヴォルフは2025年シーズン終了後のメルセデスのデブリーフ動画で語った。

    「パワーユニットでもシャシーでも目標は設定した。それが十分に野心的だったのか、何か見落としている部分があるのか、そして実行があるべきレベルで完璧にできるのかどうかは分からない。

    1月末のテスト、そしてバーレーンで、パフォーマンスバランスの一端は見えてくるだろう。ただ、重要なのはシーズンを通した継続的な開発になると思う」

    開幕へのカウントダウン
    1月のマシン公開と2月のテストに続き、2026年F1シーズンは3月6日から8日に開催されるオーストラリアGPで幕を開ける。

    メルセデスにとって、W17は単なる新車ではない。それは新たな技術時代の幕開けに向けた意思表示であり、勢力図を塗り替える可能性を秘めた存在だ。

    再び“シルバー時代”の支配を築けるかどうかは未知数だが、ひとつだけ確かなことがある。新時代へのカウントダウンは、すでに本格的に始まっている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ フォーミュラ1カー 2026年のF1世界選手権

  • キミ・アントネッリ、メルセデスF1のサスペンション変更で「2〜3か月を失った」

    キミ・アントネッリ、メルセデスF1のサスペンション変更で「2〜3か月を失った」

    2025年シーズン途中に行われたメルセデスF1のサスペンション変更は、ルーキーの成長曲線を大きく狂わせる結果となった。アンドレア・キミ・アントネッリは、この技術的な判断によって自身の進歩が「2〜3か月分」失われたと振り返っている。

    メルセデスF1チームのルーキーであるアントネッリは、F1初年度の中盤に投入された“失敗に終わった”サスペンション変更が、自身の成長に大きな代償を伴ったと考えている。

    メルセデスは2025年5月、イモラで開催されたエミリア・ロマーニャGPでリアサスペンションのジオメトリーを変更した。これは、低速コーナーでの相対的な競争力不足と、リアタイヤの温度管理に関する問題を解決するための試みであり、当時クラスをリードしていたマクラーレンMCL39のリア周りのコンセプトからヒントを得たものだった。

    しかし、このアップデートはリアエンドに不安定さをもたらした。経験豊富なジョージ・ラッセルは、ある程度その問題をカバーすることができたが、ルーキーのアントネッリにとっては、はるかに厳しい状況となった。

    シーズン序盤に好調なスタートを切ったアントネッリだったが、ヨーロッパラウンドの開幕とともにパフォーマンスは急落し、自信を大きく失っていった。メルセデスが最終的にサスペンション変更を取りやめると、アントネッリは徐々に自信を取り戻し、ルーキーイヤー終盤には安定したパフォーマンスを発揮するようになった。

    「正直なところ、2〜3か月分の進歩を失ったと思う」と、アントネッリはこの技術的な“曲球”を振り返る。

    「明らかに、ジョージよりもリアに苦しんでいた。自分のドライビングスタイル的にも、適応するのが難しかったんだ」

    「とても厳しい時期だった。自信をどんどん失っていって、すごく緊張した状態で走っていたし、まったく前進できている感覚がなかった。もし、もっと上手く適応できていたか、あるいはもっと早く元のサスペンションに戻していたら、状況は少し違っていたと思う。そうすれば、ヨーロッパシーズンの終盤、もしくはその途中くらいから勢いを作ることができていたはずだ」

    アンドレア・キミ・アントネッリ F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    一方で、メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、この経験を経てアントネッリがより完成度の高いグランプリドライバーへと成長したと評価している。特に、予選での一発の速さが最大の進歩点だという。

    「ロングランが一番難しくなると予想していたが、彼はそこでは最初から強かった」とショブリンは語る。

    「一方で、シングルラップのパフォーマンスには時間がかかった。タイヤを信頼し、早い段階で温度を入れることを学ぶのが重要だった」

    「彼は今、レースウィークエンド全体の流れをずっと良く理解している。クルマが何をしているのかを言葉で説明する能力は、もともと非常に高かったが、これは最も重要な要素のひとつだ」

    「時間とともに、セットアップ変更による原因と結果のデータベースを自分の中に構築している。重要なのは、どこまでプッシュするべきかを学ぶことだ。弱すぎても、やり過ぎてもいけない。ブダペストは、彼がやり過ぎてしまった例だった。シーズン終盤、結果が良くなってくると、Q1とQ2で良い走りをしたあと、Q3で少しオーバードライブしてしまうこともあった」

    「こうした細かい部分は、何年も経験を積んだドライバーたちが、苦い思いをしながら学んできたことだ。キミにとって良い点は、一度学んだことを確実に身につけるところだ。同じミスを繰り返さない。総合的に見て、彼の成長は非常に順調だ」

  • キミ・アントネッリのピークは2030年以降? メルセデスF1が描く育成の時間軸

    キミ・アントネッリのピークは2030年以降? メルセデスF1が描く育成の時間軸

    メルセデスF1のチーム代表を務める トト・ヴォルフ は、2025年にF1デビューを果たした若き才能 アンドレア・キミ・アントネッリ について、真のピークに到達するまでには「3〜5年」が必要になるとの見解を示した。早ければ2030年頃になる可能性があるという。

    アントネッリはF4およびフォーミュラ・リージョナルでタイトルを獲得した後、F3を経由せずにF2を1年だけ経験し、そのままF1へと昇格した異例の経歴を持つ。2025年は経験不足が否めないシーズンとなり、走行ミスやパフォーマンスの波も見られた。

    予選ではチームメイトの ジョージ・ラッセル に対し、スパ・フランコルシャンでのブレーキトラブルに見舞われたスプリント予選を除いて「24対5」と大きく水をあけられ、獲得ポイントもラッセルの319点に対して150点にとどまった。

    それでもヴォルフは、長期的な視点で育成する重要性を強調する。F1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』で、アントネッリがピークに達する時期について問われると、次のように語っている。

    「彼がピークに達すると期待しているのは、今から3年後か5年後だ。その時間を彼に与える必要がある」

    さらに、アントネッリがまだ学ぶべき点についても言及した。

    「彼はこのスポーツについて多くを理解している。毎日それを生き、呼吸している存在だからだ。ただ、人としての成熟という側面がある。若者として、この環境特有の力学やプレッシャーに対処する術を身につける必要がある。だが、間違いなく正しい方向に進んでいる」

    アンドレア・キミ・アントネッリ F1 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    2026年F1大改革を前に積み重ねる経験
    アントネッリの2025年シーズンは、2026年から導入されるシャシーおよびパワーユニットの大幅な技術レギュレーション変更を前に、極めて重要な準備期間となった。本来であれば、ルイス・ハミルトンがフェラーリへ移籍しなければ、この起用は実現しなかった可能性もある。

    メルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージングディレクターを務める ハイウェル・トーマス も、その意義を強調する。

    「シミュレーターで分かっていることだが、来年は今年とはまったく異なるドライビングになる。新しい要素が非常に多く、初年度からそれに対応するのは並外れて難しいだろう」

    「だからこそ、今年1年を経験できたことをとても評価している。彼はチームを理解し、完全にチームの一員になっている。ブラックリーだけでなく、エンジン部門のあるブリックスワースにも何度も足を運び、変更される技術的要素について一緒に作業してきた。彼自身もそこに意見を反映させている。そういう意味で、今年レースに出場できたことには本当に満足している」

    2025年は結果だけを見れば厳しい数字が並ぶが、メルセデスはアントネッリを「即戦力」ではなく「長期プロジェクト」として位置づけている。2026年のF1大改革をまたぐ数年間が、彼の真価を形づくる重要な時間になることは間違いない。